キャンセルポリシーの例文を探している人の多くは、無断のキャンセルが続いて困っている状況にあります。他社の文章をそのまま写せば形は整いますが、キャンセル料の金額や割合の部分は、写してよいものではありません。法律が上限を定めており、その上限は事業の中身によって変わります。この記事では、例文を場面ごとに示しながら、金額をどう決めるのか、申し込みフォームのどこに載せるのかまでを手順として整理します。
キャンセルポリシーは、金額を取るために書くものではない
先に整理しておきたいのは、キャンセルポリシーを書く目的です。キャンセル料を徴収することが目的だと考えると、文章が厳しくなり、申し込みそのものが減ります。
実際に効いているのは3つです。1つ目は、申し込む人に予定の重みを伝えることです。無料で何度でも取り消せる予約は、軽く扱われます。取り消しの期限が書かれているだけで、来られなくなった時点で連絡する人が増えます。2つ目は、受け付けた側の判断の基準になることです。当日に連絡が来たとき、請求するかしないかを担当者ごとに判断していると、対応がばらつきます。書いてあれば、誰が受けても同じ答えになります。3つ目は、揉めたときの拠り所になることです。
ここでは、お客様との良好な関係を維持しつつ、しっかりとビジネスを守るためのキャンセルポリシー例文を「丁寧な表現」と「シンプルな表現」の2つのパターンでご紹介します。 出典: tol-app.jp
良好な関係を保つことと、事業を守ることを同時に成立させるという考え方は、文章の書き方に直接影響します。取り消しを責める文章ではなく、取り消しの手順を案内する文章にすると、同じ内容でも受け取られ方が変わります。
窓口の担当者からしばしば出るのは、キャンセル料を請求したことで関係が悪くなったという話ではなく、書いていなかったので請求できず、その後も無断のキャンセルが続いたという話です。書くこと自体が、請求するかどうかとは別に効いています。
法律が定めている上限を、条文で確かめる
キャンセル料を決めるときに必ず押さえるのが、消費者契約法の定めです。消費者庁の案内では、この法律は消費者契約について、不当な勧誘による契約の取消しと不当な契約条項の無効等を規定するものだと説明されています。
キャンセル料に直接関わるのは第9条です。条文はこうなっています。
当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 出典: laws.e-gov.go.jp
この条文が定めているのは、平均的な損害の額を超える部分が無効になるということです。全部が無効になるのではなく、超えた部分だけが無効になります。
ここで重要なのは、基準が「平均的な損害の額」であって、他社の金額でも、自分たちが感じる痛みでもない点です。キャンセルによって実際に生じる損害が基準になります。しかも、解除の事由と時期の区分に応じて判断されます。前日の取り消しと1か月前の取り消しで損害が違うなら、同じ金額を定めることには無理があるということです。
同じ第9条の第2号では、支払いが遅れた場合の違約金についても上限が定められており、年14.6パーセントの割合で計算した額を超える部分が無効とされています。遅延の損害金を定める場合は、この数字が目安になります。
第10条にも関わる定めがあり、消費者の権利を制限し、または義務を加重する条項であって、信義誠実の原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは無効とされています。キャンセルを一切認めないという条項は、この定めに触れる可能性があります。
法律の解釈にわたる判断は、所管の窓口や専門家に確かめてください。ここで示しているのは条文に書かれていることだけです。
他社の相場からキャンセル料を決めてはいけない理由
キャンセル料を決めるとき、同業の他社の割合を調べて同じにする進め方がよく取られます。しかし条文が基準としているのは、自分たちに生じる平均的な損害です。同業でも原価の構造が違えば、損害の額も違います。
具体的に考えます。定員10名の講座で、1名がキャンセルしたときに生じる損害は何でしょうか。会場の費用は定員に関係なく発生しているなら、1名分の損害にはなりません。教材を印刷済みなら、その分は損害です。当日の飲食を人数で手配しているなら、その分も損害です。他の希望者を断っていたなら、その席が埋まらなかったことが損害になります。
つまり、損害の額は取り消しの時期で変わります。2週間前なら他の希望者を案内できるので損害は小さく、前日なら教材も飲食も手配済みなので損害が大きい。この違いを段階として書くのが、条文の考え方に沿った形です。
