飲食店の面接の辞退を減らしたいとき、多くの店は「辞退されないように連絡をこまめにする」ところから手を付けます。それも大事ですが、同じ理由で何度も辞退されている店では、連絡を増やしても辞退は減りません。減らすために必要なのは、辞退した人がなぜやめたのかを聞き、その理由を求人の書き方や面接の進め方に戻すことです。ここでは、辞退を段階ごとに分け、理由の聞き方と記録の仕方、よく出る理由ごとの直し方までを、店長がひとりで回せる形で整理します。
飲食店の辞退は、どの段階で起きたかで意味が違う
ひとくちに辞退といっても、起きる段階によって、原因も直す場所もまったく違います。飲食店のアルバイト採用では、次の6つの段階に分けて考えると整理しやすくなります。
・応募の直後:最初の連絡をしたら「やっぱりやめます」と返ってくる ・面接の日程を決める段階:候補日のやりとりの途中で辞退の連絡が来る ・面接の当日:連絡なしで来ない、または直前に辞退の連絡が来る ・面接の直後:面接を受けたあと、結果を伝える前に辞退の連絡が来る ・採用を伝えたあと:採用の連絡に「辞退します」と返ってくる ・初出勤の前:勤務開始日が決まってから、初日までの間に辞退する
応募の直後の辞退は、応募した時点で深く考えていなかったか、他の店に先に決まったかのどちらかが多く、店が直せる部分は限られます。
面接の日程を決める段階と面接の当日の辞退は、応募から面接までの間に、応募者の気持ちが離れたことを示しています。待たされた時間の長さや、面接の場所や時間が合わなかったことが関係します。
面接の直後と採用を伝えたあとの辞退は、面接の場で何かを知って考えが変わった、というサインです。飲食店では、ここで分かることが最も多くあります。シフトの条件、時給、店の雰囲気など、面接で初めて見聞きした情報が決め手になっているからです。
初出勤の前の辞退は、働き始めることへの不安や、他の仕事との比較で起きます。
段階を分けずに「今月は辞退が5件あった」とだけ数えても、どこを直せばよいかは分かりません。面接の直後の辞退が多い店と、面接の当日に来ない人が多い店では、手を入れる場所が違います。辞退を記録するときは、必ず段階を一緒に残してください。
辞退の理由を聞かないと、同じ辞退が繰り返される
辞退の連絡を受けた店長の多くは、「承知しました、ありがとうございました」と返して終わります。辞退した人を引き止めるのは気が引けますし、理由を聞くのも失礼に感じるからです。
けれど、理由を聞かなければ、店側は想像で原因を決めることになります。「最近の若い人はすぐやめる」「うちは時給が安いから」と片付けてしまうと、実際には直せる原因を見逃します。
飲食店の辞退の理由には、店が直せるものが少なくありません。求人に書いていなかった条件が面接で分かった、面接に行ったらピークの時間で30分待たされた、制服や身だしなみの規定が求人から読み取れなかった、といった理由です。こうした理由は、辞退した人に聞かなければ、店の中からは見えません。
理由を聞くことは、引き止めることとは違います。辞退の意思は受け止めたうえで、今後の募集のために教えてもらう、という立場で聞けば、多くの人は答えてくれます。答えたくない人には答えなくてよいと伝えておけば、失礼にもなりません。
もう1つ、理由を聞いておくと、辞退した人との関係も悪くなりにくくなります。何も聞かれずに事務的に処理されるより、「教えていただけると助かります」と一言添えられたほうが、店に対する印象は残ります。飲食店の応募者は近所の人や店のお客さんであることが多いので、辞退した人がそのあとも客として来てくれるかどうかにも関わります。
辞退の連絡が来たときの聞き方
辞退の理由は、辞退の連絡への返事の中で、1回だけ聞くのが基本です。何度も聞くと、しつこく感じられます。
聞き方は、自由に書いてもらうより、選択肢から選んでもらうほうが答えてもらいやすくなります。辞退する人は、長い説明を書く気持ちにはなりにくいからです。選択肢を並べたうえで、書きたい人だけが書ける欄を添える形にします。
返事の文面は、たとえば次のようにします。
〇〇様
