ホテルで応募の担当を決めるとき、多くの現場では「採用は支配人」「正社員は本部の人事」と、役職で担当を置いています。それ自体は自然な分け方ですが、ホテルは365日開いていて、支配人も週に2日は休みます。夜勤明けの日は昼まで眠っていますし、閑散期にはまとめて休暇を取ります。役職だけで担当を決めていると、その人がいない日には応募が1件も進みません。この記事では、ホテルの勤務の形に合わせて、休みの日にも止まらない担当の決め方と引き継ぎの手順を整理します。読み終えたときに、自分のホテルで「支配人がいない日に誰が応募を見るか」を名前で書き出せる状態を目指します。
ホテルで応募が止まるのは、担当者が休む日
ホテルの採用で返事が遅れた応募を並べてみると、届いた曜日に偏りがあることがよくあります。支配人の公休の前日の夕方に届いた応募、夜勤明けの日の朝に届いた応募、本部の会議で終日外に出ている日に届いた応募。どれも、担当者がいない時間に届いたものです。
ホテルの担当者が不在になる場面は、他の業種より種類が多くあります。
・週に2日前後の公休が、平日に入る ・夜勤に入った翌日は、昼過ぎまで連絡がつかない ・運営会社の会議や研修で、終日ホテルを離れる ・閑散期に、1週間ほどの休暇をまとめて取る ・繁忙期は、担当者自身がフロントや宴会の現場に張り付く
どれも予定として分かっている不在です。急な病欠のように避けられないものではありません。予定が分かっている以上、その日に誰が応募を見るかも、前もって決めておくことができます。担当者が休む日に応募が止まるのは、担当者が1人しかいないからで、担当者の働き方の問題ではありません。
担当は「正」と「副」の2人で受け持つ
ホテルで応募の担当を決めるときは、1つの受け持ちに必ず2人の名前を入れます。主に見る人を「正」、正がいない日に代わりに見る人を「副」とします。
正と副の組み合わせで大事なのは、2人の公休と夜勤が重ならないことです。支配人が正で、副支配人が副、という組み方は分かりやすいのですが、2人とも土日に出勤して平日に休む勤務だと、同じ平日に2人とも休む日が出ます。シフトを組む人が、正と副の休みが同じ日にならないように組むか、重なる日だけ3人目を決めておきます。
ビジネスホテルなら、正を支配人、副をフロントのリーダーにする形がよく合います。フロントのリーダーは毎日のようにフロントにいて、電話や来館の応募を最初に受ける立場でもあるからです。シティホテルでは、正を人事や総務の担当者、副を同じ課のもう1人にし、部門ごとの面接はそれとは別に部門の責任者が受け持ちます。リゾートのホテルでは、シーズン前の採用が集中する数週間だけ、副を2人に増やす組み方も考えられます。
副の人は、正の代わりにすべてを判断する人ではありません。後で詳しく書くとおり、副に任せるのは応募を止めないための作業に限ります。この線引きがあるから、フロントのリーダーのように採否を決める立場にない人でも、副を引き受けやすくなります。
応募の段階ごとに、受け持つ人を書き分ける
正と副を決めるときに、応募の最初から最後までを1組の2人で受け持つ必要はありません。ホテルでは、応募の段階によって、ふさわしい人が変わります。段階ごとに受け持つ人を書き分けておくと、1人に作業が集まりすぎず、休みの影響も小さくなります。
最初の段階は、届いた応募を拾う段階です。ここは、ホテルに一番長くいる人が向いています。フロントのリーダーや、日勤で事務所にいる予約の担当者は、支配人より事務所にいる時間が長く、応募の通知に早く気づけます。拾う人の仕事は、応募を一覧に載せ、受け付けたことを応募者に知らせるところまでです。
次は、面接の日程を決める段階です。ここは、面接をする人の予定を知っている人が受け持ちます。部門の責任者が面接をするシティホテルなら、各部門の勤務表を見られる人事の担当者が向いています。支配人が面接をするビジネスホテルなら、支配人の予定を把握している副支配人です。
