移行・乗り換え

脱エクセルの進め方|残す表と先に移す業務の見分け方

2026年9月1日 ・ Halict編集部

「脱 エクセル 進め方」で検索する人がまず知りたいのは、どの道具に乗り換えるかではありません。いまエクセルでやっている仕事のうち、どこまでを変えて、どこからを残すのかという線引きです。全部を一度に変えようとすると、移行の途中で新旧が両方動き、これまでで最も混乱した状態が生まれます。この記事では、表計算のまま残してよい仕事と、受付から先に移したほうがよい仕事を見分ける軸を示し、その二つを並走させる期間をどう決めるかまでを順に整理します。読み終えたときに、次に何を決めればよいのかが1つに絞れている状態を目指します。

表計算が向いている仕事は、これからも表計算でよい

脱エクセルという言葉が先に立つと、エクセルが劣った道具であるかのように聞こえます。実際にはその逆で、表計算は特定の仕事において、いまでもほぼ最速の道具です。まずここを確認しておかないと、残すべきものまで手放して、かえって不便になります。

数字を置いて、並べて、確かめる仕事

表計算がいちばん強いのは、手元にある数字を並べて、足して、比べる仕事です。予算の見込みを3パターン作って比べる、年度ごとの受付件数を並べて傾向を見る、単価と件数を掛けて概算を出す。こうした作業では、セルに直接式を書けることが決定的な利点になります。式を書き換えれば結果がその場で変わり、結果を見てまた式を書き換えられる。この往復の速さに並ぶ道具は多くありません。

しかもこの種の作業は、たいてい1人で完結します。誰かと同時に触る必要がなく、途中の状態を他の人に見せる必要もない。作りかけのまま数日置いても誰も困りません。表計算が苦手とする「同時に触る」「状態を共有する」といった条件が、そもそも発生しない仕事です。

さらに、集計や分析の結果は、その場限りで役割を終えることが多いという性質もあります。会議に出す1枚を作るために組んだ表を、翌月も同じ形で使うとは限りません。使い捨てにできる道具として、表計算は非常に優秀です。

形が決まっていない、一度きりの作業

新しい取り組みを始めるとき、必要な項目は最初から決まっていません。まず受け付けてみて、届いたものを見てから項目を足す。この段階で仕組みを作り込むのは、たいてい早すぎます。列を足すのも消すのも自由で、誰の承認も要らない表計算は、形が固まる前の段階にちょうど合っています。

年に1回だけ、しかも数件しか動かないような業務も同様です。年度末に届く数件の申請を受けるために、専用の仕組みを用意して運用手順を覚え直すより、去年のファイルを開いて日付を書き換えるほうが確実に速い。件数が少なく頻度も低い仕事は、移す優先度をいちばん下に置いて構いません。

誰でも開けること自体が価値になる場面

社内の誰に渡しても開けて、印刷でき、そのまま添付して送れる。この当たり前さは、実務では大きな価値です。外部の関係者に一覧を共有するとき、相手にアカウントを作ってもらう必要がないことは、それだけで手間を1工程減らします。過去の記録を10年単位で保管する場合も、特定のサービスに依存しない形で残しておけるという安心感があります。

つまり、脱エクセルの進め方を考えるときの出発点は「エクセルをなくす」ではありません。「エクセルに向いていない仕事だけを取り出す」です。ここを取り違えると、移行の対象が広がりすぎて、そもそも終わらなくなります。

「脱エクセル」が語られるようになった背景

エクセルからの移行が話題になるのは、道具が古くなったからではなく、仕事の側が変わったからです。ここを押さえておくと、社内で説明するときの言い方が変わります。

デジタル化は段階として整理されている

中小企業のデジタル化については、公的な白書のなかで段階に分けた整理が示されています。紙や口頭が中心の状態から、道具に置き換わる状態、置き換えた上で業務の効率化やデータの活用に進む状態、さらに事業のやり方そのものを変える状態、という順序です。

紙や口頭による業務が中心でデジタル化が図られていない段階から、アナログな状況がデジタルツールを利用した業務環境に置き換わりつつある段階、デジタル化による業務効率化やデータ分析に取り組む段階、デジタル化によりビジネスモデルの変革や競争力の強化に取り組む段階へと、段階を追って整理されている。 出典: chusho.meti.go.jp

