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PTAが集めた個人情報の扱い|どこに置いて、いつ消すか

2026年9月13日 ・ Halict編集部

PTAの受付をひとたび開けると、集まってくるのは出欠の丸印だけではありません。子どもの学年と組、保護者の氏名、携帯の番号、連絡が付く時間帯、きょうだいの学年、当日の送迎の有無。行事の出欠を一つ受け付けるだけで、これだけの情報が手元に残ります。

さらに、保護者からの連絡には、それより重いものが混ざります。子どもの体質、家庭の事情、勤務の都合、離れて暮らす家族のこと。書いた側は、事情を汲んでもらうために書いています。受け取った側は、汲んだうえで、その情報をどこかに置くことになります。

問題は、置き場所と消す時期を決めないまま集め始めてしまうことです。役員が毎年入れ替わるPTAでは、決めていないものは決められないまま次の年度へ持ち越されます。この記事では、何が集まっているのかを分解し、どこに置き、誰に見せ、いつ消すのかを、集める前に決める順番で並べます。法律の解釈を断定することはしません。判断に迷う場面は所管の窓口や専門家に確かめてください。

PTAの窓口には、何が集まっているのか

行事の出欠だけで、これだけ集まる

行事の出欠は、いちばん軽い受付に見えます。参加するかしないかを聞くだけだからです。ところが実際の用紙を見ると、丸印以外の欄が並んでいます。

学年と組、子どもの氏名、保護者の氏名、当日の連絡先、参加する人数、駐車場を使うかどうか、手伝える時間帯。加えて、行事の性質によっては、食物のアレルギーの有無、当日の健康状態、送迎の交通手段まで聞くことになります。これらは行事を安全に回すために必要な情報で、集めること自体は自然です。

ただ、集まった時点で、それは家庭ごとの詳しい一覧になっています。誰がどの学年に子どもを持ち、何時なら手が空き、どんな車で来て、何を食べられないか。ひとつひとつは断片でも、並べれば人物像が立ち上がります。この認識が抜けたまま、表計算のファイルとして役員のあいだで回り始めるところに、詰まりの根があります。

保護者からの連絡には、事情が書かれる

もう一方の受付である保護者からの連絡は、出欠より重い中身を運んできます。行事に参加できない理由、子どもが学校で困っていること、会費の支払いが難しい事情、役員を引き受けられない事情。

これらは自由記述の欄に書かれます。書いた側は、断りたい理由を説明するために書いています。受け取った側は読まざるを得ませんが、読んだ内容は消えません。表の「備考」の列に残り、次の年度の役員にも読まれます。

法律は、特に慎重な扱いを求める情報について、取得の場面を定めています。

個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、要配慮個人情報を取得してはならない。 出典: 個人情報保護委員会

何がこれに該当し、PTAの受付がこの規定の対象になるのかは、ここで断定できる話ではありません。所管の窓口や専門家に確かめてください。受付の側で実務的にできるのは、自由記述の欄を「何でも書ける欄」として置きっぱなしにしないことです。書いてほしいことを見出しで示せば、書かれる中身は変わります。

会費と口座の情報が別に集まる

三つ目に、会費まわりの情報があります。口座の情報、振替の可否、免除の申請、支払いが遅れている家庭の一覧。

会計の担当が持つこの情報は、行事の担当が持つ情報とは性質が違います。金額と支払い状況は、家庭の状態を直接示します。それが行事の出欠と同じ表の中に列として並んでいると、行事の担当が支払い状況を見られる状態になります。

分けるべきものが混ざる理由は単純で、表計算のファイルが一つしか無いからです。列を足すのが最も簡単なので、足されます。足された列は消えません。

PTAで個人情報の保管が難しくなる理由

集める人と、集められる人が同じ地域に住んでいる

会社の窓口と決定的に違うのがここです。PTAでは、情報を集める役員も、集められる保護者も、同じ地域に住み、同じ学校に子どもを通わせています。

この構造は、二つの向きで効きます。まず、集められる側の警戒が強くなります。近所の人に自分の勤務先や事情を知られることになるからです。次に、集める側の負担も重くなります。知ってしまった事情を、日常の付き合いの中で知らないふりをして過ごすことになります。

