整体院の問い合わせフォームの項目を決めるとき、多くの院が「予約を取るための入力欄」として組み立てます。ところが実際に届くのは予約の申し込みではなく、「この腰の痛みは診てもらえますか」「妊娠中でも受けられますか」といった相談です。相談として届いたものに折り返すとき、手元に何が無いと会話が進まないのかを先に洗い出すと、フォームの項目は自然に決まります。この記事では、整体院の受付でよく起きる詰まりを起点に、何を聞き、何を聞かず、届いたあとに何を持たせるかを順番に整理します。
整体院に届く問い合わせは、予約の申し込みとは別物
予約サイトの枠を押さえる操作と、ホームページのフォームから届く問い合わせは、性質がまったく違います。枠を押さえる人はすでに「ここで受ける」と決めていますが、フォームから相談してくる人は、受けられるかどうかをまだ決めていません。この差を意識せずに項目を作ると、予約に必要な情報だけを集めてしまい、折り返しの一往復目で必ず聞き直しが発生します。
「診てもらえるか」を確かめる相談が最初に来る
整体院の窓口に届く文面で多いのは、症状を短く書いて「対応していますか」と尋ねる形です。腰、肩、首、膝、股関節といった部位に加えて、しびれがある、朝だけ痛む、デスクワークの後に強くなる、といった条件が添えられます。書き手は自分の症状が施術の範囲に入るのかを知りたいだけなので、名前と電話番号しか入力欄が無いフォームだと、本文の自由記述にすべてを書き込みます。
受け取る側は、その自由記述を読んでから、足りない情報を電話で聞き直すことになります。電話がつながらなければ、そこで一往復が丸ごと消えます。相談として来る前提で項目を組んでおけば、最初の送信で判断に必要なものがそろい、折り返しはそのまま日程の話に進めます。
施術中は電話に出られないという前提を先に置く
整体院の受付が他の業種と違うのは、担当者がベッドの横にいて手がふさがっている時間が長いことです。60分の枠が続けて入っていれば、その間の着信はすべて取れません。留守番電話に折り返し先が残っても、こちらから掛け直した時間には相手が仕事中で出られない、という行き違いが繰り返されます。
だからこそ、フォームは「電話がつながらない時間帯の受け皿」として設計する必要があります。折り返しの電話が一度で通じない前提に立つと、連絡が取りやすい時間帯や、電話とメッセージのどちらを希望するかを聞いておく価値がはっきりします。項目を1つ足す手間と、掛け直しを3回繰り返す手間を比べれば、答えは決まります。
相談の返信で施術の可否を断定しない
ここは項目設計の前提として押さえておく必要があります。届いた文面だけを読んで、施術で改善するかどうかを返信で断定することはできません。返信でできるのは、来院してもらって状態を見る段取りを組むこと、そして医療機関の受診を勧めたほうがよい場合にその案内を添えることです。フォームの項目は、あくまでその段取りを組むために必要な情報を集めるものとして考えます。専門的な判断そのものは、対面で有資格の担当者が行う領域です。
折り返す前に分かっていないと困ること
項目を決める一番早い方法は、理想的な折り返しの文面を先に書いてしまうことです。そのうえで、その文面を書くために必要な情報を逆算します。整体院の場合、次の5つがそろっていれば、一往復目で日程の提案まで進めます。
症状のある部位と、いつからか
部位は選択式にして、腰、背中、肩、首、頭、膝、股関節、足首、手首、その他といった選択肢を並べます。複数選択にしておくと「腰と足のしびれ」のような組み合わせが1つの回答で拾えます。あわせて「いつから」を、今週、1か月以内、半年以内、1年以上、という粗い区分で聞きます。日付を書かせると入力が止まるので、区分で十分です。
期間を先に知っておく意味は大きく、初めて痛みが出て数日という状態と、何年も付き合っている状態とでは、来院してもらう優先度も、当日にかける時間の見積もりも変わります。折り返しで枠を提案するとき、この1項目の有無で提案の精度が変わります。
通っている医療機関や、これまでの施術の有無
「現在、病院や整形外科に通っていますか」を、はい・いいえ・受診を検討中、の3択で聞きます。診断名や治療の中身までは聞きません。ここで確かめたいのは症状の内容ではなく、来院時に確認すべきことがあるかどうかという受付上の分岐です。
