ホテルが集めた応募者の情報の扱いについて、「誰が見られるのか」と聞かれて、すぐに名前を挙げられるでしょうか。求人サイトの管理画面には支配人とフロントの数人が同じIDで入れる、面接の日程はフロントのグループのメッセージで回している、昨年辞めた副支配人のスマートフォンに応募者の電話番号が残っている。一つひとつは仕事を回すための工夫でも、合わせてみると、応募者の情報を見られる人は採用に関わる人の何倍にも広がっています。この記事では、ホテルで応募者の情報が広がりやすい場面を洗い出し、見られる人を絞る方法と、不採用の人の情報をいつ消すかの決め方を順に説明します。読み終えたときに、自分のホテルで最初に閉じるべき「見られる入り口」を1つ決められる状態を目指します。
ホテルでは、応募者の情報を見られる人が広がりやすい
ホテルは、24時間を交代で埋め、多くの人が同じ場所と同じ道具を使って働く職場です。この働き方が、応募者の情報の扱いにも影響します。
フロントのパソコンは、早番、遅番、夜勤の従業員が交代で使います。予約や客室を管理するシステムにはそれぞれの従業員がログインしていても、パソコンそのものや、代表のメールアドレスの受信箱は共用ということがよくあります。そこに応募の通知や履歴書が届けば、フロントに立つ全員が見られる状態になります。
人の入れ替わりが多いことも影響します。宿泊業は、1年のうちに入る人も辞める人も多い業種です。辞めた従業員が使っていた求人サイトのIDや、共有していたパスワードを変えないままにしていると、辞めたあとも応募者の情報に手が届く人が残ります。派遣の従業員や、系列の他のホテルからの応援の従業員がフロントに入る日もあります。
会社の形も、情報の行き先を複雑にします。建物を持つ会社、ホテルを運営する会社、ブランドを貸す会社が別々という形は、ホテルの業界では珍しくありません。応募を受けるのはホテルの現場でも、採用を決めるのは運営会社の本部、給与の手続きは別の会社、というように、応募者の情報が会社の境目をまたいで動くことがあります。
こうした条件がそろうホテルでは、誰かが意図して情報を広げなくても、放っておくだけで見られる人が増えていきます。扱いを見直すときは、「情報を守る」という大きな話から入るより、いま応募者の情報がどこにあり、誰が見られるかを書き出すところから始めるほうが、手をつけやすくなります。
まず、応募者の情報がどこにあるかを書き出す
応募者の情報の扱いを決める最初の作業は、置き場所の一覧を作ることです。ホテルでは、次の場所に応募者の情報が残っていることが多くあります。
・求人サイトの管理画面 ・自社サイトのフォームの回答と、その通知のメール ・代表のメールアドレスの受信箱 ・採用の担当者の個人のメールアドレス ・フロントの電話の着信履歴と、伝言のメモ ・支配人や部門の責任者の個人のスマートフォン(通話履歴、メッセージ) ・メッセージアプリのグループ ・紙の履歴書と、面接の記録 ・シフト表の下書きや、配属の候補を書いたメモ ・在留カードを確認した記録
一覧を作ったら、場所ごとに「誰が見られるか」を書き添えます。ここで、採用に関わる人だけと言い切れない場所が見つかります。代表の受信箱なら、フロントに立つ全員です。メッセージアプリのグループなら、グループに入っている全員で、辞めた人が抜けていなければその人も含みます。
見られる人が広い場所が見つかったら、次の節からの方法で、1つずつ閉じていきます。すべてを一度に変える必要はありません。見られる人が一番多い場所から手をつけてください。
何のために集めるのかを決め、応募者に示す
見られる人を絞る前に、そもそも応募者の情報を何に使うのかを決めておきます。使い道が決まっていないと、「念のため」と言って情報を集め、「いつか使うかもしれない」と言って残し続けることになります。
応募者の情報を集めるときの考え方について、職業安定法に基づく厚生労働省の指針は、募集を行う者は業務の目的の達成に必要な範囲内で、目的を明らかにして個人情報を集めること、保管や使用は集めた目的の範囲に限ることを求めています。ホテルの採用に当てはめると、応募者に「選考と、採用が決まった場合の雇用の手続きのために使う」と示し、その範囲で使うということです。
ホテルで迷いやすいのは、選考の外に使いたくなる場面です。
・応募してきたホテルでは採用に至らなかったが、系列の別のホテルの募集を案内したい ・リゾートのホテルで、今シーズンに応募してきた人に、次のシーズンの募集を案内したい ・応募者に、宿泊の割引や催しの案内を送りたい