区分の作り方の目安は3つです。1つ目は、手配が確定する日を境にすることです。会場や飲食の発注が取り消せなくなる日が、金額が変わる自然な境目です。2つ目は、他の希望者を案内できる期間で区切ることです。3つ目は、当日と無連絡の欠席を分けることです。
段の数は2つか3つにとどめます。5段階に分けると、申し込む人が読まなくなり、受け付けた側も自分の表を見ないと答えられなくなります。
計算の進め方を具体例で示します。定員20名の講座で、参加費が1名あたり8,000円だとします。会場の費用が40,000円で人数に関わらず発生し、教材の印刷が1名あたり600円で開催の3日前に発注、飲食が1名あたり1,200円で前日に確定するとします。
この場合、4日前までの取り消しでは、取り消せない費用はありません。他の希望者を案内できる期間でもあります。したがってキャンセル料を定める根拠が薄く、無料にするのが自然です。3日前から前日までは教材の600円が損害になります。参加費に対する割合では7.5パーセントです。当日は教材と飲食を合わせて1,800円で、22.5パーセントになります。
ここで気づくのは、実際の費用から計算すると、よく見かける「当日は全額」という設定の根拠が説明しにくい場合があるということです。全額を請求する根拠になるのは、他の希望者を断っていて席が埋まらなかった場合や、1名ごとに講師への支払いが発生する場合です。自分たちの構造にその要素があるかを確かめてから決めます。
満席になることがない講座で当日に全額を請求する設定は、説明を求められたときに答えにくくなります。逆に、毎回満席で希望者を断っている講座なら、席が埋まらなかったことが損害として説明できます。同じ業種でも、ここで設定が分かれます。
キャンセル料の根拠を説明できるようにする
第9条には、もう1つ実務に直接効く定めがあります。第2項として、事業者は、キャンセル料の条項に基づいて請求する場合において、消費者から説明を求められたときは、その算定の根拠の概要を説明するよう努めなければならないとされています。
この定めが意味しているのは、請求する場面で根拠を聞かれる可能性があるということです。聞かれてから考えるのでは間に合いません。金額を決めた時点で、何をいくらとして計算したのかを社内に書き残しておく必要があります。
書き残す内容は4つです。1つ目は、キャンセルによって取り消せない費用の内訳です。会場、教材、飲食、講師への支払い。2つ目は、その費用が取り消せなくなる日です。3つ目は、1名あたりに割り当てた計算です。4つ目は、その計算をいつ行ったかという日付です。
この記録があると、説明を求められたときに数分で答えられます。記録がないと、担当者が場の判断で説明することになり、次に同じ質問が来たときに違う説明をします。
記録を残す作業には、副次的な効果があります。計算してみると、設定していた金額が実際の損害より高いことに気づく場合があります。高すぎる部分は無効になる定めがあるため、気づいた時点で下げるほうが安全です。
書く手順を5つに分ける
例文を写す前に、決めることを5つの手順として並べます。
1つ目に、取り消しの連絡を受け付ける方法を決めます。電話だけか、メールも受けるか、申し込みと同じフォームから受けるか。ここを決めていないと、連絡したのに届いていないという食い違いが起きます。
2つ目に、時期の区分と金額を決めます。前の章の方法で計算します。
3つ目に、日をまたぐ扱いを決めます。「3日前まで」が何時までなのかを書きます。営業時間を基準にするなら、その時間も書きます。書かないと、前日の23時の連絡が3日前に当たるかどうかで揉めます。
4つ目に、例外を決めます。災害、公共交通の運休、本人や家族の急な病気。どこまでを例外とするかを決めておかないと、担当者ごとに判断が変わります。例外を広く認めると請求できなくなり、狭くすると関係が悪くなるため、決めるときは実際に起きた事例を並べてから判断します。
5つ目に、日程の変更を認めるかを決めます。取り消しではなく日程を変える形を認めると、キャンセル料を請求せずに済む場面が増えます。変更を1回まで無料にするといった形は、双方にとって損が小さい選択です。
例文1|講座やセミナー、教室の申し込み
料金体系によって書き方が変わります。1回ごとに料金を受け取る形の例文です。
丁寧な表現の例です。
「お申し込み後にご都合が変わった場合は、開催日の3日前までにご連絡ください。日程の振り替えを1回まで承ります。開催日の2日前から前日までのお取り消しは受講料の50パーセント、当日のお取り消しおよびご連絡のないご欠席は受講料の全額を、キャンセル料としてご請求いたします。教材のご用意と会場の手配のため、このように定めております。ご連絡は、お申し込み時の受付番号を添えて〇〇までお願いいたします。」