同じ意味で「整体や整骨院での施術を受けたことがありますか」も1問だけ置きます。初めての人には施術の流れや服装の説明が要り、経験がある人にはその説明が不要です。返信の文面をどちらの型にするかが、この1問で決まります。
希望の日時を2つ以上
日時を1つだけ書かせると、その枠が埋まっていた瞬間に折り返しが「その時間は取れません」という後ろ向きの連絡になります。第1希望と第2希望を分けて入力させ、さらに「平日の夜」「土日の午前」といった時間帯の希望も選ばせておくと、両方埋まっていた場合でも近い枠を提案できます。
日付の入力は、カレンダーから選ぶ形式にします。自由記述にすると「来週あたり」「早めに」といった書き方が混ざり、受け取る側が読み替える手間が増えます。
連絡が取れる手段と、取れる時間帯
電話、メール、メッセージのどれで返してほしいかを選ばせます。あわせて「電話がつながりやすい時間帯」を、午前、昼、夕方、夜、いつでも、から選ばせます。これがあるだけで、掛け直しの成功率がはっきり変わります。仕事中は出られない人が多く、その人に日中に何度も掛けても意味がありません。
初回か、再来か
再来の人には、前回いつ来たかを覚えている範囲で書いてもらいます。カルテを探す手がかりになりますし、初回向けの長い案内文を再来の人に送らずに済みます。フォームの分岐で、初回を選んだ人にだけ服装や持ち物の項目を出す形にすると、入力の負担も減ります。
相談の中身によって、折り返しで確かめることが変わる
同じ「腰が痛い」でも、添えられた条件によって、折り返しで確かめる内容は変わります。項目を決めるときは、院として受け付けている相談をいくつかの型に分けて、それぞれで何が分かっていれば会話が進むかを書き出すと迷いません。ここでは、整体院の窓口によく届く相談を型ごとに見ていきます。
腰や下肢の相談
腰の痛みは、整体院に届く相談の中でも件数が多いものです。同じ腰でも、動き始めだけつらいのか、座り続けると出るのか、片側の足にしびれが下りているのかで、来院の急ぎ具合の見立てが変わります。フォームでは「どんなときにつらいか」を、朝の起き抜け、長く座ったあと、立ち仕事の途中、寝返りのとき、といった選択肢で聞いておくと、折り返しの一言目が変わります。
しびれや力の入りにくさが書かれていた場合、受付の側で施術の可否を判断することはできません。この場合の折り返しは、来院してもらって状態を確かめる段取りを組むか、医療機関の受診を案内するかの分岐になります。どちらを選ぶにしても、その分岐に必要な情報がフォームで拾えているかどうかが問われます。
首や肩の相談
デスクワークや育児の姿勢に関連した相談が多く、症状よりも「いつ来られるか」のほうが会話の中心になります。この型では、勤務先や自宅からの移動時間、駐車場の有無、子どもを連れて来てよいかといった条件が来院を左右します。フォームに「駐車場を使いますか」「お子さま連れの来院を希望しますか」を任意の選択肢として置いておくと、折り返しの中で案内すべきことが先に分かります。
膝や足首、スポーツに関連した相談
学生や、休日に運動をしている人からの相談では、次の試合や大会までの日数が意思決定を決めます。「いつまでに」という条件を聞く欄を1つ置くと、日程の提案が具体的になります。ここでも、書かれた内容から回復の見通しを返信で示すことはできません。伝えるのは、いつ来られるか、どのくらいの時間の枠を取るか、という段取りだけです。
産後や妊娠中の相談
受けられるかどうかの確認を目的とした問い合わせが多い型です。院として受け付けている範囲を、フォームの案内文とホームページに先に書いておくと、問い合わせそのものが減り、届いたものは条件を満たしたものだけになります。書いていない場合、返信のたびに同じ説明を書くことになります。フォームの項目を増やすより、案内文を1段落足すほうが効く場面があります。
交通事故や労災に関する相談
受け付けているかどうかで対応がまったく変わるため、院として扱う範囲を明示しておく必要があります。扱っている場合は、保険の手続きに関する連絡先や書類のやり取りが発生するため、通常の相談とは別の受け皿を用意したほうが混ざりません。扱っていない場合は、案内文で先に伝えます。どちらにせよ、届いてから毎回考えるのが一番時間を取られます。
症状を書いてもらうときに気をつけること
整体院のフォームは、体の状態という取り扱いに注意が要る情報を集めます。個人情報の保護に関する法律では、病歴などを含む情報を要配慮個人情報として区別しています。
