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社内申請の電子化|紙をなくす前に決める受付の形と担当の持ち方

2026年10月2日 ・ Halict編集部

社内申請の電子化を任されたとき、最初に探したくなるのは道具です。ただし実際に運用が回るかどうかを決めるのは、紙をなくす前に決める3つのこと、つまり何を正とするか、1件ごとの担当をどう持つか、状態をどの言葉で表すかのほうです。この記事では、電子化で得られるものと失うもの、小さく始める手順、保存の義務が関わる申請の扱い、そして進んだかどうかを測る数字までを順に整理します。

電子化の範囲を、最初に狭く切る

社内申請と一言で言っても、中身はかなり幅があります。休暇の申請、経費の精算、押印の依頼、備品の購入、就業時間の変更、資格の受験費用、名刺の発注、設備や会議室の利用。数え始めると、どの職場でも20種類を超えます。

全部を一度に電子化する計画は、ほとんどの場合そのまま止まります。理由は2つあります。1つは、申請の種類ごとに承認する人と判断の基準が違うため、決めることの量が種類の数だけ増えることです。もう1つは、種類が多いと関わる部署が増え、合意を取る時間が設計の時間を上回ることです。

実務で推奨されている進め方も、範囲を狭く切ることから始まります。

実際に運用して作業フローに問題がないか確かめるためにも、設定がシンプルないくつかの社内申請を電子化することからはじめ、徐々に電子化する範囲を広げていくとよいでしょう。 出典: marugotoinc.jp

狭く切るときの基準は、件数と承認の段数の組み合わせです。件数が多く、承認が1段で済む申請がいちばん向きます。件数が多いので効果が出やすく、段が1つなので決めることが少ない。設備や会議室の利用申請、備品の購入申請がこの形に当てはまることが多くあります。

逆に向かないのは、件数が少なく承認が3段以上ある申請です。決めることが多いのに、電子化しても年に数回しか動きません。この種類は後回しにします。

電子化で得られるものは、4つに分かれる

電子化のメリットは1つの言葉でまとめられがちですが、中身は4つに分かれます。どれを狙うのかを決めておくと、道具の選び方も測り方も定まります。

1つ目は、移動と待ちが消えることです。紙の申請書を席まで持っていく、不在なら机に置いて帰る、戻ってきた書類を回収する。この時間がなくなります。在宅勤務や複数の拠点がある職場では、この効果がいちばん大きく出ます。

2つ目は、記入の不備が減ることです。紙では空欄のまま提出されても受け取ってしまいますが、入力の画面では必須の項目を空欄のまま送れない形にできます。差し戻しの往復が1回減るだけで、申請から承認までの日数は目に見えて縮みます。

3つ目は、探す時間が消えることです。過去の申請を探すとき、紙ならファイルの棚から年度と部署をたどります。電子化すれば、申請者の名前か日付で絞り込めます。監査や問い合わせへの対応にかかる時間が変わります。

4つ目は、止まっている場所が見えることです。紙の申請は、誰の机の上にあるかを追う手段がありません。電子化すると、いまどの段で何日止まっているかが分かります。催促の連絡そのものが減り、催促するかどうかの判断も早くなります。

この4つのうち、自分の職場でいちばん困っているのはどれかを決めます。1つ目が狙いなら、受け口を替えるだけで効きます。4つ目が狙いなら、承認の経路まで設計する必要があります。

見落としやすいデメリットとコスト

電子化には失うものもあります。先に知っておくと、運用の設計で手を打てます。

1つ目のデメリットは、目の前から消えることです。紙なら机の上に積まれているので、見なくても存在が分かります。電子化すると、画面を開かないかぎり見えません。催促の仕組みを用意しないと、紙のときより遅くなる申請が出ます。電子化して遅くなったという声は、多くがここから来ています。

