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行政手続をオンラインにする|窓口の受付から見た進め方

2026年10月6日 ・ Halict編集部

行政手続のオンライン化は、申請を受け取る入口を作るところまでが分かりやすく、その先が分かりにくい仕事です。受け取ったあと、誰が審査し、不備をどう伝え、通知をどう返すのか。ここが決まっていないと、紙の窓口とオンラインの窓口を二重に回すことになります。この記事では、国が示している範囲と予定を確かめたうえで、受け付けた後を回す設計までを順に整理します。

国が進めている範囲を確かめる

まず、どこまでが国の方針として決まっているのかを確かめます。

「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(2025年6月13日閣議決定)に基づき、自治体の行政手続効率化と国民の利便性向上を関係府省庁と連携して行政手続のオンライン化を推進します。 出典: digital.go.jp

方針の根拠は、この重点計画です。2025年6月13日に閣議決定されたもので、自治体の手続きの効率化と、住民の利便性の向上の両方を目的に掲げています。効率化と利便性が並んでいる点が重要です。オンライン化が住民にとって便利になるだけでなく、窓口の業務が軽くなることまでを含めて設計するという考え方です。

対象になる手続きの範囲としては、子育てに関する手続きと介護に関する手続きが具体例として挙げられています。保育施設等の利用申込や、要介護と要支援の認定申請などです。オンライン化によって住民の利便性の向上や業務の効率化の効果が高いと考えられる手続きが優先されています。

そして、優先して進めるべき手続きの塊として「56手続」という括りがあります。

オンライン化を実施する行政手続の一覧等(PDF/876KB)に記載の「V. 地方公共団体が優先的にオンライン化を推進すべき手続」(以下、「56手続」という)のうち、「処理件数が多く、オンライン化の推進による住民等の利便性の向上や業務の効率化効果が高いと考えられる手続」に関して、以下の活用事例をご覧ください。活用事例は、マイナポータルの「ぴったりサービス」等を活用して、オンライン・デジタル化を推進する市区町村へのヒアリングを実施し、とりまとめました。 出典: digital.go.jp

56手続という括りを知っておくと、自分の担当している手続きがどの位置にあるかが分かります。この中に入っている手続きなら、国が示す様式や活用事例を参照できます。入っていない手続きは、自前で設計することになります。この違いが、進め方の分かれ道になります。

マイナンバーカードの普及状況と、前提になっている仕組み

オンライン化の設計は、本人確認の手段によって大きく変わります。国の方針は、マイナンバーカードを前提にしています。

今後、「住民の利便性の向上」や「行政運営の簡素化・効率化」などオンラインで申請可能な手続の拡大や、国民の約8割(※2025年12月末時点)が保有するマイナンバーカードのメリット拡大を目指します。 出典: digital.go.jp

2025年12月末時点で国民の約8割が保有しているという数字が示されています。8割という数字は、設計の判断に直接効きます。カードを前提にした手続きは、残りの2割が使えないということです。

この2割をどう扱うかで、設計が3通りに分かれます。1つ目は、オンラインをカード保有者だけの経路にして、紙の窓口を残す形です。二重運用になりますが、確実です。2つ目は、本人確認の強度が低くても構わない手続きに限って、カードを使わない経路を用意する形です。3つ目は、カードを持っていない人向けに、窓口での代理入力を用意する形です。

どれを選ぶかは、手続きの性質で決まります。金銭の給付や、権利の得喪に関わる手続きは、本人確認を弱められません。逆に、イベントの申込、研修や講習の申込、粗大ごみの収集の申込のような手続きは、本人確認の強度がそれほど要りません。実際に、粗大ごみ収集の申込と、研修や講習や各種イベント等の申込については、活用事例が公開されています。

この2つが事例として出ているのは偶然ではありません。処理件数が多く、本人確認の要求が強くなく、判定の基準が単純だからです。オンライン化を始める順番としては、この性質を持つ手続きから入るのが無理がありません。

ぴったりサービスの位置づけと、独自様式の扱い

自治体の手続きをオンラインにする方法として、国が用意しているのがマイナポータルの「ぴったりサービス」です。

この仕組みの利点は、住民側の入口が全国で統一されることです。住民はマイナポータルから自分の住んでいる自治体の手続きを探して申請します。自治体ごとに別のサイトを探す必要がありません。国が用意した様式を使う手続きであれば、様式の設計を自前でする必要もありません。

