「google フォーム 進捗 管理」で検索する人が探しているのは、フォームの作り方ではありません。もう受付は動いていて、回答は毎日届いていて、それを誰が見て、誰が返したのかが分からなくなっている状態をどうにかしたい、という話です。届いた回答に「対応中」「返信済み」といった状況を持たせたい。それだけのことなのに、Googleフォームの画面をいくら探しても、その設定は見つかりません。
結論を先に書きます。回答のスプレッドシートに担当・状況・対応日といった列を手で足していく運用は、きちんと作れば実際に回ります。多くの窓口はこれで足りています。ただしこの形には、はっきりした境目があります。フォーム側の設問を直したとき、行を並べ替えたとき、二人以上で同じ表を開いたとき。この3つに当たった瞬間に、表の中の進捗は静かに壊れます。この記事では、まず回る形の作り方を具体的に書き、そのあとで壊れ方と、壊れたときに何を決めればよいのかを順番に説明します。
「進捗管理」で検索する人が本当に困っていること
Googleフォームは、集めるところまでを担当する道具です。公式ヘルプは製品の説明として、アンケートやクイズやフォームを作り、送って記入してもらい、その回答をリアルタイムに分析できる、と書いています。
You can use Google Forms to create online surveys, quizzes, and forms, send them to others to fill out and then analyze their responses in real time. 出典: support.google.com
ここで書かれているのは「集めて、分析する」までです。届いた1件を誰が担当し、いま何段階目にいて、いつ返したのか、という受付側の状態を持つ話は入っていません。ここが検索してたどり着く人のずれの正体です。フォームは正常に動いています。動いていないのは、フォームの外側にある受付の手続きのほうです。
受付を担当している人からよく聞くのは、次のような詰まり方です。回答は届いている。通知メールも来ている。けれども、返信したかどうかを覚えているのは自分の頭の中と、送信済みメールの一覧だけになっている。休みを1日はさむと、どこまで返したかが分からなくなる。誰かに引き継ごうとすると、口頭で「たぶんここまで返してます」と伝えることになる。同じ人に二重に返信してしまう。逆に、1件だけ完全に返し忘れる。
この状態を抜けるために必要なのは、実はたった1つです。1件の回答に対して、受付側の状態を書き込める場所を作ること。フォームの回答は、送信された時点で確定した記録です。書き換えるものではありません。それに対して「担当は誰か」「いま何段階目か」「いつ返したか」は、受付側が後から何度も書き換えていく情報です。性質がまったく違う2種類の情報を、1枚の表のどこに置くかを決める。進捗管理と呼ばれているものの中身は、突き詰めるとこれだけです。
Googleフォームの回答は、スプレッドシートに保存する設定を選べます。公式ヘルプによれば、保存先は新しいスプレッドシートを作るか、既存のスプレッドシートを選ぶかのどちらかで、回答をスプレッドシートに保存すると、Googleスプレッドシートによってデータが自動的にテーブル形式になり、データの形式と構造が設定される、と書かれています。この表の右側に、受付側の状態を書く列を自分で足していく。これが最も広く使われている進捗管理の形です。
スプレッドシートに列を足して進捗を持たせる、具体的な作り方
ここからは実際の手順です。この形は、思いつきで列を増やすと必ず破綻します。破綻しない作り方には型があります。
足す列は6つまで。それ以上は増やさない
回答が入っている列のいちばん右、空いている最初の列から順に、次の6つを足します。
| 列 | 入れる値 | 役割 |
|---|---|---|
| 状況 | 未対応 / 確認中 / 返信済み / 完了 / 見送り | いま何段階目か |
| 担当 | 担当者の名前 | 誰が持っているか |
| 受付日 | 日付 | いつ受け取ったか |
| 対応日 | 日付 | 最後に何かをした日 |
| 次にやること | 短い文 | 次の一手 |
| メモ | 自由記入 | 経緯 |
多くの窓口はこの6つで足ります。逆に、これ以上増やすと運用が止まります。列が増えるほど「埋めなければいけない気持ち」が働き、埋まらない列が並び、やがて誰も列を見なくなるからです。優先度、緊急度、確度、社内共有済みフラグ、といった列を足したくなったときは、いったん止めて、その列が空欄のまま1週間過ぎたらどうなるかを考えてください。何も起きないなら、その列は不要です。