だから、PTAの個人情報の扱いは、法律の話である前に近所付き合いの話でもあります。「誰が見られるのか」を明確にすることは、保護者を守るだけでなく、役員を守ります。見られる人が決まっていれば、「あの人が言いふらしたのでは」という疑いが立ちません。

名簿を配る慣習が残っている

長く続いている会ほど、名簿を印刷して配る慣習が残っています。学級ごとの連絡網、役員の一覧、地区ごとの名簿。紙で配れば全員に確実に届くので、合理的な手段として使われてきました。

紙の名簿の難しさは、配ったあとに回収できないことです。誰の家のどこに置かれているのか、コピーされたのか、卒業後も残っているのか、会には分かりません。デジタルなら削除できるものが、紙では削除できません。

もう一つ、紙の名簿は用途の限定が効きにくい。連絡のために配った名簿が、別の集まりの案内に使われることがあります。用途の限定は、法律も定めています。

個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない。 出典: 個人情報保護委員会

配るのをやめるべきかどうかは、会の事情によります。ただ、配る前に「何のために配る名簿か」を一行で書いておくことは、どの会でもできます。

役員が毎年入れ替わる

三つ目が、任期の短さです。決めた運用が定着する前に、決めた人がいなくなります。

引き継ぎの場で口頭で伝えられた取り決めは、二年後には原形をとどめません。「たしか前は消していたはず」「そういう話は聞いていない」という状態になり、結局、誰も消さなくなります。溜まったものは、次の役員にとっては最初からあったものなので、消してよいのかの判断が付きません。

残せるのは、形として画面や紙に固定されたものだけです。フォームの欄、送信画面に書かれた利用目的の一行、削除の時期を書いた手順書。これらは任期をまたぎます。

集める前に決める、三つのこと

何のために集めるのかを、一行で書く

いちばん最初に決めるのは、用途です。法律は、次のように定めています。

個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的をできる限り特定しなければならない。 出典: 個人情報保護委員会

できる限り特定するというのは、「PTAの活動のため」ではまだ足りないという意味に読めます。「この行事の出欠の集計と、当日の運営の連絡にのみ使います」まで書けば、集めた側も迷わなくなります。

この一行を書くと、副作用として、集める項目が減ります。書いた用途に照らして必要ない欄が浮かび上がるからです。手伝いの募集をしない行事なのに手伝える時間帯を聞いていた、送迎の把握が不要なのに交通手段を聞いていた。用途を先に書けば、そういう欄が自然に落ちます。

集めない項目を、先に決める

用途を書いたら、次は削る作業です。集めなかった情報は、置き場所も消す時期も考えなくて済みます。守る手間が発生しないので、いちばん確実な守り方です。

削る基準は一つで、「その欄が無いと、集計か返信ができなくなるか」です。無くても回るなら削ります。判断に迷いやすいのが電話番号で、行事の当日に連絡が必要な場面はあるものの、事前の出欠の段階では要らないことが多い。当日の連絡先が必要なら、当日に近いタイミングで別に聞くほうが、持っている期間が短くなります。

もう一つ削りやすいのが、勤務先です。役員の割り当てを検討する材料として集めている会がありますが、用途が「行事の出欠」なら不要です。用途が違うものを同じ用紙で集めると、あとで分けられなくなります。

集めたものを置く場所を、先に決める

三つ目が置き場です。ここを決めずに集め始めると、集まった先が最初に開いた表計算のファイルになり、そのファイルが個人の端末の中に置かれます。

置き場を決めるときの条件は三つあります。第一に、その一件を開けば本文も返信の状況も同じ画面に出ること。第二に、見られる人を役職ごとに分けられること。第三に、役員が交代したときに、前の役員の手元に何も残らないこと。三つ目は、個人の端末や個人のアカウントに置いた時点で満たせなくなります。

法律は、安全管理について次のように定めています。

個人情報取扱事業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失又は毀損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない。 出典: 個人情報保護委員会