一方で、自治体ごとに独自の項目が必要な手続きも多くあります。そのために独自様式を登録する手順が用意されており、登録手順の簡易版が公開されています。機能の概要と、独自様式を使う場合の手続きの登録手順を市区町村へ展開することで、さらなるオンライン化を進める方針が示されています。

窓口の担当者から見た実務的な論点は、独自様式をどこまで作り込むかです。項目を増やせば審査に必要な情報がそろいますが、住民が入力をやめる確率が上がります。減らせば入力は楽ですが、あとから電話や郵便で聞き直すことになります。

この判断の基準は、いまの紙の申請で聞き直している項目を数えることです。紙で受けていて、毎回のように追加で確認している項目は、オンラインの様式に入れます。紙にあるが一度も使っていない項目は、外す候補になります。ただし、利用者に見える仕様を勝手に変えるのは順序が逆になります。項目を外す判断は、その項目を根拠として使っている担当と相談してから決めてください。

もう1つの論点は、添付書類です。紙の申請では原本の提出を求めているものが、オンラインでは画像になります。画像で足りるのかどうかは手続きごとに違うので、様式を作る前にここを確かめます。画像で足りない書類が1つでもあると、その手続きはオンラインだけでは完結しません。完結しない手続きを「オンライン化した」と案内すると、住民が二度手間になります。

進行中の取り組みと、今後の予定

すでに動いている取り組みと、これからの予定も押さえておきます。

災害時の手続きについては、罹災証明書の発行申請のオンライン化が進んでいます。デジタル庁が総務省と連携してマイナポータルの整備を進めた結果、罹災証明書の発行申請については、2023年3月末時点で1,002の自治体においてオンラインで可能になっています。住民にとっては被災した状況で窓口へ行く必要がなくなり、自治体にとっては窓口での受付に職員を割かずに緊急の対応へ人を集められるという効果が挙げられています。

そして、次の段階として次期オンライン申請サービスの実証事業が進んでいます。実現したいこととして3つが挙げられています。住所や氏名、家族の情報を一度登録すれば申請のたびに何度も入力しなくてよくすること。自治体などが持っている情報を申請の様式に転記して、住民の入力の負担と職員の審査の負担を減らすこと。申請内容の補正の連絡や通知書のオンラインでの送付によって、手続きがオンラインで完結することを目指すこと。

予定としては、2025年4月から一部の自治体で先行実証が始まり、2026年9月以降に本格運用が始まるとされています。先行実証の対象は2026年7月31日時点で公開されており、横須賀市、裾野市、熊本市、菊池市、日出町、都城市が参加しています。対象になっている手続きは、出生連絡票、上下水道の使用開始の届出、出産育児一時金申請、重度心身障がい者医療費受給資格認定申請、出生届、児童手当の認定請求、乳幼児医療費の助成、国民健康保険の加入届と脱退届です。

この3つの狙いのうち、窓口の業務に直接効くのは2つ目と3つ目です。転記によって審査の負担が減ること、そして補正の連絡と通知書の送付がオンラインで完結すること。とくに3つ目は、いま多くの窓口が紙と電話で回している部分です。補正の連絡を電話で行っている限り、オンライン化の効果は入口の部分だけに留まります。

受け付けた後が設計されていないと、二重の作業になる

ここからが、窓口の担当者にとっていちばん重要な部分です。

申請の入口をオンラインにしても、受け付けた後の作業が変わらなければ、業務は軽くなりません。むしろ増えます。理由は単純で、オンラインで届いた申請を紙に印刷して、既存の流れに乗せる運用になるからです。この形では、紙の申請とオンラインの申請の2つの入口を管理することになり、作業量は増えます。

受け付けた後に必要になるのは4つです。1つ目は、誰が審査するのかを1件ごとに決めることです。2つ目は、いまどの段階にあるのかを1件ごとに持つことです。3つ目は、不備の連絡をした記録を残すことです。4つ目は、結果を返した記録を残すことです。

この4つのうち、紙の運用でも記録が残っているのは4つ目だけです。残りの3つは、担当者の頭の中と、机の上の書類の位置に入っています。オンラインにすると書類の物理的な位置がなくなるので、この3つを明示的に持たせる必要があります。持たせていないと、申請がどこにあるか誰も分からない状態になります。