この整理で見ると、エクセルはすでに置き換えの段階を通過した道具です。紙の申込書をエクセルに打ち直しているなら、そこは間違いなく前進でした。次の段階で問われるのは、そのデータが業務の流れの中でそのまま使えているかどうかです。届いた内容を人が読んで、別の表に打ち直して、そこからメールソフトを開いて返信を書いているなら、データはあるのに流れていない状態です。脱エクセルという言葉が指しているのは、多くの場合この「流れていない」部分のことです。

目的が「エクセルをやめること」にすり替わる

移行の計画が途中で止まる理由の多くは、目的の置き換わりです。最初は「返し忘れをなくしたい」「誰が対応中か分かるようにしたい」だったはずが、いつのまにか「エクセルの利用をゼロにする」が目標になります。こうなると、月に数件しか動かない年次の集計表まで移行対象に入り、作業量が数倍に膨らみます。

現場では、移行の計画を立ててから最初の切り替えまでに3か月以上かかると、当初の関係者の熱量が保たなくなると言われています。範囲を広げすぎることは、単に大変なだけでなく、企画そのものを失速させます。目的は最後まで業務の言葉で持っておいてください。道具の名前で目標を立てないことが、進め方の最初の分かれ目です。

表が苦しくなるのは、行数ではなく往復が増えたとき

どの業務から移すかを決めるには、いまの表がなぜ苦しいのかを正確に言えている必要があります。ここを「行が多いから」と診断すると、対策が表の整理に向かい、外れます。

記録の表と、作業の表

受付で使っている表は、性格の違う2つの役割を同時に担っています。1つは記録の表で、いつ誰から何が届いたかを残す役割です。もう1つは作業の表で、いま誰が何をしていて、次に何をすべきかを示す役割です。

表計算は前者が得意で、後者が苦手です。記録は確定した過去なので、書いたら動きません。一方で作業の状態は、1日のうちに何度も変わります。しかも変えるのは1人ではありません。この「頻繁に変わる」「複数人が変える」という2条件が揃った瞬間から、表計算は本来の得意分野の外に出ます。

苦しくなっている表を見分けるには、その表に「状態」を表す列があるかどうかを見てください。未対応、対応中、返信済、保留といった列がある表は、記録の表ではなく作業の表です。作業の表になっている時点で、移す候補の上位に入ります。

苦しさが表に出るサイン

いくつか分かりやすい兆候があります。同じファイルの複製が複数存在している。誰かが開いていて書けない場面が週に何度も起きる。表を見ただけでは返信済かどうか分からず、メールの送信箱を開いて確かめている。締切前になると、表よりもメールのやり取りのほうが正しい情報を持っている。担当者が変わるときに、表を渡すだけでは引き継ぎが終わらない。

これらはすべて、記録と作業がずれていることのサインです。表に書いてある内容と、実際に起きたことの間に時間差があるほど、表は信用されなくなります。信用されなくなった表は、確認のために開かれなくなり、さらに更新が遅れます。この悪循環に入っている業務が、最優先の移行対象です。

往復の数で測るのも有効です。届いてから完了するまでに、相手と何回やり取りするか。往復が0回で終わる業務、つまり受け取って記録するだけの業務は、表計算のままで大きな問題は起きません。往復が2回、3回と増える業務は、その往復の記録が表の外に散るため、表の鮮度が落ちます。

残してよいエクセルと、先に移すべき業務の見分け方

ここからが本題です。手元の業務を一覧にして、次の5つの軸で見てください。当てはまる数が多いものほど、先に移す価値があります。

軸1 外の人が直接データを入れるか

応募者、申込者、問い合わせをしてきた人など、社外の人が起点になる業務かどうか。外から入ってくるデータは、こちらの都合に関係なく届きます。届いた内容を人が読んで表に打ち直している工程があるなら、そこは移行の最有力候補です。転記は必ず抜けと打ち間違いを生みますし、届いた時刻と表に載る時刻の差が、そのまま返信の遅れになります。

逆に、社内の人だけが入力する表は優先度が下がります。入力する人が限られていて、入力のタイミングも自分たちで決められるからです。

軸2 同時に触る人が2人以上いるか

その表を触る人が2人以上いるかどうか。この境目は件数よりもはっきりしています。1人しか触らない表は、何行あっても表計算で回ります。2人目が入った瞬間、開けない、複製する、版が分かれる、という連鎖が始まります。

