他社との比較

フォーム移行で過去の回答を持っていく手順|書き出しと取り込み

2026年9月1日 ・ Halict編集部

フォームの移行を調べている人の多くは、フォームそのものに困っているわけではありません。困っているのは、届いた回答を受けて返すところです。誰に返したか、誰がまだ返していないか、添付された書類はどこにあるのか。この3つが表の色分けと記憶で持たれているとき、件数が増えた瞬間に受付は止まります。

この記事では、フォーム移行を「新しい道具に乗り換える作業」ではなく「過去の回答と旧URLをどう畳むか」という移し替えの作業として扱います。移さなくてよい場合を先に置き、そのうえで書き出しと取り込みの手順、列の食い違いの埋め方、旧フォームの閉じ方まで順に見ていきます。

フォームの移行が話題になる背景

増えているのは作る手間ではなく受けたあとの手間

フォームを作ること自体は、もう難しい作業ではありません。無料で使えるフォーム作成ツールが複数あり、項目を並べてURLを配れば受付は始まります。それでも移行を検討する人が絶えないのは、作った先で起きることが変わったからです。

応募も問い合わせも申請も、紙と電話からWebに寄りました。窓口に立つ人の側から見ると、これは「入ってくる量が増えた」だけでなく「入ってきたものを全部残さなければならなくなった」ということです。電話なら聞いて終わりだったものが、送信された記録として残り、返していないことも記録として残ります。受付の担当者が気にしているのは、この残ったものをどう畳むかです。

現場でよく聞くのは、フォームを入れた当初は1日に数件だったものが、募集や告知のたびに一時的に跳ね上がるという話です。平常時は1人で回せていた受付が、締切前の数日だけ回らなくなる。この山の部分だけのために新しい仕組みを入れるべきかどうかで、多くの担当者が止まります。

移行という言葉が指しているものは3つに分かれる

「フォーム 移行」で調べている人の頭の中には、実は性質の違う3つの作業が混ざっています。ここを分けないまま検討すると、必要のない作業まで抱え込むことになります。

1つ目は、フォームの作り直しです。項目名、必須の有無、選択肢の並び、確認画面の文言を新しい場所で組み直す作業で、項目数が多くなければ半日から1日で終わります。

2つ目は、過去の回答の移し替えです。これまでに届いた回答を新しい場所にも入れるかどうか。移行で本当に手が止まるのはここです。

3つ目は、入口の付け替えです。すでに配ってしまったURL、サイトに貼ったリンク、印刷物やメール署名に載せたアドレスをどうするか。これは作業量より段取りの問題で、順番を間違えると受付が一時的に閉じます。

このうち2つ目と3つ目は、移すと決めてから考えるものではありません。移すかどうかを決める材料そのものです。過去の回答を持っていく必要がないと分かれば、移行の重さは半分以下になります。

移さなくてよい場合を先に決める

移行の記事は「移したほうがよい理由」から書かれがちですが、順番が逆です。いま使っている道具で足りているなら、移す作業はそのまま損になります。まず足りている条件を並べます。

読んで終わる回答なら移す理由はない

回答を読むところで仕事が完結する使い方なら、いまの道具から動く理由はほとんどありません。社内アンケート、研修の感想、イベント後の満足度調査、参加人数の把握。これらは集計が目的で、1件ずつに返信する必要がありません。集計の図が自動で出るのは、こうした用途では十分な機能です。

判定はかんたんで、「この回答に個別の返事を出すか」を自問すれば足ります。出さないなら、受付管理の道具は要りません。集計だけの用途で高機能な受付の仕組みを入れると、使わない列が並ぶだけで、かえって見づらくなります。

件数が少なく、担当が1人なら表で足りる

月に届く件数が10件から20件程度で、見るのが1人だけなら、表計算ソフトの1枚のシートで管理できます。返信済みの行に色を付ける、備考欄に返信日を書く。この運用は、件数が少ないうちは破綻しません。

破綻するのは、次の3つのどれかが起きたときです。1つ目は、見る人が2人以上になったとき。同じ行を2人が同時に見て、両方が返信する事故が起きます。2つ目は、件数が100件を超えたとき。色分けは10件なら目で追えますが、100件では追えません。3つ目は、返信が1往復で終わらなくなったとき。追加の書類を求める、日程を調整する、こちらから確認するといったやり取りが挟まると、状態は「済」「未」の2つでは表せなくなります。