この法律において「要配慮個人情報」とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報をいう。 出典: ppc.go.jp
自院のフォームで集めている項目がこれに当たるかどうか、どこまでの同意を取るべきかは、集め方と使い方で変わります。当てはめの判断は所管の窓口や専門家に確かめてください。ここで書けるのは、受付の実務として最低限そろえておくと迷いが減る、という運用の話だけです。
何のために聞くのかを、項目のすぐ近くに書く
症状の入力欄の下に、その情報を何に使うのかを1行で書きます。「当日の施術時間の見積もりと、担当者の割り当てに使います」といった具体的な書き方にすると、書く側の警戒が下がります。個人情報保護方針のページへリンクを置くだけでは、その場で読まれません。項目のすぐ横に短く書くほうが、実際には伝わります。
保管の期限と、見る人の範囲を決めておく
問い合わせの内容がスタッフ全員のメールに転送され、退職した人の端末にも残り続けている、という状態は珍しくありません。誰がその情報を見られるのか、いつまで残すのかを先に決めて、フォームの案内文にも書いておきます。決めていないものは書けないので、この作業は同時に運用の棚卸しになります。
自由記述は1つに絞り、書きすぎを防ぐ
自由記述の欄をいくつも並べると、書く側は全部を埋めようとして長文になり、受け取る側は読むのに時間がかかります。自由記述は「そのほか、伝えておきたいこと」の1つだけにして、案内文に「詳しい状態は来院時にうかがいます」と添えます。フォームで問診を完結させようとしないことが、結果的に双方の負担を減らします。
聞かないほうがよい項目
項目を足すのは簡単ですが、外す判断のほうが効きます。整体院のフォームでよく見かける、外したほうがよいものを挙げます。
診断名を選ばせる選択肢
「ヘルニア」「坐骨神経痛」といった診断名を選択肢に並べると、医療機関で診断を受けていない人が、自己判断で選んでしまいます。受け取る側はその選択を前提に返信を組み立てることになり、実際の状態とずれます。聞くのは部位と、どんなときに痛むかという事実だけにとどめます。
問診票をそのままフォームに移したもの
紙の問診票には、来院してから記入してもらう前提で作られた細かい設問が並んでいます。それをそのままフォームにすると、入力の途中で離脱します。フォームで聞くのは、折り返しに必要な最小限だけです。問診票の中身は、来院前日に別のリンクで送るか、当日に書いてもらうほうが完走します。
回答者にアカウント登録を求める仕組み
送信の前に会員登録やログインを求めると、そこで手が止まる人が出ます。初めて相談する相手に対して、アカウントを作らせるのは負担が大きい行為です。フォームの入力から送信までを1画面で終える形を守ります。
使わない項目
住所を集めているが返信には使っていない、生年月日を聞いているが当日にもう一度書いてもらっている、といった項目が残っている院は多くあります。集めた情報は保管の対象になり、管理の手間が増えます。折り返しで使っていない項目は外します。
判断の仕方は単純です。過去に届いた相談を20件ほど並べて、それぞれの項目が折り返しの文面に一度でも使われたかどうかを見ます。一度も使われていない項目は、これからも使われません。ホームページを作った制作会社が用意した既定の入力欄が、そのまま何年も残っているという例はよくあります。作ったときの意図が引き継がれていないだけで、外して困ることはほとんどありません。
電話や予約サイトと、聞くことをそろえる
整体院の入口は1つではありません。ホームページのフォーム、電話、予約サイト、地図アプリの経路、SNSのメッセージと、複数の窓口が同時に動いています。それぞれで聞いていることがばらばらだと、記録もばらばらになり、あとから探せなくなります。
電話で聞く順番をフォームに合わせる
フォームの項目が決まったら、その並びをそのまま電話の受け答えのメモに使います。電話を受けたスタッフが同じ順番で聞けば、記録の形がそろい、あとで一覧にしたときに欠けが見えます。順番が違うと、電話の記録だけ希望日時が書かれていない、といった穴が生まれます。
予約サイト経由の申し込みとの違いを決めておく
