歯科医院に届いた問い合わせの返信が遅れるのは、返信を書くのが遅いからではありません。届いてから返し終えるまでの間に、誰も担当していない時間、確認の返事を待っている時間、返したかどうか分からない時間が挟まっているからです。この記事では、歯科医院の問い合わせを受け取ってから返し終えるまでを一本の線として並べ直し、どこで止まりやすいのか、そこで何を決めておけばよいのかを順に整理します。
返信が遅れる原因は、書く速さではなく間の時間にある
問い合わせが届いてから返信が出るまでにかかった時間を分解すると、実際に文章を書いていた時間はごく一部です。大半は待ち時間です。
気づかれるまでの時間
フォームからの通知が受付の共有メールに届いても、そのメールを誰かが開くまでの時間があります。診療中は受付が患者さんの対応に出ているため、通知が来た瞬間に見られるわけではありません。昼休みや診療の終わりにまとめて見る運用なら、朝一番に届いた問い合わせは4時間ほど誰にも見られていないことになります。
この時間そのものは悪いものではありません。診療を止めてまでメールを見る必要はないからです。問題になるのは、いつ見るかが決まっていない場合です。「手が空いたら見る」という運用は、忙しい日には見られない日ができます。
誰が返すか決まるまでの時間
見た人がそのまま返せるなら、この時間はゼロです。ですが歯科医院では、費用の問い合わせのように院長や担当の歯科医師に確認しないと返せないものがあります。この場合、見た人は「自分では返せない」と判断してそこで手を離します。次に誰かが動くまでの時間が、ここに丸ごと入ります。
確認の返事を待つ時間
診療の合間に確認を取る形なので、返事が返ってくるのは早くて昼、遅ければ翌日です。この区間で問い合わせは宙に浮きます。確認を依頼した人は依頼したことを覚えていますが、依頼したという事実が一件の中に残っていないと、他の誰かから見れば「未対応のまま止まっている件」にしか見えません。
返し終えたかどうか分からない時間
返信を送ったあと、その件が終わったことがどこにも残らないと、翌朝もう一度目に入ります。二重に返す、あるいは「これはもう返したはずだ」と思って放置する。どちらも起きます。
この四つの区間を足すと、実際に文章を書いていた数分に対して、待ち時間が何時間、ときには何日にもなります。返信を速くしたいときに最初に手を入れるべきなのは、文面のテンプレートよりも、この待ち時間のほうです。文面を磨いても、届いてから見られるまでに一日かかっているなら、体感の速さは変わりません。
どこで止まっているかは、件ごとに違う
同じ医院でも、診療時間の確認は当日に返せていて、費用の確認だけが三日かかっている、という偏りが普通に起きます。全体の平均だけを見ていると、この偏りが見えません。用件の種類ごとに、届いてから返すまでの時間を分けて見ます。遅い種類が特定できれば、手を入れる場所も一つに絞れます。
受け取ってから返すまでを一本の線にする
歯科医院の問い合わせは、次の順に流れます。この線から外れる件が出ないように形を決めます。
届く
フォームから送信された内容が、決まった一か所に入ります。共有メールの受信箱に入るのか、問い合わせを一覧で扱う画面に入るのかは医院によって違いますが、大事なのは「一か所」であることです。受付の共有メールと、院長の個人アドレスと、サイトの管理画面の三か所に分かれて届いていると、どこを見れば全部が見えるのかが誰にも分かりません。
見る
見る時間を決めます。歯科医院の一日で無理なく取れるのは、朝の準備の時間、昼休みの始め、診療終了後の三回です。この三回で見ると決めておけば、最も長い待ち時間でも半日以内に収まります。
見るときにやることは、返すことではありません。中身を確かめて、誰が返すかを決めて、いつまでに返すかを決めることです。この三つだけを全件に対しておこないます。返信を書き始めると一件目で時間を使い切り、残りが見られないまま終わります。
割り振る
用件の種類で分けます。診療時間、初診の持ち物、休診日といった、公開している情報を伝えるだけの問い合わせは受付がそのまま返せます。費用の目安、治療の方針に関わること、他院からの連絡は、確認を挟みます。求人は、担当が別なら担当に渡します。
割り振った結果が一件ごとに見える形になっていることが重要です。担当が空欄の件は、誰も持っていない件です。
