BtoBのCS調査をやってみたものの、結果が使えなかったという話は珍しくありません。満足度の平均は4点台で悪くない、自由記述も「特に問題ありません」が並ぶ、報告書は完成したが次に何をすればよいのか分からない。回答が集まっているだけに、失敗したという判断も下しにくい状態で止まります。
この記事では、誰に聞くかの決め方、設問の設計、実施の手順、外部に委託するときの相場、回収率を上げる方法、集計で成功と失敗が分かれる場所を順に整理します。先に結論を書くと、BtoBのCS調査の結果を左右する最大の変数は設問の文言ではなく、取引先の社内で誰が回答したかです。決裁者と現場の担当者では、同じ取引に対する評価が別のものになります。
BtoBのCS調査がBtoCと違うのは、回答者が個人ではなく組織だから
BtoCの満足度調査は、買った人と使った人と支払った人が同じです。BtoBでは、契約を決めた人、日々使う人、請求を処理する人、更新を判断する人が別の人です。この構造の違いが、調査のあらゆる工程に影響します。
たとえば、日々の運用を担当している人は細かい使い勝手に不満を持っていても、取引を続けたいと思っています。一方で決裁者は使い勝手を知らず、価格と納期と報告の質だけで判断します。この2人に同じ設問を投げて平均を取ると、どちらの実感でもない数字が出ます。平均が4点台で安定しているのに解約が出る現場は、たいていこの平均の作り方が原因です。
回答数の少なさも、BtoCとの大きな違いです。取引先が30社で、各社2名に聞いたとしても母数は60です。統計的な有意差を出せる規模ではありません。だからBtoBのCS調査は、数字で差を検定する調査ではなく、個別の取引先の状態を把握する調査として設計します。全体の平均点を出すことよりも、どの取引先のどの担当者が何に困っているかを特定するほうが、次の行動につながります。
もう1つ、BtoB特有の事情として、回答が匿名になりにくい点があります。取引先が30社なら、業種と規模を書いた時点でどこの会社か分かります。匿名だと伝えておきながら特定できる状態は、回答者に不誠実です。実務的には、匿名にこだわらず「誰からの回答か分かる前提で、営業担当には見せない」という扱いを明示するほうが、率直な回答が集まります。
調査が使えないものになる原因について、公開されている解説は目的と仮説の不足を挙げています。
恐らく、調査に関わった担当者の多くが感じていることだろう。原因を端的に言えば、「なぜ、調査をするのか?」という目的や仮説が不十分であることが大きい。調査の実施に際し、目的をしっかり整理すること、仮説をしっかり持つことがなぜ大事なのか、特に、アンケート形式の調査について、改めて考えてみたい。 出典: nikkei-r.co.jp
誰に聞くかを決める手順
対象者の設計は、設問を作る前に終わらせます。順番を逆にすると、設問に合う人を後から探すことになり、答えやすい人だけが回答する偏りが生まれます。
第1に、取引先を役割で3層に分けます。日々使う実務担当、その上の管理者、契約を判断する決裁者。この3層のうち、どの層に聞きたいのかを調査の目的から決めます。使い勝手の改善が目的なら実務担当、継続の見込みを知りたいなら決裁者、社内での評価の伝わり方を知りたいなら管理者です。3層すべてに聞くなら、集計も3層に分けます。混ぜた平均を出すと、前の節で書いた問題が起きます。
第2に、取引先ごとに何名に聞くかを決めます。全社一律で2名という決め方より、取引の規模で分けるほうが実態に合います。取引額の大きい先は3層すべてに、小さい先は実務担当1名に。この設計にしておくと、回答数が取引の重みに近づきます。
第3に、名前の入手をどう行うかを決めます。営業担当に「回答してくれそうな人」を選ばせると、関係が良い人だけが集まります。この偏りは結果を無害な方向に寄せるので、危険です。実務的には、役割で条件を書いて営業担当に名前を出してもらい、条件に合う人が複数いる場合は機械的に選ぶ形にします。
第4に、除外する相手を決めます。契約から3か月未満の取引先、直前に大きなトラブルがあった取引先、更新交渉の真っ最中の取引先。これらは回答が特殊な方向に振れるので、除外するか、別に集計します。除外の基準を先に書いておかないと、都合の悪い回答を後から外す誘惑が生まれます。
第5に、調査の依頼を誰から出すかを決めます。営業担当から個別に依頼すると回収率は上がりますが、営業担当に見られる前提で回答されます。代表者名義で一斉に送ると率直さは上がりますが、回収率は落ちます。目安として、回収率を優先するなら営業担当からの依頼、内容の率直さを優先するなら窓口部門からの依頼を選び、どちらを取ったかを報告書に書いておきます。
