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ワークフローの承認ルートの決め方|人が増えても止まらない形

2026年9月29日 ・ Halict編集部

ワークフローの承認ルートを決める作業は、紙の回覧に並んでいた判子の順番をそのまま写すことではありません。誰が承認するかよりも、承認者が不在のときにどう進むか、条件によって道が分かれる場所をどこに置くかで、運用の楽さが決まります。この記事では、基本になる3つの型の違いと向き不向き、しきい値の決め方、組んだあとに必ず問題になる細かい仕様までを、判断の順序として整理します。

承認ルートは、承認する人の一覧ではない

承認ルートを決めてほしいと頼まれると、多くの場合まず出てくるのは役職の一覧です。課長、部長、本部長、そして経理。この一覧は出発点にはなりますが、これだけではルートになりません。

ルートとして成立するには、3つが決まっている必要があります。1つは、次に進む条件です。前の人が承認したら進むのか、全員がそろってから進むのか。2つ目は、止まったときにどうなるかです。承認者が1週間見ていない申請は、待ち続けるのか、別の人に回るのか。3つ目は、差し戻しの行き先です。却下されたとき、申請者に戻るのか、1つ前の承認者に戻るのか。

この3つが決まっていないルートは、動き始めた初日から例外の相談が来ます。相談が来るたびに担当者が人の手で回すことになり、電子化した意味が薄れます。

社内申請では、申請者である社員が必要書類を作成し、上長や担当部署の責任者が申請内容を確認したうえで承認を行うといったプロセスが一般的です。しかし、このようなプロセスを非効率と感じたことはないでしょうか。 出典: desknets.com

非効率さの正体は、承認者の人数ではありません。人数が多くても、待たずに並行して進む形なら時間はかかりません。逆に承認者が2人でも、1人ずつ順番に待つ形で、片方が出張中なら1週間止まります。ルートの設計で縮められるのは、承認にかかる実作業の時間ではなく、待ち時間です。

基本の3つの型と、それぞれが向く場面

承認ルートの型は、大きく3つに分けて語られます。

ワークフローを作成したいけど、承認ルートをどのように決めればいいか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。 ワークフローの承認ルートには、主に 「直線型」「並列型」「分岐型」の3つ があります。 承認ルートを正しく設定することは、文書の申請から承認までの時間の短縮につながります。 出典: manage.coel-inc.jp

直線型は、1人が承認したら次の1人へ進む形です。順番に意味がある申請に向きます。前の承認者が中身を確かめてから、次の承認者がその判断を前提に見る。責任の順序がはっきりするのが特徴です。

並列型は、複数の承認者に同時に送る形です。公式の説明では、各ユーザーの承認は他のすべての承認者から独立していると書かれています。関係する部署が複数あり、それぞれが自分の観点だけで見る申請に向きます。人事は在籍と資格を見て、経理は予算を見て、情報システムは権限を見る。互いの判断を待つ必要がない場合は、並列にしたぶんだけ日数が縮みます。

分岐型は、申請の中身によって進む道を変える形です。金額、部署、種類、緊急度。条件に当てはまるときだけ承認者が増える、あるいは減る形になります。

この3つは排他ではなく、組み合わせて使うのが普通です。分岐で道を分けたあと、片方の道の中で並列にする。並列で3つの部署が見たあと、直線で最終承認に進む。こういう形が実務ではよく現れます。

直線型のメリットとデメリット

直線型のメリットは、責任の所在が読みやすいことです。いま誰のところで止まっているかが1人に絞られるので、催促の宛先が明確になります。承認の記録も1本の線として残り、あとから追うときに読む順序が決まっています。

もう1つのメリットは、途中で止める判断がしやすい点です。1段目で却下されれば、2段目以降の人は中身を読む必要がありません。承認者の時間を無駄にしないという意味では、直線型がいちばん効率的です。段階的な承認の例として、公式のチュートリアルでは、一定の金額を超える請求書について、財務部門が承認する前に事前承認を要求する運用が挙げられています。

デメリットは、待ち時間が足し算になることです。1人あたり平均1日で返ってくる職場でも、4人の直線型なら4日かかります。1人が出張や休暇で3日見なければ、その3日がそのまま全体に乗ります。

もう1つのデメリットは、後ろの承認者が前の判断に引きずられることです。1段目が承認していると、2段目は「問題ないのだろう」と読んでしまいます。それぞれが独立して見るべき観点があるなら、直線にしないほうが本来の目的に合います。

