PTAの窓口で二重返信と返し忘れが起きる原因は、ほとんどの場合、誰が持っているのかが見えないことにあります。届いたものが全員の受信箱に同時に並ぶと、全員が対応するか、全員が誰かを待つかのどちらかになります。この記事では、行事の出欠と保護者からの連絡を、誰が持つのかが一目で分かる形に振り分ける方法を整理します。読み終えたときに、いまの窓口で持ち主が空白になっている場面を特定し、そこを埋める手順が決められる状態を目指します。
全員に届く設計が、誰も動かない状態を作る
PTAの問い合わせ窓口は、多くの場合、役員のメールアドレスを複数登録して、届いたら全員に通知が飛ぶ形になっています。取りこぼしを防ぐための設計に見えますが、実際には逆に働きます。
同じものが全員に届くと、開いた人は「他の人も見ているはずだ」と考えます。特に、自分の担当かどうか分からない内容であれば、なおさら手を出しません。こうして、届いた瞬間に全員が読んでいるのに、誰も動いていない状態が生まれます。
反対に、動く人が二人以上出ることもあります。行動的な役員が二人いると、両方が返信を書きます。届いた側には、内容の違う返信が二通並びます。どちらが正しいのかを聞き返されて、三通目を書くことになります。
この二つは、正反対の現象に見えて原因が同じです。誰が持っているのかが決まっていないことです。
通知の宛先を増やしても責任は増えない
取りこぼしが起きたとき、対策として通知の宛先を増やす判断がよく行われます。見る人を増やせば見落とさないだろう、という考え方です。
しかし宛先が増えるほど、一人あたりの責任感は薄まります。三人に届いていれば三分の一、五人なら五分の一の気持ちになります。誰も自分の仕事だと思わないので、結局は誰も開きません。
必要なのは、届く人を増やすことではなく、持つ人を一人に決めることです。そのうえで、その人が動いていないことに他の人が気づける形にします。この二つがそろって初めて、取りこぼしが減ります。
見えないものは引き継げない
持ち主が見えない状態のもう一つの問題は、年度が変わったときに現れます。前の年度に誰が何を持っていたのかが分からないので、未完了のまま残っているものを新しい役員が見つけられません。
PTAの役員は多くの場合1年で入れ替わります。引き継ぎの日に「残っているものはありません」と言われても、それは記録が無いだけかもしれません。持ち主を見える形にしておくことは、その年度の効率だけでなく、翌年の立ち上がりの速さも決めます。
振り分けの前に、用件の種類を決める
誰が持つかを決める作業は、届いたものが何なのかが分かってから始まります。だから振り分けの設計は、フォームの設問の設計と一続きです。
用件の種類で自動的に持ち主が決まる形にする
フォームの先頭に用件の種類を置き、その選択肢と持ち主を対応させます。行事の出欠は集計担当、委員や当番の相談は会長か副会長、活動への意見は該当する委員会の委員長、会計に関する質問は会計担当。この対応表を先に作ります。
対応表があれば、届いた時点で持ち主が決まります。誰かが判断する必要がないので、判断のための時間も、判断を待つ時間も発生しません。振り分けで最も効くのは、この「届く前に決めておく」という一手です。
対応表は、フォームの管理画面の近くに置いておきます。別の資料の中に埋もれていると、参照されなくなります。
どこにも当てはまらないものの持ち主を決める
対応表を作っても、当てはまらないものは必ず届きます。「その他」を選んで送られたもの、複数の用件が一通に混ざったもの、そもそも学校あての連絡が誤って届いたもの。
この種類にも持ち主を一人決めておきます。役職としては、書記や副会長が担うことが多い場所です。決めていないと、当てはまらないものだけが窓口に溜まっていきます。溜まったものは、たいてい誰かが困っている内容です。
複数の用件が混ざった連絡は分けてから振る
一通の中に、行事の出欠と、委員に関する相談と、備品の要望が同時に書かれていることがあります。この一通を一人が抱えると、三つのうち一つが片付かないだけで全体が止まります。
対処は、内容を分けて、それぞれに持ち主を付けることです。分ける作業は一次受けの役目にします。分けたあとで、返信を一通にまとめるか、別々に返すかを決めます。まとめるなら、誰がまとめるかも決めます。
委員会の構成と窓口の対応を先に書き出す
