採用の応募をフォームで受け付けている担当者が詰まるのは、たいていフォームの作り方ではありません。送信されたあとの受け方で詰まります。誰が見たのか、返したのか、いまどの段階なのか。それが分からなくなった時点で、応募者は待たされます。
この記事では、応募者を待たせない形にするために何を決めればよいかを、受付を回す立場から順に整理します。聞く項目の決め方、履歴書や職務経歴書といった書類の受け取り方、受付直後の自動返信、そして選考状況の伝え方。この4つを決めれば、応募が増えても受付は崩れません。逆に、この4つのどれかが決まっていないと、フォームをどれだけきれいに作っても同じところで止まります。
読み終えたときに判断できるようにしたいのは、いまの受付のどこが詰まっているのか、そして次に何を変えるのかの1点です。ツールを入れ替えるかどうかは、そのあとで決めれば足ります。
応募の受付がフォームに移ったあとに残った問題
採用の応募をメールの添付で受けていた時代から、専用のフォームで受ける形に移ったこと自体は、多くの窓口ですでに終わっています。求人票にフォームのURLを載せ、応募者はその場で入力して送信する。この入口の部分は、いまでは無料の道具でも十分に作れます。
移行して解決したのは、主に入口の問題です。応募先のメールアドレスを間違えて届かない、件名がばらばらで検索できない、添付し忘れて送られてくる。こうした事故はフォームにしただけで大きく減りました。項目の抜けも、必須設定で防げるようになりました。
一方で、移行しても残ったものがあります。送信されたあとの話です。フォームは送信を受け取るところまでは面倒を見ますが、その先の「誰が見て、誰が返して、いまどうなっているか」までは面倒を見ないことが多い。結果として、受け取ったあとの管理はメールの受信箱と表計算ソフトに戻ります。送信されたあとを回す道具がそろっているかどうかが、いま受付の道具を選ぶときの分かれ目になっています。
現場でよく聞くのは、次のような詰まり方です。応募のたびに通知メールが窓口の共有アドレスに届く。担当が手が空いたときに開いて、表計算ソフトの一覧に転記する。書類はメールから保存してフォルダに置く。返信したら一覧の「対応」列に印を付ける。この流れは、1日2件から3件までなら回ります。求人を出した直後に1日20件届いた日から、回らなくなります。
回らなくなる理由は忙しさだけではありません。転記という工程が入っている限り、転記が終わるまで応募は「無い」ことになるからです。転記前の応募に問い合わせが来ると答えられません。転記の途中で会議が入れば、その日の応募はまとめて翌日に持ち越されます。応募者から見ると、送信から返信までの時間はこの持ち越しの回数で決まります。フォームの性能とは関係のないところで、待ち時間が生まれます。
待ち時間は採用の結果に直結します。転職活動をしている人は同時に複数社へ応募しているのが普通で、先に面接の日程が決まった会社から順に予定が埋まっていきます。返信が数日遅れた時点で、辞退の連絡が来るか、そもそも返事が来なくなる。応募が集まらないという悩みの一部は、集まっていないのではなく、集まったあとに逃がしているだけということがあります。
だから、受付の道具を見直すときに最初に見るべきは、入力画面ではありません。送信されたあとに何が自動で起きて、何が人の手に残るのかです。この記事の残りは、その「何が人の手に残るのか」を減らす順番で書いていきます。
聞く項目の決め方
応募フォームの項目は、放っておくと増えます。選考で使うかもしれない情報を全部聞いておけば安心だからです。しかし項目が増えるほど、送信をやめる人が増えます。しかも、やめた人は記録に残りません。届いた応募だけを見ている限り、項目を増やした損は永遠に見えないままです。
選考の最初の1回で使う項目だけ残す
判断の基準を1つに絞ります。「その項目が無いと、次の1手が始められないか」です。次の1手というのは、書類選考を始める、面接の日程を出す、といった具体的な動作のことです。