この3つのどれも起きていないなら、移行は先送りしてかまいません。逆に、すでに1つでも起きているなら、道具ではなく運用の見直しから入っても直りません。

いまの道具の中で直せることを先に試す

移行を決める前に、いまの環境でできる手当てを試す価値はあります。表計算の側で担当者の列と状態の列を足す、返信のテンプレートを共有の場所に置いておく、フォームの項目を減らして入力の負担を下げる。この程度の手当てで山を越えられるなら、それが一番安上がりです。

ただし、手当てで直らないものもあります。代表的なのが、返信の本文が受信箱の側にしか無いという構造です。回答は表に、返信はメールソフトに、添付はドライブに。この3つが別の場所にある限り、状態を1か所で見るという目的は表の列を増やしても達成できません。それぞれの使い分けの目安は、できることのページで機能ごとに整理されています。移すかどうかの判断は、足りない機能を数えるより、この分かれた3か所を1か所にする必要があるかどうかで決めたほうが早く決まります。

移すと決める理由になるのはどこか

移行を決めた人の理由は、機能の数ではなく、決まって次の4つのどれかに当てはまります。

返信したかどうかが回答の隣に残らない

受付でいちばん多い事故は、二重返信と返し忘れです。どちらも同じ原因から起きます。返信の事実が、回答の隣に残っていないからです。

返信はメールソフトから出ます。回答は表にあります。返した人が表に戻って印を付けるという手順が挟まる限り、忙しい日には必ず抜けます。抜けた行は「まだ返していない行」に見えるので、別の人がもう一度返します。あるいは、印だけ付いて実際には送っていない行が生まれます。

返信の履歴が回答と同じ画面に残るという状態は、機能の話に見えて実際は事故の防止策です。移行を決めた理由としていちばんよく挙がるのがここで、問い合わせの受付のように1件ずつ返す前提の窓口では、最初に確認すべき点になります。

担当と状態を人の記憶と色で管理している

「この件は誰が見ているか」が表の色でしか分からない状態は、担当が2人になった時点で危うくなります。色の意味は共有されているつもりでも、休んだ日に別の人が入ると崩れます。

担当と状態が回答そのものに紐づいていれば、色の凡例を覚える必要がなくなります。とくに採用の応募受付のように、書類を見る人と日程を組む人が別れる業務では、誰の手元で止まっているかが見えるかどうかで進み方が変わります。

添付ファイルが本文と離れて置かれている

履歴書、見積書、写真、申請書の控え。フォームにファイルを添付してもらうと、多くの場合ファイルはクラウドストレージ側に置かれ、表にはリンクだけが並びます。

これ自体は問題ではありません。困るのは、ファイル名が送信者の付けた名前のままで並ぶときです。「履歴書.pdf」が何十個も同じフォルダに入り、どれが誰のものか開かないと分からなくなります。30件を超えたあたりから、この照合だけで数十分が消えます。修理・サポートの受付のように、写真や型番の情報が判断の中心になる窓口では、この照合の手間が処理速度を直接決めます。

回答者に登録や操作を求めている

回答する側に何かを求める設計は、届く件数を減らします。アカウントの作成、ログイン、社内アカウントでのサインイン、専用アプリの導入。いずれも、受け付ける側の都合で入っているものです。

回答者にログインを求めると、そこで手を止める人が出ます。とくに一般の応募者や外部の申請者を相手にする受付では、この離脱が募集の成果を直接削ります。助成金・公募の受付施設利用の申請のように、応募者の属性が広い受付では、入口の要求を減らすことが移行の目的になることがあります。社内向けのフォームで全員が同じアカウント基盤を持っているなら、この点は理由になりません。使っている環境によって答えが変わる項目なので、Microsoft Formsとの比較のように、同じ組織アカウントの中で完結する使い方と外部の人を相手にする使い方を分けて考えるのが実際的です。

過去の回答をどう持っていくか

ここからが移行作業の本体です。手順を7つに分けます。

まずCSVで書き出す

ほとんどのフォームサービスは、回答をCSVまたは表計算の形式で書き出せます。移行の第一歩はこれを取ることです。移行するかどうか迷っている段階でも、書き出しは先に取っておいて損がありません。書き出したファイルがあれば、その中身を見ながら「どの列を持っていくか」を具体的に決められます。