直線型が向くのは、承認の段数が2段までで、判断の順序に意味がある申請です。3段以上の直線型は、待ち時間が読めなくなるので、途中を並列に組み替えられないかを検討する価値があります。

並列型のメリットとデメリット

並列型のメリットは、待ち時間が最も遅い1人の時間で決まることです。3人に同時に送れば、全員が1日で返す職場では1日で終わります。直線型なら3日かかっていたものが1日になります。

デメリットは、誰も先に中身を確かめていないことです。書式の不備や添付の漏れがある申請が、そのまま3人全員に届きます。3人が同じ指摘を返してきて、申請者が同じ修正を3回説明する事故が起きます。これを避けるには、並列に入る前に形式だけを見る1段を置きます。中身の判断ではなく、必要な項目が埋まっているかだけを見る段です。

並列型を組むときに必ず引っかかるのが、分岐の外に置いたステップの動き方です。公式の説明では、ワークフロー全体の下部にある新しいステップのボタンで追加したステップは、以前のすべての分岐が完了した後に実行されるとされています。つまり「全員の結果をまとめて申請者に知らせる」処理は分岐の外に置けばよく、「自分の分だけ結果を知らせる」処理は分岐の中に置くことになります。この置き場所を間違えると、1人が承認した時点で全体が承認されたという通知が飛びます。

もう1つのデメリットは、1人が却下したときの扱いが自動では決まらないことです。3人のうち1人が却下したとき、残りの2人の承認を待つのか、その場で止めるのか。並列型では、この判断を自分で書き足す必要があります。書き足していないと、却下されたのに残りの2人に承認を求め続ける形になります。

分岐型で決める、しきい値の置き方

分岐型で最も多いのは、金額による分岐です。ここで決めるのは、分ける金額と、分けた先の承認者です。

しきい値を決めるときのポイントは、いまの申請の金額の分布を数えることです。ほとんどの申請が3万円以下に集まっているなら、しきい値をそこに置けば、大半の申請が短いルートで終わります。分布を見ずに切りのよい金額で決めると、申請の8割が長いルートに入る設計になることがあります。

しきい値は、多すぎないほうが扱いやすくなります。段を3つ以上作ると、申請者が自分の申請がどの段に入るのかを把握できなくなり、承認者側も「この金額は自分が見るのか」を毎回考えることになります。2段で足りるなら2段にします。

金額以外の条件では、部署と種類による分岐がよく使われます。部署による分岐は、組織が変わるたびに直す必要があるため、維持の手間が大きくなります。部署名を条件に書き込む代わりに、申請者の上司を取得する仕組みを使って、組織図の側の変更が自動で反映される形にできる場合があります。この考え方は、申請を作った人の上司を取得してから承認を依頼する組み方として、公式のチュートリアルでも使われています。

緊急度による分岐は、慎重に扱う価値があります。急ぎを選ぶと承認者が減る設計にすると、全員が急ぎを選びます。急ぎで承認者を減らすのではなく、急ぎでは締め切りを短くして催促を早く出す形にすると、選ぶ動機が偏りません。

ルートを組む手順

手順は、道具の設定から始めません。紙とメールで動いているものを、先に文字に落とします。

1段目は、いま存在する申請の種類を数えることです。数えると、たいてい想定より多くなります。全部を電子化する必要はありません。件数の多いものと、遅れが問題になっているものを上に置きます。

2段目は、1つの申請について、実際に動いた事例を3件たどることです。理想の流れではなく、直近に実際に通った3件です。この3件で、承認者が誰だったか、何日かかったか、途中で止まった場所がどこかを書き出します。理想の流れだけを見て組むと、実際に起きている例外が全部抜け落ちます。

3段目は、3件に共通する道を直線か並列で表し、共通しない部分を分岐として切り出す作業です。この順序でやると、分岐の数が最小になります。最初から分岐を並べると、実際には一度も通らない道を作ってしまいます。

4段目は、必須の項目を決めることです。承認を求める仕組みでは、承認の種類、タイトル、割り当て先が必須の項目とされています。このうち割り当て先は、個人のアドレスを直接書くか、上司を取得する仕組みから受け取るかで、後の維持の手間が変わります。

5段目は、少人数で通してみることです。公式の解説でも、動作の確認は実際の利用の場面を想定して、自分以外の数人に申請してもらうことがすすめられています。自分1人で試すと、承認者の側に届いたときの見え方や、権限が足りない場合の挙動が確かめられません。