系列の別のホテルや次のシーズンの案内に使いたいなら、そのことを応募の時点で示し、応募者が選べる形にしておきます。宿泊の営業の案内に応募者の連絡先を使うことは、応募者が応募のときに想定する使い道から大きく外れます。どこまでが示した目的の範囲に入るかは、判断に迷ったら個人情報の取り扱いの担当や専門家に確かめてください。
使い道を決めたら、応募のフォームや求人の案内に書いておきます。長い規約の文章を貼るより、「いただいた情報は、選考と、採用が決まった場合の雇用の手続きに使います」のように、応募者が読んで分かる短い文を、応募の直前の画面に置くほうが伝わります。
見られる人を絞る
置き場所と使い道が決まったら、場所ごとに見られる人を絞ります。ホテルで効果の大きい順に並べます。
求人サイトやフォームのIDを、人ごとに分ける
求人サイトの管理画面やフォームの道具に、支配人とフロントの従業員が同じIDとパスワードで入っているホテルは少なくありません。IDを1つしか契約していない、人ごとに作るのが面倒だった、というのが理由です。
同じIDを共用していると、誰がいつ応募者の情報を見たのか、誰が応募者に連絡したのかが分かりません。そして、IDを知っている人が辞めても、パスワードを変えない限り入れる状態が続きます。人ごとにIDを分けられる道具なら、採用に関わる人の分だけIDを作り、それ以外の人には作りません。分けられない道具を使っている場合は、IDを知っている人を最小限にし、その人が辞めるたびにパスワードを変える、と決めます。
メッセージアプリのグループで、応募者の情報を回さない
フロントの連絡用のグループで、「明日14時に面接の方が来ます、○○さん、フロント希望」と流しているホテルはよくあります。便利ですが、グループのメッセージは参加している全員のスマートフォンに残り、グループから抜けても消えません。履歴書を写真に撮ってグループに送る運用になっていると、応募者の住所や生年月日まで個人のスマートフォンに残ります。
面接の来館をフロントに伝える必要があるなら、伝えるのは「14時に面接の来館が1名、支配人を呼んでください」までにします。応募者の氏名はフロントで名乗ってもらえば分かります。応募の中身は、採用に関わる人だけが見る場所で扱います。
部門の責任者に回すのは、その部門の応募だけ
宴会の責任者や客室清掃の責任者に面接を任せるホテルでは、応募の一覧をまるごと共有してしまいがちです。宴会の責任者が知る必要があるのは、宴会の配膳を希望する応募者の情報だけです。部門ごとに一覧を分ける、または部門の責任者に回すときに、その部門の応募だけを渡す形にします。
面接を終えたら、部門の責任者の手元に残った情報も戻してもらいます。紙の面接記録なら事務所の決まった場所へ、メールで受け取った情報なら採用の担当に返したうえで、手元のメールを消してもらいます。
運営会社や本部と共有するときは、会社の境目を意識する
建物を持つ会社とホテルを運営する会社が別の場合や、ブランドを貸す会社の本部に採用の報告をする場合、応募者の情報が別の会社に渡ることがあります。同じ会社の中の本部と現場で共有するのと、別の会社に渡すのとでは、個人情報の扱いの考え方が変わる場合があります。
どこまでが同じ会社の中のやり取りで、どこからが別の会社への提供に当たるのか、提供に当たるなら応募者の同意をどう得るのかは、契約の形によって判断が分かれます。自分のホテルの形でどう扱うべきかは、運営会社の法務の担当や専門家に確かめてください。現場でできるのは、応募者の情報を誰に、どの会社に渡しているのかを一覧に書いておくことです。書いてあれば、確かめるときの材料になります。
派遣や応援の従業員がフロントに入る日
繁忙期や欠員の出た日には、派遣の従業員や、系列の他のホテルからの応援の従業員がフロントに立ちます。この人たちは、宿泊客の対応に必要な範囲でパソコンや電話を使いますが、採用には関わりません。それでも、共用の受信箱に応募の通知が届く設定のままなら、応募者の氏名や連絡先を目にします。
応募の通知を代表の受信箱から外しておけば、この問題はほとんど起きません。すぐに外せない場合は、応援の人がフロントに入る日だけでも、応募の通知を開くのは採用の担当に限ると伝えておきます。応援の人が応募者から電話を受けたときは、名前と折り返し先だけを聞き、中身には触れずに担当へ回すと決めておきます。
通話の録音と、伝言のメモ
ホテルの代表電話では、予約の行き違いを防ぐために通話を録音していることがあります。応募者が面接の日程の変更や応募の問い合わせで電話をかけてくると、その通話も同じように録音され、予約の電話と同じ期間だけ保存されます。予約の担当が録音を聞き返すときに、応募者の話が一緒に聞かれることもあります。