2つ目は、作った人しか直せなくなることです。設定を組んだ担当者が異動すると、止まったときに原因を追える人がいなくなります。紙の運用なら、誰でも中身を読んで手で回せました。電子化したあとは、迂回する手段がありません。組んだ設定の内容を文字として残しておくことが、実質的な保険になります。

3つ目は、例外の扱いが硬くなることです。紙なら「今回だけ課長の判子を飛ばす」ができました。電子化すると、設定に無い道は通れません。例外が必要な場面を洗い出して、例外専用の道を用意するか、例外は紙で受けると割り切るかを決めます。

コストの面では、人数ぶんの費用が毎月かかる形が多いことを見込んでおきます。申請する全員にアカウントが必要な形と、申請は誰でもできて承認や管理をする人だけにアカウントが必要な形では、同じ人数の職場でも費用が大きく変わります。全社に配る前提で見積もると、思っていた額の何倍かになることがあります。

紙をなくす前に決める3つのこと

道具を選ぶより先に決めることが3つあります。ここが決まっていないまま電子化すると、紙が消えただけで手作業は残ります。

1つ目は、何を正とするかです。申請の内容が、入力された画面と、そこから出したPDFと、集計用の表の3か所にあるとき、食い違ったらどれを信じるのかを決めます。決めていないと、電子化した先の記録が「もう1つの控え」になるだけで、照合の手間が増えます。

2つ目は、1件ごとの担当です。申請1件に対して、いま誰が持っているのかが読み取れる形にします。部署あての宛先だけにすると、全員が「他の誰かが見ている」と思う申請が生まれます。届いた時点で誰かに割り当たる形にするか、割り当て前の申請が一目で分かる形にします。

3つ目は、状態の言葉です。受付済み、確認中、承認待ち、承認済み、差し戻し、完了。この6つでも足りますが、それぞれが「次に誰が何をする状態か」を1行で書き添えておきます。書き添えていないと、同じ言葉を人によって違う意味で使い始めます。

この3つが決まっていると、道具の比較は短時間で終わります。決まっていない状態で比較表を作ると、機能の数が多い側が良く見えるだけの表になります。

小さく始める手順

範囲を切ったあとの手順は、5段に分かれます。

1段目は、その申請の実際の流れを3件たどることです。理想の流れではなく、直近に実際に通った3件です。承認したのは誰か、何日かかったか、途中で止まったのはどこか。この3件で、設計に必要な材料がほぼそろいます。理想の流れだけを見て組むと、実際に起きている例外が抜け落ちます。

2段目は、様式の項目を決めることです。紙の様式をそのまま写す前に、それぞれの欄が何のためにあるのかを確かめます。承認者が判断に使う欄、あとから集計に使う欄、そして誰も見ていない欄の3つに分かれます。3つ目は消せます。紙の様式には、過去に必要だった欄が残っていることがよくあります。

3段目は、承認の経路を決めることです。1段で足りるなら1段にします。段を増やすと待ち時間が足し算になります。関係する部署が複数あり、それぞれが自分の観点だけで見るなら、順番に回すのではなく同時に送る形にできます。

4段目は、少人数で通してみることです。作った本人が1人で試すだけでは足りません。承認者の側に届いたときの見え方や、権限が足りない場合の挙動が確かめられないからです。公式の解説でも、動作の確認は実際の利用の場面を想定して、自分以外の数人に申請してもらうことがすすめられています。

5段目は、紙と並行して動かす期間を決めることです。期間は暦で決めて、終わる日を先に共有します。決めずに始めると、紙と電子の両方を見る運用が残り、担当者の手間が電子化の前より増えます。

紙の様式から、項目を削る方法

電子化の作業で時間を取られるのは設定ではなく、いまの様式の棚卸しです。紙の様式には、作られた当時は必要だった欄が残っています。

削る判断は、欄ごとに3つの問いを当てて決めます。1つ目は、この欄を見て判断を変える人がいるかです。承認者が読まずに判子を押している欄は、判断には使われていません。2つ目は、この欄をあとから集計に使っているかです。年に1度も集計していない欄は、集計にも使われていません。3つ目は、法令や社内の規程で残すことが決まっているかです。

