メールの開封率を確認する方法を探している人は、たいてい2つのうちどちらかの立場にいます。一斉配信の反応を数字で知りたい立場か、大事な1通が読まれたかどうかを確かめたい立場です。この2つは測り方も、信じてよい範囲もまったく違います。この記事では、開封率がどうやって数えられているのかを仕組みから説明したうえで、実際に確認する手順、数字が実態からずれる原因、そして受付や問い合わせの窓口で開封率の代わりに見るべきものまでを順番に整理します。
開封率は何を数えた数字なのか
配信サービスの画面に出ている開封率は、ほとんどの場合、本文に埋め込んだ小さな画像が読み込まれた回数から計算されています。仕組みは単純です。メールのHTMLに、受信者ごとに違うURLの画像を1つ入れておく。受信者がメールを表示すると、その画像を取りに来る通信が発生する。サーバー側でその通信を記録すれば、誰がいつ表示したかが分かる、という流れです。
ここから導ける性質が3つあります。
・画像を読み込まなければ数えられない。文字だけで読まれた場合、開封として記録されません ・本文を読まなくても数えられる。画面に表示されただけで画像は読み込まれます。中身を理解したかどうかとは無関係です ・HTMLメールでしか成立しない。テキスト形式のみで送ったメールには、埋め込む場所がありません
開封率の分母も確認が必要です。送信数を分母にするのか、到達数(送信数から宛先不明などのエラーを引いたもの)を分母にするのかで、同じ配信でも数字が変わります。配信サービスによって既定が違うため、他社の平均値と比べる前に、自分の画面の定義を確かめてください。分母が違う数字を並べて比べても意味がありません。
もう1つ、開封確認という別の仕組みと混同されがちです。こちらは受信者のメールソフトが通知を返すもので、受信者が拒否できます。数字として集計する用途には向きません。開封率の話をしているのか、1通ごとの開封確認の話をしているのかは、最初に切り分けてください。
開封という言葉が指しているものを、先に3つに分ける
同じ「開封を確認したい」でも、必要な道具が3つに分かれます。ここを混ぜたまま調べ始めると、探しても答えが見つかりません。
・配信全体の反応を率で知りたい。使うのは配信サービスのレポートです。個人単位の話ではなく、傾向を見る用途です ・特定の1通が読まれたか知りたい。使うのは開封確認です。ただし相手が拒否でき、環境によっては機能しません ・誰が提出済みで誰が未提出かを知りたい。これは開封の話ではありません。受付の一覧に列を持つ話です
3つ目が意外と多く、しかも開封率では絶対に解決しません。開封したかどうかと、必要な書類を出したかどうかは別の事実だからです。案内メールを全員が開いていても、提出が半分なら、窓口の仕事は半分残ります。
自分がどれを知りたいのかが決まると、見る画面が決まります。配信の反応なら配信サービス、1通の到達なら返信を求める書き方、提出状況なら受付の一覧。この記事では3つとも扱いますが、いま急いでいるものから読んでください。
配信サービスで開封率を確認する手順
一斉配信の開封率を見るなら、配信サービスの管理画面に用意されているレポートを使います。サービスごとに名前は違いますが、見る場所の順番は共通しています。
・配信ごとのレポートを開く。送信数、到達数、開封数、クリック数がまとまっています ・分母の定義を確認する。到達数を分母にしているサービスが多数派です ・重複の扱いを確認する。同じ人が3回開いた場合に1と数えるのか3と数えるのかで、数字が変わります ・期間を確認する。配信直後の数時間で大半が動くため、送った当日と1週間後では別の数字になります
自前でメールを送っている場合は、開封率を測る仕組みがそもそも入っていません。メールソフトから普通に送ったメールに、追跡用の画像は入らないからです。測りたいなら、配信サービスを使うか、追跡機能を持つ道具に切り替える必要があります。無理に自分で画像を埋め込む方法もありますが、受信者ごとにURLを変える処理と、記録を集計する処理を自作することになるため、実務では割に合いません。
もう1つ実務的な注意があります。開封率は配信サービス側の記録なので、後から手元で検算できません。数字の根拠を求められる場面では、レポートの画面を保存しておくか、書き出しの機能で明細を残しておいてください。あとから同じ数字を再現しようとしても、集計の定義が変わっていると一致しなくなります。
数字が実態からずれる、最大の原因
開封率を実際の閲読率として扱えなくなった理由がはっきりあります。端末側で開封の測定を無効にする仕組みが広く使われるようになったからです。