この基準で見ると、応募フォームで本当に必須にする必要があるものはかなり絞れます。氏名、連絡先のメールアドレス、応募する職種、そして選考の材料になる書類。この4つがそろえば、書類選考は始められます。電話番号は、面接の日程を詰める段階で聞けば足ります。住所は、内定を出して書類を交わす段階で初めて要ります。
「あとで聞けばいい情報を、あとで聞く」ことに抵抗が出るのは、あとで聞く手間が面倒だからです。1件ずつメールを書いて追加情報を求めるなら、確かに最初に全部聞いたほうが楽に見えます。しかしその判断は、応募をやめた人の分を勘定に入れていません。追加で聞く工程が定型化されていれば、最初の項目は削れます。
現場では、応募フォームの入力欄が15個を超えたあたりから、途中でやめる人が目に見えて増えると言われています。スマートフォンから応募する人が多い職種ではこの傾向がさらに強く出ます。求人媒体の広告費をかけて集めた応募者を、自社のフォームの長さで逃がすのは割に合いません。
自由記述を1つに絞る
志望動機、自己PR、これまでの経験、当社を知ったきっかけ。自由記述の欄を4つ並べているフォームは珍しくありません。応募者からすると、これは作文の課題が4つ出ているのと同じです。スマートフォンで長文を4本書くのは現実的ではないので、その場で書くのをあきらめてパソコンの前に座る時間を探し、そのまま忘れます。
自由記述は1つに絞り、目安の文字数を添えます。「志望の理由を300字程度で」と書いてあれば、応募者はその場で書き切れる分量だと判断できます。分量を書かないと、応募者は「短すぎると落とされるのでは」と考えて長く書こうとし、書き切れずに離脱します。
経歴の詳細は、あとで触れる職務経歴書に任せます。同じことを本文と書類の両方に書かせるのは、二重の作業です。
選択式にできるものは選択式にする
勤務開始可能な時期、希望する勤務地、希望する雇用形態。これらは自由記述にすると表記がばらつき、集計も比較もできなくなります。「即日」「すぐにでも」「相談可」「今月末」が同じ列に並ぶと、絞り込みができません。
選択肢を用意すると、応募者は1タップで答えられ、受ける側は一覧で並べ替えられます。選択肢に当てはまらない人のために「その他」と補足欄を1つ置いておけば、取りこぼしも防げます。フォームの項目設計と分岐については、できることで条件によって表示を切り替える作り方を確認できます。応募する職種によって聞く内容が変わる場合は、職種ごとにフォームを分けるより、1つのフォームの中で分岐させたほうが管理する対象が増えません。
聞いてはいけない事項に踏み込まない
採用の場面には、応募者に尋ねること自体が適切でないとされている事項があります。本籍や出生地、家族の職業や収入、住宅の状況、生活環境、宗教、支持政党、思想信条、購読している新聞や愛読書といったものです。これらは本人の適性や能力とは関係がなく、就職差別につながるおそれがあるという考え方が、厚生労働省から示されています。
厚生労働省は、公正な採用選考の基本的な考え方として次の2点を挙げています。
応募者の基本的人権を尊重すること、応募者の適性・能力に基づいた基準により行うこと。この2点を基本的な考え方として採用選考を実施することが必要です。 出典: mhlw.go.jp
フォームの項目を作るときは、この考え方に照らして一度見直す価値があります。悪気なく置かれていることが多いのは、「家族構成」「通勤に使う交通手段と同居家族の有無」「本籍地」といった欄です。住所の確認や通勤手当の計算のために必要だと考えて置かれているものでも、選考の段階で聞く必要があるかは別の問題です。採用が決まったあとの手続きで聞けば足りるものが多くあります。
どこまでが適切かの線引きは、業種や職種、事業所の事情によって説明の要否が変わることがあります。この記事の内容は一般的な整理であり、個別の判断を断定するものではありません。実際の項目を決める前に、厚生労働省や都道府県労働局が出している公正な採用選考についての案内を確認し、判断に迷う項目があれば所管の窓口や社会保険労務士などの専門家に確かめてください。
