飲食店の問い合わせ件数を集計しようとして、月末に「先月は何件だったか」までは出せても、そこから先の手が何も決まらない、という声はよく聞きます。件数は結果であって、原因が入っていないからです。この記事では、宴会や貸切、団体予約、取材や業者からの連絡まで含めた飲食店の問い合わせを、次の打ち手につながる形で数えるための方法を整理します。数える項目、一件の数え方、表計算とフォームと問い合わせ管理システムの比べ方、そして Google ビジネス プロフィールに出る数字と店の記録の突き合わせ方まで、順に扱います。
飲食店に届く問い合わせは、入り口がばらばらに分かれている
飲食店の問い合わせ件数の集計が難しい一番の理由は、件数の少なさではなく、入り口の多さにあります。一般的な店舗でも、問い合わせは次のような経路から届きます。
・店の電話(営業中にかかってくるもの、留守番電話に残るもの) ・Google マップや Google 検索に出るビジネス プロフィールの通話ボタンとメッセージ ・グルメサイトや予約サイトのリクエスト予約、問い合わせ機能 ・自店のウェブサイトの問い合わせフォーム、メール ・Instagram や LINE 公式アカウントのメッセージ ・来店時に口頭で受ける宴会や貸切の相談
それぞれの経路には、それぞれの画面と通知があります。予約サイトの管理画面は予約サイトの件数しか数えず、LINE の画面は LINE の件数しか数えません。店全体で何件来ているのかを知っている画面は、どこにもありません。
さらに、飲食店の問い合わせは中身の幅が広いのが特徴です。宴会の人数と予算の相談、アレルギー対応の確認、貸切の可否、駐車場の有無、取材の依頼、求人への応募、食材業者や広告の営業。売上に直結するものと、そうでないものが同じ入り口に混ざって届きます。件数だけを合計すると、営業電話が多かった月に「問い合わせが増えた」と読み違えることになります。
もう一つ、飲食店ならではの事情として、受ける人が固定されていない点があります。ランチの時間帯はホールの誰かが電話を取り、夜は店長が取り、メールは定休日にまとめて見る。受けた人が違えば、記録の付け方も違います。月末に集計しようとしたとき、紙の予約台帳、店長のスマートフォンのメモ、予約サイトの管理画面、メールの受信箱を突き合わせる作業が発生し、それが続かない原因になります。
集計を始める前に、まず自店に問い合わせが届く経路を全部書き出してみてください。多くの店で5つから7つほどの経路が挙がります。この一覧が、後で「入り口ごとの件数」を出すときの列の見出しになります。
集計の前に決めておく「一件」の数え方
件数を数えるには、一件の単位を先に決めておく必要があります。ここが曖昧なまま数え始めると、同じ月の数字でも数える人によって倍近く違ってきます。
同じ人からの連絡は、一件にまとめる
宴会の相談は、一往復では終わりません。最初の問い合わせ、日程の確認、人数の変更、コースの相談、最終確定と、同じお客様から5回、6回と連絡が来ることは珍しくありません。これを連絡の回数で数えると、件数は膨らみますが、相談の数は増えていません。
おすすめは、「同じお客様の、同じ利用日の相談」を一件とする数え方です。連絡の回数は、別の項目として「確定までの往復の回数」に残します。こうすると、件数は需要の量を、往復の回数は手間の量を、それぞれ別々に表すようになります。
営業と応募は、別の箱に分ける
食材や設備の営業、広告の勧誘、求人への応募、取材の依頼は、件数には数えても、来店の問い合わせとは分けて集計します。混ぜてしまうと、来店につながる問い合わせが減っているのに、営業電話が増えたせいで合計が横ばいに見える、ということが起きます。
「流れた件」を必ず残す
