フォームの項目の決め方で迷うとき、たいていの原因は「何を聞くか」を先に考えていることにあります。聞きたいことを並べていくと項目は必ず増えます。増えた項目は、答える側の負担になって送信をやめさせ、受ける側には使わないデータの山として残ります。決める順番は逆で、先に「このフォームで何を判断するのか」を決め、その判断に必要なものだけを残すのが正しい手順です。
この記事では、受付をひとりで回している人が、いまのフォームの項目を仕分けて、どれを残しどれを削り、削った分をどこで埋めるかを決められるところまでを扱います。項目を減らすと回答が何パーセント増える、といった効果の数字は書きません。公開された根拠のない数字を根拠にして項目を削ると、必要なものまで削ってしまうからです。代わりに、判断の順番と、判断を間違えたときの戻し方を書きます。
フォームの項目は放っておくと増える一方になる
フォームの項目が減ることは、運用の中ではほとんど起きません。増える方向にだけ力がかかるからです。この非対称を理解しておかないと、いくら仕分けの手順を覚えても、半年後には同じ状態に戻ります。
項目が増える3つの経路
1つ目は、事故のあとの追加です。応募者の連絡先が携帯電話しか書かれておらず連絡がつかなかった、という出来事があると、次の週には「固定電話」「連絡のつきやすい時間帯」という項目が足されます。1件の失敗に対して1項目を足す運用を続けると、項目は事故の回数だけ増えていきます。しかも足した項目は、その後同じ事故が起きなくなっても外されません。外す理由を誰も持たないからです。
2つ目は、関係部署からの依頼です。受付フォームは複数の人が結果を見るため、「ついでにこれも聞いておいて」という依頼が集まりやすい入口になっています。依頼する側は1項目のつもりでも、集まれば10項目になります。依頼を受ける側には断る根拠がないので、そのまま通ります。
3つ目は、あとで分析するかもしれない、という保険です。「どこで知ったか」「希望する連絡方法」「参加の目的」といった項目は、集めておけばいつか役に立つ気がします。ところが実際に集計されることは少なく、多くは表の右端の列で眠ります。ある事務局では、フォームの項目のうち一度も参照されていない列がいくつあるかを数えたら、それが全体の3分の1近くあったという話が出ることがあります。集めることと使うことは別の仕事で、集めるほうだけが自動化されているのが原因です。
答える側から見たとき、1項目の重さは同じではない
項目を数で数えると判断を誤ります。答える側にとって、氏名を書くことと、職務経歴を800字で書くことと、住民票のPDFを用意して添付することは、まったく別の重さだからです。項目数が同じ10個でも、選択肢を選ぶだけの10個と、その場では答えられない10個では、送信までたどり着く人の数が変わります。
その場で答えられない項目には、はっきりした特徴があります。手元にない情報を調べに行かせるもの、他人に確認しないと決められないもの、ファイルを作る必要があるものの3つです。法人番号、前職の在籍期間、上長の承認、押印済みの書類の画像などがこれにあたります。こうした項目が1つでもフォームの前半に入っていると、答える側はそこで席を立ちます。席を立った人が戻ってくるかどうかは、フォームの側では制御できません。
もう1つ見落とされやすいのが、答えに迷う項目です。選択肢が自分の状況に当てはまらないとき、答える側は「一番近いもの」を選ぶか、送信をやめるかのどちらかを選びます。前者を選ばれると、受け取ったデータは正しくない値で埋まります。これは項目を減らす話ではなく、選択肢の設計の話ですが、結果として同じ損失を生みます。
受ける側にとって、使わない項目は仕事を増やす
項目が増えて困るのは答える側だけではありません。受ける側にとっても、使わない項目は純粋な負担です。一覧表の横幅が広がって、必要な列を見るために横スクロールが必要になります。個人情報にあたる項目が増えれば、保管と削除の対象も増えます。エクスポートしたファイルを共有するとき、どこまで含めてよいかの判断が毎回発生します。
集めた情報は、集めた瞬間から管理の対象になります。使わない項目を1つ残すことは、管理する対象を1つ増やすことと同じです。判断に使わないなら、最初から受け取らないほうが、受ける側の仕事は軽くなります。
