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同意書をWebで取る|あとで確かめられる形に残す

2026年9月1日 ・ Halict編集部

同意書をWebで取得したいと考えたとき、多くの担当者がまず調べるのは「どうやって取るか」です。ところが実務で困るのは、取ったあとです。半年後に「その人はいつ、どの文面に同意したのか」と聞かれて、すぐに答えられる形になっていないと、集めた同意はあってないようなものになります。この記事では、受付をひとりで回している立場から、同意書をWebで取るときに何を記録に残しておけば「あとで確かめられる」と言えるのかを、同意文面の版、日時と本人性、未成年の保護者同意、撤回の受け方の順に整理します。

はじめに立場をはっきりさせておきます。ここで扱うのは運用の話です。電子的に取った同意が法的にどこまで通用するのか、その用途でどの水準の本人確認が求められるのかは、扱う情報の種類と業種によって答えが変わります。断定はしません。判断が必要な場面では所管の窓口や専門家に確かめてください。この記事が扱うのは、専門家に相談するときに「うちはこう記録しています」と説明できる状態をどう作るか、という部分です。

Webで同意書を取る動きが広がっている背景

紙の同意書をやめてWebに移す動きは、ここ数年で急に始まったものではありません。押印や書面の提出を前提にしていた手続きを見直す流れが行政の側から進み、民間の受付もそれに引きずられる形で変わってきました。デジタル庁が進めている手続きのオンライン化の方針は、デジタル庁の公開資料でその考え方が示されています。書面と押印を必須にしない設計が国の手続きで広がれば、そこに書類を出す側の民間団体も、内部の受付だけ紙で回し続ける理由が薄くなります。

紙と押印を前提にしない手続きが増えた

紙の同意書には、受ける側から見て決定的に面倒な点が3つあります。1つ目は、届くまでに時間がかかること。郵送なら往復で数日、社内便でも1日は消えます。2つ目は、届いた紙を誰かが開封して、内容を確認して、保管場所に運ぶという物理的な作業が発生すること。3つ目は、探すときに探せないことです。100件を超えたあたりから、キャビネットの中から特定の1枚を出すのに数分かかるようになります。

Webで取れば、この3つは同時に片づきます。送信された瞬間に届き、開封作業が要らず、検索できます。ここまでは誰でも思いつくところです。問題はその先で、紙にはあった「その紙そのものが証拠として残る」という性質が、Webに移した瞬間に自動では引き継がれない点です。紙の同意書は、同意した文面と署名が物理的に同じ1枚に乗っています。Webフォームでは、文面はページ側に、回答はデータベース側に、別々に置かれます。この分離が、あとから確かめられなくなる原因のほぼすべてです。

受ける側の負担は減っていない

フォームに置き換えたのに楽になった感じがしない、という声はよく聞きます。理由は単純で、減ったのは「集める手間」だけだからです。届いたあとにやることは何も減っていません。内容を確認して、不備があれば連絡して、対応した記録を残して、期限を管理する。この部分を表計算に手で書き写しているなら、負担はむしろ増えていることすらあります。

同意書の場合、届いたあとの作業には「保管」という重い項目が加わります。同意の記録は、その同意にもとづく取り扱いが続いているあいだ、あるいはそれが終わってからも一定期間、参照できる状態で置いておく必要があります。案件によっては5年以上の保管を求められることもあります。集めるところだけを効率化して、残すところを表計算の手作業に置いたままにすると、時間が経つほど記録の穴が増えていきます。

「同意を取った」とあとから言えるために必要な4つの記録

同意の記録として最低限そろえておきたいものは、次の4つに整理できます。どれか1つでも欠けると、あとから「同意を取っています」と言い切れなくなります。

何に同意したのか

いちばん抜けやすいのがここです。同意した内容そのもの、つまり回答者が画面で読んだ文面が、その回答に紐づいて残っているかどうか。フォームの説明欄に利用目的を書いて、チェックボックスに「上記に同意します」と置いた場合、残るのは「同意した」というチェックの事実だけで、上記が何だったのかは残りません。