繁忙期だけ人が増える業務も、この軸では該当します。年に1回、締切前の2週間だけ3人で回している表は、その2週間のあいだ確実に事故の危険にさらされています。

軸3 行の状態が時間とともに変わるか

1つの行が、届いた時点から完了するまでに何度書き換わるか。届いた記録を残すだけなら書き換えは0回です。受付、確認、返信、面談、結果通知と進む業務なら、同じ行が何度も書き換わります。書き換わる回数が多い業務ほど、誰が最後に何をしたかが分からなくなり、二重返信と返し忘れが起きます。

履歴が残らないことも重要です。表計算では、誰がいつどのセルを変えたかが基本的に残りません。状態が動く業務で履歴が残らないと、問題が起きたときに経緯をたどれません。

軸4 締切や定員があるか

締切がある業務は、締切の直前に集中します。定員がある業務は、定員に達した時点で受付を止める必要があります。この2つは、人の目視と手作業でさばくには相性が悪い条件です。締切を過ぎた申し込みを人が弾く運用は、必ずどこかで判断がぶれます。定員の管理を表の行数で数える運用は、同時に申し込みが入った瞬間に破綻します。

軸5 添付ファイルがついてくるか

履歴書、見積書、写真、同意書。受付と一緒にファイルが届く業務は、表計算だけでは完結しません。表には行があり、ファイルはメールの添付か共有フォルダにあり、両者を人が紐づけています。この紐づけは、担当者の頭の中か、ファイル名の付け方に依存します。どちらも引き継げません。ファイルが絡む業務は、移行の効果が出やすい領域です。

5つの軸を一覧にして並べる

手元の業務を縦に並べ、この5軸を横に置いた表を作ってください。使う道具は表計算で構いません。ここは表計算がいちばん得意な作業です。

該当が4つ以上の業務は、先に移す。2つから3つの業務は、最初の移行が落ち着いてから検討する。1つ以下の業務は、そのまま表計算で残す。この単純な線引きで、移行の範囲はかなり絞れます。範囲が絞れれば、期間も見積もれます。

該当が多くなりやすいのは、応募や申し込みの受付です。外から届き、複数人で見て、状態が動き、締切があり、ファイルもついてくる。5軸すべてに当てはまることが珍しくありません。一方で、年次の集計表、予算の試算、社内の名簿といったものは、たいてい1つか2つしか当てはまりません。これらは残す側です。

移す順番は「入口から」決める

移す業務が決まったら、次はその業務の中でどこから手を付けるかです。ここでの原則は1つで、入口から移すことです。

入口を1本に寄せると、下流が自動的に整う

受付の仕事は、入口、記録、対応、完了という順に流れます。このうち下流から手を付けると、上流から流れ込んでくる形がばらばらのままなので、整える作業が永遠に終わりません。メールで届く申し込み、電話で聞き取った内容、紙で受け取った用紙、既存のフォームからの通知。これらが混在したまま管理の仕組みだけ替えても、入力の手間は減りません。

先に入口を1本にすると、届く形が揃います。形が揃えば、そのまま記録になり、記録がそのまま作業の一覧になります。転記という工程が消えるため、下流の設計はずっと簡単になります。移行で効果が出るかどうかは、この転記工程を消せたかどうかでほぼ決まります。

入口をどの道具で作るかを比べるときは、作るときの手軽さだけでなく、届いたあとに自分が回せるかどうかで見てください。無料で使える道具の比較はGoogleフォームとの比較に整理してあり、回答が表に落ちたあと何が起きるかという観点で違いを確認できます。すでに自前のサイトを運用している場合はContact Form 7との比較を、社内の既存環境に合わせたい場合はMicrosoft Formsとの比較を見ると、いまの延長でどこまで行けるかが判断できます。

一番件数の多い受付を1つだけ選ぶ

最初に移すのは1つだけにしてください。しかも、件数がいちばん多いものを選びます。件数が少ない業務から試そうとする判断はよく見かけますが、これは勧められません。件数が少ないと、問題が起きる場面にも出会えず、効果も体感できないまま期間だけが過ぎます。判断材料が集まらないので、次に進むかどうかも決まりません。

件数の多い受付を1つ移すと、2週間ほどで運用上の問題が出そろいます。項目が足りない、通知が届く相手が違う、締切の扱いが想定と違う。これらは机上では見つからず、実際に届いてみないと分かりません。問題が早く出ることは失敗ではなく、判断材料が早く手に入るということです。

