エントリーシートをWebで受け付けると決めたとき、最初に時間を取られるのは入力欄の並びや見た目です。しかし受付が始まってから効いてくるのは、締切直前の数時間に送信が集中したときに耐えられるか、そして届いた数百件を誰がどう並べて読むかのほうです。この2つを決めずに受付を開けると、締切の夜に電話が鳴り、翌週から一覧のない山を素手で捌くことになります。
この記事では、エントリーシートのWeb受付を「フォームを作る話」ではなく「締切と大量送信に備える話」として組み立て直します。締切直前に集中することを前提にした締切の切り方、書きかけを保存できるかどうかが離脱に与える影響、募集要項に書いた文字数と入力欄の数え方をそろえる方法、そして受付番号の返し方で問い合わせがどれだけ減るかを、受付をひとりで回している立場から順に扱います。
読み終えたときに決められるようにしたいのは、締切の時刻をいつにしてどこまでを受け付けるか、途中保存を用意するかどうか、文字数を入力欄で止めるか通してから見るか、受付番号に何を持たせるか、この4点です。
Webでのエントリーシート受付が当たり前になった背景
紙のエントリーシートを郵送で集めていた時代の受付は、届く量が郵便の速度に平準化されていました。締切を必着にしても、届く封筒は数日に分散します。窓口の仕事は開封と仕分けで、量は多いものの、一日の中で急に跳ね上がることはありませんでした。
Webでの受付に移ると、この平準化がなくなります。送信は一瞬で終わり、応募者は締切を意識しながら書き続けられます。結果として、郵送では数日に分散していた量が、締切前の数時間に固まって届きます。受付の総量は変わっていないのに、山の高さだけが何倍にもなる、というのがWeb受付に切り替えた最初の年に起きやすい変化です。
郵送とメール添付が抱えていた負荷
Web受付が広がった理由は、応募者の利便性だけではありません。受け取る側の負荷が大きかったことも理由です。郵送では開封、目視での不備確認、台帳への転記、保管場所の確保が必要でした。メール添付に切り替えると郵送の手間は消えますが、別の手間が生まれます。
メール添付での受付には、受付を回す側から見て3つの詰まりがあります。1つ目は、添付ファイルの形式がそろわないことです。指定していてもWord、PDF、写真として撮影した画像、圧縮ファイルが混ざります。2つ目は、メールボックスが台帳にならないことです。誰がどこまで見たのか、返信したのかどうかが、受信箱の既読状態にしか残りません。3つ目は、容量制限です。写真を貼り込んだ書類は10MBを超えることがあり、送信側で弾かれると、応募者は「送ったつもり」のまま締切を過ぎます。
このうち3つ目は特に厄介です。送信が失敗したことに応募者が気づかないと、締切後に「送ったのに選考の連絡が来ない」という問い合わせになります。どちらの手元にも記録がないため、確かめようがありません。
通年採用と経路の分散で締切の数が増えた
もう1つの背景は、締切そのものが増えたことです。新卒の一括採用に加えて、通年でのインターンシップ、職種別の募集、リファラルでの受付、大学のキャリアセンター経由の紹介と、経路が分かれています。それぞれに締切があり、それぞれで様式が少しずつ違います。
締切が年に1回であれば、その日だけ人を集めて乗り切ることもできます。しかし年に12回来るなら、乗り切る運用は続きません。締切のたびに同じ準備をするのではなく、締切が来ても勝手に捌ける形にしておく必要があります。この記事で扱う内容は、締切の回数が増えるほど効いてきます。
受付の場面ごとにどんな違いが出るかは採用の応募受付で整理されています。応募者から書類と自由記述を受け取り、選考の状態を追いかけるという流れは、採用に限らず公募や講座の受講申し込みでも共通します。
締切直前に集中することを前提に組む
Web受付の設計で最初に置くべき前提は、「応募は締切の直前に集中する」です。これは応募者の怠慢ではなく、締切がある作業の性質です。エントリーシートは推敲できる文書なので、書き終えても提出せずに手元で直し続けられます。締切が近づいて初めて、直すのをやめて送るという判断が成立します。
応募は最終日と最終数時間に山を作る
現場でよく言われるのは、募集期間全体のうち最終日に届く割合が飛び抜けて大きいということです。さらにその最終日の中でも、締切時刻の直前3時間に集中します。締切を23時59分に置いた場合、21時から24時のあいだが最も混みます。