予約台帳には、確定した予約しか残りません。問い合わせはあったけれど、満席で断った件、予算が合わずに流れた件、返信が遅れて他店に決まった件は、台帳のどこにも記録されません。ところが、次に何を変えるかを決めるのに一番役に立つのは、この流れた件です。確定した件と流れた件を同じ表に残し、流れた件には理由を一つ選んで付ける。この一手間が、集計を打ち手につなげる分かれ目になります。
飲食店の問い合わせで集計すべき項目
問い合わせ管理の記事では、集計の項目を10個以上挙げているものが少なくありません。メール対応の現場向けに書かれた解説では、項目を増やしたときの負担について、次のように書かれています。
このように、これら全てを網羅して集計しようとすると、メール1通につき、11項目の入力が必要になります。ショートカットキーやプルダウン設定、VBA等、入力速度を上げる対策はありますが、問い合わせ件数が増えてくると、毎日膨大な時間と労力が消費されてしまいます。さらに、Excelによる管理は作業時間と労力だけでなく、件数増加とともに様々なリスクに直面します。ここではどのような問題が発生すると予想されるのか、3つご紹介します。 出典: maildealer.jp
営業中の飲食店で、電話を切ったあとに11項目を入力する余裕はありません。記録に掛けられる時間は、一件あたり10秒ほどと考えておくのが現実的です。そこで、飲食店の問い合わせ件数の集計では、項目を次の6つに絞ることを勧めます。
| 項目 | 記録する中身 | 分かること |
|---|---|---|
| 受けた日時 | 電話やメッセージが届いた日時 | 曜日と時間帯ごとの集中 |
| 入り口 | 電話、予約サイト、Google、自社サイト、SNS、来店 | どの経路を厚くすべきか |
| 種類 | 宴会・貸切、通常予約、質問、営業・応募 | 来店につながる件の割合 |
| 希望日と人数 | 利用希望日と人数の帯 | 繁忙日の偏り、席の設計 |
| 結果 | 確定、断り、流れ、対応中 | 取りこぼしの量 |
| 断りや流れの理由 | 満席、予算、日程、返信の遅れ、その他 | 次に変える場所 |
これに、余裕があれば「最初の返信までにかかった時間」を加えます。メールやメッセージで届く問い合わせでは、返信の速さがそのまま成約に響くからです。受付日時と最初の返信日時の2つが残っていれば、時間は後から計算で出せます。
項目を追加したくなったときは、その項目を見て何を変えるのかを先に書いてみてください。変える先が書けない項目は、集計しても読まれません。
集計の方法を比べる:台帳、表計算、フォーム、管理システム
飲食店の問い合わせ件数を集計する方法は、大きく4つに分かれます。費用と手間、取りこぼしの起きやすさが、それぞれ違います。
| 方法 | 費用の目安 | 向いている店 | 弱いところ |
|---|---|---|---|
| 紙の予約台帳に追記 | ほぼ0円 | 問い合わせが月に数件の店 | 流れた件が残らない、月末に数え直しが要る |
| 表計算(Excel、Googleスプレッドシート) | 0円から | 記録する人が1人か2人に決まっている店 | 入力が後回しになる、誰が返信したかが残らない |
| 問い合わせフォーム(受付の入り口を一本化) | 無料から月額数千円 | メールと SNS の問い合わせが多い店 | 電話の分は別に入力が要る |
| 問い合わせ管理システム | 月額数千円から数万円 | 複数店舗、または問い合わせ担当が複数いる店 | 導入時に運用ルールを決める手間がかかる |
紙の予約台帳
最も手軽で、多くの店がすでに使っています。弱点は、確定した予約の台帳であるために、流れた件が残らないことです。台帳の余白に「問い合わせのみ」の欄を作り、断った件にも一行書く運用にすると、最低限の集計はできるようになります。
表計算