書き出したファイルは、まず開いて中身を確認します。見るのは4点です。1つ目は行数。表示上の件数と行数が合っているか。2つ目は列の並び。3つ目は空欄の多い列。4つ目は、1つのセルの中に改行が入っている列です。自由記述の欄はほぼ必ず改行を含み、これが後の工程で行を壊します。

サービスを止める予定があるなら、書き出しは解約の前に必ず済ませます。契約が切れたあとにデータを取り出せるかどうかはサービスごとに違い、期間が過ぎると取り出せないこともあります。移行の作業日と解約日の間には、最低でも2週間の余裕を置くのが安全です。

文字コードと改行でつまずく

CSVの取り込みが失敗する原因の上位は、中身ではなく形式です。

文字コードは、日本語環境ではUTF-8とShift_JISのどちらかです。書き出し側がShift_JISで、取り込み側がUTF-8を前提にしていると、日本語がすべて化けます。表計算ソフトで開いた時点で化けているなら文字コードの問題で、テキストエディタで文字コードを指定して開き直せば読めます。取り込む前に、UTF-8で保存し直しておくのが確実です。BOMの有無で挙動が変わることもあるので、化ける場合はBOM付きとBOMなしの両方を試します。

改行は、セルの中に入っているものが問題になります。自由記述の回答に改行が含まれていると、行の途中で改行されたものと解釈され、1件の回答が2行3行に割れます。割れた行はどの列にも収まらず、取り込みで弾かれるか、内容がずれて入ります。書き出したCSVの行数が、元の件数より多いときはこれを疑います。対処は、取り込み前にセル内の改行を全角のスペースや記号に置き換えておくか、改行を含む列だけ後から手で入れ直すかのどちらかです。

区切り文字も見ます。カンマ区切りが標準ですが、回答文にカンマが多く含まれる場合、引用符で囲まれていないと列がずれます。書き出し側が引用符で囲んでくれているかどうかは、テキストエディタで生のファイルを開けば分かります。

列の食い違いをどう埋めるか

移行でいちばん時間がかかるのが、この列合わせです。古いフォームの項目と新しいフォームの項目は、ほとんどの場合ぴったり一致しません。

食い違いは4種類に分かれます。

食い違いの型 起きること 対処
名前が違うだけ 「お名前」と「氏名」など、中身は同じ 取り込み時に対応づける
1つが2つに分かれる 「氏名」を「姓」と「名」に分ける 分割の規則を決めて一括処理
2つが1つにまとまる 住所の都道府県と以降を1欄に 結合して1列にする
新しい側にしか無い 担当者、状態、対応メモ 過去分は空欄のまま入れる

いちばん判断が要るのは、氏名や住所の分割です。姓と名がスペースで区切られていれば機械的に分けられますが、区切りが無い回答が混ざっていると必ず失敗します。全件を機械で分けようとせず、区切りのある行だけ分けて、残りは1列にまとめたまま入れるほうが安全です。分けられなかった行の件数を数えておき、あとで手直しするかどうかを決めます。

新しい側にしか無い列については、無理に埋めないことです。過去の回答に対して、いまさら担当者や対応状態を思い出して入れる作業は割に合いません。過去分は空欄のまま入れて、新しい列は移行後に届く回答から使い始める。この割り切りで、移行にかかる時間は大きく減ります。

選択肢の表記ゆれと複数選択

選択式の項目は、文字が1文字違うだけで別の選択肢として扱われます。「その他」と「その他 」の末尾のスペース、「1年未満」と「一年未満」の表記、括弧の全角と半角。書き出したCSVで、その列の値をすべて抜き出して重複を除き、一覧にすると、想定していない値がいくつも出てきます。この一覧を作る作業は10分ほどで済み、取り込み後の手直しを何時間分か減らします。

複数選択の項目はさらに厄介です。1つのセルに複数の値がカンマや読点で並んで入るのが一般的ですが、区切り文字は書き出し側によって違います。取り込み側が想定する区切りと違えば、全体が1つの文字列として扱われます。項目数が少ないなら、選択肢ごとに列を分けて「はい」「いいえ」の形にしてしまうほうが、あとで絞り込みやすくなります。

日時と電話番号と郵便番号の形

日時は、表計算ソフトが勝手に解釈して形を変えることがあります。CSVをそのまま表計算ソフトで開いて保存し直すと、「2026/09/01 12:28」が別の表記になったり、秒が落ちたりします。書き出したファイルは、表計算ソフトで開いて保存し直さないのが原則です。中身を見るだけなら、テキストエディタで開きます。

