履歴書をWebで提出してもらう形に切り替えると、郵送の開封と保管の手間はたしかに消えます。ところが受付の担当者の手元に残る仕事は、思っていたほど減りません。届いたファイルが開けない、名前が全部「履歴書.pdf」で見分けがつかない、誰まで見てよいのかがはっきりしない、いつ消すのかを誰も決めていない。この記事は、応募者向けの提出のしかたではなく、受け取る側が先に決めておくべき項目を、形式、容量、ファイル名、置き場、消し方の順にまとめたものです。受付をひとりで回している人が、いま自分の手元で何が詰まっているのかを見極めて、次に何を変えるかを決められるところまでを目的にしています。
紙で受け取らない流れは進んだが、受付の設計は追いついていない
応募書類を紙で郵送してもらう方式は、この数年で急速に減りました。押印や書面のやり取りを見直す動きが行政の側からも続き、契約や申請の場面でオンラインの手続きが標準になってきたことが背景にあります。制度としての整理の状況はデジタル庁が出している情報でたどれます。
応募する側の環境も変わりました。パソコンを持たずスマートフォンだけで就職活動をする人は珍しくなくなり、コンビニのコピー機で印刷して封筒に入れて出す、という手順そのものが応募のハードルになっています。写真館で撮った証明写真を貼る代わりに、スマートフォンで撮った画像を貼り込むこともごく普通の運用です。受け取る側がWebでの提出に対応していないと、応募者の母数がそこで削られます。
減ったのは開封の手間で、増えたのは判断の回数
一方で、受け取る側の仕事の総量は単純には減っていません。郵送であれば、届くものは紙で、形式は決まっていて、保管は棚に入れるだけでした。Webで受け取ると、届くものの形が一定しません。PDFで来ることもあれば、表計算のファイル、文書ファイル、スマートフォンで撮った写真、画面のスクリーンショットで来ることもあります。1件ごとに「これは開けるか」「これは読める品質か」「これは受理してよいか」を判断することになり、判断の回数は郵送より増えます。
さらに、紙には無かった問題が2つ増えます。1つは容量です。写真をそのまま貼り込んだ文書ファイルは、思いのほか大きくなります。もう1つは複製です。紙の履歴書は1通しかありませんが、電子ファイルは転送するたびに実体が増えます。誰の手元に何通あるのかを、受付の側から確かめる手段がありません。
決めごとが無いまま始めると、後から直せなくなる
受付を始めるときに決めごとを置かないと、応募が来てから場当たりで対応することになります。開けないファイルが来たときに、その場で応募者にメールを書く。名前が重なったときに、その場で自分で付け直す。この場当たりの対応は、件数が少ないうちは回ります。現場では、月あたり100件を超えたあたりで手作業の管理が続かなくなると言われています。
厄介なのは、あとから決めごとを入れるほうが、最初に入れるより手間がかかることです。すでに受け取った分のファイル名を付け直すのか、途中から新しい規則にするのか、募集要項の文面をどう直すのか、といった判断が全部乗ってきます。受付を始める前、あるいは次の募集を出す前が、決めごとを置く最も安いタイミングです。
決めごと1: どの形式で受け取るか
最初に決めるのはファイル形式です。ここを決めていない窓口では、受け取ったあとの作業が毎回変わります。
PDFを基本に据えると、後の作業が固定される
実務でおおむね扱いやすいのはPDFです。理由は3つあります。1つ目は、送った側の画面と受け取った側の画面で見え方がほとんど変わらないことです。文書ファイルや表計算のファイルは、開くソフトやフォントの環境で改ページの位置がずれます。応募者が意図した1枚が、受付の画面では2枚に割れて、下半分が空白になることもあります。2つ目は、うっかり書き換えてしまう事故が起きにくいことです。編集できる形式で受け取ると、選考の途中で誰かがセルを触ってしまい、それが元の内容だったのか判断できなくなります。3つ目は、印刷して面接に持ち込むときの再現性です。
一方で、PDFだけに絞ると受け取れない応募が出る点も見ておく必要があります。スマートフォンしか持っていない応募者にとって、文書ファイルをPDFに変換する操作は自明ではありません。ここは「PDFを推奨。ただし文書ファイルと画像も受理する」という書き方にしておき、受け取ってから受付側で扱いをそろえるほうが、応募の取りこぼしを減らせます。