項目を決める前に、このフォームが何を判断するためのものかを決める
項目の決め方の出発点は、項目そのものではありません。「このフォームに届いたものを見て、受け取った側は何を決めるのか」を先に1文で書きます。ここが曖昧なままだと、どの項目が必要かを判断する基準がないので、全部必要に見えてしまいます。
目的は1文で、動詞で書く
目的を書くときは、名詞で終わらせず動詞で終わらせます。「採用の応募を集める」ではなく「書類選考に進める人かどうかを決める」と書きます。「イベントの申し込みを受ける」ではなく「当日の席数と資料の部数を確定し、前日に案内を送る」と書きます。動詞で書くと、その動作に必要な情報が自動的に決まります。
席数と資料の部数を確定するために必要なのは、参加人数と参加形式です。前日に案内を送るために必要なのは、連絡先のメールアドレスです。この2つが決まった時点で、「参加の目的」「どこで知ったか」は目的の外にあることがはっきりします。外にあるからといって必ず削るわけではありませんが、削る候補になったことは確かです。判断の基準が1つできました。
目的が2つ以上ある場合は、フォームを分けるか、目的の優先順位を決めます。1つのフォームで「応募の受付」と「説明会の申し込み」の両方をやろうとすると、どちらの目的にも要らない項目が相手側には表示されます。分岐で出し分けられるなら分岐にし、分岐が作れないなら入口を分けます。
判断に使わない項目は「あとで聞く」に回せるかを見る
目的の外に出た項目は、削除と保留の2つに分かれます。分ける基準は「あとで聞けるかどうか」です。
受付のあとに連絡が取れる相手なら、ほとんどの項目はあとで聞けます。イベントの申し込みで食事のアレルギーを聞きたいなら、申し込み時ではなく、参加が確定した人にだけ後日聞けば足ります。採用の応募で希望勤務地を聞きたいなら、書類選考を通過した人にだけ聞けば足ります。あとで聞くほうが、対象が絞られている分だけ回答も正確になります。申し込み時点では希望が固まっていない人が、その場ででたらめな値を入れることもなくなります。
あとで聞けない項目は、その場で聞くしかありません。連絡先がその代表です。連絡先がないと「あとで聞く」という手段そのものが使えなくなるので、連絡先だけは目的が何であっても必須になります。もう1つは、受付の時点で判断が確定してしまうものです。定員のある枠を先着で埋める場合、希望する枠の選択は後回しにできません。
この2つ以外は、原則としてあとに回せます。あとに回すという判断が現実的かどうかは、受付のあとに個別のやりとりができる仕組みが手元にあるかどうかで決まります。届いたものが表に並ぶだけで、そこから連絡した記録が残らない状態だと、「あとで聞く」は口約束になって実行されません。だから項目を減らす判断は、受付後の道具とセットでしか成立しません。送信されたあとの道具がそろっているかどうかが、フォームの項目をどこまで削れるかを決めます。
項目を仕分ける4つの問い
目的が決まったら、いま並んでいる項目を1つずつ、次の4つの問いに通します。順番どおりに通すことが大事で、途中から始めると答えが変わります。
問い1、この項目は何のために聞くのか
最初の問いは、その項目の答えを見て、受け取った側が何をするのかです。答えられない項目は、その場で削除の候補になります。
答え方には3つの型があります。「この値で選別する」「この値で連絡する」「この値で準備する」の3つです。書類選考の合否を分けるために見る項目は選別型、返信先として使う項目は連絡型、当日の資料や席や講師の配置を決めるために使う項目は準備型です。どれにも当てはまらない項目は、集計のためか、なんとなくのどちらかです。
集計のために聞いている項目は、その集計を誰がいつ見るのかまで確かめます。年に1度の報告書に載せるためだけなら、フォームで全員に聞かずに、受付後の記録から数えられないかを検討します。誰も見ていない集計のために、答える側の手を止めるのは割に合いません。