録音の仕組みそのものを変える必要はありませんが、応募者の通話が録音に含まれていることは、置き場所の一覧に書いておきます。電話の伝言のメモも同じです。フロントの伝言帳に「○○様、面接の件で折り返し希望、電話番号」と書くと、その帳面を開く全員が見られます。応募者からの伝言は、伝言帳ではなく、採用の担当に直接渡る形にします。
辞めた従業員の手が届かないようにする
人の入れ替わりが多いホテルでは、辞めた従業員のアクセスを外す作業を、退職の手続きの一部に組み込みます。退職の日に確かめることを一覧にしておきます。
・求人サイトやフォームの道具のIDを止めたか ・共用のIDのパスワードを変えたか ・メッセージアプリのグループから外したか ・個人のスマートフォンに残っている応募者の連絡先や写真を消してもらったか ・事務所や応募書類の棚の鍵を返してもらったか
支配人や副支配人が辞めるときは特に丁寧に確かめます。採用に深く関わっていた人ほど、個人のスマートフォンやメールに応募者の情報が残っています。
応募者の情報の中で、特に気をつけるもの
応募者の情報の中には、扱いに特に気をつけたいものがあります。ホテルの採用で出てきやすいものを挙げます。
面接の記録に、病気や体の不調のことを書かない
客室清掃や宴会の配膳の面接で、体力の話から「腰を痛めたことがある」「持病で夜勤は難しい」といった話が出ることがあります。面接官がそれを記録の用紙に書き残すと、応募者の病歴が記録に残ります。
個人情報保護法では、病歴は要配慮個人情報に含まれ、取得には原則として本人の同意が必要とされています。また、要配慮個人情報を含む個人データの漏えいなどが起きた場合には、個人情報保護委員会への報告が必要になると、個人情報保護委員会のガイドラインで説明されています。面接の記録には、「夜勤は月に2回まで可」のように、仕事に関わる結論だけを書き、理由は書かないと決めておきます。
容姿や印象の書き方
接客の仕事では、面接官が応募者の印象を記録したくなります。「笑顔がよい」「声が聞き取りやすい」のように仕事に関わる点ならまだしも、容姿や体型についての感想を書くと、それが選考の理由として残ります。記録の用紙には、あらかじめ仕事に関わる項目を並べておき、自由な感想を書く欄を広く取らないようにします。
応募者の宿泊の履歴
近隣に住む人や、ホテルを気に入って応募してくる人の中には、以前そのホテルに泊まったことのある人がいます。予約や客室を管理するシステムで名前を検索すれば、宿泊の日付や同行者の人数、要望の記録まで出てくることがあります。
宿泊の履歴は、宿泊のサービスのために預かっている情報です。応募者の人となりを知るために面接官が検索して、選考の材料にすることは、預かった目的から外れます。面接官には、応募者の名前を予約のシステムで調べないと伝えておきます。応募者が自分から「以前泊まったことがあります」と話した場合は、その話を聞くだけにとどめます。
本人以外からの問い合わせ
学生や高校生の応募では、家族から「娘が応募したはずだが、面接の日はいつか」と電話がかかってくることがあります。前の職場の人を名乗って、応募しているかを確かめようとする電話もあります。フロントの従業員が親切に答えてしまうと、本人が家族や職場に知られたくなかった応募の事実が伝わります。
応募の有無や面接の日時は、本人以外からの電話には答えないと決め、フロントの手順に書いておきます。「ご本人から直接お問い合わせください」と伝えれば、相手が本当に家族であっても失礼にはなりません。
在留カードの情報
外国籍の応募者の在留カードには、国籍、在留資格、在留期間、住居地などが載っています。選考の段階でコピーを取らず、原本で確かめた事実と日付を記録する形にしておくと、預かる情報を減らせます。確かめた記録を見られる人も、採用に関わる人に絞ります。
求人サイトや紹介会社との間で、情報がどう動くか
ホテルの採用では、求人サイトや人材の紹介会社を使うことが多く、応募者の情報はホテルの中だけでなく、こうした会社との間でも動きます。自分のホテルで決めた扱いが、外の会社の側でどうなっているかも把握しておきます。
求人サイトの管理画面には、応募者ごとにメモを書ける機能が付いていることがあります。面接官がそこに「遅刻してきた」「夜勤に消極的」といった評価を書くと、その書き込みはホテルの手元ではなく、サイトの中に残ります。サイトの中に書き込んだ内容を、ホテルがあとから消せるのか、どのくらいの期間残るのかは、サイトによって違います。評価の記録は、ホテルが自分で管理できる場所に書き、サイトの中には日程や連絡の状況だけを書く、と決めておくと、消す日の作業も一か所で済みます。