Excel や Google スプレッドシートに、前の章の6項目を列として並べます。プルダウンで入り口や結果を選べるようにしておくと、入力の手間が大きく減ります。弱いのは、入力が営業後にまとめて行われがちな点です。忙しい日ほど入力が抜け、繁忙期の数字ほど欠けるという逆転が起きます。また、複数人で同じ表を触ると、誰が返信を済ませたのかが表から読み取れなくなります。
問い合わせフォームで入り口をまとめる
宴会や貸切の相談だけでもフォームで受けるようにすると、日時、人数、予算、希望日が最初から項目として揃って届きます。入力の手間がお客様の側に移るので、店側の記録の負担が大きく下がります。無料のフォーム作成サービスでも受け付けはできますが、届いたあとに「対応中」「返信済み」といった状態を付けられるかどうかで、集計のしやすさが変わります。たとえば無料で広く使われている Google フォームと、届いたあとの対応まで管理するフォームとの違いは、Googleフォームとの比較で、回答の管理と担当の付け方の観点から並べています。
問い合わせ管理システム
メールや Web フォーム、チャットの問い合わせを一つの画面に集め、担当者と対応状況を付けて管理する仕組みです。飲食店向けとして紹介される製品もあり、費用は月額数千円から数万円の幅で、利用人数や機能で変わります。導入のメリットは、担当と状態が一件ごとに残るため、集計がほぼ自動になることです。一方で、電話で受けた問い合わせは、誰かが入力しない限り入りません。どの方法を選んでも、電話の分をどう記録に入れるかは、別に決める必要があります。
表計算で集計するときの具体的な作り方
道具を新しく入れる前に、まず表計算で1か月だけ試してみる店も多いはずです。その場合の作り方を、手順として書いておきます。
1枚目のシートに、一件一行で記録する
1行目に、受けた日時、入り口、種類、希望日、人数、結果、理由、最初の返信日時の8列を並べます。入り口、種類、結果、理由の4列はプルダウンにして、選択肢を固定します。自由に書ける欄にすると、「電話」「TEL」「でんわ」のように表記が揺れ、集計の段階で数え漏れが出ます。選択肢の最後には「その他」を必ず入れておき、その他が増えてきたら選択肢を見直す合図にします。
2枚目のシートで、件数を数える
集計用のシートでは、COUNTIFS 関数を使って、月と入り口、月と種類、月と結果の組み合わせごとに件数を数えます。たとえば「10月に電話で受けた宴会の相談のうち、断った件」は、日付の範囲、入り口、種類、結果の4つの条件を並べるだけで数えられます。最初の返信までの時間は、最初の返信日時から受けた日時を引いた列を1枚目に作り、AVERAGEIFS で月ごとの平均を出します。
入力する人と、見る日を決める
表の作りよりも大切なのは、誰がいつ入力するかです。電話を取った人がその場で入力するのか、閉店後に店長がまとめて入力するのかを決めておきます。見る日も決めます。月末に一度、店長と宴会担当が10分だけ表を見て、断りの理由の上位3つを確認する。それだけでも、数字が次の手に変わり始めます。
1か月試して、入力が続かなかった場合は、それ自体が大事な情報です。入力の手間が重すぎるのか、入力する人が決まっていないのか、そもそも問い合わせが表計算で追えない量になっているのか。原因によって、次に選ぶ方法が変わります。
電話で受けた問い合わせを、記録から漏らさない方法
飲食店の問い合わせのうち、電話の割合は依然として高いままです。どれだけフォームやメッセージを整えても、電話の分が記録に入らなければ、集計の数字は実態より小さくなります。
電話の横に、記録の入り口を置かない
紙のメモ帳を電話の横に用意する方法はよく使われますが、メモは後で転記する手間が生まれ、転記されないまま捨てられることがあります。店のタブレットやスマートフォンで、選択肢を選ぶだけの短い記録用フォームを開いておき、電話を切ったらそのまま入力する形のほうが、記録が残りやすくなります。項目は、入り口、種類、希望日、人数、結果の5つ程度に絞ります。
