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Microsoft Formsを匿名で受け付ける|誰が答えたか分からない前提で回す

2026年10月8日 ・ Halict編集部

Microsoft Formsを匿名で受け付けたいとき、設定のどこを触れば匿名になるのかが分かりにくく、設定したつもりで名前が残っていた事例も出ます。しかも匿名にすると、集めたあとの動かし方そのものが変わります。この記事では、匿名で受け付ける条件を設定の組み合わせから整理し、公式が挙げている匿名の意図が崩れる場面、匿名でも残る手がかり、そして匿名で集めたあとの運用で先に決めておくことまでを順に見ていきます。

匿名になる条件は、2つの設定の組み合わせで決まる

匿名かどうかは、1つのスイッチで決まりません。公式の手引きによると、設定の画面にあるこのフォームに入力できるユーザーの選択と、名前を記録のチェックの組み合わせで決まります。

入力できるユーザーの選択は3つあります。1つ目は誰でも回答可能で、組織の内外のすべての人がフォームやテストへの回答を送信できます。この場合、応答は名前が記録されずに自動的に届きます。つまりこの選択にすれば、それだけで名前は残りません。

2つ目は組織内のユーザーのみが回答可能で、組織に所属する人だけが答えられます。この選択では、名前を記録のチェックボックスが出ます。このチェックを外すと、応答で名前が記録されません。

3つ目は組織内の特定のユーザーが回答可能で、指定した人やグループだけが答えられます。この選択でも名前を記録のチェックボックスがあり、外せば名前が記録されません。

つまり匿名で集める道は2通りです。組織の外にも開いて集める形にするか、組織内に絞ったうえで名前を記録のチェックを外す形にするかです。前者は誰でも答えられる代わりに、答えた人が組織の内の人かどうかも分かりません。後者は答えられる人を絞ったまま名前を残さない形で、社内の意見を集めるときに使われます。

この2つを混同すると、想定していない相手から回答が届きます。社内向けの意識調査で誰でも回答可能を選ぶと、リンクが外に出た時点で誰でも答えられます。社内に絞りたいなら、組織内に限定したうえで名前を記録のチェックを外す形を選びます。

匿名にする設定の手順

手順そのものは短く、3つの操作で終わります。

1つ目は、回答の収集時に名前を記録したくないフォームを開き、上部のアクションバーの設定を選ぶことです。

2つ目は、設定のウィンドウのこのフォームに入力できるユーザーで、前の節に挙げた3つのうち1つを選ぶことです。

3つ目は、組織内に絞る選択をした場合、名前を記録のチェックボックスをオフにすることです。オフにすれば、応答で名前が記録されません。

準備ができたら、フォームを送信して回答を集められます。

ここで飛ばしてはいけない工程が1つあります。自分で1件送って、届いた1件に名前が残っていないかを確かめることです。設定した本人が見た画面と、実際に届く回答の中身が一致しているかを目で確かめます。この確認を飛ばすと、設定したつもりで名前が残っている状態のまま募集を始めることになります。匿名を約束して集めた回答に名前が残っていた場合、影響は大きくなります。

もう1つ、募集を始めてから設定を切り替えるのは避けます。切り替える操作自体はできますが、切り替えの前に届いた回答と後に届いた回答で残っている情報が変わります。前半には名前があり後半には無い表になり、後から扱いにくくなります。匿名にするかどうかは、設問を書く前の一番最初に決めます。

使っているアカウントの種類で、選べる設定が変わる

公式の手引きには、アカウントの種類によって設定の出方が変わる点が明記されています。ここを知らないと、手引きどおりの画面が出ないことに戸惑います。

Microsoft 365の職場または学校のアカウントを持っている場合、名前を記録の設定が使えます。オフにすれば、回答と一緒に名前は記録されません。オンにすると、フォームは個人を特定できる情報を含む回答を収集します。つまり職場や学校のアカウントでは、匿名にするか記名にするかを自分で選べます。

一方、Microsoftアカウント、つまりHotmailやLiveやOutlook.comのアドレスで使っている場合は、名前を記録の設定そのものが使えません。この場合、フォームは自動的に名前が記録されない回答を収集する形になります。

この違いは実務でそのまま効きます。個人のアカウントでフォームを作った場合、記名で集めたくても設定では記名にできません。名前が必要なら、設問として氏名やメールアドレスを聞く形にします。

逆に、職場のアカウントで作ったフォームでは、初期の状態で名前が記録される設定になっていることがあります。匿名で集めるつもりなら、募集の前に必ず設定を確かめます。「初期の状態は匿名だろう」という思い込みで進めると、名前が残った状態で集まります。