「なんとなく」に分類された項目は、削ります。ここで迷いが出るのは、削ったあとに必要になったらどうしよう、という不安があるからです。この不安には、あとから項目を足すコストを見積もることで答えます。フォームの項目は、あとから足せます。足したあとの回答から必要な情報が集まり始めます。足す前に受け付けた分については、個別に聞けば済みます。取り返しのつかない削除ではありません。
問い2、この項目はあとで聞けるか
2つ目の問いは、タイミングの問いです。いま聞かなければならないのか、受付が済んでから聞いてもよいのかを分けます。
判断の材料は3つあります。1つ目は、受付の直後に判断が必要かどうか。定員や先着や締切に関わるものは、その場で必要です。2つ目は、相手の状況が変わるかどうか。開催の1か月前に聞いた希望は、当日には変わっています。変わるものを早く聞くのは、正確でない情報を早く手に入れるだけです。3つ目は、対象が絞られるかどうか。全員に聞くと100件分の処理が必要な項目でも、通過した人だけに聞けば処理は数件で済みます。
あとで聞くと決めた項目は、消して終わりにせず、いつ誰に聞くかまで書き残します。「書類選考の通過連絡と同時に、希望勤務地と入社可能日を聞く」という形で、聞くきっかけを既存の連絡に紐づけておくと、聞き忘れが起きません。新しく連絡を1本増やす形にすると、たいてい実行されません。
問い3、答える側の手間はどれくらいか
3つ目の問いで、残った項目の重さを測ります。重さは、答えを出すまでの動作の数で測ります。
その場で指が動くだけで終わるものが最も軽い項目です。氏名、メールアドレス、選択肢からの1つ選び。次に軽いのが、思い出す必要はあるが手元で完結するもの。電話番号、住所、生年月日。ここまでは、フォームの前半に置いても問題が起きにくい項目です。
重いのは、文章を書かせるものと、ファイルを用意させるものです。志望動機を400字で書く、質問の内容を自由記述で書く、履歴書のファイルを添付する。これらは、答える側にとって数分から数十分の作業になります。重い項目を置くこと自体は必要な場合がありますが、置く場所と数には注意が要ります。重い項目が3つ以上並ぶと、答える側は「あとでまとめてやろう」と考えて画面を閉じます。
最も重いのは、他人が関わる項目です。所属長の氏名と承認、法人の登記情報、第三者の推薦、指定様式への押印。これらは、答える側の意思だけでは完了しません。公募や助成金の受付のように、様式が決まっていて避けられない場合もありますが、避けられるなら受付の時点から外します。受付は「申し込む意思の受け取り」までにして、書類の提出は次の段階に分ける形にすると、途中で止まる人が減ります。
問い4、その答えは誰が見て、どこに残るか
4つ目の問いは、受け取ったあとの話です。項目を残すと決めたなら、その値が誰の目に触れ、どこに保管され、いつ消えるのかまで決めます。
社内で複数人が結果を見る場合、全員が全項目を見てよいとは限りません。応募者の生年月日や現住所を、選考に関わらない人が見る必要はありません。共有の表をそのまま全員に見せる運用だと、この区別ができません。項目の絞り込みは、見せる範囲の設計と一組で考える必要があります。
保管の期間も同じです。受付が終わって用が済んだ情報を、いつまでも表に残しておく理由はありません。個人情報の保護に関する法律では、利用目的の特定について次のように定められています。
個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用目的をできる限り特定しなければならない。 出典: 個人情報保護委員会
利用目的をできる限り特定するという原則を、フォームの項目に当てはめると、「何に使うか説明できない項目は聞かない」という運用になります。これは法律の要請であると同時に、項目を減らす実務上の基準にもなります。なお、自分たちの取得している項目が具体的にどう扱われるべきかは、業種や取り扱う情報の中身によって変わります。判断に迷う点は、所管の窓口や専門家に確かめてください。
用途別に、最低限の項目と足す候補を並べる
同じ「フォームの項目の決め方」でも、何を受け付けるかで答えは変わります。よく使われる場面ごとに、最低限の項目と、足す候補を分けて並べます。ここに挙げた最低限は、その用途で目的を果たすために外せないものだけです。
採用の応募を受け付ける場合
