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セミナー主催者が集めた個人情報の扱い|見られる人を絞るところから決める

2026年9月14日 ・ Halict編集部

セミナーの申し込みを受け付けると、その瞬間から個人情報を預かる立場になります。氏名と会社名とメールアドレスが並んだ一覧は、開催の準備に欠かせない道具であると同時に、扱いを決めていないと事務局の外へ静かに広がっていくものでもあります。個人情報の保管というと保存期間の話から入りがちですが、実際の事故はもっと手前で起きています。誰がその一覧を見られるのかを決めていないまま運用が始まり、気づいたときには表計算ファイルが何人もの手元にコピーされている。この記事では、セミナーの受付で集まる情報を種類ごとに整理したうえで、見られる人を絞るところから順に決めていく手順を扱います。

セミナーの受付では、想定より広い範囲の情報が集まる

集める項目を決めたのは自分たちのはずですが、実際に集まっているものを書き出すと、決めたつもりの範囲を超えていることがよくあります。参加の申し込みと当日の連絡という二つの入口から、何が入ってきているのかを分けて見ます。

申し込みフォームで直接受け取るもの

法人向けのセミナーで標準的なのは、氏名、会社名、部署、役職、メールアドレス、電話番号です。ここまでは案内の送付と当日の受付に必要な項目として説明がつきます。問題はその先に足されがちな項目です。業種、従業員規模、役職の階層、導入している製品、抱えている課題、参加の動機。これらは登壇内容の調整や、開催後の営業活動のために足されることが多く、足した時点では目的がはっきりしていても、時間が経つと何のために集めたのかが分からなくなります。

有料セミナーでは、支払いに関わる情報が加わります。請求書の宛名、送付先の住所、担当者名、経理の連絡先。返金が発生すれば口座情報も受け取ります。学割や会員価格を設けている場合は、それを確認するための証明の画像が届きます。無料のセミナーであっても、懇親会を併設すれば食物アレルギーの有無を尋ねることになり、これは他の項目より慎重に扱うべき情報です。

会場開催では、さらに項目が増えます。ビルの入館手続きに氏名の事前提出が必要なら、参加者の氏名を会場側へ渡すことになります。車で来場する人がいれば車両番号を集めます。合理的配慮の申し出があれば、必要な支援の内容を受け取ります。どれも開催に必要な情報ですが、集めた場所と使う場所が違うという点で、後の扱いが複雑になります。

当日の連絡と、開催の前後で増えていくもの

申し込みが済んだあとも、情報は増え続けます。日程変更の相談、代理出席の連絡、遅刻や欠席の連絡、当日の会場への問い合わせ。これらはメールやメッセージで届き、申し込みの一覧とは別の場所に溜まっていきます。代理出席の連絡では、申し込んだ人とは別の人の氏名とメールアドレスが新たに届きます。この新しく届いた人の情報が、どの申し込みに紐づくのかを管理していないと、案内の送付先が実態と合わなくなります。

開催後にはアンケートの回答が加わります。満足度や自由記述だけなら比較的軽い情報ですが、多くのセミナーでは「個別相談を希望しますか」「資料の送付を希望しますか」といった項目が付いています。ここに丸が付いた人の情報は、開催後の連絡に使う前提で保持することになり、参加者名簿とは違う扱いが必要になります。

会場を撮影した写真も、忘れられがちな個人情報です。開催の記録や次回の告知に使うために撮影した写真には、参加者の顔が写っています。撮影と掲載について事前に案内していない場合、後から使えるかどうかの判断が必要になります。

集めた覚えのないものが混ざる

もう一つ見落としやすいのが、自由記述の欄です。「ご質問・ご要望」のような欄を置くと、そこに書かれる内容は事務局の想定を超えます。所属先の内部事情、進行中の案件の話、体調に関わること、家族の事情。参加できない理由を丁寧に書いてくれる人ほど、こちらが尋ねていない情報を書きます。

この欄に何が書かれているかを把握していない状態で、申し込みの一覧を関係者に共有すると、集めるつもりのなかった情報まで一緒に渡ることになります。自由記述の欄を置くこと自体は、参加者にとって必要な窓口なので消す必要はありません。ただし共有するときにその列を含めるかどうかは、別に判断する必要があります。