必要かつ適切な措置が何を指すかは、団体の規模と扱う中身で変わります。断定はできません。ただ、置き場が決まっていない状態は、どの解釈でも良い状態ではありません。

どこに置くか、誰に見せるか

個人のアカウントに置かない

PTAでいちばん起きやすいのが、役員個人のアカウントに一式が置かれる形です。会長が自分の無料のアカウントで表計算のファイルを作り、共有の設定で役員に配る。手軽で、費用もかからず、その年度は問題なく回ります。

問題は交代のときに出ます。ファイルの持ち主は個人なので、その人が抜けると、ファイルの管理権が一緒に消えます。共有の設定を外し忘れれば、退任した人がいつまでも見られます。逆に持ち主が整理してしまえば、次の役員は何も見られません。どちらに転んでも、会としては制御できていません。

会の側で持つ形にすると、この問題が消えます。持ち主が会であれば、役員の出入りは権限の付け外しで済みます。交代のたびにファイルを作り直す作業も要らなくなります。

役職ごとに見える範囲を分ける

置き場を会側にしたら、次は見える範囲です。全役員が全部見られる状態は、いちばん設定が楽で、いちばん説明しにくい。

分け方の目安は、集めた用途に沿わせることです。行事の出欠は行事の担当と会長、会費と口座は会計と監査、学校への相談と家庭の事情は会長と副会長。三つに分けるだけで、混ざり方はかなり減ります。

法律は、人に取り扱わせる場面についても定めています。

個人情報取扱事業者は、その従業者に個人データを取り扱わせるに当たっては、当該個人データの安全管理が図られるよう、当該従業者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。 出典: 個人情報保護委員会

PTAの役員がこの規定の従業者にあたるかどうかは、断定できません。所管の窓口や専門家に確かめてください。実務としては、誰がどこまで見られるのかを一枚の紙にして引き継ぎに入れておくと、翌年に元へ戻りにくくなります。

持ち出しの経路を減らす

見える範囲を決めても、書き出せてしまうと意味が薄れます。表計算のファイルとして手元に落とし、その端末をそのまま持ち歩けば、見える範囲の設定は迂回されます。

現実には、集計のために書き出す場面はあります。行事の当日に紙の一覧が必要な場面もあります。禁止するより、書き出したものの扱いを決めるほうが続きます。当日に配った紙の一覧は行事の終了後に集めて処分する、書き出したファイルは作業が終わったら消す。この二つを手順書に書いておくだけで、残る量が変わります。

いつ消すか

年度末という区切りを使う

PTAには、他の団体には無い明確な区切りがあります。年度末です。行事は終わり、決算は締まり、役員は交代します。この区切りに消す作業を紐付けると、忘れにくくなります。

法律は、必要がなくなったデータについて次のように定めています。

個人情報取扱事業者は、利用目的の達成に必要な範囲内において、個人データを正確かつ最新の内容に保つとともに、利用する必要がなくなったときは、当該個人データを遅滞なく消去するよう努めなければならない。 出典: 個人情報保護委員会

いつが「必要がなくなったとき」なのかは、情報の種類によって違います。行事の出欠は、その行事が終われば用途を果たします。会費の記録は、決算と監査が終わるまで必要です。役員の連絡先は、任期中は必要です。

種類ごとに期間を一つずつ置く

決め方は難しくありません。種類ごとに期間を一つ書くだけです。

行事の出欠と当日の連絡先は行事の翌月に消す。会費と口座の情報は決算の承認から1年は残し、その後に消す。保護者からの連絡は、その件が終われば本文を消し、件数だけを残す。卒業した家庭の情報は年度末に消す。この4種類を紙に書けば、消す作業は年に数回の定型作業になります。

期間を決めない場合に起きるのは、事実上の永久保存です。誰も消してよいと判断できないので、誰も消しません。次の役員は「前からあるもの」として受け取り、また消しません。

退会と卒業のときに、何を残すか

もう一つ決めておくのが、家庭が抜けるときの扱いです。卒業、転校、退会。どの場合も、その家庭の情報を持ち続ける理由が消えます。

ここで迷いが出るのは、過去の記録との関係です。決算の資料には支払いの記録が載っています。行事の報告書には参加人数が載っています。これらは会の記録として残す必要があります。残すものと消すものを分ける作業が要ります。