あわせて、集めた個人情報の利用目的を明示し、同意を取る欄を置くことも一般的です。何の目的で使い、どのくらいの期間保管し、いつ消すのかを1文で書いておくと、応募者の不安も減ります。個人情報の取り扱いについての一般的な考え方は、個人情報保護委員会の案内でも確認できます。
項目を減らした分をどこで拾うか決めておく
項目を削ると、必ず「聞かなくてよくなったわけではない情報」が出ます。これをどこで拾うかを、削ると同時に決めます。電話番号は日程調整のメールで聞く、住所は内定通知に同封する書類で聞く、といった具合です。
拾う場所を決めずに削ると、あとで必要になったときに1件ずつ個別に連絡することになり、削った分より手間が増えます。削るのと、拾う工程を作るのは、必ずセットにします。
書類の受け取り方
採用の応募受付が、問い合わせフォームと決定的に違うのは、書類が付いてくる点です。履歴書、職務経歴書、資格の証明書、職種によってはポートフォリオや作品ファイル。この受け取り方を決めていないと、受付のどこかで必ず詰まります。
応募者にアカウント登録を求めない
書類を受け取る手段として、オンラインストレージの共有リンクを応募者に作ってもらう方法があります。受け取る側は自分のストレージを増やさずに済むので楽ですが、応募者にはアカウントの用意と共有設定という作業が発生します。
ここで応募をやめる人が出ます。特に、在職中に転職活動をしている人は、勤務先のアカウントでログインしたままの状態を避けたがります。私用のアカウントを持っていない人、共有の権限設定が分からない人もいます。その場でファイルを添付するだけで応募が完了する形にしておくと、この離脱は起きません。回答者にアカウント登録を求めるかどうかは、応募者数に直接効く分かれ目です。無料で使える代表的なフォームとの違いを整理したGoogleフォームとの比較では、この受け取り方の差も扱っています。
逆に、社内の関係者が使うだけの申請フォームであれば、全員が同じアカウントを持っている前提が成立します。その場合は既存の道具で足りることが多く、わざわざ入れ替える理由はありません。Microsoft Formsとの比較は、社内の環境がすでに整っている場合に何を追加で考える必要があるかという観点でまとめています。
受け付ける形式と容量を先に決める
書類の形式を指定しないと、あらゆる形式が届きます。文書ファイル、表計算ファイル、画像、圧縮ファイル、そして撮影した紙の写真。受け取ったあとに開けない、印刷すると崩れる、といった手間はここから生まれます。
PDFに寄せるのが無難です。レイアウトが崩れず、どの端末でも開けます。ただし「PDFのみ」と強く縛ると、変換の方法が分からない応募者を弾くことになります。「PDFを推奨。難しい場合は文書ファイルでも可」と書いておくと、両方を受けつつ大半はPDFで届きます。
容量の上限も先に決めます。履歴書と職務経歴書だけなら1MBから3MB程度に収まりますが、スマートフォンで撮影した書類の画像は5MBを超えることがあります。デザインや映像の職種でポートフォリオを受けるなら、桁がもう1つ上がります。上限が小さいまま運用していると、応募者は送信エラーの画面を見ることになり、そこで問い合わせが1件発生します。上限を決めるときは、いちばん重い応募を基準にします。
複数のファイルを1回の送信で受け取れるかどうかも確認しておきます。1ファイルずつしか送れない設定だと、応募者は同じフォームを3回送信することになり、受ける側の一覧には同じ人が3行並びます。
誰の書類かが一目で分かる状態にする
届いた書類の管理でいちばん事故が多いのは、ファイル名です。応募者が付けたファイル名は「履歴書.pdf」「resume.pdf」「無題.pdf」のいずれかであることがほとんどで、フォルダに保存した時点で誰のものか分からなくなります。上書きされて消えることもあります。
