歯科医院の問い合わせフォームの項目をどこまで増やすかは、受付の仕事量をそのまま決めてしまいます。項目が少なすぎれば「詳しく聞かせてください」という折り返しが一往復増え、多すぎれば送信の途中で離脱されて電話に戻ってきます。この記事では、歯科医院に実際に届く問い合わせの中身から逆算して、最初に聞くべき項目と、聞かないほうがよい項目を分けて整理します。あわせて、届いたあとに受付が回すために必要な項目についても具体的に書きます。
歯科医院に届く問い合わせは、ほとんど同じ種類に分かれる
項目を決める作業は、白紙から理想のフォームを設計することではありません。すでに医院に届いている電話とメールの中身を数えて、その内訳に合わせて枠を用意する作業です。歯科医院の窓口には毎日いろいろな連絡が来ているように見えますが、種類に分けて数えると5種類ほどに収まります。
診療時間と休診日の確認
もっとも多いのが診療時間の確認です。医院のサイトに診療時間の表が載っていても、問い合わせは減りません。表に書いてあるのは通常の週の時間割で、来院を考えている人が知りたいのはその人が行ける特定の日に開いているかどうかだからです。土曜の午後がどこまでか、祝日のある週の木曜がどうなるか、年末年始と夏季の休診がいつからいつまでか。表を読んで自分の予定に当てはめる作業を、来院を考えている人はしたがりません。
このタイプの問い合わせは、フォームで受けても電話で受けても、返す内容は同じ短い一文です。ここに時間を取られている医院は多く、受付の担当者からは「同じことを一日に何度も答えている」という話がよく出ます。フォームの項目を考えるときは、この最多パターンを一番速く返せる形になっているかを最初に確かめます。
費用がいくらかかるのかの確認
次に多いのが費用の確認です。保険が効くのかどうか、自費だとどのくらいか、分割の支払いができるか。この問い合わせは、返信の中身に注意が必要な種類です。診ていない口の中について金額を確定して答えることはできませんし、答えてしまうと来院後に食い違いが起きます。
そのため返信は「診てからでないと確定できないこと」を最初に伝えたうえで、公開している範囲の目安と、確定するための来院の流れを案内する形になります。この形が決まっていれば、返信の大半は定型の文面で足ります。つまり費用の問い合わせも、項目を工夫すれば受付の負担を下げられる種類です。
予約の空き、変更、キャンセル
予約に関する連絡は、フォームで受けるか受けないかを医院がはっきり決める必要がある種類です。フォームで予約の変更を受け付けると、送信した人は「連絡した」と思って来院しなくなります。受付がフォームを見ていない時間帯があると、そこで行き違いが起きます。
予約の枠を持っているのが予約システムなのか、受付の紙の台帳なのか、電話だけなのか。医院によって答えは違いますが、フォームの画面に「予約の当日変更は電話でお願いします」の一行があるかどうかで、行き違いの数はかなり変わります。項目を考える前に、フォームで受ける範囲と受けない範囲を先に決めておきます。
初診で何を持っていけばよいのか
初めて行く医院に対しては、持ち物と所要時間の質問が来ます。保険証、お薬手帳、他院で撮った画像、紹介状。これも返す内容がほぼ固定なので、定型で返せます。
初診の問い合わせは、来院するかどうかをまだ決めていない段階の人から届きます。ここで返信が遅れると、その人は別の医院に問い合わせて、そちらで予約を取ります。診療時間の確認と違い、この種類は返信の速さがそのまま来院につながります。項目を設計するときは、初診の人が最短で送信を終えられるかを基準の一つにします。
求人と業者からの連絡
歯科衛生士や歯科助手の応募、材料や機器の営業、近隣の医療機関からの連絡も同じフォームに入ってきます。診療の問い合わせと同じ箱に入ると、優先度の判断が毎回必要になります。用件の種類を選ばせる項目を置く理由の半分はここにあります。
営業の連絡は、返さないという判断をすることもあります。その判断をした件も、記録として残っていないと「返したかどうか分からない件」として毎朝目に入ります。返さないと決めた件を、返さないまま閉じられる状態にしておくことも、受付の負担を下げる要素です。
最初に聞く項目は5つで足りる
歯科医院の問い合わせフォームで最初に置く項目は、次の5つに絞れます。ここから始めて、必要が出てから足していくほうが、最初から多く並べて削るより確実です。