PTAは委員会や部に分かれて活動していることがほとんどです。広報、成人、校外、厚生、ベルマーク、卒業対策といった区分が一般的で、学校によって名前も数も違います。振り分けの対応表を作るときは、この区分を出発点にします。
ただし、届く問い合わせの側は委員会の区分を知りません。保護者は「広報部あて」とは書かず、「配布された印刷物の写真について」と書いてきます。だから対応表は、委員会名の側からではなく、届く言葉の側から作る必要があります。
届く言葉を集めてから対応表を作る
過去に届いたものを並べて、そこに出てくる言葉を拾います。行事名、備品の名前、活動の名前。これらが、保護者が実際に使う言葉です。そのうえで、それぞれがどの委員会の所管かを書き添えます。
この作業をすると、複数の委員会にまたがる用件が見つかります。行事の写真の扱いは広報と行事の担当の両方に関わりますし、備品の要望は会計と使う委員会の両方に関わります。またがるものは、どちらが先に持つかを決めておきます。
同じ言葉で別の用件が届く場合を書き分ける
対応表を作っていると、同じ言葉で性質の違う用件が届くことに気づきます。たとえば行事の名前だけが書かれた連絡には、出欠の変更もあれば、当日の運営への意見もあり、持ち物の質問も含まれます。行き先はそれぞれ違います。
こうした言葉には、対応表の中で分岐を書いておきます。行事名だけでは決まらず、本文の一行目を読んで決める。この注記があるだけで、一次受けの当番が迷わずに済みます。全部を機械的に決めようとせず、読んで決める部分を明示しておくほうが実務では回ります。
委員会が動かない時期を織り込む
委員会には活動が集中する時期と、ほとんど動かない時期があります。卒業対策の委員会は年度の後半に集中しますし、行事の担当は行事の前後だけ忙しくなります。
動かない時期の委員会に振り分けると、返信が止まります。年間の予定表と対応表を並べて、動かない時期に届いたものを誰が受けるかを決めておきます。多くの場合、会長か副会長が受け皿になります。
委員長が交代する時期を対応表に書く
委員長は年度の途中で交代することもあります。交代の時期が分かっているなら、対応表にその時期を書いておきます。書いておかないと、交代の直後に届いたものが前の委員長に振り分けられます。
平日の日中に動ける人が限られる前提で振り分ける
PTAの役員のほとんどは、平日の日中に別の仕事や用事があります。ここを見ないまま振り分けると、動けない時間帯に返信が要求される案件が積み上がります。
学校とのやり取りが要る案件は動ける人に寄せる
学校の窓口は平日の日中しか開いていません。学校に確認しないと答えられない案件を、平日の日中に連絡できない役員に振ると、その案件は週末まで動きません。
対応表を作るときに、学校とのやり取りが発生しやすい用件を洗い出し、平日の日中に動ける役員に寄せます。寄せられる人がいない場合は、学校との窓口を一本にして、そこに集める形にします。窓口が一本であれば、まとめて一度に確認できるので、動ける時間が短くても回ります。
夜と週末に処理できる案件を分ける
一方で、定型の返信で済む案件や、集計に足すだけの案件は、夜でも週末でも処理できます。この型は、日中に動けない役員に振り分けても問題ありません。
用件の種類を分けるとき、この観点も加えておくと配分が楽になります。日中に動く必要があるかどうかで色分けした対応表を作ると、誰にどれだけ振れるかが見えます。
行事の当日だけは別の配分にする
行事の当日は、平日の日中に動けるかどうかという普段の前提が崩れます。役員の多くが現場にいて、逆に画面を見る時間はありません。当日に届いたものは、現場にいない役員に振り分ける形にしておくと止まりません。
当日だけの配分を、行事の準備の段階で決めておきます。当日になってから決めようとすると、現場が動き出したあとで誰も画面を見ていない状態になります。
一人に寄りすぎていないかを確認する
対応表を作ると、たいてい会長か副会長に集中します。集中していること自体は避けられませんが、集中しすぎているかどうかは確認しておくべきです。
確認の方法は単純で、対応表の持ち主の欄を数えるだけです。一人が半分以上を持っている状態であれば、その人が忙しい週に窓口全体が止まります。定型で返せるものを別の役職に移すだけで、かなり分散します。
一次受けを当番制にする