組んだあとに効いてくる、細かい仕様

ルートの形が決まってからつまずくのは、たいてい仕様の細部です。

条件の判定に使う応答の文字列は、公式の説明では承認と却下の2つが有効な応答とされていて、大文字と小文字が区別されます。条件の右側に入れる文字を1文字でも間違えると、承認されているのに却下の側の道に進みます。しかも動作の確認で承認だけを試していると、この間違いは見つかりません。承認と却下の両方を必ず試します。

申請が長く止まる可能性がある場合は、期間の上限が問題になります。公式の案内では、実行の期間が30日を超える可能性がある場合は、承認のデータを専用の保存先に置く形にすると説明されています。この形にすると、最初の実行がタイムアウトしたあとでも、承認への応答で動く仕組みを作れます。年に数回しか動かない申請や、長期の案件に紐づく承認では、最初からこの前提で組みます。

送った承認を取り消せるかどうかも、先に確かめておく点です。公式の記載では、取り消しの機能は特定のアクションでサポートされているとされています。申請の内容を間違えて送ったときに取り消せないと、承認者に「却下してください」と頼む運用になります。

社外の人に承認を求める場合は、追加の準備が必要になります。公式の案内では、組織外のユーザーに承認要求を送るには、ゲストとして招待し、役割を割り当てることで、承認の過程に参加するために必要な権限が与えられると説明されています。取引先の担当者に承認してもらう設計を考えているなら、この準備を見込んでおきます。

承認者が結果を返す場所も、運用の楽さに関わります。承認者はメールの受信箱からも、専用の画面からも、スマートフォンのアプリからも応答できます。メールから返せる形にしておけば、承認者に新しい画面の使い方を覚えてもらう必要がなくなります。

人が増えても止まらないための4つの決め

ルートの形が良くても、人の事情で止まります。止まらないようにするには、4つを決めておきます。

1つ目は、不在のときの代理です。承認者が休暇のあいだ、誰が代わるのかを決めます。代理を立てない場合は、何日待ったら次に進むのかを決めます。どちらも決めていない状態が、いちばん止まります。

2つ目は、欠員のときの扱いです。承認者の役職が空いている期間は、組織のどこかで必ず発生します。空いているあいだは1つ上が見るのか、横の同格が見るのか。個人のアドレスを直接書き込んだルートは、この場面で必ず直す作業が発生します。

3つ目は、催促の出し方です。何日で催促を出すのか、催促は承認者だけに出すのか、申請者にも見えるのか。承認者だけに出す形にすると、申請者は自分の申請が止まっていることに気づけません。止まっていることが申請者から見える形にしておくと、催促の連絡そのものが減ります。

4つ目は、記録をどこまで残すかです。誰がいつ承認したか、コメントを何と書いたか。この記録は、あとから経緯を問われたときの唯一の手がかりになります。承認のコメントを本文に取り込んで申請者に知らせる形にしておけば、承認の理由が申請者の側にも残ります。

紙の回覧をそのまま写すと、なぜ遅くなるのか

電子化の入口で最もよく起きるのが、紙の回覧板の順番をそのまま設定に写す作業です。写すこと自体は間違いではありませんが、紙のときに必要だった手順のうち、いくつかは電子化すると不要になります。

紙で順番に回していた理由の1つは、書類が1枚しかなかったことです。同時に2人が見ることは物理的にできないので、順番に回すしかありませんでした。電子化すると、同じ内容を何人が同時に見てもかまいません。紙のときの順番に、判断の順序としての意味がなかったのであれば、並列に組み替えられます。

もう1つの理由は、途中の人が内容を書き足していたことです。回ってきた書類に金額の内訳を足す、部署のコードを記入する。この作業がある場合は、順番に意味があります。ただし電子化するなら、その項目を最初から申請の設問にできる場合が多く、書き足しの段そのものを消せます。

3つ目は、確認したという証跡を残すためです。ここは電子化しても残ります。ただし紙の場合は判子を押した人の一覧が並ぶだけでしたが、電子化すると誰がいつ何を見たかまで記録できます。証跡のために段を増やす必要は無くなります。

紙のルートを写す前に、それぞれの段が3つのうちどれのためにあるのかを確かめます。1つ目と2つ目が理由だった段は、消すか並列にできます。3つ目だけが理由の段は、記録として残すだけで済み、待ち時間を発生させる必要がありません。

写す作業でもう1つ注意する点は、紙のときに存在した「机の上に置いておく」という状態が、電子化すると消えることです。紙なら目の前に積まれているので忘れませんが、電子化すると画面を開かないかぎり見えません。催促の仕組みを用意していないと、紙のときより遅くなる申請が出ます。電子化して遅くなったという声は、ほとんどがこの理由から来ています。