その説明文を1文字でも直したら、直す前に同意した人と直したあとに同意した人が、同じ「同意済み」として同じ表に並びます。半年後に問い合わせを受けて、当時の文面を再現できないと、答えられることは何もありません。

いつ同意したのか

日時の記録は、たいていのフォームが自動で持っています。ただし、その時刻が何を指しているかを確認しておく必要があります。回答者の端末の時計なのか、サーバが受け取った時刻なのか。タイムゾーンは何で保存されているのか。表計算に転記した時点で書式が壊れて、日付だけになっていないか。

同意の日時は、撤回の有効期間、保管期間の起算点、文面の版の判定に全部効いてきます。時刻がずれる可能性のある置き方をしていると、あとで整合が取れなくなります。

誰が同意したのか

名前とメールアドレスが書いてあれば誰か分かる、というのは受ける側の思い込みです。書かれた名前が本人のものであることを、何をもって確かめたのかが記録に残っていなければ、本人性の裏づけはありません。

ここは用途によって求められる水準が大きく違うところで、社内の研修参加者から取る撮影の同意と、医療や金融に関わる同意とでは、同じ設計にはできません。どの水準が必要かは自分で決めず、所管の窓口や専門家に確かめてから設計してください。

どうやって同意したのか

チェックボックスを押したのか、テキストで氏名を入力したのか、画面上に手書きで署名したのか、別途送った確認メールのリンクを押したのか。同意の取り方そのものも記録に残しておくべき項目です。受付の途中で方式を変えた場合、いつからいつまでがどの方式だったのかが分からないと、古い記録の意味を説明できなくなります。

この4つを1件のレコードとしてまとめて持つ。これがあとで確かめられる形の中身です。集めることではなく、この4点セットが崩れずに残ることを設計の目的に置いてください。

同意した内容の版を残す

4つのうち、道具の選び方でいちばん差が出るのが「何に同意したのか」です。ここを掘り下げます。

文面を差し替えた瞬間に過去の同意が宙に浮く

利用目的の説明文、提供先の範囲、保管期間。同意文面はほぼ確実に、あとから直します。誤字が見つかることもあれば、事業の側の事情で提供先が増えることもあります。フォームの説明欄を書き換えるのは1分で終わる作業です。だからこそ、記録の断絶が起きていることに誰も気づきません。

書き換えたあと、過去の回答レコードを見ても、その人が読んだのが旧文面なのか新文面なのかは判別できません。フォームの編集履歴が残る道具であっても、履歴と回答が突き合わせられる形になっていなければ、実務では使えません。「何月何日にこの欄を編集した」という履歴と「何月何日に回答があった」という記録を、手で照合するのは現実的ではないからです。

版番号と改定日を文面の中に書く

対処はそれほど難しくありません。同意文面の末尾に、版番号と改定日を本文として書き込みます。

たとえば文面の最後に「本同意事項 第2版(2026年4月1日改定)」と1行入れておく。これだけで、その文面は自分が何版であるかを自分で名乗るようになります。

そのうえで、フォームに読み取り専用の項目、あるいは初期値を入れた項目を1つ足して、同じ版番号を回答レコードに載せます。回答者から見れば意味のない文字列ですが、受ける側にとっては、この1項目があるかないかで半年後の調査時間が変わります。版番号を入れる項目を作れないフォームであれば、フォーム自体を版ごとに分けて、URLを変えるという運用でも代用できます。

回答1件ごとに版を焼き付ける

理想は、回答を保存した時点で、その回答に対して提示された文面の版が自動的に記録されることです。手作業の運用は必ずどこかで抜けます。文面を直した担当者と、フォームの隠し項目を直す担当者が同じ人であっても、忙しい日に片方だけやって片方を忘れる、というのが現場で最も起きる事故です。