集計と分析は最後に移す

移行の議論では、集計や分析の話が早い段階で出てきます。月次の件数を出したい、属性別に見たい、といった要望です。これらは後回しにして構いません。理由は2つあります。1つは、集計は運用が固まってからでないと、そもそも何を集計すべきかが決まらないため。もう1つは、集計は表計算がいちばん得意な作業で、データを書き出して表計算で処理すれば済むためです。

移行の段階で集計まで完璧に設計しようとすると、要件が膨らんで前に進みません。まずは受け付けて返すところまでを動かし、集計は書き出したデータを表計算で処理する形で当面しのぐ。この割り切りが、移行を止めないための実務的な判断です。

並走させる期間の決め方

新しい入口を開いても、古い表がすぐ消えるわけではありません。ここをどう扱うかで、移行の成否がかなり分かれます。

期間は暦ではなく「1周」で数える

並走の期間を「3か月」のように暦で決めると、根拠がないまま延長されます。代わりに、その業務が1周する回数で数えてください。1周とは、受け付けてから完了するまでの一連の流れのことです。

応募の受付なら、募集開始から選考の結果通知までが1周です。イベントの申し込みなら、告知から当日の受付までが1周。講座なら、募集から開講までです。並走は2周を目安にしてください。1周目で問題を洗い出し、2周目で修正が効いたことを確かめる。この2周が終われば、判断に必要な材料はそろいます。

1周が短い業務、たとえば日々の問い合わせのように毎日完結するものは、暦でも構いません。その場合でも、繁忙期を1回はまたぐようにしてください。平常時だけで判断すると、繁忙期に想定外が出ます。

並走中はどちらが正かを1つに決める

並走で最も危険なのは、両方に情報が入ることです。新しい入口から来た分は新しい側に、電話で来た分は古い表に、と分けて運用すると、全体像がどちらにも存在しなくなります。この状態は、移行前より確実に危険です。

決め方は単純です。並走のあいだ、正となる場所を1つに決め、もう一方は参照専用にしてください。新しい入口を試すなら、新しい側を正とし、電話や紙で届いた分も担当者が新しい側に入力します。古い表は、過去の記録を見るためだけに開き、書き込みはしない。書き込まないと決めたら、可能ならファイルを読み取り専用にしておくと確実です。

この「正を1つに決める」を口頭の申し合わせで済ませると、締切前に必ず崩れます。どこに書くかを迷った担当者は、そのとき手元で開いているほうに書きます。並走開始の日に、正がどちらかを明記した1文を関係者全員に配ってください。

並走をやめる合図を先に決めておく

並走は、始めるときにやめ方を決めておかないと終わりません。判断の材料として使える合図は、次のようなものです。

新しい入口から届いた件が、古い表を1度も開かずに完了まで到達した。想定していた項目の不足が、直近の1周で0件になった。担当者以外の人が、新しい側だけを見て状況を説明できた。過去の記録を参照する頻度が、週に1回を下回った。

これらが満たされたら、古い表を締めてください。締めるとは、消すことではありません。読み取り専用にして、決めた保管期限まで所定の場所に置くことです。「まだ使うかもしれない」で開いたままにしておくと、誰かが必ず書き込みます。

並走が長引くときに起きること

並走期間が延びると、担当者は両方を見るようになります。両方を見る運用は、片方だけを見る運用より確実に手間が増えます。移行したのに前より忙しくなった、という感想は、ほぼこの状態から生まれます。

さらに、並走が長いほど「元に戻す」判断が出やすくなります。新しい側にまだ全部の機能が揃っていない段階で、忙しい時期が来ると、慣れた古い表に手が伸びます。ここで一度戻ると、次に切り替える機会はなかなか来ません。だからこそ、並走は短く、正はどちらか一方に、という2点を最初に固めておく必要があります。

進め方でつまずきやすいところ

移行の計画そのものは正しくても、細部でつまずいて止まることがあります。よく起きるものを挙げておきます。

列を全部そのまま持っていこうとする

いまの表には、長年のあいだに足された列が並んでいます。移行のときにこれを全部再現しようとすると、設計が終わりません。しかも実際には、更新されていない列がかなり含まれています。