ご連絡ありがとうございます。辞退の件、承知いたしました。 今後の募集の参考にしたいので、差し支えなければ、辞退を決められた理由に近いものを1つ教えていただけますか。 番号だけのご返信で大丈夫です。お答えいただかなくても、まったく問題ありません。
- 希望のシフトや曜日と合わなかった
- 時給や待遇が希望と合わなかった
- 面接や店の様子を見て、合わないと感じた
- 他のお店やお仕事に決まった
- 通勤や帰りの時間が合わなかった
- 学校や家庭の予定が変わった
- その他
ご応募いただき、ありがとうございました。
選択肢は、飲食店でよく出る理由に絞って7つ程度にしておきます。多すぎると選ぶのが面倒になり、少なすぎると「その他」ばかりになります。
番号で返せる形にしているのは、答える側の手間を最小にするためです。応募したときのフォームと同じように、辞退の理由を聞く短いフォームを用意して、そのURLを返事に添える方法もあります。フォームで受ければ、理由がそのまま記録に残り、あとで数えるのが楽になります。
面接の当日に来なかった人や、連絡が途絶えた人には、理由を聞く連絡を送っても返事はほとんど来ません。こうした人に何度も連絡するのは避け、1回だけ「ご都合が合わなくなった場合はご連絡ください」と送って、区分を分けて記録します。
飲食店でよく出る辞退の理由と、その背景
選択肢に並べた理由のうち、飲食店で特によく出るものについて、背景を整理しておきます。理由ごとに直す場所が違うからです。
シフトや曜日の条件は、飲食店の辞退の理由として最もよく挙がります。土日のどちらかは必ず入ってほしい、年末年始は出勤してほしい、ディナーは閉店作業まで残ってほしい、といった店の都合が、面接で初めて伝えられて辞退につながります。
時給や待遇は、求人に書いた時給と、実際に最初に払われる時給の差が問題になりやすい理由です。研修中や試用期間の時給が低い、深夜の時給が上がるのは22時以降だけ、交通費に上限がある、といった条件です。
面接や店の様子は、飲食店に特有の理由です。面接は店で行うので、応募者は厨房の忙しさ、スタッフ同士の話し方、店の清潔さを目の前で見ます。求人の写真や文面で思い描いていた店と違えば、そこで気持ちが離れます。
他の店に決まった、という理由は、応募者が複数の店に同時に応募していることを示します。応募から面接までの日数が長いほど、この理由は増えます。
通勤や帰りの時間は、閉店が遅い居酒屋やバーで多く出ます。終電や最終のバスに間に合わない時間まで勤務があると、面接で閉店作業の終わる時刻を聞いて辞退することになります。
これらの理由を記録して並べると、自分の店でどれが多いかが見えてきます。次の節から、よく出る理由ごとに、どこを直せばよいかを見ていきます。
業態によって、出やすい辞退の理由は違う
同じ飲食店でも、業態によって辞退の理由の出方には偏りがあります。自分の店の業態でどんな理由が出やすいかを知っておくと、選択肢の並べ方や、先に手を入れる場所を決めやすくなります。
居酒屋やバーのように閉店が遅い店では、帰りの時間とお酒を出す環境が理由になりやすくなります。閉店作業が終わるのが終電のあとになる、酔ったお客さんへの対応が不安、という理由です。高校生や、家族と暮らしている学生の応募では、家族の反対もここに含まれます。
カフェは応募が集まりやすい一方で、時給や、ドリンクを作れるようになるまでの研修の長さが理由になることがあります。「カフェで働いてみたい」という気持ちで応募した人が、面接で洗い物や掃除の比重を聞いて、思っていた仕事と違うと感じるケースです。
チェーンのファストフード店やファミリーレストランでは、シフトの出し方や、覚える作業の多さが理由になりやすい傾向があります。シフトを1か月前に確定させる必要がある、研修の動画を何本も見る必要がある、といった条件を面接で聞いて、学校の予定と合わせにくいと判断する人がいます。
少人数で回している個人経営のレストランでは、店主やスタッフとの相性が理由になることがあります。面接をする人がそのまま毎日一緒に働く相手になるので、面接の場の雰囲気がそのまま辞退の判断につながります。