予約サイトから枠が押さえられた場合、症状の詳細は入っていないことが多く、当日にはじめて分かります。フォームから来た人には事前に情報がそろっていて、予約サイトから来た人にはそろっていない、という差が生まれます。この差を埋めるために、予約が入った時点で症状の確認だけを短いフォームで送る、という運用にしている院もあります。どちらにするかを決めておかないと、当日の準備が人によって変わります。
メッセージアプリからの相談をどう扱うか
メッセージアプリで届いた相談は、会話の流れの中に情報が散らばります。名前、症状、希望日時が3つの吹き出しに分かれていて、あとから読み返す必要が出ます。メッセージで受けた場合も、受付側が内容をフォームに転記して一覧に載せる運用にすると、探す場所が1つで済みます。転記の手間はかかりますが、当日に「あの人の希望は何時だったか」を会話履歴から探す時間と比べれば安く済みます。
いたずら送信と、営業目的の送信への備え
フォームを公開すると、相談以外のものも届きます。整体院の窓口でも、広告代理店やホームページ制作会社からの営業、機械的に送られてくる無関係な文面が混ざります。これを人が毎回選り分けていると、本当の相談を見落とします。
相談と営業を最初から分ける
フォームの冒頭に「お問い合わせの種類」を置き、施術のご相談、求人について、取材・お取引について、といった選択肢を用意します。選択によって届け先の担当や表示の色を変えられれば、相談だけを先に見る運用が組めます。項目を1つ足すだけで、選り分けの手間が消えます。
自動送信への対策と、その副作用
機械的な送信を防ぐ仕組みを入れるとき、注意したいのは、書く側の負担も同時に増えることです。画像の文字を読ませる方式は、スマホで痛みを抱えたまま入力している人には負担になります。送信の直前に手が止まる原因を作ってしまうと、営業を減らす代わりに相談も減ります。まずは種類の選択と、届いたあとの並べ替えで対処し、それでも回らないときに次の手を考える順番が現実的です。
迷惑メールに入る問題を先につぶす
フォームの通知メールが迷惑メールに振り分けられていて、数日気づかなかった、という事故は起こります。通知の受け取り先を1つのメールアドレスだけに頼らず、一覧の画面でも未対応が見える状態にしておくと、通知が届かなくても気づけます。届いたものが記録として残る場所を持つことが、通知の不着に対する備えになります。
代理で送られてくる問い合わせをどう受けるか
整体院の窓口には、本人以外からの相談も届きます。家族が高齢の親のために送る、勤務先の担当者が従業員のために送る、といった形です。この場合、フォームに書かれた連絡先と、実際に来院する人が別になります。
送信者と来院者を分けて聞く
「ご本人以外が入力していますか」という1問を置き、はいを選んだ場合にだけ、来院する方の名前と年代の欄を出します。これがないと、折り返しの電話で「どちらの症状のお話でしょうか」という確認から始まり、相手にも手間をかけます。
連絡は誰に返すのかを確かめる
代理で送られた場合、折り返しを送信者に返すのか、来院する本人に返すのかで対応が変わります。フォームで「連絡はどちらに」を選ばせておくと、返信先を迷いません。高齢の家族の相談では、本人が電話に出られないことも多く、ここを外すと連絡が滞ります。
スマホで書ける長さに収める
整体院のフォームに来る人の多くは、痛みを抱えたままスマホで検索して、そのまま入力しています。座って落ち着いて書ける状態ではないことを前提に、画面の作りを決めます。
項目数の目安
必須の項目は7つ前後に収め、それ以上は任意にします。名前、電話番号、メールアドレス、部位、いつから、希望日時、連絡の希望、この並びで必要な情報はそろいます。任意の項目は初回の人にだけ出す、といった分岐で見た目の長さを抑えます。
入力形式をそろえる
電話番号の欄は数字のキーボードが開く形式にし、ハイフンの有無で弾かないようにします。日付はカレンダーから選ばせ、時間帯は選択肢にします。メールアドレスは入力し直しを求めず、送信後の確認画面で見せるほうが完走率は上がります。
入力欄の説明文は、例を1つ添える
「症状について」とだけ書かれた欄には、何をどこまで書けばよいのかが分かりません。欄の下に「例:3週間前から、朝起きたときに右の腰が痛みます」と1文だけ添えると、書き方がそろいます。そろった文面が届けば、受け取る側が読み替える時間も短くなります。長い説明を並べるより、例を1つ置くほうが確実に効きます。