分け方の考え方は、個人が特定できる形で残す必要があるかどうかです。参加人数は、氏名が無くても成立します。会計の帳簿は、監査の必要から個別の記録が要る場合があります。どこまで必要かは会と地域によって違うので、迷う場面は所管の窓口や専門家に確かめてください。

集め方そのものを変えると、保管の悩みが減る

紙の回収は、置き場の設計ができない

紙で集めると、集めた瞬間から置き場の問題が始まります。記入済みの用紙の束は、誰かが持ち帰ります。持ち帰った先は個人の家です。集計が終わるまで、その束はそこにあります。

集計が終わったあとの束の行方も、たいてい決まっていません。次の会合まで持ち歩かれ、そのうち忘れられ、いつの間にか無くなります。無くなったのか、どこかに置かれているのかも分かりません。

紙をゼロにするのは現実的ではありません。ただ、紙で受けた分をその日のうちにデジタル側へ写し、紙は処分する形にすれば、置き場の問題は一か所に集まります。

入り口をフォームにすると、決めた条件を強制できる

送信フォームで受けると、集める項目、必須にする項目、利用目的の表示、受け取る形式が、画面の作りとして固定されます。役員が交代しても、画面は変わりません。

もう一つの効き目は、集めた情報が最初から一か所にあることです。表計算のファイルを作る手順が消えるので、個人の端末に一式が置かれる経路が生まれません。誰がいつ見たのかも、記録として残せます。

どこまでが標準で付いているのかは、道具によって差があります。できることに、受け取ったあとに何ができるのかが機能ごとにまとめられています。集める前の画面ではなく、集めたあとの画面を先に見ておくと、置き場の設計がしやすくなります。

アカウント登録を求めると、回収率が落ちる

入り口を変えるときに気を付けたいのが、送る側の手間です。回答するのにアカウントの登録が要る形にすると、そこで止まる保護者が出ます。PTAの出欠は、子どもが持ち帰ったプリントを見た数分のあいだに処理されるものなので、手前に壁を置くと回収率が落ちます。

回収率が落ちると、紙での回収を並行して残すことになり、置き場が二つに戻ります。保管の話をしているのに、入り口の設計が効いてくるのはこのためです。

登録を求めない形で受けたときに、送信後の管理がどうなるのかは、Googleフォームとの比較に、回答が表に溜まったあとの扱いという観点で整理されています。学校や会で使っている道具との違いを見たい場合は、Microsoft Formsとの比較のほうが近い比較になります。

会員名簿と連絡網を、どう扱うか

連絡網は、いまも必要かを確かめる

多くのPTAに、緊急時の連絡網が残っています。役員から班長へ、班長から各家庭へと電話をつないでいく仕組みです。作られた当時は、全家庭へ確実に伝える唯一の手段でした。

いまは、学校の一斉配信の仕組みが動いている地域が増えています。二つが並存していると、同じ内容が二経路で流れ、家庭側は混乱します。そして連絡網のために集めた電話番号は、使われないまま各家庭の紙の上に残ります。

見直すときの問いは一つで、「この一年で連絡網を実際に使ったか」です。使っていないなら、集めている電話番号の用途が消えています。用途が消えた情報を持ち続ける理由はありません。

名簿に載せる項目を、用途から決め直す

会員名簿を作っている会では、載せる項目が慣習で決まっていることが多くあります。氏名、住所、電話番号、勤務先、きょうだいの学年。

用途から決め直すと、多くが落ちます。行事の連絡に住所は要りません。役員の割り当てにきょうだいの学年が要る会もありますが、その用途が本当にあるかを確かめます。勤務先は、ほとんどの会で使われていません。

減らすときに気を付けるのは、一度に全部を消さないことです。使っていないと思っていた項目が、特定の場面だけで使われていることがあります。次の年度から集めるのをやめる形にすれば、その年度のうちに用途が出てくれば気づけます。

載せる範囲を、本人に選んでもらう

三つ目に検討したいのが、載せるかどうかを家庭に選んでもらう形です。名簿に載せたくない家庭は、どの会にも一定数あります。

選択肢を用意していないと、そうした家庭は名簿づくりそのものに協力しなくなります。「掲載しない」を選べる形にしておけば、少なくとも会としての連絡先は預けてもらえます。