電話番号と郵便番号は、先頭のゼロが消えるのが典型的な事故です。表計算ソフトが数値として解釈するためで、「0312345678」が「312345678」になります。ハイフン付きで入力されていればこの事故は起きませんが、フォーム側で数字だけの入力を求めていると起きます。取り込み前に、その列を文字列として扱う指定をするか、テキストエディタで直接扱うかのどちらかで避けられます。

添付ファイルとアップロードの扱い

CSVで移せるのは文字だけです。添付ファイルは別の作業になります。

書き出したCSVの添付列に入っているのは、多くの場合ファイルそのものではなくリンクです。このリンクは古い側のストレージを指しているので、古いアカウントを消せば全部切れます。移行後もそのリンクを頼りにするなら、古いアカウントは消せません。

現実的な対処は3つあります。1つ目は、ファイルを一括でダウンロードして手元か別のストレージに保存し、回答者名と日付でフォルダを分けて置いておくこと。2つ目は、古い側のストレージをそのまま残して、参照専用として置いておくこと。3つ目は、古い添付は移さず、必要になったときだけ取りに行くと決めることです。

件数が多いなら、3つ目が現実的です。応募書類や申請の添付は、受付が終わって一定期間が過ぎれば見返す機会がほとんどありません。全部を移そうとして数日を費やすより、保管期間を決めて、期間内のものだけを移すほうが早く終わります。保管期間の設定は、次の個人情報の項目とも関わります。

取り込みは少量で試してから全部を入れる

準備ができたら、いきなり全件を入れないことです。最初に10件だけを取り込んで、画面で確認します。見るのは、文字化けがないか、列が正しい位置に入っているか、改行を含む回答が1件として入っているか、日時がずれていないかの4点です。

10件で問題がなければ、次に100件を入れます。この段階で、選択肢の表記ゆれのような、少量では出てこない問題が見えます。ここまで通れば、残りを一括で入れて構いません。

取り込みをやり直す可能性があるので、入れる前に「取り消せるかどうか」を確認しておきます。一括削除ができないと、失敗した取り込みを1件ずつ消すことになります。実際の画面での挙動は動くところを見るで確かめられるので、本番のデータを入れる前に、同じ形のテストデータで一度通しておくと安心です。

旧フォームのURLをどうするか

過去の回答を移し終えても、移行は終わりません。すでに世に出ているURLが残っています。

併走の期間を決める

新旧を同時に開けておく期間は、あらかじめ決めておきます。目安は1か月です。短すぎると張り替え漏れから来た人が受け付けられず、長すぎると2か所を見続けることになり、見落としが生まれます。

併走中に必ず決めておくのは、どちらに届いたものも同じ手順で処理するということです。「新しいほうは新しい画面で、古いほうは表で」という二重の運用を1か月続けると、慣れているほうに手が寄って、片方が放置されます。併走期間中は、古いほうに届いた分も新しい画面に手で入れ直す。件数が少ない期間なので、この手間は許容できます。

閉じる順番を間違えない

旧フォームを閉じるときの順番は決まっています。

1つ目に、新しいフォームで実際に受け付けられることを確認します。自分で1件送信して、届くこと、通知が来ること、返信できることを確かめます。

2つ目に、サイトや案内文のリンクを新しいURLに張り替えます。

3つ目に、旧フォームの説明文の先頭に、新しいURLへの案内を追加します。この時点ではまだ受付を止めません。

4つ目に、併走期間が終わったら、旧フォームの受付を停止します。停止しても、旧フォームのページ自体は残し、新しいURLへの案内だけが表示される状態にします。ここでページごと削除してしまうと、リンクをたどった人が行き止まりになります。

5つ目に、それから数か月おいて、旧フォームを削除します。削除の前に、書き出したCSVと添付ファイルが手元にあることをもう一度確認します。

張り替えの漏れが出やすい場所

リンクの張り替えで抜けやすいのは、Webサイト以外の場所です。メールの署名、自動返信メールの本文、案内のPDF、印刷したチラシやポスター、SNSのプロフィール欄、名刺のQRコード、他団体のサイトに載せてもらった紹介ページ、社内のマニュアルやブックマーク。

