整体院の受付をしていると、忙しい日と暇な日の差は肌で分かります。ところが「先月の問い合わせは何件でしたか」と聞かれると、答えられる院は多くありません。件数が分からないと、返信が遅れているのかどうかも、どの時間帯を取りこぼしているのかも判断できません。
この記事は、整体院の問い合わせを数える手順と、数えた結果から取りこぼしている時間帯を見つけるところまでを並べたものです。集計の道具を入れ替える前に、いまの受け方のままでも数えられる部分から始めます。
数えることから始める理由
感覚は当たらない
受付をしている人に「問い合わせが多いのはいつですか」と聞くと、たいてい即答が返ってきます。ところが実際に数えてみると、答えとずれることがよくあります。印象に残るのは、忙しい時間に重なって届いたものや、対応に手間取ったものです。静かな時間に一件だけ届いて、すぐ返して終わったものは記憶に残りません。
記憶に残る件数と、実際に届いた件数は別物です。時間帯ごとの分布を見ると、思っていたより夜が多かった、あるいは平日の昼が多かった、といったことが出てきます。この差が、そのまま取りこぼしになっている可能性があります。
直したかどうかを判断できるようにする
数えるもうひとつの理由は、手を入れた効果を判断するためです。返信のひな形を作った、入り口の案内文を変えた、受付の担当を増やした。こうした変更が効いたかどうかは、前後の数字を比べないと分かりません。
数字が無いと、変えたあとの印象だけで判断することになります。印象で判断すると、効かなかったものを続け、効いたものをやめてしまうことが起こります。公的な統計の考え方でも、数字は判断の基盤として位置づけられています。
この法律は、公的統計が国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報であることにかんがみ、公的統計の作成及び提供に関し基本となる事項を定めることにより、公的統計の体系的かつ効率的な整備及びその有用性の確保を図り、もって国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とする。 出典: www.soumu.go.jp
院の集計はこれとは規模がまったく違いますが、判断の基盤にするという点は同じです。数えていない状態で運用を変えるのは、目を閉じて動かすのと変わりません。
数えると、増やすべき入り口も見える
数えて分かるのは、取りこぼしだけではありません。どの入り口から来た人が来院に進んでいるかも見えます。フォームから来た人と、電話から来た人と、地図サービスから来た人では、来院に進む割合が違うことがあります。
違いが分かれば、力を入れる場所が決まります。案内を出す場所、返信を厚くする入り口、減らしてよい入り口。感覚だと、対応が大変だった入り口ばかりが印象に残り、実際に成果が出ている入り口を軽く見てしまいます。
難しい集計は要らない
はじめから細かく分けようとすると続きません。整体院の受付で必要なのは、四つの数字と、それを時間帯で割った表だけです。表計算のひとつのシートに収まります。
最初に数える四つの数字
届いた件数
まず、問い合わせが何件届いたかを数えます。ここで気をつけたいのは、入り口が複数あることです。サイトのフォーム、電話、地図サービスのメッセージ、通話アプリ、紙の申込書。全部を合わせないと、実際の件数になりません。
入り口ごとの内訳も同時に取ってください。フォームからが3割で電話からが7割という院と、その逆の院では、手を入れる場所が変わります。ここを最初に分けておかないと、あとで見直すときにやり直しになります。
営業の連絡は別に数えるか、除いてください。混ぜて数えると、実際に来院につながりうる問い合わせの件数が分からなくなります。
返した件数と、返すまでの時間
次に、届いたもののうち何件返したかを数えます。全部返しているつもりでも、数えると返していないものが出てきます。特に、判断が要るもの、他の人に回したもの、断りづらいものが残ります。
同時に、届いた時刻と返した時刻を記録してください。この二つがあると、返すまでにかかった時間が出ます。整体院では、この時間の長さが来院につながるかどうかを分けます。数時間で返した問い合わせと、翌日の夕方に返した問い合わせでは、結果が変わります。
来院に進んだ件数