「状況」の値は5つ以内にします。段階を細かく刻むと、どれを選ぶか迷う時間が生まれて、更新されなくなります。未対応と返信済みの2つしか使っていない窓口も珍しくありませんし、それで問題が起きていないなら、それが正解です。
足す列は必ず回答列の右側に置く
これは後で効いてきます。フォームの回答が入る列と、手で足した列を混ぜないでください。回答列の途中に「担当」列を差し込むような作り方をすると、フォーム側を触ったときに何が起きるか予測できなくなります。
回答列の右端の、さらに1つ右から始める。回答列と自分の列の間に空列を1本入れておくと、境目が目で分かるので、他の人が触るときの事故が減ります。
値は手打ちさせず、プルダウンで固定する
「状況」と「担当」は、データの入力規則でリストから選ぶ形にします。手打ちにすると、「返信済」「返信済み」「返信ずみ」が同じ表に並びます。こうなると絞り込みが効かなくなり、件数も数えられなくなります。
条件付き書式で、状況ごとに背景色を変えておくのも効きます。未対応だけ色が付いていれば、表を開いた瞬間に残件が目に入ります。色は2色までにしてください。全部の状況に色を割り当てると、どこを見ればよいのか分からない表になります。
並べ替えではなく、フィルタ表示で絞る
ここが最重要です。回答の行を並べ替えないでください。
自分の担当分だけ見たい、未対応だけ見たい、という要求は当然あります。それを普通の並べ替えでやると、あとで説明する事故が起きます。代わりに使うのがフィルタ表示です。フィルタ表示は、自分の画面での見え方だけを変える機能で、他の人が見ている行の並びを動かしません。担当者ごとにフィルタ表示を1つずつ作って保存しておけば、開くたびに自分の分だけが出ます。
1日の回し方を決める
道具より、順番のほうが大事です。次の順で固定します。
- 表を開き、フィルタ表示で「状況が未対応」だけを出す
- 上から順に読み、対応する
- 対応したら、その場で「状況」「対応日」「担当」を埋める
- 表を閉じる前に、未対応が何件残っているかを見る
3の「その場で」が守れないと、この運用は必ず崩れます。返信してから表に戻ってくるまでの間に別の用件が入ると、更新は永久に行われません。返信を書き終えて送信ボタンを押したら、次の1件に進む前に表を1行だけ埋める。この順番を体に入れることが、列を足すことより重要です。
この運用でどこまで回るか
きちんと作れば、この形はかなりの規模まで持ちます。担当が1人か2人で、月に数十件から数百件の受付なら、専用の道具を入れるより速く、確実に回ります。無理に何かを導入するより、この表を丁寧に運用したほうが結果が良いことは、実際によくあります。
Googleが公式に案内している、回答が増えたときの動きも押さえておくと安心です。Google Workspaceラーニングセンターには、フォームの機能が期待どおりに動かない場合、回答数が多いことが理由かもしれない、という前置きとともに、件数ごとの目安が書かれています。回答が10,000件を超えると、CSVでダウンロードした回答が送信日時順に並ばなくなることがあり、質問別のビューと個別のビューが表示されなくなることがあります。50,000件を超えると回答の概要が表示されなくなることがあり、100,000件を超えるとスプレッドシートと同期されなくなることがあります。
If your form's responses aren't synced with Sheets, it can be because your form has more than 100,000 responses. 出典: support.google.com
同じページには、回答自体は受け付け続けており、CSVでダウンロードできるという補足も書かれています。日々の受付でこの件数に届く窓口はそう多くありません。つまり、件数そのものが理由でこの運用が壊れることは、実際にはほとんどありません。壊れるのは、いつも別の場所からです。
なお、1つのフォームに置けるコンテンツは、設問だけでなく説明文や画像や動画を含めて合計300個まで、セクションは75個までと公式ヘルプに書かれています。受付フォームでこの上限に当たることも、通常はありません。
境目1:フォーム側の設問を直すと、足した列との対応が読めなくなる
受付を続けていれば、設問は必ず変わります。「所属」を追加したい。使われていない設問を消したい。順番を入れ替えたい。ここが第一の境目です。
重要な点を先に書きます。フォーム側で設問を追加・削除・並べ替えしたときに、連携済みのスプレッドシートの列がどうなるかについては、Googleの公式資料の中に記載を見つけられませんでした。これは「何も起きない」という意味でも「必ず壊れる」という意味でもありません。公式に保証された挙動として書かれていない、という意味です。