改定の手順をチェックリストにして残しておくのが最低ラインです。「文面を直す」「版番号の行を直す」「フォームの版項目の初期値を直す」「旧文面をPDFで保管する」の4つを、必ずこの順に1回でやりきる。分けて実施すると、そのあいだに届いた回答の版が不明になります。

文面そのものを保管する

版番号を記録しても、その版の中身がどこにも残っていなければ意味がありません。改定するたびに、直す前の文面をPDFなり画像なりで書き出して、版番号をファイル名にして保管します。ファイル名は「同意事項_v2_20260401.pdf」のように、版と日付が並ぶ形にしておくと、あとから探せます。

保管先は、フォームの管理画面の外に置いてください。フォームを別のサービスに移すことになったとき、管理画面の中にしかない情報は一緒に消えます。共有ドライブでも構いませんが、その場所を運用手順書に書いておくこと。担当者が変わったときに場所が分からなくなるのが、いちばんよくある失われ方です。

日時と本人性をどう記録するか

時刻はサーバ側で打ち、タイムゾーンを添える

回答者の端末の時計はあてになりません。時計が数分ずれている端末は珍しくありませんし、海外から送信されることもあります。同意の日時として記録に残す時刻は、受け取った側のサーバが打った時刻にしてください。たいていのフォームはそうなっていますが、独自に作った仕組みや、回答者に日付を入力させる欄で代用している場合は確認が必要です。

保存の形式も見ておきます。タイムゾーンを持たない形で保存していると、あとで別の仕組みに移したときに時刻が数時間ずれることがあります。表計算に転記して集計している場合、書式の自動変換で秒が落ちる、あるいは文字列として入って並べ替えが効かない、といったことも起きます。同意の日時は「見えていれば十分」ではなく「並べ替えと絞り込みができる」状態にしておくべきデータです。

本人性の水準は用途から決める

本人性の確かめ方には段階があります。低いほうから並べると、名前の入力だけ、メールアドレスの入力、送信先メールアドレスへの到達確認、SMSによる確認、身分証の画像提出、対面での確認、といったところです。

どこまで必要かは用途で決まります。社内の任意参加イベントの写真掲載の同意と、第三者提供を含む取り扱いの同意では、必要な水準が違います。ここを自分で判断しないでください。個人情報の取り扱いに関する考え方は個人情報保護委員会が示していますが、自分の案件がどれに当たるかの当てはめは、所管の窓口や専門家に確かめるのが確実です。

個人情報の取り扱いにおける同意の位置づけについては、法律にこう書かれています。

個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない。 出典: e-Gov

条文が言っているのは「同意を得ること」と「利用目的が特定されていること」がセットだということです。利用目的をぼかしたまま包括的な同意だけ集めても、条文が想定している形にはなりません。同意文面に何を書くかは、記録の設計より前の問題です。

メール到達の確認という現実的な線

実務でよく使われるのが、送信されたメールアドレスに確認用のリンクを送り、押してもらって初めて同意成立とする方式です。名前の入力だけよりは一段強く、身分証の提出よりは回答者の負担が軽い。多くの受付にとって、ここが折り合いのつく水準になります。

この方式を採るときは、記録に残す項目が増えます。同意フォームの送信日時と、確認リンクが押された日時の2つです。どちらを同意の日時とするかを先に決めて、運用手順書に書いておいてください。決めずに両方持っていると、あとで集計するときに人によって違う数字を出します。

リンクの有効期限も決めます。24時間から72時間あたりが一般的な設定ですが、期限が切れた場合にどう再送するかまで含めて設計しないと、問い合わせが窓口に集中します。

本人性を上げるほど離脱が増える

見落とされがちなのがこの点です。回答者にアカウント登録を求めたり、身分証の撮影を求めたりすると、そこで手続きをやめる人が確実に出ます。応募や申し込みを兼ねた同意書であれば、離脱はそのまま機会の損失です。