却下と差し戻しを、別のものとして設計する

承認ルートの設計で抜けやすいのが、通らなかったときの道です。ここには2つの違うものが混ざっています。

1つは却下です。内容を見て、認めないという判断です。この場合は申請者に戻して終わりになります。同じ内容で再申請しても同じ結果になるので、何が理由で認められなかったのかをコメントとして残すことが重要になります。

もう1つは差し戻しです。判断の前に、書き直してほしいという状態です。添付が足りない、金額の内訳が無い、日付が間に合っていない。この場合は申請者が直して再度出すことが前提になります。

この2つを1つの「却下」として扱うと、記録が読めなくなります。あとから数えたときに、認められなかった申請と、書式を直して通った申請が同じ数字に混ざります。改善の材料にしたいのは後者の数で、そこが多いなら申請の画面に説明を足せば減ります。

仕組みの上では、承認の応答が承認と却下の2つに限られる場合があります。その場合は、差し戻しを表すために別の手を使います。よく使われるのは、却下のコメントの冒頭に決めた言葉を入れる形と、差し戻し専用の段を1つ前に置く形です。前者は運用の決めごとだけで済みますが、機械で数えるときに文字を頼りにすることになります。後者は設定が増えますが、数字として分けて追えます。

差し戻しで大事なのは、どこまで戻るかです。3段の直線型で3段目が差し戻したとき、申請者まで戻るのか、2段目に戻るのか。申請者まで戻す形にすると、直したあとに1段目と2段目が同じ内容をもう一度見ることになります。同じ内容を2度見せると、2度目は読まれません。どこまで戻すかは、申請の種類ごとに決めます。

承認にかかる日数を、段ごとに測る

ルートを直す判断の材料になるのは、全体で何日かかったかではなく、どの段で何日止まったかです。

全体の日数だけを見ていると、直す場所が決まりません。5日かかった申請があったとして、5人が1日ずつだったのか、1人が4日で残りが即日だったのかで、打つ手はまったく違います。前者なら段の数を減らす話になり、後者なら特定の承認者の負荷か不在の話になります。

測り方は難しくありません。申請が各段に入った時刻と、応答があった時刻の差を段ごとに記録します。承認を求める仕組みには、要求を作った時刻と応答の時刻が残るので、そこから取れます。手で回している申請でも、1か月だけ紙に書いて数えれば十分な材料になります。

見るのは平均ではなく、いちばん遅かった数件です。平均は、即日で返っている大多数に引っ張られて小さく出ます。困っているのは遅い数件を待っている申請者なので、そこを見ます。

測った結果で多いのは、承認の段ではなく、申請の前後で止まっているという結論です。申請の書き方が分からず提出までに数日かかっている、承認が終わったあとに処理する人が週に1度しか見ていない。この2つはルートを直しても縮みません。前者は申請の画面の説明で、後者は処理の頻度の見直しで縮みます。どこが遅いかを測らずにルートを組み替えると、動かした割に日数が変わらないという結果になります。

承認ルートを見直す合図と、その進め方

一度組んだルートは、放っておくと現実と合わなくなります。見直しの合図は3つあります。

1つ目は、人の手で回している申請が出てきたことです。ルートに乗らない申請を担当者がメールで回し始めたら、そのルートは現実の一部を表せていません。その申請が何で乗らないのかを聞けば、足りない分岐が分かります。

2つ目は、同じ承認者が常に承認していることです。100件連続で承認だけを返している段は、判断の段ではなく通過の段になっています。通過するだけなら、承認を求める段としてではなく、記録を送る段に変えられます。待ち時間が1段ぶん消えます。

3つ目は、組織が変わったことです。部署の統合や分割があると、部署名を条件に書き込んだ分岐は動かなくなります。動かなくなったことは、申請が止まってから気づく形になりやすいので、組織の変更が決まった時点でルートの見直しを予定に入れます。

見直しの進め方は、組むときと同じです。直近に実際に通った3件をたどり、いまのルートと突き合わせます。違っている場所だけを直します。全部を作り直すと、動いていた部分まで壊すことになります。

見直しの結果を記録に残すことも、あとから効いてきます。いつ、何を、何のために変えたのか。これが残っていないと、次に見直す人が「この分岐はなぜあるのか」を推測することになり、用途の分からない分岐を残したまま複雑さだけが積み上がります。