設定の出方は使っている環境によって変わるため、手引きの画面と自分の画面が違う場合は、環境の違いを疑います。そのうえで、自分で1件送って確かめるのが一番早い確認になります。匿名の扱いを含めた設定の違いは、Microsoft Formsとの比較に、受け付けたあとの処理まで含めて整理しています。

公式が挙げる、匿名の意図が崩れる3つの場面

ここが一番大事な節です。名前を記録の設定をオフにしても、匿名にならない場面があります。公式の手引きは、網羅ではないと前置きしたうえで3つの例を挙げています。

フォームを作成し、[ 名前を記録 する] 設定のチェックを外すと、フォームの回答者から個人を特定できる情報を含まない回答を収集することを目的としています。このリストはすべてを網羅しているわけではありませんが、[ レコード名 ] 設定のチェックがオフであっても、個人を特定できる情報を記録しない意図を無効にする可能性のあるさまざまなシナリオの例を次に示します。 出典: support.microsoft.com

1つ目は、設問そのものが個人を特定できる情報を求めている場合です。1つ以上の設問で名前などの個人を特定できる情報を求め、回答者がそれを提供すると、名前が記録されます。設定で名前を残さないようにしていても、設問に「お名前」という欄があれば、そこに書かれた名前は残ります。当たり前に見えますが、実際にはよく起きます。過去に使ったフォームを複製して匿名の設定に変えたとき、氏名の設問がそのまま残っている形です。

2つ目は、少人数に配った場合です。フォームを組織内の少数の特定の人にだけ送る場合、設問の内容と答え方に応じて、その人たちと回答を一致させられる場合があります。5人のチームに匿名のアンケートを配れば、書き方や言葉の選び方で誰の回答かが分かります。件数が少ない匿名は、実質的に匿名になりません。

3つ目は、時刻から推定できる場合です。異なる時間帯に住んでいる人にフォームを送る場合、回答が送信されたタイムスタンプ、つまり開始の時刻や完了の時刻に応じて、その人たちと回答を一致させられる場合があります。海外の拠点を含むアンケートでは、送信された時刻が手がかりになります。

この3つを踏まえると、匿名という言葉を回答者に約束する前に確かめることが決まります。氏名を聞く設問が残っていないか、配る相手が特定できてしまう人数でないか、時刻から推定できる構成でないか。この3つを確かめてから「匿名です」と案内します。

匿名でも回答者IDは残る

匿名で集めても、1件ずつを区別する手がかりは残ります。回答者IDです。

公式の手引きでは、回答者IDは各回答専用のもので、回答をエクスポートしてExcelで開くとブックの最初の列に表示されるとされています。さらに、関連付けられた識別番号で個々の回答を検索すると、回答が匿名で収集される場合に特に役立つと明記されています。

つまり匿名で集めても、この回答は何番の回答という形で指すことはできます。使い道は2つあります。

1つ目は、匿名のまま個別の話をする道です。回答者に「あなたの回答の番号を教えてください」と伝えられる形にしておけば、本人が番号を伝えてきたときに、その1件を開いて話ができます。匿名で集めた意見に対して、本人の意思で名乗り出る道を残せます。

2つ目は、社内で件を指すときに氏名を使わない道です。記名で集めている場合でも、会議や作業のメモで番号だけを使えば、氏名を残さずに済みます。

ただし、この番号を件数の数え方に使うのは避けます。番号は連番として保証されているものではなく、回答を削除すると抜けます。番号を見て何件目かを判断すると、実際の件数とずれます。番号は1件を指す目的だけに使います。

回答者IDを答えた本人に伝える仕組みについては、公開されている資料に記載が見当たりませんでした。答えた人が自分の番号を知る道が確かめられないため、2つ目の使い道は主に受け付ける側の内部での使い方になります。回答者と番号でやり取りしたい場合は、設問として受付番号を書いてもらう形を別に用意します。

1人が1回だけ答えられるようにする設定との関係

公式の手引きでは、名前を記録の欄で1人1つの回答をチェックすると、フォームやクイズの回答を1人1つに制限できるとされています。これにより、同じ人が複数回記入することを防げます。

この設定は便利ですが、匿名との関係で1つ考えておくことがあります。1人1回に制限するということは、誰が答えたかを仕組みの側が判別しているという意味です。回答の一覧に名前が出ないとしても、重複を防ぐ仕組みが働いていることは回答者に伝わります。

回答者の側から見ると、「1回しか答えられないなら、誰が答えたかは分かっているのではないか」という疑いが出ます。匿名を約束したアンケートでこの疑いが出ると、正直な回答が集まりません。

