問い合わせ対応フローを作ろうとして手が止まるのは、図の描き方が分からないからではありません。決まっていないことが多すぎて、どこから決めればよいか分からないからです。誰が最初に見るのか、どこまでを一次受けで返すのか、いつまでに返すのか。この記事では、フローを作る順番を5つのステップに分け、それぞれで決めるべきことと、決めたあとに守られなくなる原因までを並べます。
フローが必要になる合図
問い合わせ対応フローは、窓口を1人で回しているうちは要りません。頭の中にあるものを図にしても、作業は減らないからです。必要になるのは、次の4つのどれかが起きたときです。
1つめは、担当が2人以上になったときです。1人なら、届いた順に見て返せば漏れません。2人になると、誰が見たのかが分からなくなります。既読やフラグは個人ごとの状態なので、他の人には伝わりません。2人という人数が境目になります。
2つめは、内容の種類が増えたときです。問い合わせと苦情と見積の依頼が同じ窓口に届くと、それぞれ返す人と返すまでの時間が変わります。種類ごとの扱いが決まっていないと、判断のたびに迷います。
3つめは、経験の浅い人が窓口に入るときです。判断の基準が人の頭の中にあると、その人がいないときに窓口が止まります。
問い合わせ対応において、「このケースはすぐに返信すべきか」「誰に確認すべきか」といった判断が個人の経験則に委ねられていると、対応品質が安定しません。フローチャートによって「Aの場合はBへ進む」といった明確な分岐ルールを定めておけば、経験の浅いスタッフでもベテランと同じ判断基準で迷わず行動できます。 出典: yaritori.jp
4つめは、返し忘れや二重返信が実際に起きたときです。1度起きたことは、同じ条件が続けば必ずもう1度起きます。起きた件を「気をつける」で終わらせると、次に同じことが起きます。
この4つのどれも起きていない窓口で、先に立派なフローを作る必要はありません。逆に、どれかが起きているのに作っていないと、対応の品質が人によって変わったまま固定されます。
フローを作る5つのステップ
順番を間違えると、作ったフローが使われません。5つのステップの順で進めます。
ステップ1は、いま届いているものを数えることです。直近の1か月に届いた問い合わせを種類ごとに数えます。数えるのは、種類、件数、返信までにかかった日数の3つです。想像で分類すると、実際には来ていない種類の分岐を作り込み、頻繁に来る種類を1行で済ませることになります。数えれば、どこを厚く作るべきかが分かります。
ステップ2は、経路を確認することです。問い合わせがどこから届いているかを全部挙げます。フォーム、代表のメールアドレス、担当者個人のアドレス、電話、会員向けの画面、外部のサービスの連絡機能。挙げてみると、把握していなかった経路が1つか2つ出てきます。把握していない経路に届いた分は、フローの外で処理されます。受付の入口がどの用途で分かれるかは問い合わせの受付と修理・サポートの受付に用途別の流れがまとまっています。
ステップ3は、一次受けを決めることです。誰が最初に見るかを決めます。ここが決まっていないフローは、どれだけ精密に作っても動きません。
ステップ4は、分岐のルールを書くことです。どの条件でどこへ進むかを、条件ごとに1行で書きます。条件は、内容の種類、緊急度、相手の属性の3つで足ります。
ステップ5は、返信までの時間の基準を決めることです。種類ごとに、いつまでに何を返すかを決めます。ステップ1で数えた実際の日数を出発点にすると、守れる基準になります。
この5つを終えてから図にします。図から作り始めると、決まっていないことを図の形で誤魔化すことになります。
一次受けを決める
一次受けの決め方には4つの型があります。窓口の規模と内容の種類で選びます。
1つめは、当番制です。日ごとか週ごとに一次受けを回します。誰が見るかが暦で決まるので、迷いが起きません。内容の種類が少ない窓口に向きます。欠点は、当番の日に休んだときの代わりを決めておく必要があることです。
2つめは、内容で分ける型です。技術的な内容はA、料金に関する内容はB、というように分けます。専門性が要る窓口に向きます。欠点は、届いた時点でどちらの内容かを判断する人が要ることです。判断する人が実質的な一次受けになるため、ここを決めずに「内容で分ける」だけを決めると、誰も最初に見ません。
3つめは、順番に取る型です。届いた順に交互に取ります。件数の多い窓口で、内容の種類が均質なときに機能します。欠点は、取ったことを示す仕組みが無いと、同じ件を2人が取ることです。