この山は、単純にサーバーへの負荷という意味だけではありません。受付側の運用にも影響します。締切直前に送信の不具合が起きると、応募者は電話やメールで問い合わせてきます。その時刻が深夜であれば、窓口は無人です。翌朝出社したときには問い合わせが溜まっていて、しかも締切はすでに過ぎています。受け付けるのか、受け付けないのか、その場で判断を迫られます。
だから締切の設計は、「いつまで受け付けるか」だけでなく「そのとき誰が対応できるか」とセットで決める必要があります。
締切の時刻の切り方で、山の高さは変えられる
締切を平日の17時に置くと、山は勤務時間内に来ます。問い合わせが来ても対応できますし、送信の不具合にも気づけます。一方で、就業中の応募者や授業のある学生からは「その時刻には送れない」という声が出ます。
逆に23時59分に置くと、応募者にとっては柔軟ですが、山は無人の時間帯に立ちます。この場合は、締切の前後で何かあったときにどうするかを、あらかじめ募集要項に書いておく必要があります。
現実的な折衷として使われるのが、締切を平日の午前中に置く形です。前日の夜に書き上げて送る人と、当日の朝に送る人に分かれるため、山が2つに割れます。そして締切の瞬間に窓口が動いているので、直後の問い合わせに即座に答えられます。締切の日付だけを見て決めるのではなく、その時刻に自分たちが動いているかどうかで決めるほうが、運用は楽になります。
締切をまたいだ送信をどう扱うか、先に決める
締切の判定を何時点で行うかは、必ず事前に決めておきます。決めていないと、締切直後に届いた1件をどう扱うかで、その場の判断がぶれます。
判定の候補は3つあります。送信ボタンを押した時刻、サーバーが受け取った時刻、そして受付が完了した時刻です。通信の状況によっては、この3つがずれます。大きなファイルを添付していると、送信の開始から完了まで数分かかることがあります。23時58分に送信を始めて、完了が0時1分になった応募をどうするか。募集要項に「システムが受け付けた時刻」と書いてあれば、その場で判断できます。書いていなければ、応募者との押し問答になります。
あわせて、締切の表記も具体的にします。「2026年3月10日締切」だけでは、その日の何時までかが分かりません。時刻とタイムゾーンの扱いまで書きます。海外からの応募を受ける可能性があるなら、日本時間であることも明記します。
障害が起きたときの受け口を書いておく
締切直前に受付の画面が開かない、という事態は起こり得ます。回線の不調、機器の障害、想定を超える同時アクセスのどれでも起きます。このとき応募者が最初に取る行動は、何度も再読み込みすることです。これは負荷をさらに上げます。
対策は技術的なものだけではありません。募集要項に「受付ができない場合の連絡先」を書いておくことが、実は最も効きます。連絡先が書いてあれば、応募者は再読み込みを繰り返す代わりに、その連絡先に状況を伝えます。受付側は、後から救済するかどうかを判断できます。何も書いていないと、応募者は諦めるか、代表電話にかけ続けるかのどちらかになります。
なお、締切の直後に送信された分を一律で無効にするのか、事情を聞いて個別に扱うのかは、公平性に関わる判断です。判断の基準は事前に決めて、選考に関わる全員が同じ答えを言えるようにしておきます。
書きかけを保存できるかどうかで、離脱の量が変わる
エントリーシートは、問い合わせフォームとは分量が違います。志望動機、学生時代に力を入れたこと、自己PRといった自由記述が並び、それぞれに400字から800字を求めることが珍しくありません。合計すると数千字の入力になります。
一度で書き切れない分量であることを認める
数千字の文章を、フォームの入力欄の中で最初から最後まで書き上げる人は多くありません。多くの応募者は、別のアプリで下書きを作ってから貼り付けます。あるいは、フォームを開いたまま何時間も置きます。
ここで2つの事故が起きます。1つは、フォームを開いたまま放置した結果、通信が切れたりセッションが切れたりして、送信時にすべて消えることです。もう1つは、別のアプリで作った文章を貼り付けたときに、書式が崩れたり文字数の判定が食い違ったりすることです。どちらも応募者側から見れば「時間をかけて書いたものが台無しになった」という体験になります。
書きかけが消えたときの応募者の反応は、書き直すか、応募をやめるかの2つです。締切に余裕があれば書き直しますが、締切直前であれば、やめるほうに傾きます。そして応募をやめた人は、受付側の記録には一切残りません。送信された件数だけが見えていて、途中でやめた人は最初から存在しなかったように見えます。