宴会の相談は、電話のあとにフォームへ案内する
電話で宴会の相談を受けたとき、人数や予算、アレルギーの有無まで口頭で聞き取ると、通話が長くなり、聞き漏れも起きます。日程の空きだけを電話で答え、詳細はフォームから送ってもらうように案内すると、記録はお客様の入力で残り、店側の手間も減ります。フォームの URL を伝えやすいように、短いアドレスや QR コードを用意しておくと案内がしやすくなります。
取れなかった電話も、件数として意識する
営業中に取れなかった電話は、記録のしようがありません。ただし、留守番電話に残ったものや、着信履歴に残ったものは、翌日に件数だけでも数えておくと、取りこぼしの規模が見えてきます。後の章で触れる Google ビジネス プロフィールの通話数と並べると、さらに見え方が変わります。
Googleビジネスプロフィールの数字と、店の記録を突き合わせる
飲食店の問い合わせのうち、Google マップと Google 検索から来るものは、店の外側にも数字が残ります。Google ビジネス プロフィールのヘルプ(2026年10月8日に確認)によると、パフォーマンスの画面では次のような指標を、期間を選んで確認できます。
・通話数:ビジネス プロフィールの通話ボタンがクリックされた回数 ・ルート:ビジネスへのルートを検索したユーザーの数 ・ウェブサイトのクリック:プロフィールに表示されたウェブサイトへのリンクのクリック数 ・メッセージ:メッセージで交わされた会話の数 ・予約:予約プロバイダ経由で管理している場合に、ユーザーが完了した予約の数
なお、パフォーマンスのデータは、オーナー確認済みのビジネス プロフィールでのみ見られると明記されています。
ここで注意したいのは、通話数が「通話ボタンがクリックされた回数」である点です。ボタンを押したあと、つながらずに切った人、営業時間外で出られなかった人も含まれます。店の記録にある電話の問い合わせ件数と、Google の通話数を月ごとに並べると、差が出るのが普通です。
この差には意味があります。たとえば Google の通話数が月に80回、店で記録した Google 経由の電話が40件だとすると、残りの約半数はつながらなかったか、記録されなかった電話だと考えられます。どちらなのかを切り分けるには、受けられなかった時間帯を見ます。ランチのピーク時間に通話ボタンが押されている日が多ければ、取れなかった電話が多い可能性が高く、宴会の相談はフォームやメッセージに誘導するほうがよい、という判断につながります。
同じように、ウェブサイトのクリック数と、自社サイトのフォームから届いた件数を並べると、サイトに来た人のうち問い合わせまで進んだ割合の目安になります。この割合が低い場合は、フォームの入力項目が多すぎないか、スマートフォンで入力しにくくないかを見直す価値があります。
集計した数字の読み方と、次に変える手
数字が集まったら、読み方を決めておきます。読み方が決まっていないと、毎月の報告が「先月より増えた、減った」で終わります。
前の月ではなく、前の年の同じ月と比べる
飲食店の問い合わせは季節で大きく動きます。忘年会と新年会の時期、歓送迎会の時期、夏の宴会の時期で、宴会の相談件数は何倍にも変わります。前の月と比べると季節の動きしか見えないので、比べる相手は前の年の同じ月にします。開店から1年に満たない店は、まず1年間の記録を貯めることを目標にします。
断りの理由が偏っていたら、そこに手を打つ
流れた件の理由を集計すると、多くの店で偏りが見えてきます。「満席」が多ければ、席の割り振りや予約の受け方を見直す余地があります。「予算が合わない」が多ければ、宴会コースの価格帯の幅を見直す材料になります。「返信が遅れた」が一定数あれば、それは席でも価格でもなく、受付の仕組みの問題です。
最初の返信までの時間を、曜日と時間帯ごとに見る