対策は2つあります。1つは、応募データと書類が同じ画面で紐付いている状態にすること。一覧から応募者の名前をクリックすれば、その人が送った書類がそのまま開ける形なら、ファイル名は問題になりません。もう1つは、書類をダウンロードする段階で応募者名と応募日が自動で付く形にすることです。人がリネームする運用は、件数が増えると必ず抜けます。
書類を受け取る仕組みの実際の動きは、動くところを見るで確認できます。応募が届いたあとに一覧のどこへ入り、書類がどう開くのかを見ておくと、いまの運用のどこが人手に頼っているかが分かりやすくなります。
保管の期間と消し方を決めておく
応募書類は個人情報の中でも扱いが重いものです。採用に至らなかった応募者の書類をいつまで持つのか、誰が消すのかを決めていない窓口は多くあります。担当者のパソコンのフォルダに何年も残っている、退職した担当者の共有ドライブに残っている、といった状態は、事故が起きたときに説明ができません。
保管の期間は、募集ごとに決めて応募者に伝えるのが分かりやすい形です。選考終了後の一定期間で削除する、次の募集の案内に使う場合は同意を得る、といった方針を最初に決めます。誰が消すのかを人の担当にすると忘れるので、保管期間を過ぎたものが分かるように一覧で並べ替えられる状態にしておきます。ファイルの受け取りと保管の考え方は修理・サポートの受付のように書類や写真が届く別の窓口でも共通するので、社内で1つの方針にそろえておくと運用が楽になります。
受付の自動返信で決めること
応募者が最も不安になるのは、送信ボタンを押した直後です。送ったつもりで送れていないのか、届いているのに返事が来ないのかが分からない。この不安を消すのが自動返信です。自動返信は「丁寧さ」のために出すのではなく、問い合わせを減らすために出します。
送信の直後に届くこと
自動返信の価値は速さでほぼ決まります。送信から数分以内に届けば、応募者は「届いた」と確認できて安心します。翌日に届く形では、その間に「送れているか確認したい」という問い合わせが窓口に来ます。この問い合わせに答える手間は、応募1件あたりで見ると小さいですが、応募が増えるとまとめて効いてきます。
送信のたびに人が返信を書く運用は、この速さを満たせません。担当者が休みの日は返信が止まり、土日に応募した人は月曜まで放置されます。転職活動は平日の夜と休日に動くことが多いので、止まる時間帯と応募が集中する時間帯は重なります。
何を書くかを決める
自動返信に書く内容は、次の4つで足ります。
| 書く内容 | 目的 |
|---|---|
| 応募を受け付けた事実 | 送信できたことの確認 |
| 応募内容の控え | 何を送ったかの記録 |
| 次に何が起きるか | 待ち方が分かる |
| いつまでに連絡するか | 待てる期限が分かる |
このうち抜けやすいのは4つ目です。「追ってご連絡いたします」とだけ書かれた自動返信は、応募者からすると期限のない待ち時間になります。「書類選考の結果は1週間以内にご連絡します」と書いてあれば、その1週間は問い合わせが来ません。期限を書くと守る義務が発生するので書きたくない、という気持ちは分かりますが、書かないことで発生する問い合わせのほうが手間になります。
応募内容の控えを付けるのは、応募者が自分の送った内容を見返せるようにするためです。面接前に何を書いたか確認したいという需要は確実にあり、控えが無いと問い合わせになります。
差出人と返信先を分けて考える
自動返信の差出人アドレスは、応募者が返信できるアドレスにします。応募者はこのメールに直接返信して質問してくることがあります。返信できないアドレスから出していると、その質問は届かないまま消えるか、応募者が別の連絡先を探す手間になります。