紹介会社を通した応募では、選考の結果を紹介会社に伝えます。伝えるのは結果と、紹介会社との約束で必要な範囲の理由までにします。面接で聞いた応募者の事情を細かく伝えると、それが紹介会社の記録に残り、次の紹介のときに他のホテルとのやり取りで使われることもあります。紹介会社との契約で、応募者の情報の扱いや返却、削除について決まりがあれば、その内容をホテルの置き場所の一覧に書き添えておきます。
採用が決まった人の情報は、応募の置き場所から移す
採用が決まった人の情報は、応募者の情報ではなく従業員の情報になります。応募の一覧や応募書類の棚に残したままにすると、次の募集で応募の一覧を開いた人が、すでに働いている従業員の応募時の情報を見られる状態になります。同じ職場で働く人に、自分が応募したときの希望や面接の記録を見られるのは、従業員にとって気持ちのよいものではありません。
採用が決まったら、雇用の手続きに必要な情報だけを従業員の人事の書類へ移し、応募の段階でだけ使った情報、たとえば他の部門の候補として書いたメモや、面接官どうしのやり取りは、移さずに消すかどうかを決めます。移したあとは、応募の一覧からその人の行を消すか、見られる人を人事の担当に限った場所へ動かします。
いつ消すかを決める
見られる人を絞ったら、最後に、情報をいつ消すかを決めます。採用に至らなかった人の情報をいつまで持っておくかについて、法律で一律の期間が決まっているわけではありません。ただ、個人情報保護法には、利用する必要がなくなった個人データを遅滞なく消去するよう努めることが定められています。個人情報保護委員会のガイドラインでは、本人が利用停止などを求めたときに、利用する必要がなくなったとして認められる事例の1つに、採用応募者の情報が挙げられています。
事例4)採用応募者のうち、採用に至らなかった応募者の情報について、再応募への対応等のための合理的な期間が経過した後に、本人が利用停止等を請求した場合 出典: ppc.go.jp
「再応募への対応等のための合理的な期間」がどのくらいかは、ホテルの採用の形によって変わります。季節ごとに同じ人が戻ってくるリゾートのホテルと、通年で募集している駅前のビジネスホテルでは、残しておく意味のある期間が違います。自分のホテルで、なぜその期間残すのかを説明できる長さを決め、応募の時点で示しておきます。
消す日を、閑散期に決めておく
期間を決めても、消す作業をする日が決まっていなければ、情報は残り続けます。ホテルでは、繁忙期に採用の後始末まで手が回りません。宿泊の予約が落ち着く時期に、年に数回、消す日を予定表に入れておきます。
消す日にやることは、最初に作った置き場所の一覧を上から順に確かめることです。
・求人サイトの管理画面で、期間を過ぎた応募者の情報を消せるか ・フォームの回答と通知のメールを消したか ・代表の受信箱や、担当者の受信箱に残っていないか ・紙の履歴書と面接の記録を裁断したか ・個人のスマートフォンやメッセージのグループに残っていないか
求人サイトの管理画面の情報は、ホテルの側で消せる範囲と、サイトの側で保存される範囲が、サイトによって違います。使っているサイトの説明で、応募者の情報がどう扱われるかを確かめておきます。
消した記録を残す
消す日に何を消したかを、日付と一緒に1行だけ残しておきます。消した情報の中身は書きません。あとで応募者から「私の情報はどうなっていますか」と尋ねられたときに、いつ消したかを答えられます。支配人が替わったときにも、前の支配人がどこまで消していたのかが引き継げます。記録の置き場所は、応募者の情報とは別の、採用の決まりをまとめた場所にしておきます。消す日の担当を毎回同じ人にせず、2人で確かめる形にすると、一覧の中の見落としに気づきやすくなります。
応募者から問い合わせや削除の求めがあったとき
応募者から、自分の情報をどう扱っているのか、消してほしい、と連絡が来ることがあります。ホテルでは、この連絡がフロントの電話にかかってくることが多いので、受けた従業員が慌てないように窓口を決めておきます。
フロントで受けたら、その場で答えずに、採用の担当から折り返すと伝えます。折り返す担当は、相手が本当に応募者本人かを、応募のときに受けた連絡先にかけ直すなどして確かめてから、置き場所の一覧に沿って情報の有無を調べます。消してほしいという求めに応じるかどうか、どこまで応じるかは、法律の定めや、ホテルが示していた扱いによって変わります。判断に迷う場合は、個人情報保護委員会の相談の窓口や専門家に確かめてください。