ホテルの中のレストランや宴会場では、身だしなみの規定の細かさが理由として出やすくなります。髪色、髪の長さ、爪、アクセサリー、化粧についての規定を面接で聞き、今の自分の生活と合わないと判断する人がいます。
どの業態でも共通して言えるのは、面接で初めて聞いた条件ほど辞退の理由になりやすいことです。業態ごとに出やすい理由が分かっていれば、その条件だけは求人の文面か最初の返事で先に伝える、という手の打ち方ができます。
シフトの条件が面接で初めて分かった、という辞退を減らす
シフトや曜日を理由にした辞退が多い店は、求人に書く条件と、面接で伝える条件のずれを見直します。
飲食店の求人には、「週2日から」「1日3時間からOK」「シフト自由」といった入りやすさを強調した言葉が並びがちです。応募を集めるには効きますが、実際には「土日のどちらかは必ず」「金曜のディナーは入ってほしい」といった条件がある場合、面接で初めてそれを聞いた応募者は辞退します。
職業安定法の改正に合わせて厚生労働省が出した案内では、労働者を募集するときの労働条件の示し方について、次のように説明しています。
求人票のスペースが足りない等、やむを得ない場合には、「詳細は面談の時にお伝えします」などと書いた上で、労働条件の一部を別途明示することも可能です。 この場合原則として、初回の面接等、求人者と求職者が最初に接触する時点までに、全ての労働条件を明示すべきとされています。 出典: www.mhlw.go.jp
この案内は2018年1月施行の改正に合わせたもので、その後も労働条件の明示のルールは見直されています。自分の店の求人がどこまで示せていればよいかは、最新の案内や労働局の窓口で確かめてください。
決まりの面を離れても、辞退を減らす観点からは、店にとって外せないシフトの条件は、面接より前に伝えておくほうが得です。面接に来てから辞退されると、店長が面接に使った時間も、応募者の移動の時間も無駄になります。条件が合わない人には、応募の段階で自分から外れてもらうほうが、お互いに負担が少なくなります。
具体的には、求人の文面に「土日のどちらか1日は入れる方」「金曜と土曜は22時まで入れる方を優先します」のように、外せない条件をはっきり書きます。書くと応募の件数は減るかもしれませんが、面接に来た人が辞退する割合は下がります。
求人の文面に書き切れない場合は、応募への最初の返事で伝えます。面接の案内の中に「当店では土日のどちらかにご勤務いただける方を募集しています。ご都合が合わない場合はお知らせください」と一文入れておけば、合わない人は面接の前に教えてくれます。
時給と、研修中の時給の差で辞退される
時給を理由にした辞退は、「時給が安いから」と片付けられがちですが、実際には時給そのものより、求人の書き方で起きていることがあります。
飲食店の求人では、時給を幅で書くことがよくあります。「時給1,100円から1,400円」と書いてあれば、応募者は自分が1,400円に近い金額をもらえるかもしれないと思って応募します。面接で「最初は1,100円で、研修期間の3か月が終わったら見直します」と言われると、思っていた金額との差に驚いて辞退します。
深夜の時給も同じです。「深夜は時給アップ」と書いてあっても、上がるのが22時以降だけで、店の閉店が23時なら、上がるのは1時間分だけです。応募者が思い描いた金額と、実際の金額に差が出ます。
直し方は、応募者が最初に受け取る金額を先に書くことです。時給の幅を書くなら、どういう条件で上がるのかを並べて書きます。研修中の時給が違うなら、その金額と期間を書きます。交通費に上限があるなら、その上限を書きます。
求人に書く時給は、応募を集めるための数字であると同時に、面接に来た人が辞退するかどうかを決める数字でもあります。高く見せて応募を集めても、面接で辞退されれば採用にはつながりません。
時給を上げられない店は、時給以外の条件を具体的に書くと、時給を理由にした辞退が減ることがあります。まかないが出るか、出るならどんな形か、制服は貸与か、髪色の規定はどうか、シフトの提出はどのくらいの頻度か。応募者は時給だけでなく、こうした条件を合わせて比べています。
面接で見た店の様子で辞退される
