チャットボットでFAQに答えさせる取り組みは、導入の前に決めることのほうが多い種類の仕事です。質問と回答をたくさん用意すれば動くように見えて、実際には「どこまで答えさせるか」を決めていないと、使われないまま画面の隅に残ります。
この記事では、チャットボットのFAQの作り方を、答えられる範囲の決め方から始めて、作り方の2通り、質問と回答の書き方、答えられなかったときの受け皿、運用での直し方まで順番に並べます。FAQページとどちらを先に作るべきかという判断も扱います。窓口を担当している人が、いまの手作業のどこに効くのかを見極められるところまで書きます。
FAQチャットボットとFAQページの使い分け
最初に決めるのは、そもそもチャットボットが向く場面かどうかです。両方を作るのが正解ではなく、抱える質問の数で向き不向きが分かれます。
Q&Aの数については、目安としてチャットボットであれば300件以下、FAQページであれば300件以上の取り扱いが向いています。「チャットボットのほうがユーザー目線で回答を用意できるから、多くの質問を扱えるのでは?」と思うかもしれませんが、Q&Aの数が多すぎると、ユーザーが目的とする回答を表示させるまでに時間がかかってしまいます。 出典: persol-bd.co.jp
理由は、探し方の違いにあります。FAQページは一覧を目で追えるので、自分の質問がどのあたりにあるかを見当で掴めます。チャットボットは1問ずつ往復するため、選択肢が多いと、たどり着く前に往復の回数が増えます。往復が4回を超えると、聞いたほうが早いと判断される場面が増えます。
一方で、チャットボットが明確に強い場面もあります。1つ目は、質問の言い方がばらつく場面です。同じことを違う言葉で聞かれるとき、一覧から探させるより、打ち込んでもらったほうが着きます。2つ目は、条件で答えが変わる場面です。契約の種類や申し込みの時期で答えが分かれるとき、順に聞いていく形が向きます。3つ目は、営業時間の外です。
実務的な順番としては、FAQページを先に整え、そこから件数の多い上位を取り出してチャットボットに載せる形が確実です。チャットボットを先に作ると、載せる中身が決まらないまま画面だけが立ち上がります。
先に決める:答えられる範囲
作り方の成否を分けるのは、質問の数ではなく範囲の決め方です。ここを曖昧にしたまま始めると、あとで作り直しになります。
範囲の決め方は3つの線引きで足ります。
1つ目は、答えが1つに定まる質問だけを載せることです。「申込書はどこに出しますか」は定まります。「この経費は通りますか」は定まりません。後者を載せると、条件を聞き返す往復が長くなり、最後に人へ引き継ぐことになります。最初から人に渡したほうが速い質問は、載せません。
2つ目は、間違えても被害が小さい質問に絞ることです。締切の日付や手続きの場所は、間違えると相手が実害を受けます。料金や契約の条件も同じです。この種類は、答えを載せるのではなく、正しい情報が書かれた場所へ案内する形にします。
3つ目は、更新の頻度が低い質問を選ぶことです。制度や価格に紐づく質問は、変わるたびに直す手間が発生します。手順の質問は年に数回しか変わりません。最初に載せるのは、変わらないものからです。
範囲を決めたら、範囲の外を明示します。画面の最初に「この窓口で答えられること」を書いておくと、期待の置き場所がずれません。何でも聞けるように見せて答えられない状態が、いちばん評価を落とします。
作り方は2通りある
チャットボットのFAQを作る方法は、大きく2つに分かれます。
前述してきたように、FAQチャットボットを作る方法には「自社で開発する」方法と「ツールを使う」方法の2種類があります。 出典: persol-bd.co.jp
自社で作る形は、既存の仕組みと細かくつなぎたい場合に向きます。受付の記録と同じ場所に会話の内容を残す、契約の状態によって答えを変える、といった要件があるときです。反面、作ったあとの手入れが自分たちの仕事として残ります。質問を1つ足すたびに開発の手が必要になる作りにすると、運用が止まります。
ツールを使う形は、質問と回答の登録を担当者が自分でできることが利点です。窓口の担当が、届いた質問をその日に足せる状態が作れると、内容が育ちます。選ぶときの確認ポイントは、回答の登録に開発の手が要らないか、答えられなかった質問が記録されるか、人への引き継ぎができるか、そして会話の記録をどこに保存するかの4点です。
判断の順番としては、まずツールで始めるのが現実的です。自社で作る判断は、ツールで回してみて、どうしても足りない部分が具体的に見えてからで構いません。最初から作ると、要件が想像で決まります。