3つとも当てはまらない欄は削れます。実際にやってみると、紙の様式の欄のうち2割から3割はここに入ります。削ると申請者の入力の手間が減り、差し戻しの原因も減ります。

逆に、削らずに形を変えたほうがよい欄もあります。自由記述で「備考」としてまとめられている欄は、そこに入っている情報を分けて設問にします。備考に書かれる内容を過去の申請から20件ほど読むと、だいたい3種類か4種類に収まります。その種類を設問として立てれば、備考の欄そのものを消せます。

日付と金額の欄は、入力の形を決めます。紙では手で書いていたので、和暦と西暦が混ざり、金額に円が付くものと付かないものが混ざります。電子化するときに入力の形を1つに決めておかないと、集計の段階で直す作業が残ります。

添付ファイルの欄は、上限を決めます。何枚まで、1つあたり何メガバイトまで。決めていないと、大きな画像を何枚も添付する申請が来て、受ける側の画面が重くなります。スマートフォンで撮った写真はそのままだと容量が大きいので、送る側で小さくしてもらう案内を添えるか、送られた側で小さくする仕組みを持つかを決めます。

削った結果は、紙の様式と並べて残します。並べて残しておけば、あとから「この欄はどこへ行ったのか」と聞かれたときに、削った理由を説明できます。

申請する側から見た使いにくさを、先に潰す

電子化が定着しない原因の多くは、承認する側ではなく申請する側にあります。申請する人は、その画面を月に1度か、年に数回しか開きません。前回の操作を覚えていないのが前提になります。

最初の壁は、どこから出すのか分からないことです。社内の案内のページの奥に入口があると、探すより先に担当者に電話が来ます。入口は、日常的に開く場所から1回で届く位置に置きます。

次の壁は、どの様式を選ぶのか分からないことです。似た名前の申請が並んでいると、間違った様式で出す人が出ます。間違って出された申請は、受け付けた側が気づいて正しい様式で出し直してもらうことになり、往復が2回増えます。様式の名前は、社内で実際に使われている呼び方にそろえます。規程に書かれた正式名称だけを並べると、誰も自分の用事と結び付けられません。

3つ目の壁は、入力の途中で分からない欄が出てくることです。専門用語の欄には、その場で読める説明を添えます。別の案内を読みに行かせる形にすると、そこで手が止まります。止まった申請は、後で出すつもりのまま忘れられます。

4つ目の壁は、出したあとに何も起きないことです。送信できたのかどうかが分からないと、同じ申請を2回出す人が出ます。控えが届く形にしておけば、この重複は起きません。控えには、申請の番号と、次に何が起きるか、いつまでに返答があるかを入れておきます。この3つが書かれていれば、進み具合を尋ねる連絡が減ります。

申請する側の使いにくさは、担当者には見えにくいものです。担当者は毎日その画面を開いていて、慣れているからです。運用を始める前に、その申請と関係の薄い人に1人だけ試してもらうと、詰まる場所がはっきり出ます。

保存の義務が関わる申請は、扱いを分ける

社内申請のうち、経費の精算や支払いの依頼のように、外部との取引に紐づくものは扱いが別になります。ここを一緒に設計すると、あとで作り直すことになります。

国税庁の案内では、電子帳簿保存法について次のように説明されています。

電子帳簿保存法は、税務関係帳簿書類のデータ保存を可能とする法律で、同法に基づく各種制度を利用することで、経理のデジタル化が図れます。また、取引に関する書類に通常記載される情報(取引情報)を含む電子データをやり取りした場合の、当該データに関する保存義務やその保存方法等についても同法により定められていますので、所得税法・法人税法上の保存義務者となる方は、特に「電子取引」についてご確認ください。 出典: nta.go.jp