集めた情報の使い道と、載せる範囲を分けて聞くことが要点です。同じ一枚で両方を聞くと、載せたくないという理由で連絡先ごと出さない家庭が出ます。

学校とのあいだで情報が動くとき

PTAと学校は、別の団体として扱う

校内に部屋を借り、印刷機を共有し、先生が会合に出ていても、PTAと学校は別の団体です。この前提が抜けると、情報の受け渡しが日常の流れの中で無自覚に行われます。

よくあるのが、行事の名簿を作るために学校の名簿を借りる場面と、PTAが集めた連絡先を学校側の連絡に使う場面です。どちらも「同じ子どものことだから」という感覚で進みますが、団体としては別の主体のあいだで情報が動いています。

法律は、第三者への提供について次のように定めています。

個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。 出典: 個人情報保護委員会

どの場合が例外にあたるのか、PTAと学校の関係をどう整理するのかは、地域や学校の方針によって考え方が違います。断定できないので、所管の窓口や専門家に確かめてください。受付の側でできるのは、渡した記録を残すことと、渡す範囲をその都度の用途に絞ることです。

渡した記録を、口頭で終わらせない

学校とのやり取りで抜けやすいのが、記録です。職員室で立ち話をしながら一覧を見せた、行事の前日に紙を一枚渡した。こうした受け渡しは、記録に残りません。

残らないと、後から確かめられなくなります。「あの一覧は誰に渡したのか」と聞かれたときに、渡した本人が退任していれば答えられません。渡した日、渡した相手、渡した中身、渡した理由。この4項目を一行で書き残すだけで、後から説明できる状態になります。

書き残す場所は、集めた情報と同じ場所がよい。別のノートに書くと、そのノートが個人の持ち物になり、また引き継がれなくなります。

写真と動画は、名簿とは別に扱う

行事の記録として撮った写真も、会が持つ個人情報です。名簿と同じ場所に置くと、見られる範囲の設定が名簿に引きずられます。

写真には、名簿には無い難しさがあります。写り込みです。撮った本人が意図していない家庭の子どもが背景に写ります。会報に載せる段になって、一枚ずつ確認する作業が発生します。

先に決めておくのは二つです。何に使うために撮るのかと、使わなかった写真をいつ消すのかです。行事の記録としてだけ使うなら、会報の選定が終わった時点で残りは不要になります。この判断を毎年繰り返すより、一度決めて引き継ぐほうが軽い。撮る担当を決めておくと、誰の端末に原本があるのかも分かります。原本の置き場が分からないまま年度が変わると、消す作業そのものができなくなります。

漏れたときに何が起きるかを、先に知っておく

届け出が必要になる場合がある

保管の設計をするとき、最悪の事態を想定しておくと、優先順位が決まります。法律は、一定の事態が起きた場合について次のように定めています。

個人情報取扱事業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失、毀損その他の個人データの安全の確保に係る事態であって個人の権利利益を害するおそれが大きいものとして個人情報保護委員会規則で定めるものが生じたときは、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、当該事態が生じた旨を個人情報保護委員会に報告しなければならない。 出典: 個人情報保護委員会

どの事態が該当し、PTAがこの規定の対象になるのかは、ここで断定できません。所管の窓口や専門家に確かめてください。ここで押さえておきたいのは、漏れた場合に「気づけるか」「範囲を説明できるか」が問われるという点です。

起きたときに、誰が動くかを決めておく

対象になるかどうかとは別に、会として動く手順は決めておけます。決めていないと、起きた瞬間に「まず誰に言うか」で時間を使います。役員は普段から顔を合わせているわけではないので、連絡が付くまでに半日かかることもあります。

決めるのは三つです。気づいた役員が最初に連絡する先、会として外部に伝えるかどうかを判断する人、学校へ伝える経路。この三つを引き継ぎの資料に一行ずつ書いておけば、当日の動きが止まりません。

あわせて、範囲を調べる材料がどこにあるかも書いておきます。どの一覧を誰が持っているのかが分かっていれば、調べる作業はその日のうちに終わります。どの一覧に何が入っていたのかを、後から探し回ることになると、対応が丸一日遅れます。