費用の考え方も違います。ツールは月ごとの費用がかかり、自社で作る形は最初の費用が大きく、あとの手入れに人の時間がかかります。どちらが安いかは、質問を足す頻度で決まります。
ルールベースとAI型の違い
もう1つの分かれ道が、答えの出し方です。
ルールベースは、あらかじめ決めた選択肢と分岐で答えを出します。「料金について」「手続きについて」といったボタンを押してもらい、順に絞っていく形です。挙動が予測できるので、間違った答えが出ません。作るときの手間は、分岐の設計に集まります。
AIを使う形は、打ち込まれた文章から意図を推測して答えを出します。言い方のばらつきに強く、選択肢を押させる往復が不要になります。反面、意図の取り違えが起きます。似た言葉の別の質問に、自信のある文章で答えてしまうことがあり、読む側は文章が整っているほど信用します。
選び方の目安は、扱う質問の性質です。手順の質問が中心で、間違えたときの被害が小さいなら、ルールベースで足ります。言い方のばらつきが大きく、質問の種類も多いなら、AIを使う形が向きます。費用は、AIを使う形のほうが高くなる傾向があります。
実務では、両方を組み合わせる形が多く取られます。最初の入口はボタンで大きく分け、その先で打ち込みを受ける。こうすると、意図の取り違えが起きる範囲を狭められます。
どちらを選んでも共通して必要なのは、答えの根拠がどこにあるかを示すことです。回答の末尾に、元になっている案内のページを示しておくと、読む人が自分で確かめられます。
入口の置き場所を決める
中身が良くても、置き場所を間違えると使われません。判断の基準は「その質問が浮かぶ画面から、何回のクリックで着くか」だけです。
社外向けなら、質問が浮かぶ場所は決まっています。料金の説明を読んでいるとき、申し込みの画面を開いているとき、手続きの案内を読んでいるとき。この3つの画面に入口があれば、探させずに済みます。サイトの全ページに常時出す形は、必要のない画面でも視界を占めるため、閉じられる回数が増えます。
社内向けなら、全員が一日に何度も開いている画面が最有力です。チャットが主戦場の組織なら、チャットの中で呼び出せる形が強くなります。新しい画面を立てて、そこへ来てもらう形は最後の手段です。新しい場所は、覚えてもらう手間が別に発生します。
開いたときの見え方も決めておきます。最初から会話の窓が開いている形は、気づかれやすい反面、読んでいる内容を隠します。小さなボタンだけを置く形は邪魔になりませんが、気づかれません。判断の目安は、そのページに来た人の用が決まっているかどうかです。申し込みの画面のように用が決まっている場所では開いた状態、読み物のページでは閉じた状態が合います。
スマートフォンでの見え方は、パソコンとは別に確かめます。画面が狭いため、会話の窓が本文を覆ってしまうことがあります。受け取る側の手元にある端末で、実際に最後まで会話してみるのが確実です。
作り方の手順
ここからが実作業です。手順は6つで、最初の版は3週間ほどで形になります。
手順1:届いた質問を書き出す
想像で質問を作らないことが要点です。直近3カ月に届いた問い合わせを、原文のまま1件1行で書き出します。要約すると、相手が使った言葉が消えます。打ち込まれる言葉と一致させるために、原文が必要です。
手順2:件数の多い順に並べ、上位だけ選ぶ
内容で束ねて件数を数え、多い順に並べます。上位30件までを最初の範囲にします。全部載せようとすると、往復が長くなり、公開も遅れます。
手順3:入口の分け方を決める
最初に見せる選択肢を決めます。数は5つまでです。分け方は組織の部署ではなく、相手の用件で分けます。「人事について」ではなく「休みの申請」「経費の精算」のように、相手が自分の用を見つけられる言葉にします。
手順4:回答を書く
1つの回答は3行までを目安にします。会話の画面は表示できる範囲が狭く、長い文章は読まれません。詳しい内容は、案内のページへのリンクを添える形にします。
手順5:答えられなかったときの道を作る
ここを飛ばすと、使われなくなります。詳しくは次の節で扱いますが、人へ渡す経路を必ず用意します。
手順6:答えられなかった質問を記録する設定にする
公開したあとに何を足すかは、この記録が決めます。記録が取れない設定で始めると、次に何を書けばよいかが勘になります。
分岐の組み方
ルールベースで作る場合、手間のほとんどが分岐の設計に集まります。組み方には、後から困らない形があります。
深さは3段までに抑えます。入口で大きく分け、次で絞り、3段目で答えを出す。4段以上になると、途中で離脱する人が増えます。3段で収まらない質問は、そもそも範囲の外です。