送信したあとに何が起きるかを書く
送信の直後に「受け付けました」だけを出すのではなく、いつまでに、どの手段で返信が来るのかを書きます。2営業日以内に電話で折り返す、と書いてあれば、書いた側は待てます。書いていなければ、翌日には他の院にも問い合わせます。この一文の有無が、そのまま来院数に効きます。
届いたあとに回すための項目を、自分たちのために足す
ここまでは書く側に見せる項目の話です。もう1つ、受け取る側だけが使う項目を用意しておくと、受付は目に見えて楽になります。
受付番号と、届いた時刻
1件ごとに番号が付いていると、スタッフ同士の会話が「あの腰の人」ではなく番号で済みます。届いた時刻が分かれば、何時間放置されているかがひと目で分かります。メールの受信箱でも時刻は分かりますが、既読になった瞬間に他のメールと同じ列に沈むので、一覧として見える場所に持っておく意味があります。
担当と状況を持たせる列
誰が返すのか、いまどの段階なのかを、記録の側に持たせます。未対応、折り返し中、日程調整中、予約確定、対応終了、という程度の粗さで十分です。返信したかどうかが表に残らないと、二重返信と返し忘れは必ず起きます。整体院のように、施術の合間に交代で受付を見る職場では特に起きます。
返信の下書きを、記録の横に置いておく
初回の人向けの案内、日程を提案する文面、枠が埋まっていた場合の代替案、この3つは毎回ほぼ同じことを書きます。定型の文面を記録の近くに置いて、名前と日時だけを差し替える形にすると、施術の合間の数分でも返信が終わります。文面を毎回考えている限り、まとまった時間が取れるまで返信は後回しになります。
電話で受けた相談も同じ場所に入れる
フォームからの問い合わせだけを管理しても、電話で受けた相談が別のノートに残っていれば、全体は見えません。電話で受けた内容を、受付側が同じフォームに代理入力する運用にすると、一覧が1つになります。手間は増えるように見えますが、探す時間がなくなる分で釣り合います。
項目の並びを、そのまま表にすると決めやすい
決めた項目を1枚の表にして、必須かどうか、何に使うか、誰が見るかを書き並べます。表にすると、使っていない項目や、目的を説明できない項目が浮き上がります。
| 項目 | 必須 | 何に使うか |
|---|---|---|
| 名前 | 必須 | 折り返しの呼びかけ、カルテの照合 |
| 電話番号 | 必須 | 折り返しの連絡 |
| メールアドレス | 任意 | 電話がつながらない場合の連絡 |
| 症状のある部位 | 必須 | 施術時間の見積もり、担当の割り当て |
| いつからか | 必須 | 来院の優先度の判断 |
| 希望日時(第1・第2) | 必須 | 枠の提案 |
| 連絡の希望手段と時間帯 | 必須 | 折り返しの成功率を上げる |
| 初回か再来か | 必須 | 返信文面の切り替え |
| 医療機関の受診状況 | 任意 | 来院時の確認事項の把握 |
| そのほか伝えたいこと | 任意 | 補足の受け皿 |
この表を作ったあとで、フォームの画面を組みます。順番を逆にすると、画面に引きずられて項目が増えます。
項目を変えたあと、何を見て直すか
項目は一度決めて終わりではありません。変えたあとに何が起きたかを見て、少しずつ削ったり足したりします。ただし、見る数字を決めておかないと、感覚で戻したり進めたりを繰り返すことになります。
一往復目で日程の話に進めた割合
いちばん大事な数字はこれです。届いた相談のうち、追加の聞き直しをせずに枠の提案まで進めたものがどれだけあったかを数えます。この割合が低ければ、聞くべきことが足りていません。逆に、ほとんど使っていない項目があるなら、それは削れます。数え方は、記録に「聞き直しあり」の印を付けるだけで足ります。
途中でやめられた回数
入力を始めたのに送信まで至らなかった数が分かる仕組みであれば、それを見ます。分からない場合でも、項目を増やした前後で届く件数が減っていないかを比べれば、負担が増えすぎたかどうかの見当は付きます。項目を足すときは1つずつにして、変化を見てから次を足します。まとめて5つ足すと、どれが原因かが分からなくなります。
折り返しが一度で通じた割合
連絡の希望時間帯を聞き始めたあとで、掛け直しの回数が減ったかどうかを見ます。減っていなければ、選択肢の粒度が合っていない可能性があります。午前と午後の2択では粗すぎて、実際には昼休みしか出られない人が拾えません。