確認を取る
確認が必要な件は、確認中であることを一件の中に残します。誰に、何を、いつ聞いたのか。この三つが残っていれば、確認を依頼した本人が休んでも、他の人が続きを進められます。
確認の依頼は、まとめて出します。一件ごとに歯科医師をつかまえて聞く形は、聞かれる側の手を何度も止めます。朝に見た件のうち確認が必要なものを一枚にまとめて渡し、昼休みに返事をもらう。この形にすると、確認の往復が一日一回で済みます。
返す
用件の種類ごとに用意した定型の文面を土台にして、その人に向けた一文を足して返します。定型がある状態なら、一件あたりの所要は2分前後です。定型がないと、同じ内容を毎回考え直すことになり、一件10分かかることもあります。
閉じる
返し終えた件に印を付けます。この一手間があるかどうかで、翌朝に見る件数が変わります。返信済みの印が付いていない件が受信箱に残っていると、毎朝それを一件ずつ開いて確かめる作業が発生します。
問い合わせを受けてから返すまでの一連の形を場面別に整理したページとして、問い合わせの受付があります。受付の担当が何を持ち、どこで詰まるのかが場面ごとにまとまっています。
歯科医院で特に詰まりやすい三つの区間
費用の問い合わせで止まる
歯科医院の問い合わせで最も返信が遅れるのが費用に関するものです。理由は、診ていない状態で金額を確定できないからです。返信を書こうとした受付が「これは自分では答えられない」と手を止め、確認に回り、そこで一日が過ぎます。
この区間を短くする方法は二つあります。一つは、答えられる範囲をあらかじめ決めておくことです。公開している範囲の目安、保険が適用される可能性がある場合とない場合の考え方、確定のために来院が必要であること。この範囲であれば受付が確認なしで返せる、と決めておけば、確認に回る件は大きく減ります。
もう一つは、確認に回す件の形を決めておくことです。何を聞かれていて、どこまで受付が答えられて、何が分からないのか。この三点を書いた形で渡せば、確認する側は短時間で答えられます。問い合わせの本文をそのまま転送して「これどうしましょう」と聞く形は、受け取った側に読む時間を丸ごと押し付けることになり、返事が遅くなります。
予約に関する連絡で行き違いが起きる
予約の変更やキャンセルがフォームから届くと、送った側は連絡が済んだと考えます。ですが受付がそのフォームを見るのは数時間後で、その間に予約の時刻が来ることがあります。
この行き違いを防ぐのは、返信の流れではなく、フォームの画面の書き方です。当日の変更は電話でお願いする旨を、送信ボタンの近くに書きます。そのうえで、フォームから届いた予約の連絡は、他の問い合わせより先に見る決まりにしておきます。
確認待ちの件が忘れられる
確認を依頼して、返事をもらって、そこで安心して返信を忘れる。返し忘れの中でいちばん多いのがこの形です。確認の返事は口頭で来ることが多く、その時点で「対応した」感覚になるからです。
対策は、確認の返事を受け取った時点で、その件の状態を「返信待ち」に戻すことです。確認中と返信待ちを別の状態として持っておくと、返事は来たが返していない件が一覧で見えます。
返信の文面を組み立てる順番
返信を速くする最大の手は、書く速さを上げることではなく、書く前に形が決まっていることです。歯科医院の問い合わせに返す文面は、次の四つの部品でできています。
受け取ったことを最初に置く
「お問い合わせありがとうございます」から始めます。ここは定型でよい部分です。ただし、送信直後の自動返信ですでに同じ文が出ているなら、二度目は少し変えます。同じ文が二通続くと、送った側は二通目も自動だと思って読み飛ばします。
聞かれたことを言い直す
「土曜の午後の診療時間についてお問い合わせいただきました」のように、何を聞かれたのかを一文で言い直します。この一文があると、送った側は自分の質問が正しく伝わったことを最初に確認できます。歯科医院の問い合わせは、痛みや費用の不安を抱えて送られていることが多く、質問が伝わっているかどうかを先に示すだけで、その後の文面の受け取られ方が変わります。
この一文は定型にできません。ここだけはその人に向けて書きます。逆に言えば、返信の中でその人に向けて書くのはこの一文だけで足ります。残りは定型で構いません。
答えを短く書く