自社のドメインで送ることも重要です。無料のメールアドレスや、フォームのサービス名が入ったアドレスから届くと、迷惑メールに振り分けられる確率が上がります。応募者側で迷惑メールフォルダに入ると、応募者は「返事が来ない」と受け取ります。求人媒体経由で応募した人ほど、複数社からのメールに埋もれます。
届かなかったときに気づける形にする
自動返信は、出したつもりで届いていないことがあります。応募者がメールアドレスを打ち間違えた、受信側で拒否された、迷惑メール扱いになった。どのケースでも、応募者には何も届きません。
送信のエラーが記録に残る形になっていれば、担当者が気づいて電話や別の手段で連絡できます。記録が残らない形だと、応募者から「返事が来ない」と言われるまで気づけません。自動返信を入れているのに問い合わせが減らない窓口では、まずここを疑う価値があります。
サイトに埋め込んだフォームから送るメールが届かない、という相談は幅広く出ます。Contact Form 7との比較では、サーバーの設定によってメールが届かなくなる仕組みと、その場合にどこを見ればよいかを整理しています。いま使っているものでメールが安定して届いているなら、そこを理由に入れ替える必要はありません。
選考状況の伝え方
応募者を待たせない形にするうえで、いちばん効くのがここです。返信が速い窓口と遅い窓口の差は、担当者の勤勉さではなく、状況を管理する形があるかどうかで決まります。
状態の名前を先に決める
応募が届いてから採用または不採用が決まるまで、いくつの段階を通るかを先に決めます。段階の名前がそろっていないと、担当者ごとに違う言葉で管理することになり、一覧を見ても状況が分かりません。
多くの窓口では、次の程度で足ります。
- 受付済み
- 書類選考中
- 面接日程調整中
- 面接済み
- 合否連絡済み
- 辞退
段階を増やしすぎると更新されなくなります。6個前後に抑えて、全員が同じ言葉を使う状態にするほうが機能します。この段階が一覧の列として並び、絞り込めるようになっていることが条件です。表計算ソフトで管理している場合でも列を作れば同じことはできますが、複数人が同時に開くと編集が競合します。
返したかどうかが表に残ること
返信の二重送信と返し忘れは、返信した記録がメールの送信済みフォルダにしか無いときに必ず起きます。担当が2人いれば、同じ応募者に別々の担当が返信します。担当が1人でも、返したつもりの応募が数日放置されます。
対応の履歴が応募データと同じ場所に残っていれば、この2つは起きません。誰がいつ何を送ったかが一覧から見え、次に何をすべきかが空欄で分かる状態を作ります。応募の受付を回す画面で何ができるとよいかは採用の応募受付にまとめてあります。同じ考え方は、講座の受講申し込みやイベントの申し込みのように、申し込みを受けて可否を返す窓口でも共通します。
待たせる期間の目安を持つ
書類選考の結果を返すまでの期間は、業界や応募者数で変わりますが、応募者が「落ちた」と判断し始めるまでの時間はそれほど長くありません。応募から1週間を過ぎると、他社の選考が先に進んでいる可能性が高くなります。2週間を過ぎると、連絡しても辞退されることが増えます。
すぐに結論が出せない事情があるときは、途中経過だけでも出します。「選考に想定より時間をいただいています。今週中には結果をご連絡します」という1通が届くかどうかで、応募者の受け止め方は変わります。この1通を出す手間を惜しむと、面接まで進む人数が減ります。
不採用の連絡を止めない
不採用の連絡は、書きにくいという理由で後回しにされがちです。しかし返さないと、応募者は結果を待ち続けます。同じ会社に将来また応募する可能性も、そこで消えます。
定型文を用意して、状態を変えたら送られる形にしておくのが現実的です。個別の理由を書く必要はありません。結果と、応募への感謝と、書類の取り扱いをどうするかの3点で足ります。書類を削除する方針であれば、それを1行書いておくと問い合わせが減ります。
問い合わせが来たときに即答できるか