その次が、面接をして評価を返す段階です。フロントの応募はフロントの責任者、客室清掃の応募はハウスキーピングの責任者、調理の応募は料理長、と部門ごとに面接をする人が決まります。ここで大事なのは、面接をした人が評価を返す期限を決めておくことです。料理長が評価を返さないまま1週間が過ぎる、という止まり方は、担当が決まっていても起きます。面接をした翌日までに一覧の評価の欄を埋める、と決めておきます。
最後が、採否を決めて結果を伝え、採用が決まった人の入社の準備につなぐ段階です。採否を決めるのは支配人か本部で、結果を伝える作業は日程を決めた人がそのまま受け持つと、応募者から見て連絡をくれる人が変わりません。制服の採寸や、寮の入居日の調整、雇用契約の書類の準備は、総務や経理の担当者に渡します。渡したことを一覧に書き、応募の受け持ちはそこで閉じます。
段階ごとの受け持ちにも、それぞれ副を決めます。拾う段階の副はフロントの別のリーダー、日程を決める段階の副は人事の別の担当者、というように、同じ段階の中で休みが重ならない組み合わせにします。
シフト表に「採用の当番」を書き込む
正と副を決めても、その日にどちらが当番なのかが分からなければ、2人とも「今日は相手が見るだろう」と思って応募を見ません。ホテルでは、毎月のシフト表がすでに全員の共通の予定表になっています。ここに、採用の当番の欄を1つ足します。
シフト表の各日に、その日の採用の当番の名前を1人だけ書きます。正が出勤している日は正、正が休みか夜勤明けの日は副です。当番は、その日に届いた応募と、その日に期限が来る連絡を見る人です。夜勤明けの日を当番から外すのは、ホテルの勤務では特に大切です。夜勤明けの人は出勤表の上では「出勤」になっていることがあり、表だけを見ると当番に入ってしまいます。
シフト表は、宿泊の予約状況や宴会の予定を見ながら毎月組み直されます。当番の欄も同じタイミングで組むので、あとから別の表を作る手間がかかりません。シフトを組む人が採用の当番まで決めておけば、支配人が休みの日に「今日は誰が応募を見るのか」と迷う人はいなくなります。
当番の欄は、フロントの従業員にも見える場所に置きます。電話や来館で応募を受けたフロントの従業員が、「今日の当番は副支配人」と分かれば、伝言を誰に渡せばよいかで迷いません。
引き継ぎに書くのは、応募ごとの「次にやること」と「期限」
ホテルには、フロントの引き継ぎのための業務日誌や連絡ノートがあります。夜勤から早番へ、早番から遅番へ、到着の遅い予約や忘れ物、設備の不具合を書き継いでいく習慣は、どのホテルにも根づいています。応募の引き継ぎも、この習慣の延長で考えると回りやすくなります。
ただし、応募の引き継ぎを、宿泊の引き継ぎと同じノートに書くのは避けます。フロントの業務日誌は、アルバイトや派遣の従業員も含めて、フロントに入る全員が読むものです。そこに応募者の名前や連絡先、面接の評価が書かれていると、応募を扱う必要のない人まで読めてしまいます。職業安定法に基づく厚生労働省の指針では、労働者の募集を行う者が、保管する個人情報について講じる措置の1つとして、次のことを挙げています。
ハ 正当な権限を有しない者による個人情報へのアクセスを防止するための措置 出典: mhlw.go.jp
同じ指針では、漏えいを防ぐ措置や、保管の必要がなくなった情報を破棄する措置なども並んでいます。応募の引き継ぎは、応募の一覧そのものを引き継ぎの場所にし、見られる人を正と副と当番に絞るのが扱いやすい形です。自分のホテルの扱いが指針に沿っているかは、所轄の労働局に確かめてください。
応募の一覧の各行には、引き継ぎのために次の2つの列を持たせます。
・次にやること(面接の候補日を送る、応募者の返事を待つ、部門の責任者に評価を聞く、結果を伝える、など) ・その期限の日