オンライン開催では、記録が自動的に残る

オンラインで開催する場合、事務局が意識して集めていない情報が自動的に蓄積されます。配信に使う道具の側に、参加者の入退室の時刻、視聴した時間、接続した端末、チャットの発言、質問の投稿、投票の回答が残ります。録画をしていれば、参加者が発言した音声や、カメラをオンにしていた人の映像も残ります。

これらは開催の振り返りに有用な情報であると同時に、参加者ごとの行動の記録でもあります。視聴時間の長さで参加者を並べ替えて営業活動に使う、といった運用は実際に行われていますが、その使い方を事前に説明していなければ、集めたときの目的から外れます。配信の道具が自動で残す記録も、事務局が扱う情報として棚卸しの対象に入れておく必要があります。

録画の扱いも決めておく項目です。次回の告知に一部を使うのか、後日視聴の希望者に配るのか、内部の記録として残すだけなのか。用途によって、参加者への説明も、保存する期間も変わります。

情報が事務局の外へ出ていく経路を洗い出す

見られる人を絞るという話をするとき、事務局の中だけを見ていては足りません。セミナーの運営では、集めた情報が外に出ていく経路がいくつも走っています。経路を書き出さないまま「関係者だけが見る」と決めても、実態と合いません。

会場と入館手続き

貸し会議室やビルの一室を使う場合、入館の手続きで参加者の氏名を会場側に提出することがあります。提出する形式は施設によって違い、事前に一覧を送る場合もあれば、当日に受付で名前を伝える形もあります。どちらにせよ、参加者の氏名が事務局の外に出ます。

このとき問題になりやすいのは、提出する一覧を作るために申し込みの一覧をそのまま書き出してしまうことです。氏名だけでよいところに、会社名も部署もメールアドレスも並んだファイルを送ってしまう。必要な列だけを取り出せるかどうかは、日々の作業の速さだけでなく、外に出る情報の量を決めます。

決済や配信で使う外部の仕組み

参加費を受け取るために決済の仕組みを使えば、そこに氏名とメールアドレスと支払いの記録が渡ります。オンライン配信の道具を使えば、そこに参加者のメールアドレスが渡ります。案内メールを一斉に送る仕組みを使えば、そこに宛先の一覧が渡ります。どれも運営に必要な経路で、避けられるものではありません。

大事なのは、どこに何を渡しているかを一覧として持っておくことです。棚卸しをしていないと、道具を入れ替えるときに古いほうに残った情報が放置されます。使わなくなった配信の道具のアカウントに、過去の参加者の一覧が残ったままになっている。この状態は、事務局の誰の目にも入らないぶん、気づくのが遅れます。

登壇者と関係者への共有

事前質問を登壇者に渡すとき、質問だけを渡すのか、質問した人の氏名と所属も渡すのかで、性質が変わります。登壇者が回答を準備するうえで所属が分かったほうがよい場面はありますが、それが必要かどうかは回ごとに違います。渡す範囲を毎回決めずに前回と同じ形で渡し続けると、いつのまにか広い範囲が既定になります。

社内の関係者に渡す場合も同じです。営業部門に開催後の名簿を渡す運びなら、渡す範囲と、渡した先での扱いを決めておきます。渡した先が独自に管理を始めると、削除の依頼が来たときに、どこまで消せばよいのかが分からなくなります。

保存期間より先に、見られる人を決める

個人情報の扱いを整えようとすると、多くの場合まず保存期間の話になります。しかし実務で先に効くのは、誰が見られるかの線引きです。保存期間を決めても、その情報が何人もの手元にコピーされていれば、期間が来ても消せません。

表計算ファイルは、配った時点で追えなくなる

申し込みの一覧を表計算ファイルに書き出して関係者に配る運用は、いまも広く行われています。手軽で、誰でも開けて、加工もしやすい。ところが配った瞬間に、そのファイルは事務局の管理から離れます。受け取った人がさらに転送し、手元に保存し、自分用に列を足して別名で保存する。同じ内容のファイルが何世代にも分かれ、どれが最新かも、どこに何部あるかも分からなくなります。

事務局の担当者からしばしば出るのは、「消してくださいと言えば消してもらえるが、消したかどうかは確かめられない」という話です。これは運用の丁寧さの問題ではなく、配るという方式が持つ構造の問題です。一覧を一つの場所に置いたまま、見る権限だけを配る形にできるかどうかが、後から追える運用と追えない運用を分けます。