つまり、取引に関する電子データをやり取りしている場合は、そのデータの保存について定めがあります。社内の申請の仕組みに領収書や請求書の画像を貼り付ける運用にすると、その保存が要件を満たしているかという論点が生まれます。

現実的な整理のしかたは2つです。1つは、取引の書類に触る申請だけを最初から対象から外して、経理の仕組みに任せる形です。もう1つは、申請の仕組みでは申請の事実だけを扱い、書類そのものは要件を満たす保存先に置く形です。どちらにしても、申請の仕組みを保存の場所として使わないほうが、あとから変えやすくなります。

具体的な要件の当てはめは制度の解釈が絡むので、所管の窓口や専門家に確かめてください。ここで押さえておくべきことは、社内申請の電子化と、取引データの保存は別の話であり、同じ仕組みで両方を満たそうとすると設計が重くなるという点です。

承認の経路を決めるときの注意

承認の設計でつまずくのは、たいてい形ではなく細部です。

まず、不在のときの扱いを決めます。承認者が休暇のあいだ、誰が代わるのか。代理を立てないなら、何日待ったら次に進むのか。どちらも決めていない状態が、いちばん止まります。

次に、差し戻しと却下を分けます。内容を認めないのが却下で、書式を直してほしいのが差し戻しです。この2つを同じ扱いにすると、あとから数えたときに、認められなかった申請と、直して通った申請が同じ数字に混ざります。改善の材料になるのは後者の数で、そこが多いなら申請の画面の説明を足せば減ります。

差し戻すときに、どこまで戻すかも決めます。3段の経路で3段目が差し戻したとき、申請者まで戻すと、直したあとに1段目と2段目が同じ内容をもう一度見ることになります。同じ内容を2度見せると、2度目は読まれません。

条件で道を分ける設計にする場合は、判定に使う文字に注意が要ります。承認の仕組みでは、有効な応答が承認と却下の2つに限られ、大文字と小文字が区別される場合があります。条件に入れる文字を1文字でも間違えると、承認されているのに却下の側に進みます。承認だけを試して確認を終えると、この間違いは見つかりません。承認と却下の両方を必ず試します。

長く止まる可能性がある申請では、期間の上限も見ておきます。承認の仕組みには、実行の期間が長くなる場合に専用の保存先を使う形が案内されているものがあり、年に数回しか動かない申請はこの前提で組みます。

紙のまま残してよい申請の見分け方

電子化の計画では、全部を対象にしないという判断も設計の一部です。紙のまま残したほうがよい申請には、共通の特徴があります。

1つ目は、年に数回しか動かないものです。設定を組む手間と、その設定を維持する手間が、削減できる作業の量を上回ります。組んだことを忘れて、次に動くときに誰も操作を覚えていないという状態にもなりやすくなります。

2つ目は、原本に署名や押印が必要と定められているものです。規程や法令で形が決まっているものは、形を変える判断が先に必要になります。仕組みを作る前に、その決まりを変えられるのかどうかを確かめます。

3つ目は、その場で完結するものです。申請書を出したその場で承認され、記録も残らないもの。この種類を電子化すると、その場で済んでいた手続きに画面の操作が増えるだけになります。

4つ目は、対象者が限られていて、全員が同じ場所にいるものです。3人の部署の中だけで回っている申請は、紙のほうが速いことがあります。

紙のまま残すと決めた申請は、決めたこととして記録に残します。残しておかないと、次の担当者が「なぜこれだけ紙なのか」を疑い、もう一度検討し直す時間が発生します。

ツールの選び方

候補は大きく3つの型に分かれます。どれが優れているという話ではなく、先に決めた3つのことと突き合わせて選びます。

1つ目の型は、いま社内にある道具を組み合わせる形です。フォームと表計算ソフト、それに業務の自動化の仕組みを繋いで作ります。メリットは、追加の費用が小さく、無料で使える範囲から始められることです。デメリットは、組んだ人しか直せない状態になりやすい点と、申請の種類が増えるほど繋ぎ目が増えて全体を把握できなくなる点です。