最低限は、氏名、メールアドレス、応募する職種または求人、履歴書または職務経歴のいずれかです。連絡が取れて、どの求人への応募かが分かり、選考の材料が1つある状態が最小構成になります。
足す候補は、電話番号、現在の就業状況、希望する入社時期、ポートフォリオのURLです。このうち電話番号は、書類選考を通過した人にだけ聞く形にできます。希望する入社時期は、応募の時点では固まっていないことが多く、面接の場で聞いたほうが正確です。
採用で特に注意が要るのは、応募のためにアカウント登録を求めることです。回答者にアカウント登録を求めると、そこで応募をやめる人が出ます。項目の数を減らしても、その手前に登録の壁があれば同じことです。受け付ける側から見た応募受付の流れは採用の応募受付にまとめてあります。応募が届いたあとに、誰が見て、どこまで進んだかをどう残すかまで含めて考えると、フォームの項目に何を求めるべきかが決まります。
イベントや講座の申し込みを受け付ける場合
最低限は、氏名、メールアドレス、参加する回または枠です。定員がある場合は、参加人数もその場で必要になります。
足す候補は、所属、参加形式、参加のきっかけ、事前質問です。参加のきっかけは集計のために聞かれることが多い項目ですが、集計を誰も見ていないなら削ります。事前質問は自由記述なので重い項目にあたります。申し込みの必須にせず、任意にするか、参加が確定した人への案内メールで受け付けるほうが、申し込み自体は通りやすくなります。
イベントの受付では、キャンセルと変更が必ず発生します。この処理はフォームの項目では解決できず、受け付けたあとの管理の話になります。イベントの申し込みと講座の受講申し込みでは、申し込み後の連絡と枠の管理をどう回すかを扱っています。
問い合わせを受け付ける場合
最低限は、氏名または会社名、メールアドレス、問い合わせの内容です。ここに種別の選択肢を1つ加えると、受け取った側の振り分けが速くなります。
種別の選択肢は、答える側が迷わない粒度にします。「製品について」「料金について」「不具合の報告」「その他」のように、4つから6つに収めます。選択肢が多いと、答える側は自分がどれにあたるか分からず、全員が「その他」を選びます。それでは分ける意味がありません。
問い合わせで一番多い運用の失敗は、返信の管理です。返信したかどうかが表に残らないと、二重返信と返し忘れは必ず起きます。項目を1つ増やすかどうかより、この1点のほうが日々の負担に効きます。問い合わせの受付では、届いてから返すまでをどう1画面に収めるかを扱っています。
公募や助成金、施設利用の申請を受け付ける場合
この分類は、他と性質が違います。様式が決まっていて、聞く項目を自由に決められないことが多いからです。要綱で定められた記載事項は削れません。
削れるのは、様式の外で「あったら便利」として足された項目です。担当者の携帯番号、過去の申請履歴、団体のSNSアカウントなど、審査に使わないものは外します。また、様式で求められている記載事項でも、フォームの入力欄として全部を作る必要はありません。指定様式のファイルを添付してもらう形にして、フォームでは受付に必要な最小限だけを聞くという分け方ができます。
締切がある受付では、締切直前に送信が集中します。このとき重い項目が並んでいると、そこで詰まった人からの問い合わせが窓口に集中します。締切の前日と当日に何が起きるかを想定して、その場で完了できない項目を前半に置かないようにします。助成金・公募の受付と施設利用の申請は、この種の受付を扱っています。
入会や修理の受付をする場合
入会の申し込みでは、規約への同意と、本人確認に必要な情報が必須になります。会費の支払い方法をどこで聞くかは、入会の可否を先に判断するかどうかで変わります。先に審査があるなら、支払い情報は承認後に聞きます。
修理やサポートの受付では、症状と、対象の製品を特定できる情報が中心になります。型番、購入時期、症状の内容、写真の添付。ここでの落とし穴は、答える側が型番を知らないことです。型番が必須になっていると、本体を見に行くために席を立ち、そのまま戻ってこない人が出ます。型番を任意にして、写真の添付で代えられるようにすると、受け付けたあとに窓口の側で特定できます。会員の入会申し込みと修理・サポートの受付に、この2つの受付で必要になる管理の形をまとめてあります。