画像で届いたときにどこまで受理するか
写真で撮った履歴書は、Webでの受付では必ず来ます。読めるなら受理する、という運用にする場合でも、どこからが読めないのかの線は決めておいたほうが後で揉めません。実務で線引きに使えるのは、氏名、連絡先、日付、学歴と職歴の年月がすべて判読できるか、という点です。影が落ちて片側が暗い、傾いて端が切れている、ピントが合っていない、といった写真は、判読できない項目が1つでもあれば撮り直しを依頼する、と決めておきます。
撮り直しを依頼するときの文面は、あらかじめ用意しておきます。その場で書くと、書く人によって温度が変わります。「書類を受け付けました。ただし1枚目の右側が影で読み取れないため、明るい場所で撮り直したものをお送りください」というように、どこが読めないのかを具体的に書く形にしておくと、応募者は1回で直せます。読めない、とだけ返すと往復が増えます。
受け取れない形式を先に決めておく
受理しない形式も先に決めます。実行形式のファイル、パスワード付きの圧縮ファイル、外部のクラウドの共有リンクだけを本文に貼ってくる形。この3つは、受付側で扱いを決めておかないと毎回判断が要ります。
パスワード付きの圧縮ファイルは、受け取る側の環境によってはウイルス検査の対象から外れる設定になっていることがあり、安全側に働きません。パスワードを別のメールで送る運用も、同じ経路で2通送るなら分離の意味は薄いです。外部の共有リンクは、応募者側の設定でいつ切れるか分からず、選考が長引くと途中で開けなくなります。受け取る形は受付側の画面にそろえておくのが、後の作業を減らす近道です。
決めごと2: 1件あたりの容量をどこまで許すか
形式の次に決めるのは容量の上限です。ここを決めていない窓口は、届かない応募に気づけません。
上限を決めないと、届かなかったことが分からない
メールで受け取っている場合、添付できる容量には送信側と受信側の両方に上限があります。一般的なメールサービスでは25MB前後が目安になりますが、途中の経路にある設定でそれより小さく切られることもあります。上限を超えた添付は、応募者の手元でエラーになるか、受付の側に届かないまま消えます。
問題は、届かなかったことが受付の側に見えないことです。応募者は送ったつもりでいて、受付は来ていないと思っている。どちらも間違っていないまま、選考の対象から外れます。この取りこぼしは、後から数えることもできません。フォームで受け取る形にすると、送信できたかどうかが応募者の画面に出るので、この種の消え方は減ります。送信した側と受け取った側の両方に、届いた記録が同じ形で残ることが、上限の設計より先に効いてきます。
上限の目安と、超えたときの案内
1ファイルあたりの上限は、履歴書と職務経歴書を想定するなら10MBあれば足ります。文字だけのPDFなら1MBにも届きません。写真を貼り込んだ文書ファイルや、スマートフォンで撮った高解像度の写真が数枚入ると5MBを超えてきます。作品集やポートフォリオも受け取る職種であれば、その分だけ枠を広げるか、別の窓口に分けるかを決めます。
上限を決めたら、その数字を募集要項と受付の画面の両方に書きます。書いていない上限は、応募者にとって存在しないのと同じです。あわせて、超えたときにどうすればよいのかも1行添えます。「1ファイル10MBまで。超える場合は、写真の解像度を下げるか、ファイルを分けてお送りください」という程度で足ります。分けて送られてきたときに受付側でどう束ねるかは、次のファイル名の決めごとで吸収できます。
大きいファイルを別扱いにする線
デザイン職や映像職のように、成果物そのものが大きくなる募集では、履歴書と作品集を同じ枠で受け取ろうとすると無理が出ます。この場合は、履歴書と職務経歴書は容量の小さい枠で受け取り、作品集は別の項目として上限を分けるのが扱いやすい形です。選考の初期に全員分の作品集を開く必要がないなら、一次の通過者にだけ後から案内する、という段階を分ける方法もあります。受付の入口で全部を集めようとするほど、届かない応募が増えます。
決めごと3: ファイル名の決め方
ファイル名は、決めていないと必ず崩れる項目です。そして崩れたあとの復旧に最も手間がかかる項目でもあります。
応募者が付けた名前は、そのままでは使えない