用件の種類で自動的に振り分けられないもの、あるいは自動で振り分けたあとに実際に開いて確認する役目を、一次受けと呼びます。ここを固定の一人に任せると、その人の忙しさがそのまま窓口の速度になります。
当番の役目は返すことではない
当番が担うのは、開いて、種類を確かめて、持ち主を確定させるところまでです。返信を書くところまでを当番の仕事にすると、当番の負担が重くなり、引き受け手がいなくなります。
開いて振り分けるだけであれば、一件あたり数十秒で終わります。通勤の途中でも、家事の合間でもできます。この軽さを保つことが、当番制を続けられるかどうかを決めます。
当番の交代の周期を決める
週替わりにするか、行事ごとにするか、月替わりにするかは、届く量で決めます。量が少ないなら月替わりで十分ですし、行事が集中する時期は週替わりのほうが公平です。
どの周期にしても、当番表を作って全員が見られる場所に置きます。口頭で決めた順番は、必ず途中で分からなくなります。当番表には、その週の当番と、次の週の当番の両方を書いておくと、交代の連絡が要らなくなります。
当番の引き継ぎは一行で済ませる
当番が交代するとき、前の当番から次の当番へ渡すのは、まだ持ち主が決まっていない件があるかどうかの一行だけです。長い引き継ぎ文を書く決まりにすると、交代のたびに負担が生まれ、続きません。
持ち主が決まっていない件がゼロであれば「なし」と書いて終わります。この一行があるかどうかで、交代の週に落ちるものが無くなります。
当番が動けなかった週の受け皿を作る
当番も生活があるので、動けない週は出ます。そのときに窓口が止まらないよう、二番手を決めておきます。二番手は、当番表の隣の列に書いておけば足ります。
そして、当番が動けなかったこと自体を責めない決まりにします。責める空気があると、動けなかった週に「動けなかった」と言い出せなくなり、黙って止まります。黙って止まるほうが、はるかに被害が大きくなります。
持ち主を見える形にする
持ち主を決めても、それが本人の頭の中にしか無ければ、決めていないのと同じです。見える形にする方法は、届いたものの隣に担当者の名前が書かれていることに尽きます。
担当の欄と状態の欄をセットで持つ
担当の欄だけでは、その人が動いているのかどうかが分かりません。状態の欄と組み合わせて初めて、外から見て判断できるようになります。
状態は、未対応、対応中、確認待ち、完了の四つで足ります。細かく分けても、付ける人が迷うだけで精度は上がりません。この四つのうち「確認待ち」を独立させておくのが要点で、学校や役員会の返事を待っている状態を対応中と区別できます。
担当と状態を届いたものに直接持たせられるかどうかは、使っている道具によって変わります。回答が表計算に流れるだけの仕組みであれば、列を足して手で書き込む形になります。回答そのものに担当と状態を持たせられる仕組みであれば、更新の手間が減ります。この違いは、回答を表計算で受けたときにどこまで追えるかを整理したGoogleフォームとの比較を見ると判断しやすくなります。
名字だけを書かない
担当の欄に名字だけを書くと、同じ名字の役員がいる学校では区別できません。PTAは委員の数が多く、同姓が複数いることは珍しくありません。役職と名字を組み合わせるか、フルネームで書きます。
書き方を統一しておくことも大切です。「広報部の田中さん」「田中」「たなか」が混ざると、担当ごとに数えることができなくなります。選択式にできる仕組みであれば、選択式にしてしまうのがいちばん確実です。
委員会名で持たせない
「広報部が持つ」という書き方は、一見すると振り分けができているように見えます。しかし委員会は複数人の集まりなので、実質的には誰も持っていないのと同じです。
組織として答えるものであっても、進行を管理する人は個人で決めてください。決めた人は、答えを自分で出す必要はありません。委員会の中で誰が答えを出すかを調整し、期限までに返信が出ることを見届ける役目です。
持ち主が空白になる場面を潰す
振り分けの仕組みを作っても、持ち主が空白になる場面は残ります。よく起きる四つを挙げておきます。
一次受けが判断できなかったとき
用件の種類がはっきりせず、当番が誰に振ればよいか分からない場合です。ここで放置すると、判断を保留したまま日が過ぎます。
決まりとして、判断できないものは当番自身が持つことにします。持ったうえで、次の役員会や連絡の場で誰に渡すかを相談します。持ち主が当番になるだけで、少なくとも空白ではなくなります。