何を聞くかの設計と、設問数の目安
設問は、総合評価、要素別の評価、自由記述の3つで構成します。
総合評価は1問です。取引全体への満足度か、他社に薦める意向(NPS)のどちらかを置きます。両方置くと回答者が迷い、集計でも扱いに困ります。要素別の評価は、営業対応、納期、品質、価格、問い合わせへの対応、報告の分かりやすさといった軸で、5問から8問に収めます。自由記述は2問までです。「改善してほしい点」と「続けてほしい点」の2つがあれば足ります。
設問数の目安としては、全体で10問前後に収めると回答が途中で止まりにくくなります。調査会社が集計を請け負う際の想定も20問程度が基準として示されており、それ以上は分析の手間が急に増えます。社内の各部署から設問を持ち寄ると20問を簡単に超えるので、設問を足す前に「この回答が来たら何をするか」を書かせる決まりにしておくと、数が自然に絞られます。
評価の尺度は5段階か7段階です。BtoBでは中間の選択肢が選ばれやすいため、7段階のほうが差が見えることがあります。ただし年をまたいで比較するなら、尺度は変えないでください。尺度を変えた年の前後は、数字を並べる意味がなくなります。
聞いてはいけない設問もあります。自社の施策名を並べて認知を聞く設問、答えが決まっている誘導的な設問、他社との比較を直接求める設問です。最後のものは回答者に負担をかけるだけでなく、取引先を通じて他社に伝わる可能性があります。
属性の設問は、後から集計の軸に使うものだけに絞ります。役割(実務担当か管理者か決裁者か)、取引の期間、主に利用している製品やサービス。この3つがあれば、層別の集計はほぼ組めます。業種や従業員数は、すでに社内の顧客情報にあるはずなので、回答者に聞かずに後で突き合わせます。回答者に聞く項目を減らすことが、そのまま回収率につながります。
仮説を1枚書いてから設問を作る
設問を作る前に、仮説を1枚書きます。「納期の評価が低いのは、出荷の連絡が遅いからだ」「価格の評価は取引額の大きい先ほど低い」といった形で、3つから5つ書けば足ります。仮説があると、設問は仮説を確かめる形に収束します。仮説がないまま設問を集めると、確かめる相手のない質問が並びます。
調査が使えない結果に終わる典型的な形は、公開されている解説にも整理されています。
・社内で調査を企画しようとしたが、専門的で何からはじめたらいいのか分からない ・実施したものの、分析結果がすでにわかっていることばかりで、“使えない”・途中で関係者があれこれ口を挟み、いろいろな設問を盛り込んだものの、本当に知りたいことが十分に把握できずに終わった・調査結果を具体的な施策につなげられない 出典: nikkei-r.co.jp
実施の手順を5つのステップに分ける
工程を分けておくと、途中で止まったときにどこで止まったかが分かります。
第1ステップは設計です。目的、仮説、対象者、設問、集計の軸をこの順に決めます。ここで集計の軸まで決めておくのが要点です。集計してから軸を考えると、必要な属性を聞き忘れていたことに気づきます。
第2ステップは依頼の準備です。依頼文、回答用のフォーム、回答期限、催促の予定をそろえます。依頼文には、調査の目的、所要時間、回答の扱い、結果の使い道を書きます。所要時間を書かない依頼は着手されません。
第3ステップは配信と回収です。配信したら、誰が回答したかを追える状態にしておきます。追えないと催促の相手が絞れず、全員に再送することになり、回答済みの人に不快感を与えます。配信の直後に不達が出ることもあるので、送信の結果を確かめる時間を初日に取っておきます。担当者が異動していて宛先が消えている先は、営業担当に確認して差し替えます。この確認を省くと、その取引先は「回答しなかった先」として集計から静かに消えます。
依頼文の長さは、画面をひとつ分に収めます。目的を1行、所要時間を1行、回答の扱いを1行、期限を1行。この4行が冒頭にあれば読まれます。背景や意義を長く書いた依頼文は、読まれる前に後回しにされます。
第4ステップは集計です。層別に集計し、全体の平均は参考値として扱います。自由記述は分類してから数えます。
第5ステップは還元です。結果を取引先に戻すところまでを工程に入れます。BtoBでは、これが次の調査の回収率を決めます。何も返ってこなかった調査に、翌年また答える人は減ります。
期間の目安
設計に2週間、依頼準備に1週間、回収期間に2週間、集計と分析に2週間、還元の準備に1週間。合計で2か月程度を見込んでおくと無理がありません。数週間で終わらせようとすると、設計と還元が削られます。この2つを削ると、回答は集まったのに何も変わらない調査になります。