対策は、案内文に書き分けることです。「回答の一覧に氏名は残りません」と書くのと、「誰が答えたか一切分かりません」と書くのは意味が違います。前者は確かめられる事実で、後者は言い切れません。書けるところまでしか書かない形にすると、後から問い合わせが来ても説明できます。

制限を入れるかどうかの判断は、集める目的で決めます。全員から1回ずつ集めたい意識調査なら、制限を入れる価値があります。意見を広く募りたい箱のような使い方なら、制限は要りません。1人が2回書いても、意見の数が増えるだけです。

制限を入れた場合、間違えて送った人がやり直せなくなります。やり直したい人が出る前提で、連絡先を案内文に1行書いておきます。書いていないと、本人が困ったまま放置され、誤った回答が1件混ざります。

匿名にしたあと、表ではどう見えるか

集めた回答を表計算ソフトに書き出したとき、匿名かどうかで見える情報が変わります。

公式の手引きでは、書き出したブックの最初の5つの列に、回答者ID、各回答の開始の時刻、完了の時刻、回答者の名前、メールアドレスが入るとされています。そして、フォームで匿名の回答を受け付けるようにした場合、名前とメールアドレスは表示されません。

つまり4列目と5列目が空になります。残るのは番号と2つの時刻です。6列目から先が、その回答者の選んだ内容です。

ここで実務の判断が1つ出ます。開始と完了の時刻は残るという点です。前の節に書いたとおり、公式の手引きはこの時刻から個人を推定できる場合があると認めています。匿名で集めた回答を社内で共有するとき、この2列を残したまま渡すかどうかを決めておきます。推定される心配があるなら、共有用のファイルからは時刻の列を外します。

自由記述の内容にも注意が要ります。匿名の設定になっていても、書かれた文章の中に所属や担当している業務が書かれていれば、読んだ人には誰なのか分かります。社内で共有する前に、自由記述を読んで、特定できる記述が含まれていないかを確かめます。含まれている場合は、その部分を外すか、共有する範囲を絞ります。

この確かめ方を決めておかないと、匿名を約束して集めた回答が、実質的に誰の発言か分かる形で社内に回ります。信用の問題になるため、共有する前の1工程として決まりにしておく価値があります。

匿名で集めると失うもの

匿名の利点は明らかで、名前が出ると書けないことを書いてもらえる点です。職場の環境、上司への評価、研修の率直な感想。名前が残る前提だと出てこない内容が出ます。答えた人数も増えます。

代わりに失うものが3つあります。

1つ目は、返事ができなくなることです。困っている内容が書かれていても、誰なのか分からないので個別に対応できません。「相談したい」と書かれた回答に対して、こちらから声をかけられません。

2つ目は、追加で確かめられなくなることです。書かれた内容の意味が分からないとき、確かめる相手がいません。「あの件がひどい」と書かれていても、どの件なのかを聞けません。改善につなげたい内容ほど、この壁に当たります。

3つ目は、答えていない人が分からなくなることです。全員から集めたいアンケートで匿名にすると、誰に催促すればよいのかが出せません。催促を出すなら全員に出すことになり、すでに答えた人が「届いていないのか」と不安になって二重に答えます。

この3つは工夫で埋められません。返事が必要なら記名にする、確かめる必要があるなら記名にする。そう決めるほうが早いです。匿名にしたうえで返事もしたいなら、匿名のアンケートとは別に、記名の相談の窓口を用意する形になります。

自由記述に「連絡してほしい方は氏名とアドレスをご記入ください」という任意の設問を1つ置く形もあります。ただしこれを置くと、書いた人は記名になります。設問の説明に「ここに書くと氏名が記録されます」と明示しておかないと、匿名だと思って書いた人が後から驚きます。

匿名のアンケートで回答が集まらない理由

匿名にすれば率直な回答が集まる、とは限りません。匿名でも集まらないアンケートがあり、原因は3つに分かれます。

1つ目は、匿名だと信じられていないことです。案内に「匿名です」と書いてあっても、回答者はそれを確かめられません。前に別のアンケートで匿名と言われたのに個別に呼び出された経験があれば、次からは書きません。信じてもらうには、確かめられる事実だけを書くことが効きます。「回答の一覧に氏名は残りません」と書き、そのうえで「集計した結果を共有する範囲」も書きます。どこまで誰が見るのかが書かれていると、判断ができます。

2つ目は、答えても何も変わらないと思われていることです。前の回のアンケートの結果が何にも使われなかった場合、次の回の回答は減ります。集めた結果をどう使ったのかを、必ず回答者に戻します。全部の項目に対応できなくても、対応できなかった理由を書けば次につながります。