応募者が自分で付ける名前は、ほとんどの場合「履歴書.pdf」か「rirekisho.pdf」か「無題.pdf」です。悪気はなく、応募者にとってはそれで十分だからです。これが50件たまると、フォルダの中は同じ名前のファイルが並び、開かないと誰のものか分かりません。同じ名前で保存しようとして上書きの警告が出る、という事故もここで起きます。
対処は2通りあります。1つは応募者に名前の付け方を指定する方法、もう1つは受付側で受け取ってから付け直す方法です。指定する場合は、募集要項に「氏名_履歴書.pdf の形式でお願いします」と書きます。ただし指定どおりに届く割合は100パーセントにはなりません。結局は受付側で直す手が要るので、指定はしつつ、直す手順も決めておくのが現実的です。
受付側で付け直すときの並び
付け直す名前は、フォルダ内で自然に並ぶ形にします。実務で扱いやすいのは、受付日、応募者名、書類の種類の順に並べる形です。日付を頭に置くと受付の順に並び、名前を次に置くと同じ人の書類がまとまります。日付は年月日を数字だけで書き、区切り文字を入れない形にしておくと、並べ替えたときに順序が崩れません。
たとえば「20260901_山田太郎_履歴書.pdf」「20260901_山田太郎_職務経歴書.pdf」という並びです。同姓同名がいる場合に備えて、受付番号を頭に足す形もあります。ここで重要なのは、どの形にするかよりも、途中で変えないことです。前半と後半で規則が違うフォルダは、検索も並べ替えも効かなくなります。
名前に入れてはいけないもの
ファイル名は、思っている以上に外に出ます。転送されたメールの本文、共有した画面、印刷した資料の隅、システムのログ。ここに評価や判断が入っていると、意図しない相手に読まれます。「20260901_山田太郎_履歴書_保留.pdf」「_要検討.pdf」といった付け方は避けます。選考の状態は、ファイル名ではなく管理する表や受付の画面の側に持たせます。
生年月日を名前に入れるのも避けたほうが無難です。氏名と生年月日が並んだ文字列は、それ自体が個人を特定できる情報の組み合わせになります。受付の作業で必要になる項目だけを名前に入れ、それ以外は中身か管理表に置く。この線引きが、後の共有の場面で効いてきます。
決めごと4: 届いたあとの置き場
受け取ったファイルをどこに置くかは、選考が始まってからでは動かせなくなります。
メールの受信箱を保管場所にしない
最も多い形は、受け取った添付をメールの受信箱に置いたままにする運用です。これは保管場所として2つの弱さがあります。1つは、担当者個人のメールボックスに入っているため、その人が休んだ日に誰も取り出せないことです。もう1つは、削除が確かめられないことです。転送されたメールの実体が誰の受信箱に何通あるのかを、受付の側から把握する手段がありません。
置き場は、複数の担当者が同じ条件で開ける1か所にまとめます。共有のフォルダでも、受付の道具の中でも構いません。決めるべきは場所そのものより、「そこ以外には置かない」という線です。手元にコピーを取る、自分のパソコンのデスクトップに置く、といった枝が生えると、消すときに全部を追えなくなります。
誰が見られるかを、受け取る前に決める
応募書類を見てよい範囲は、受け取ってから相談するのでは遅くなります。人事の担当だけが見るのか、配属先の責任者にも見せるのか、役員にも回すのか。この範囲を先に決めて、置き場の権限をその範囲に合わせておきます。
範囲が広がるときの動き方も決めておきます。よくある広がり方は、リンクを1本転送しただけ、という形です。最初は選考担当の2人だけのつもりが、現場の意見を聞くために転送し、その人が出先で見るために自分のメールに送り直す。ここまで誰も規則を破っていませんが、書類のURLは受付の管理外の場所に散らばります。共有するときは個人を指定する、リンクを渡すときは期限を付ける、という2つを規則にしておくと、この広がり方は止まります。
応募者ごとにまとめておく
書類の種類ごとにフォルダを分けると、応募者1人分をまとめて扱う操作がしにくくなります。選考が進むにつれて、追加の書類や面接のメモが増えていくからです。応募者ごとに1つの箱があり、その中に受け取ったものが全部入っている形にしておくと、選考の途中でも、終わったあとの削除でも、扱う単位が1つで済みます。書類と、そのあとのやり取りの履歴が同じ場所に残る形にしておくと、担当が代わったときの引き継ぎも1画面で済みます。