このうち印刷物とQRコードは張り替えられません。刷り直すまでの間、旧URLからの入口は生き続けます。だからこそ、旧フォームのページは受付を止めても残しておく必要があります。印刷物が世に出ている場合、旧ページを消すまでの期間は1年単位で見ておくのが無難です。

他団体のサイトや自治体のリンク集に載せてもらっている場合は、先方に連絡して差し替えてもらう必要があります。連絡は併走を始める時点で出しておくと、期間内に反映されます。イベントの申し込み講座の受講申し込みのように、外部の告知に載る受付では、この連絡の手配が移行作業の中でいちばん時間のかかる部分になることがあります。

個人情報の扱いで先に決めること

回答に氏名や連絡先が含まれる限り、移行は個人データの移し替えです。作業の前に決めることが3つあります。

1つ目は、利用目的の範囲です。集めたときに示した目的の中で扱う分には、置き場所が変わっても問題は起きません。ただし、移行を機に別の用途に使うなら、そこは別の判断が要ります。

2つ目は、保管期間です。何年前の回答まで持っていくかを決めます。移行は、不要になった古いデータを整理する良い機会でもあります。目的を達成した個人データを持ち続ける理由は、多くの場合ありません。

3つ目は、預ける先の確認です。フォームサービスに回答を保存してもらうことは、個人データの取扱いを外部に委託していることになります。

個人情報取扱事業者は、個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合は、その取扱いを委託された個人データの安全管理が図られるよう、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。 出典: 個人情報の保護に関する法律 第二十五条(e-gov.go.jp

移行先を選ぶときは、データの保存場所、アクセスできる人の範囲、退会したときのデータの扱いが公開資料で確認できるかを見ます。確認できない場合は、問い合わせて回答をもらい、記録に残しておきます。組織として個人情報の取扱規程がある場合は、その規程に照らして移行先を評価する必要があります。具体的な適否の判断は法律の解釈を含むため、所管の窓口や専門家に確かめてください。

移行作業そのものについても、書き出したCSVの置き場所に注意が要ります。作業中のファイルが個人のパソコンのダウンロードフォルダに残ったままになる事故は、実際によく起こります。作業が終わったら、一時ファイルは消します。

移行の段取りを時系列で並べる

ここまでの内容を、実行の順番に並べ直します。

時期 やること 気をつける点
移行の2週間前 過去の回答をCSVで書き出す 解約前に必ず取る。行数を確認
移行の2週間前 添付ファイルの扱いを決める 全部移すか、期間で区切るか
移行の1週間前 新しいフォームを作る 項目名は古い側とそろえておくと列合わせが楽
移行の1週間前 列の対応表を作る 分割・結合・空欄のままの3つに仕分ける
移行日 10件で試し取り込み 文字化け、列ずれ、改行、日時の4点を確認
移行日 残りを一括で取り込む 取り消せるかを事前に確認
移行日 自分で1件送って動作を確認 通知が届くか、返信できるか
移行日 サイトのリンクを張り替える 署名、PDF、自動返信の本文も
移行日から1か月 新旧を併走 旧に届いた分も新しい画面へ入れ直す
1か月後 旧フォームの受付を停止 ページは残し、案内だけ表示
数か月後 旧フォームを削除 書き出したCSVと添付の保管を再確認

項目名を古い側とそろえておくという点は、地味ですが効きます。新しいフォームを作るときに、つい項目名を整えたくなりますが、名前を変えると列の対応づけが手作業になります。移行が終わってから名前を整えるほうが、全体としては早く終わります。

作業の総量は、項目数と件数で変わります。項目が20個以内、過去の回答が1000件以内なら、慣れていなくても1日で終わる範囲です。それを超える場合は、列合わせの日と取り込みの日を分けたほうが、途中で判断が雑になりません。

移したあとの1か月で見ること

移行が終わったあと、うまくいったかどうかを判断する材料は3つあります。

1つ目は、返し忘れの件数です。移行前に何件あったかを正確に数えていることは少ないので、移行後の数字だけを記録しておきます。1か月でゼロなら、状態が見える形になった効果が出ています。

2つ目は、1件あたりにかかる時間です。届いてから返すまでに何をしているかを一度書き出してみると、どこが減ったかが分かります。減っていない場合、原因は道具ではなく手順にあります。