専用の道具と、いまある道具の比較

選び方の話に入る前に、承認を回す道具は大きく2つに分かれることを押さえておきます。

1つは、承認のための専用の道具です。ルートの形を画面で組めて、代理や催促の仕組みが最初から入っています。メリットは、決めたことをそのまま設定に写せる点です。デメリットは、申請の入口も含めて1つの道具に寄せることになり、社外から届く申し込みの受付までは持っていないことが多い点です。

もう1つは、いまある道具を組み合わせる形です。表計算ソフトやフォーム、業務の自動化の仕組みを繋いで作ります。無料で使える範囲から始められるのがメリットで、200を超えるサービスと繋がる仕組みもあります。デメリットは、組んだ人しか直せない状態になりやすい点です。異動でその人が抜けると、止まったときに誰も原因を追えません。

選び方の基準は、申請の種類の数です。種類が少なく、変更もめったに起きないなら、組み合わせる形で足ります。種類が10を超え、しきい値や承認者が年に何度も変わるなら、専用の道具のほうが維持の手間が小さくなります。おすすめの進め方としては、まず1つの申請を組み合わせの形で通してみて、維持にかかる手間を測ってから決めることです。

どちらを選ぶ場合でも、先に決めた不在時の代理と催促の決まりが、設定として書き込める形になっているかを確かめます。書き込めない道具では、その2つを人が覚えて運用することになり、担当が替わった時点で失われます。

社外から届くものは、承認の前段が問題になる

承認ルートの設計で見落とされやすいのが、申請が社内から出るのか、社外から届くのかという違いです。

社内の申請なら、申請者は社員なので、ログインできて、書式を教えられて、不備があれば直してもらえます。社外から届く申し込みは条件が違います。回答者にアカウント登録を求めると、そこで手続きをやめる人が出ます。不備があっても、こちらから直してもらう手段がメールしかありません。

そのため、社外から届くものでは承認ルートの前に受け口の設計が効きます。届いた時点で必要な項目がそろっているか、添付が付いているか、誰が受け付けたのかが記録に残るか。ここが崩れていると、承認ルートに入る前の段階で人の手による確認が積み上がります。

公募や助成の受付では、締め切りの直前に件数が集中し、そのまま審査の順番待ちになります。受け付けた順番と、審査の進み具合を別々に追える形が必要になります。この場面での作業の流れは助成金・公募の受付に、施設や設備の利用申請のように承認が要るものは施設利用の申請に、窓口としての受け付けは問い合わせの受付にそれぞれ整理しています。

社内が Microsoft 365 でそろっていて、申請を Forms で受けている場合の考え方はMicrosoft Formsとの比較に、Googleのフォームで受けている場合はGoogleフォームとの比較に、送信されたあとに何が残るかの違いとしてまとめています。

承認ルートを組む価値がいちばん大きいのは、申請の中身を判断する時間より、待ち時間と催促の連絡に時間を取られている場合です。送信されたあとの道具がそろっている形にしておけば、届いた1件に担当と状態が最初から付き、いまどこで止まっているかを人に聞かずに読み取れます。どこまでを1つの画面で持てるかはできることに、人数で決まる料金の考え方は料金に、運用を始める前に出やすい疑問はよくある質問にまとめています。

Q1. 承認ルートの型は、どれから検討すればよいですか?

実際に通った直近3件をたどって、共通する道を先に決めます。共通部分を直線か並列で表し、共通しない部分だけを分岐として切り出すと、分岐の数が最小になります。最初から分岐を並べると、一度も通らない道を作ってしまい、維持の手間だけが増えます。

Q2. 承認者が出張や休暇で不在のとき、どうすればよいですか?

不在時の代理を決めるか、何日待ったら次へ進むかを決めます。どちらも決めていない状態がいちばん止まります。あわせて、止まっていることが申請者の側から見える形にしておくと、催促の連絡そのものが減ります。

Q3. 並列型と直線型では、どれくらい日数が変わりますか?

直線型は承認者の待ち時間が足し算になるため、1人あたり1日で返る職場なら4人で4日かかります。並列型は最も遅い1人の時間で決まるので、同じ条件なら1日で終わります。ただし並列型では形式の不備が全員に届くため、前段に形式だけを見る段を置く必要があります。

Q4. 金額による分岐のしきい値は、どう決めればよいですか?

いまの申請の金額の分布を数えて、大半の申請が短いルートで終わる位置に置きます。切りのよい金額で決めると、申請の大半が長いルートに入る設計になることがあります。段は2つで足りるなら2つにとどめ、3つ以上作らないほうが申請者も承認者も迷いません。

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