保存のやり方は大きく3つ
途中保存の実現方法は3つに分かれます。それぞれに向き不向きがあります。
1つ目は、ブラウザの中に一時的に保存する方式です。入力した内容が閲覧している端末の中に残るため、同じ端末で同じブラウザを開き直せば続きから書けます。アカウント登録が要らないのが利点です。一方で、別の端末に移ると引き継げませんし、ブラウザの設定や履歴の消去で消えます。「保存されているように見えて実は消えている」状態が起こり得るため、いつまで残るのかを画面に書いておく配慮が要ります。
2つ目は、受付側に下書きとして保存する方式です。応募者を識別する必要があるので、メールアドレスを先に受け取って専用のリンクを送るか、アカウントを作ってもらう形になります。端末をまたいで続きが書けるのが利点です。ただし、識別のための一手間が入口に増えます。
3つ目は、そもそも入力欄の中で書かせない方式です。設問だけを先に配布し、書き上がった文章を貼り付けてもらうか、ファイルで受け取ります。応募者は使い慣れたアプリで推敲できます。受付側は、貼り付けの揺れや、ファイル形式の統一を引き受けることになります。
どれを選ぶかは、設問の分量と応募者層で決まります。自由記述が3問以上あるなら、何らかの形で書きかけを守る仕組みは要ります。設問が短く、その場で答えられる分量なら、途中保存は不要です。
アカウント登録を求めると、そこで人が減る
途中保存を用意するために応募者にアカウント登録を求める、という設計はよく採られます。しかし、この一手間は入口の離脱を生みます。
会員登録の画面が出た時点で、応募者は「このあと何通メールが来るのか」「退会はできるのか」を考えます。志望度が高い応募者なら登録しますが、複数社を並行して見ている段階の応募者は、そこで別の会社に移ります。母集団を広く取りたい募集ほど、この損失は大きくなります。
登録を求めずに途中保存を実現するなら、メールアドレスだけを受け取って、そのアドレス宛に続きから書けるリンクを送る形が現実的です。パスワードを作らせずに済み、応募者から見れば「メールに届いたリンクを開くだけ」で済みます。ただしこの形は、リンクを知っていれば誰でも開けるという性質を持ちます。リンクの有効期限を短めに設定するなど、扱いには注意が要ります。
無料で使えるフォームの多くは、回答者にサインインを求めるかどうかを設定で切り替えられます。設定を確認せずに公開すると、意図せず登録必須の状態で受付を開けてしまうことがあります。この点を含めた無料フォームとの違いはGoogleフォームとの比較で整理されています。
文字数の扱いを、募集要項と入力欄でそろえる
エントリーシートの受付で最も多い問い合わせの1つが、文字数の数え方です。「400字以内と書いてあるが、入力欄では390字で止まる」「改行を入れると字数が増える」といった声が、締切直前に集中して届きます。
「400字以内」が何を数えているのかを決める
文字数の数え方には、複数の解釈があります。改行を1文字と数えるか、数えないか。半角文字を1文字と数えるか、0.5文字と数えるか。空白を数えるか。絵文字や記号をどう扱うか。これらは決めの問題であって、正解があるわけではありません。
決めていないと何が起きるかというと、応募者が使っている文書作成ソフトの文字カウントと、受付側の入力欄のカウントがずれます。応募者は「398字」と表示されているのに、フォームでは「402字」と出て弾かれます。この状況で応募者は、どこを削ればよいのか分からないまま、締切直前に文章を切り詰めることになります。
対策は単純で、募集要項に数え方を書くことです。「改行を含みます」「半角文字も1文字として数えます」と1行添えるだけで、問い合わせは大きく減ります。書かない場合でも、入力欄の下に現在の文字数をリアルタイムに表示していれば、応募者は自分の目で合わせられます。文字数の制限を設けるなら、カウンターは実質的に必須と考えてよい要素です。
入力欄で止めるか、通してから見るか
上限を超えた入力をどう扱うかにも、2つの選択肢があります。
1つは、上限に達したらそれ以上入力できないようにする方式です。確実に上限内に収まりますが、応募者が別のアプリから貼り付けたときに、末尾が黙って切り落とされる事故が起きます。切られたことに気づかずに送信すると、文章が途中で終わったエントリーシートが届きます。読む側からは、書き手の不注意なのか仕組みの都合なのかが判別できません。