3つ目は、2人目が入れるかどうかです。移行の目的が受付を1人に依存させないことなら、実際に別の人に1日任せてみるのが確実な確認方法です。引き継ぎの説明に30分以上かかるなら、まだ何かが担当者の頭の中にあります。

料金の負担が増える場合は、この3つの改善と釣り合っているかで判断します。無料で使えていたものから有料に移るなら、時間がどれだけ減ったかを金額に置き換えて比べるのが分かりやすい方法です。費用の考え方は料金のページに整理されています。

移行の判断を分けるのは受け取ったあとの3つの列

移行を検討している窓口の相談内容を整理すると、詰まっている場所はいつも同じ3つに集まります。返信の履歴、担当、状態です。この3つが回答と同じ場所にあるかどうかが、移行の要否をほぼ決めています。

集計だけが目的の使い方では、この3つはそもそも要りません。だからGoogleフォームとの比較で挙げているように、アンケートや出欠の確認で使っているなら乗り換える理由は出てきません。無料で使えて、集計の図が自動で出て、表計算との連携も整っています。移行を検討する前に、自分の使い方が集計型なのか受付型なのかを見分けるほうが先です。

自社サイトにフォームを置いている場合は、また事情が変わります。Contact Form 7との比較で触れているのは、送信された内容がメールとしてだけ飛んでいく構成では、記録が受信箱に散るという点です。この構成でも、プラグインを足して保存する運用は取れます。ただしその場合、保存された一覧と返信の履歴はやはり別の場所に残ります。

組織のアカウント基盤の中で完結する使い方なら、Microsoft Formsとの比較で整理しているように、社内の申請や集計はその中で回したほうが管理はシンプルです。外部の人から受け付けるものだけを別の場所に出す、という分け方も現実的な選択肢です。

用途別に見ると、返信の往復が発生するかどうかで線が引けます。会員の入会申し込みは、申し込みを受けて確認して案内を返すという往復が必ず入るため、状態の管理が要ります。一方で、参加人数を数えるだけのアンケートには要りません。同じ「フォーム」という言葉で呼ばれていても、必要な道具はここで分かれます。

移行を決めるときに見るべきなのは、機能の一覧表ではありません。いま受付で起きている事故が、返信の履歴・担当・状態の3つのうちどれから来ているかです。どれにも当てはまらないなら、移す必要はありません。当てはまるなら、その1つを回答と同じ画面に置くことが移行の目的になります。送信されたあとの道具がそろっているかどうかで選ぶという判断軸は、この見立てから出てきます。移行にまつわる細かい疑問はよくある質問にも整理されているので、作業に入る前に一度目を通しておくと、決めておくべきことの抜けが減ります。

Q1. 過去の回答は全部持っていかないといけませんか?

必要ありません。移すのは、これから見返す可能性があるものだけで十分です。保管期間を決めて、期間内の回答だけを取り込み、それより古いものは書き出したCSVを保管しておくという形が現実的です。担当者や対応状態のような新しい列は、過去分は空欄のままにして、移行後に届く回答から使い始めるのが早く終わるやり方です。

Q2. CSVを取り込んだら日本語が文字化けしました。どうすればよいですか?

文字コードの食い違いが原因です。日本語環境ではUTF-8とShift_JISのどちらかで、書き出し側と取り込み側が違うと化けます。テキストエディタで文字コードを指定して開き直し、UTF-8で保存してから取り込んでください。UTF-8にしても化ける場合は、BOMの有無を切り替えて試します。表計算ソフトで開いて保存し直すと形が変わることがあるので避けます。

Q3. 旧フォームのURLはいつ消せばよいですか?

受付の停止とページの削除は分けて考えます。新旧の併走を1か月ほど続けてから受付を止め、ページ自体は新しいURLへの案内を表示したまま残します。削除はさらに数か月あとです。チラシやQRコードなど張り替えられない入口が世に出ている場合は、1年単位で残しておくほうが安全です。削除前に、書き出したCSVと添付ファイルが手元にあるか確認してください。

Q4. 添付ファイルはCSVと一緒に移せますか?

移せません。CSVで移せるのは文字だけで、添付列に入っているのは古い側のストレージを指すリンクです。古いアカウントを消すとリンクは切れます。対処は、ファイルを一括でダウンロードして別に保管する、古いストレージを参照専用で残す、保管期間内のものだけ移して残りは移さないと決める、の3つです。件数が多い場合は3つ目が現実的です。

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