外部に委託する場合の相場と、自社でやる場合の分かれ目
費用の相場は、委託する範囲で大きく変わります。公開されている料金の目安として、調査の設計だけを頼む形で30万円(税別)、設計と集計までで70万円(税別)から、設計から分析と報告会までを含むフルサポートで150万円(税別)からという段階の付け方が示されています(2026年9月時点の調査会社が公開している料金ページの記載、設問数20問程度を想定した金額)。
この価格帯を見て自社でやると決める前に、どこが難しいのかを切り分けてください。難しいのは、設問を書くことと、結果を施策に変換することです。配信と回収、集計そのものは、道具があれば社内で回せます。つまり、設計だけを外に出して実施を社内で持つ形が、費用と精度の折り合いとしては現実的です。
外部に委託するメリットは3つあります。設問の型が経験に裏付けられていること、社内の力関係から離れて設問を絞れること、報告の形が整うこと。2つ目は見落とされやすい利点です。社内でやると、各部署が自分の評価に関わる設問を守ろうとして、設問が増え、論点がぼやけます。
デメリットも3つあります。費用が発生すること、日程が調査会社の都合に左右されること、そして回答の中身が社内に蓄積しにくいことです。3つ目は年を重ねるほど効いてきます。自社で回していれば、去年の自由記述をそのまま検索できます。外に出していると、報告書のPDFだけが残ります。
判断の目安としては、初回は設計を外に頼み、2回目以降は社内で同じ設問を回す形が扱いやすいです。同じ設問を続けることが、BtoBのCS調査でいちばん価値を生みます。
委託先を選ぶときに確かめておく項目も、先に決めておきます。設問の原稿を納品物として受け取れるか、集計の元データを全項目のCSVで受け取れるか、報告会の資料を社内で再利用してよいか、そして翌年に同じ設計を自社で回してよいか。最後の項目を契約前に確認しないと、毎年同じ会社に頼み続けることになり、続ける費用が固定されます。金額の見積もりを取るときは、設問数と回答数の想定を先に伝え、その数が変わった場合の増額の仕組みも聞いておきます。設問数による費用の変動がないと明記している会社もあるため、比較の際は金額の総額だけでなく、何で増えるのかを並べて見てください。
回収率を上げる方法とポイント
BtoBの回収率は、送り方でほぼ決まります。
第1に、依頼の宛先を個人名にすることです。共通の窓口アドレスに送ると、誰の仕事でもない状態になります。第2に、所要時間を明記することです。3分で終わると書かれていれば着手されます。第3に、回答の締め切りを1度だけ延ばすことです。延ばすと分かると最初の期限が無効になるので、延長は1回に限ると依頼文に書きます。
第4に、催促の相手を絞ることです。未回答者だけに送る仕組みがあれば、催促の文面を強くできます。全員に同じ催促を送る運用では、文面を弱くせざるを得ず、効きません。第5に、回答者に負担をかけないことです。ログインを求める、添付を求める、社名を手で入力させる。これらはすべて離脱の理由になります。回答者にアカウント登録を求めると、そこで回答をやめる人が出ます。
謝礼については、BtoCとBtoBで扱いが違います。個人向けの調査ではギフトカードが使われますが、法人向けの定量調査では謝礼を用意しないことが多く、そのぶん結果の共有が実質的な返礼になります。取引先の担当者は、自社の状況が良くなることを期待して回答しています。結果を戻すことが、いちばん効く返礼です。
回答の入口をフォームにするなら、1画面に1問ずつ出す形にすると、設問数が多く見えず途中離脱が減ります。場面別の受け方の整理は問い合わせの受付にまとめてあり、契約後の窓口として使う場合は修理・サポートの受付の設計が近くなります。
集計と分析で、成功と失敗が分かれるところ
集計の作業そのものは単純です。分かれ目は3つあります。
1つ目は、層別に見るかどうかです。全体平均だけを報告した調査は、ほぼ確実に「すでに分かっていること」で終わります。役割別、取引額別、地域別、担当営業別に分けると、初めて差が見えます。担当営業別の集計は社内で摩擦を生みますが、最も行動に変わりやすい軸でもあります。出すかどうかを事前に決め、出すなら評価に使わないことを先に宣言しておきます。
2つ目は、自由記述をどう扱うかです。そのまま並べて報告書に載せると読まれません。分類してから数えます。分類の軸は、対象(人、製品、手続き、価格)と方向(不満、要望、称賛)の組み合わせで足ります。分類したうえで件数を出すと、感覚で語られていた不満が順位付きで並びます。