三つめは、問い合わせのうち何件が実際の来院になったかです。ここを数えていない院がほとんどですが、いちばん大切な数字です。件数が増えても来院が増えていないなら、増えているのは営業の連絡か、返信で離脱している問い合わせのどちらかです。
数え方は、予約表と突き合わせるだけです。問い合わせの記録に「来院した」の印を付けられる形にしておけば、月末に数えるのは数分で終わります。
種類ごとの内訳
四つめは、どんな内容の問い合わせが何件かです。初回の予約、料金の質問、症状の相談、予約の変更、場所と駐車場、法人の申請。この内訳が分かると、返信のひな形をどこから作るべきかが決まります。
時間帯で割る
整体院の問い合わせは、営業時間の外に寄る
四つの数字がそろったら、時間帯で割ります。ここが取りこぼしを見つける肝です。整体院の問い合わせは、来院者が仕事をしていない時間に届きます。つまり、院が開いていない時間や、施術で手が離せない時間に集まります。
時間帯の区切りは、次の五つで足ります。
| 区切り | 時間 | 受付の状況 |
|---|---|---|
| 早朝 | 開院前 | 受付が不在 |
| 午前 | 開院から昼まで | 施術中で手が離せない |
| 昼 | 昼休みの前後 | 来院者の休憩時間と重なる |
| 夕方から夜 | 閉院前 | 施術が立て込む |
| 深夜 | 閉院後 | 受付が不在 |
この五つで割って、届いた件数と、返すまでにかかった時間の平均を並べます。並べると、届く件数が多いのに返すのが遅い区切りが浮かび上がります。そこが取りこぼしている時間帯です。
曜日でも分ける
時間帯と合わせて、曜日でも割ってください。整体院では、休診日の前日と、休診日そのものに届いた問い合わせの扱いで差が出ます。休診日に届いたものを翌営業日の夜に返していると、待ち時間が二日近くになります。
土曜日曜に営業している院では、逆に平日の夜が薄くなることがあります。どちらにしても、休診日の前後で返信が滞っていないかを確かめてください。
数字は月単位でまとめる
日ごとに見ると、ばらつきが大きすぎて判断できません。一日の件数は数件から十数件で、そこに偶然が乗ります。1か月分をまとめて、時間帯ごとの合計と平均で見てください。それでも判断に足りないと感じるなら、二か月分を足します。
取りこぼしの型
型1 深夜に届いて、翌日の夕方に返している
いちばん多い型です。閉院後に届いた問い合わせを、翌日の施術がすべて終わってから返しています。届いてから返すまでが20時間を超えます。
送った側は、その間に他の院にも問い合わせています。先に返ってきたところで決めることが多く、返信の順番がそのまま結果になります。この型が見つかったら、開院前の十五分に返す時間を作るのが最初の手です。
型2 昼休みに届いて、施術中で見ていない
来院者が昼休みに送ってくる型です。届く件数は多いのに、受付は午後の施術に入っていて見ていません。夕方に見たときには、他で決まっていることがあります。
この型は、通知が届く形になっているかどうかで変わります。届いた瞬間に手元に知らせが来れば、施術の合間の数分で一次返信だけ返せます。
型3 休診日の前日に届く
休診日を知らずに問い合わせてくる人がいます。前日の夜に届いて、休診日を挟んで、翌営業日に返す。二日以上空きます。
入り口の案内文に休診日と返信の期日を書くだけで、この型はかなり減ります。書いてあれば、待つ側も予定が立ちます。
型4 電話が鳴っても取れない
電話が主な入り口になっている院では、取れなかった電話が取りこぼしそのものです。ところが、取れなかった電話は記録に残りません。着信の履歴を見れば残っていますが、数えている院はほとんどありません。
月に一度、着信履歴を見て、応答できなかった件数を数えてください。その数が多い時間帯が分かれば、フォームや留守番の案内をそこに寄せるという手が打てます。
型5 返したつもりで返していない
複数人で受けている院で起きます。誰かが返したと思って、誰も返していない。あるいは二人が別々に返して、内容が食い違う。返信したかどうかが表に残らないと、二重返信と返し忘れは必ず起きます。
この型は、数えるだけでは見つかりません。届いた件数と返した件数を突き合わせて、差の分を一件ずつ確かめる必要があります。差が出たら、状態を持たせる形に変えるのが直し方です。
実際にどう数えるか
表計算で数えるときの列
いまの受け方を変えずに始めるなら、表計算で足ります。列は次の九つで足ります。