Appleの公開資料には、次のように書かれています。
「メールプライバシー保護」では、IPアドレスが隠され、送信者はIPアドレスをあなたのほかのオンラインアクティビティと関連付けたり、正確な位置情報を特定したりすることができなくなります。また、あなたに送信したメールメッセージが開かれたかどうか送信者が確認することもできなくなります。 出典: support.apple.com
この機能が働くと、実際に読まれたかどうかにかかわらず、送信側の記録がその人の実態を表さなくなります。読んでいないのに開封として記録される場合も、読んだのに位置や時刻が分からない場合も起こります。
Gmailにも独自の仕組みがあります。公開ヘルプでは、既定では画像付きのメールを受信すると画像が自動的に表示されると説明される一方で、Googleが画像を事前にスキャンして配信するため、送信者が画像の読み込みを利用して利用者のパソコンや所在地に関する情報を入手することはできないと書かれています。同じページには、場合によっては画像を含むメールが開かれたかどうかを送信者が知ることができる、という記述もあります。開封の有無は伝わるが、そこに紐づく細かい情報は渡らない、という状態です。
さらに、利用者が自分で画像の自動読み込みを切っている場合もあります。Gmailには外部画像を表示する前に確認する設定があり、これを選ぶと開封として数えられません。読んでいるのに数えられていない人が一定数いる、という前提で数字を見る必要があります。
開封率を比べてよい相手と、比べてはいけない相手
数字がずれる以上、絶対値を他社と比べても得るものは多くありません。一般に公表されている業種別の平均値も、集計の定義と読者の集め方が違えば意味を持ちません。
比べるなら、自分の中で条件を揃えてください。
・同じ宛先リストの、前回の配信と比べる。読者層が同じなら、差は内容と件名と時刻で説明できます ・同じ内容を、件名だけ変えて比べる。開封率が件名に反応する指標である以上、これがいちばん素直です ・曜日と時刻を揃えて比べる。配信時刻は開封率を大きく動かします
比べてはいけないのは、リストの集め方が違う配信どうしです。申し込みの控えメールのような、相手が待っている1通と、一斉配信のお知らせを同じ土俵で語ることはできません。前者は90%前後まで届くこともありますし、後者はその半分以下から始まるのが普通です。数字の高低ではなく、想定と比べてどうかを見てください。
そしてもう1つ。開封率が上がっても、こちらの用が済むとは限りません。申し込みを受けたい、返信が欲しい、書類を出してほしい、といった目的があるなら、追うべきはその件数です。開封率は途中経過であって成果ではありません。
開封率とクリック率は、必ず並べて読む
開封率だけを見ていると判断を誤ります。画像の読み込みで数えている以上、そこには読んでいない人が混ざり、読んでいるのに数えられない人が抜けているからです。これを補うのがクリック率です。本文中のリンクが押された回数は、URLに識別子を付けて記録するため、画像の設定に左右されません。
2つを並べると、状態が読めるようになります。
・開封率は高いのにクリック率が低い。件名で興味は引けたが、本文で行動につながっていない。文面か導線の問題です ・開封率もクリック率も低い。件名か差出人名か配信時刻を疑います。あるいはそもそも迷惑メールに入っています ・開封率は低いのにクリック率が相対的に高い。画像を読み込まない読者が多い層に届いている可能性があります。数字の絶対値より、前回との差で見るべき状態です
実務では、クリック率を主指標に据えたほうが判断がぶれません。開封率は補助として、件名を変えたときの反応を見るのに使います。到達したかどうかを疑う段階では、開封率よりも先にエラー率と宛先不明の件数を見てください。
もう1つ、クリックのあとに何件の申し込みや問い合わせにつながったかを数えられるなら、そこまで並べてください。開封からクリック、クリックから送信完了までの落ち方が分かると、直す場所が1か所に絞れます。開封率の数値だけを上げても、最後の送信完了が増えなければ、窓口の仕事は1件も減りません。
数字がおかしいときは、到達そのものを疑う
開封率が前回の半分になった、といった急な変化が起きたときは、内容ではなく到達を疑ってください。届いていなければ、開封されようがありません。
確認する順番は次のとおりです。
・エラーの件数。宛先不明や受信拒否で戻ってきた数が増えていないか ・送信ドメインの認証設定。差出人のドメインで認証の仕組みが正しく設定されているか ・送信元の変更。配信サービスの乗り換えや送信サーバーの変更をしていないか ・内容の急変。リンクの数や短縮URLの使用、添付の有無が前回と大きく変わっていないか