この事実の扱い方が、そのまま運用の分かれ目になります。公式に書かれていない挙動に、受付の記録全体を預けてよいかどうか。ここで預けてしまうと、設問を1つ足すたびに、自分で足した6列がどの回答に対応しているのかを目視で確かめる作業が発生します。回答が数百行あれば、これは現実的な作業ではありません。
実務上の守り方は決まっています。
まず、設問を触る前に、必ずスプレッドシートのコピーを1部取ってください。ファイルのコピーを作るだけです。設問を変更した直後に、コピーと現在の表を並べて、いちばん古い行といちばん新しい行で、担当と状況が正しい人に付いているかを確かめます。ずれていなければそのまま進み、ずれていたらコピーから戻します。
次に、設問の変更は、受付が動いていない時間帯にまとめて行うこと。回答が入りながら構造を変えると、変更の前後どちらの形で入った回答なのかが分からなくなります。募集の区切りや、営業時間外にまとめて行います。
3つ目として、設問を消さないという選択もあります。使わなくなった設問は、削除せずセクションごと非表示にする、あるいは必須を外して残しておく。列の並びが動かなければ、足した列との対応も動きません。表の見た目は多少汚くなりますが、記録の整合性のほうが価値があります。
そして、変更したときは日付と内容をどこかに残します。表の1枚目のシートに「変更ログ」というシートを作り、日付と変えた内容を1行書くだけで十分です。半年後に「この列は何だったか」を調べる自分を助けます。
境目2:並べ替えとコピペで、行と担当がずれる
第二の境目は、フォームではなく、表を触る自分の手から来ます。
未対応だけをまとめて上に持ってきたい。古い順に並べたい。担当者ごとにまとめたい。この気持ちは自然ですが、回答の行そのものを並べ替えると、いくつかの厄介なことが起きます。
もっとも直接的なのは、並べ替えの範囲指定を間違えたときです。回答の列だけを選択して並べ替えると、右側に足した担当や状況の列は動きません。つまり、1行目の回答に3行目の担当が付き、3行目の回答に1行目の状況が付きます。この事故のたちの悪いところは、エラーが出ないことです。表は何事もなかったように表示され、間違った組み合わせのまま運用が続きます。気づくのは、返信した相手から「その内容は私ではありません」と返ってきたときです。
もう1つ、後から入ってくる回答との関係があります。回答がスプレッドシートに1件1行で追加されるかどうか、タイムスタンプ列がどう振る舞うかについても、公式資料の中に明示された記載を見つけられませんでした。つまり、並べ替えた表に新しい回答が入ったとき、どこに入るかを公式に保証された形では説明できません。だからこそ、並べ替えないという運用が効いてきます。
行を触る操作は、他にも危険なものがあります。
・行の削除:見送りになった案件の行を消したくなりますが、消さないでください。状況を「見送り」にしてフィルタで隠せば足ります。行を消すと、その回答が来たという事実そのものが表から消えます ・行の挿入:電話で受けた件を表に足したくなりますが、回答の行の間に手入力の行を挟むと、以降の対応関係が読めなくなります。手入力の分は別シートに分けます ・セルのコピー貼り付け:連続する行に同じ担当を入れるときのドラッグは便利ですが、ずれた1行に気づかないまま貼ることがあります。埋めたあとに必ず端の2行を見ます
10,000件を超えるとCSVが送信日時順に並ばなくなる場合があると公式に書かれている点も、ここに関係します。並び順を自分で保証する仕組みを持たない表では、件数が増えたときに順序を根拠にした判断ができなくなります。
境目3:二人以上で開くと、同じセルの取り合いになる
第三の境目は、担当が増えたときに来ます。ここが実務でいちばん多い壊れ方です。
Googleスプレッドシートは同時に開けます。だからこそ、二人が同じ行を同時に処理できてしまいます。片方が「返信済み」を入れ、もう片方がその行に「確認中」を入れる。あとから入力したほうが表に残ります。表を見ている限り、どちらが正しいのかは分かりません。そして、二人とも同じ相手に返信を送っています。
この形が厄介なのは、二人が悪いわけではないところです。表は「この行は今から自分がやります」という宣言を持てません。担当列は、対応したあとに埋めるものだからです。着手した瞬間に押さえる場所がない。だから同時に同じ行に手が伸びます。
運用でしのぐ方法はあります。