4つめは、全員が見て手を挙げる型です。小さなチームでは自然に成立します。人数が増えると成立しなくなります。全員が見えている状態は、全員が「誰かが見ているだろう」と考える状態でもあります。
どの型を選んでも、共通して必要なものが1つあります。取ったことを他の人に示す場所です。口頭やチャットで「これは自分が見ます」と言い合う形は、言い忘れた1件がそのまま二重返信になります。担当者を書く欄が届いた件ごとに1つあれば、この問題は消えます。欄が無い道具で運用している場合は、表計算ソフトで台帳を作るのが最初の一手になります。
分岐のルールを書く
分岐は、増やせば精密になるわけではありません。増やしすぎると誰も覚えられず、結局は経験で判断することに戻ります。条件の軸を3つに絞ります。
軸1は、内容の種類です。問い合わせ、見積の依頼、苦情、資料請求、契約に関する相談。種類は5つから7つに収めます。それ以上に分けると、どの種類に当たるかで迷う時間が発生します。迷ったときの既定の行き先を1つ決めておくと、迷いが止まります。
軸2は、緊急度です。緊急度は2段階で足ります。その日のうちに動くか、通常の期限内で動くか。3段階以上に分けると、真ん中の段階の扱いが曖昧になります。その日のうちに動く条件は、具体的に書きます。「サービスが使えない」「支払いが通らない」「期限が今日」のように、判断が分かれない言葉にします。「重要な案件」のような書き方では、人によって判断が変わります。
軸3は、相手の属性です。既存の取引先か、初めての相手か、会員かどうか。属性で返す内容が変わる窓口では、この軸が要ります。変わらない窓口では入れません。
3つの軸で分岐を書くと、条件の組み合わせは多くても十数通りになります。この規模であれば、1枚の紙に収まり、覚えられます。逆に、軸を4つ以上に増やすと組み合わせが数十通りになり、紙に載らなくなります。載らない分岐は、実際には使われずに経験で判断されます。
分岐に必ず入れておくべきものが2つあります。1つは、どの分岐にも当てはまらなかったときの行き先です。想定していない問い合わせは必ず来ます。行き先が無いと、その件が止まります。もう1つは、一次受けで判断できないときの持ち込み先です。誰に聞けばよいかが書いてあると、聞く前に止まる時間が消えます。
返信までの時間の基準を決める
時間の基準は、守れる数字にします。守れない基準は、守らない運用を生みます。
基準を決めるときは、2種類の時間を分けます。最初の反応までの時間と、解決までの時間です。最初の反応は「受け付けました。確認して返します」で足ります。解決までの時間は、内容によって大きく変わります。この2つを1つの数字にまとめると、調査が要る件で基準を破ることになります。
最初の反応の基準は、自動で返せる部分と人が返す部分に分けます。フォームから届いた件は、送信の直後に自動で控えを返せます。メールや電話で届いた件は、人が反応することになります。経路によって最初の反応の速さが違う状態を放置すると、経路によって待たされ方が変わります。
解決までの基準は、内容の種類ごとに決めます。ステップ1で数えた実際の日数を出発点にしてください。実績が5営業日なのに基準を1営業日にすると、初日から守れません。実績より少し短い数字を基準に置き、達成率を見ながら詰めるほうが機能します。
基準を外に書くかどうかも決めます。自動返信や案内のページに「3営業日以内に返信します」と書くと、書いた数字が全員に対する約束になります。営業日で書くこと、休業の期間を別に書くこと、そして守れなかったときにどうするかを決めておくことの3つが必要です。書かない選択もありますが、書かないと問い合わせてきた人は待つ目安を持てず、確認の連絡が増えます。
基準を決めたあとは、守れたかどうかを測ります。測らない基準は、決めていないのと同じです。測るのに必要なのは、届いた日時と最初に反応した日時と返し終わった日時の3つです。この3つが記録される形になっているかを、基準を決める前に確かめてください。記録されていない状態で基準を決めると、達成率を出すために毎回手で数えることになります。
一次受けで返しきる範囲を決める
一次受けが「振り分けるだけの人」になっていると、全部の件が2人以上の手を通ります。件数が増えると、この形は回りません。一次受けで返しきる範囲を決めておくと、通す件数が減ります。
返しきれる範囲は、3つの条件で判定できます。答えが既にどこかに書いてあること、金額や契約に関わらないこと、そして相手に約束を与えないことです。この3つを満たす問い合わせは、一次受けがそのまま返せます。