短い表現の例です。
「3日前まで:無料で振り替え可能/2日前から前日:受講料の50パーセント/当日および無連絡の欠席:受講料の全額」
月ごとに料金を受け取る形の場合は、書き方が変わります。1回の欠席で料金が発生する形にすると不満が出やすいため、振り替えの回数で扱うほうが揉めません。
「月ごとの受講料は、ご欠席された回の返金は承っておりません。ただし同じ月の別の日程への振り替えを2回まで承ります。振り替えをご希望の場合は、開催日の前日までにご連絡ください。」
例文2|イベントや体験の申し込み
イベントは、定員が決まっていて、他の希望者を断っている場合があります。その事実を文章に書き添えると、取り消しの連絡が早く届くようになります。
「本イベントは定員制のため、お申し込みいただいた時点でお席を確保しております。ご都合が変わった場合は、できるだけ早くご連絡いただけますと、お待ちいただいている方をご案内できます。開催日の7日前までのお取り消しは無料です。6日前から2日前までは参加費の30パーセント、前日と当日は参加費の全額をキャンセル料としてご請求いたします。」
無料のイベントでは、キャンセル料を定めない代わりに、連絡をお願いする形にします。
「参加費は無料ですが、席数に限りがあるため、ご都合が変わった場合は前日までにご連絡ください。ご連絡のないご欠席が続いた場合、次回以降のお申し込みをお受けできないことがあります。」
後半の一文を書くかどうかは、判断が分かれる部分です。書くと無断の欠席が減りますが、申し込みの心理的な負担が上がります。無料のイベントで申し込みの件数を増やしたい段階では、書かない選択もあります。
例文3|施設や設備の利用の申請
施設の利用は、時間帯で他の利用者を断っている構造が明確なため、段階を分けやすい場面です。
「ご利用日の14日前までのお取り消しは無料です。13日前から7日前までは利用料の30パーセント、6日前から2日前までは50パーセント、前日と当日は全額をキャンセル料としてご請求いたします。ご利用日時の変更をご希望の場合は、7日前までにご連絡いただければ、空いている日時への変更を承ります。」
設備の準備や人の配置が必要な場合は、その事実を1行で添えます。
「ご利用に合わせて設備の設置と当日の担当者を手配しているため、上記のとおり定めております。」
理由を書くかどうかで、受け取られ方が変わります。理由のない割合の一覧は、高いと感じられます。理由が1行あるだけで、納得されやすくなります。
例文4|面談や相談の予約
無料の面談や相談では、キャンセル料を定めないことが多くなります。それでも、枠を確保している事実は同じです。
「ご相談は1件につき60分の枠でお受けしております。ご都合が変わった場合は、前日の17時までにご連絡ください。日程の変更を承ります。当日のお取り消しとご連絡のないご欠席の場合、次のご予約は空いている日程からお選びいただく形になります。」
有料の面談では、金額を明記します。
「前日の17時までのお取り消しは無料です。それ以降のお取り消しとご連絡のないご欠席は、相談料の全額をご請求いたします。」
丁寧な表現と短い表現を、どう使い分けるか
同じ内容を、丁寧な文章と短い箇条書きの2つの形で用意しておくと、載せる場所ごとに使い分けられます。
丁寧な文章が向くのは、申し込みを受け付ける画面と、申し込み後に送る確認のメールです。ここでは理由まで書いて、納得してもらう形にします。
短い形が向くのは、料金の案内のページと、申し込みの直前に表示する確認です。ここでは、読まれることを優先して行数を削ります。
どちらの形でも、避けたい書き方があります。1つは、くだけた言い回しです。読む人を子ども扱いした文章に見えます。平易であることと、くだけていることは違います。2つ目は、責める語調です。「無断キャンセルは絶対にやめてください」と書くと、まだ何もしていない人まで責められた気持ちになります。3つ目は、太字と色を多用することです。全部が強調されていると、どこが大事なのか分からなくなります。
用語は、同じ業種の広く使われているサービスで実際に使われている言葉に合わせます。「取消料」と「キャンセル料」のどちらを使うかは、自分たちの案内全体でそろえます。1つの画面に両方が出てくると、別のものだと読まれます。同じことが「お取り消し」と「キャンセル」にも言えます。どちらでも構いませんが、1つに決めます。
日付の書き方もそろえます。「3日前」と「開催日の3日前」と「開催3日前」が混ざると、数え方が違うのかと読まれます。起点を含むのか含まないのかも、誤解が生まれる部分です。「開催日を含まず3日前まで」と書けば疑問が残りません。