求めをしてきた応募者を、そのことを理由に不利に扱わないことも、面接官や部門の責任者に伝えておきます。
応募者の情報が漏れたかもしれないとき
ホテルの採用で起きやすいのは、面接の案内を複数の応募者に一度に送るときに、宛先を他の人に見えない形にし忘れる誤送信です。宴会の配膳の説明会の案内を、応募者全員のアドレスが並んだ状態で送ってしまう、というような場面です。他にも、面接の記録を綴じたファイルを宴会場の控室に置き忘れた、応募者の情報が入ったスマートフォンをなくした、ということも起きます。
起きたときに誰に報告し、誰が応募者に連絡するかを先に決めておきます。個人情報保護委員会への報告や本人への通知が必要になるかどうかは、漏れた情報の種類や件数などによって変わるため、個人情報保護委員会の案内を確かめ、必要なら相談してください。現場で最初にするのは、何の情報が、誰に、何件分見えてしまったかを書き出すことです。
見られる人と消す日を並べて見えてくること
置き場所の一覧に、見られる人と消す日を書き加えていくと、ホテルの採用で応募者の情報がどう流れているかが1枚で見えるようになります。見られる人が一番多いのは代表の受信箱なのか、メッセージのグループなのか。消す日に一番時間がかかるのは紙なのか、個人のスマートフォンなのか。一覧が埋まるほど、次に閉じる入り口がはっきりします。
Googleフォームで応募を受けて、回答のスプレッドシートを採用に関わる人と共有しているホテルもあります。共有する相手をきちんと絞っていれば、それで回ります。共有の範囲や、回答の消し方がどういう使い方で足り、どこから手作業が増えるのかは、Googleフォームとの比較で整理しています。Microsoft 365の中で権限を管理している会社ならMicrosoft Formsとの比較が、WordPressのサイトから通知のメールで受けているならContact Form 7との比較が判断の材料になります。
届いた応募を採用に関わる人だけの画面で扱い、担当や段階を持たせて返信まで進める流れは、採用の応募受付で紹介しています。人ごとに見られる範囲を分けられるか、届いた回答をどう消せるかといった範囲はできることに、画面の動きは動くところを見るにあります。使う人数による費用は料金で、データの保管や削除についての疑問はよくある質問で確かめられます。
まずは、応募者の情報の置き場所を一覧に書き出し、見られる人が一番多い場所を1つ選んでください。そこを閉じるだけで、見られる人の数は大きく変わります。人ごとのIDや、消す作業の記録を手作業で追いきれなくなってきたら、送信されたあとの道具がそろっているかどうかを、道具を見直すときの基準にしてください。
Q1. 不採用になった応募者の情報は、すぐに消さなければいけませんか?
一律に何日以内と決まっているわけではありませんが、個人情報保護法では、利用する必要がなくなった個人データは遅滞なく消去するよう努めることが定められています。再応募への対応など、残す理由と期間をホテルとして決め、応募の時点で示しておきます。季節ごとに同じ人が戻るリゾートと、通年募集のホテルでは、適した期間が変わります。
Q2. 求人サイトのIDを支配人とフロントで共用しています。問題はありますか?
誰がいつ応募者の情報を見たのか、誰が連絡したのかが分からなくなり、IDを知っている人が辞めてもパスワードを変えない限り入れる状態が続きます。人ごとにIDを分けられるなら採用に関わる人の分だけ作り、分けられない場合は知っている人を最小限にして、その人が辞めるたびにパスワードを変えると決めておきます。
Q3. 運営会社の本部に応募者の情報を送ってもよいですか?
同じ会社の中の本部なのか、別の会社なのかで考え方が変わる場合があります。建物を持つ会社とホテルを運営する会社が別の形など、会社の境目をまたぐ場合は、応募者の同意の取り方も含めて、運営会社の法務の担当や専門家に確かめてください。現場では、誰にどの会社へ情報を渡しているかを一覧に残しておくと、確かめるときの材料になります。
Q4. 面接で応募者が持病の話をしました。記録に残してよいですか?
病歴は個人情報保護法の要配慮個人情報に含まれ、取得には原則として本人の同意が必要とされています。面接の記録には「夜勤は月に2回まで可」のように仕事に関わる結論だけを書き、理由や病気の内容は書かないと決めておくのが安全です。面接官が複数いるホテルでは、記録の用紙にこの決まりを書いておきます。