3つ目は、設問が答えにくいことです。匿名にしても、設問が「改善すべき点を自由に書いてください」だけだと、何を書けばよいのか分かりません。書く負担が大きい設問は、匿名でも空欄になります。選択式で場面を絞ったうえで、自由記述を1問だけ添える形にすると、書かれる量が増えます。

この3つは、設定を変えれば直るものではありません。匿名にすることは手段の1つで、それだけで率直な回答が出るわけではない、という前提で組み立てます。

匿名と記名を1つの受付で混ぜない

同じ窓口で、匿名の回答と記名の回答を混ぜて受け付ける形は避けます。理由は3つあります。

1つ目は、集計の分母が分からなくなることです。匿名の回答と記名の回答が混ざった表では、同じ人が両方で答えているかどうかを判定できません。件数を数えても、実際に何人の意見なのかが出ません。

2つ目は、扱いの決まりが2つ要ることです。記名の回答には返事をし、匿名の回答には返事をしない。同じ一覧の中で扱いが分かれると、返事の漏れと二重の返事が同時に起きます。担当が変わったときに引き継ぐ内容も複雑になります。

3つ目は、回答者への説明が難しくなることです。「連絡先を書いた方には返信します」と案内すると、書かなかった人は返事が来ないことを納得します。ところが同じアンケートで「全員の意見を検討します」とも書くと、返事が来ないことへの不満が出ます。

分けるなら、窓口を2つにします。率直な意見を集める匿名のアンケートと、個別の相談を受ける記名の窓口です。案内文もそれぞれに用意し、どちらを使えばよいかを1行で示します。窓口が2つあることを面倒に感じるかもしれませんが、扱いの決まりが1つずつになるため、運用はむしろ軽くなります。

すでに1つの窓口で混ざっている場合は、次の回から分けます。過去の分を遡って分けようとすると、匿名の回答に後から名前を当てる作業になり、集めたときの約束を破ることになります。

匿名にする場面と、記名で受けるべき場面

判断の基準は1つで、受け付けたあとに個別の相手へ連絡するかどうかです。

匿名が向くのは、集計して傾向を掴むものです。職場の環境についての意識調査、研修の満足度、社内の制度についての意見の募集。1件ごとに返事をしない前提のものが対象です。名前が残らないことで、内容の率直さが上がります。

記名でなければ回らないのは、相手に返すものです。問い合わせの受付、申し込みの受付、応募の受付、修理やサポートの依頼。どれも受け付けた後に個別の返事が発生します。匿名では返せないので、設定でも設問でも、連絡先が残る形にします。

判断に迷うのは、その中間にある通報や相談の窓口です。匿名でなければ言えない内容を扱う一方、内容によっては本人に確かめる必要が出ます。この場合は、匿名で受け付けたうえで、本人が名乗り出られる道を用意する形が現実的です。回答者IDを使って本人から連絡してもらう道か、任意の連絡先の欄を置く道です。

修理やサポートの依頼を受け付けるなら、匿名は選べません。相手の状況を確かめ、対応の進み方を伝える必要があるためです。この型の詰まりどころは修理・サポートの受付に整理しています。問い合わせ全般の型は問い合わせの受付で扱っています。

記名で受けるなら、必要になるのは3つ

記名で受け付けると決めた場合、次に問題になるのは受け付けたあとの作業です。1件ごとに人が読んで、判断して、返事を書く工程が加わります。

必要になるのは3つです。担当、状況、返信の履歴です。誰がこの件を見るのか、いまどの段階か、いつ何を返したか。この3つが記録されていないと、同じ件に2人が返事をしたり、どちらも手を付けないまま残ったりします。

回答の一覧には、この3つの列がありません。多くの現場では、書き出した表に担当の列と状況の列を足し、共有の場所に置いて各自が更新する形で補います。件数が少ないうちは回ります。現場では100件を超えたあたりで表の更新が追いつかなくなると言われています。原因は機能ではなく運用で、誰かが更新を忘れた時点から表が現実と合わなくなるためです。

もう1つの詰まりは、返信の履歴が別の場所にあることです。回答は回答の一覧に、返信はメールの送信済みに残ります。どの回答にどんな返事をしたかを知るには、2つを頭の中で突き合わせます。担当が変わったとき、引き継ぎがここで止まります。

この3つを道具の側で持たせる形を選ぶと、列の設計と運用の決まりを自分で作らずに済みます。送信されたあとの道具がそろっているかどうかを、道具を選ぶときの基準に入れておくと、件数が増えた段で困りません。実際の画面はできることと動くところを見るで確かめられます。別の道具と比べたい場合はGoogleフォームとの比較も同じ観点で整理しています。