名前
必須にします。姓だけでも構わない形にするか、姓名を分けるかは医院の返信の文面によります。「様」を付けて返す文面を使っているなら、姓のみの入力でも問題は起きません。ふりがなは、電話で折り返す予定があるなら任意で置き、メールだけで返す運用なら不要です。
診察券の番号を持っている再診の人については、名前と番号の両方を任意で受けられるようにしておくと、カルテを引くのが速くなります。ただし番号を必須にすると、番号を持っていない初診の人が送れなくなります。必須にしてよいのは、初診と再診を分ける項目を先に置いて、再診を選んだ場合だけ番号を求める形にしたときだけです。
連絡先
メールアドレスは必須です。電話番号は、折り返しの電話をする運用なら必須、メールだけで返すなら任意にします。両方を必須にしている医院は多いのですが、電話をかけない運用で電話番号を必須にしていると、番号を書きたくない人がそこで送信をやめます。使わない情報を必須にしない、というのは項目設計の基本です。
メールアドレスの入力ミスは、返信が届かない原因の上位に入ります。確認用にもう一度入力させる欄を置く方法もありますが、スマートフォンでの入力では二度打ちの負担が大きく、コピーして貼り付けるだけになって確認の意味をなさないことがあります。それよりも、送信の直後に自動返信を送って、届かなければ本人が気づける形にするほうが実際的です。
用件の種類
選択式にします。選択肢は、先ほど数えた問い合わせの内訳をそのまま並べます。
診療時間や休診日について。費用について。予約について。初診の持ち物について。求人について。その他。
この項目があるだけで、受付は開く前に中身の見当がつきます。求人と業者を診療の問い合わせから分けられるのも大きな効果です。選択肢は6つ前後までにします。それ以上並べると、送る側が自分の用件をどれに当てはめるか迷い、結局「その他」を選びます。
選択肢を作るときに気をつけたいのが、「その他」に集まりすぎる状態です。届いた問い合わせのうち「その他」が半分を超えているなら、選択肢の言葉が医院の内部の言い方になっていて、送る側の言葉と合っていません。たとえば「自費診療について」という選択肢は医院の言葉で、来院を考えている人は「保険がきくか知りたい」と考えています。選択肢の文言は、実際に届いた問い合わせの本文からそのまま言葉を借りて作ると外れにくくなります。
もう一つ、選択肢を医院の診療内容で分けないことです。矯正、インプラント、ホワイトニング、小児、といった分け方は一見きれいですが、送る側は自分の困りごとがどの診療内容に当たるかを知らないから問い合わせています。分けるのは診療内容ではなく、聞きたいことの種類です。
初診か再診か
二択で置きます。返信の文面が変わるからです。初診であれば持ち物と所要時間の案内が要り、再診であれば診察券の番号とこれまでの経過の確認が要ります。この二択がないと、返信を書く人が本文から読み取るか、分からないまま両方の案内を書くことになります。
再診を選んだ人には、診察券の番号の欄を続けて出す形にしておくと、カルテを引く時間が短くなります。番号が分からない人のために「分からない場合は空欄で構いません」と添えておくと、番号を探すために送信をやめる人が出なくなります。
用件の内容
自由記述の欄です。必須にするかどうかは医院の方針によりますが、必須にするなら文字数の下限は設けないほうが無難です。「診療時間を知りたい」の一言で足りる問い合わせに、無理に長い文章を書かせる理由はありません。
聞かないほうがよい項目
項目を減らす判断のほうが、増やす判断より難しくなります。「あったほうが便利」に見える項目ほど、送る側の手を止めるからです。
症状の詳しい説明を求める必須欄
歯科医院のフォームで、症状を詳しく書かせる自由記述を必須にしているところがあります。これは受け取る側にとって扱いが難しい情報になります。
書かれた症状に対して返信で判断めいたことを書けば、それは診療の判断を対面の診察なしにおこなったことになりかねません。かといって書かせておいて何も触れずに返すと、送った人は「読まれていない」と受け取ります。どちらに転んでも受付が困る項目です。