もう1つは、上限を超えても入力自体はできるようにして、送信時に警告を出す方式です。応募者は超過した分量を自分の判断で削れます。ただし、警告を無視して送信できてしまう設計だと、上限を超えた応募が届きます。
どちらを取るかは、上限の厳しさによります。上限が選考の条件として厳格なら、送信自体をブロックします。目安として示しているだけなら、超過を許して届いたあとで扱うほうが、応募者の取りこぼしは減ります。いずれの場合も、切り落としが黙って起きる形だけは避けます。
貼り付けの揺れに備える
外部のアプリからの貼り付けでは、目に見えない差が入り込みます。文書作成ソフトが自動で変換した引用符やダッシュ、全角の空白、行末の余分な空白、改行コードの違いなどです。これらは表示上ほとんど区別がつきませんが、文字数の判定や検索には影響します。
受付側でできる備えは2つあります。1つは、入力を受け取った時点で前後の空白を落とすなど、最小限の整形を自動で行うことです。もう1つは、応募者側で確認できる画面を用意することです。送信の前に、実際に保存される内容をそのまま表示すれば、崩れに気づけます。確認画面は入力の手間を1つ増やしますが、書類選考に使う文章を受け取る場面では、あったほうが事故が減ります。
受付番号の返し方で、問い合わせの量が変わる
エントリーシートを送信した応募者が次に取る行動は、「ちゃんと届いたのか」を確かめることです。ここで返すものの設計が、締切後の問い合わせ量を左右します。
「届いていますか」という問い合わせの正体
締切の翌日から数日にかけて、窓口には「送信したが届いているか」という問い合わせが集中します。この問い合わせの中身は、実は2種類に分かれます。
1種類目は、本当に送信が失敗している場合です。通信が切れた、添付が重すぎた、締切をまたいだ、といった理由で受付が完了していません。この場合は、受付側が確認して事実を伝える必要があります。
2種類目は、送信は成功しているが応募者が不安になっている場合です。送信後に何も表示されなかった、自動返信のメールが迷惑メールに入って気づかなかった、といった理由です。件数としては、2種類目のほうが圧倒的に多くなります。
つまり、問い合わせの大半は「届いた証拠が応募者の手元に残っていない」ことから生まれています。証拠を確実に渡せば、この分は消えます。
受付番号に何を持たせるか
受付番号は、応募者にとっては「届いた証拠」であり、受付側にとっては「どの応募か特定するための鍵」です。この2つを同時に満たす形にします。
含めると便利なのは、受付の年度、募集の区分、そして連番です。たとえば年度と職種の区分が読み取れる番号にしておくと、問い合わせの電話を受けた瞬間に、どの募集の話なのかが分かります。番号を聞いてから一覧を検索し直す手間が省けます。
一方で、含めてはいけないものもあります。応募者の氏名の一部、生年月日、メールアドレスの一部を番号に埋め込む設計は避けます。番号は本人以外の目に触れる可能性があり、そこから個人が推測できる形は望ましくありません。また、単純な連番だけにすると、番号から応募の総数が読み取れてしまいます。連番であること自体は問題になりませんが、公開の場で番号を扱う運用なら、桁数や形式を工夫します。
受付番号を返すタイミングは、送信の直後です。送信完了の画面に大きく表示し、あわせて自動返信のメールにも記載します。画面だけだと閉じてしまえば消えますし、メールだけだと届かない可能性があるため、両方に載せます。
自動返信が届かない前提で組む
自動返信のメールは、確実に届くとは限りません。迷惑メールとして振り分けられる、携帯電話のキャリアのフィルタで弾かれる、応募者がアドレスを打ち間違えている、といった理由で届かないことがあります。
打ち間違えは思ったより多く起こります。対策としては、メールアドレスの入力欄を2つに分けて再入力を求める方法がありますが、これは貼り付けで回避されるため効果が限定的です。より確実なのは、送信の確認画面で入力したアドレスを大きく表示し、目視で確認してもらうことです。
そのうえで、募集要項に「自動返信が24時間以内に届かない場合は、迷惑メールフォルダを確認のうえ、この連絡先までご連絡ください」と書いておきます。この1行があるだけで、応募者は自分で確認する手順を持てます。ドメイン指定受信の設定が必要になる場合は、受信を許可すべきドメイン名も具体的に書きます。
送信完了の画面については、印刷や画面の保存ができる形にしておくと、応募者は自分で控えを残せます。番号だけでなく、送信日時と応募した募集の名称を並べておけば、控えとして機能します。