答えは最初に書きます。診療時間を聞かれているなら、まず時間を書きます。理由や補足を先に置くと、答えがどこにあるのか分からない文面になります。
答えられないことを聞かれている場合も同じです。「診察のうえで確認します」という結論を先に置いて、そのあとに理由と次の手順を書きます。結論を後ろに置くと、読み進めた末に答えがないという読み方になり、もう一度同じ質問が来ます。
次に何をすればよいかを書く
来院を希望する場合の連絡先と受付時間、予約の取り方、初診なら持ち物。返信の最後は、送った側が次に取る行動で締めます。ここが抜けていると、答えは伝わったが次が分からない、という状態になり、二往復目が発生します。
この四つの部品のうち、二番目だけがその人に向けたもので、残り三つは用件の種類ごとに固定できます。つまり返信を書く作業は、正しい定型を選んで、一文だけ足す作業になります。
返信で書かないと決めておくこと
歯科医院の受付が返信を書くときに迷うのは、どこまで書いてよいかの線です。この線を先に引いておかないと、一件ごとに迷って手が止まります。
診ていない状態での判断を書かない
症状の説明が書かれていても、それに対して原因や必要な処置を返信で書くことはしません。書くのは、診察で確認するという手順の案内です。ここを守ると決めておけば、症状が長文で書かれていても返信の形は変わりません。
金額を確定して書かない
公開している範囲の目安を示すことと、その人の金額を確定して答えることは別です。目安を書くときは、目安であることと、確定は診察後になることを必ず添えます。
他院についての評価を書かない
他の医院で受けた治療についての相談が届くことがあります。その内容についての評価は書きません。書けるのは、こちらで診察を受ける場合の流れだけです。
返信に個人情報を必要以上に載せない
返信の文面に、送られてきた内容をそのまま引用して返す形が使われますが、症状や既往に関する記述をそのまま引用するかどうかは考える余地があります。メールは誤って別の宛先に送られることがあり、そのときに載っている情報が多いほど影響が大きくなります。
個人情報保護委員会は、個人データを取り扱う事業者に対して安全管理のための措置を求めています。
個人情報取扱事業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失又は毀損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない。 出典: 個人情報保護委員会
宛先の確認、引用する範囲、返信を書ける人の範囲。この三つは受付の中で決めておきます。個別の判断が必要な場面では、所管の窓口や専門家に確かめてください。
休診日と連休をはさむ問い合わせをどう扱うか
歯科医院の返信の流れで、他の業種と大きく違うのがここです。休診日は週の中に入り、さらに祝日や年末年始、夏季の休みが加わります。
休みに入る前にやること
休診に入る直前の日は、未対応の件をゼロにして終わるか、返せない件に「休診明けに返信します」とだけ先に送っておきます。何も返さずに休みに入ると、送った側は数日間待たされたうえに返事が来ない状態を経験します。その間に別の医院を探します。
一文だけの先出しであれば、診療終了後の数分で全件に送れます。この一手間があるかどうかで、休み明けに残っている件の温度がまったく変わります。
休みの間に届く件
自動返信の文面に、休診の期間と、明けてからいつ返信するかを入れておきます。休診の期間は毎回変わるので、休みに入る前に文面を差し替える作業を、休診前の決まりごとに入れておきます。差し替えを忘れると、通常の期限が書かれた自動返信が休みの間じゅう返り続けます。
休み明けの朝
溜まった件を一度に見ることになります。ここで先にやるのは、返信ではなく仕分けです。予約に関する連絡、痛みを訴えている初診、それ以外。この三つに分けて、上から返します。届いた順に返すと、急ぐ件が後ろに回ります。
電話で受けた問い合わせを同じ線に載せる
フォームからの問い合わせだけを整えても、歯科医院の窓口には電話が入ります。電話の内容がどこにも残らないと、フォームの側だけが管理されている歪んだ状態になります。
電話で終わらなかった件だけを残す
電話でその場で答えきれた件は、記録する必要はありません。残すのは、確認して折り返すと言った件です。この折り返しの約束は、フォームからの問い合わせと同じ扱いで線に載せます。誰が、いつまでに、何を折り返すのか。