この2つがあれば、当番になった人は、一覧を期限の日の順に並べ替えるだけで、その日にやることが分かります。「支配人から何も聞いていないので分からない」という状態がなくなります。業務日誌のように文章で経緯を書く必要はありません。経緯は、次にやることを決めるために必要な分だけ、応募ごとの記録に短く残します。
応募者と約束したことは、必ず記録に残す
引き継ぎで一番漏れやすいのは、担当者が応募者と電話で話して決めたことです。「来週の火曜の午後なら面接に来られると言っていた」「寮の空きは今週中に返事をすると伝えた」「夜勤の回数は面接で相談すると話した」。こうした約束は、話した本人の頭の中にしかありません。
担当者が休みに入った翌日、応募者から「火曜の面接は何時からですか」と電話がかかってきたとき、副の人が約束を知らなければ、答えられないうえに、応募者は「言ったことが伝わっていない」と感じます。ホテルは、宿泊客からの要望を部署の間で引き継げるかどうかで評価される仕事です。応募者も、その引き継ぎの質をホテルの働きやすさとして見ています。
電話で応募者と何かを決めたら、電話を切ったその場で、応募の記録に1行を足します。書くのは「何を」「いつまでに」「誰が」の3つだけです。「寮の空きを9月20日までに返事する(支配人)」と書いてあれば、支配人が休んでいても、副の人がその日に寮の担当に確かめて返事を出せます。
休む前日にやること、休み明けにやること
正の担当者が休みに入る前と、休みから戻ったときに、決まった手順を1つずつ持っておくと、引き継ぎの漏れはさらに減ります。
休む前日にやること
休む前日の勤務の終わりに、応募の一覧を開き、次の3つを確かめます。
・休みの間に期限が来る応募に、「次にやること」が書いてあるか ・面接の日程が休みの日に入っていないか、入っているなら面接をする人が決まっているか ・部門の責任者や本部に返事を待っている応募があれば、返事が来たら誰に届くか
3つめは、ホテルで見落とされやすい点です。部門の責任者が面接の評価を支配人の個人のメールに返していると、支配人が休みの間、その返事は誰の目にも触れません。返事の届く先を、支配人の個人の宛先ではなく、正と副が両方見られる場所にしておきます。
休み明けにやること
休みから戻った日の最初の仕事は、休みの間に副の人がした作業を一覧で確かめることです。副の人に口頭で「何かあった?」と聞くのではなく、一覧の「次にやること」と「期限」が休みの前からどう変わったかを見ます。副の人が送った連絡や、応募者から届いた返事が記録に残っていれば、話を聞かなくても状況が分かります。
口頭で聞く形にすると、副の人がその日に夜勤に入っていたり、休みだったりして、結局聞けないまま半日が過ぎます。ホテルでは、正と副が同じ時間に出勤していない日のほうが多いくらいです。引き継ぎは、会わなくても成り立つ形にしておきます。
閑散期の長い休みと、急な欠勤
閑散期にまとめて休むとき
ホテルの支配人や部門の責任者は、繁忙期に休みを取れない分、閑散期に1週間ほどの休暇をまとめて取ることがあります。1週間となると、副の人が「つなぐ」だけでは応募者を待たせすぎることがあります。
長い休みの前には、休みの間に面接をする人を決めておきます。副の人が面接までするのか、部門の責任者に面接を任せるのか、面接は休み明けにまとめて入れるのかを決め、応募者への最初の連絡に反映させます。面接を休み明けに入れる場合は、応募者に「担当者の都合で、面接は○月○日以降になります」と正直に伝えます。1週間先の面接でも、理由と日付が分かっていれば、応募者は待つかどうかを自分で判断できます。
閑散期は、翌シーズンの募集を始める時期と重なることもあります。リゾートのホテルでは、冬の終わりに夏の人員の募集を出すことがあり、その時期に担当者が休暇に入ると、募集の出だしの応募がまとめて止まります。募集を出す時期と、担当者の長い休みの時期を、シフトを組む段階でずらしておきます。
急に休んだとき
