問い合わせ管理ツールを無料で探しているとき、候補はすぐに10件以上見つかります。それでも決めきれないのは、無料の枠がどこで終わるのかが候補ごとに違い、しかもその境目が受付の運用に直接効いてくるからです。この記事では、主要な道具の無料プランの条件を公式の料金ページで確かめた数字で並べたうえで、ひとりで問い合わせを受けている人が無料のまま回せる範囲と、越えたときに何を決めればよいかを整理します。
問い合わせ管理ツールが解いている問題は、集めることではない
問い合わせ管理ツールという名前は、問い合わせを集める道具のように読めます。実際に解いているのは別の問題です。集めること自体は、メールアドレスを1つ公開するだけで成立します。困るのは集めたあとです。
具体的には3つの問題があります。1つ目は、誰が対応するのかが決まらないことです。共有のメールアドレスに届いた1通は、全員に届いて誰の担当でもありません。この状態で2人が同じ日に見ると、両方が返信するか、両方が「相手が返すだろう」と待ちます。
2つ目は、どこまで進んだかが残らないことです。メールの受信箱には、既読と未読しかありません。「読んだが調べている途中」「返信したが相手の返事を待っている」「相手の返事を待っていたが期限を過ぎた」。この3つを既読の1状態で表すことはできません。結果として、忘れた件は忘れたまま消えます。
3つ目は、過去のやり取りを探せないことです。同じ内容の質問が半年前に来ていて、そのとき誰かが丁寧に答えている。その答えを探せないと、毎回一から書くことになります。書く時間が惜しいという話だけではなく、回答の内容が担当によって変わるという問題が起きます。
問い合わせ管理ツールは、この3つに対して担当、状態、検索できる履歴を用意します。無料プランを選ぶときに見るべきなのは、この3つのうちいくつが無料の範囲に入っているかです。フォームの見た目や、用意されているテンプレートの数は、判断の材料としては後ろに来ます。
逆に言えば、この3つが要らない状況なら、問い合わせ管理ツールは要りません。ひとりで受けて、その日のうちに返して、過去を振り返る必要も無い。この条件なら、メールソフトのままで足ります。名前が付いた道具を入れることが改善なのではなく、詰まっている工程を外すことが改善です。
無料プランの条件を、公式の料金ページに書かれている数字で並べる
無料の枠は紹介記事の要約ではなく、提供している会社の料金ページで確かめる必要があります。条件は変わりますし、変わったことが告知されないこともあります。ここでは2026年9月27日時点で公開されているものを並べます。
Tayoriの料金ページには、フリープランが月額0円で、ユーザーは1人、フォーム、FAQ、アンケートがそれぞれ1個までと書かれています。有料はスタータープランが月額3,800円(税抜)でユーザー3人、各3個まで。プロフェッショナルプランが月額11,980円(税抜)でユーザー10人、各無制限。エンタープライズプランが月額25,400円(税抜)で初期費用50,000円、11名以上という条件です。
Re:lationの料金ページには、フリーが月額0円でユーザー1、受信箱1と書かれています。その上はスターターがユーザー1で受信箱1、ビジネスがユーザー5で受信箱2、プロがユーザー10で受信箱5という段になっています。金額については、月額費用は利用するユーザー数やストレージによって変わるという説明が置かれており、プランごとの固定額は示されていません。
Freshdeskの料金ページには、無料プランの記載が見当たりませんでした。掲載されているのはGrowthが1エージェントあたり月額19ドル(年払い)、Proが55ドル、Enterpriseが89ドルで、新規の登録には14日間の無料トライアルが用意されています。
HubSpotの日本語の製品ページには、最大2人のユーザーと1,000件のコンタクトを登録でき、利用期限なしで無料と書かれています。有料の入口はStarter Customer Platformで、1シートあたり月額840円です。
| 候補 | 無料プランの枠 | 無料で使える人数 | 有料の入口 |
|---|---|---|---|
| Tayori | フォーム、FAQ、アンケート各1個 | 1人 | 月額3,800円(税抜) |
| Re:lation | 受信箱1つ | 1ユーザー | ユーザー数とストレージで変動 |
| Freshdesk | 料金ページに記載が見当たらない | 記載なし | 1エージェント月額19ドル(年払い) |
| HubSpot | コンタクト1,000件、期限なし | 2人 | 1シート月額840円 |
無料の枠は、件数ではなく受信箱の数と人数で切れる