申し込みフォームのどこに載せるか
書いた文章を、どこに配置するかで効き方が変わります。
配置すべき場所は4つです。1つ目は、料金の案内のすぐ下です。金額を見た流れで読まれます。2つ目は、申し込みフォームの送信ボタンの直前です。ここに短い形を配置し、同意の確認を1つ用意します。3つ目は、申し込み完了後に送る確認のメールです。ここには丁寧な形を全文入れます。4つ目は、開催日の数日前に送る案内です。取り消しの期限が近いことをここで知らせると、当日の無連絡が減ります。
このうち最も効くのは4つ目です。申し込んだ時点で読んだ内容は、開催日までに忘れられます。期限の前日に届く案内に「明日までのご連絡で日程の振り替えを承ります」と1行あるだけで、当日の連絡が前日の連絡に変わります。
送信ボタンの直前に同意の確認を用意する場合、確認の文言に注意します。「同意します」だけでは、何に同意したのかが記録に残りません。「キャンセルポリシーを確認しました」という形にして、そのときに表示していた内容の版を記録に残す形にしておくと、後から確かめられます。
取り消しの連絡が届いてからの手順を決める
キャンセルポリシーを書くことと、取り消しの連絡を処理することは別の作業です。処理の手順も先に決めておきます。
受け付けたときにすることは5つあります。1つ目は、取り消しを受け付けたことを本人に返すことです。返していないと、連絡したのに席が残っていたという食い違いが起きます。2つ目は、名簿の状態を更新することです。3つ目は、キャンセル料が発生するかを判断することです。4つ目は、発生する場合の請求の方法を伝えることです。5つ目は、空いた席を他の希望者に案内するかを決めることです。
このうち5つ目は、意外と忘れられます。定員のあるイベントで、取り消しの連絡を受けたのに空席のまま開催するのは、双方にとって損です。待っている人の一覧を持っておき、取り消しが出たらそこから案内する流れを決めておきます。
請求の方法についても先に決めます。すでに受け取っている料金から差し引くのか、後から請求書を送るのか。返金が発生する場合、振込の手数料をどちらが負担するのかも書いておきます。ここを書いていないと、少額の返金で手数料の話が揉めます。
返金の期限も書きます。「30日以内にお振り込みいたします」と書いておけば、いつ入るのかという問い合わせが減ります。書かないと、翌日から問い合わせが来ます。
予約を受け付ける段階で減らせる無断キャンセル
キャンセルポリシーは、起きた後の扱いを決めるものです。起きる件数そのものを減らす手も、あわせて用意しておきます。
1つ目は、開催日の前に案内を送ることです。前の章で触れたとおり、これが最も効きます。7日前と前日の2回送る形が扱いやすく、7日前は取り消しの期限を伝え、前日は当日の持ち物と集合の場所を伝えます。
2つ目は、申し込みの画面で日時を確認させることです。日時を選んだ後に、選んだ内容を大きく表示してから送信させます。日を1日間違えたまま申し込む人は実際にいて、その人は当日に来ません。悪意はなく、確認の画面が無かったことが原因です。
3つ目は、申し込みの控えに日時をはっきり書くことです。件名に日時を入れておくと、受信箱を探すときに見つかります。控えが見つからないと、都合が変わったときに連絡先が分からず、無連絡になります。
4つ目は、取り消しの連絡を1手で済ませられるようにすることです。控えのメールに取り消しの連絡先を書き、できれば申し込みと同じ経路から連絡できる形にします。電話をかけないと取り消せない形にすると、電話をかけにくい人が無連絡になります。
5つ目は、無料のものに少額の料金を設定することです。無料の予約は軽く扱われる傾向があり、少額でも料金が発生すると無断の欠席が減ると言われています。ただし申し込みの件数自体が減るため、集めたい段階では選べない手です。
よくある失敗と、直し方
失敗として多いのが4つあります。
1つ目は、書いてあるのに請求していない状態です。一度でも請求しなかった前例ができると、次の人にも請求しにくくなります。請求しないと決めるなら、書いてある金額を下げるか、請求しない範囲を文章に書きます。実態と文章がずれている状態がいちばん揉めます。
2つ目は、時期の区分が曖昧なことです。「直前のキャンセル」「早めのご連絡」といった表現は、人によって解釈が違います。日数で書きます。
3つ目は、取り消しの連絡の窓口が1つしかないことです。電話だけにしておくと、営業時間外に都合が変わった人が連絡できません。連絡できなかった結果、当日の無連絡になります。申し込みと同じ経路から取り消しの連絡を受けられる形にすると、この取りこぼしが減ります。