症状の欄を置くこと自体が悪いのではなく、必須にして詳しく書かせることに無理があります。任意の自由記述として置き、返信では「詳しい状態は診察のうえで確認します」と一貫して返す形に決めておけば、扱いは安定します。フォームの説明文に「症状の判断は診察でおこないます。ここには来院前に確認したいことをお書きください」と添えておくと、送る側の期待もずれません。
生年月日、住所、保険証の記号番号
これらは来院時に必要になる情報ですが、問い合わせの段階では要りません。診療時間を聞きたいだけの人に保険証の番号を入力させる理由はありませんし、集めれば守る義務が発生します。
個人情報保護委員会は、個人情報を取り扱う事業者に対して利用目的をできる限り特定することを求めています。
個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的をできる限り特定しなければならない。 出典: 個人情報保護委員会
問い合わせに答えるという目的から見て、生年月日や保険証の番号がなぜ必要なのかを説明できないなら、その項目は置かないほうが安全です。個別の判断が必要なときは、所管の窓口や専門家に確かめてください。
画像の添付を必須にする欄
歯や口の中の写真を送らせる欄を必須にすると、送信の障壁が一気に上がります。撮る、確認する、送る、という三つの動作が増えるうえ、スマートフォンで撮った写真は容量が大きく、通信環境によっては送信に失敗します。
さらに、送られてきた画像は取り扱いに気を使う情報です。受信箱に画像が入ったまま溜まっていく状態は、受付にとっても気持ちのよいものではありません。画像は任意にして、必要になった段階で改めて依頼するほうが、双方にとって扱いやすくなります。
アカウント登録
問い合わせをするためにアカウントを作らせる形は、歯科医院の窓口には合いません。回答者にアカウント登録を求めると、そこで問い合わせをやめる人が出ます。医院を探している段階の人にとって、アカウントを作るのは「この医院に決めた」よりずっと手前の行動としては重すぎます。
希望日時を自由記述で書かせる欄
予約をフォームで受けない方針なら、この欄は置きません。置くと、送る側は予約を申し込んだつもりになります。フォームで日時の希望を受ける場合は、その希望がそのまま予約になるわけではないことを、欄のすぐ横に書きます。
項目の並べ方と入力のさせ方
同じ項目でも、並べる順番と入力方式で完了率は変わります。
選ばせるものを先に、書かせるものを後に
用件の種類、初診か再診か、といった選ぶだけで済む項目を先に置きます。指を動かす回数が少ない項目から始めると、送る側は最初の数秒で「これは短い時間で終わる」と判断します。逆に、最初に長い自由記述が出てくると、そこで閉じられます。
名前とメールアドレスは、選択式の項目のあとに置きます。個人情報を入力する段階に入る前に、何を聞かれるフォームなのかが分かっている状態を作ります。
必須の印を必須の項目にだけ付ける
すべての項目に必須の印が付いていると、送る側はどこで手を抜けるか分からず、全部を埋めようとして時間を使います。必須はできるだけ少なくします。歯科医院の問い合わせなら、名前、メールアドレス、用件の種類の3つで足りることが多いです。
数を絞るときの考え方はこうです。その項目が空欄だったとして、返信を書けないのかどうかを一つずつ確かめます。書けるなら必須ではありません。書けないなら必須です。この基準で見ると、歯科医院の問い合わせで本当に書けなくなるのは、返す先の連絡先と、何を聞かれているかの二つだけだと分かります。
入力の形式を画面で助ける
電話番号の欄でハイフンを入れるかどうかを迷わせない、メールアドレスの欄では数字と英字のキーボードが出るようにする、といった細かい配慮が完了率に効きます。入力の途中でエラーを出す場合は、何が間違っているかを欄のすぐ下に書きます。送信を押してから画面の先頭にエラーがまとめて出る形は、スマートフォンでは特に見つけにくくなります。
送信のあとに何が起きるかを先に書く
「送信後、2営業日以内に返信します」「休診日をはさむ場合は返信が遅れます」といった一文を、送信ボタンの近くに置きます。これがあると、返信を待つ間に電話をかけ直す人が減ります。医院にとっては、同じ問い合わせが二重に入る手間が減るということです。
問い合わせの受付でどんな項目を用意して、届いたあとどう扱うかは、場面ごとに整理された例が参考になります。受付の一連の流れを場面別にまとめたページとして、問い合わせの受付があります。