決めごと5: いつ、どうやって消すか
受け取る決めごとの最後は、消す決めごとです。ここを決めていない窓口が最も多く、そして最もあとで困ります。
期間を数字で決めておく
応募書類をいつまで持つのかは、あらかじめ数字で決めます。選考が終わってから3か月、6か月、1年、といった区切りのどれでも構いません。決めた期間を募集要項と受付の画面に書き、その期間が来たら実際に消す。この形にしておくと、応募者から「提出した書類はもう消えているか」と聞かれたときに、その場で答えられます。
期間を長めに取りたくなる場面もあります。次の募集で声をかけたい、という理由です。この場合は、応募者に何のために保持するのかを伝えたうえで受け取る形になります。ここは組織の方針と法令の解釈が絡む部分なので、記事の一般論で決めきれません。
個人情報取扱事業者は、利用目的の達成に必要な範囲内において、個人データを正確かつ最新の内容に保つとともに、利用する必要がなくなったときは、当該個人データを遅滞なく消去するよう努めなければならない。 出典: 個人情報保護委員会
自分の窓口の運用がこの考え方に沿っているかどうか、利用目的をどこまで書くべきか、次の募集に向けた保持が認められる形はどれか、といった判断は、扱う情報の内容や運用の実態によって変わります。個人情報保護委員会の案内を確かめたうえで、社内の法務や外部の専門家に相談してから決めてください。あわせて、採用選考そのものの考え方については厚生労働省が出している指針が判断の材料になります。
消したつもりで残る場所を数える
削除の操作をしても、実際にはファイルが残っている場所がいくつかあります。ごみ箱、版の履歴、バックアップ、そして転送されたメールの受信箱です。消す手順を決めるときは、この4か所をどうするのかまで含めて決めます。ごみ箱に入れただけで完了としている運用は、期間を決めた意味が薄くなります。
削除の記録も残しておきます。いつ、何を、誰が、どの規則に基づいて消したのか。この4項目があれば、あとから問い合わせが来たときに調べ直さずに答えられます。記録そのものに書類の中身を書く必要はなく、受付番号と件数で足ります。
消す作業を予定に入れる
期間を決めても、消す作業が誰の予定にも入っていなければ実行されません。四半期に1回、あるいは募集が1つ終わるたびに、対象を洗い出して消す時間を確保します。受付の道具の側で保管期間を設定でき、期限が来たものを一覧で出せるなら、この作業は数分で終わります。手作業でフォルダを見て回る形だと、件数が増えるほど後回しになります。
応募者に何を先に案内しておくか
受け取る側の決めごとが固まったら、それを応募者向けの言葉に直します。ここを省くと、決めごとの分だけ問い合わせが増えます。
募集要項に書いておく項目
募集要項に書く項目は5つです。受け取れるファイル形式、1ファイルあたりの容量の上限、ファイル名の付け方、提出の締切、そして書類をいつまで保管して誰が見るのかです。この5つが書いてあれば、応募前の問い合わせはほとんど来なくなります。
書き方は、応募者の操作に翻訳します。「PDF形式でご提出ください」だけでなく、「スマートフォンで撮影した画像でも受け付けます。氏名と連絡先、学歴と職歴の年月が読み取れる明るさでお願いします」まで書く。上限も「10MBまで」だけでなく、「超える場合は写真の解像度を下げるか、ファイルを分けてお送りください」まで書く。1行増やすだけで、往復が1回減ります。
受付完了の返信で伝えること
送信した直後の自動返信には、3つのことを書きます。受け取った書類の件名または種類、次の連絡の目安となる時期、そして問い合わせ先です。何が届いたのかが書いてあると、応募者は自分で送信の成否を確かめられます。次の連絡の時期を5営業日以内、というように具体的に書いておくと、それ以前の催促は来ません。
この自動返信が無いと、「届いていますか」という問い合わせが一定の割合で来ます。件数が増えるほど、この確認のやり取りが受付の時間を食います。送信の直後に自動で返る仕組みは、応募者の不安を減らすと同時に、受付の作業も減らします。
アカウント登録を求めない
書類を提出してもらうために、応募者に会員登録やアカウントの作成を求める形にすると、そこで応募をやめる人が出ます。特に転職活動中の人は、複数の企業に応募していて、企業ごとにアカウントを作る手間が積み上がります。IDとパスワードを覚える負担も乗ります。