「先日応募した者ですが、選考はどうなっていますか」という電話やメールは必ず来ます。このとき、名前で検索して数秒で状況が出るかどうかが、窓口の実力です。
メールの受信箱と表計算ソフトとフォルダの3か所を行き来しないと答えられない状態だと、その場で答えられません。「確認して折り返します」と言った時点で、応募者の待ち時間がもう一度発生します。応募者の名前1つで、応募内容と書類と対応履歴と現在の状態が同じ画面に出る形が、待たせない受付の完成形です。
いまの道具のどこで詰まっているかを見極める
ここまでで決めることは出そろいました。最後に、いま使っている道具でそれが実現できるかを判断します。入れ替えありきで考える必要はありません。足りているなら、そのまま使うのがいちばん安上がりです。
表計算ソフトで一覧を作っている場合
応募のたびに一覧へ転記している運用は、件数が少ないうちは最も柔軟です。列を自由に足せて、誰でも読めて、追加の費用もかかりません。年に1回か2回の募集で、応募が10件前後であれば、これを変える理由はほとんどありません。
限界が出るのは3つの場面です。1つ目は、複数人で同時に触るとき。同じ行を別々に編集して、片方の更新が消えます。2つ目は、書類との紐付け。表の中にファイルは置けないので、フォルダの場所を貼るか、名前で探すことになります。3つ目は、転記の遅れ。転記が終わるまで応募が見えない構造は、待ち時間を直接生みます。
この3つのうち2つ以上が起きているなら、道具の形が仕事に合っていません。
メールの受信箱で管理している場合
通知メールをそのまま管理台帳として使っている運用も多くあります。検索できて、履歴も残るので、実は悪くありません。担当が1人で、応募が週に数件なら十分に回ります。
限界は、状態が持てないことです。メールにはラベルやスターは付けられますが、「面接日程調整中」のような段階を全員が同じ意味で使うのは難しい。既読かどうかと、対応したかどうかも区別できません。誰かが開いただけで既読になり、対応済みに見えてしまいます。
複数人で対応する時点で、メールの受信箱は台帳として使えなくなります。ここが入れ替えを検討する分かれ目です。
サイトのフォームプラグインで受けている場合
自社サイトにフォームを設置して、送信内容をメールで受け取る形は、見た目をサイトに合わせられる利点があります。応募者は外部のサービスに飛ばされずに応募を完了できるので、離脱も少なくなります。
一方で、受け取ったあとの一覧や状態の管理は、標準では持っていないことが多く、追加の仕組みが要ります。送信内容をサイト側に保存する設定にしていない場合、メールが消えると記録も消えます。まずは保存されているかどうかを確認し、保存されていなければそこから直します。
判断のための問い
いまの道具を続けるか変えるかは、次の問いに答えると決まります。
| 問い | 答えがノーなら |
|---|---|
| 応募者の名前で検索して、状況が数秒で出るか | 一覧と履歴が同じ場所にない |
| 誰が返信したか表に残るか | 二重返信と返し忘れが起きる |
| 送信直後に自動返信が届くか | 「届いたか」の問い合わせが来る |
| 書類が応募データと紐付いているか | ファイルを探す時間が毎回かかる |
| 複数人が同時に見て編集できるか | 担当者が休むと止まる |
このうちノーが1つなら、いまの道具に足りない部分を運用で埋めれば足ります。3つ以上ノーが並ぶなら、道具の形が仕事に合っていません。費用の目安は料金で確認できます。入れ替えの前に確認しておきたい点はよくある質問にまとめてあります。
受付の形を決めるときに見ている観点
採用の応募受付は、窓口業務の中では条件が厳しい部類に入ります。集める情報の中に配慮が必要な事項があり、書類が付き、結果を必ず返す必要があり、しかも応募者は他社と並行して動いています。この4つが同時に成り立つ窓口は多くありません。