2つ目の型は、社内申請の専用の道具です。様式を画面で作れて、承認の経路や代理や催促の仕組みが最初から入っています。メリットは、決めたことをそのまま設定に写せることです。デメリットは、社外から届く申し込みの受付までは持っていない場合が多く、外向きの受付は別に用意することになる点です。

3つ目の型は、受け付けから返信までを1つで持つ道具です。メリットは、届いた1件に担当と状態が最初から付き、やり取りの記録が同じ画面に残ることです。社内と社外の両方の受付を同じ形で扱えます。デメリットは、複雑な条件分岐を持つ承認の設計では、専用の道具ほど細かく作れない場合がある点です。

選び方の基準は、申請の種類の数と、変更の頻度です。種類が5つ以下で年に何度も変わらないなら、1つ目の型で足ります。種類が10を超え、しきい値や承認者が頻繁に変わるなら、2つ目か3つ目の型のほうが維持の手間が小さくなります。おすすめの進め方は、1つの申請を1つ目の型で通してみて、維持にかかる手間を測ってから決めることです。

成功したかどうかを測る数字

電子化が進んだかどうかを、感覚で語ると議論が終わりません。先に測る数字を決めておきます。

1つ目は、申請から承認までの日数です。平均ではなく、いちばん遅かった数件を見ます。平均は即日で返っている大多数に引っ張られて小さく出ます。困っているのは遅い数件を待っている申請者です。

2つ目は、差し戻しの件数です。ここが多いなら、様式の説明か、必須の項目の設定に足りないところがあります。減っていけば、申請の画面が分かりやすくなった証拠になります。

3つ目は、紙で出された件数です。電子化したのに紙が来る申請には理由があります。入力の画面が使いにくいのか、対象になっていない例外なのか。理由を聞けば、次に直す場所が分かります。

4つ目は、担当者が問い合わせに答えた回数です。「これはどこに出すのか」「あの申請はどうなったか」という連絡の数が、仕組みの分かりやすさを表します。止まっている場所が申請者から見える形になっていれば、この数は下がります。

測り始めるのは、電子化の前です。前の数字が無いと、良くなったかどうかを比べられません。1週間だけ手で記録を取れば、比較の材料としては十分になります。数字を取らずに始めると、印象でしか語れなくなり、次の申請に広げる判断も止まります。

全社に広げるときの進め方

1つ目の申請が回り始めたら、次に広げます。広げ方を間違えると、最初の成功が止まります。

広げる単位は、部署ではなく申請の種類にします。部署で切ると、移った部署と移っていない部署のあいだで申請が通らなくなります。申請の種類で切れば、その申請に関わる全員が同じ日に移れます。

広げるときに見るのは、1つ目の申請で決めた3つのことがそのまま使えるかです。正本の置き場所、担当の持ち方、状態の言葉。この3つが種類ごとに違うと、申請者と承認者はそのつど覚え直すことになります。言葉だけでも共通にしておくと、2つ目以降の習熟が早くなります。

紙をやめる宣言は、種類ごとに出します。全社の全申請を一度にやめる宣言をすると、対象外の例外が出た時点で宣言が守られなくなり、次の宣言が効かなくなります。1つの申請について、この日から紙は受け付けないと決めて、その1つだけを守ります。

広げる速さは、担当者が設定を直せる余裕で決まります。2つ目を出した週に1つ目の不具合が出ると、両方が止まります。1つの申請が2週間問題なく回ったことを確かめてから、次に進みます。

設計や運用の一部を外に任せる選択肢もあります。労務や経理の作業を請け負う事業者は多く、社内の仕組みに合わせて手順を組む支援も行われています。人手が足りない職場では、最初の設計だけを外に頼み、運用は自分たちで持つ形が現実的です。