当日スタッフに必要な範囲は狭い

会場開催では、受付にアルバイトや外部のスタッフが入ることがあります。そのスタッフに必要なのは、来場した人が申し込んでいるかどうかの確認と、支払いが済んでいるかどうかの確認までです。参加動機の自由記述、業種、抱えている課題、名刺の画像を見せる必要はありません。

ところが実務では、名簿を印刷して渡す、あるいは表計算ファイルをそのまま共有するという形が取られがちで、その結果すべての列が見える状態になります。列を絞った当日用の名簿を別に作る方法もありますが、作った時点でファイルが増え、そのファイルの回収と削除という作業がまた発生します。最初から見せる範囲を設定できる形にしておくほうが、当日の手間も後の手間も減ります。

共催や協賛に名簿を渡すときの線引き

共催や協賛が付くセミナーでは、参加者名簿の受け渡しが議題になります。協賛の対価として参加者リストの提供が条件に含まれていることもあります。この扱いは、事務局の内部で見せる範囲を絞る話とは性質が違い、本人の同意に関わる領域に入ります。

個人情報保護委員会は、利用目的について次のように示しています。

個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的をできる限り特定しなければならない。 出典: 個人情報保護委員会

セミナーの受付に当てはめると、「本セミナーの運営およびご案内のため」までは自然に書けます。難しいのはその先です。共催先からの案内に使ってよいか。協賛企業に渡してよいか。次回以降のセミナーの案内に使ってよいか。この三つを目的に含めるかどうかで、申し込みフォームに書く文面も、開催後にできることも変わります。実際の判断は所管の窓口や専門家に確かめてください。ここで押さえておきたいのは、渡すかどうかを開催の直前に決めようとすると間に合わない、という運用上の事実です。申し込みを受け付ける前に決めておく必要があります。

見られる人を絞ると、確認の質が上がる

権限を絞ることは、情報を守るためだけの作業ではありません。見る人が絞られると、誰が確認したのかがはっきりします。返信したかどうか、支払いを確認したかどうか、当日の出欠をどう記録したか。これらが担当ごとにひも付くと、抜けが見つけやすくなります。

全員が全部を見られる状態は、一見すると柔軟で便利ですが、実際には誰も責任を持たない状態になりやすいものです。送信されたあとの道具がそろっている形を選ぶと、権限と担当と進捗が同じ場所で扱えるようになります。受け取ったあとに担当を決めて状況を追う使い方はイベントの申し込みにまとまっています。

集める前に決めておく三つのこと

受付を始めてしまうと、後から変えるのは難しくなります。募集を開始する前に決めておくと後が楽になる項目を挙げます。

何のために集めるのかを、項目ごとに書く

項目を足すときに、その項目が無いと何ができないのかを一行で書いてみると、不要な項目が落ちます。「業種」は登壇内容の調整に使うのか、開催後の営業に使うのか。前者なら開催が終われば役目は終わり、後者なら本人にその旨を伝えておく必要があります。役職や従業員規模も同じです。

書き出してみると、集めているが使っていない項目が必ず出てきます。使っていない項目は、参加者に入力の手間をかけさせたうえで、事務局に管理の責任だけを残しています。申し込みの入力項目が多いほど途中で離脱する人が増えるので、削ることは受付の成果にも効きます。フォームで集めたあとに何ができるのかを先に見ておくと、集める項目の判断がしやすくなります。詳しくはできることにまとまっています。

項目を必須にするかどうかも同時に決めます。電話番号を必須にすると、当日の急な連絡がしやすくなる一方で、番号を出したくない参加者が離脱します。会場開催で当日の連絡が必要なら必須にする理由がありますが、オンライン開催で使う予定が無いなら任意にできます。必須にした項目は、必ず入力されるぶん、必ず管理の対象になります。

参加者に見えない管理用の項目を混ぜるのも、後の整理を楽にします。どの告知経路から来たのか、どの回の申し込みなのか、担当は誰か。これらは参加者から集める情報ではなく事務局が付けるものなので、本人から預かった情報とは性質が違います。混ぜて持っていても構いませんが、外に渡すときに切り分けられるようにしておきます。