よく起きる具体的な症状は3つです。同じ申請に2人が着手する。不備の連絡をしたかどうかが分からず、二重に連絡する。返信したかどうかが表に残らないため、返し忘れる。どれも人の注意力の問題ではなく、記録の残らない形の問題です。

締め切りがある手続きでは、この症状が集中して現れます。締め切りの直前に件数が集まり、そのまま審査の順番待ちになります。受け付けた順番と、審査の進み具合を別々に追える形にしておかないと、先に届いた申請が後回しになります。順番の記録がないと、問い合わせが来たときに「確認します」と言うしかありません。

独自の手続きをオンラインにする手順

国の様式がない独自の手続きを進めるときの順序を、具体的に整理します。

最初にやるのは、いまの紙の申請書を1枚並べて、項目ごとに使い道を書き出すことです。この項目は何の判定に使っているのか、判定に使っていないならなぜ聞いているのか。この作業で、たいてい3分の1の項目が「以前から聞いているが使っていない」ことが分かります。

次に、判定の基準を書き出します。どの条件を満たせば受理できるのか、どの場合に追加の書類が必要なのか。基準が書き出せない手続きは、オンラインにしても審査の負担が減りません。基準が担当者の経験の中にある状態では、誰が審査しても同じ結果にはなりません。

3つ目に、不備のパターンを数えます。過去3か月の申請で、不備として連絡した内容を並べます。同じ不備が繰り返し出ているなら、それは入力の段階で防げます。必須の指定、入力形式の制限、説明文の追加。入口で防げる不備は、審査の工程から消えます。

4つ目に、通知の文面を先に作ります。受理の通知、不備の連絡、却下の通知。この3つの文面を先に作っておくと、様式の設計に必要な項目が見えます。通知に書く内容が申請の項目にないなら、項目が足りません。

5つ目に、小さく始めます。1つの手続きを選び、紙と並行してオンラインを開けます。並行期間は3か月程度を見込み、その間に届いた件数と、不備の件数と、審査にかかった時間を記録します。記録がないと、紙をやめてよいかどうかの判断ができません。

この5つの順序で進めると、入口を作る作業は最後になります。逆の順序で進めると、入口はできたが受け付けた後が回らない状態になります。

オンライン化のメリットを、住民側と職員側に分けて整理する

効果を説明するときに、住民側と職員側を混ぜて語ると議論が噛み合いません。分けて整理します。

住民側のメリットは3つです。1つ目は、窓口へ行かなくてよいことです。罹災証明書の例では、被災した状況で市役所を訪問する必要がなくなり、待たずに自宅から申請できるという効果が挙げられています。平常時の手続きでも、開庁時間に合わせて仕事を休む必要がなくなります。2つ目は、待ち時間がなくなることです。窓口の混雑は、手続きの内容とは無関係に発生します。3つ目は、記録が本人の手元に残ることです。何を申請したかが自分で確かめられます。

職員側のメリットも3つです。1つ目は、受付の作業が減ることです。罹災証明書の例では、窓口での申請受付に職員が不要となり、緊急の対応に職員を集められるという効果が示されています。2つ目は、転記の作業が減ることです。紙で届いた内容を業務のシステムへ打ち込む作業は、量が多く、間違いも起きます。オンラインで届いた内容がそのまま使えれば、この工程が消えます。3つ目は、不備が減ることです。入口で必須の指定や形式の制限をかけられるので、そもそも不備のある申請が届きません。

この6つのうち、立ち上げの段階で実感できるのは住民側の1つ目と2つ目だけです。職員側の効果は、受け付けた後の設計を直してから出てきます。順序を知らずに始めると、初年度に「オンラインにしたのに業務が増えた」という評価になり、次の手続きへ進めなくなります。

説明の順序としては、住民側の効果を先に出し、職員側の効果は受け付けた後の設計とセットで語るのが無理がありません。効率化を先に約束すると、入口だけを作った段階で達成できていないことになります。

よくある失敗4つと、その直し方

進めるときに起きる失敗は、形が決まっています。

失敗1は、紙の様式をそのまま画面に写すことです。紙は1枚に収める制約があるので、項目が詰まっています。画面には制約がないので、そのまま写すと1画面に項目が並び、どこから入力すればよいのか分かりません。直し方は、入力の手順で区切ることです。本人の情報、申請の内容、添付書類の3つの画面に分けると、途中でやめる人が減ります。