折り返しの約束が受付のメモ用紙にしか残っていない状態は、返し忘れがいちばん起きやすい形です。紙は診療の合間に移動し、別の紙の下に入ります。
同じ人から電話とフォームの両方が来る
フォームで送ったあと待ちきれずに電話をかけてきた場合、同じ人の件が二つ立ちます。電話で答えきれたなら、フォームの側の件も閉じます。閉じ忘れると、あとで受付の別の人が同じ内容を返信します。
同じ人からの連絡が一つにまとまって見える形になっているかどうかで、この事故の起きやすさが変わります。メールアドレスや電話番号で過去の件を引ける状態にしておくと、開いた瞬間に前回の経過が見えます。
導入前によく出る疑問についてはよくある質問にまとまっています。
返信の期限をどこに置くか
期限を決めていない窓口は、忙しい日の件が翌日に送られ、翌日も忙しければさらに送られます。
営業日で決める
歯科医院は休診日があるため、時間ではなく営業日で決めるほうが実態に合います。2営業日以内、といった置き方です。これをフォームの画面と自動返信の両方に書きます。
書いておくと、待つ側は待てます。書いていないと、翌日には電話がかかってきます。同じ問い合わせが電話で入ると、受付は同じ内容を二度扱うことになります。返信の期限を書くのは、送る側への配慮であると同時に、受付の仕事を減らす手でもあります。
種類ごとに期限を分ける
すべての問い合わせに同じ期限を置く必要はありません。予約に関する連絡は当日、診療時間や持ち物の確認は翌営業日、費用の確認は2営業日。このように分けておくと、朝に見たときの優先順位がそのまま決まります。
期限は守れる値にする
短く書けば速く返せるようになるわけではありません。当日中と書いたのに二日かかっている状態は、何も書かないより悪くなります。書いた期限は約束として読まれるからです。いま実際にかかっている時間を測ってから、その少し内側に置きます。守れるようになってから短くします。
期限を過ぎた件が目に入る形にする
期限を決めても、過ぎたことに気づかなければ意味がありません。期限を過ぎた件が一覧の先頭に出る、色が変わる、といった形になっていれば、朝の確認で必ず目に入ります。受信箱でこれをやろうとすると、日付を見て頭の中で計算することになり、忙しい日には飛ばされます。
自動返信を返信の一部として設計する
送信の直後に自動で返るメールは、単なる受領の通知ではありません。返信の流れの最初の一手として使えます。
自動返信に入れる内容
受け取ったこと。いつまでに返信するか。急ぐ場合は電話でお願いしたいこと。その電話番号と受付時間。休診日をはさむ場合は返信が遅れること。この五つを入れます。
ここまで書いてあれば、送った人は待つ間に不安になりません。特に歯科医院では、痛みを抱えて問い合わせをしている人がいます。その人に対して「急ぐ場合は電話で」と最初に伝えられるかどうかは、返信の速さと同じくらい大事です。
自動返信でメールアドレスの誤りが分かる
自動返信が届かなければ、送った人はアドレスを間違えたことに気づけます。逆に医院の側では、自動返信がエラーで戻ってきた件は返信が届かない件だと分かります。この件は、フォームに電話番号が入っていれば電話で追いかけられます。
自動返信を返信と勘違いさせない
自動返信の文面が丁寧すぎると、送った側が「これで回答が来た」と受け取ってしまうことがあります。冒頭に自動で送っている旨を明記します。あわせて、この自動返信に返信しても届かない設定になっているなら、そのことも書きます。書かずにいると、続きの連絡がどこにも届かないアドレスに送られ、送った側は返事がないと感じます。返信を受けられるアドレスから出すほうが、この行き違いは起きません。
送信されたあとにどんな道具がそろっているかで、この自動返信の設計も変わります。表計算に回答を書き出す形と、送信後の管理まで含んだ形の違いを整理したページとして、Googleフォームとの比較があります。送信されたあとの道具がそろっているかどうかが、返信までの時間を決めます。
受付が一人の医院と複数人の医院で、流れの組み方が変わる
一人で回している場合
割り振りの工程がないので、線は短くなります。かわりに、確認待ちの件を自分で覚えておく負担が全部かかります。ここで頼るべきは記憶ではなく、状態の印です。未対応、確認中、返信待ち、完了。この四つを一件ごとに付けるだけで、翌朝に見る件が絞られます。