個人情報の扱いをフォームの画面に書く
歯科医院は、名前と連絡先に加えて、健康に関わる内容が書かれる可能性のある問い合わせを受けます。フォームの画面に、集めた情報を何に使うのかを短く書いておきます。
書く内容は難しいものではありません。問い合わせへの返信のために使うこと、返信のために院内で共有すること、それ以外の目的には使わないこと。この三つで足ります。長いプライバシーポリシーへのリンクを置くだけにせず、要点をフォームの画面に見える形で書きます。
もう一つ大事なのは、届いた問い合わせをどこに置くかです。受付の共有メールアドレスに届き、誰でも読める状態になっているなら、その状態も情報の扱い方の一部です。誰が見られるのか、いつまで保管するのか、退職した人のアカウントから見えないようにしているか。フォームの項目を決めるタイミングは、この整理をするのにちょうどよい機会です。
法律の解釈に踏み込む判断が必要な場面では、所管の窓口や専門家に確かめてください。ここで書いているのは、受付の実務として最低限そろえておく形の話です。
届いたあとに回すための項目
フォームの項目には、送る側に入力してもらうものと、受け取ってから受付が付けるものの二種類があります。後者を用意していない医院が多く、返し忘れと二重返信はここから起きます。
状況
未対応、返信済み、来院待ち、完了。この四つがあれば足ります。返信したかどうかが表に残らないと、二重返信と返し忘れは必ず起きます。受信箱の未読と既読で代用している医院がありますが、既読は「読んだ」であって「返した」ではありません。読んだだけで閉じた問い合わせが、誰も返さないまま沈みます。
担当
受付が複数人いる医院では、誰が返すのかを一件ごとに持たせます。持ち主のいない問い合わせは、全員が「誰かが返しているだろう」と思って放置されます。担当が空欄のまま一定の時間が経った件を見つけられる形にしておくと、朝の確認が短時間で終わります。
受付のメモ
電話で補足を聞いた、院長に確認中、といった経過を一件に紐づけて残します。メモが本人の頭の中にしかない状態だと、休みの日に代わりの人が対応できません。歯科医院の受付では、費用に関する問い合わせで院長や担当の歯科医師に確認を回す場面がよくあります。この「確認待ち」の状態が一件の中に見えていないと、確認の返事が来たあとで返信するのを忘れます。返し忘れの多くは、この確認待ちの区間で起きています。
返信の履歴
いつ誰が何を返したかが一件の中に残っていると、続きの連絡が来たときに読み返すだけで状況が分かります。送信済みフォルダを検索して探す形は、担当が変わった瞬間に破綻します。
これらの項目を表計算のシートで管理する方法と、送信されたあとの管理まで含んだ道具を使う方法があります。手作業の表と、送信後の管理まで入った形の違いを整理したページとして、Googleフォームとの比較があります。送信されたあとの道具がそろっているかどうかが、受付一人あたりの手数を決めます。
どんな管理項目を持てるのかを具体的に見たい場合は、状況や担当を一件ごとに持たせる仕組みを含めた機能の一覧ができることにまとまっています。
返信の定型文は、項目とセットで作る
項目を決める作業と、返信の定型文を作る作業は、本来ひとつづきのものです。用件の種類の選択肢を作るということは、その選択肢ごとに返す文面を決めるということだからです。片方だけを作ると、項目はきれいに分かれているのに返信は毎回ゼロから書いている、という状態になります。
選択肢の数だけ定型文を用意する
診療時間の問い合わせに返す文面、費用の問い合わせに返す文面、初診の持ち物に返す文面。用件の種類で分けた選択肢の一つひとつに、対になる文面を用意します。文面は長くする必要はありません。名前を差し込む部分、聞かれたことに答える部分、次にどうするかを案内する部分の三つがあれば足ります。
費用の文面だけは、書き方を院内で揃えておきます。診ていない状態で金額を確定しないこと、公開している範囲の目安は書いてよいこと、確定するための来院の流れを必ず添えること。この三点を守った文面を一つ作っておけば、誰が返しても同じ内容になります。受付ごとに答えが違う状態は、来院後の食い違いに直結します。
定型文をそのまま送らない部分を決める