失敗2は、任意と必須の区別を曖昧にすることです。紙では空欄のまま出せた項目が、画面では必須になっていることがあります。逆に、審査に必ず必要な項目が任意になっていることもあります。直し方は、紙で空欄のまま受理した実例があるかどうかで判断することです。空欄で受理した実例があるなら、任意です。

失敗3は、案内が届いていないことです。オンラインの入口を作っても、住民がその存在を知らなければ紙で来ます。直し方は、既存の案内の全部に入口を書くことです。ホームページの該当ページ、郵送している案内文、窓口に置いている用紙。このどれかが漏れていると、そこから紙の申請が来ます。

失敗4は、紙をやめる判断を先延ばしにすることです。並行運用のほうが安全に見えますが、二重の運用が続くと職員側の効果が出ません。直し方は、やめる条件を先に決めることです。オンラインの割合が一定に達したら紙をやめる、あるいは特定の日付でやめる。条件を先に決めておかないと、いつまでも並行します。

この4つに共通するのは、入口を作る作業を「オンライン化の完了」と見てしまう点です。入口は工程の入口であって完了ではありません。

住民の側から見た使いやすさを確かめる

設計が終わったら、住民の側から見た確認をします。ここを省くと、公開後に問い合わせが増えます。

確かめる点は5つです。1つ目は、スマートフォンで最後まで進めるかどうかです。スマートフォン等で手続きが完結することを目指すという方針が示されている以上、パソコンの画面でしか完結しない設計は避けます。入力欄が横に広い表形式になっていると、スマートフォンでは使えません。

2つ目は、途中で保存できるかどうかです。添付書類を用意するために中断が必要な手続きでは、保存できないと最初から入力し直しになります。ここで離脱する人が多く出ます。

3つ目は、アカウント登録を求めていないかです。回答者にアカウント登録を求めると、そこで手続きをやめる人が出ます。本人確認が必要な手続きでは避けられませんが、必要のない手続きで登録を求めていないかを確かめます。

4つ目は、送信したあとに何が起きるかが分かるかです。送信して真っ白な画面が出るだけでは、受け付けられたのか分かりません。受付番号と、いつ頃返るかを画面と通知の両方に示します。これがないと、数日後に電話が来ます。

5つ目は、入力した内容の控えが本人の手元に残るかです。控えがないと、問い合わせのときに「何を書いたか覚えていない」という状態になり、確認のやりとりが増えます。

この5つを確かめる方法は、自分で最後まで申請してみることです。担当者が最初から最後まで通してみると、説明の足りない箇所がすぐ分かります。1回通すのに10分もかかりません。省かれやすい工程ですが、最も効き目があります。

さらに確かめる価値があるのは、その手続きに詳しくない人に通してもらうことです。担当者は前提を知っているので、説明が足りない箇所を読み飛ばします。別の部署の人に、何も説明せずに申請してもらい、止まった箇所を記録します。止まった箇所は、公開後に電話で聞かれる箇所とほぼ一致します。

確かめる端末も分けます。パソコンの大きい画面で作った様式は、スマートフォンの縦の画面では別の見え方になります。項目の説明文が長いと、入力欄が画面の外に出て、何を入力する欄なのか分からなくなります。文字の大きさも確かめます。説明文が小さいと、高齢の利用者が読めません。読めない説明は、無いのと同じです。

公開したあとも、しばらくは確かめ続けます。最初の1か月は、届いた申請の不備の内容と、電話で聞かれた内容を並べて記録します。この2つが、直すべき箇所をそのまま示します。記録せずに1か月が過ぎると、同じ質問に答え続ける運用が定着します。

部署をまたぐ手続きと、庁内の調整

手続きの中には、1つの部署で完結しないものがあります。ここは設計が最も難しい部分です。

たとえば施設の利用申請では、受付が総務で、設備の使用可否を判断するのが施設の管理担当、料金の減免を判断するのが別の担当という形があります。紙の運用では、申請書が机の上を物理的に移動していくので、いまどこにあるかは見て分かります。オンラインにすると移動が見えなくなるため、渡した記録を残す必要があります。

調整の順序としては、まず関係する部署を全部並べ、それぞれが何を判断しているのかを1行で書きます。書けない部署があれば、その部署は判断していないか、判断の基準が担当者の中にあります。次に、判断の順番を決めます。同時に見てもよい判断なら並行にできますし、前の判断を前提にする判断なら順番が要ります。