・着手時に担当を先に埋める。返信のあとではなく、読み始める前に自分の名前を入れる。担当が空欄の行だけを取る、という約束にする ・担当を先に割り振る。届いた順に交互、または内容の種類で分ける。誰が取るか決まっていれば取り合いは起きません ・時間で分ける。午前は1人、午後はもう1人。同時に開かない ・新規の割り振りだけ1人が持つ。1人が担当列を埋め、他の人は自分の名前の行だけを触る
どれも人の約束で成り立っています。約束は忙しい日に破られます。人が3人を超えたあたりから、この約束を維持するコスト自体が仕事になっていきます。
権限まわりも押さえておく価値があります。公式ヘルプには、フォームに招待したユーザーは、回答や回答の保存場所などフォームのどの部分でも編集できると書かれています。また、新しい回答用スプレッドシートを作ったとき、フォームの共同編集者は自動でそのスプレッドシートにアクセスできるようになり、そのあとフォームの権限を変えても自動では同期されない、とも書かれています。
When you create a new response spreadsheet, form collaborators automatically get access to it. Further changes to the permissions of the form won't synchronize automatically. 出典: support.google.com
つまり、フォーム側で人を外しても、スプレッドシート側の権限は別に確認する必要があります。担当者が入れ替わる窓口では、ここを定期的に見る手続きが必要になります。応募書類や問い合わせの内容が入っている表なので、見られる人の範囲を把握できていない状態は避けたいところです。個人情報の取り扱いについては解釈が分かれる領域なので、判断に迷う場合は所管の窓口や専門家に確かめてください。
境目4:返信したかどうかが、表の外にしか残らない
進捗管理でいちばん知りたいのは、結局「返したか、返していないか」です。ところがこの情報は、表の中ではなく、メールソフトの送信済みフォルダにあります。
Googleフォームの通知は、公式ヘルプによれば、回答タブのその他のアイコンから「新しい回答についてのメール通知を受け取る」でオンとオフを切り替えます。スプレッドシート側にも通知ルールがあり、フォームが送信されたときに受け取れます。頻度は1日1回のまとめか、変更のたびかを選べます。ただし、受け取れる相手について公式ヘルプははっきり書いています。
You can only set up notifications for yourself. 出典: support.google.com
複数人に通知を送る標準の設定については、今回確認した公式資料の中に記載を見つけられませんでした。公式ヘルプが案内しているのは、Googleが提供している無料のForm Notificationsアドオンで、回答者が送信したときに届くメールの設定と、フォームのオーナーと共同編集者に対して、あらかじめ決めた回答数のしきい値に達したときに届くメールの設定ができると掲載されています。
回答者への自動返信については、メールアドレスを収集している場合に「送信済みの回答のコピーを回答者に送信」を設定でき、「リクエストされた場合」か「常に」を選べます。ただし本文を自由に書き換えた自動返信を標準機能で送れるという記載は、公開資料では確認できませんでした。またGoogleは、迷惑メールフィルタやその他の不正対策のために、回答者が受信確認メールを受け取れないことがある、と明記しています。受付の完了を回答者に伝える手段としては、確実に届くとは限らないことを前提に組む必要があります。
自分で作り込む道もあります。Apps Scriptにはフォーム送信をきっかけに動くインストール型トリガーがあり、認可の必要なサービスを呼び出せます。ただし公式の割り当て表には上限が示されています。1日に送れるメールの宛先数は、消費者向けアカウントで100件、Google Workspaceで1,500件。トリガーの総実行時間は消費者向けが1日90分、Google Workspaceが1日6時間。1回の実行は6分までで、これらは予告なく変更されることがあると注記されています。
ここで発生するのは、上限の問題より前に、担当が増えることの問題です。スクリプトを書いた人が異動したら、誰が直すのか。返信文面を変えたいと言われたとき、コードを触れる人はいるのか。受付の運用が、特定の1人のスクリプトに依存する形になります。
境目5:書類を受け取ると、情報が表の外に出ていく
応募書類、見積書、写真。ファイルを受け取り始めると、進捗管理の形はもう一段変わります。