定型文の中に、必ず一文だけその人に向けた内容を入れる、という決め方をしている窓口があります。「土曜の午後にお越しになりたいとのことでしたので」のような、送られてきた本文を受けた一文です。この一文があるかないかで、返信の読まれ方が変わります。全文が定型だと、送った側は自動返信と区別がつきません。
定型文の置き場所を受付の全員が知っている状態にする
文面が誰かのメールの下書きフォルダにしかない状態だと、その人が休んだ日に定型が使えません。文面は、問い合わせを扱う画面の中か、受付の全員が開ける同じ場所に置きます。文面を直したときに、古い文面が別の場所に残らない形にしておくことも大事です。
紙の問診票とフォームの項目を混ぜない
歯科医院には、来院時に書いてもらう問診票があります。フォームの項目を考えるときに、この問診票を下敷きにしてしまうことがありますが、二つは目的が違います。
問診票は、診療のために必要な情報を、対面の場で、本人確認ができる状態で集めるものです。フォームは、来院するかどうかを決める前の人が、聞きたいことを聞くためのものです。問診票の項目をフォームに持ってくると、来院を決めていない人に既往歴や服薬の状況を書かせることになります。
もし来院前に問診の内容を集めたいのであれば、それは問い合わせのフォームとは別に用意します。予約が確定した人にだけ案内する形にすれば、書く側も「行くと決めた医院に必要な情報を渡している」と理解でき、書きたくない情報を最初から求められる違和感がなくなります。受け取る側から見ても、問い合わせと問診が同じ箱に混ざらないほうが、扱いを分けやすくなります。
医院の規模で項目の決め方は変わる
受付が一人の医院
項目は最小にします。名前、メールアドレス、用件の種類、初診か再診か、自由記述。担当を分ける必要がないので、状況の四つだけを自分で付けます。ここで大事なのは、返信の定型文を用件の種類ごとに用意しておくことです。診療時間、費用、初診の持ち物。この三つの定型文があれば、届いた問い合わせの大半は開いてから1分ほどで返せます。
受付が複数人いる医院
担当の項目が必要になります。誰が返すかを決める方法は、用件の種類で自動的に振り分ける形と、朝に一人が全件を見て割り振る形の二つです。件数が一日10件前後までなら、朝に割り振る形で回ります。それを超えると、割り振りそのものが仕事になるので、用件の種類での自動振り分けを検討します。
複数人で受ける場合にもう一つ効いてくるのが、返信の文面が人によって違わないようにすることです。同じ費用の質問に、ある人は目安の金額を書き、別の人は診察が必要とだけ返す。この差は、来院した人から見ると医院の言うことが変わったように見えます。定型の文面を共有の場所に置いて、そこから使う形にしておきます。
分院がある医院
どの医院あての問い合わせかを選ばせる項目が要ります。この項目がないと、本院の受付が全部を受けて転送する形になり、転送の途中で落ちます。医院ごとに届く先を分けられる形にしておくと、転送の作業自体がなくなります。
求人を同じフォームで受ける場合
用件の種類で分けたうえで、求人を選んだときだけ職種と希望の勤務形態を聞く形にします。診療の問い合わせと同じ項目で受けると、どちらにも合わない中途半端な項目になります。応募の受付をどう組み立てるかについては、採用の応募受付に整理されています。
項目を減らす前に、どこで止まっているかを測る
「項目が多いから減らす」という判断は、直感でやると外れます。実際にどの項目で手が止まっているのかを見てから決めます。
見るべき数字
一つ目は、フォームの画面を開いた数に対して送信された数の割合です。この数字が低ければ、項目のどこかで離脱しています。二つ目は、送信された内容のうち自由記述が空欄のものの割合です。空欄が多ければ、その欄は必須にすべきではありません。三つ目は、返信のあとに追加で質問を送り返してきた件の割合です。この割合が高ければ、最初の返信で答えきれていない情報があり、項目か定型文のどちらかが足りていません。
四つ目は、送信から返信までにかかった時間です。件ごとの時間を並べると、遅れているのが特定の用件に偏っていることが分かります。歯科医院では費用の問い合わせで確認を挟むぶん遅れが出やすく、そこだけを取り出して手を打てば全体の平均が動きます。
電話の件数も一緒に見る