1つの画面に並べる選択肢は5つまでにします。それ以上並べると、読む側が全部を見比べずに、いちばん上を押します。押した先が違えば戻る操作が発生し、戻る操作が入ると離脱します。
選択肢の言葉は、相手の用件で書きます。組織の部署名や、社内で使っている業務の呼び名を出すと、相手はどれを押せばよいか判断できません。「経費精算システムについて」ではなく「立て替えたお金を返してもらう」のように書きます。
戻る道と、最初に戻る道を必ず置きます。押し間違えたときに前へ戻れないと、会話を閉じられます。閉じられた会話は、記録の上では離脱として残りますが、原因は分岐の設計ではなく戻れないことです。
分岐の途中でも、人へ渡る道を残します。3段目まで進んでから初めて「該当なし」に当たる形は、相手の時間を使わせたうえで役に立たなかったことになります。各段に1つ、人へ渡る選択肢を置いておきます。
組んだあとは、自分で全部の道を通します。通していない道が1本でもあると、そこが公開後に切れていることがあります。道の数は、選択肢の数を掛け算した数になるため、深さを3段に抑える理由はここにもあります。
質問と回答の書き方
文章の書き方で、使われるかどうかが決まります。ポイントは5つです。
打ち込まれる言葉で見出しを作ります。「年次有給休暇の取得申請手続について」ではなく「有休を取りたい」です。規程の名前から入る書き方は、規程の名前を知っている人しか着けません。規程の名前は、回答の中に置きます。
回答は結論から書きます。1行目に「どこに、何を、いつまでに」を置きます。背景と例外は、そのあとです。会話の画面では、1行目しか読まれないことが普通です。
1つの回答に1つのことだけ書きます。関連する話を続けて書くと、画面が長くなり、必要な部分が流れます。関連は別の質問として登録し、回答の下に候補として並べます。
例外は、切り出さずに同じ回答の中に短く書きます。ただし例外が3つを超える質問は、チャットボットに向きません。人に渡します。
言い切ります。「原則として〜と考えられます」という書き方は、読んだ人がもう一度聞きに来ます。判断が要る場合は、濁さずに「この条件に当てはまるときは窓口に相談してください」と書き、相談先を示します。
答えられなかったときの受け皿
チャットボットのFAQで、いちばん設計が甘くなるのがここです。答えられなかったときに会話が終わってしまうと、相手は別の経路で同じ質問を送ってきます。こちらの仕事は減りません。
受け皿の形は3つあります。
1つ目は、人に渡すことです。営業時間内なら、その場で担当につなぐ形がもっとも早く終わります。ただし、常に人が構えている必要があるため、一人で回している窓口では難しい場合があります。
2つ目は、そのまま問い合わせとして受け付けることです。答えられなかった質問文を、そのまま受付の記録に流します。この形なら、相手は打ち込んだ内容をもう一度書く必要がありません。会話の内容が受付の記録に残るので、返信するときに経緯が見えます。
3つ目は、案内のページへ送ることです。もっとも安い形ですが、相手の用が済まないまま終わるので、上の2つが取れないときの代替になります。
どの形を選んでも、受け皿に流れた件数を数えておきます。この件数が、載せる質問を増やすべきかどうかを決めます。受け皿に流れる割合が半分を超えている場合、範囲の決め方が実際の質問と合っていません。
運用:記録を見て直す
チャットボットのFAQは、公開した日が完成ではありません。運用の設計を作成と同じ重さで考えます。
見る記録は4つです。1つ目は、会話が始まった件数。2つ目は、答えにたどり着いた件数と、その割合。3つ目は、答えられずに受け皿へ流れた質問の文言。4つ目は、途中で離脱した位置です。
3つ目がもっとも価値があります。打ち込まれた文言がそのまま残るので、次に登録すべき質問が決まります。想像で質問を増やす作業が不要になります。
4つ目の離脱の位置は、分岐の設計の欠陥を示します。特定の選択肢のあとで多く離脱している場合、その先の選択肢が相手の用と合っていません。選択肢の言葉を変えるだけで改善することが多い部分です。
直す頻度は、公開の直後は週に一度、落ち着いたら月に一度で足ります。手を動かす時間は、週に20分を固定しておくと続きます。月に一度まとめて2時間取る形は、たいてい飛びます。
回答の内容が古くなる合図は3つです。制度や料金が変わったとき、案内のページを直したとき、そして同じ質問が受け皿に繰り返し流れているときです。3つ目は、登録済みの回答が読まれていても足りていない合図です。