一人の場合にもう一つ効くのが、返信をまとめて書く時間を確保することです。届くたびに返そうとすると、診療の合間に細切れの時間を使うことになり、一件あたりの所要が伸びます。診療終了後の20分をまとめて使うほうが、同じ件数を短い時間で返せます。
複数人で回している場合
割り振りが線の中に入ります。ここで決めておくのは、割り振る人を一人にするか、各自が自分で取るかです。
割り振る人を決める形は、全体が見える人が一人いるので落ちにくくなります。ただしその人が休むと止まります。各自が取る形は止まりませんが、誰も取らない件が残ります。どちらを選ぶにしても、担当が空欄のまま一定の時間が経った件が見える形にしておけば、落ちません。
複数人の場合に必ず起きるのが、同じ件に二人が返す事故です。防ぐには、返信を書き始める前に自分の名前を担当に入れる、という決まりを作ります。書き終えてから入れる形では間に合いません。
もう一つ、複数人で回している医院で決めておきたいのが、返信を出す名義です。個人の名前で返すのか、医院の受付として返すのか。個人の名前で返していると、続きの連絡がその人あてに来ます。その人が休みの日に届いた続きは、誰も見ないまま止まります。受付として返す形にしておくと、続きも同じ入口に戻ってきます。
分院がある場合
どの医院あての問い合わせかで最初に分かれます。本院の受付が全部を受けて転送する形は、転送の途中で落ちるうえ、転送された側は「本院が見たあとのもの」と考えて優先度を下げがちです。医院ごとに届く先が分かれている形にしておくと、この工程自体がなくなります。
流れを決めたあとに測るもの
線を引いただけでは、どこが詰まっているかは分かりません。数字で確かめます。
測るときは、平均だけを見ないことです。平均は、大半が速く返せているのに数件だけ何日も止まっている状態を隠します。見るべきは、いちばん遅かった件が何日かかったかと、期限を過ぎた件が何件あったかです。窓口の評価は、いちばん遅かった件の経験をした人が決めます。
届いてから見るまでの時間
見る時間を決めたのに守れていないなら、決めた時間が診療の実態に合っていません。朝の準備の時間に見ると決めたのに毎日見られていないなら、その時間は本当は空いていないということです。昼休みの始めに動かします。
見てから返すまでの時間
ここが長いなら、確認の工程で止まっています。確認が必要な件の割合と、確認に回してから返事が来るまでの時間を分けて見ます。確認が必要な件が全体の半分を超えているなら、受付が確認なしで答えられる範囲が狭すぎます。
返信のあとに追加の質問が来た割合
この割合が高いなら、最初の返信で答えきれていません。定型の文面に足りない情報があるということなので、文面を直します。歯科医院でよくあるのは、費用の問い合わせに対して「診察が必要です」とだけ返してしまい、では初診で何をするのか、どのくらい時間がかかるのか、という次の質問を呼んでいる形です。
一往復で終わった割合
一度の返信で完結した件の割合を数えます。この割合が上がっていれば、定型の文面が実際の質問に合ってきているということです。下がっているなら、文面から抜け落ちた情報があります。
電話に戻ってきた割合
フォームで送ったあとに電話をかけてきた件を数えます。この件は、返信を待てなかったか、返信が届かなかったかのどちらかです。前者なら期限の書き方、後者なら自動返信の設計に手を入れます。
管理の仕組みをどこまで持てるのかは、できることに機能の一覧があります。実際に運用に載せる前の条件については料金を確かめておくと、あとで組み直す手間が減ります。
二往復目を減らすと、線全体が短くなる
返信を一度返して終わる件と、そこから二往復、三往復と続く件では、受付にかかる時間がまったく違います。往復が増えるほど、そのたびに誰が返すかを判断し直し、前回の経過を読み返すことになるからです。
二往復目が起きる典型の形
一つ目は、答えの範囲が狭すぎた場合です。診療時間を聞かれて時間だけを返すと、次に「予約は必要ですか」が来ます。時間を返すときに予約の要否を添えておけば、そこで終わります。