答えが既に書いてあるものは、ひな形にしておきます。よく来る質問の上位を数えると、たいてい10個ほどで大半を占めます。この10個の返信文を用意しておけば、一次受けは選んで送るだけになります。ひな形を作るときは、文面をそのまま送れる形にします。空欄を埋める箇所が多いひな形は、結局は毎回書くのと変わりません。宛名と1行だけを差し替える形が扱いやすくなります。
金額や契約に関わるものは、一次受けで返しません。返してしまうと、後から訂正することになります。訂正は、最初から答えなかった場合より相手の信頼を損ねます。金額に触れる質問が来たときに一次受けが返すのは、「担当者から改めてご連絡します」と、いつまでに連絡するかの2つだけです。
相手に約束を与えるものも、一次受けでは返しません。納期、対応の可否、例外の扱い。これらは決める権限のある人が答えます。一次受けが「できると思います」と書いた時点で、相手はできると受け取ります。
範囲を決めたら、境目にある質問の扱いも書いておきます。境目にあるものは持ち込む、と決めておくのが安全です。迷ったら持ち込む形にしておけば、判断の誤りは減ります。持ち込まれる側の負担が増えますが、訂正の手間よりは小さく済みます。
電話とチャットをフローに組み込む
問い合わせの経路がメールとフォームだけの窓口は多くありません。電話とチャットが入ると、フローの作り方が変わります。
電話が入ると、記録が残らない経路が1つできます。話した内容を書き残さなければ、対応した事実そのものが消えます。電話を受けたときに記録する決まりを作り、記録の手間を小さくしておきます。書く項目は、相手の名前、連絡先、内容の要旨、次にやること、受けた日時の5つで足ります。5つ以上を求めると、書かない人が出ます。
電話で受けた件も、メールやフォームで受けた件と同じ場所に記録します。場所を分けると、一次受けが2か所を見ることになり、片方が抜けます。同じ場所に並べれば、電話で受けた件の返し忘れも一覧で見つかります。
チャットが入ると、逆の問題が起きます。記録は残りますが、対応の終わりが分かりません。会話が自然に途切れた件は、返し終わったのか待たせているのかが判別できません。チャットで受けた件も、終わりを示す印を付ける決まりにします。
もう1つ、経路ごとに期待される速さが違う点に注意が要ります。チャットで聞いてきた相手は、数分から数十分で返ることを期待します。メールで送ってきた相手は、その日か翌日を想定します。同じ基準を当てると、チャットでは遅すぎ、メールでは無理な基準になります。経路ごとに最初の反応の基準を分けてください。
経路を増やすかどうかの判断も、フローを作る過程で出てきます。増やすほど相手の入りやすさは上がりますが、見回る場所も増えます。見回る場所を増やさずに入口を増やすには、届いた先を1か所に集める仕組みが必要です。集める仕組みが無いまま入口だけを増やすと、抜けが増えます。
持ち込みの決め方と、決めた人の記録
一次受けで返しきれない件を上へ持ち込む手順を、あらかじめ決めておきます。決めておかないと、持ち込むかどうかの判断に時間が消えます。
決める項目は4つです。どの条件で持ち込むか、誰に持ち込むか、持ち込むときに何を添えるか、持ち込んだあと誰が相手に返すか。
条件は、前の節で挙げた3つの逆になります。答えがどこにも書いていない、金額や契約に関わる、相手に約束を与える。このどれかに当たれば持ち込みます。加えて、相手が苦情として送ってきた件も持ち込みの対象にしておくと安全です。
誰に持ち込むかは、内容の種類ごとに1人だけ決めます。2人以上を並べると、どちらに持ち込むかの判断が新たに要ります。その1人が不在のときの代わりも、同時に決めます。
持ち込むときに添えるものは3つです。問い合わせの原文、一次受けが確かめたこと、そして何を判断してほしいか。原文だけを転送すると、受け取った側が同じ読み直しをすることになります。何を判断してほしいかが書いてあると、判断だけを返せます。
持ち込んだあと誰が相手に返すかは、一次受けに戻すのが基本です。判断した人が直接返すと、相手から見て連絡の相手が途中で変わります。変わったことが伝わらないと、相手はどちらに返信すればよいか分からなくなります。一次受けが窓口として残り、判断だけを中で受け取る形にすると、相手側の経験が一貫します。
持ち込みの記録も残します。誰が何を判断したかが残っていれば、次に同じ件が来たときに一次受けで返せるようになります。判断の記録が溜まると、返しきれる範囲が自然に広がります。逆に記録を残さないと、同じ判断を毎回持ち込むことになります。
図にするときのコツ