3つ目は、比較の対象です。前年と比べるのが基本ですが、初回は比べる相手がありません。初回は層の間の差で読むしかないので、層の設計が甘いと初回の調査は読めないまま終わります。
そして、報告の形です。点数の一覧ではなく、「どの取引先のどの層で何が起きているか」を3件だけ名指しで書くほうが、社内は動きます。全体の傾向は補足で足ります。
数字を読むときに気をつける3つのポイント
1つ目は、回答した人の偏りです。回収率が5割なら、答えなかった半分の評価は分かりません。答えない理由には、関心が薄い、忙しい、言いたいことがないの3つに加えて、言っても変わらないと思っているという理由があります。最後の理由で答えなかった人の評価は低い側にあります。つまり回収率が低い調査の平均は、実態より高く出ます。この前提を報告書に1行書いておくだけで、数字の読み方が変わります。
2つ目は、点数の変化幅です。母数が60程度の調査で平均が0.1動いたことに意味を持たせるのは無理があります。BtoBの少数の母数では、平均の小さな上下を成果として語らないほうが誠実です。見るべきは、最も低い評価を付けた取引先が去年と同じ先かどうかです。同じ先が2年続けて低い評価を付けているなら、それは変化の無い状態であり、平均が上がっていても対処が必要です。
3つ目は、点数と行動のずれです。満足度が高い取引先が更新しないことも、低い取引先が続けることもあります。BtoBでは、満足度以上に切り替えの手間が意思決定を左右します。満足度だけを追い、契約の継続状況と並べないと、調査の数字が経営の判断材料になりません。集計の表に契約の継続状況を1列足すだけで、点数の意味が変わります。
還元の形を決めておく
結果を取引先に戻すときの形も、先に決めておきます。全社に同じ資料を送る形と、取引先ごとに1枚を作る形の2つがあります。前者は手間が少なく、後者は効きます。実務的には、全社向けに「多く挙がった要望と、それに対して何をするか」を1枚で送り、評価の低かった数社にだけ個別の連絡を入れる形が現実的です。ここで重要なのは、できないことを約束しないことです。要望のうち対応しないものは、対応しない理由を書いて返します。何も書かずに黙るほうが、翌年の回収率を落とします。
調査に使うツールの選び方
道具を選ぶときに比べる点は、機能の数ではありません。BtoBのCS調査で実際に効くのは5つです。
第1に、誰が回答したかを追えること。BtoBでは未回答者だけに催促を送る必要があるため、回答者を特定できない仕組みは使えません。匿名の集計だけを返す道具は、個人向けの調査には向いていても、取引先が数十社の調査には向きません。
第2に、回答を取引先ごとに束ねられること。同じ会社から3名が回答したとき、3件が別々に並ぶだけでは会社単位の状態が見えません。会社名を選択式にしておくか、メールアドレスのドメインで束ねる形を用意しておきます。
第3に、去年の回答が残っていて検索できること。BtoBのCS調査は時系列で読むものです。年ごとに別の道具で実施していると、この比較ができません。
第4に、フォームを複製して使い回せること。設問を毎年作り直すと比較が崩れます。前年の設問をそのまま複製し、年号だけ変えて配信できる形が理想です。
第5に、回答のあとに担当と状況を持たせられること。点数の低い取引先に誰がいつ連絡するかを、同じ画面で追えるかどうかが、調査を施策に変える分かれ目になります。
無料の表計算と組み合わせて回す方法もあります。回答の入口をフォームにして、集計を表計算で行い、連絡の記録は別に残す形です。取引先が10社程度なら十分に回ります。20社を超え、催促と還元が発生しはじめたあたりで、記録が3か所に分かれている状態が負担になります。乗り換える判断の目安は、社数ではなく「催促の宛先を絞るのに毎回10分以上かかっているか」です。
調査の頻度とタイミングを決める
頻度は年に1回が基本です。半年に1回にすると回答者の負担が増え、回収率が落ちます。2年に1回では、担当者が入れ替わって比較にならなくなります。
時期は、取引先の繁忙期を外して固定します。毎年同じ月に実施することが、比較の前提になります。期末や年度替わりに重ねると、回答が遅れるだけでなく内容も雑になります。相手の業界が複数にまたがる場合は、業界ごとに時期を分けるのではなく、回答期間を長めに取って1回にまとめるほうが運用が楽です。
年1回の定点調査とは別に、取引の節目で短い調査を挟む方法もあります。納品の直後や問い合わせの解決直後に、設問2問だけの短い調査を送る形です。この短い調査は満足度の水準を測るものではなく、個別の不具合を早く拾うためのものです。年次調査と混ぜて集計すると、どちらの数字も読めなくなるので、集計は必ず分けてください。