4つ目は、受け付けた取り消しの記録が残らないことです。電話で受けた取り消しをメモで運ぶと、担当者が伝え忘れた時点で、来ない人の席を空けられません。取り消しの連絡も、申し込みと同じ一覧に記録する形にしておく必要があります。
5つ目は、キャンセルポリシーを変えたことを申し込み済みの人に伝えていない場合です。すでに申し込んだ人には、申し込んだ時点の内容が適用されます。変えた内容を後から適用すると、説明できない状態になります。変えた日付を記録し、その日以降の申し込みから適用する形にします。過去の申し込みに新しい内容を当てるのは避けてください。
6つ目は、キャンセルポリシーが複数の場所に書かれていて、内容が違っている場合です。料金のページと、申し込み画面と、利用規約の3か所に書いて、1か所だけ古いまま残っているという状態は実際によく起きます。原本を1か所に決めて、他の場所からはそこを参照する形にすると、更新の漏れが起きません。
受け口の設計として見たときに決まること
キャンセルポリシーが実際に機能するかどうかは、文章の出来ではなく、申し込みと取り消しを同じ場所で扱えるかで決まります。
申し込みはフォームで受け、取り消しは電話とメールで受けている状態だと、いま誰が来る予定なのかが1か所では分かりません。当日の朝に名簿を作り直す作業が発生し、その作業の中で漏れます。届いた1件に、いまどの状態なのか、取り消しの連絡を受けたのか、キャンセル料を請求したのかという情報が付いていないと、二重の連絡と請求の漏れが起きます。送信されたあとの道具がそろっている形にしておけば、届いた時点で担当と状態が付き、いまどこで止まっているかを人に聞かずに読み取れます。
いまGoogleのフォームで申し込みを受けていて、取り消しの連絡だけメールで受けている場合、送信されたあとに何が残るかの違いはGoogleフォームとの比較に整理しています。自社のサイトに自作のフォームを設置している場合の考え方はContact Form 7との比較に、社内がMicrosoft 365でそろっている場合はMicrosoft Formsとの比較にまとめています。
受け付けるものの種類によって、キャンセルポリシーの重さは変わります。定員のあるイベントでは1件の取り消しが空席に直結するため、期限と連絡の経路を厳しめに決めます。この場面の作業の流れはイベントの申し込みに整理しています。回を重ねる講座では振り替えの扱いが中心になるため、こちらは講座の受講申し込みに、時間帯を確保する施設の利用は施設利用の申請に、日々の窓口としての受け付けは問い合わせの受付に、それぞれ整理しています。
受け口に何を持たせられるかはできることに、実際の画面の動きは動くところを見るで確かめられます。申し込みと取り消しの扱いについて出やすい疑問はよくある質問にまとめています。
進める順序としては、まず取り消せない費用を書き出して平均的な損害を計算し、次に区分を2つか3つに決め、例文を自分たちの言葉に直し、最後に4つの場所に配置する。計算の根拠は社内に書き残す。この順序で進めれば、請求できる形と、関係を保つ形の両方を成立させられます。
Q1. キャンセル料は他社と同じ割合にしておけばよいですか?
よくありません。消費者契約法第9条は、平均的な損害の額を超える部分が無効になると定めています。基準は自分たちに生じる損害であり、他社の金額ではありません。取り消せない費用の内訳と、それが確定する日を書き出して計算します。同業でも原価の構造が違えば損害の額も違います。
Q2. キャンセル料の根拠を聞かれたら答える必要がありますか?
消費者契約法第9条第2項では、キャンセル料を請求する場合において消費者から説明を求められたときは、算定の根拠の概要を説明するよう努めなければならないとされています。聞かれてから考えるのでは間に合わないため、金額を決めた時点で、何をいくらとして計算したのかを社内に書き残しておきます。
Q3. 「一切キャンセルできません」と書いてもよいですか?
避けたほうがよい書き方です。消費者契約法第10条は、消費者の権利を制限し、または義務を加重する条項であって、信義誠実の原則に反して消費者の利益を一方的に害するものを無効と定めています。取り消しを認めない条項はここに触れる可能性があります。法律の解釈にわたる判断は所管の窓口や専門家に確かめてください。
Q4. キャンセルポリシーはどこに載せるのが効果的ですか?
4か所です。料金の案内のすぐ下、申し込みフォームの送信ボタンの直前、申し込み完了後に送る確認のメール、そして開催日の数日前に送る案内です。最も効くのは4つ目で、期限の前日に届く案内に振り替えの案内を1行添えるだけで、当日の無連絡が前日の連絡に変わります。