持ち主が交代したとき
役員が途中で交代することがあります。転居や、家庭の事情で続けられなくなる場合です。このとき、その人が持っていた案件が宙に浮きます。
交代の連絡を受けたら、その人が持っていたものを一覧で出して、一件ずつ引き取り手を決めます。一覧が出せない状態だと、この作業ができません。担当の欄を持っておく価値は、こういう場面で現れます。
学校に投げたまま戻ってこないとき
学校に確認を依頼した案件は、返事が来るまでPTA側の持ち主が動けません。このとき、持ち主が「学校待ち」だと考えて放置すると、学校側でも止まっていた場合に誰も気づきません。
確認待ちの状態にしたものは、期限を書き添えます。その期限を過ぎたら、持ち主が催促する決まりにします。催促は角が立つと思われがちですが、決まりとして行っていれば個人の感情の問題になりません。
年度をまたいだとき
年度末に完了していないものは、そのまま新しい年度に引き継がれます。前の担当はもう役員ではないので、持ち主が自動的に空白になります。
引き継ぎのときに、未完了の一覧を出して、新しい担当を割り当ててください。割り当てが済むまでは、前の担当が名目上の持ち主として残る形にしておくと、空白の期間が生まれません。
二重返信を実際に止める手順
二重返信は、振り分けができていない窓口で最も目立つ失敗です。届いた側から見ると、内部が混乱していることがそのまま伝わります。止める手順は三つあります。
返信する前に、担当の欄を見る決まりにする
一つ目は、返信を書き始める前に担当の欄を見ることです。自分の名前が入っていなければ書かない。この一行の決まりで、大半の二重返信は止まります。
決まりを守れるかどうかは、担当の欄がすぐ目に入るかどうかで決まります。別の表を開かないと分からない形だと、忙しいときに省略されます。届いたものと同じ画面に担当が表示されている形にしておくのが確実です。
返信した記録をその場に残す
二つ目は、返信を送ったあとに、送ったことを同じ場所に残すことです。状態を完了に変えるだけで足ります。この記録が無いと、あとから開いた人には「まだ返していない」ように見えます。
自分の受信箱の送信済みフォルダに残っていても、他の役員からは見えません。見えない記録は無いのと同じです。全員が見える場所に一行残す手間を惜しまないでください。
返信の宛先に窓口のアドレスを入れる
三つ目は、返信を送るときに窓口のアドレスを控えに入れておくことです。こうすると、返信の中身そのものが窓口の履歴に残ります。誰がどう返したかを、あとから読み返せます。
ただしこの方法は、全員の受信箱に返信の控えが流れることでもあります。内容によっては読める範囲を絞りたいので、用件の種類ごとに使い分けてください。
振り分けが機能しているかを月に一度確かめる
仕組みを作ったあと、機能しているかどうかを確かめる場面が要ります。会議の議題に一つ足すだけで足ります。
見るのは三つの数だけ
確かめるのは、担当が空白のまま残っている件数、確認待ちのまま2週間を超えている件数、そして一人に集中している件数の三つです。この三つが分かれば、振り分けの詰まりが特定できます。
担当が空白のまま残っているなら、対応表に無い用件が届いているということです。対応表に行を足します。確認待ちが長引いているなら、催促の決まりが働いていないということです。集中しているなら、配分を替えます。
数えるのに時間をかけない
この確認に10分以上かけるようなら、記録の付け方に問題があります。担当と状態が付いていれば、数えるのは一瞬で終わります。数えるのに時間がかかるということは、そもそも記録が付いていないということです。
直す先は人ではなく対応表にする
詰まりが見つかったとき、直すのは対応表であって、担当した個人ではありません。個人の努力で埋めた穴は、その人が交代した時点でまた開きます。対応表に行を足すか、持ち主を替えるか、当番の周期を変えるか。仕組みの側を動かしてください。
個人情報を扱う立場としての振り分け
振り分けを設計するとき、届いた内容を誰が読める状態にするかも同時に決まります。全員に届く設計は、全員が全部の内容を読めるということでもあります。
法律には、扱う側の管理について次のような定めがあります。