だからこそ、採用の受付が回る形になっていれば、他の窓口はたいてい同じ形で回ります。実際、受付の仕組みは窓口の名前が違うだけで、必要なものはよく似ています。
| 窓口の種類 | 集めるもの | 返すもの |
|---|---|---|
| 採用の応募 | 応募情報と書類 | 選考結果 |
| 助成金や公募の受付 | 申請書と添付書類 | 採否と不備の連絡 |
| 講座や説明会の申し込み | 申込者情報 | 受講の可否と案内 |
| 施設の利用申請 | 利用日時と用途 | 承認と調整の連絡 |
どれも「受け取る、確かめる、状態を進める、返す」の繰り返しです。助成金・公募の受付は、添付書類の不備を確認して差し戻すという工程が加わる点で、採用の書類選考と構造がよく似ています。施設利用の申請や会員の入会申し込みも、承認するかどうかを決めて返すという意味では同じ流れです。窓口ごとに違う道具を使うと、担当が変わるたびに覚え直しが発生します。
窓口の多い組織では、問い合わせの受付まで含めて同じ形にそろえると、引き継ぎが軽くなります。採用の受付は年に何度かしか動かないことがあり、次に募集をかけるときには前回の担当がいない、ということが起こります。そのとき、日常的に使っている窓口と同じ形になっていれば、覚え直しは要りません。
受付の道具を選ぶときに見るべき観点をまとめると、次の4つに集約されます。
1つ目は、応募者側に負担を掛けないこと。アカウント登録、長いフォーム、開けない添付。応募者がつまずく場所は全部、応募数の目減りとして返ってきます。
2つ目は、届いたあとが同じ画面で完結すること。一覧、書類、対応履歴、状態。この4つが別々の場所にあると、応募者の名前で検索して答えるという当たり前のことができません。
3つ目は、返信が自動で出ること。速さは人の努力では作れません。仕組みで出す以外に方法がありません。
4つ目は、担当が変わっても続くこと。個人のパソコンや個人のメールアドレスに情報が溜まる形は、担当が変わった時点でリセットされます。
この4つを満たしているかどうかで、いまの受付が「応募者を待たせない形」になっているかが判断できます。満たしていない項目があるなら、それが次に変える場所です。フォームを作り直すより先に、送信されたあとの流れを1つ決めるほうが、応募者の待ち時間には効きます。
Q1. 採用の応募フォームで必須にする項目は最低限どれですか?
氏名、連絡先のメールアドレス、応募する職種、選考に使う書類の4つがあれば書類選考は始められます。電話番号は面接の日程調整の段階、住所は内定後の手続きの段階で聞けば足ります。項目が15個を超えると途中でやめる人が増えるため、削った情報をどこで拾うかを決めたうえで絞り込むのが現実的です。
Q2. 応募者に本籍や家族構成を聞いてはいけないのですか?
本籍や家族の職業、思想信条などは本人の適性や能力とは関係がなく、就職差別につながるおそれがあるという考え方が厚生労働省から示されています。通勤手当の計算など事務手続きに必要な情報は、採用が決まったあとに聞けば足りることが多くあります。項目を決める前に厚生労働省や労働局の公正な採用選考の案内を確認し、判断に迷う項目は所管の窓口や専門家に確かめてください。
Q3. 履歴書や職務経歴書はどう受け取るのがよいですか?
応募者にアカウント登録や共有設定を求めない形が離脱を防げます。形式はPDFを推奨としつつ文書ファイルも受け付け、容量の上限はポートフォリオなど重いファイルを想定して決めます。届いた書類が応募データと同じ画面で紐付いていれば、ファイル名が「履歴書.pdf」でも誰のものか分からなくなりません。
Q4. 選考結果の連絡はどのくらいの期間で返すべきですか?
応募から1週間を過ぎると他社の選考が先に進んでいることが多く、2週間を過ぎると連絡しても辞退が増えます。結論が出せないときは「今週中に結果を連絡します」といった途中経過だけでも送ると、応募者は待てます。自動返信の段階で「1週間以内に連絡します」と期限を書いておくと、その間の問い合わせも減ります。