残すと決めた項目を、少しでも軽くする
削れない項目が残ったら、次はその項目を軽くする番です。同じ情報を聞くのでも、聞き方によって答える側の負担は変わります。
必須と任意の線を引き直す
必須にする項目は、それが欠けていると受付の処理が進まないものだけにします。ここが緩んで「できれば全部埋めてほしい」という気持ちで必須が増えると、答える側は必須の赤い印を数えて画面を閉じます。
任意にした項目は、実際にはかなりの人が埋めてくれます。埋めない人は、その情報を持っていないか、答えたくない人です。任意にしておけば、その人も送信までは進みます。送信さえされていれば、あとから聞くことができます。必須にした場合、その人は送信しないので、何も残りません。任意にして半分が空欄になるほうが、必須にして送信が止まるより、受ける側にとっては情報が多くなります。
自由記述を減らし、選択肢に置き換える
自由記述は答える側に重く、受ける側にも重い項目です。書くほうは何を書けばよいか迷い、読むほうは全文を読んで分類する必要があります。選択肢に置き換えられるものは置き換えます。
置き換えるときは、選択肢に「その他」を入れて、その他を選んだときだけ自由記述の欄が出るようにします。こうすると、大半の人は選択肢を選ぶだけで終わり、当てはまらない人だけが文章を書きます。受ける側も、選択肢で分類された分は自動で振り分けられます。
置き換えてはいけないのは、その文章自体が判断の材料になる項目です。志望動機や、問い合わせの内容そのものは、選択肢にすると意味が失われます。ここは重いまま残します。重いものを残すために、他を軽くします。
入力の形式を、答える側に合わせる
電話番号にハイフンを入れるかどうか、日付を和暦で書くか西暦で書くか、こうした形式の指定は、受ける側の都合で決まっていることが多い項目です。形式が合わないとエラーで戻される作りだと、答える側は何度も入力し直すことになります。
形式は、受け取ってから整えるほうが早く済みます。ハイフンの有無はどちらでも受け取り、表示するときに揃えます。日付は入力の補助が出る形にします。エラーで戻して直させるより、受け取れる幅を広げるほうが、送信までたどり着く人は増えます。
ファイルの添付は、点数と形式を絞る
ファイルを添付させる項目は、必要な点数を明示します。「関連する資料」とだけ書かれていると、何を何枚出せばよいか分からず、答える側は準備に時間をかけます。「履歴書1点」「症状が分かる写真を1枚から3枚」のように、数と中身を書きます。
形式も、受け取れるものを広く取ります。PDFだけを受け付ける設定にすると、スマートフォンで撮った写真を持っている人は、変換の方法を調べるところから始めることになります。受け取ったあとに開ければよいので、画像でも受け取れるようにしておきます。
聞かなかった分は、受け付けたあとで埋める
項目を減らす判断が現実的になるのは、受け付けたあとに個別のやりとりができるときだけです。ここが弱いままフォームの項目だけを削ると、必要な情報が手に入らず、結局もとに戻します。
追加で聞くきっかけを、既存の連絡に紐づける
受付後に聞く項目は、新しい連絡を作らず、必ず送ることになっている連絡に相乗りさせます。応募の受付完了メール、選考の通過連絡、申し込みの確定通知。これらは必ず送るので、そこに1つ2つの質問を足すのはほとんど手間になりません。
相乗りさせる質問は、その連絡を受け取った時点で答えられるものにします。参加が確定した人に食事の希望を聞くのは自然ですが、受付完了の時点で聞くと、参加できるかまだ分からない人が答えることになります。
届いたあとの状態が、表に残る形にする
追加で聞いたかどうか、答えが返ってきたかどうかが記録に残らないと、追加で聞く運用は数日で崩れます。誰が対応したのか、いまどの段階なのか、次に何をするのかが1件ごとに分かる状態が必要です。
現場では、100件を超えたあたりで表が回らなくなると言われています。表計算で管理していると、行が増えるにつれて、どこまで見たか分からなくなり、同じ人に2回連絡したり、返すべき人を飛ばしたりが起きます。フォームの項目を減らして得た軽さを、受付後の混乱で失っては意味がありません。