・届いた日付 ・届いた時刻 ・入り口。フォーム、電話、地図サービス、通話アプリ、紙 ・種類。初回予約、料金、症状、変更、場所、法人、営業 ・担当。誰が対応するか ・返した日付 ・返した時刻 ・来院したかどうか ・備考
この九列があれば、時間帯ごとの件数も、返すまでの時間も、来院に進んだ割合も出せます。列を増やしたくなりますが、増やすほど入力が面倒になり、続かなくなります。まずはこの九つで一か月回してください。
手で入力する運用の限界
表計算で数える方法の弱点は、入力が手作業になることです。届くたびに入力するのは、忙しい日ほど飛ばされます。飛ばした日の分は、あとから思い出して埋めることになり、時刻が不正確になります。
現場では、手入力の集計は数か月で止まると言われています。止まる理由は意志の弱さではなく、施術の合間に画面を開く余裕が無いことです。一か月分の傾向をつかむための調査としては有効ですが、続ける前提の仕組みとしては弱い。
自動で残る形にする
続けて数えるなら、届いた時点で記録が残る形にするのが確実です。フォームから届いたものは、届いた時刻が自動で入ります。返信をその画面から出せば、返した時刻も残ります。状態が持てれば、未返信の件数もその場で分かります。
入り口の道具を選ぶときに見るべきなのは、送信できるかどうかではありません。送信されたあとの道具がそろっているかどうかです。届いた一件に担当と状態を持たせられるか、返信の履歴が残るか、期間で絞って数えられるか。回答が表に落ちたあとをどう追うかという観点の違いはGoogleフォームとの比較にまとめてあります。自前のサイトに埋め込んで使っている場合はContact Form 7との比較のほうが近い内容です。
電話をどう数に入れるか
電話は自動では残りません。受けたその場で、同じ場所に一件として記録する運用にすると、集計が一本になります。聞くことをひな形にしておけば、通話しながら入力しても手間になりません。名前、連絡先、症状の出はじめた時期、来られる時間帯、他の医療機関にかかっているかどうか。この五つです。
紙のメモに書いて後から入力する形は、入力されないまま溜まります。電話の分だけ別で管理すると、時間帯の分析ができなくなります。
数える前に、言葉の決めごとを置く
何をもって1件と数えるか
集計を始めると、最初につまずくのがここです。同じ人が同じ日にフォームと電話の両方から連絡してきたら、1件なのか2件なのか。返信のやり取りが三往復したら、3件なのか1件なのか。
決め方は、目的から逆算します。取りこぼしを見つけたいのですから、数えるのは「新しく発生した相談」です。同じ相談の中でのやり取りは、何往復しても1件です。同じ人が別の日に別の相談で連絡してきたら、2件になります。フォームと電話の両方から同じ相談が来た場合は1件で、入り口は先に届いたほうを記録します。
この決めごとを紙に書いて、集計する人が見える場所に貼ってください。書いておかないと、数える人によって基準がぶれます。ぶれた数字を並べて比べても、何も分かりません。
同じ人からの複数の連絡
整体院では、同じ人から予約の変更やキャンセルの連絡が繰り返し来ます。これを初回の予約と同じ扱いで数えると、件数が膨らんで実態が見えなくなります。
種類の欄で分けておけば、あとから除いて数えられます。初回の予約と、既に来院している人からの連絡は、性質がまったく違います。前者は取りこぼしが起きると来院が失われますが、後者は多少遅れても関係が切れることは少ない。同じ表に入れても構いませんが、集計するときは分けてください。
営業の連絡をどう扱うか
広告や仕入れの売り込みは、問い合わせの窓口に必ず届きます。件数としては無視できない量になることがあります。これを混ぜて数えると、届いた件数が増えているのに来院が増えない、という読み違いが起きます。
種類の欄に「営業」を作って、集計のときに除いてください。ただし、除いた件数も横に控えておくと役に立ちます。営業の連絡が受付の時間をどれだけ食っているかが分かり、入り口の設計を見直す材料になります。
一週間の試し集計をやってみる
用意するもの
いきなり一か月分を数えようとすると、途中で止まります。まずは一週間だけ試してください。用意するのは、九つの列を作った表計算の一枚と、記録する担当を決めることの二つだけです。
担当は一人にしてください。全員で記録すると、基準がぶれて数え漏れが出ます。一週間なら一人で回せます。