このうち認証設定は、専門的に見えて実は影響が最も大きい部分です。設定が不完全なまま送ると、内容にかかわらず迷惑メール扱いされる確率が上がります。自分で判断できない場合は、届いたメールのヘッダに出ている認証結果の欄を見てください。失敗を示す表示が並んでいるなら、原因は文面ではありません。
一斉配信ではなく、窓口からの1通ずつの返信でも同じことが起きます。返信が届いていないという連絡が続くなら、開封の話に入る前に到達を確かめてください。自動返信が迷惑メールに入っている場合、送った側からは何も見えません。
HTMLとテキスト、どちらで送るかで測れるものが変わる
テキスト形式のメールには画像を埋め込めないため、開封率は測れません。リンクの記録は取れるので、クリックだけは追えます。逆にHTMLメールなら両方測れますが、受信側の環境によっては表示が崩れることがあります。
窓口で使う場面ごとに、選び方の目安は次のようになります。
・申し込みの控えや通知。確実に読まれることが最優先です。文字数も短いため、テキストに近い簡素なHTMLで十分です ・一斉のお知らせや案内。反応を測る目的があるならHTMLを選びます ・個別の返信。測定は不要です。相手のメールソフトで崩れない形を優先してください
HTMLで作るときに、改行の扱いには注意が必要です。改行を表す指定に対応しない環境があり、そこでは本文が1つの段落に潰れて届きます。控えのメールがこの状態で届くと、書いてある内容が読み取れず、そのまま問い合わせに変わります。配信の前に、複数のメールソフトで受け取って確認してください。開封率を測る以前に、読める状態で届いているかが先です。
1通ごとに読まれたか確かめたいときの現実解
大事な1通が読まれたかどうかを確かめたい場合、開封率のような統計は役に立ちません。ここで使われるのが開封確認ですが、これも当てにはなりません。
Gmailの公開ヘルプでは、開封確認は仕事用アカウントまたは学校用アカウントでのみ利用でき、個人用のGmail(@gmail.com)アカウントでは機能しないと説明されています。Outlookの資料でも、受信者が開封確認の送信を拒否でき、送信を強制する方法はないと明記されています。相手の環境と意思で結果が変わる仕組みなので、届いていない証拠にも、読んだ証拠にもなりません。
実務では、次の順で確実になります。
・返信をもらう。1行でよいので返信を求める書き方にする。読んだ証拠として最も強い ・受け取りの記録が残る経路にする。フォームで送信してもらえば、送信の時刻が記録として残ります ・別の連絡手段を併用する。期限が近い用件は、電話や別のツールで補います
受付の窓口であれば、2つ目が効きます。応募や申し込みをメールでやり取りしていると、送った送っていないの食い違いが必ず起きます。届いたものが一覧に行として増える形にしておけば、確認の作業自体が要らなくなります。控えの自動返信を出しておけば、送った側にも記録が残ります。
受付の窓口で、開封率の代わりに見るべき数字
問い合わせや申し込みを受ける立場なら、配信の開封率よりも先に見るべき数字があります。開封率は届けた側の指標ですが、窓口の仕事は受けたあとにあるからです。
見る価値があるのは次の4つです。
・初回返信までの時間。届いてから最初の返信を出すまでの中央値。担当が分かれるほど伸びます ・未対応のまま翌日に持ち越した件数。1件でも出るなら、状態の管理が追いついていません ・二重返信と返し忘れの件数。担当が2人以上いる窓口では、必ず一度は発生します ・入力の不備で差し戻した件数。案内文か入力欄の設計に原因があります
この4つは、受信箱を見ているだけでは数えられません。既読と未読しか状態がないからです。回答が項目ごとに並ぶ形で受けていれば、担当と状態が行の属性になるので、そのまま数えられます。送信されたあとの道具がそろっているかどうかは、この4つを測れるかどうかで判断できます。
窓口の詰まりを直したいときも、順番は同じです。まず数える、次に原因の当たりを付ける、最後に道具か手順を変える。開封率を上げる工夫に時間を使う前に、受けたあとの4つを1週間分だけ記録してみてください。手を入れる場所がはっきりします。
開封率を動かしたいときに、実際に触れる場所
数字の読み方が決まったら、次は何を変えるかです。開封率に効く要素は限られています。本文の中身はほとんど効きません。開く前に見えているものしか、開くかどうかの判断には使われないからです。
触れる場所は4つです。