保存する期間と、消す担当を決める

期間は、項目ごとに決めます。参加者名簿は次回案内に使うなら一定期間残し、使わないなら開催の締めとともに役目が終わります。学割や会員価格の確認に使った証明の画像は、当日の受付が終われば不要です。支払いに関わる書類は、経理の保存年限に従います。この三つを混ぜて一つの期間にまとめると、いちばん長い年限に全部が引きずられます。

消す担当も同時に決めます。「気づいた人が消す」という決め方では、誰も消しません。開催後の締めの作業に「受付で受け取った証明画像の削除」を1項目として入れる。あるいは、開催から3か月を目安に見直す日を最初から予定に入れておく。作業として組み込まれていない削除は、実行されないと考えて設計するほうが確実です。

事故が起きたときの連絡の道筋を決める

添付を付け間違えて別の参加者の情報を送ってしまった、宛先をまとめて送ってしまい参加者同士にアドレスが見えてしまった。こうした事故は、丁寧に運用していても起こります。起きたあとに何をするかを決めていないと、発覚してから最初の連絡までに時間がかかります。

決めておくのは三つです。誰に最初に報告するか、参加者への連絡を誰の名前で出すか、何を伝えるか。文面の骨格まで用意しておくと、実際に起きたときの初動が変わります。報告先や届出の要否については所管の窓口に確かめてください。事務局として決めておけるのは、社内で誰が判断するかという一点です。

起こりやすい事故の型は限られています。宛先の指定を間違えて参加者全員のアドレスが互いに見える状態で送信した、別の回の案内を送るつもりで違う名簿を使った、添付するファイルを取り違えた、退職者のアカウントが残っていて名簿にアクセスできる状態だった。どれも一人の不注意ではなく、確認の手順が無いことから起きています。案内を送る前に宛先の指定と対象の名簿を別の人が確認する、という一手順を入れるだけで、上の三つはかなり減ります。

参加者に何をどう伝えるかを、募集の前に決める

集める側の運用を整えても、参加者への説明が申し込みページに書かれていなければ、後から使い道を広げられません。ここは開催の準備の中で後回しになりやすい部分ですが、実際には最初に決めておくと後が一番楽になる部分です。

目的の書き方は、狭すぎても広すぎても困る

「本セミナーの運営のため」とだけ書くと、開催後に案内を送れなくなります。逆に「当社のサービスに関するご案内のため」まで広げると、参加者から見て何に使われるのかが分からず、申し込みそのものをためらわせます。実務的な落としどころは、運営に必要な用途と、開催後に実際に行う予定のある用途を、具体的に並べて書くことです。予定の無い用途を念のため書いておく、という書き方は、信頼を落とすわりに使い道が増えません。

書き方を決めたら、フォームの中と、告知ページと、案内メールで表現がずれていないかを確かめます。三か所で違うことが書かれていると、問い合わせが来たときにどれが正しいのかを事務局の中で確認する作業が生まれます。

同意の取り方は、項目ごとに分ける

参加の申し込みに必要な同意と、開催後の案内の受け取りに関する同意は、別のものとして扱えます。一つのチェックにまとめると、案内を受け取りたくない人が申し込みそのものをやめてしまうか、意図しない同意をした状態になります。どちらも後で困ります。

分けておけば、開催後の案内を送る対象を機械的に絞れます。名簿の中から手作業で対象を選ぶ運用は、回数を重ねるほど間違いが混ざります。申し込みの時点で分かれていれば、送るときの判断が要りません。

問い合わせの窓口を書いておく

自分の情報を消してほしい、案内を止めてほしい、登録した内容を直したい。こうした連絡が来る先を書いておかないと、事務局の個人宛のメールアドレスに届きます。担当が変わったときに引き継がれず、届いた連絡が誰にも見られないまま残ることがあります。

窓口を一つに定めて、そこに届いた連絡を一覧で追えるようにしておくと、対応の抜けが見えます。問い合わせを受けたあとに担当を決めて状況を追う形にできるかどうかは、受付の道具を選ぶときの条件に入ります。

いま使っている道具のままで足りるかを見極める

新しい仕組みを入れる前に、いまの道具で足りるかを確かめておきます。替えなくてよい場合を先に置きます。

社内向けの勉強会なら、組織のフォームで足りる

参加者が全員自社の社員である社内の勉強会なら、組織のアカウントを前提としたフォームがそのまま使えます。回答者は既にログインした状態なので入力の障害がなく、集めた情報は組織の管理下に置かれます。権限の設定も社内の仕組みに乗ります。この条件がそろっているなら、受け付け方を変える理由はほとんどありません。