気づける形と、範囲を説明できる形

個人の端末に置かれたファイルは、漏れても気づけません。誰がいつ開いたのか、どこへコピーされたのかが、どこにも残らないからです。範囲を説明することもできません。

会の側で持つ場所に置き、誰がいつ見たのかが記録される形にしておくと、この二つが変わります。何が入っていたのか、誰が触れたのかを、後から並べられます。事態が起きてから調べ始めるのでは間に合いません。

そして、消す作業を実行していれば、そもそも漏れる対象が小さくなります。三年前の行事の出欠が残っていなければ、その分は漏れようがありません。削除は、守りの手段としても効きます。

保管の状態を、何で判断するか

集め方と置き場を変えたら、良くなったかどうかを見る材料が要ります。感覚で判断すると、変えたことを正当化する方向に記憶が寄ります。

見るべきものは三つあります。一つ目は、個人の端末や個人のアカウントに置かれている一式が残っていないかどうかです。ゼロにできていなければ、交代のときに同じ問題が起きます。二つ目は、集めている項目の数です。用途に照らして削れる欄が残っていれば、守る対象が無駄に多い状態です。三つ目は、消す作業が実際に行われた回数です。手順書にあっても実行されていなければ、書いていないのと同じです。

この三つは、どれも年度の途中で確かめられます。年度末にまとめて点検しようとすると、引き継ぎと重なって手が回りません。

行事の申し込みを受け付ける場面で、何を集めて何を集めないかの線引きがどうなるのかは、イベントの申し込みに、受付から当日までの流れとして整理されています。会の予算の中で費用の見通しを立てる必要がある場合は、料金に、どこまでが基本に含まれるのかが書かれています。

最後に順番の話をします。個人情報の保管を考えるとき、多くのPTAは「どう安全に保管するか」から始めます。しかし、いちばん効くのは集める前の二つです。何のために集めるのかを一行で書くこと、そして集めない項目を決めること。集めなかった情報は、置き場も、見せる範囲も、消す時期も考えなくて済みます。役員の任期が一年しかない前提では、決めることの数を減らすほうが、決めた内容を高度にするより確実に続きます。

Q1. PTAは個人情報の保護に関する法律の対象になるのですか?

対象になるかどうかは団体の実態によって判断が分かれるため、ここで断定はできません。判断に迷う場面は所管の窓口や専門家に確かめてください。実務として言えるのは、対象かどうかにかかわらず、集めた情報の用途と置き場と消す時期を決めておくと、役員が交代しても運用が崩れないということです。

Q2. 集める項目は、どこまで減らしてよいですか?

基準は「その欄が無いと集計か返信ができなくなるか」の一つです。無くても回る欄は削ります。電話番号は事前の出欠の段階では不要なことが多く、当日の連絡先が必要なら当日に近い時期に別に聞くほうが、持っている期間が短くなります。勤務先は用途が違うので、出欠の用紙では集めません。

Q3. 役員個人のアカウントで表計算のファイルを共有するのは、なぜよくないのですか?

ファイルの持ち主が個人だからです。その役員が抜けると管理権も一緒に消え、共有設定を外し忘れれば退任者がいつまでも見られます。逆に本人が整理してしまえば次の役員は何も見られません。会の側で持つ形にすれば、役員の出入りは権限の付け外しで済み、毎年作り直す作業も要らなくなります。

Q4. 集めた情報は、いつ消せばよいですか?

種類ごとに期間を一つずつ書くのが実務的です。行事の出欠と当日の連絡先は行事の翌月、会費と口座の情報は決算の承認から1年、保護者からの連絡は件が終われば本文を消して件数だけ残す、卒業した家庭は年度末。決めていないと誰も判断できず、事実上の永久保存になります。

Q5. 紙の名簿を配る慣習が残っています。どう扱えばよいですか?

紙は配ったあとに回収できず、コピーされたかどうかも把握できません。やめるかどうかは会の事情によりますが、配る場合でも「何のために配る名簿か」を一行書いておくと、別の用途に流用されにくくなります。デジタル側に一本化する場合は、届かない家庭が出ないかを先に確かめてから移します。

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