急な欠勤は予定できませんが、備えはできます。「次にやること」と「期限」が一覧にあれば、当番をその日だけ副に切り替えるだけで仕事が回ります。急に休んだ人に電話をかけて状況を聞く必要がない状態が、引き継ぎが仕組みになっているかどうかの目安です。
繁忙期は、担当者が現場に入る前提で組む
ホテルの繁忙期には、支配人も人事の担当者も、フロントや宴会の現場に入ります。大型連休、夏休み、年末年始、近くで大きな催しがある週は、事務所の机に座る時間そのものがなくなります。担当表の上では出勤していても、実際には応募を見られない日が続きます。
繁忙期の当番は、出勤しているかではなく、事務所で15分を取れるかで決めます。団体の到着やチェックインの山がある時間を避けて、朝の早い時間や、チェックアウトの波が終わった昼前など、その日のうちで応募を見る時間を決め、その時間に手が空く人を当番にします。繁忙期に限っては、フロントに立たない予約の担当者や経理の担当者を当番に入れる組み方もあります。
繁忙期に入る前には、応募者への最初の連絡の文面を、繁忙期用に差し替えておきます。面接の日程が普段より先になることや、連絡に数日かかることを最初から伝えておけば、当番が1日見られなかったとしても、応募者との約束を破らずに済みます。
繁忙期の直前は、翌シーズンや繁忙期の人手を確保するための応募が一番多く届く時期でもあります。応募が増える時期と、担当者が現場に取られる時期が重なるのがホテルの採用の難しさです。繁忙期の1か月前までに面接を終えられるよう、募集を出す時期を前にずらすことも、担当の組み方と合わせて検討してください。
副の人に任せること、任せないこと
副の人が引き受けやすいように、任せる範囲をはっきり分けておきます。ホテルで副に任せやすいのは、応募を止めないための作業です。
・届いた応募を確かめ、受け付けたことを応募者に知らせる ・決めてある候補の中から、面接の日時を応募者と調整する ・応募者からの問い合わせに、記録にあることの範囲で答える ・期限が来た連絡を、用意してある文面で送る
一方で、次のことは副に任せず、正の担当者か採否を決める人が行います。
・採用するか見送るかを決める ・時給や月給、勤務の時間帯など、求人に書いた条件と違う約束をする ・寮の部屋や送迎の枠など、数に限りがあるものを確保すると約束する ・正社員への登用や、別の部門への配置を約束する
条件や寮の約束を副に任せないのは、ホテルでは後から取り消しにくい約束が多いからです。リゾートのホテルで副の人が善意で「寮はたぶん空いていますよ」と伝えてしまうと、応募者はその言葉を頼りに他の話を断ります。空いていなかったときに困るのは応募者で、責任を問われるのは副の人になります。任せない範囲の問い合わせが来たら、「担当者から○日までにご連絡します」と期限を添えて返し、次にやることの列に書き込むところまでが副の仕事です。
本部とホテルで担当が分かれる場合
運営会社が複数のホテルを持っていると、正社員の採用は本部の人事、アルバイトやパートは各ホテル、と分かれていることがよくあります。この形では、担当の境目で応募が止まります。
よくあるのは、アルバイトで応募してきた人が「正社員も考えている」と書いてきた場合や、本部の採用サイトから応募した人が特定のホテルでの勤務を希望している場合です。どちらの担当が見るのかが決まっていないと、本部は「ホテルの採用だろう」、ホテルは「本部の応募だろう」と考えます。
境目の応募は、最初に受けた側が担当する、と決めておくのが一番単純です。本部で受けた応募なら、本部の担当者がホテルの支配人に面接を頼み、結果を伝えるところまで本部が受け持ちます。ホテルで受けた応募なら、ホテルの担当者が本部に相談しながら最後まで受け持ちます。途中で担当を渡す場合は、渡した日と受け取った人の名前を記録に残し、応募者にも連絡の窓口が変わることを伝えます。
本部の担当者にも、休みの日はあります。本部側も正と副を決めているか、各ホテルの支配人が知っておくと、本部の担当者の休暇中に応募が止まったとき、誰に連絡すればよいかで迷いません。