・差出人の表示名。誰から来たかが最も強く効きます。担当者名を入れるか、団体名だけにするかで反応が変わります ・件名。長さより、先頭の数文字に用件が入っているかが効きます。スマートフォンの一覧では末尾が切れます ・プリヘッダ。件名の隣に表示される本文の冒頭です。ここが挨拶文だと、判断材料が1つ減ります ・配信の時刻と曜日。受信箱の並び順に直結します。相手が受信箱を見る時間帯に届いているかを見ます
変えるときは1回に1つだけにしてください。件名と時刻を同時に変えると、どちらが効いたのか分からなくなります。宛先リストを半分に分けて、件名だけを変えた2通を同時に送る形にすれば、時刻の影響を消して比べられます。
返信を求める窓口からのメールでは、もう1つ効くものがあります。返信先のアドレスです。差出人が返信を受け取れないアドレスになっていると、読んだ相手が返そうとして詰まります。開封率を上げる工夫より先に、返信できる状態になっているかを確かめてください。
測る期間の決め方と、途中の数字に振り回されない方法
開封は時間とともに増えます。配信した直後の数字を見て判断すると、必ず低く見えます。逆に、期間を長く取りすぎると、次の配信の影響が混ざります。
現場で扱いやすい区切りは次の3つです。
・配信から24時間。速報として見る数字です。件名と時刻の効き方はここでほぼ出そろいます ・配信から7日。確定値として扱う数字です。週末をまたぐ配信でも条件が揃います ・次の配信の直前まで。長期の反応を見る場合に使いますが、比較には向きません
報告や比較に使うなら、7日で揃えるのが無難です。24時間の数字と7日の数字を混ぜて並べると、増減が測定の期間差なのか、内容の差なのか区別できなくなります。
締め切りのある案内では、期間よりも締め切りとの距離が効きます。締め切りの3日前に出した再案内と、2週間前に出した最初の案内では、同じ文面でも反応が違います。同じ企画の中で回を重ねるときは、締め切りからの日数を揃えて比べてください。日付ではなく、締め切りまでの残り日数で並べ直すと、傾向がきれいに見えます。
数字を社内で共有するときの見せ方
開封率を報告に載せるなら、数字だけを出さないでください。前提が抜けた数字は、誤解のもとになります。
一緒に書くべきものは次の3つです。
・分母の定義。送信数か到達数かを明記します ・集計の時点。配信の何時間後、何日後の数字かを書きます ・比較の相手。前回の配信か、前年の同じ企画か、何と比べているのかを書きます
これを省くと、次の担当者が別の定義で数字を作り、増減の議論が噛み合わなくなります。窓口の引き継ぎでよく起きるのは、前任者の資料に載っていた数字と、いまの画面に出ている数字が違うという相談です。多くの場合、定義が変わっただけで実態は動いていません。
そして、報告に載せる指標そのものを見直す価値もあります。開封率は途中経過です。案内の目的が申し込みを集めることなら、載せるべき主指標は申し込みの件数です。開封率は、件名を変えたときの反応を説明する補助として添えるのが正しい使い方です。
配信と受付を、同じ画面で見られるようにする
配信の開封率と、受付の状態は、多くの現場で別々の道具に分かれています。分かれていること自体は問題ありませんが、片方の数字だけを見て判断すると、施策の効果を読み違えます。
たとえば案内メールの開封率が上がっても、申し込みが増えていなければ、詰まっているのは案内の先です。入力欄が多すぎる、スマートフォンで押しにくい、添付の指定が分かりにくい、といった理由で離脱しています。逆に開封率が横ばいでも申し込みが増えているなら、案内の文面より受付の形が効いています。
どこを見ればよいかは、受付の種類で変わります。締め切りと定員があるイベントの申し込みでは、締め切り直前の駆け込みが数字を歪めます。選考が絡む採用の応募受付では、応募数より書類の揃い方が効きます。継続的に届く問い合わせの受付なら、初回返信までの時間が最も分かりやすい指標になります。自分の窓口に近いものを1つ選んで、そこに合う数字から見てください。
実際の画面で確かめるのが早い場合は、届いた回答が一覧に並ぶ様子を動くところを見るで確認できます。行ごとに担当と状態が付く形が、いまの受信箱とどう違うのかが分かります。集計や書き出しの範囲はできることにまとまっています。
開封率を測る必要がなくなる受け方もある
そもそも、開封率を追う目的が「相手に届いたことを確かめたい」だけなら、測る必要はありません。届いたことを相手が示してくれる形に変えればよいからです。
一斉配信ではなく、申し込みや提出のやり取りであれば、次の形にすると確認の作業自体が消えます。