二つ目は、答えられない理由だけを返した場合です。費用の質問に「診察が必要です」とだけ返すと、では初診で何をするのか、どのくらいかかるのか、という質問が続きます。診察が必要だという結論のあとに、初診の流れと所要時間と持ち物を添えておけば、次の質問が出ません。
三つ目は、次の行動が書かれていない場合です。答えは伝わったが、予約をどう取るのかが書かれていないと、その問い合わせが来ます。
定型の文面を、次の質問まで含めて作る
二往復目の内容は、毎回だいたい同じです。つまり定型の文面に組み込めます。用件の種類ごとに、実際に来た二往復目の質問を書き出して、それを一往復目の文面に入れていく作業を一度やります。この作業は数時間で終わり、そのあとの往復の数がはっきり減ります。
添付や資料で答えを渡す
費用の目安や初診の流れは、文章で毎回書くより、決まった案内のページを示すほうが早く、内容も揃います。ただし、リンクだけを送って本文が空の返信は冷たく見えます。答えを本文に書いたうえで、詳しくはこちらという形にします。
流れを決めることは、判断の回数を減らすこと
歯科医院の問い合わせ対応で受付が消耗するのは、文章を書くことではありません。一件ごとに「これは自分が返すのか、誰かに聞くのか、いつまでに返すのか」を判断することです。この判断が一日に何十回も発生すると、診療の合間の集中が削られます。
流れを一本の線として決めるというのは、その判断をあらかじめ済ませておくということです。用件の種類で誰が返すかが決まっている。種類ごとに期限が決まっている。確認に回す件の形が決まっている。返し終えた件に付ける印が決まっている。ここまで決まっていれば、届いた一件に対して受付がやることは、線の上に載せるだけになります。
そして、線を引いても、その線の上に件が載っているかどうかが見えなければ意味がありません。いま何件が未対応で、何件が確認待ちで、何件が期限を過ぎているか。この三つの数が朝の一目で分かる状態になっているかどうかが、返信の速さを決めています。受信箱の未読の数はこの三つのどれでもありません。返信の流れを整えるというのは、最終的にこの三つの数を見える場所に置くところに行き着きます。
Q1. 歯科医院の問い合わせは、一日に何回見るのが現実的ですか?
朝の準備の時間、昼休みの始め、診療終了後の3回が無理なく取れる形です。この3回で見ると、最も長い待ち時間でも半日以内に収まります。見るときにやるのは返信ではなく、中身を確かめて誰が返すかを決め、いつまでに返すかを決めることの3つです。返信を書き始めると一件目で時間を使い切り、残りが見られないまま終わります。
Q2. 費用の問い合わせで返信が止まってしまいます。どうすればよいですか?
受付が確認なしで答えられる範囲をあらかじめ決めておきます。公開している範囲の目安、保険の適用についての考え方、確定には来院が必要であること。ここまでを定型の文面にしておけば、確認に回す件は大きく減ります。それでも確認が必要な件は、聞かれた内容とどこまで答えられたかと何が分からないかの3点を書いて渡すと、返事が早く戻ります。
Q3. 返信の期限はどのくらいに設定すべきですか?
歯科医院は休診日があるため、時間ではなく営業日で決めるほうが実態に合います。2営業日以内といった置き方をして、フォームの画面と自動返信の両方に書きます。予約に関する連絡は当日、診療時間や持ち物の確認は翌営業日、費用の確認は2営業日というように種類で分けておくと、朝に見たときの優先順位がそのまま決まります。
Q4. 二重返信を防ぐにはどうすればよいですか?
返信を書き始める前に自分の名前を担当欄に入れる決まりを作ります。書き終えてから入れる形では、書いている間に別の人が同じ件を開いてしまうため間に合いません。あわせて、返し終えた件に完了の印を付けます。受信箱の既読は読んだという意味であって返したという意味ではないので、既読で代用すると返し忘れが残ります。
Q5. 確認を取っている間の件が忘れられます。何を変えればよいですか?
確認中と返信待ちを別の状態として持たせます。確認の返事は口頭で来ることが多く、返事をもらった時点で対応が終わった感覚になるため、そこで返信を忘れます。返事を受け取ったらその件を返信待ちに戻す運用にしておくと、返事は来たが返していない件が一覧で見えます。誰に何をいつ聞いたかも一件の中に残します。確認の依頼にも期限を添えておくと、返事が来ないまま数日たつことがなくなります。