大量に届いたあとに回せるかどうかを先に見る
締切を乗り切ったあとに始まるのが、届いた分を読んで選考する仕事です。ここで詰まると、締切前の準備がすべて無駄になります。受付の仕組みを選ぶときは、送信のしやすさより、届いたあとに何ができるかを先に見ます。
一覧に必要な列
エントリーシートが数百件届いたとき、必要になるのは一覧です。その一覧に何が並んでいるかで、作業の速さが変わります。
最低限あると回るのは、受付番号、氏名、応募した区分、受付日時、担当者、選考の状態の6つです。このうち、後半の2つが特に重要です。担当者の列がないと、誰が読むのかが決まらず、同じ書類を2人が読んだり、誰も読まないまま残ったりします。状態の列がないと、書類選考が終わったのか、面接の案内を送ったのか、辞退の連絡が来たのかが追えません。
表計算ソフトで台帳を作れば、これらの列は用意できます。ただし、同じファイルを複数人で開いて編集すると、上書きの事故が起きます。誰かが編集中に別の誰かが開いて古い内容を保存する、という事故は台帳運用でよく聞く詰まり方です。届いた案件そのものに担当と状態が付いている形なら、この事故は構造的に起きません。
添付ファイルの扱い
エントリーシートに加えて、履歴書や成果物のファイルを受け取る募集もあります。ファイルを扱うときに確認しておくのは、1件あたりの容量の上限、受け付ける形式、そして保存の場所です。
容量の上限は、応募者が事前に知っておく必要があります。上限を超えたときに何が起きるかも重要です。送信ボタンを押したあとに拒否されるのか、ファイルを選んだ時点で警告が出るのかで、応募者の体験は大きく変わります。締切直前にファイルを圧縮し直す作業は、応募者にとって最も避けたい状況です。
形式については、指定しても揃わないと考えておきます。閲覧する側でどの形式なら開けるのかを確認し、開けない形式が届いたときにどうするかを決めておきます。届いてから聞き直せる連絡先が分かっている以上、送り直してもらうことは可能です。
二重応募と取り下げ
締切直前には、同じ応募者から複数回の送信が届くことがあります。「送信できたか不安でもう一度送った」「内容を修正して送り直した」のどちらかです。どちらを有効とするかは、事前に決めます。一般的には最後に届いたものを有効としますが、そう決めたなら募集要項に書きます。
重複を見つけるには、メールアドレスか氏名で並べ替えられる必要があります。一覧の検索や絞り込みができないと、数百件の中から重複を目視で探すことになります。取り下げの連絡が来た場合も、その応募を状態として記録できる形にしておかないと、辞退した応募者に面接の案内が届くという事故につながります。
自社サイトの中にフォームを置いて、送信内容がメールで飛んでくる構成を使っている場合、届いたあとの管理はメールボックス側の仕事になります。この構成が得意な範囲と、届いたあとをどう扱うかについてはContact Form 7との比較で扱っています。社内のグループウェアのフォーム機能を使う場合は、社外の応募者にサインインを求める設定になっていないかを公開前に確認する必要があります。社内利用と社外受付の違いはMicrosoft Formsとの比較で整理されています。
なお、各ツールの仕様や上限は変わります。ここで触れた内容は、公開されている資料で確かめられる範囲のものです。導入を決める前には、その時点の公式ドキュメントで最新の内容を確認してください。
個人情報の扱いと保存期間を先に決める
エントリーシートは、氏名、連絡先、学歴、職歴といった情報の塊です。受付を開ける前に、何のために集めるのか、いつまで持つのか、誰が見られるのかを決めておきます。
利用目的については、法令上も明確にすることが求められています。
個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的をできる限り特定しなければならない。 出典: 個人情報保護委員会
採用の受付であれば、「今回の募集の選考のため」なのか、「今後の募集の案内にも使う」のかで、応募者に伝える内容が変わります。後者を含めるなら、その旨をフォームの画面に書き、同意の有無を記録できる形にします。同意した日時が案件に残っていれば、後から確認できます。
保存期間も決めます。選考が終わったあと、不採用となった応募者の情報をいつまで持つのか。次の募集で声をかける可能性があるなら、それを伝えたうえで一定期間保持することになります。期間を決めていないと、何年も前の応募書類が消されないまま残り続けます。削除の作業を誰がいつ行うのかまで、運用の手順に書いておきます。