受け取る側にとっても、アカウントを持たせる形は管理の対象を1つ増やすことになります。退会の処理、パスワードを忘れた人への対応、アカウントに紐づいた情報の削除。書類を受け取るだけの目的であれば、応募者にアカウントを作らせずに受け取って、受付の側だけで管理できる形のほうが、双方の手間が少なくなります。
受け取ったあとに詰まる場所
形式も容量も名前も置き場も決めたあとで、それでも受付が回らなくなる場所があります。
表計算で追う限界
受け取った応募を表計算のファイルで管理する運用は、最初はうまくいきます。氏名、受付日、書類の有無、選考の状態を列にして並べれば、全体が1画面で見えます。崩れ始めるのは、書類のファイルが別の場所にあり、表と手作業で突き合わせる形になっているときです。表の行と実際のファイルがずれた瞬間に、どちらが正しいのか分からなくなります。
もう1つの限界は、同時に触ったときです。2人が同じ表を開いて、それぞれ別の行を更新すると、片方の変更が消えます。誰がいつ何を変えたのかが残らないので、消えたこと自体に気づかないまま進みます。件数が増えるほど、この種のずれは起きやすくなります。
二重返信と返し忘れ
返信したかどうかが記録に残らない形で運用していると、二重返信と返し忘れは必ず起きます。担当が1人でも起きますし、2人以上いれば確実に起きます。片方が返したことをもう片方が知らないまま、同じ応募者に同じ内容の連絡が2通届く。逆に、お互いが相手が返したと思って、誰も返さない。
これを防ぐのに必要なのは、返信の履歴が応募者の情報と同じ場所に残っていることです。個人のメールソフトの送信済みフォルダにしか残らない形だと、他の人からは見えません。誰がいつ返したのかが、応募者ごとの画面に並んで残る形にすると、この2つの事故はほぼ消えます。
担当を決めていない状態
受付が複数人で回っているのに担当が決まっていないと、全員が「誰かがやるだろう」と考える瞬間ができます。特に、判断に迷う応募が来たときに止まります。書類が不足している、形式が指定と違う、締切を過ぎている。この種の判断は、決める人が決まっていないと保留のまま溜まります。
対処は単純で、1件ごとに担当者を割り当て、その担当者が誰なのかを全員が見える場所に置くことです。割り当ての規則は、受付順に交代でも、職種ごとでも構いません。決まっていることのほうが、規則の巧拙より効きます。
いま使っている道具から、次に決めることを逆算する
ここまでの決めごとは、どれもいま使っている受付の道具に跳ね返ります。乗り換えの話をする前に、いまの形で足りているかどうかを見ます。
いまの道具で足りている場合
応募が月に数件で、担当が1人で、選考の期間が短く、書類を見る人が最初から最後まで同じであれば、無料のフォームと表計算の組み合わせで十分に回ります。この条件を満たしているなら、道具を変える理由はありません。決めごとを紙に書いて、募集要項に反映するだけで、この記事の目的はおおむね達成できます。
無料のフォームで受け取る形の得意なところと、応募が増えたときに追加で決めることになる点は、Googleフォームとの比較に整理してあります。自社のサイトにフォームを埋め込んで受け取っている場合の考え方はContact Form 7との比較に、社内の共有基盤と組み合わせて使っている場合はMicrosoft Formsとの比較にまとめています。いずれも、いまの形で足りる条件を先に書いてあります。仕様は変わるので、料金や上限の数字は各サービスの公式の案内で、いつ時点のものかを確かめてください。
足りなくなる合図
道具を見直す合図は、件数そのものより、次の3つの現象で分かります。1つ目は、書類の置き場と管理の表が別々にあり、突き合わせに時間がかかっていること。2つ目は、返信したかどうかを口頭やチャットで確認していること。3つ目は、削除の作業が予定に入っておらず、古い応募が残り続けていること。この3つのどれかが起きているなら、件数が少なくても仕組みの側に無理が出ています。