判断の方法は簡単で、直近の50件を見て、その列に値が入っているかを数えてください。空欄が半分以上ある列は、運用されていない列です。運用されていない列を新しい仕組みに持っていくと、そこでも空欄のまま残り、画面を見づらくするだけになります。移行は、列を減らす数少ない機会でもあります。

表の中に人の判断が埋まっている

長く使われた表には、書かれていない決まりが含まれています。この列に色が付いていたら急ぎ、備考欄に特定の書き方がしてあれば別扱い、といったものです。これらは表の上には現れず、担当者の頭の中にあります。

移行の前に、この暗黙の決まりを言葉にする作業を必ず入れてください。色や記号で表現されていたものは、新しい仕組みでは項目として持たせる必要があります。ここを飛ばすと、移行後に「前の表では分かったことが分からない」という不満が出ます。原因は新しい道具ではなく、移していない情報があることです。

過去のデータをどこまで移すか

全件を移そうとすると、形式の違いを直す作業が発生し、そこで止まります。移すのは、これから対応が続く可能性のある分だけで足ります。完了して動かない過去の記録は、読み取り専用の表として残しておけば十分です。参照が必要になったときに開けばよく、新しい仕組みの中に入っている必要はありません。

過去分を移すかどうかを迷ったときは、その記録を直近1年で何回開いたかを思い出してください。ほとんどの受付記録は、完了した時点で開かれなくなります。

個人情報の置き場所が増える

移行の期間中は、同じ個人情報が新旧の両方に存在します。並走が長引くほど、また複製が増えるほど、どこに何本あるかを把握できなくなります。把握できない状態は、保管期限が来ても消せない状態と同じです。

並走を始める前に、誰がどの範囲を見られるかという権限と、いつまで保管するかという期限を決めておいてください。移行が終わったあとに、古い側をいつ消すかも同時に決めておくと、置き場所が増えたままになりません。個人情報の具体的な取り扱いについては、所管の窓口や専門家に確かめることをおすすめします。制度の考え方そのものは個人情報保護委員会の案内で確認できます。

移したあとに、エクセルへ戻ってくる使い方

移行が終わっても、表計算の出番はなくなりません。むしろ、役割がはっきりして使いやすくなります。

受付と対応の記録が1か所にそろっていれば、そこからデータを書き出して表計算で好きなように加工できます。月ごとの件数を並べる、経路別に分けて比べる、対応にかかった日数を出す。こうした作業は表計算がいちばん速く、しかもその場限りで捨ててよい作業です。

大事なのは、書き出したファイルを台帳として使い始めないことです。書き出した瞬間からそのファイルは古くなります。分析のために書き出したファイルに、誰かが最新の状況を書き足すと、そこからまた版が分かれます。書き出したファイルには日付を入れ、分析用であることが名前から分かるようにしておくと、この事故を減らせます。

つまり、移行後の役割分担はこうなります。受け付けて、状態を動かして、返すところは受付の仕組みが持つ。数字を並べて考えるところは表計算が持つ。この分け方にすると、どちらの道具も得意なことだけをすることになり、両方が軽くなります。脱エクセルの進め方の到達点は、エクセルをなくすことではなく、この役割分担を作ることです。

受付の型ごとに、移す順番は変わる

前述の5軸に照らすと、どの受付を先に移すべきかは業務の型によって傾向が出ます。自分の担当がどれに近いかで、順番の目安が変わります。

応募の受付は、5軸のほぼすべてに当てはまります。外から届き、複数人が見て、状態が何度も動き、締切があり、書類がついてくる。移行の効果がいちばん分かりやすい領域です。何を持たせる必要があるかは採用の応募受付に整理されています。

助成金や公募の受付は、締切と要件確認の重さが特徴です。締切の直前に集中し、しかも要件を満たしているかの確認が1件ずつ必要になります。この型では、締切の扱いと不備の差し戻しをどう回すかが移行の主題になります。想定される流れは助成金・公募の受付にまとまっています。

日々の問い合わせは、1件あたりの重さは軽いものの、往復が多く、担当の割り振りが問題になります。1周が短いので並走の判断も早く付きます。詳しくは問い合わせの受付を見てください。

イベントや講座の申し込みは、定員とキャンセル待ちの扱いが移行の焦点です。定員を表の行数で数えている運用は、同時申し込みで必ず崩れます。イベントの申し込み講座の受講申し込みに、それぞれの流れが整理されています。