受付後に必要になる道具は、状態の記録、担当の割り当て、やりとりの履歴、期限の管理の4つです。この4つがあると、フォームの側では最小限だけを聞いて、残りは個別にやりとりして埋めるという分業が成立します。フォームでどこまでできて、どこからが受付後の話になるかはできることで整理しています。実際の画面の動きは動くところを見るで確かめられます。
追加で聞いたことを、次のフォームに反映する
受付後に毎回同じことを聞いているなら、それは最初から聞くべき項目だったということです。逆に、聞くと決めて残した項目が毎回空欄なら、それは削ってよい項目です。この2つは、受付後のやりとりを記録していると自然に見えてきます。
項目の見直しは、年に1度でも構いませんが、受付の1シーズンが終わった直後にやるのが最も精度が高くなります。何に困ったかを覚えているうちに、足す項目と削る項目を決めます。決めたら、次のシーズンが始まる前に反映します。受付が始まってからの変更は、途中で項目が変わることになるので、集まったデータが揃わなくなります。
よくある失敗と、その直し方
項目の決め方でつまずく場所は、だいたい決まっています。よく見かける形と、直す方向を並べます。
最初の画面に重い項目を置いてしまう
上から順に、氏名、住所、生年月日、職務経歴、志望動機、と並べていくと、答える側は最初の画面で重い項目にぶつかります。軽い項目から並べ、重い項目は後ろに置きます。人は一度書き始めると、途中でやめにくくなります。この性質を使って、書き始めのハードルを下げます。
長いフォームを複数の画面に分ける場合は、画面ごとに何を聞くかをまとめます。連絡先の画面、経歴の画面、確認の画面という分け方にすると、答える側はいまどの種類の質問に答えているかが分かります。1画面あたりの項目は7項目前後を目安にすると、スマートフォンでも見通しが利きます。これは目安であって、項目の重さによって前後します。
選択肢が自分に当てはまらない
選択肢を作るとき、受ける側が知っている分類をそのまま並べてしまうと、答える側には意味が通じません。社内の部署名、業界の細かい区分、独自の呼び方。これらは、外から見ると何のことか分かりません。
選択肢は、答える側が自分のことだと分かる言葉にします。分からない場合に選べる「その他」を必ず入れます。「あてはまるものがない」を選べないフォームは、答える側に嘘をつかせることになります。
確認画面がなく、送信後に修正できない
送信したあとで間違いに気づいたとき、直す方法がないと、その人はもう1度フォームを送ります。受ける側には同じ人からの2件が届き、どちらが正しいか分からなくなります。
確認画面を出して送信前に見直せるようにするのが1つの方法です。もう1つは、送信後の修正を受け付ける窓口を用意することです。受付完了のメールに、修正が必要な場合の連絡先を書いておくだけでも、二重送信は減ります。
項目を削ったあとに、必要になって困る
削った項目が必要になることは、実際に起こります。そのときの戻し方を決めておけば、削る判断がしやすくなります。
戻し方は2つです。まだ受付中なら、項目を足して、それ以降の回答から集めます。すでに受け付けた分については、個別に連絡して聞きます。個別に聞くのは手間ですが、対象は限られています。この2つがあると分かっていれば、削る判断に必要な勇気はかなり小さくなります。
使っているフォームの制約に、項目の設計が引きずられる
いま使っているフォームでできることが、そのまま項目の設計になっていることがあります。分岐が作れないから全員に全部聞いている、添付が受け取れないからメールで別送してもらっている、といった形です。
これは項目の決め方の問題ではなく、道具の問題です。項目を仕分けた結果、いまの道具でできない形が理想だと分かったなら、道具を見直す番になります。ただし、乗り換える前に、いまの道具で足りているところを確かめます。項目が少なく、受付後のやりとりも数件で済むなら、いまのままで問題ありません。
比較のページと使われる場面から、項目の決め方を逆算する
このサイトには、フォームを選ぶときの比較のページと、受付の場面ごとのページを置いています。この2種類の情報を突き合わせると、自分が決めるべき項目の範囲が見えてきます。
比較のページから分かること