閲覧できる人の範囲も限定します。選考に関わらない人が一覧を見られる状態は避けます。誰がいつ閲覧したのかが分かる仕組みがあると、内部の管理はさらに楽になります。
個人情報の取り扱いについての具体的な判断は、募集の内容や組織の形によって変わります。ここに書いた内容は一般的な整理であり、法律の解釈を断定するものではありません。実際の運用を決めるときは、所管の窓口や専門家に確かめてください。
受付の仕組みを選ぶときに、何を見て決めるか
ここまでの内容を、選ぶときの判断材料としてまとめ直します。エントリーシートのWeb受付で見るべきは、入力欄の作りやすさではなく、次の4つです。
1つ目は、締切直前の山に耐えるかどうかです。同時に多数の送信が来たときの挙動と、障害時の連絡先の案内をどう出すかを確認します。2つ目は、書きかけを守れるかどうかです。自由記述が複数ある募集では、途中保存の有無が離脱の量を変えます。3つ目は、文字数の数え方を募集要項とそろえられるかどうかです。カウンターの表示と、上限を超えたときの挙動を確認します。4つ目は、受付番号を確実に返せるかどうかです。送信完了の画面とメールの両方に番号が載る形になっているかを見ます。
そのうえで、締切を越えたあとに効いてくるのが5つ目の観点です。届いた数百件を、担当と状態を付けて並べられるかどうか。ここが手作業のままだと、入口をどれだけ整えても、締切の翌週から表計算ソフトとの格闘が始まります。逆に送信されたあとを回す道具がそろっているなら、入口の設計は軽くできます。聞き直しが確実に回るなら、入口で全部そろえる必要がなくなるからです。
受付の仕組みで何ができるのかを一覧で確かめたい場合はできることにまとまっています。一覧の列や絞り込み、担当の割り当てといった、締切後に効いてくる部分が実際にどう見えるのかは動くところを見るで確認できます。画面を見ずに機能名だけで比べると、締切後の作業が本当に回るかどうかは判断できません。
募集の回数や応募の規模で費用感を見たい場合は料金で件数や利用人数に応じた考え方が示されています。既存のフォームからの移行や、応募者側の操作について先に確認しておきたいことはよくある質問にまとまっています。採用以外にも、応募や申し込みを締切付きで受ける場面は多くあります。公募型の受付で似た構造の詰まりが起きる理由は助成金・公募の受付で扱われており、締切の集中と書類の受け取りという点では共通の課題を抱えています。定員のある受付という意味ではイベントの申し込みも近い構造です。
最後に、決める順番を1つに絞ります。まず締切の時刻を、自分たちが動いている時間帯に置けるかを検討します。次に、自由記述の分量から途中保存が要るかどうかを判断します。そして、文字数の数え方と受付番号の形式を募集要項に書き切ります。ここまでが締切前の準備です。締切後に必要な一覧の列は、この準備と並行して決めておきます。締切が来てから考え始めると、山の中で判断することになり、その判断は必ずぶれます。準備の大半は、締切の前にしかできません。
Q1. エントリーシートの締切は何時に設定するのがよいですか?
自分たちが対応できる時間帯に置くのが基本です。深夜の締切は応募者には柔軟ですが、送信の不具合が起きても誰も気づけません。平日の午前中に置くと山が前夜と当日朝に割れ、締切直後の問い合わせにもその場で答えられます。時刻とタイムゾーンまで明記してください。
Q2. 途中保存の機能は必ず用意すべきですか?
自由記述が3問以上あり、合計で数千字を書かせる募集なら用意する価値があります。設問が短くその場で答えられる分量なら不要です。用意する場合も、アカウント登録を必須にすると入口で応募をやめる人が出るため、メールアドレス宛にリンクを送る形が現実的です。
Q3. 受付番号にはどんな情報を含めればよいですか?
受付の年度、募集の区分、連番の3つが基本です。問い合わせの電話を受けた瞬間にどの募集かが分かります。氏名や生年月日、メールアドレスの一部を埋め込むのは避けてください。番号は本人以外の目に触れる可能性があるためです。
Q4. 自動返信メールが届かないという問い合わせを減らすには?
送信完了の画面に受付番号と送信日時を大きく表示し、控えとして残せる形にします。あわせて募集要項に、24時間以内に届かない場合の確認手順と連絡先、ドメイン指定受信で許可すべきドメイン名を具体的に書いておくと、応募者が自分で確認できるようになります。