飲食店の面接は、ほとんどの場合、店で行います。応募者は面接の間、店の中を見ています。ここで気持ちが離れる理由は、面接の中身より、面接の置かれた状況にあることが多くあります。
よくあるのが、面接の時間がピークに重なることです。応募者の都合に合わせて12時や19時に面接を入れると、店長は途中で呼ばれ、応募者は客席の端で待たされます。厨房からは慌ただしい声が聞こえ、スタッフは応募者に目を向ける余裕がありません。応募者は「ここで働いたら毎日こうなのか」と感じます。
面接は、アイドルタイムや開店前の落ち着いた時間に入れるのが基本です。どうしてもピークの前後にしか合わない場合は、面接を始める前に「この時間は少しバタバタしていて申し訳ありません」と一言伝え、待たせる時間を作らないようにします。
面接の場所も見直してください。客席の真ん中で面接をすると、周りのお客さんに話が聞こえます。応募者は落ち着いて質問できません。空いている個室や、客席から離れた席を使うだけで印象は変わります。
面接の途中で、店の中を案内する時間を少し取るのも効きます。厨房やスタッフルーム、休憩の場所を見せ、実際の仕事の流れを説明します。応募者は面接で聞いた話と実際の様子を照らし合わせられるので、働き始めてからのずれが減ります。見せられない状態なら、そこは店の側で直すべきところです。
面接をする人の話し方も、辞退に関わります。飲食店の店長は忙しさから、面接を早く終わらせようとして質問を一方的に並べがちです。応募者が質問する時間を必ず取り、「何か気になっていることはありますか」と聞くと、辞退につながる不安を面接の場で解消できます。
他の店に先に決まった、という辞退を減らす
他の店に決まったという理由が多い店は、応募から面接までと、面接から採用の連絡までの時間を見直します。
飲食店のアルバイトに応募する人は、近くの店にいくつか応募していることが珍しくありません。先に面接に呼んでくれた店、先に採用を伝えてくれた店に決めるのは自然なことです。
この理由を減らすために、面接で合否をその場で伝える店もあります。条件が合っていて、店長が採用を決めてよい立場なら、面接の最後に「ぜひ来ていただきたいです」と伝えてしまうほうが、他の店に流れにくくなります。その場で決められない場合でも、結果を連絡する日を面接の場で約束し、その日までに必ず連絡します。
面接の場で、応募者に他の店にも応募しているかを聞いておくのも役に立ちます。聞き方は「他のお店も見ていらっしゃいますか」程度で十分です。他の店の面接が控えていると分かれば、結果の連絡を早めるかどうかを判断できます。
面接に連絡なしで来なかった人の扱い
面接の当日に連絡なしで来ない人は、飲食店の採用でよく起きます。こうした人からは理由を聞けないので、辞退の理由の記録とは分けて扱います。
来なかった人には、面接の時間から少し過ぎたところで、1回だけ連絡します。「本日〇時にお約束していた面接の件で、ご都合が悪くなった場合はご連絡ください」という程度の短い文面です。責める書き方は避けてください。事故や急な体調不良で来られなかった人もいます。
返事がなければ、区分を「面接に来なかった」として記録を閉じ、それ以上は追いかけません。何度も連絡すると、応募者にとっても店にとっても負担になります。
来なかった人の件数は、辞退の理由とは別に数えておきます。件数が多い場合は、応募から面接までの日数が長すぎないか、面接の案内に店の場所や入口が分かりやすく書いてあるかを見直します。雑居ビルの上の階にある店や、入口が裏の路地にある店では、場所が分からずに来られなかった人が含まれていることがあります。
採用を伝えたあと、初出勤の前の辞退
採用を伝えてから初出勤までの間の辞退は、店長にとって最も痛い辞退です。シフトに組み込む準備を始めたあとで、また一から探し直すことになるからです。
この段階の辞退の理由として多いのは、他の仕事に決まった、学校や家族の事情が変わった、働き始めることに不安を感じた、の3つです。
他の仕事に決まったという理由は、採用を伝えてから初出勤までの期間が長いほど増えます。採用を伝えたのに初出勤が3週間後だと、その間に他から声がかかります。初出勤までの期間を短くするか、間に一度連絡を入れて関係を切らさないようにします。