メール対応の現場向けの解説でも、受付日時と完了日時から処理時間を計算し、担当者ごとに集計して返信速度を把握する方法が紹介されています。飲食店では、担当者ごとというより、曜日ごと、時間帯ごとに見ると打ち手が出やすくなります。定休日の翌日に返信が集中して遅れているなら、定休日にも自動返信で受付の控えを送る、翌朝の最初の作業を問い合わせの返信にする、といった対策が考えられます。
往復の回数が多い相談は、最初の質問を変える
確定までに何度もやり取りが発生している宴会の相談は、最初の問い合わせで聞くべきことが聞けていない場合がほとんどです。人数、希望日、予算、アレルギーの有無、飲み放題の希望。この5つをフォームの項目にしておくだけで、往復の回数は目に見えて減ります。
集計が続かなくなる三つの場面
集計の仕組みを作っても、数か月で止まってしまう店は少なくありません。止まる場面には、共通した形があります。
繁忙期だけ記録が欠ける
宴会シーズンの12月は、問い合わせが一年で最も多く、集計が最も役に立つ月です。ところが、現場が最も忙しい月でもあるため、記録が真っ先に抜けます。翌年の準備に使うはずの数字が、肝心の月だけ欠けている、という状態になります。対策は、繁忙期の前に記録の項目をさらに絞ることです。12月だけは入り口と結果の2項目にする、と決めておけば、少なくとも件数と取りこぼしの量は残ります。
数字をスタッフの評価に使う
返信までの時間や、断った件数をスタッフ個人の評価に結び付けると、記録そのものが歪みます。断った件を書かなくなる、返信日時を後から調整する、といったことが起き、数字が実態を映さなくなります。集計の数字は、店の仕組みを直すために使うものだと、最初にスタッフに伝えておくことが大切です。
見る人がいない
記録は続いているのに、誰も集計を見ていない、という状態も多く見られます。見る日と見る人を決めていないことが原因です。月に一度、決まった日に、決まった人が、決まった3つの数字を見る。入り口ごとの件数、断りの理由の上位、最初の返信までの平均時間。この3つに絞れば、10分ほどで振り返りが終わります。
どの場面にも共通するのは、記録の手間と、記録から得られる効果の釣り合いです。手間に見合う効果が感じられなければ、記録は止まります。だからこそ、項目を絞り、見る数字を絞り、結果を次の手に結び付けることが、集計を続ける一番の近道になります。
受付の道具を選ぶときの比較のポイント
集計しやすい受付の形を選ぶとき、製品の名前から入るよりも、比較の軸を先に決めるほうが迷いません。飲食店の問い合わせで特に効く軸は、次の5つです。
一件ごとに状態を付けられるか。 未対応、対応中、返信済み、完了といった状態が一件ごとに残れば、月末に件数と結果を数え直す作業がなくなります。
誰が対応しているかが分かるか。 店長、副店長、宴会担当と、受ける人が複数いる店では、担当が分からないと二重の返信と返し忘れが必ず起きます。
同じお客様の過去の相談が並ぶか。 去年も忘年会を相談してくれたお客様からの連絡だと分かれば、返信の中身が変わります。
届いた瞬間に気づけるか。 店のスタッフが普段見ているチャットに通知が届くかどうかで、最初の返信までの時間が変わります。
費用が何で決まるか。 問い合わせの件数で料金が上がる仕組みだと、繁忙期ほど費用がかさみます。利用する人数で料金が決まる仕組みなら、宴会シーズンに問い合わせが増えても費用は変わりません。
費用の相場は、無料のフォーム作成サービスから、月額数千円のフォームツール、月額数万円の問い合わせ管理システムまで幅があります。たとえば利用人数だけで料金が決まり、フォームの数も回答の数も無制限としている例として、料金のページでは、1人なら無料、3人までで月額2,980円(税抜)といった人数ごとの区切りが示されています。複数のスタッフで宴会の相談を分担する店なら、こうした人数で決まる料金の考え方を、件数で決まる料金と並べて比べてみる価値があります。