表を並べると、無料の切れ方に共通点があります。問い合わせの件数で切られている道具は、この4つの中にありません。切られているのは、使える人数と、持てる入口の数です。
これは設計として筋が通っています。問い合わせ管理ツールの価値は複数人で1つの窓口を回すところにあるため、人数を制限すれば価値の中心が有料の側に残ります。逆に言えば、無料プランは「ひとりで使ってみる」ための枠として用意されています。試用ではなく本番として使い続けるなら、人数の上限が最初の壁になります。
どちらのツールも多機能版は有料プランに移行する必要があるため、無料で使える範囲には制限がありますが、どれもチケット管理(問い合わせの起票やステータス管理)には対応していますので、何ができるか体験してみたいという方には向いています。 出典: aspicjapan.org
この整理のとおり、無料の範囲でも起票と状態の管理そのものは触れます。触れるかどうかではなく、その形で組織が回るかどうかが判断の分かれ目です。
受信箱の数も、見落としやすい制限です。受信箱が1つという条件は、窓口を1つに絞ることを意味します。採用の問い合わせと商品の問い合わせを分けたい、日本語と英語を分けたい、部署ごとに分けたい。こうした事情があると、無料の枠では収まりません。分けずに1つに混ぜる運用も可能ですが、混ぜた分は目で選り分ける作業として戻ってきます。
無料の枠を評価するときは、1年後に必要な人数と窓口の数を数えてください。窓口は、増えるときに一気に増えます。新しいサービスを始めた、問い合わせの種類を分けることにした、外部の委託先が入った。どれも計画して起きることなので、見通しは立てられます。
無料と有料で分けられている機能には、共通の並びがある
候補ごとに料金ページを読んでいくと、無料と有料の境目に置かれる機能がだいたい同じであることに気づきます。道具が違っても、区切る場所が似ているのは、そこが運用の負担が変わる線だからです。
有料側に置かれることが多いのは、まず自動の振り分けです。届いた内容によって担当を自動で決める、優先度を自動で付ける。この機能は、件数が多くて担当が複数いる状況でしか効きません。無料の枠は1人向けなので、自動の振り分けを無料に入れる意味がありません。
次に多いのが、集計と報告です。月ごとの件数、初回の返信までにかかった時間、担当ごとの処理件数。この種類の数字は、複数人の窓口を管理する立場の人が見るものです。ひとりで回している窓口では、見ても打つ手がありません。
3つ目は、外部との連携です。他の道具へ情報を流す、通知をチャットへ送る、電話の記録と結び付ける。連携は運用が固まってから必要になるものなので、無料の枠から外れていても試用の妨げにはなりません。
4つ目は、保存の期間と書き出しです。ここは注意が必要な線です。無料で使い始めて1年たったころに、古い履歴が見えなくなっていることに気づく形があります。書き出しが有料の機能になっていると、見えないまま持ち出すこともできません。試す段階で確かめておく価値があるのは、この4つ目です。
逆に、無料側に残されることが多いのは、入口を1つ作ること、届いた1件を起票すること、状態を手で変えること、テンプレートを1つか2つ登録することです。つまり、ひとりで受けて返すまでの最短の道は、無料の範囲でおおむね触れます。
この並びを知っておくと、料金ページを読む時間が短くなります。無料の列で確かめるのは、人数、入口の数、保存の期間、書き出しの可否の4つです。自動の振り分けや集計が無料に入っていないことは、ひとりの窓口では判断に影響しません。
メールの転送とメーリングリストで代用したときに起きること
無料の枠に収まらないとき、多くの窓口はメールの仕組みで代用します。共有のアドレスを作ってメーリングリストで全員に配る、あるいは1人のアドレスに転送する。この形は費用がかからず、明日から始められます。起きることも決まっています。
全員に配る形で最初に起きるのは、二重返信です。3人に同じメールが届き、2人が同時に返信を書き始めます。片方が先に送り、もう片方も送る。相手には内容の違う2通が届き、どちらが正しいのかを聞く3通目が来ます。この種類の事故は、件数が少ない窓口でも起きます。同時に見ている時間が重なるかどうかだけの問題だからです。
対策として「担当を決めてから返す」という取り決めを置くと、次は決める連絡が増えます。誰が返すかを相談するやり取りが、問い合わせ1件ごとに発生します。この相談は別の場所で行われるため、記録には残りません。半年後に経過を追うとき、なぜこの返信になったのかが分からなくなります。
1人に転送する形では、二重返信は起きません。代わりに、その1人が休んだ日に窓口が止まります。止まっていることに誰も気づかないのは、届いていないのではなく、届いた先で止まっているからです。件数が少ない窓口ほど、止まったことに気づくのが遅れます。