ここで決め忘れやすいのが、判断する人が不在のときの扱いです。担当が出張や休暇でいない日に届いた申請を、待たせるのか、代理の人が見るのか。この決まりがないと、いない人の受信箱で止まります。もう1つは、差し戻しの行き先です。申請者に戻すのか、1つ前の担当に戻すのか。決めていないと、戻ってきた申請が誰の担当にもなりません。

調整の場を設けるときは、資料を1枚に収めます。関係する部署、それぞれの判断内容、判断の順番、不在時の扱い、差し戻しの行き先。この5つが書いてあれば、1回の打ち合わせで決まります。書いていない状態で集まると、抽象的な話に終わり、2回目の打ち合わせが必要になります。

進捗を測る指標と、記録の残し方

オンライン化を進めたあと、効果を測る指標を決めておきます。決めていないと、進んだのかどうかを語れません。

測るべき指標は4つです。1つ目は、その手続きのうちオンラインで届いた割合です。この割合が上がらない場合、入口の案内が届いていないか、使いにくいかのどちらかです。2つ目は、不備として連絡した件数の割合です。紙のときより下がっていれば、入口で防げています。3つ目は、受け付けてから結果を返すまでの日数です。4つ目は、電話での問い合わせの件数です。オンライン化しても電話が減らないなら、送信後の案内が足りていません。

国の側でも、オンライン化の対応状況の調査が行われています。優先的にオンライン化を推進すべき手続きについて、自治体の対応状況を定期的に把握する調査が実施され、結果が一覧として公開されています。自分の自治体の対応状況を、この一覧で確かめられます。

指標を測るには、記録が要ります。受け付けた日、審査を始めた日、不備を連絡した日、結果を返した日。この4つが1件ごとに残っていれば、上の指標はそのまま数えられます。残っていなければ、担当者の記憶で語ることになります。

記録の残し方として、いまある道具で始める形もあります。フォームで受けて、表計算ソフトに並べ、担当と状態の列を足す形です。件数が月に数十件までなら回ります。Googleフォームとの比較では、受け取ったあとに担当と状態をどう持つかという点で、表を使う形との違いを整理しています。サイトに申請の様式を埋め込んで受けている場合の考え方はContact Form 7との比較にまとめています。

件数が増えると、列を人の手で埋める形は埋め忘れが出ます。送信されたあとの道具がそろっている形にしておけば、届いた1件に担当と状態が最初から付き、いまどこで止まっているかを人に聞かずに読み取れます。施設や設備の利用申請のように承認が要るものは施設利用の申請に、補助や助成の公募のように締め切りに件数が集まるものは助成金・公募の受付に、窓口としての受け付け全体は問い合わせの受付にそれぞれ整理しています。

どこまでを1つの画面で持てるかはできることに、人数で決まる料金の考え方は料金に、始める前に出やすい疑問はよくある質問にまとめています。オンライン化で効果が出るかどうかは、入口の作り込みではなく、受け付けた後の4つの記録が残る形になっているかで決まります。

Q1. 自分が担当している手続きは、オンライン化の対象に入っていますか?

デジタル庁が公開している「オンライン化を実施する行政手続の一覧等」に記載された、地方公共団体が優先的にオンライン化を推進すべき56手続に含まれるかどうかで分かります。含まれていれば国が示す様式や活用事例を参照できます。含まれていない独自の手続きは、様式から自前で設計することになります。

Q2. マイナンバーカードを持っていない人は、どうすればよいですか?

2025年12月末時点で保有率は国民の約8割とされているため、残りの層への経路が必要です。金銭の給付や権利に関わる手続きは本人確認を弱められないので紙の窓口を残し、イベントや研修の申込のように本人確認の強度が高くない手続きだけカードを使わない経路を用意するのが現実的です。

Q3. オンライン化したのに業務が楽になりません。何が原因ですか?

受け付けた後の設計が変わっていないことが原因です。誰が審査するか、いまどの段階か、不備を連絡したか、結果を返したか。この4つが1件ごとに残らない形では、オンラインで届いた申請を印刷して既存の流れに乗せる運用になり、入口が2つに増えたぶん作業が増えます。

Q4. 何から始めるのがよいですか?

処理件数が多く、本人確認の強度が高くなく、判定の基準が単純な手続きから始めます。粗大ごみ収集の申込や、研修や講習や各種イベントの申込は活用事例が公開されており、この性質を備えています。1つの手続きを紙と並行で3か月ほど運用し、件数と不備と所要日数を記録してから次に進んでください。

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