必要な水準を下げるべきだという話ではありません。必要なところは必要です。ただ、「念のため厳しくしておこう」で水準を上げると、代償として応募が減ることは知っておいてください。回答者に登録を求めない受け方を保ちつつ記録の質を上げられないか、という順で検討するのが実務的です。

未成年から同意を取るとき

講座の受講申し込み、部活動や地域活動の参加、撮影した写真の掲載。未成年が関わる同意は、受付の現場では珍しくありません。ここは設計を間違えると、集めた同意が丸ごと使えなくなる可能性がある場所です。

年齢の入力だけに頼らない

フォームに生年月日の欄を置いて、未成年なら別の流れに分岐させる、という設計をよく見ます。方向は正しいのですが、入力された生年月日が正しい保証はどこにもありません。年齢の入力は、あくまで分岐のきっかけとして使うものです。「未成年ではないと申告があったので確認していません」で通るかどうかは、扱う内容によります。ここも専門家に確かめてください。

実務として最低限やっておけるのは、生年月日の入力を必須にすること、入力された値を回答レコードに残すこと、その値にもとづいて分岐した記録を残すことです。何を根拠にどちらの流れに乗せたのかが残っていれば、あとで説明ができます。

保護者の同意を別に受ける

未成年本人の同意だけで足りるのか、保護者の同意が要るのか、両方要るのかは、年齢と内容によって変わります。個人情報の取り扱いに関しては、一定の年齢以下の場合に法定代理人の同意を得ることが求められるという整理が広く採られていますが、境目の年齢や具体的な当てはめは案件ごとに違います。断定せずに確かめてください。

運用として堅いのは、保護者の同意を別のレコードとして受け取る形です。本人が申し込みフォームを送信したあと、入力された保護者のメールアドレス宛に保護者用の同意フォームのURLを送り、保護者がそこから送信する。同じフォームの中に「保護者氏名」の欄を1つ置いて済ませる方式に比べて、手間はかかりますが、保護者が実際に読んで送信したという記録が独立して残ります。

本人のフォームの中に保護者の氏名を入力させる方式は、本人が保護者の名前を書いただけの状態と区別がつきません。この違いは、あとから問題になったときに効いてきます。

保護者と本人の記録を紐づける

保護者の同意を別レコードで受けると、今度は2つのレコードをどう結びつけるかという問題が出ます。氏名で突き合わせるのは避けてください。同姓同名があり、旧姓と現姓の食い違いがあり、入力の揺れがあります。

申し込み1件ごとに受付番号を発行して、保護者用のフォームのURLにその番号を埋め込むのが確実です。保護者側の回答に受付番号が自動で入るので、機械的に結びつけられます。受付番号を発行する仕組みがない場合でも、本人の回答IDを保護者フォームの初期値として渡せれば同じことができます。

そして、保護者の同意がまだ届いていない申し込みが一覧で見えるようにしておくこと。2つのフォームに分けた瞬間、片方だけ届いている状態が必ず生まれます。これを目視で追うのは無理です。届いた/届いていないの状態が表に列として並んでいて、絞り込めることが条件になります。

撤回の受け方を先に決める

同意は撤回されます。撤回されることを前提に設計していない受付は、撤回の連絡が来た日に止まります。

撤回の窓口を同意書の中に書く

同意文面に、撤回の連絡先と方法を書いておきます。書いていないと、撤回したい人は思いついた窓口に連絡してきます。代表電話、営業担当のメール、SNSのダイレクトメッセージ。どこに来ても受け付けざるを得ませんが、そのぶん記録に残りません。

書くべきなのは、連絡先、受け付ける方法、撤回の効力がいつから発生するか、撤回後に既に行われた取り扱いがどうなるか、の4点です。最後の2つを書いておかないと、撤回を受けたときに毎回説明することになります。

撤回を受けたあと何を止めるのか

これを先に決めていない受付が多いところです。撤回の連絡を受けて、担当者が「承知しました」と返して、そこで止まる。集めたデータは配信リストにも、共有ドライブのファイルにも、印刷した名簿にも残ったままになります。