もう1つ起きるのが、返信の差出人の問題です。共有のアドレスに届いたものに個人のアドレスから返すと、相手は次から個人のアドレスに送ってきます。その1人が異動した時点で、そのやり取りは窓口から外れます。窓口として続けるつもりなら、返信の差出人は必ず窓口のアドレスにそろえてください。
メールで代用するなら、せめてこの3つを取り決めとして文章にしておきます。誰が返すかの決め方、返信の差出人、休むときの引き継ぎ。文章にしておくと、代用が限界に来たときに何が足りないのかを言葉で説明できます。
無料のままで足りる場面を、先に決めておく
無料プランを試すとき、足りないところを探し始めると全部の道具が足りなく見えます。先に決めるべきなのは、どういう条件なら無料で足りるのかという線です。
足りる条件は3つそろったときです。1つ目は、受ける人が1人で固定されていること。2つ目は、窓口が1つで足りること。3つ目は、その日のうちに返せる件数であること。この3つがそろっているなら、無料の枠で本番として使えます。有料に移る理由はありません。
1つでも崩れると、無料の枠では回らなくなります。特に1つ目が崩れやすく、崩れ方には気づきにくい特徴があります。担当は1人のままでも、休んだ日に別の人が見る、内容によって上司が判断する、返信の文面を誰かが確認する。この形はすでに複数人での運用です。アカウントを1つしか使っていないだけで、関わる人は増えています。
線を決めておく利点は、越えたときに判断が速くなることです。「使いにくい気がする」ではなく「窓口を2つに分ける必要が出たので、受信箱1つの枠では回らない」と言えます。前者では社内の合意が取れませんが、後者なら取れます。
もう1つの利点は、無料の枠で足りているのに乗り換えを検討する時間を使わなくて済むことです。受付の道具を替える作業には、移す手間と覚え直す手間が必ず付きます。払う理由が言葉にできない時期に払うと、その時間だけ受付が遅くなります。
問い合わせの種類を数えると、必要な機能がしぼれる
候補を比べる前にやっておくと効く作業が1つあります。直近3か月間に届いた問い合わせを、内容の種類ごとに数えることです。件数の合計ではなく、種類ごとの内訳を出します。
多くの窓口では、上位3種類で全体の6割から8割を占めます。料金の確認、手続きの方法、不具合の報告。この3つで大半が埋まる窓口は珍しくありません。数えてみると、毎日違う内容に対応しているという感覚が、実際には同じ質問の繰り返しだったと分かります。
内訳が出ると、必要な機能が変わります。上位3種類で7割を占めるなら、その3つの答えを公開の場所に置くほうが先です。Tayoriのフリープランには、フォーム、FAQ、アンケートがそれぞれ1個まで含まれています。FAQが1個でも、上位3種類の答えを載せる場所としては足ります。
逆に、内容がばらけていて上位3種類で3割しか埋まらない窓口では、答えを置いても件数は減りません。この場合に効くのは、届いた1件を確実に担当へ渡して状態を残す仕組みです。同じ「問い合わせ管理ツールが必要」という結論でも、必要な機能が違います。
数えるときの単位は、相手の言葉ではなく答えの内容でそろえてください。「料金を教えてください」と「いくらかかりますか」は同じ種類です。相手の書き方で分けると種類が増えすぎて、内訳が出ません。3か月間で50件なら、紙に書き出して手で数えても30分で終わります。
この作業には、もう1つの効果があります。数えた表は、有料へ移る相談のときにそのまま材料になります。件数と内訳と対応にかかっている時間が並んでいれば、道具の必要性を説明する文章を別に書かなくて済みます。
チケットという単位が、何を変えるのか
問い合わせ管理ツールの説明には、チケットという語が出てきます。この語は業界の言い方であって、機能の名前としては分かりにくいものです。中身は単純で、届いた1件を独立した箱として扱うという意味です。
メールの受信箱では、1件の問い合わせは1通のメールです。相手が3回返信すると3通になり、それぞれが独立して並びます。件名が変わったり、相手が新規のメールで送り直したりすると、同じ話題であってもつながりません。
チケットの形では、届いた1件が箱になり、その後のやり取りは全部その箱の中に入ります。箱には担当が1人付き、状態が1つ付きます。この2つが付くことで、一覧を「自分の担当で未対応のもの」という条件で絞れます。メールの受信箱では、この絞り込みができません。
変わるのは3つです。1つ目は、二重返信が構造的に起きにくくなること。箱に担当が付いているので、他の人が開いたときに誰の担当かが見えます。2つ目は、返し忘れが数えられるようになること。未対応の箱の数が、そのまま残っている仕事の数です。3つ目は、同じ相手からの2件目を別の箱として分けられることです。