問い合わせを「状態」で数えたときに見えるもの
最後に、件数ではなく状態で問い合わせを数えた場合に、何が見えるようになるかを考えます。
フォームで受けた問い合わせに、未対応、対応中、返信済み、完了の4つの状態を付けて管理する形は、問い合わせ受付の典型的な並びです。問い合わせの受付の例では、お名前、会社名、メールアドレス、お問い合わせの種類、ご相談の内容を聞くフォームに、この4つの状態が最初から用意されており、届いた瞬間に Slack や Teams へ通知が届き、返信は同じ画面から送れて開封とクリックが記録される流れが紹介されています。
この形で記録すると、月末の集計は「完了」の件数を数えるだけで済みます。それ以上に役立つのは、「未対応」と「対応中」に何件残っているかが、いつでも見えることです。宴会シーズンの金曜日の夜に、未対応が5件残っていると一覧で分かれば、翌朝の最初の作業が決まります。件数の集計は月に一度の振り返りですが、状態の一覧は毎日の段取りに使えます。
来店の予約を受ける場面でも、同じ考え方が使えます。申込、日程調整中、確定、来店済み、キャンセルという状態を付けておけば、キャンセルの件数と、確定から来店に至った件数を、同じ記録から数えられます。予約台帳では残らなかった「日程調整中のまま流れた件」も、状態として残ります。
さらに、届いたあとに店が付ける情報を項目として追加できる仕組みであれば、断りの理由、コースの種類、来店後の追加注文の有無といった、店ごとに知りたい情報を一覧の列として持てます。できることのページでは、こうした「運営情報の項目」が一覧と CSV に列として出る仕組みや、同じメールアドレスの人を一人として束ねる連絡先の機能が紹介されています。前の年の同じ月と比べるための書き出しも、この列のまま行えます。
どの道具を使うにしても、出発点は同じです。一件の数え方を決め、流れた件を残し、項目を6つまでに絞る。状態の付け方を店の中で揃える。それができれば、飲食店の問い合わせ件数の集計は、月末の作業から、次の手を決める材料に変わります。実際の画面の動きを確かめたい場合は、動くところを見るのページで、サンプルの回答を使った状態の切り替えを試せます。
Q1. 飲食店の問い合わせ件数は、どの単位で数えればよいですか?
同じお客様の、同じ利用日の相談を一件として数えるのが分かりやすい方法です。宴会の相談は確定までに何度も連絡が来るため、連絡の回数で数えると件数が膨らみます。連絡の回数は「確定までの往復の回数」として別の項目に残すと、需要の量と手間の量を分けて見られます。
Q2. 電話で受けた問い合わせは、どうやって集計に入れればよいですか?
電話を受けた人が、受けた日時、入り口、種類、結果の4つだけを10秒ほどで記録できる形を用意します。紙の台帳でも表計算でも構いませんが、選択肢から選ぶだけにしておくと記録が続きます。Google ビジネス プロフィールの通話数は通話ボタンが押された回数なので、店の記録と並べると取れなかった電話の目安にもなります。
Q3. 問い合わせ管理システムの費用の相場はどのくらいですか?
無料のフォーム作成サービスから、月額数千円のフォームツール、月額数万円の問い合わせ管理システムまで幅があります。料金が問い合わせの件数で決まるか、利用する人数で決まるかで、繁忙期の費用が変わります。宴会シーズンに件数が増える飲食店では、料金の決まり方を先に確かめておくと安心です。
Q4. 集計の項目はいくつくらいが適切ですか?
営業中の飲食店では、受けた日時、入り口、種類、希望日と人数、結果、断りや流れの理由の6つ程度が現実的です。項目を増やすほど入力が後回しになり、繁忙期の記録が欠けます。項目を追加したくなったら、その数字を見て何を変えるのかを先に書き出し、書けない項目は外します。