撤回を受けたときに実行する項目を、あらかじめリストにしておいてください。データの状態をどう変えるか、配信の対象からどう外すか、既に共有した先にどう伝えるか、記録として何を残すか。項目を書き出してみると、たいてい4つから6つの作業に分かれます。この分解を撤回の連絡が来てから考えると、対応が数日ずれます。

注意したいのは、撤回されたからといって記録を全部消せばよいわけではないことです。「いつ同意を受け、いつ撤回を受けたか」という記録自体は、消してしまうと何も説明できなくなります。何を消して何を残すのかの線引きは、扱う情報の種類によって変わるので、所管の窓口や専門家に確かめて決めてください。

撤回の記録も同じ表に残す

撤回をメールで受けて、メールボックスの中だけに置いておくのが最も危ない置き方です。担当者が変われば見えなくなり、検索しなければ出てきません。

同意のレコードと同じ表に、撤回日時と撤回の受付方法の列を足してください。同意した人の一覧を見たときに、撤回済みが同じ行の上で分かる形にする。別の表に分けると、同意の一覧を使うたびに撤回済みを手で除外することになり、いつか除外し忘れます。

撤回の連絡を電話で受けた場合も、その場で表に記入します。あとでまとめて入力する運用は、繁忙期に必ず飛びます。

電子署名や同意の有効性を自分で判定しない

Webで同意を取ることを検討していると、電子署名という言葉に行き当たります。関連する法律には次のような規定があります。

電磁的記録であって情報を表すために作成されたものは、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名が行われているときは、真正に成立したものと推定する。 出典: e-Gov

条文の言葉が難しく見えますが、実務で押さえるべきなのは、この推定が働くための条件が細かく定められているという点です。フォームのチェックボックスを押した記録が、この条文が言う電子署名に当たるのかどうかは、押し方や仕組みの作り方によって変わります。ここを自分で判定して「うちのフォームでも法的に有効です」と社内に説明するのは危険です。

判断が必要な場面は次のようなときです。契約に準じる内容の同意を取る場合。金銭のやり取りや権利の移転が絡む場合。監督官庁への提出を前提とした記録を作る場合。医療、金融、教育など、業種ごとの規制がある領域。これらに当たるなら、フォームを作る前に所管の窓口や専門家に相談してください。相談の順序を逆にすると、作り直しになります。

逆に、社内の研修参加の可否や、任意のイベントでの写真掲載の可否のように、内容が軽く、撤回も自由な同意であれば、記録の質を上げることのほうが実利があります。どちらに当たるかを見極めるところから始めてください。

なお、同意を取る道具として電子契約の仕組みを検討する場合、料金体系も対応範囲もサービスによってかなり違います。この記事では特定の製品の機能や料金には触れません。比較するなら、各社の公式資料でその時点の仕様を確かめてください。仕様は変わります。

いまの道具で足りるか、どこから足りなくなるか

同意書の受付を、いま何で回しているかによって、次にやることが変わります。

表計算で追える範囲

回答を表計算に集めて、目視で確認して、対応済みに色を塗る。この運用は、件数が少なく、担当者が1人で、期限の管理が要らない場合には十分に機能します。無理に道具を増やす必要はありません。

限界が来る合図ははっきりしています。1つ目は、返信したかどうかが表から分からなくなったとき。誰かが返信したのに記録していなければ、二重返信と返し忘れは必ず起きます。2つ目は、状態が2つ以上に増えたとき。同意済み、保護者待ち、撤回済み、期限切れ、といった状態を色分けで管理し始めたら、そこが分岐点です。3つ目は、担当者が2人以上になったとき。同じファイルを2人で開いた瞬間から、上書き事故が始まります。