費用と手間をどう見積もるか
判断のために、かかるものを分けて見ます。費用は3つに分かれ、手間は2つに分かれます。
費用の1つ目は、道具そのものの費用です。月ごとに払う形が主流で、会話の件数や登録できる質問の数で段階が分かれている製品が多くあります。無料で試せる期間が用意されていることが多いので、実際の質問で試してから決めます。金額と条件は変わるため、契約の前にその会社の料金ページで当日の値を確かめます。
2つ目は、最初に載せる中身を作る費用です。自社の担当が書くなら費用としては出ませんが、時間として出ます。上位30件を書くのに、1件15分を見ると、7時間半ほどになります。
3つ目は、つなぎ込みの費用です。受付の記録や社内の仕組みと連携させる場合に発生します。最初はつながずに始めて、必要が具体的に見えてから足すほうが無駄が出ません。
手間の1つ目は、公開までの作業です。質問の書き出し、分岐の設計、回答の執筆、全部の道を通す確認。上位30件の規模なら、3週間ほどで形になります。
手間の2つ目は、公開したあとの手入れです。ここを見落とすと止まります。答えられなかった質問を読み、足し、古い回答を直す作業が、週に20分から30分ほど続きます。この時間を確保できないなら、載せる範囲をもっと狭めて始めるほうが確実です。
回収の見方は、減った問い合わせの件数に、1件あたりの対応時間を掛ける形です。手順の質問が月に100件届いていて、1件に10分かかっているなら、その半分が消えるだけで月に8時間ほど空きます。判断の材料は、この時間と上の費用を並べるだけで足ります。
メリットとデメリットを並べる
期待の置き場所を決めるために、両方を並べておきます。
メリットの1つ目は、営業時間の外でも答えが返ることです。問い合わせの一定の割合は、就業時間の後に届きます。ここで手順の質問が片付くと、翌朝の件数が減ります。
2つ目は、同じ答えが同じ言葉で返ることです。人が口頭で答えると、担当ごとに微妙にずれ、ずれが次の問い合わせを生みます。
3つ目は、探す手間が減ることです。一覧から探すより、聞いて答えが返る形のほうが、慣れていない人には速いです。問い合わせをする人の構成も、少しずつ変わってきています。
「企業に対して電話での問い合わせを行う人のうち40%以上が高齢者である」というデータもありますので、問い合わせを行う人口の増加は今後さらに加速するといえます。 出典: persol-bd.co.jp
デメリットは3つです。1つ目は、載せた範囲の外を聞かれたときに、相手の時間を使わせてしまうこと。2つ目は、回答が古くなると、古い答えが自然な文章で返ってしまうこと。3つ目は、作る手間と直す手間が継続して発生することです。
判断の目安は、手順の質問が全体の何割を占めるかです。ここが3割を超えていれば、効果が出ます。判断が要る質問ばかりの窓口では、チャットボットより受付の記録を整えるほうが先です。
公開する前に確かめる7つ
公開の直前に見る項目を決めておくと、公開後の手直しが減ります。
1つ目は、答えられる範囲が画面の最初に書いてあるか。何でも聞けるように見せていないかを確かめます。
2つ目は、分岐の全部の道を1回通したか。通していない道は、切れていても気づけません。
3つ目は、各段に人へ渡る道があるか。3段目まで進んでから該当なしに当たる形になっていないかを見ます。
4つ目は、答えられなかった質問が記録される設定になっているか。ここが切れていると、公開後に何を足せばよいかが勘になります。
5つ目は、スマートフォンで本文が隠れていないか。受け取る側の手元にある端末で、最後まで会話してみます。
6つ目は、回答の中のリンクが実際に開くか。案内のページの場所が変わっていることがあります。
7つ目は、持ち主と見直しの間隔が決まっているか。名前と、次に見る日を書いておきます。
加えて、公開のあと最初の1週間は、会話の記録を毎日見ます。想定と違う入り方をされている箇所は、この期間にほぼ全部出ます。よく打ち込まれている言葉を入口の選択肢に足すだけで、たどり着く割合が上がります。1週間を過ぎたら、週に一度の間隔に落として構いません。
この7つは、公開のたびに同じ順で見ます。項目を増やすほど確認が飛ぶので、増やさずにこの形で回すほうが続きます。
つまずきやすいところ
失敗した例には、はっきりした型があります。
1つ目は、質問を載せすぎたものです。数百件を載せると、たどり着くまでの往復が増え、使われなくなります。上位だけに絞るほうが、結果的に使われます。
2つ目は、範囲を示していないものです。何でも聞けるように見せると、答えられなかったときの失望が大きくなります。最初に答えられることを書いておくだけで、印象が変わります。