働き始めることへの不安は、初日の様子が分からないことから来ます。何時にどこへ行けばよいのか、何を持っていけばよいのか、初日は何をするのか、誰が教えてくれるのか。こうしたことが分からないまま初日を待つと、不安が大きくなって辞退につながります。初出勤の数日前に、集合時刻と入口、持ち物、初日の流れ、教えてくれる人の名前を送っておくと、不安はかなり減ります。
初めてアルバイトをする高校生や大学生の場合、家族に反対されて辞退することもあります。閉店が遅い店や、お酒を出す店で起きやすい理由です。面接の場で帰りの時間を具体的に伝え、家族に説明しやすい情報を渡しておくと、あとで辞退される可能性が下がります。
聞いた理由を記録して、月に1回並べる
理由を聞いても、記録して見返さなければ、次の募集に活かせません。辞退の記録は、応募の記録と同じ場所に、段階と理由を残す形にします。
残す項目は、応募日、入口、辞退した段階、辞退の理由の番号、自由に書いてもらった内容、の5つで十分です。
月に1回、アイドルタイムに記録を開いて、段階ごと、理由ごとに件数を並べます。たとえば次のような形です。表の数字は、記録の並べ方を示すための例です。
| 辞退の段階 | シフト | 時給 | 店の様子 | 他で決定 | 通勤 | その他 | 無断欠席 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 応募の直後 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 1 | |
| 日程を決める段階 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | |
| 面接の当日 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
| 面接の直後 | 3 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | |
| 採用を伝えたあと | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | |
| 初出勤の前 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 |
この例なら、面接の直後にシフトを理由にした辞退が集まっています。面接で初めてシフトの条件を伝えている可能性が高いので、求人の文面か最初の返事に、外せない条件を書き足すのが次の一手になります。
件数が少ない店では、1か月では傾向が見えないこともあります。その場合は3か月分をまとめて並べてください。件数が少なくても、同じ段階の同じ理由が2回続けば、それは偶然ではない可能性があります。
並べた結果は、面接をする人全員で共有します。店長だけが知っていても、面接を副店長や社員が担当する日には活かされません。
辞退を減らそうとして、やってはいけないこと
辞退の件数を減らしたい気持ちが強くなると、かえって逆効果になる手を打ってしまうことがあります。飲食店で見かけるのは次のようなものです。
1つめは、求人から条件を外して、応募の段階で辞退されないようにすることです。土日の出勤が必須なのに書かない、研修中の時給を書かない、といった書き方をすると、応募の直後の辞退は減るかもしれません。けれど、その分は面接の直後か、働き始めてからの早期の退職に移るだけです。店長が面接に使う時間も、新人に教える時間も増えます。
2つめは、辞退の連絡に対して引き止めの電話を何度もかけることです。一度辞退を伝えた人に、条件を変えるから考え直してほしいと繰り返し連絡すると、相手は困ります。条件を変えられるなら、辞退の返事の中で1回だけ伝え、それで決まらなければ受け止めてください。
3つめは、面接の場で採用を匂わせておきながら、あとで不採用にすることです。辞退されたくない気持ちから「ぜひ一緒に働きたいです」と言っておき、他の応募者と比べて見送る、というやり方は、応募者の側に強い不信を残します。採用を伝えるなら決めてから、決められないなら結果を連絡する日を約束する、のどちらかにしてください。