一般的なフォーム作成ツールでできることと、そこから先が要るかどうかの見極めについては、Googleフォームとの比較で、集めたあとの回答をどう追っていくかという観点から整理しています。無料で使える範囲で回っているなら、そのまま使い続ける判断も十分に合理的です。

足りなくなる合図

WordPressのサイトにフォームを置いて、送信内容をメールで受け取っている場合の詰まり方は少し違います。メールは届きますが、届いたメールは一覧になりません。検索はできても、状態の管理はできません。同意の記録として「どの版に同意したか」「撤回されたか」を追う用途では、メール受信だけでは足りなくなります。この構成の整理はContact Form 7との比較にまとめています。

社内のアカウント基盤を使ってフォームを配っている場合は、社内向けには強い反面、社外の回答者にアカウントを求めることになる場面が出ます。その線引きはMicrosoft Formsとの比較で、社内利用と社外受付の違いという観点から書いています。

どの道具を使う場合でも、判断の軸は同じです。集めたあと、同意した文面の版と、日時と、本人性の記録と、撤回の状態が、1つの表の上で同時に見えるか。見えないなら、そこを人が手で埋めることになります。実際にどこまで同じ画面で扱えるかはできることに整理してあり、画面の動きは動くところを見るで確認できます。費用の考え方は料金に、細かい疑問はよくある質問にまとめてあります。

場面別に気をつけること

同意書を取る場面によって、詰まる箇所が変わります。

採用の場面では、応募書類の受け取りと個人情報の取り扱いの同意がほぼ必ずセットになります。ここでの注意点は、不採用となった応募者のデータをいつ消すかを先に決めておくことです。同意文面に保管期間を書いておかないと、応募者から問い合わせを受けたときに答えられません。受付の流れ全体は採用の応募受付で扱っています。

助成金や公募の受付では、応募者の同意に加えて、審査の過程で第三者に情報を見せる可能性があるかどうかが論点になります。外部の審査員に応募内容を渡すのであれば、そのことを同意文面に書いておく必要があります。あとから追加するのは難しいので、募集を開始する前に決めてください。詳しくは助成金・公募の受付に整理しています。

一般の問い合わせ窓口では、同意書という形を取らずに、フォームの下に利用目的を書いてチェックを1つ置く形が多くなります。この場合こそ、その説明文の版を残す仕組みが要ります。目立たないだけに、直したことを誰も記録しないからです。窓口運用の考え方は問い合わせの受付にあります。

イベントの申し込みでは、写真や動画の撮影と掲載についての同意が絡みます。当日になって「撮影されたくない」と言われる場面を想定して、撤回の受け方を申し込み段階で決めておくと現場が混乱しません。イベントの申し込みに流れをまとめています。

講座の受講申し込みでは、未成年の受講者が入ってくる可能性を最初から見ておく必要があります。保護者の同意を受ける導線を後付けするのは手間がかかるので、募集開始前に組み込んでください。講座の受講申し込みが参考になります。

施設の利用申請では、申請者本人と、実際に利用する団体の代表者が別人であることがよくあります。誰の同意を取っているのかを整理しないまま進めると、あとで責任の所在が分からなくなります。施設利用の申請に扱いを書いています。

会員の入会申し込みでは、規約への同意と個人情報の取り扱いへの同意を分けるかどうかが最初の分岐です。分けておくと、片方だけ改定したときの扱いが楽になります。会員の入会申し込みを参照してください。

修理やサポートの受付では、預かった機器の中のデータをどう扱うかという同意が必要になる場合があります。受付時に取っておかないと、作業に入ってから止まります。修理・サポートの受付に整理があります。

同意の記録を「表の列」として設計するという考察

最後に、記録の設計をどう始めるかを具体的に書きます。

同意の受付を作るとき、多くの人はフォームの入力欄から考えます。何を聞くか、どの順で並べるか。しかし、あとで確かめられる形にするという目的から逆算すると、先に決めるべきなのは受けたあとの一覧にどんな列が並ぶかのほうです。