注意しておきたいのは、チケットの形にすること自体が答えではない点です。箱を作っても、担当を付ける人がいなければ全部が無担当のまま並びます。状態を更新する運用が定着しなければ、未対応の箱だけが増えていきます。道具を入れる作業と、運用を決める作業は別です。
無料プランで試すときに、確かめる5つの動作
無料プランを触るときは、機能の一覧を読むのではなく、実際に5つの動作を通してください。この5つで、その道具が自分の窓口で回るかどうかがほぼ分かります。
1つ目は、自分で問い合わせを1件送ってみることです。公開する形の入口から、回答者と同じ手順で送ります。ここで登録を求められるか、入力の項目が多すぎるか、送ったあとに確認の通知が届くかを見ます。回答者に登録を求める形は、社外向けの窓口では応募や問い合わせをやめる原因になります。
2つ目は、届いた1件に担当を付けることです。付けられる場所がどこにあるか、付けたときに通知が行くか、付けた記録が残るかを見ます。担当を付ける操作が3回以上の手順になっていると、忙しい日には省略されます。
3つ目は、返信をその画面から送ることです。送った本文が箱の中に残るかを確かめます。別のメールソフトに切り替えて送る形になっているなら、往復の工程が残ります。
4つ目は、状態を「対応中」にして、一覧に戻ることです。一覧で状態が見えるか、状態で絞れるかを見ます。ここが色分けだけだと、件数が増えたときに数えられません。
5つ目は、書き出しです。全件をCSVで書き出して、氏名、連絡先、本文、担当、状態が入っているかを確かめます。書き出しが有料の機能になっている道具もあるので、無料の範囲で試せるかどうかも同時に分かります。
この5つを通すと、30分ほどで判断できます。機能の一覧では差が分からなかった候補にも、はっきり差が出ます。
試すときに一緒に見ておきたいのが、スマートフォンからの見え方です。窓口を1人で回している場合、移動中に届いた件数を確かめたい場面は必ず出ます。小さい画面で一覧の状態が読めるか、返信の本文を打てる作りになっているかを、実際の端末で1度通してください。画面の写真を並べた紹介のページでは、操作の回数までは分かりません。
もう1つは、相手に届く通知の文面です。自分で1件送ったときに返ってくる確認の通知は、窓口の第一印象になります。差出人の名前が道具の名前になっていないか、返信できないアドレスから届いていないか。ここは無料の枠でも変更できることが多いので、触れるかどうかを試す段階で確かめておきます。
入れたあと2週間で定着させるために決めること
問い合わせ管理ツールは、入れた翌日から使われなくなることがあります。理由はほぼ決まっていて、以前の経路が残っているからです。新しい画面を開くより、いつものメールソフトを開くほうが速いので、忙しい日に前の経路へ戻ります。
定着させるために決めることは4つです。1つ目は、以前の経路を閉じる日です。共有のメールアドレスをそのまま残すなら、そこに届いたものを新しい仕組みへ自動で流し込むか、公開している場所からそのアドレスを外します。両方が生きている状態を1か月続けると、どちらにも履歴が半分ずつ残ります。
2つ目は、状態を更新する担当と回数です。状態は自動では変わりません。返信したら完了にする、相手の返事を待つときは対応中のままにする。この操作を誰がいつ行うかを1文で決めます。1日の終わりに1回まとめて直す形でも構いませんが、決めておかないと誰も直しません。
3つ目は、未対応の件数を見る時間です。朝に1回、一覧を未対応で絞って件数を見る。これだけで返し忘れは大きく減ります。数字を見る習慣が無いと、状態を残す作業に意味が感じられず、状態の更新も止まります。
4つ目は、返信の文面をどこに置くかです。よく使う文面を道具の中に登録できるなら、上位3種類の文面を最初に入れておきます。文面が手元のメモに散っていると、それを探すためにメールソフトを開くことになり、その流れで返信もメールソフトから送ることになります。
この4つは、道具の機能とは関係がありません。無料プランでも有料プランでも同じ作業です。逆に言えば、ここを決めずに有料へ移っても、定着の問題は解決しません。
有料へ移る合図を、先に3つ決めておく
無料で始めるなら、越える合図を最初に決めておいてください。上限に当たってから考え始めると、受付を止めるか、共有アカウントに逃げるかの二択になります。
1つ目の合図は、返信する人が2人になった日です。正式に担当を増やしたときではなく、休んだ日の代わりを頼んだ時点で数えます。この時点で、人数1の枠は実態と合っていません。