施設の利用申請や会員の入会は、承認の段階が入るのが特徴です。誰が承認したかが残らないと、後から経緯を説明できません。施設利用の申請会員の入会申し込みが参考になります。修理やサポートの受付は、同じ相手から何度も届く点が他と違います。過去のやり取りを引ける必要があるため、記録の持ち方が主題になります。修理・サポートの受付に整理があります。

型を見比べると、共通しているのは1点です。移行の効果は、入口を替えたことではなく、送信されたあとを回す道具がそろっていることから出ます。届いた内容を記録するところまでは、どの入口でもできます。差が出るのは、そこから状態を動かし、担当を決め、返信し、履歴を残すところです。

全部を一度に変えないための順序を、もう一度置く

進め方を1つの順序としてまとめます。まず、いまの業務を一覧にして5軸で採点する。該当が4つ以上のものだけを移行対象にする。その中から件数のいちばん多い受付を1つ選ぶ。入口を1本に寄せる。並走の正をどちらにするかを決めて、関係者に文書で伝える。2周まわして問題を洗い出し、修正が効いたことを確かめる。古い表を読み取り専用にして締める。次の業務に進む。

この順序を守ると、どの時点でも変更しているのは1業務だけになります。何かがうまくいかなかったとき、原因が絞れます。逆に複数の業務を同時に移すと、問題が起きたときにどれが原因か分からず、全体を止めることになります。全部を一度に変えないというのは、慎重さの話ではなく、原因を特定できる状態を保つための実務的な手順です。

移行先の仕組みで何ができて何ができないかを具体的に確かめたい場合は、機能の一覧をできることで確認し、画面の動きそのものを動くところを見るで見ておくと、いまの表計算との差分がはっきりします。仕様は文章で読むより、実際に状態を動かしてみるほうが早く判断できます。費用の見通しは料金に記載があります。比較するときは道具の費用だけでなく、いま毎月かかっている転記と照合の時間を並べてください。移行前によく出る疑問はよくある質問にまとめてあるため、社内で説明する前に目を通しておくと、想定問答を作る手間が減ります。

最後にもう一度確認します。表計算は捨てる道具ではありません。数字を並べて考える仕事では、これからも最速の道具です。手放すべきなのは、外から届き、複数人で見て、状態が動き、締切があり、ファイルがついてくる仕事を、1枚の表に背負わせている状態のほうです。脱エクセルの進め方で最初に決めるのは、どの道具を使うかではなく、どこまでを表計算に残すかです。残す範囲が決まれば、移す範囲は自動的に決まり、期間も見積もれます。

Q1. 脱エクセルは、どの業務から手を付ければよいですか?

外から人が直接データを入れる、触る人が2人以上いる、行の状態が時間とともに変わる、締切や定員がある、添付ファイルがついてくる、の5つのうち4つ以上当てはまる業務から始めてください。応募や申し込みの受付はほぼ全部に該当します。年次の集計や社内の名簿は1つか2つしか当てはまらないため、表計算のまま残して構いません。

Q2. 新旧を並走させる期間は、どのくらいが目安ですか?

暦ではなく、その業務が1周する回数で決めてください。受け付けてから完了するまでを1周として、2周が目安です。1周目で問題を洗い出し、2周目で修正が効いたことを確かめます。日々完結する問い合わせのように1周が短い業務でも、繁忙期を1回はまたぐようにすると、平常時では見えない想定外を拾えます。

Q3. 並走中に情報がばらけないようにするには、どうすればよいですか?

並走の期間中は、正となる場所を1つに決めてください。新しい入口を試すなら新しい側を正とし、電話や紙で届いた分も担当者がそちらに入力します。古い表は参照専用にし、可能なら読み取り専用に設定します。口頭の申し合わせは締切前に必ず崩れるため、開始日にどちらが正かを明記した文書を関係者全員に配ってください。

Q4. 過去のデータは全部移す必要がありますか?

必要ありません。これから対応が続く可能性のある分だけ移せば足ります。完了して動かない記録は、読み取り専用の表として所定の場所に残し、必要になったときに開けば十分です。全件を移そうとすると形式の違いを直す作業で計画が止まります。ただし個人情報を含むファイルが増えるため、保管期限と閲覧できる範囲は先に決めておいてください。

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