必要な列を書き出すと、おおむね次のようになります。受付番号、受付日時、回答者の氏名、連絡先、同意文面の版番号、同意の取り方、本人確認の方法と結果、未成年かどうか、保護者同意の状態、保護者同意の受付日時、撤回の有無、撤回日時、撤回の受付方法、対応担当者、対応状況、メモ。案件によって増減しますが、16列前後に落ち着くことが多い構成です。

この列を先に紙に書いてみると、いくつか気づくことがあります。1つは、フォームの入力欄から自動で埋まる列が半分もないこと。氏名や連絡先は回答者が入力しますが、対応状況、対応担当者、撤回の有無は、受けた側が書き込む列です。ここを手作業に置くのか、道具に持たせるのかが、運用が続くかどうかの分かれ目になります。

もう1つは、同じ列を2人以上が同時に触る場面が必ずあること。対応担当者の列と対応状況の列は、複数人で受付を回すなら奪い合いになります。表計算の共有編集でこれをやると、上書きと消失が起きます。

そして最も重要なのが、これらの列が「あとから増やせない列」と「あとから増やせる列」に分かれることです。対応状況やメモは、運用しながら増やせます。しかし、同意文面の版番号と、本人確認の方法は、受付を開始したあとに増やしても、それ以前の回答分は永久に空欄のままです。過去にさかのぼって埋めることはできません。

だから、受付を始める前に決めるべき列は、この2つに絞られます。版番号を回答に載せる方法を用意すること。本人確認をどの水準で行い、その結果を記録する場所を作ること。他の列は走りながら足せますが、この2つだけは走り出す前に決めておく必要があります。

同意書をWebで取ること自体は、いまではどの道具でも数十分で形になります。差がつくのは、半年後に「その人はいつ、どの文面に、どうやって同意して、撤回はされていないのか」と聞かれたときに、画面を1つ開いて答えられるかどうかです。集める設計ではなく、答えられる設計から逆算してください。そして、その設計が自分の案件で十分かどうかは、必ず所管の窓口や専門家に確かめてから運用に乗せてください。

Q1. 同意書をWebで取った場合、紙と同じ効力がありますか?

効力の有無は、同意の内容と取り方、業種ごとの規制によって変わるため、一律には断定できません。契約に準じる内容や、監督官庁への提出を前提とする記録であれば、フォームを作る前に所管の窓口や専門家へ確認してください。運用側でできるのは、同意した文面の版、日時、本人性の記録を欠かさず残し、聞かれたときに説明できる状態を作ることです。

Q2. 同意文面を修正したら、過去に同意した人の記録はどうなりますか?

何もしていなければ、旧文面に同意した人と新文面に同意した人が同じ「同意済み」として並び、区別がつかなくなります。対策は、文面の末尾に版番号と改定日を書き込み、回答レコードにも同じ版番号を載せることです。あわせて、改定前の文面をPDFなどで書き出し、版番号をファイル名にしてフォームの管理画面の外に保管してください。

Q3. 未成年から同意を取るとき、保護者の同意はどう受けるのがよいですか?

本人のフォームに保護者氏名の欄を置くだけでは、本人が名前を書いただけの状態と区別できません。本人の送信後に、入力された保護者のメールアドレス宛へ保護者用フォームのURLを送り、別レコードとして受け取る形が確実です。受付番号をURLに埋め込んで自動で紐づけ、保護者同意が未着の申し込みを一覧で絞り込めるようにしておいてください。

Q4. 同意の撤回を受けたら、集めたデータは全部消すべきですか?

すべて消すのが正解とは限りません。「いつ同意を受け、いつ撤回を受けたか」という記録まで消すと、経緯を説明できなくなります。何を削除し、何を残すかの線引きは扱う情報の種類によって変わるため、所管の窓口や専門家に確認して決めてください。運用面では、撤回日時と受付方法を同意の一覧と同じ表に列として持たせ、別表に分けないことが重要です。

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