3つ目は、人への経路を隠しているものです。問い合わせを減らしたいという意図で人への道を狭めると、相手は電話をかけてきます。経路を隠すと、記録に残らない問い合わせが増えるだけです。
4つ目は、答えられなかった質問を記録していないものです。これが無いと、何を足すべきかが分かりません。
5つ目は、公開したあと誰も見ていないものです。持ち主を決めて、見る時間を固定しておきます。 持ち主の決め方も書いておきます。全体の持ち主は、範囲と分岐と公開の状態を管理します。分野ごとの持ち主は、制度や料金が変わったときに自分の担当分の回答を直します。持ち主が決まっていない状態で公開すると、半年で内容が古くなり、以降は使われなくなります。名前と、次に見直す月を、登録した回答と同じ場所に書いておきます。答えられなかった質問を読む担当も、同じ人に寄せておくほうが判断が揃います。
6つ目は、案内のページと内容がずれているものです。案内を直したときに、チャットボットの側を直す作業を手順に入れておきます。両方に同じことを書いている状態は、必ずずれます。片方を正として、もう片方はそこへ案内する形にしておくと、ずれません。
受付の記録とつなぐ
チャットボットのFAQは、それ単体では完結しません。答えられなかった質問がどこへ流れ、誰が返すのかまで決まって初めて、窓口の手間が減ります。
無料で使えるフォームは、集めるところまでは十分に強く、届いたあとに担当と状況を持たせる部分は手元の表で補う形になります。この線引きを整理したGoogleフォームとの比較は、受け皿の側に何が足りないのかを見分ける材料になります。社内の仕組みでそろえたい場合はMicrosoft Formsとの比較のほうが近い話です。
受付の性質によって、受け皿に必要なものは変わります。随時届く問い合わせは、返信したかどうかと担当が誰かが残ることが先です。問い合わせの受付には、窓口を1つにまとめるときの考え方がまとまっています。修理や保守のように経緯を追う必要があるものは、修理・サポートの受付のほうが近い形です。
答えられなかった質問を人が返す部分で何ができると楽になるかは、できることに一覧があります。送信されたあとの道具がそろっていると、チャットボットが取り切れなかった分を人が拾う経路が短くなります。画面の動きを先に見たい場合は動くところを見るが早く、費用の考え方を確かめるなら料金を見てから決める順番になります。実際に公開されているよくある質問は、1問1論点で結論から書く形の見本としても読めます。
会話の内容には、氏名や連絡先が含まれることがあります。保存の期間と削除の決め方は、公開する前に整えておきます。考え方の出発点としては個人情報保護委員会の公開資料が参照先になります。法律の解釈が絡む判断は、所管の窓口や専門家に確かめてください。
チャットボットのFAQの作り方を1行にすると、答えられる範囲を決め、届いた質問の上位だけ載せ、答えられなかったものを記録して足す、になります。載せる数を増やすより、受け皿と記録が決まっているかどうかで結果が分かれます。
Q1. チャットボットとFAQページはどちらを先に作るべきですか?
FAQページを先に整えるほうが確実です。抱える質問の数の目安として、チャットボットは300件以下、FAQページは300件以上が向くと言われています。先にFAQページを作り、件数の多い上位30件ほどを取り出してチャットボットに載せる順番だと、載せる中身が決まった状態で公開できます。
Q2. 最初に登録する質問は何件くらいが目安ですか?
上位30件までです。直近3カ月に届いた問い合わせを原文のまま書き出し、内容で束ねて件数の多い順に並べ、上から30件だけ回答を書きます。載せすぎると目的の回答にたどり着くまでの往復が増え、聞いたほうが早いと判断されます。残りは運用の記録を見ながら足します。
Q3. ルールベースとAIを使う形は、どう選べばよいですか?
手順の質問が中心で、間違えたときの被害が小さいならルールベースで足ります。質問の言い方のばらつきが大きく、種類も多い場合はAIを使う形が向きます。入口をボタンで大きく分け、その先で打ち込みを受ける組み合わせにすると、意図の取り違えが起きる範囲を狭められます。
Q4. 答えられなかった質問はどう扱えばよいですか?
そのまま問い合わせとして受け付ける形が、相手の手間がいちばん小さくなります。打ち込まれた文言を受付の記録に流せば、相手は同じ内容を書き直さずに済み、返信する側も経緯が見えます。あわせて受け皿に流れた件数を数え、半分を超える場合は載せる範囲を見直します。