決めたことが揃ったら、図にします。図の目的は、迷ったときに見て判断できることです。網羅することではありません。
問い合わせ対応フローチャートは、実際に運用されて初めて意味を持ちます。そのためには、視認性・実用性・メンテナンス性を意識して設計する必要があります。以下の4つのポイントを押さえることで、誰もが迷わず使えるフローを構築できます。 出典: stock-sun.com
1つめのコツは、1枚に収めることです。複数枚にまたがると、判断の途中で紙をめくることになります。めくる手間が入ると見られなくなります。収まらない場合は、分岐を減らすか、種類ごとに分けて別の図にします。
2つめは、箱の中の文章を短くすることです。「内容を確認して適切な担当者に振り分ける」ではなく「内容の種類を判定する」と書きます。長い文章の箱が並ぶと、図を読むこと自体に時間がかかります。
3つめは、分岐の条件を箱の外に書くことです。矢印の脇に条件を書くと、どの条件でどちらへ進むかが一目で分かります。条件を箱の中に書き込むと、箱を読んでから矢印を探すことになります。
4つめは、更新の日付と担当者を図の中に入れることです。日付が無い図は、いつの決まりなのかが分かりません。半年前の図が壁に貼られたまま、実際の運用が変わっている状態は珍しくありません。日付が入っていれば、古さに気づけます。
5つめは、置き場所を決めることです。個人のパソコンの中にある図は、その人しか見ません。共有の場所に置き、新しく入る人が最初に見るものの1つにします。
図を作ったあとに1度やっておきたいのが、直近に届いた実際の問い合わせを10件、図に沿って辿ってみることです。辿れない件が出てきたら、その件の種類が図に入っていません。10件で漏れが見つからなければ、日常の大半は覆えています。
フローを人に教える手順
図が完成しても、窓口に座る人がその図を読んで動けるようになるまでには別の工程があります。教える手順を3段階に分けます。
第1段階は、図を渡して読ませることではありません。直近に届いた実際の問い合わせを5件用意して、それぞれをどう処理するかを書かせます。図を見ながらで構いません。書いた答えを見れば、図のどこが読み取りにくいかが分かります。読み取りにくい箇所は、教え方ではなく図の書き方を直します。
第2段階は、返信の文面を下書きさせて、送る前に見ることです。判断が合っていても、文面が窓口の水準に届いていないことがあります。最初の10件ほどは送る前に見て、直した箇所を本人に伝えます。直した箇所が同じところに集まっていれば、ひな形を1つ足せば済みます。
第3段階は、判断に迷った件を持ち込ませることです。迷わずに全部返している状態は、慣れたのではなく迷いに気づいていない可能性があります。持ち込まれた件が週に1件か2件あれば、判断の線が共有できています。ゼロが続いたら、持ち込みの条件をもう一度確認します。
3段階を通すのに要る期間は、窓口の件数によりますが、2週間ほどが目安です。この期間を取らずに1人で任せると、最初の数週間の対応が後から直すことになります。
教える側の負担を減らすには、判断の記録が役に立ちます。過去に持ち込まれた件とその判断が残っていれば、教える材料がそのまま揃います。記録が無いと、教える人の記憶から材料を作ることになり、毎回内容が変わります。
フローが守られなくなる原因
作ったフローが使われなくなる原因は、決まっています。先に知っておけば避けられます。
問い合わせ対応フローチャートは、ただ手順を図にするだけでは不十分です。運用しやすく、現場にフィットするフローを設計するためには、作成時に押さえるべき観点があります。 出典: stock-sun.com
1つめの原因は、フローの外に経路があることです。担当者個人のアドレスに直接届いた問い合わせは、フローに乗りません。個人のアドレスに届いた分を窓口へ回す決まりを作り、回す手間が小さい形にしておきます。手間が大きいと、その場で返してしまい記録が残りません。
2つめは、記録する場所が作業の流れから外れていることです。返信を書くのがメールの画面で、記録するのが別の表だと、記録は後回しになります。後回しにした記録は、その日の終わりにまとめて書くことになり、書かない日が出ます。3日分の記録が溜まると、その分は思い出して書くことになり、正確さが落ちます。
3つめは、決めた人と動かす人が違うことです。管理する側だけで作ったフローは、現場の実際の手順と食い違います。作る段階で、実際に窓口に座っている人に条件を書かせるのが確実です。