客室数が100室ほどのビジネスホテルでの組み方の例
具体的な形として、支配人、副支配人、フロントのリーダー2人、ハウスキーピングの責任者がいる、客室数100室ほどのビジネスホテルを考えてみます。採用は、フロントのアルバイトと客室清掃のパートが中心です。
応募を拾う段階は、フロントのリーダー2人が正と副を受け持ちます。2人は早番と遅番に分かれていることが多いので、どちらかが毎日ホテルにいます。面接の日程を決める段階と結果を伝える段階は、副支配人を正、支配人を副にします。支配人を副に回すのは、支配人が夜勤にも入り、事務所にいる時間が読みにくいからです。面接は、フロントの応募を支配人か副支配人、清掃の応募をハウスキーピングの責任者が行い、採否は支配人が決めます。
この形では、支配人が休みの日も、副支配人とフロントのリーダーがいれば応募は進みます。副支配人と支配人の公休が重なる日だけ、フロントのリーダーのうち採用の経験が長いほうを日程の当番に入れ、その日は候補日の調整までにとどめます。組み方に正解はありませんが、「誰がいない日に、誰が何をするか」を名前で書けるかどうかが、組み方の良し悪しを分けます。
応募者から見える窓口は、担当者が変わっても1つにする
担当を2人にすると、応募者から見て連絡をくれる人が日によって変わります。支配人の名前でメールが届いたかと思えば、次は副支配人の名前で電話が来る。応募者は、どちらに返事をすればよいか分からなくなります。
これを防ぐには、応募者とのやり取りを、個人の名前ではなく、ホテルの採用の窓口として行います。メールの差出人は採用用の共通のアドレスにし、署名には「採用担当」とホテルの名前を書きます。文面の中で「担当の○○です」と名乗るのは構いませんが、返事の宛先は共通のアドレスにしておきます。電話も、折り返し先はフロントの代表番号ではなく、当番が出られる番号を1つ決めておきます。
窓口が1つになっていれば、正が休みの日に応募者から返事が来ても、副がそのまま受け取れます。個人のメールアドレスで応募者とやり取りを始めると、その人が休むたびに、あるいは退職したときに、やり取りの記録ごと途切れてしまいます。
担当者が異動や退職でいなくなるとき
休みの日の引き継ぎと並んで、ホテルで起きやすいのが、担当者そのものがいなくなる引き継ぎです。運営会社が複数のホテルを持っていると、支配人は数年ごとに別のホテルへ異動します。新しいホテルの開業に合わせて、経験のある副支配人が引き抜かれることもあります。フロントのリーダーが、別のホテルへ転職していくことも珍しくありません。
異動や退職は、休みと違って戻ってきません。休みの引き継ぎが「つなぐ」ことだとすれば、異動の引き継ぎは「渡しきる」ことです。渡しきるために、最後の出勤日の1週間前までに次のことを済ませます。
・進行中の応募すべてに、新しい正の担当者の名前を入れる ・応募者と約束したことが、記録に残っているかを1件ずつ確かめる ・求人サイトの管理画面や、採用用のアドレスの権限を、新しい担当者に移す ・いなくなる人の権限を、最後の出勤日のうちに外す日を決める
3つめと4つめは、ホテルで漏れやすい作業です。求人サイトの管理画面に、前の支配人の名前のログインだけが残っていて、新しい支配人は入れない。逆に、転職していった人がまだ応募者の情報を見られる。どちらも、担当者の名前で道具の権限を持たせていたことから起きます。権限は人の名前ではなく役割に持たせ、担当表と同じタイミングで見直す決まりにしておきます。
新しい支配人が着任してすぐの時期は、ホテルの事情が分からないうえに、進行中の応募の経緯も分かりません。この時期に応募者との約束が破られると、新しい支配人の最初の仕事が謝罪の電話になります。着任の日には、前任者と一緒に一覧を期限の順に並べて見る時間を30分だけ取ってもらうと、渡しきれていない約束がその場で見つかります。