一日の終わりにやること
閉院後に、その日届いた分をまとめて入力します。届いた時刻は、フォームなら記録に残っていますし、電話なら通話の履歴から拾えます。思い出しで書くのは避けてください。時刻が不正確だと、時間帯の分析ができなくなります。
入力にかかるのは、一日5分ほどです。件数が多い院でも十分で終わります。この五分が取れない日が続くようなら、そもそも受付が回っていない合図と考えてください。
一週間後に出す表
一週間たったら、時間帯の五区切りで件数を集計します。あわせて、区切りごとに返すまでの時間の平均を出します。この二つを並べた表が、最初の材料です。
一週間分だと件数が少なく、断定はできません。それでも、深夜に届いたものの返信が翌日の夕方になっているといった大きな傾向は見えます。見えたところから直し始めて、続けて一か月分を取ってください。
出てきた表の読み方
平均だけを見ない
返すまでの時間は、平均だけを見ると実態を外します。ほとんどを一時間以内に返していても、一件だけ三日かかったものがあると、平均が大きく引っ張られます。
平均と一緒に、いちばん遅かった件数と、その中身を見てください。遅れているのが判断の要るものばかりなら、直すのは返信の速さではなく、判断を回す仕組みです。院長の確認待ちで止まっているのなら、確認のタイミングを決めるだけで解決します。
件数の少ない区切りは無理に読まない
早朝や深夜は、件数が少ないことがあります。週に一件や二件しか届かない区切りについて、割合を出して比べても意味がありません。件数がひと桁の区切りは、しばらく数字を積んでから判断してください。
読み違えやすいのは、件数が少ない区切りで来院に進んだ割合が高く出ることです。分母が小さいだけで、実力とは関係ありません。この見誤りは、そこに人を張り付けるといった判断につながるので注意してください。
数字が動かないときに疑うところ
手を入れたのに数字が動かないとき、疑う順番があります。まず、本当にその手が実行されているかです。返信の時間を作ったつもりでも、実際には別の仕事に使われていることがあります。次に、直した場所と数字がずれていないかです。返信を速くしたのに来院が増えないなら、遅さは原因ではなかったということです。
最後に、記録の取り方が変わっていないかを確かめてください。途中で数え方の基準を変えると、前後が比べられなくなります。基準を変えるときは、変えた月をはっきり記録に残してください。
数字を見て、何を変えるか
返信の時間を動かす
時間帯の表で、届く件数が多く、返すのが遅い区切りが見つかったら、そこに返信の時間を寄せます。深夜に多いなら開院前、昼に多いなら午後の最初の施術の前。一日に二回、十五分ずつで足ります。
寄せたあと、翌月の同じ表を作って比べてください。返すまでの時間の平均が縮んでいれば効いています。縮んでいないなら、時間を作っても実際には使われていない可能性があります。
一次返信を挟む
すぐに詳しい返信ができない時間帯には、一次返信を挟むという手があります。「本日中にあらためて詳しいご案内をお送りします」という一行だけでも、待つ側の不安は大きく減ります。
一次返信を入れた月と入れなかった月で、来院に進んだ割合を比べてください。ここが動くようなら、続ける価値があります。
入り口の案内文を変える
場所と駐車場の質問が多いなら、案内文と署名にその情報を入れます。料金の質問が多いなら、料金の案内をサイトの見やすい位置に置きます。種類ごとの内訳を取っているからこそ、どこを直せばよいかが分かります。
問い合わせを減らすのは悪いことではありません。答えが先に書いてあれば、迷わず予約に進みます。窓口に届くのは、書いてあることでは解決しない相談だけになります。受け付ける場面ごとの整理は問い合わせの受付にまとまっています。
人を増やす前にできること
件数が増えたときに、まず人を増やそうとする院があります。増やす前に、いまの数字を見てください。取りこぼしている時間帯が特定の二時間に集中しているなら、そこだけを埋める手立てで足ります。
一日中人がいないと回らないのか、特定の時間だけなのか。数えていれば、この判断ができます。数えていないと、感覚で人を増やすことになります。
集計を続けるための工夫
記録する人を固定しない