外部の参加者を集めるときに出てくる条件

一般に公開するセミナーになると、条件が変わります。回答者にアカウント登録を求めない、スマートフォンだけで申し込みが完結する、集めた情報を一つの場所に置いたまま権限だけを配れる、返信したかどうかが一覧に残る。この四つのうち、どれかが欠けると手作業が残ります。

広く使われているフォーム作成ツールは、集める部分については十分な機能を持っています。回答が表計算に流れる仕組みも整っていて、無料で使える範囲も広い。判断が分かれるのは、集めたあとを誰がどう見るかの制御と、返信の記録が残るかどうかです。どこまでが得意で、どこから手当てが要るのかはGoogleフォームとの比較に整理されています。

費用と手間の釣り合いを見る

権限の設定や削除の運用は、道具を替えれば自動的に解決するものではありません。誰にどこまで見せるかを決めるのは事務局の仕事で、道具はそれを実行できるかどうかの器にすぎません。逆に言えば、決めたことを実行できない器を使っていると、決めた内容が守られないまま運用が続きます。

年に数回の開催で参加者が数十人という規模なら、いまの運用で回っているかもしれません。開催の頻度が上がり、複数の回を並行して募集するようになったあたりから、表計算ファイルの管理が追いつかなくなります。費用の見当を先に付けておくと、切り替えるかどうかの判断が早くなります。目安は料金から確かめられます。

切り替えの判断で見落とされやすいのは、いまの運用に掛かっている手間が見えていない点です。名簿の書き出し、当日用の抜粋の作成、共有したファイルの回収の依頼、削除の確認。それぞれは短い作業ですが、開催のたびに繰り返されます。1回の開催で合計2時間掛かっているなら、年に十数回の開催では相当な量になります。数えていないと、この分は費用の比較に入りません。

移行するなら、次の回から少しずつ

道具を替えると決めても、進行中の募集の途中で切り替えるのは避けたほうが無難です。同じ回の参加者が二つの場所に分かれると、当日の受付でどちらを見ればよいかが分からなくなります。次の回の募集開始に合わせて切り替え、過去の回の情報は現在の場所に残したまま保存期間の到来を待つ。この形なら、開催そのものに影響を出さずに移せます。

過去の名簿をすべて移す必要があるかどうかも、先に考えておきます。使う予定のない古い名簿を移すのは、移す先に古い情報を持ち込むだけです。保存の期間が来ているものは、移す前に消してしまうほうが、移行の作業も後の管理も軽くなります。

決めたことを続けるために、どこを見るか

方針を決めても、続かなければ意味がありません。運用が形骸化しているかどうかを見分ける観点を挙げます。

一覧の外にコピーが増えていないか

守られているかどうかを確かめる方法は、規則を読み返すことではありません。実際に情報がどこにあるかを数えることです。決めた運用が守られているかは、一覧の外にファイルが増えているかどうかで分かります。当日用の名簿、営業に渡した抜粋、報告用に作った集計。それぞれ作った理由はありますが、作られた時点で管理の外に出ています。増えているなら、一覧のままでは足りない用途があるということです。その用途を一覧の中で満たせないかを考えるほうが、コピーを禁じるより現実的です。

自由記述の欄が読まれているか

自由記述の欄は、置いたまま誰も読んでいないという状態になりやすい場所です。読んでいないなら、集めているだけで使っていないことになります。参加者は時間をかけて書いているので、読まないなら欄を消すか、読む担当を決めるかのどちらかにします。

読む担当を決めた場合は、そこに書かれた内容をどう扱うかも決めます。登壇者に渡すのか、事務局の中だけで見るのか、当日の運営に反映するのか。扱いが決まっていない情報は、共有するかどうかの判断が毎回発生し、その判断が人によって変わります。

権限が開催のたびに広がっていないか

当日だけスタッフに見せた権限が、開催後も残っていることがあります。共催のために一時的に渡した権限も同じです。開催の締めの作業に「一時的に付けた権限を戻す」を入れておくと、少しずつ広がっていく事態を防げます。誰がいまどこまで見られるのかを、開催ごとに一度確認する。この一手間が、時間が経つほど効いてきます。