比較のページは、それぞれの道具で何ができて、何を別の方法で補うことになるかを整理したものです。回答を表に集める使い方が中心ならGoogleフォームとの比較を、自社サイトの中にフォームを置いて運用しているならContact Form 7との比較を、社内の環境と合わせて選ぶ立場ならMicrosoft Formsとの比較を見ると、いま自分がどこで手作業を足しているかが分かります。
比較の記事を項目の決め方に使うときの読み方は、機能の一覧を上から見ることではありません。「受け付けたあと、自分が何を手でやっているか」に照らして読みます。手でやっている作業が、返信の記録、担当の割り振り、進み具合の共有の3つに集中しているなら、フォームの項目を削って受付後に回す運用が可能になります。手でやっている作業が、そもそも情報が足りずに問い合わせ直すことばかりなら、項目のほうを見直す番です。
使われる場面のページから分かること
場面別のページは、受付の種類ごとに、どんな流れで何が必要になるかを書いたものです。採用の応募受付、イベントの申し込み、問い合わせの受付のように、受付の性質が違えば、必須にすべき項目も、あとに回せる項目も変わります。
自分の受付に近い場面のページを見て、そこに書かれている流れの中で、どの段階でどの情報が必要になるかを確かめます。最初の受付で必要な情報と、途中の段階で必要になる情報が分かれていれば、それがそのまま「いま聞く項目」と「あとで聞く項目」の分け方になります。
料金とよくある質問から分かること
項目の数や受付の件数が増えると、道具の側の条件に当たることがあります。何件まで受け付けられるか、添付ファイルをどれくらい保管できるか、誰が結果を見られるか。こうした条件は料金に整理してあります。項目を決めるときに、保管の期間や共有の範囲まで含めて考える必要があるのは、この条件が運用の形を決めるからです。
運用を始める前に出てくる疑問はよくある質問にまとめてあります。項目を途中で変えたらどうなるか、受け付けた分のデータをどう扱うか、といった実務の疑問はここで確かめられます。
最後に、決めた項目を1枚に書き出す
仕分けが終わったら、決めた内容を1枚に書き出します。書く内容は4つです。このフォームの目的を1文。いま聞く項目と、その項目を何に使うか。あとで聞く項目と、いつ誰に聞くか。削った項目と、削った理由。
この1枚があると、次に「ついでにこれも聞いて」という依頼が来たとき、目的の1文に照らして受けるか断るかを判断できます。判断の記録が残るので、半年後に見直すときにも、なぜその項目があるのかが分かります。項目が増える一方になる流れを止めるのは、道具ではなく、この1枚です。
Q1. フォームの項目はいくつまでに収めるのがよいですか?
数で決めるより、項目の重さで判断します。選ぶだけの項目と、文章を書く項目、ファイルを用意する項目では負担がまったく違います。目安として1画面あたり7項目前後にまとめ、重い項目は後ろに置きます。数が多くても軽い項目ばかりなら問題は起きにくく、数が少なくても重い項目が前半にあると送信は止まります。
Q2. 必須と任意は、どう線を引けばよいですか?
それが欠けていると受付の処理が進まないものだけを必須にします。連絡先と、受付の時点で確定する必要がある選択がこれにあたります。他は任意にしておけば、答えられない人も送信までは進むので、あとから個別に聞けます。必須にして送信が止まると、その人の情報は1つも残りません。
Q3. 項目を減らすと、必要な情報が集まらなくなりませんか?
受け付けたあとに個別に聞ける仕組みがあれば集まります。受付完了の連絡や、選考の通過連絡といった必ず送るメールに質問を相乗りさせる形にすると、追加で聞く手間はほとんど増えません。逆に、受付後のやりとりを記録する場所がない状態で項目だけ減らすと、聞き直しが漏れるので、道具の見直しが先になります。
Q4. 削った項目が、あとで必要になったらどうしますか?
まだ受付中なら項目を足して、それ以降の回答から集めます。すでに受け付けた分は、対象が限られているので個別に連絡して聞けば足ります。フォームの項目の削除は取り返しがつかない操作ではないので、この戻し方を決めておけば、迷っている項目は一度外してみる判断ができます。