個人情報取扱事業者は、その従業者に個人データを取り扱わせるに当たっては、当該個人データの安全管理が図られるよう、当該従業者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。 出典: 個人情報の保護に関する法律 個人情報保護委員会
PTAがこの規定にいう事業者に当たるかどうかは団体の実態によって判断が分かれ、ここで断定はできません。実際の対応は所管の窓口や専門家に確かめてください。ただし、誰がどこまで読める状態にするかを決めておく考え方は、振り分けの設計そのものです。
読める範囲を用件の種類で分ける
委員を引き受けられない事情の相談や、家庭の状況に触れる内容は、役員全員が読める場所に置くべきものではありません。用件の種類で届き先を分けられる仕組みであれば、この型だけ届き先を役職に絞ります。
絞れない仕組みの場合は、その用件だけ別の経路を案内するか、届いた時点で一次受けが他の役員に見えない場所へ移す運用にします。どちらにしても、送る側に「誰が読むか」を伝えておくことが要点です。伝えていないと、書いた側の想定より広い範囲に伝わることになります。
読める人が変わったことを記録する
案件の途中で持ち主が替わると、読める人が増えます。増えること自体は避けられませんが、いつ誰に渡したかが残っていない状態は避けたいところです。担当の欄を書き換えたときに、書き換えた日付が自動で残る仕組みであれば、この記録は勝手に作られます。
手作業の表で管理している場合は、名前を上書きせず、前の担当を消さずに横に並べて書きます。上書きすると、途中で誰が読んだかが分からなくなります。
私物の端末と個人のアカウントを前提にしない
PTAの多くは、役員の私物のスマートフォンと個人のアカウントで窓口を回しています。この形は、担当が交代したときに履歴が全部消えるという問題を抱えています。
役職に紐づいたアカウントを用意できるなら、そこに集めます。用意できない場合でも、少なくとも担当と状態の一覧だけは共有の場所に置いてください。中身が個人の端末にあっても、一覧が共有されていれば、誰が何を持っているかは引き継げます。
学校との役割分担も振り分けの一部として書く
PTAの窓口に届くもののうち、そもそもPTAが持つべきでないものがあります。児童の欠席や早退、学習や進路、教職員に関すること。これらは学校が受けるべき内容です。
受けないものを一覧にする
フォームの案内文に「ここで受けないもの」を並べて書きます。並べるだけでなく、代わりにどこへ連絡すればよいかも書きます。書いていないと、送る側は行き先を探すのをやめて、目の前のフォームに書きます。
受けないものが届いたときに誰が学校へ渡すかも決めておきます。この役目も担当の一つです。決めていないと、届いた人が個人的に担任へ伝えることになり、伝わったかどうかが記録に残りません。
渡したことを記録に残す
学校へ渡した案件は、渡した日付と渡した相手を記録します。あとから「連絡したのに対応されていない」と言われたときに、いつ誰に渡したかが分かる状態にしておくためです。
記録は詳細である必要はありません。日付と、渡した先の役職と、渡した手段の三つで足ります。この三行があるかないかで、話がこじれたときの立場がまったく変わります。
学校側の窓口を一人に決めてもらう
PTA側の窓口を一本にしても、学校側の受け手が定まっていないと、渡す先を毎回探すことになります。教頭か、担当の教員か、事務室か。年度の初めに確認して、対応表に書いておきます。
学校側の担当も年度で替わります。年度初めの確認を、対応表を作り直す作業とセットにしておくと、忘れずに済みます。
引き継ぎを設計に組み込む
振り分けの仕組みが一年で消えてしまうのが、PTAの窓口の最大の弱点です。仕組みを作った人が卒業すると、翌年はまた白紙から始まります。
対応表と当番表を資料として残す
引き継ぎで渡すべきは、手順を説明した長い文書ではなく、用件の種類と持ち主の対応表、そして当番表の二つです。この二つがあれば、新しい役員は初日から振り分けを回せます。
対応表には、役職名で書いてください。個人名で書くと、翌年に全部書き直すことになります。役職名で書いてあれば、その役職に就いた人が読み替えるだけで済みます。
前の年度に何が届いたかを一覧で渡す
対応表と当番表に加えて、前の年度に届いたものの一覧を渡すと、新しい役員は年間の流れをつかめます。どの時期にどんな用件が集中するかが分かれば、当番の周期も配分も決めやすくなります。