一週間の試しは一人で回せますが、続けるとなると別です。特定の一人に任せると、その人が休んだ日の分が抜けます。抜けた日があると、月の合計が実態より少なく出ます。
続ける段階では、届いた時点で自動的に記録が残る形にして、人が入力する部分を電話の分だけに絞ってください。人の手を必要とする箇所が少ないほど、抜けは減ります。
集計の日を決める
月末に思い出したときに集計する運用は、忙しい月に飛びます。飛んだ月があると、比べる材料が欠けます。月初の決まった日に、前の月の分を集計すると決めてください。所要は十分ほどです。
決めた日にやる人と、見る人も決めておいてください。誰も見ない数字は、そのうち作られなくなります。
最初の三か月は粗くてよい
始めたばかりの数字は、基準が固まっていないぶん粗くなります。粗いことを理由にやめないでください。三か月ほど続けると、数え方が安定して、比べられる数字になります。
最初から完璧な集計を作ろうとすると、設計だけで数か月が過ぎます。九つの列で始めて、足りないと感じた列だけを足していくほうが、結果的に早く使える形になります。
月次で見る数字と、その並べ方
毎月見る五つ
一か月ごとに見る数字を五つに絞ります。増やすと見なくなります。
・届いた件数。営業の連絡を除いたもの ・返した件数と、未返信の件数 ・返すまでの時間の平均 ・来院に進んだ件数と、その割合 ・入り口ごとの内訳
この五つを並べた行を、月ごとに積んでいくだけで、年間の推移が見えます。表計算の一枚で足ります。
比べるのは前年の同じ月
整体院の問い合わせには季節の波があります。年末年始、大型連休、年度の変わり目で動きます。前の月と比べると、この波を実力の変化と読み違えます。
比べるのは、前の年の同じ月です。前年の記録が無ければ、まずは今年分を積むところから始めてください。一年たてば比べられるようになります。
数字を院内で共有する
集計を受付だけが持っていると、変えるときに合意が取れません。月に一度、五分だけ数字を見る時間を作ってください。院長が把握していれば、返信の時間を作ることや、案内文を変えることが決めやすくなります。
共有するときは、細かい表ではなく五つの数字だけを見せてください。表を渡されても読まれません。
数字から見える、整体院ならではの傾向
症状の相談は時間がかかり、来院につながりやすい
種類ごとに、返すまでの時間と来院に進んだ割合を並べてみると、性質の違いがはっきりします。症状の相談は、判断が要るぶん返信までに時間がかかります。一方で、そこまで書いて送ってくる人は本気度が高く、来院につながりやすい。
つまり、いちばん時間がかかる種類が、いちばん取りこぼしてはいけない種類ということになります。ここに気づくと、優先順位が変わります。判断が要るものを後回しにする習慣があるなら、そこを先に回す形に変えてください。
場所と駐車場の質問は、来院直前の人からのもの
場所や駐車場を聞いてくる人は、すでに来院を決めています。返信が速ければそのまま来ますし、遅ければ当日に迷います。この種類は、返信の速さよりも、案内文と署名に情報を載せることで消せます。
消せる問い合わせは消して、消せない問い合わせに時間を使う。数えていると、この振り分けができます。
料金の質問は比べている段階
料金を聞いてくる人は、複数の院を比べている最中です。返信の順番が結果に直結します。この種類が多い時間帯が分かれば、そこに返信の時間を寄せる価値があります。
来院に進んだ割合を種類ごとに出しておくと、どの種類にどれだけ手をかけるべきかが数字で判断できます。感覚だと、対応が大変だった件ばかりが記憶に残り、判断が偏ります。
数えられない状態を先に直す
入り口が多すぎると数えられない
数えようとして最初にぶつかるのが、入り口の多さです。五か所から届いていると、五か所を毎日見て回ることになります。これは続きません。
入り口を減らすのが最初の手です。減らせないものについては、届く先を一か所に集められないかを考えてください。集約できれば、数えるのも返すのも一度で済みます。入り口の数を減らすことは、集計と取りこぼしの両方に効きます。
返信の履歴が別の場所にあると数えられない
入り口を集約しても、返信を別の場所から出していると、返した時刻が残りません。届いた記録と返した記録が別々にあると、突き合わせる作業が発生します。突き合わせは一件ずつ手で行うことになり、月に何十件もあると現実的ではありません。