フォームからの送信が増えても、電話が同じだけ鳴っているなら、受付の負担は減っていません。フォームの効果は、フォームの中の数字だけでは測れません。問い合わせの総量のうち、フォームで受けた割合が増えているかを見ます。歯科医院では、電話が減らない理由の多くが「フォームがあることを知られていない」か「フォームでは返事が遅いと思われている」のどちらかです。前者は導線の問題、後者は返信の速さの問題で、項目の問題ではありません。
項目を増やすときの順番
足すのは一度に一つにします。二つ同時に足すと、完了率が下がったときにどちらが原因か分かりません。足した項目は2週間ほど様子を見て、空欄が多ければ任意に戻すか外します。
費用の見通しも項目の決め方に効く
管理の項目を増やすほど、それを扱う道具の側の条件も変わります。何人で使うのか、どれだけ保存するのかによって条件は変わるので、運用を決める前に料金の考え方を確かめておくと、あとで組み直す手間が減ります。導入前によく出る疑問についてはよくある質問にまとまっています。
項目の設計は、受付の一日の設計と同じもの
歯科医院の問い合わせフォームの項目は、送る側の入力の手間と、受ける側の返信の手間の、両方を同時に決めています。項目を一つ足せば送る側の手が一つ増え、項目を一つ減らせば受ける側の折り返しが一往復増えるかもしれない。この綱引きの落としどころは、医院に実際に届いている問い合わせの内訳の中にあります。
だから最初にやることは、フォームを作ることではなく、直近の一か月に届いた問い合わせを種類別に数えることです。診療時間が何件、費用が何件、予約が何件、求人が何件。この内訳が出れば、必要な項目はほぼ自動的に決まります。数えずに設計したフォームは、たいてい実際には来ない問い合わせのための項目を抱えていて、実際に来る問い合わせのための項目が足りません。
そして、送る側の項目をどれだけ磨いても、届いたあとの管理が受信箱のままなら、返し忘れは残ります。誰が持っているか、返したかどうか、いつ返したか。この三つが一件ごとに残る形になって初めて、フォームの項目を減らした効果が受付の時間として返ってきます。項目の設計と、届いたあとの回し方は、切り離せない一つの仕事です。
Q1. 歯科医院の問い合わせフォームで、最低限どの項目を置けばよいですか?
名前、メールアドレス、用件の種類の3つを必須にして、初診か再診かの二択と、自由記述の欄を任意で添える形から始めます。用件の種類は、診療時間、費用、予約、初診の持ち物、求人、その他の6つ前後に絞ります。この5項目で届いた内容の大半に返せます。足りない情報が出てから項目を1つずつ足すほうが、最初に多く並べて削るより確実です。
Q2. 症状を詳しく書いてもらう欄は必須にしたほうがよいですか?
必須にはしないほうが扱いやすくなります。書かれた症状に対して返信で判断めいたことを書くことはできず、かといって触れずに返すと読まれていないと受け取られるためです。任意の自由記述として置き、フォームの説明文に「症状の判断は診察でおこないます」と添えておくと、送る側の期待もずれません。返信の文面は用件の種類ごとに定型で用意しておきます。
Q3. 電話番号と生年月日は必須にすべきですか?
折り返しの電話をする運用なら電話番号は必須にしてよく、メールだけで返すなら任意にします。使わない情報を必須にすると、そこで送信をやめる人が出るためです。生年月日や保険証の記号番号は、問い合わせに答えるという目的から必要性を説明できないので置きません。集めれば守る義務が発生します。判断に迷う場面では所管の窓口や専門家に確かめてください。
Q4. 予約の変更をフォームで受け付けてもよいですか?
受け付ける範囲を先に決めておく必要があります。フォームで変更を受けると、送った人は連絡が済んだと考えて来院しなくなり、受付がフォームを見ていない時間帯があるとそこで行き違いが起きます。予約の枠を持っているのが予約システムなのか受付の台帳なのかを確かめ、当日の変更は電話でお願いする旨をフォームの画面に一行書いておくと行き違いが減ります。
Q5. 項目を減らしたのに電話が減らないのはなぜですか?
フォームの中の数字だけを見ていると原因が見えません。電話が減らない理由の多くは、フォームがあること自体が知られていないか、フォームでは返事が遅いと思われているかのどちらかで、項目の多さとは別の問題です。問い合わせの総量に占めるフォームの割合を測り、サイト内の導線と、返信までにかかっている時間の両方を確かめます。