Googleフォームのファイルアップロード質問については、公式ヘルプに条件が明記されています。まず、この質問に回答するには、回答者がGoogleアカウントにログインする必要があります。社外の不特定多数から書類を集める窓口では、ここで先に進まない人が出ます。応募や申し込みの入口で、アカウント登録やログインを求められると、そこでやめる人が一定数出るのは避けられません。
To answer this question, responders need to sign in to a Google Account. 出典: support.google.com
設定できることも公式に書かれています。回答者がアップロードできるファイルの種類、ファイルの最大数、ファイルの最大サイズをフォームのオーナーが指定できます。保存先については、アップロードされたファイルはGoogleドライブの新しいフォルダに保存される、と書かれています。ドライブ側の上限として、各ユーザーは24時間以内に750 GBをドライブにアップロードまたはコピーでき、最大5 TBのファイルをアップロードまたは同期できます。
そのほか、実務で当たる条件がいくつかあります。共有ドライブからファイルをアップロードすることはできません。ファイルのアップロード質問を含むフォームは、メールに埋め込めません。Forms APIについては、現時点でファイルのアップロード質問を作成できないと公式ドキュメントに書かれています。
進捗管理の観点で効いてくるのは、書類が表の外に置かれることです。スプレッドシートの行にはファイルへのリンクが並び、書類の中身はドライブのフォルダにあります。1件を判断するために、表とドライブとメールの3か所を行き来する形になります。件数が少ないうちは動きますが、選考のように1件を何度も見返す仕事では、この行き来が効いてきます。応募の受付でどこを見るかは、採用の応募受付で扱っている、届いた応募を1件ずつ進めていく場面の整理が参考になります。
境目6:件数が増えたときに落ちていく順番
最後に、件数の境目を整理しておきます。前に書いた数字を、落ちる順番に並べ直します。
| 回答数の目安 | 公式に書かれている影響 |
|---|---|
| 10,000件超 | CSVが送信日時順に並ばなくなることがある。質問別ビューと個別ビューが表示されなくなることがある |
| 50,000件超 | 回答の概要が表示されなくなることがある |
| 100,000件超 | スプレッドシートと同期されなくなることがある。回答自体は受け付け続け、CSVでダウンロードできる |
先に落ちるのが「1件ずつ見る画面」で、最後に落ちるのが「同期」だという順番に意味があります。集計としてのフォームは長く使えますが、1件ずつ扱う受付の道具としては、先に効かなくなる部分がある、ということです。
締切や定員については、2026年1月に自動締切の機能が追加されています。公式ブログには、フォームのオーナーと編集者が、フォームを閉じる特定の日時を設定するか、自動で閉じるきっかけになる回答数を設定できるようになる、と書かれています。この機能は既定でオフで、フォームを公開したあとに作成者が有効にします。定員のある申し込みでは効きます。ただし、質問の選択肢ごとに定員を設ける機能については、公開資料では確認できませんでした。日程ごとの残席のように、選択肢の単位で締めたい場合は、別の手当てが要ります。イベントや講座のように枠のある受付は、イベントの申し込みや講座の受講申し込みで扱っている、定員と入金と出欠が絡む受付の形が近い話になります。
境目に当たったときに、次に決めること
境目に当たったからといって、すぐに道具を変える必要はありません。決める順番があります。
1つ目に決めること:受付の記録は、いつまで、誰が見られる必要があるか。 半年後に「あの応募はどうなったか」を調べる必要があるなら、記録は表の中で完結している必要があります。当月中に片付けば終わりなら、表とメールの行き来でも回ります。
2つ目に決めること:同時に触る人が何人になるか。 1人なら列を足す運用で十分です。2人なら約束で回せます。3人を超え、しかも担当が固定でないなら、着手を押さえる仕組みが要ります。ここが最も分かりやすい境目です。
3つ目に決めること:回答者に何を求めてよいか。 ファイルを受け取るためにログインを求めてよい相手なのか、それとも一度きりの申し込みで、そこで離脱されると困る相手なのか。社内向けと社外向けでは答えが変わります。
4つ目に決めること:設問はこれから何回変わるか。 募集要項が毎回変わる受付なら、設問の変更は日常です。公式資料に列の挙動が書かれていない以上、変更のたびに確認作業が発生します。年に1回しか変わらないなら、これは問題になりません。