2つ目の合図は、窓口を分けたくなった日です。種類の違う問い合わせを1つの受信箱で受けていると、選り分ける作業が毎日発生します。この作業に週1時間を使っているなら、月4時間です。
3つ目の合図は、過去のやり取りを探せなくて困った回数が、月に3回を超えた日です。探せないことは、同じ回答を書き直す時間と、回答の内容が担当によって変わる問題の両方を生みます。後者のほうが重く、同じ質問に違う答えが出た記録は、あとから相手に示されたときに説明が難しくなります。
この3つの合図には共通点があります。どれも件数ではなく、関わる人の数か、扱う種類の数で決まっています。件数が2倍になっても、ひとりで1つの窓口を回している形なら無料の枠は破れません。逆に件数が半分でも、2人で2つの窓口を回すなら破れます。上限に当たるかどうかを件数で見積もると、時期を読み間違えます。
合図を決めるときに合わせてやっておくのが、控えの取り方です。無料プランでは、履歴の保存期間や書き出しの回数に制限が置かれていることがあります。月に1度、全件をCSVで書き出して手元に残す運用を最初から入れておけば、条件が変わった日にも困りません。書き出したファイルには氏名や連絡先が入るので、置き場所の権限は絞ってください。
個人情報の扱いについては、道具の設定より先に組織の方針として決める話になります。どこまでの範囲を誰が見られるか、どの期間で削除するか。この線引きは、所管の窓口や専門家に確かめてください。
受付の詰まりから逆算して、次に変えることを決める
候補を絞りきれないときは、いま手で回している工程のうちどこが最初に詰まっているかから逆算すると答えが出ます。詰まりの型は3つです。
誰が返すかが決まらないことが詰まりなら、必要なのは1件ごとの担当です。窓口を増やしても、テンプレートを整えても直りません。届いた1件に担当が付く形が要ります。問い合わせを受ける場面で何が残る形になっているかは問い合わせの受付に、修理やサポートの依頼として受ける形は修理・サポートの受付に整理しています。
返し忘れが起きることが詰まりなら、必要なのは状態です。既読と未読の2つでは足りません。未対応の件数が数字で見える形になっているかどうかで、気づく早さが変わります。応募を受け取る場面での扱いは採用の応募受付にまとめています。
届いた情報を手で写していることが詰まりなら、必要なのは入口と管理をつなぐことです。いま Google のフォームで受けて回答をスプレッドシートで追っている場合、何がどう変わるかはGoogleフォームとの比較に、WordPress のプラグインでフォームを作って通知のメールで受けている場合はContact Form 7との比較に、送信されたあとに何が残るかの違いとしてまとめています。
送信されたあとの道具がそろっている形で受ければ、届いた1件に担当と状態が最初から付き、返信の記録も同じ画面に残ります。どこまでを1つの画面で持てるかはできることに、人数で決まる料金の考え方は料金に、選ぶ前に出やすい疑問はよくある質問にまとめています。無料で足りるかどうかは、機能の数ではなく、担当と状態が要るかどうかで決まります。
Q1. 無料の問い合わせ管理ツールは、何人まで使えますか?
道具によって違いますが、無料プランはおおむね1人か2人で区切られています。Tayoriのフリープランは1人、Re:lationのフリーは1ユーザーで受信箱1つ、HubSpotの無料は最大2人と、いずれも公式の料金ページに書かれています。FreshdeskはEnterpriseの14日間の無料トライアルのみで、料金ページに無料プランの記載は見当たりませんでした。2026年9月27日時点の公開情報です。
Q2. メーリングリストで共有すれば無料で回せますか?
費用はかかりませんが、二重返信が起きます。3人に同じメールが届くと、2人が同時に返信を書き始めることがあり、相手には内容の違う2通が届きます。担当を決めてから返す取り決めを置くと、今度は決めるための相談が1件ごとに発生し、その相談は記録に残りません。件数が少なくても起きる種類の事故です。
Q3. 受信箱が1つだと、どこで困りますか?
窓口を分けたくなったときに困ります。採用の問い合わせと商品の問い合わせ、日本語と英語、部署ごと。種類の違うものを1つの受信箱で受けると、目で選り分ける作業が毎日発生します。この作業に週1時間を使っているなら月4時間で、そこが有料へ移る合図になります。
Q4. 無料プランを試すとき、どこを見ればよいですか?
5つの動作を通してください。自分で1件送る、届いた1件に担当を付ける、その画面から返信を送る、状態を変えて一覧に戻る、全件をCSVで書き出す。この5つで30分ほどです。機能の一覧では差が分からなかった候補にも、はっきり差が出ます。