一覧に個人が特定できる部分を残す必要はありません。用件の種類と、届いた時期と、どの担当が持ったかの三つで足ります。この形なら、引き継ぎ資料として残しても問題になりにくくなります。
重なる期間を置いて一度通す
引き継ぎを一日で終わらせようとすると、渡し漏れが出ます。総会の前後に2週間ほど、前の担当と新しい担当の両方が窓口を見る期間を置きます。
この期間の目的は、実際に届いたものを二人で振り分けて、新しい担当が一度でも最後まで通すことです。一度通せば、次からは一人でできます。口で説明するより、はるかに早く身につきます。
振り分けが仕組みとして残るかを道具で確かめる
担当と状態を手作業の表で管理することもできますが、更新されない列は必ず出ます。列を更新する作業が、届いたものを開く作業と別の場所にあるからです。
道具を選ぶときに見るのは、作りやすさや見た目ではなく、送信されたあとの道具がそろっているかどうかです。届いたものを開いた画面のまま担当を替えられるか、状態を替えられるか、誰がいつ替えたのかが残るか。この三つが見られれば、振り分けが仕組みとして定着するかどうかの判断がつきます。
学校のサイトをWordPressで運用していて、そこに設置したフォームで受けている場合は、送信された内容がどこに保存され、担当を持たせられるのかを先に確かめてください。保存と通知の考え方を整理したContact Form 7との比較は、いまの仕組みで振り分けの記録が残せるかどうかを判断する材料になります。
似た形の受付で担当をどう割り当てているかを見ると、自分たちの設計の抜けが分かります。返信が要る型で担当と状態をどう持たせるかをまとめた問い合わせの受付と、締切があって集計が主になる型をまとめたイベントの申し込みは、PTAが抱える二つの型にそれぞれ対応しています。両方を読むと、同じ窓口でも振り分けの粒度を変えるべき場所が見えてきます。
実際に担当を替える操作がどれくらい手軽かは、触ってみないと分かりません。受付から返信までの流れが一続きで動く様子は動くところを見るで確認できます。役員が交代しても同じ手順で回るかどうかを判断するには、説明を読むより画面を触るほうが確実です。
Q1. PTAの問い合わせを全員に通知する形は問題がありますか?
全員に届く形は、取りこぼしを防ぐつもりが逆に働きます。同じものが全員に届くと、開いた人は他の人も見ているはずだと考えて手を出しません。逆に行動的な役員が二人いると両方が返信し、内容の違う返信が二通届きます。必要なのは届く人を増やすことではなく、持つ人を一人に決めることと、その人が動いていないことに他の人が気づける形にすることです。
Q2. 担当はどうやって決めればよいですか?
フォームの先頭に用件の種類を置き、その選択肢と持ち主を対応させた表を先に作ってください。行事の出欠は集計担当、委員や当番の相談は会長か副会長、活動への意見は該当する委員長、会計の質問は会計担当という形です。対応表があれば届いた時点で持ち主が決まり、判断のための時間も待つ時間も発生しません。対応表は役職名で書くと翌年も使えます。
Q3. 委員会単位で担当を決めるのではだめですか?
委員会は複数人の集まりなので、委員会名で持たせると実質的には誰も持っていない状態になります。組織として答えるものであっても、進行を管理する人は個人で決めてください。その人が答えを出す必要はありません。委員会の中で誰が答えを出すかを調整し、期限までに返信が出ることを見届ける役目です。担当の欄には役職と名前を組み合わせて書きます。
Q4. 一次受けの当番は何をする役目ですか?
開いて、用件の種類を確かめて、持ち主を確定させるところまでです。返信を書くところまでを当番の仕事にすると負担が重くなり、引き受け手がいなくなります。振り分けるだけなら一件あたり数十秒で終わるので、通勤の途中でもできます。当番表は全員が見られる場所に置き、その週と次の週の両方を書いておくと交代の連絡が要らなくなります。
Q5. 年度が変わるときに担当をどう引き継げばよいですか?
引き継ぎで渡すべきは長い手順書ではなく、用件の種類と持ち主の対応表、当番表、そして未完了の案件の一覧の三つです。あわせて総会の前後に二週間ほど、前の担当と新しい担当の両方が窓口を見る期間を置いてください。実際に届いたものを二人で振り分けて、新しい担当が一度でも最後まで通すことが目的です。一度通せば次からは一人でできます。