匿名で集めた結果を報告に載せるときの形

匿名で集めた結果は、報告の書き方で扱いが変わります。書き方を決めておかないと、匿名で集めた意味が報告の段で消えます。

最初に書くのは分母です。何人に配って何人が答えたのかを書きます。40人に配って28人が答えたなら、そのまま書きます。割合だけの報告では、7割という数字が28人中20人なのか4人中3人なのか分かりません。匿名のアンケートは件数が少なくなりがちなので、分母を出す意味が大きくなります。

次に決めるのは、自由記述の引き方です。書かれた文章をそのまま貼ると、書き方の癖から誰の発言か推定されます。要点を読み取って数行にまとめ、根拠として引く場合は言い回しを残さない形にします。引かずにまとめるだけで足りる場面が多く、そのほうが匿名の約束を守れます。

3つ目は、少人数の集団に分けて出さないことです。所属ごとの集計を出すと、3人の部署の数字は誰の回答かが分かります。分けて出すのは、一定の人数以上の集団に限ります。人数の下限を先に決めておくと、報告を作るときに迷いません。

4つ目は、報告を見せる範囲です。匿名で集めたことを案内に書いたなら、その回答が誰にどこまで見えるのかも合わせて書いておきます。後から範囲を広げると、集めたときの約束と食い違います。範囲を広げる必要が出た場合は、広げる前に回答者に伝えます。

匿名のアンケートは、集める段より報告する段のほうが扱いが難しくなります。集める前に報告の形まで決めておくと、後から悩まずに済みます。

匿名で集めるなら、先に決めておく5つのこと

最後に、匿名のアンケートを配る前に決めておくとよいことを整理します。

1つ目は、案内文に書く言葉です。「氏名は記録されません」のように、確かめられる事実だけを書きます。「誰が答えたか一切分かりません」は言い切れないので書きません。公式の手引きが挙げているとおり、少人数への配布や時刻から推定できる場合があるためです。

2つ目は、氏名を聞く設問が残っていないかの確認です。過去のフォームを複製して使う場合は、必ず全部の設問を読み直します。匿名の設定にしても、設問で聞いた名前は残ります。

3つ目は、集めた回答を誰に見せるかです。自由記述の内容から個人が推定できる場合があるため、社内で回す範囲を先に決めます。共有する前に自由記述を読んで確かめる工程も決めておきます。

4つ目は、時刻の列を共有するかどうかです。書き出した表には開始と完了の時刻が残ります。推定される心配がある構成なら、共有用のファイルからは外します。

5つ目は、保管する期間です。匿名だから何年でも置いておいてよい、とはなりません。集めた目的が終わったら消す時期を決めておきます。個人情報の扱いは法律の解釈が関わるため、判断に迷う場合は所管の窓口や専門家に確かめてください。

この5つを決めてから配ると、集めた後に困りません。費用の目安は料金、細かい疑問はよくある質問で確かめられます。

Q1. 名前を記録の設定をオフにすれば、完全に匿名になりますか?

なりません。公式の手引きは、設定をオフにしても匿名の意図が崩れる場面を3つ挙げています。設問で氏名を聞いている場合、少人数の特定の相手にだけ配った場合、時間帯の違う相手に配って送信の時刻から推定できる場合です。案内文には「氏名は記録されません」のように、確かめられる範囲だけを書いてください。

Q2. 個人のMicrosoftアカウントでは記名で集められませんか?

HotmailやLiveやOutlook.comのアドレスで使っている場合、名前を記録の設定そのものが使えず、自動的に名前が記録されない形になります。記名で集めたい場合は、設問として氏名やメールアドレスを聞く形にしてください。設定で自動的に付く情報に頼らず、設問で聞くほうが確実です。

Q3. 匿名で集めた回答の中から、特定の1件を指すことはできますか?

できます。回答者IDが各回答に専用で割り当てられ、書き出したブックの最初の列に入ります。公式の手引きでも、この番号での検索は匿名で収集する場合に特に役立つとされています。ただし番号は連番として保証されていないため、件数を数える目的には使わず、1件を指す目的だけに使ってください。

Q4. 1人1回に制限すると、匿名ではなくなりますか?

回答の一覧に氏名が出るわけではありませんが、重複を防ぐ仕組みが働いていることは回答者に伝わります。そのため「誰が答えたか一切分かりません」とは書けません。案内文では「回答の一覧に氏名は残りません」のように、確かめられる事実だけを書き分けてください。

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