ただし、外に任せる場合でも、先に決める3つのことは自分たちで決めます。正本の置き場所、担当の持ち方、状態の言葉。ここを任せると、あとで運用を変えたいときに、なぜその形になっているのかを説明できる人が社内にいない状態になります。

任せる範囲を決めるときは、止まったときに誰が直すのかを先に確かめます。設定を組んだ相手との契約が終わったあとに不具合が出ると、直せる人がいません。組んだ内容を文字として受け取る約束を、契約の時点で入れておきます。

社外から届くものは、別の設計になる

社内申請の電子化を進めていくと、途中で社外から届くものに行き当たります。取引先からの申込み、応募者からの書類、利用者からの問い合わせ。ここは社内申請と設計が違います。

社内申請なら、申請者は社員なので、ログインできて、書式を教えられて、不備があれば直してもらえます。社外から届くものはこの前提が立ちません。回答者にアカウント登録を求めると、そこで手続きをやめる人が出ます。不備があっても、直してもらう手段がメールしかありません。

そのため、社外向けの受け口では、入力の手間をどこまで下げられるかが効きます。スマートフォンで入力を終えられるか、添付ファイルを送れるか、送信したあとに控えが届くか。控えが届かないと、同じ申込みを2回送る人が出て、見分ける作業が受ける側に来ます。

社内で Microsoft 365 を使っていて、すでにフォームで受けている場合の考え方はMicrosoft Formsとの比較に、Googleのフォームで受けている場合はGoogleフォームとの比較に、自社サイトをWordPressで作っていてそこにフォームを置いている場合はContact Form 7との比較に、それぞれ送信されたあとに何が残るかの違いとしてまとめています。

受け付けの形が社内申請と近いものとして、施設利用の申請では承認が要る申し込みの流れを、問い合わせの受付では窓口として受けたものを追う流れを整理しています。

社内と社外の両方を同じ形で扱えると、担当者が覚えることが1つで済みます。送信されたあとの道具がそろっている形にしておけば、届いた1件に担当と状態が付き、返信の記録が同じ場所に残ります。どこまでを1つの画面で持てるかはできることに、人数で決まる料金の考え方は料金に、運用を始める前に出やすい疑問はよくある質問にまとめています。

社内申請の電子化は、紙を消す作業ではなく、誰が何をいつまでにやるのかを形にする作業です。紙のうちに決まっていなかったことは、電子化しても決まりません。範囲を狭く切り、3つのことを決め、1つの申請で通してから広げる。この順序が、作り直さずに済む道になります。

Q1. 社内申請の電子化は、どの申請から始めるとよいですか?

件数が多く、承認が1段で済む申請から始めます。件数が多いので効果が出やすく、段が1つなので決めることが少ないためです。設備や会議室の利用申請、備品の購入申請がこの形に当てはまることが多くあります。件数が少なく承認が3段以上ある申請は後回しにします。

Q2. 電子化すると、必ず承認までの日数は短くなりますか?

自動的には短くなりません。紙なら机の上にあるので存在が分かりますが、電子化すると画面を開かないかぎり見えないためです。催促の仕組みと、不在時の代理または何日で次へ進むかを決めていないと、紙のときより遅くなる申請が出ます。

Q3. 経費精算や請求書に関わる申請も同じ仕組みで扱ってよいですか?

取引に関する電子データをやり取りしている場合は、そのデータの保存について定めがあります。申請の仕組みを保存の場所として使わず、申請の事実だけを扱って書類は要件を満たす保存先に置く形にすると、あとから変えやすくなります。要件の当てはめは所管の窓口や専門家に確かめてください。

Q4. 電子化がうまく進んだかどうかは、何で測ればよいですか?

申請から承認までの日数のうち遅かった数件、差し戻しの件数、紙で出された件数、担当者が問い合わせに答えた回数の4つです。測り始めるのは電子化の前です。前の数字が無いと比べられないので、1週間だけ手で記録を取っておきます。

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