異動や退職の扱いも同じ枠で決めます。事務局を離れた人のアカウントが有効なまま残っていると、本人が使う意図がなくても、見られる状態は続きます。人が入れ替わる時期に権限の見直しが漏れると、その状態が次の見直しまで気づかれません。開催ごとの確認に加えて、人の異動があったときに必ず見る、という二つの契機を決めておくと抜けが減ります。

実際の画面で流れを追ってから決める

仕様の一覧を読み比べても、権限の設定が実務で回るかどうかは分かりません。申し込みが届いてから、担当を決めて、返信して、開催後に消すまでの流れを一度なぞってみると判断が早くなります。実際の画面で確かめられるものは動くところを見るから追えます。判断に迷う点があれば、先に整理された論点をよくある質問で確かめておくと、比較の土俵がそろいます。

決める順番は、集める項目、見られる人、保存期間、消す担当の四つです。この順で決めると、後から矛盾が出にくくなります。逆に保存期間から決め始めると、見られる人が決まっていないので、期間が来ても消しきれない状態が残ります。見られる人を絞るところから手を付けるのは、そのためです。

最初の一歩としては、次の開催で扱う情報を紙一枚に書き出すところから始められます。左に項目、真ん中に使う目的、右に見られる人。この三列が埋まらない項目は、集める理由が説明できていない項目です。埋まらない欄が見つかったら、集めるのをやめるか、目的を決めるかのどちらかを選びます。この作業は開催のたびに繰り返す必要はなく、一度作って、回ごとに違うところだけ直せば足ります。

セミナーの受付は、開催日という締切に向かって件数が一気に増える性質があります。締切の直前に慌てて名簿を書き出し、当日用に加工し、関係者に配る。この慌ただしい局面で、決めていない判断を場当たりで下すと、そこから漏れが生まれます。決めておくことの価値は、判断の回数を減らせる点にあります。

Q1. 申し込みフォームの入力項目は、少ないほうがよいのですか?

入力の手間が増えるほど途中で離脱する人が増えるので、開催の運営に必要な項目に絞るのが基本です。判断の仕方としては、項目ごとに「これが無いと何ができないか」を一行で書いてみると、使っていない項目が見つかります。参加動機や課題のような自由記述は、登壇内容の調整に使うなら残す価値がありますが、集めたあとに誰も読んでいないなら削ったほうが、参加者にとっても事務局にとっても軽くなります。

Q2. 協賛企業に参加者名簿を渡してもよいですか?

本人への説明と同意に関わる領域なので、法律上の判断は所管の窓口や専門家に確かめてください。運用として重要なのは、渡す可能性があるなら申し込みを受け付ける前に決めておくという点です。開催の直前になって渡すことになると、既に受け付けた申し込みについて説明が足りない状態になります。渡す範囲や項目を絞る、希望した人だけに限る、といった設計も先に決めておけます。

Q3. 当日の受付スタッフに、名簿をどこまで見せればよいですか?

来場した人が申し込んでいるかどうかと、支払いが済んでいるかどうかを確認できれば足ります。参加動機の自由記述、業種、名刺の画像まで見せる必要はありません。列を絞った名簿を別に作る方法もありますが、作ったファイルの回収と削除という作業が新たに発生します。見せる範囲を設定できる形にしておくほうが、当日の手間も開催後の手間も減ります。

Q4. 集めた個人情報は、いつまで保管すればよいですか?

項目ごとに分けて決めます。参加者名簿は次回案内に使うなら一定期間残し、使わないなら開催の締めで役目が終わります。学割の確認に使った証明の画像は、当日の受付が終われば不要です。支払いに関わる書類は経理の保存年限に従うので、他と混ぜずに分けておきます。三つを一つの期間にまとめると、いちばん長い年限に全部が引きずられます。

Q5. 表計算ファイルで名簿を配るのは、やめたほうがよいですか?

配った時点で管理の外に出るという点は理解しておく必要があります。転送され、手元に保存され、加工されて別名で保存されるため、後から何部あるかを追えません。一覧を一つの場所に置いたまま、見る権限だけを配る形にできるなら、そちらのほうが削除まで含めて管理できます。すぐに切り替えられない場合でも、配る範囲と列を絞るだけで広がり方は変わります。

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