見直す間隔を決める
毎週見る必要はありません。3か月に1回、届いた相談を通しで読み返し、聞き直しが起きた件を数えるだけで十分です。読み返す作業を予定に入れておかないと、忙しさに紛れて一度も見返さないまま1年が過ぎます。
受け付けたあとを回す道具を、どう選ぶか
項目が決まったら、次に決めるのは「送信されたあとをどこで回すか」です。ここで詰まる院がとても多く、フォームは動いているのに受付が回らない、という状態になります。
フォームを作る道具としてよく使われているのは、無料で始められて回答が表に並ぶタイプのものです。どんな使い方ならそれで足りるのか、どこから足りなくなるのかを整理した記事があるので、選び直す前に読んでおくと判断が早くなります。回答を表で追う運用の限界と、次に決めることを扱っているのがGoogleフォームとの比較です。ホームページをWordPressで作っていて、プラグインでフォームを設置している場合の考え方はContact Form 7との比較にまとまっています。
問い合わせを受ける窓口として何がそろっていれば回るのかは、場面ごとに違います。整体院の相談受付に近い形については問い合わせの受付で、届いた相談に担当を付けて返すまでの流れが説明されています。講座や体験会を併設している院でも、申し込みを受けたあとの回し方は同じ考え方で組めます。
道具の側で何ができるのかを一度に見たい場合はできることを、実際の画面の動きを確かめたい場合は動くところを見るを開くのが早い方法です。費用の感覚をつかんでから検討したい場合は料金に条件が書かれています。
判断の軸は1つだけです。送信されたあとの道具がそろっているかどうかを見ます。具体的には、届いた一覧に担当と状況の列が持てるか、返信の履歴が1件ごとに残るか、スマホから同じ一覧が見えるか、この3点です。集める側の機能はどの道具もよく作り込まれていて差が付きにくく、差が出るのは受けたあとです。整体院のように、受付の担当が施術に入ってしまう職場では、この差がそのまま返し忘れの件数として表れます。
Q1. 整体院の問い合わせフォームで、必須にすべき項目はいくつが適切ですか?
必須は7つ前後に収めるのが現実的です。名前、電話番号、メールアドレス、症状のある部位、いつからか、希望日時、連絡の希望手段。この並びがあれば、折り返しの一往復目で日程の提案まで進めます。それ以上は任意にするか、初回の人にだけ表示する分岐にして、画面の長さを抑えます。痛みを抱えたままスマホで入力する人が多いことを前提に考えます。
Q2. 症状を自由記述で書いてもらうのと、選択肢にするのはどちらがよいですか?
部位と期間は選択肢にして、自由記述は「そのほか伝えたいこと」の1つだけに絞ります。選択肢にすると受け取る側が読み替える手間が消え、一覧でも並べ替えができます。自由記述をいくつも並べると書く側が全部埋めようとして長文になり、読む時間が増えます。詳しい状態は来院時にうかがう、と案内文に添えておけば書きすぎも防げます。
Q3. 診断名を選択肢に入れてもよいですか?
入れないほうが安全です。医療機関で診断を受けていない人が自己判断で選んでしまい、受け取る側がその前提で返信を組み立てることになります。聞くのは、どこが、いつから、どんなときに痛むか、という事実だけにとどめます。あわせて医療機関に通っているかどうかを、はい・いいえ・検討中の3択で聞けば、来院時に確認すべきことがあるかどうかは把握できます。
Q4. 症状の情報を集めるとき、案内文には何を書けばよいですか?
何のために使うのかを、入力欄のすぐ近くに1行で書きます。当日の施術時間の見積もりと担当の割り当てに使う、といった具体的な書き方にします。あわせて、誰が見るのか、いつまで残すのかを決めて書きます。体の状態は取り扱いに注意が要る情報にあたる可能性があるため、自院の集め方が法令上どう位置づけられるかは所管の窓口や専門家に確かめてください。
Q5. 送信後の画面には何を書くべきですか?
いつまでに、どの手段で返信が来るのかを書きます。2営業日以内に電話で折り返します、と書いてあれば書いた側は待てますが、書いていなければ翌日には他の院にも問い合わせます。あわせて、電話がつながらなかった場合にどうするかも添えておくと、掛け直しの行き違いが減ります。受け付けた旨だけを表示して終わらせないことが大切です。