タイミングをめぐって迷いやすいのが、トラブルが起きた直後の扱いです。トラブルの記憶が新しいうちに聞けば率直な回答が集まりますが、その年の全体の数字が下がり、前年との比較が読めなくなります。実務的には、トラブルがあった取引先は年次調査から除外して個別に聞き、除外した事実を報告書に書き残す形が扱いやすいです。除外の基準を先に決めておくことが前提になります。
受付の道具側から見た、CS調査が続かない理由
調査そのものは1回でも成立しますが、価値が出るのは続けたときです。続かない理由は、道具の側にはっきり現れます。
最も多いのは、回答が表計算に落ちたあと、誰がどの取引先を追うのかが決まらないことです。回答の一覧に「担当」と「状況」の列が無いと、低い点数を付けた取引先への連絡が誰の仕事にもなりません。調査は実施できているのに何も変わらない状態は、ここで作られます。無料で使える定番のフォームは回答を集めるところまでは十分に足りますが、集めたあとに担当と状況を持たせる部分の差はGoogleフォームとの比較に整理されています。社内の既存環境をそのまま使っている場合の違いはMicrosoft Formsとの比較のほうが近い比較になります。
次に多いのは、同じ人が複数の調査に答えたときに別人として並ぶことです。取引先の担当者は、年次の満足度調査にもイベントの申し込みにも問い合わせにも登場します。メールアドレスをキーに1人として束ねられないと、その人が去年何と答えたかを追えません。過去の回答と今年の回答を並べられる状態は、BtoBのCS調査ではとくに価値があります。
三つ目は、催促と結果の還元をメールソフトで手作業で回していることです。未回答者だけに送る、宛名と回答内容を差し込む、送った履歴を残す。この3つが道具の側にあると、回収率と還元の手間が同時に改善します。送信されたあとの道具がそろっていることの意味は、調査の文脈ではこの部分です。並んでいる機能はできることにあり、一覧とボードの動きは動くところを見るで確かめられます。
四つ目は、費用が回答数で増える設計になっていることです。調査の回答数は年に1回だけ跳ね上がります。回答数で課金される形だと、その月だけ費用が上がるため、設問や対象を削る動機が生まれます。使う人数だけで決まる形なら、年に1回の跳ね上がりでも請求は動きません。人数で決まる料金の例では、ひとりで使う範囲は0円、3人までで月額2,980円(税抜)という段階の付け方があります(2026年9月時点の公開されている料金ページの記載)。課金の単位は各社で違うので、料金のように公開されているページで何によって増えるのかを確かめてください。導入前に出やすい疑問はよくある質問に整理されています。
最後に、設問と結果が別の場所に保管されていることです。今年の設問票がどこにあるか分からない状態では、来年は必ず設問を作り直します。設問が変わると比較ができず、比較できない調査は3回目で止まります。フォームを複製して使い回せる形にしておくだけで、続ける難易度は大きく下がります。
Q1. BtoBのCS調査は、取引先の何名に聞けばよいですか?
取引額で分けるのが実務的です。大きい先は実務担当と管理者と決裁者の3層、小さい先は実務担当1名で足ります。全社一律で2名という決め方だと、回答数が取引の重みと合いません。層を混ぜた全体平均は使わず、層ごとに集計してください。平均が良いのに解約が出る原因は、この混ぜ方にあります。
Q2. 設問は何問くらいが適切ですか?
総合評価1問、要素別5問から8問、自由記述2問で、全体10問前後に収めると途中離脱が減ります。集計を外部に委託する場合の想定も20問程度が基準として示されており、それを超えると分析の手間が急に増えます。設問を足すときは「この回答が来たら何をするか」を先に書く決まりにすると数が絞れます。
Q3. 外部の調査会社に委託すると費用はどのくらいかかりますか?
公開されている料金の目安では、設計だけで30万円(税別)、設計と集計までで70万円(税別)から、分析と報告会まで含めて150万円(税別)からという段階が示されています(2026年9月時点、設問数20問程度の想定)。難しいのは設計と施策への変換なので、設計だけを外に出して実施を社内で持つ形が折り合いを付けやすいです。
Q4. 匿名にしたほうが率直な回答が集まりますか?
取引先が数十社の規模では、業種と規模を書いた時点で特定できるため、匿名は成り立ちません。匿名と伝えながら特定できる状態は回答者に不誠実です。誰からの回答か分かる前提にしたうえで、営業担当には個票を見せないという扱いを明示するほうが、率直な回答が集まります。