届いた場所からそのまま返せる形になっていれば、この作業は要らなくなります。集計を軽くする最短の道は、届く場所と返す場所を同じにすることです。
記録が消える経路をやめる
通話アプリの履歴は流れます。個人の受信箱は本人しか見られません。紙のメモは無くなります。数えることを前提にするなら、記録が残る経路にそろえる必要があります。
そろえたうえで数えると、集計は月末の数分で終わります。そろっていないと、集計そのものが一日仕事になり、二か月目でやめることになります。受け取ったあとに何ができるかの一覧はできることにあります。実際の動きは動くところを見るから確かめられます。
数えたあとに残る仕事
集計は、それ自体が目的ではありません。取りこぼしている時間帯を見つけて、そこに手を打つための道具です。表を作って満足してしまう院は少なくありません。表を作ったら、必ずひとつだけ手を打ってください。ひとつに絞るのは、効果を確かめるためです。同時に三つ変えると、どれが効いたのか分からなくなります。
打つ手は、いちばん件数が多くて返すのが遅い区切りに対して選びます。返信の時間を作るのか、一次返信を挟むのか、案内文を直すのか。選んだら翌月の表で確かめて、効いていれば残し、効いていなければ別の手に替える。この繰り返しが、集計を続ける意味です。
費用の考え方
集計のために道具を替えるかどうかは、機能の数では判断できません。判断の材料は、いま集計にかかっている時間と、取りこぼしている件数です。取りこぼしを一件減らすことの価値は、院ごとの単価と通う回数から自分で計算できます。その数字と道具の費用を並べれば、判断は自然に決まります。金額の考え方は料金に整理があります。導入の前に出やすい疑問はよくある質問に並べてあります。仕様は変わるので、確かめるときはその時点の公式の資料を見てください。
最後に、数えることの効き目についてひとつだけ付け加えます。数え始めた院で最初に起きる変化は、表の数字が改善することではありません。受付が「今日はまだ二件返していない」と把握した状態で一日を終えるようになることです。把握しているだけで、翌朝の動きが変わります。取りこぼしを減らす仕組みは、この把握から始まります。
Q1. 整体院の問い合わせは、何から数え始めればよいですか?
届いた件数、返した件数と返すまでの時間、来院に進んだ件数、入り口ごとの内訳の四つから始めてください。この四つがあれば、時間帯で割って取りこぼしを見つけられます。細かく分けようとすると入力が面倒になり続きません。まずは一か月分だけ、表計算の一枚に記録してみてください。それだけで、感覚と実際のずれがはっきり見えます。
Q2. 時間帯はどう区切って集計すればよいですか?
早朝、午前、昼、夕方から夜、深夜の五つで足ります。整体院の問い合わせは、来院者が仕事をしていない時間に届くため、院が開いていない時間や施術中に集まります。この五つで割って、届いた件数と返すまでの時間の平均を並べてください。件数が多いのに返すのが遅い区切りが、取りこぼしている時間帯です。曜日でも割ると、休診日の前後の滞りが見えます。
Q3. 表計算で数える方法でも続けられますか?
一か月分の傾向をつかむ調査としては十分です。ただし、届くたびに手で入力する運用は、忙しい日ほど飛ばされます。飛ばした分をあとから思い出して埋めると、時刻が不正確になります。続けて数えるなら、届いた時点で時刻が自動で残り、返信もその画面から出せる形にするのが確実です。集計が月末の数分で終わるかどうかが、続くかどうかの分かれ目になります。
Q4. 電話で来る問い合わせは、どう数に入れればよいですか?
受けたその場で、フォームから届いたものと同じ場所に一件として記録してください。聞くことをひな形にしておけば、通話しながら入力しても手間になりません。紙のメモに書いて後から入力する形は、入力されないまま溜まります。あわせて、月に一度は着信の履歴を見て、応答できなかった件数も数えてください。取れなかった電話は記録に残らず、取りこぼしとして見えません。
Q5. 集計した数字は、前の月と比べればよいですか?
前の年の同じ月と比べてください。整体院の問い合わせには、年末年始や大型連休、年度の変わり目といった季節の波があります。前の月と比べると、この波を実力の変化と読み違えます。前年の記録が無ければ、まずは今年分を積むところから始めてください。一年たてば比べられます。月ごとに五つの数字を並べた行を積んでいくだけで足ります。