・案内はメールで出し、返事はフォームで受ける。送信された時点で受付の一覧に行が増えるので、届いたかどうかを追う必要がありません ・控えの自動返信を出す。送った側にも記録が残り、届いていないという問い合わせが減ります ・締め切りの前に、未提出の人だけに再案内を出す。全員に送るより反応が良く、こちらの手数も減ります
3つ目は、受付の一覧に提出済みかどうかの列があって初めて成立します。受信箱で管理していると、誰が未提出なのかを目視で拾うことになり、件数が増えたところで破綻します。開封率を上げる工夫に時間を使うより、未提出の人を機械的に抽出できる形にしたほうが、最終的な回収率は上がります。
窓口の担当者からよく出るのは、案内メールの開封率は悪くないのに提出が集まらない、という相談です。この場合、詰まっているのは案内の先です。入力欄が多い、スマートフォンで押しにくい、添付の形式が指定どおりに用意できない、といった理由で途中離脱しています。開封の数字ではなく、送信完了までの落ち方を見てください。
数字を追う前に、記録が残る形になっているか
最後に、いま使っている道具でどこまで測れるのかを確認してください。測れないものを改善しようとすると、感覚での議論になります。
確認する項目は3つです。
・送信の記録が残るか。誰にいつ送ったかが、あとから引けるか ・受信の記録が残るか。誰からいつ届いたかが、担当者の記憶以外に残るか ・対応の記録が残るか。誰がいつ返したかが、行として残るか
3つとも残るなら、開封率が測れなくても運用は回ります。逆に3つとも残らないなら、開封率だけを見ても改善の手がかりになりません。無料で使える道具でどこまで残るかは、選ぶものによって差があります。回答が表に集まる形についてはGoogleフォームとの比較に、組織のアカウントを前提にした受付についてはMicrosoft Formsとの比較に、それぞれ違いが整理されています。自分のサイトに埋め込んで運用している場合はContact Form 7との比較が近い話になります。
費用の見当を先に付けておくと、機能の比較が速く進みます。受付の件数と担当者の人数で必要な条件が変わるため、料金で自分の規模に当たる範囲を確かめてから機能を見てください。仕様の細かい点で迷ったらよくある質問にも目を通しておくと、問い合わせの往復が減ります。
なお、配信や受付で預かった連絡先の扱いは、測定の話とは別に決めておく必要があります。開封の記録も、誰がいつ何を見たかという情報です。保管の期間と、社内で見られる範囲を先に決めてください。判断に迷う項目があれば、所管の窓口や専門家に確かめてから運用を始めるのが安全です。
最後に順番だけ整理します。まず到達を確かめ、次に記録が残る形を作り、そのうえで開封率とクリック率を並べて読む。この順で進めれば、数字に振り回されずに済みます。開封率は窓口の仕事を減らす指標ではありません。減らすのは、受けたあとに何が残るかのほうです。
Q1. メールの開封率は何%くらいあれば良いのですか?
一律の基準はありません。相手が待っている控えメールと、一斉配信のお知らせでは前提が違い、同じ物差しでは測れないからです。他社の平均値と比べるより、同じ宛先リストの前回の配信と比べてください。件名だけを変えて比べると、差の原因が説明できます。分母が送信数か到達数かでも数字が変わるため、定義の確認が先です。
Q2. 配信サービスを使わずに開封率を測れますか?
メールソフトから普通に送ったメールには追跡用の画像が入らないため、そのままでは測れません。自分で受信者ごとに違う画像URLを埋め込み、その通信を記録する仕組みを作れば理屈の上では可能ですが、集計まで自作することになり実務では割に合いません。測る必要があるなら、追跡機能を持つ配信サービスを使うほうが確実です。
Q3. 開封率が低いのは、メールが迷惑メールに入っているからですか?
その可能性はありますが、断定はできません。端末のプライバシー保護機能や画像の非表示設定でも数字は下がります。切り分けるなら、まず到達数と宛先不明の件数を見てください。到達しているのに開封が極端に低い場合は、件名と送信時刻、差出人の表示名を疑います。到達自体が減っているなら、送信ドメインの認証設定を確認する段階です。
Q4. 申し込みの控えメールが読まれたかを確かめる方法はありますか?
開封確認は受信者が拒否でき、個人のGmailアカウントでは機能しないため、確実な方法にはなりません。実務では、返信を1行求める書き方にするか、送信の記録が残る形で受け付けるのが確実です。フォームで受け付ければ、送信された時点で受付の一覧に記録が残るので、届いた届かないの確認そのものが不要になります。