4つめは、更新されないことです。サービスが変われば問い合わせの種類も変わります。四半期に1度、直近に届いた件を数え直して、図に無い種類が増えていないかを見ます。この見直しに要る時間は1時間ほどです。見直しの担当と時期を暦に入れておくと、忘れずに回ります。誰の仕事でもない見直しは、行われません。
5つめは、守れない基準を置いたことです。返信までの基準を実績より短く置きすぎると、最初の週で破ります。破ることが普通になると、図の他の部分も守られなくなります。基準は、達成率を見ながら少しずつ詰めます。
フローを支える道具と、記録の置き場所
フローは、紙の上だけでは動きません。動かすのに必要な条件が3つあります。
条件1は、届いた件が1つの場所に集まっていることです。経路が複数あっても、記録する場所は1つにします。集まっていないと、一次受けが何か所も見回ることになります。見回る場所が3つを超えると、どこかが抜けます。
条件2は、届いた件ごとに担当者と状況を書ける欄があることです。担当者の欄が無ければ、誰が取ったかを示せません。状況の欄が無ければ、返し終わったかを示せません。メールソフトにはこの2つの欄がないため、代用として既読やフラグ、フォルダの位置を使うことになりますが、いずれも人によって使い方が変わります。
条件3は、問い合わせの本文と状況が同じ画面にあることです。本文を読むために別の画面へ移り、状況を更新するためにまた戻る形だと、移動の回数だけ時間が消えます。件数が増えると、この移動の時間が返信を書く時間を超えます。超えた時点で記録の更新が止まり、フローは紙の上だけのものになります。
表計算ソフトで台帳を作る方法は、条件1と条件2を満たします。条件3は満たしません。だから台帳は、件数が少ないうちは機能し、増えると止まります。止まるのは担当者の意識の問題ではなく、画面の行き来が増えたことによる時間の問題です。
送信されたあとの道具がそろっている形であれば、3つの条件が同時に満たされます。届いた内容を見ながら担当と状況を付け、そのまま返信まで送れて、対応の履歴が時系列で残ります。フローで決めた分岐は、状況の段階として道具の側に写せます。どの単位の機能が入っているかはできることに並んでいて、実際の受付側の画面の動きは動くところを見るで確かめられます。
料金の考え方も、窓口を複数人で回す段階では判断に関わります。届いた件数で金額が動く形だと、問い合わせが増えた月に費用が読めません。料金は使う人数だけで決まる形で、フォームの数と回答の数はどのプランでも無制限です。フォームを作る土台が別のところにある場合の違いはGoogleフォームとの比較とContact Form 7との比較にまとめてあります。
作る順番をもう一度整理します。直近1か月の件数を種類ごとに数える。経路を全部挙げる。一次受けの型を決める。3つの軸で分岐を書く。最初の反応と解決の2つの時間の基準を決める。1枚の図にして日付と担当者を入れる。実際の10件で辿ってみる。そして、記録する場所を作業の流れの中に置く。最後の1つを省くと、図は作られたまま使われずに残ります。
Q1. 問い合わせ対応フローは、何人の窓口から作るべきですか?
担当が2人以上になった時点で要ります。1人なら届いた順に見れば漏れませんが、2人になると誰が見たのかを示す手立てが無くなります。既読やフラグは個人ごとの状態なので、他の人には伝わりません。人数以外では、内容の種類が増えたとき、経験の浅い人が窓口に入るとき、返し忘れや二重返信が実際に起きたときが合図になります。
Q2. 分岐はどのくらい細かく作ればよいですか?
条件の軸を3つに絞ってください。内容の種類、緊急度、相手の属性です。種類は5つから7つ、緊急度は2段階で足ります。この規模なら組み合わせは十数通りに収まり、1枚の紙に載って覚えられます。あわせて、どの分岐にも当てはまらないときの行き先と、一次受けで判断できないときの持ち込み先を必ず入れてください。
Q3. 返信までの時間の基準はどう決めればよいですか?
最初の反応までの時間と解決までの時間を分けて決めます。直近1か月の実績を数え、実績より少し短い数字を基準に置いてください。実績が5営業日で基準を1営業日にすると初日から守れず、破ることが普通になります。外に書くときは営業日で書き、休業の期間を別に添えてください。
Q4. フローを作ったのに守られないのはなぜですか?
原因は5つに集まります。フローの外に経路があること、記録する場所が作業の流れから外れていること、決めた人と動かす人が違うこと、更新されないこと、守れない基準を置いたことです。とくに記録の場所が返信を書く画面と別だと、記録は後回しになり、やがて書かない日が出ます。