担当表を作ったら、1か月後に確かめること
正と副、当番、任せる範囲を決めたら、1か月たったところで応募の記録を見返します。見るのは、次の3つです。
・届いてから最初の連絡までに一番時間がかかった応募は、どの日に届いていたか ・副の人が作業した応募で、正の人に聞き直しが発生したものはあったか ・「次にやること」の列が空のまま、期限を過ぎた応募はあったか
1つめで特定の曜日に遅れが集中していれば、その曜日の当番の組み方を見直します。2つめで聞き直しが多ければ、記録に残す中身が足りていないので、約束の書き方を見直します。3つめが出ていれば、担当者が作業のあとに次にやることを書く習慣がまだ根づいていないので、朝の打ち合わせで一覧を一緒に見る時間を作ります。
担当と次の作業を、応募の記録そのものに持たせる
ここまでの仕組みは、表計算ソフトの一覧でも作れます。応募が月に数件で、正と副の2人が同じファイルを見ていれば、列を2つ足すだけで始められます。Googleフォームで応募を受けてスプレッドシートで管理している場合に、どこまでそのままでよいかはGoogleフォームとの比較で整理しています。社内のファイル共有をMicrosoft 365で行っているホテルなら、Microsoft Formsとの比較が参考になります。
表で回らなくなるのは、担当者の名前や次にやることの列を、作業のたびに人が書き換えなければならないからです。当番が3人、4人と増え、本部とホテルの間で応募を渡すようになると、書き換えの漏れがそのまま応募の止まりになります。応募ごとに担当者を割り当て、送った連絡や応募者からの返事が同じ場所に残る流れは採用の応募受付で紹介しています。担当者の割り当てや、見られる人の範囲をどう分けられるかはできることに、画面の動きは動くところを見るにあります。人数による費用は料金で、よくある疑問はよくある質問で確かめられます。
担当を決めるというのは、担当者がいない日を決めることでもあります。今月のシフト表を開き、支配人の休みの日に採用の当番の名前が入っているかを確かめてください。空いている日に名前を1つ書き込むことが、休みの日に応募を止めない最初の一歩です。担当と次の作業を人の手で書き換え続けるのが負担になってきたら、送信されたあとの道具がそろっているかどうかを、道具を選ぶ基準にしてください。
Q1. ホテルの応募の担当は、支配人ひとりに任せてもよいですか?
採否を決める人が支配人であることは自然ですが、応募を見る担当を支配人ひとりにすると、公休や夜勤明けの日に応募が止まります。副支配人やフロントのリーダーを副の担当にし、支配人がいない日だけ応募の確認と連絡を任せる形にすると、採否の判断は支配人に残したまま、返事の遅れを防げます。
Q2. フロントのアルバイトに応募の受付を任せても大丈夫ですか?
電話や来館で受けた応募を一覧に書き込む、受け付けたことを伝えるといった作業は任せられます。採否の判断や、時給、勤務の時間帯、寮の空きなど後から取り消しにくい約束は任せないと決めておきます。応募者の情報を見られる範囲も、受付に必要な分に絞っておくと安心です。
Q3. 引き継ぎは、フロントの業務日誌に書いてもよいですか?
業務日誌はフロントに入る全員が読むため、応募者の名前や連絡先、面接の評価を書くと、応募を扱う必要のない人まで読めてしまいます。応募の引き継ぎは応募の一覧そのものに「次にやること」と「期限」の列を持たせ、見られる人を担当者に絞る形をおすすめします。
Q4. 本部とホテルのどちらが担当するか分からない応募はどうすればよいですか?
最初に受けた側が最後まで担当する、と決めておくのが単純で漏れにくい形です。途中で担当を渡す場合は、渡した日と受け取った人の名前を記録に残し、応募者にも連絡の窓口が変わることを伝えます。本部側の担当者の休みの日に誰に連絡すればよいかも、各ホテルで分かるようにしておきます。