比べるときに見るのは、フォームの作りやすさや見た目ではなく、送信されたあとの部分です。受け取ったファイルが受付の画面の中で開けるか。返信の履歴が応募者ごとに残るか。担当者を割り当てられるか。保管期間を設定して、期限が来たものを一覧で出せるか。この4点は、件数が増えてから効いてきます。受付から管理までの流れを画面で確かめたい場合は動くところを見るで追えますし、機能の範囲はできることに並べています。費用の考え方は料金に、運用で迷いやすい点はよくある質問にまとめてあります。
窓口の性質で、決めごとの重みが変わる
同じ「Webで書類を受け取る」でも、窓口によって重い決めごとは違います。採用の応募受付では、書類の保管期間と見る人の範囲がいちばん重くなります。選考が終わったあとに残り続ける情報が多く、扱う項目も生年月日や住所を含むためです。この形の設計は採用の応募受付にまとめています。
助成金や公募の受付では、締切の厳密さと、提出書類の欠けをどう扱うかが論点になります。締切を過ぎた提出をどう扱うか、不足書類の追完を認めるかを先に決めておく必要があります。この流れは助成金・公募の受付に整理してあります。問い合わせの窓口は、添付されるものの種類が読めないため、受け取れる形式と容量の制限をどこに置くかが最初の判断になります。この設計は問い合わせの受付が近い形です。
イベントや講座のように、集める情報が定型で参加者の期間が区切られているものは、保管期間を短く設定しやすい種類です。申し込みから当日までの流れはイベントの申し込みと講座の受講申し込みにそれぞれ書いてあります。施設の利用申請のように身分の確認を伴うものは、見る人の範囲を絞る必要が強く出ます。この形は施設利用の申請にまとめています。会員の入会申し込みのように、受け取った情報を台帳として使い続けるものは、削除ではなく更新の設計が主になります。会員の入会申し込みでその流れを扱っています。写真や動画が添付されやすい修理・サポートの受付では、容量と保管期間の設計が先に要ります。
今日決められることから手を付ける
この記事の項目を全部やろうとすると、次の募集に間に合いません。効果の大きい順に並べると、最初にやるべきは受け取れるファイル形式と容量の上限を決めて、募集要項に1行足すことです。次に、受け取ったファイルの置き場を1か所に寄せること。3つ目に、ファイル名の付け直しの規則を決めること。4つ目に、保管期間を数字で決めて画面に書くこと。5つ目に、返信の履歴が全員から見える形にすることです。
このうち最初の1つは、今日のうちに終わります。募集要項の文面を開いて、形式と上限の行を足すだけです。それだけで、開けないファイルへの往復と、届かなかった応募の取りこぼしが減ります。残りの4つは、次の募集が始まる前に順に片付けていけば間に合います。全体を眺めて迷っている時間より、1つ決めて書き足す時間のほうが、受付は早く軽くなります。
Q1. 履歴書はPDFだけに限定してもよいですか?
限定すると受付側の作業はそろいますが、スマートフォンしか持っていない応募者が変換できず、応募をやめる場合があります。PDFを推奨としつつ、文書ファイルと画像も受理する形にして、判読できるかどうかで線を引くのが現実的です。氏名、連絡先、学歴と職歴の年月が読めるかを基準にすると、受付側で迷いません。
Q2. 1ファイルあたりの容量はどれくらいに設定すればよいですか?
履歴書と職務経歴書だけなら10MBあれば足ります。文字だけのPDFは1MBにも届かず、写真を貼り込んだ文書ファイルで5MB前後です。作品集も受け取る職種では、履歴書と枠を分けて上限を別に設定してください。上限は募集要項と受付画面の両方に書き、超えたときの対処も1行添えると問い合わせが減ります。
Q3. 応募者にファイル名を指定しても、そのとおりに届きません。どうすればよいですか?
指定しても100パーセントにはなりません。指定は続けたうえで、受付側で付け直す手順を決めておきます。受付日を数字だけで先頭に置き、氏名、書類の種類の順に並べると、フォルダ内で自然に並びます。名前に「保留」などの判断や生年月日は入れず、選考の状態は管理する表や受付画面の側に持たせてください。
Q4. 受け取った応募書類は、いつまで保管すればよいですか?
選考終了後3か月、6か月、1年といった区切りを組織として決め、その数字を募集要項と受付画面に書いて、期限が来たら実際に消す形にします。消すときはごみ箱、版の履歴、バックアップ、転送されたメールの4か所を確認してください。保管期間の妥当性や次の募集に向けた保持の可否は、所管の窓口や社内の法務、外部の専門家に確かめてから決めてください。