この4つの答えによって、いまの形を続けるか、受け取ったあとの状態を持てる形に移すかが決まります。他の道具と比べる段階に来ているなら、それぞれの向き不向きを整理したGoogleフォームとの比較が、この記事で書いた境目をそのまま比較表の形にしたものになっています。WordPressのサイトにフォームを置いている場合はContact Form 7との比較、Microsoft 365を使っている組織ならMicrosoft Formsとの比較が、それぞれの前提に沿った整理になります。
受付の形を選ぶときに見ている観点
比較記事を作るために各サービスの公開資料を読み込んでいくと、フォームの道具を分ける線が、機能表の項目数ではないことがはっきりしてきます。分かれ目は送信されたあとを回す道具が最初からそろっているかどうかの1点です。
集めるところまでは、どの道具も十分にできます。設問を作る、必須にする、条件で分岐する、といった部分で決定的な差は付きません。差が付くのはその先です。届いた1件に状態を持たせられるか。担当を割り当てられるか。誰が何をしたかが残るか。同時に触っても壊れないか。この記事で書いた3つの境目は、すべてこの「あと」の部分にあります。
列を足す運用が優れているのは、この「あと」を自分の手で作れることです。そして弱いのも同じ理由です。作ったものを守るのが人の約束だけになるため、忙しくなるほど守られなくなります。状態が最初から表の構造に組み込まれている形なら、着手した瞬間に押さえられ、更新が履歴として残り、同じ行を二人で書き換える事故が構造的に起きません。逆に言えば、その必要がない規模なら、余計な道具を入れる意味はありません。
受付の場面ごとに、どこが最初に詰まるかも違います。問い合わせの受付では返信の抜けが最初に出ます。助成金・公募の受付では締切と書類の不備の管理が中心になります。修理・サポートの受付では同じ相手からの2回目、3回目の連絡をどう1件にまとめるかが問題になります。施設利用の申請や会員の入会申し込みでは、承認の段階を誰が持つかが焦点です。自分の受付がどの型に近いかを見ておくと、次に足すべきものが絞れます。
道具として何ができると変わるのかはできることにまとめてあり、実際の画面の動きは動くところを見るで確かめられます。費用の考え方は料金に、判断の前によく出る疑問はよくある質問に整理してあります。
最後に1つ。いま列を足して回しているなら、その運用は失敗ではありません。むしろ、受付に必要な項目を自分の手で見つけ出した記録です。移るときも、その6列がそのまま設計図になります。何を持つべきかを先に知っている状態は、ゼロから道具を選ぶより有利です。境目に当たったときは、表を捨てるのではなく、表が教えてくれたものを持って次を決めてください。
Q1. スプレッドシートに列を足すだけで、進捗管理はどこまで回りますか?
担当が1人か2人で、設問がほとんど変わらない受付なら十分に回ります。状況・担当・受付日・対応日・次にやること・メモの6列に絞り、値はプルダウンで固定し、行を並べ替えずフィルタ表示で絞るのが条件です。返信した直後にその場で表を埋める順番を守れるかが、続くかどうかの分かれ目になります。
Q2. フォームの設問を追加すると、手で足した列はどうなりますか?
フォーム側で設問を追加・削除・並べ替えしたときに連携済みスプレッドシートの列がどうなるかは、Googleの公開資料では確認できませんでした。保証された挙動として書かれていない以上、変更前にスプレッドシートのコピーを取り、変更後に最古と最新の行で担当と状況が正しく付いているかを確かめてください。受付が動いていない時間帯にまとめて変更するのが安全です。
Q3. 回答が何件を超えると使いにくくなりますか?
Google公式には、回答が10,000件を超えるとCSVが送信日時順に並ばなくなることがあり質問別ビューと個別ビューが表示されなくなることがある、50,000件を超えると回答の概要が表示されなくなることがある、100,000件を超えるとスプレッドシートと同期されなくなることがある、と書かれています。回答自体は受け付け続け、CSVでダウンロードできます。
Q4. 複数人で通知を受け取って分担するにはどうすればよいですか?
スプレッドシートの通知ルールについて公式ヘルプは「自分にしか設定できない」と明記しており、複数人に通知を送る標準の設定は公開資料では確認できませんでした。公式が案内しているのはGoogle提供の無料アドオンで、オーナーと共同編集者への通知を扱えます。ただし通知が届いても着手を押さえる仕組みは別なので、着手時に担当列を先に埋める約束を併せて決めてください。