4つめは、辞退した人を店の中で悪く言うことです。スタッフの前で「あの人はすぐやめるタイプだった」と話すと、そのスタッフが友人を紹介してくれる気持ちも減ります。辞退した人は、近所に住むお客さんでもあります。
辞退の理由を集められる受付にする
辞退の理由を聞いて記録する運用は、応募の記録を持っている場所と同じところでできると続きます。応募は求人媒体の管理画面、辞退の連絡は店長のメール、理由のメモは手帳、とばらばらになっていると、月に1回並べる作業そのものが面倒になり、やらなくなります。
応募の受付で決めておくことは採用の応募受付に場面として整理しています。飲食店のように辞退が段階ごとに起きる採用で、どこに記録を残すかを考える手がかりになります。
表計算の表で応募を管理している店なら、辞退の段階と理由の列を足すだけで始められます。表で持つときに崩れやすいのは、辞退の連絡を受けた人が列を書き忘れることと、理由を聞く返事を誰が送ったかが残らないことです。フォームの回答を表に集める運用で足りる範囲はGoogleフォームとの比較で整理しています。自社のホームページにプラグインで応募フォームを置いている店はContact Form 7との比較を、本部がMicrosoftの環境で店舗を管理している会社はMicrosoft Formsとの比較を判断の材料にしてください。
応募1件ごとに状況を変え、辞退の区分を付け、応募者とのやりとりを同じ画面に残せると、月に1回の振り返りがその画面の絞り込みだけで済みます。送信されたあとの道具がそろっているかどうかが、辞退の理由を集め続けられるかの分かれ目です。何ができるかはできることにまとめており、応募の状況が一覧でどう見えるかは動くところを見るで確かめられます。
受け付ける件数や、状況の区分の数によって、使える範囲は変わります。どこに線があるかは料金で確かめられます。応募の記録の書き出し方など、細かい質問はよくある質問にまとめています。
辞退は、応募者が店に残してくれる最後の情報です。何も聞かずに見送れば、次の募集でも同じ段階で同じ理由の辞退が起きます。いまの受け方で、辞退した人の段階と理由がどこにも残っていないなら、次の辞退の連絡への返事に、選択肢を1つ添えるところから始めてください。
Q1. 飲食店の面接を辞退した人に、理由を聞いても失礼になりませんか?
辞退の意思を受け止めたうえで、今後の募集の参考にしたいという立場で1回だけ聞けば、失礼にはなりにくいです。答えなくてもよいと添え、番号で選べる選択肢を並べると、答える側の負担も小さくなります。何度も聞いたり、引き止めるような書き方をしたりすると、しつこく感じられるので避けてください。
Q2. 面接の辞退で、飲食店に特に多い理由は何ですか?
よく挙がるのは、シフトや曜日の条件が合わなかった、時給や研修中の時給が思っていた金額と違った、面接で見た店の様子が合わないと感じた、他の店に先に決まった、閉店作業のあとの帰りの時間が合わなかった、といった理由です。どれが多いかは店によって違うので、辞退した段階と理由を記録して並べてみるのが確実です。
Q3. 面接に連絡なしで来なかった人には、どう連絡すればよいですか?
面接の時間を少し過ぎたところで、都合が悪くなった場合は連絡してほしいという短い文面を1回だけ送ります。事故や体調不良の可能性もあるので、責める書き方は避けます。返事がなければ記録を閉じ、それ以上は追いかけません。来なかった人が多い場合は、応募から面接までの日数や、店の場所と入口の案内を見直してください。
Q4. 採用を伝えたあとに辞退されるのを防ぐにはどうすればよいですか?
採用を伝えてから初出勤までの期間を短くし、間があく場合は途中で一度連絡を入れます。初出勤の数日前には、集合時刻と入口、持ち物、初日の流れ、教えてくれる人の名前を送っておくと、働き始めることへの不安が減ります。高校生や大学生には、面接の場で帰りの時間を具体的に伝え、家族に説明しやすい情報を渡しておくことも効果があります。
