保育園が集めた応募者の情報の扱いは、個人情報の一般的な注意だけでは足りない場面があります。応募者が在園児の保護者だったり、職員の養成校の同級生だったり、昨年の実習生だったりするからです。地域の中で顔の見える関係が多い保育園では、応募したという事実そのものが、書類より先に人づてに広がることがあります。この記事では、保育園が応募を受けてから選考が終わるまでに手元にたまる情報について、どこにあり、誰が見てよく、いつ消すかを決める順番を整理します。
保育園で応募者の情報が扱いにくい理由
保育園で応募者の情報の扱いが難しくなるのは、3つの事情が重なるからです。
1つ目は、園と地域の距離が近いことです。保育園の保護者は同じ地域に住み、送迎の時間に顔を合わせています。応募者が近くに住む保育士であれば、在園児の保護者と知り合いであることも珍しくありません。応募者が見学に来た姿を保護者が見かけ、「新しい先生が来るの」と話題にするだけで、応募の事実が地域に伝わります。
2つ目は、保育士どうしのつながりの強さです。同じ地域の保育園で働く保育士は、養成校の同級生だったり、以前に同じ園で働いていたり、自治体の研修で顔を合わせていたりします。応募者の名前を聞いた職員が、応募者のいまの職場の同僚に連絡を取れてしまう距離にいます。
3つ目は、園の中の情報の置き場所が多いことです。事務室の書類、園の共用メール、法人本部の採用の管理画面、求人媒体の管理画面、園長の手帳、主任のスマートフォン。保育の記録や保護者の情報を扱う仕組みが複数ある園ほど、応募者の情報もその隙間に入り込みます。
このため、保育園では「応募者の情報を守る」ことを、書類の鍵の管理だけでなく、職員の話し方や、保護者の前での振る舞いまで含めて考える必要があります。
公立の保育園と私立の保育園で、よるべき決まりが違う
応募者の情報の扱いを決める前に、自園がどの決まりのもとにあるかを確かめてください。保育園は、運営する主体によって、個人情報保護法の中で当てはまる規定が変わります。
社会福祉法人、株式会社、NPO法人などが運営する私立の保育園は、個人情報保護法の個人情報取扱事業者として、事業者向けの規定に沿って情報を扱います。個人情報保護委員会がガイドラインを出しており、応募者の情報もその対象です。
市区町村が運営する公立の保育園は、地方公共団体の機関として、個人情報保護法の行政機関等に向けた規定に沿って扱うことになります。公立の保育園の保育士の採用は、園ではなく自治体の人事の担当部署が行っていることも多く、会計年度任用職員の応募を園で受け付ける場合でも、情報の扱いは自治体の決まりに従います。
職業安定法に基づく指針も、募集を行う者が行政機関等か個人情報取扱事業者かに応じて、それぞれの義務を守るよう求めています。公立の園長が私立の園の事例を参考にするとき、あるいは法人が自治体から公立園の運営を引き継いだときには、この違いを見落とさないでください。どちらの規定が当てはまるか迷う場合は、所管の窓口や専門家に確かめることをおすすめします。
集める前に、何に使うかを書いておく
応募者の情報を扱う決まりの出発点は、何のために集めるかを先に示すことです。職業安定法に基づく指針には、次の定めがあります。
(五) 個人情報の保管又は使用は、収集目的の範囲に限られること。ただし、他の保管若しくは使用の目的を示して本人の同意を得た場合又は他の法律に定めのある場合はこの限りでないこと。 出典: mhlw.go.jp
保育園で、集めたときの目的の外に使いたくなる場面はいくつもあります。
・応募を受けた園に空きがなく、法人の別の園を紹介したい ・今回は採用しなかったが、年度の途中で欠員が出たら声をかけたい ・次の年度の募集が始まったら案内を送りたい ・保育士を目指す学生向けの園見学会の案内を送りたい
どれも応募者にとって悪い話ではありませんが、応募の時点で示した目的が「当園の職員の採用選考のため」だけであれば、そのままでは使えません。応募のフォームや案内に、あらかじめ使う目的を並べておき、法人の別の園への紹介や、次の募集の案内については、応募者が選べる形で同意を取っておいてください。選べる形にするのは、同意しないと応募できない作りにしないためです。
目的の書き方は、応募者が読んで具体的に想像できる程度にしておきます。「採用活動全般に利用します」のような書き方では、応募者は何に使われるか分かりません。「応募いただいた園での選考のため」「同じ法人が運営する△△保育園、□□保育園での採用のご案内のため(希望された方のみ)」のように、園の名前まで書いておくと迷いがありません。
見られる人を、役割で決める
応募者の情報を誰が見てよいかは、名前ではなく役割で決めておくと、職員が入れ替わっても決まりが崩れません。保育園でよくある分担に当てはめると、次のようになります。
| 役割 | 見てよい情報 | 見なくてよい情報 |
|---|---|---|
| 園長 | 応募の内容、書類、面接の記録、採否 | なし |
| 主任 | 面接に同席する応募者の内容と書類、面接の記録 | 同席しない応募者の書類 |
| 事務の担当 | 連絡先、日程、書類の受け取りの記録 | 面接の記録と評価 |
| 法人本部の採用担当 | 法人内のすべての応募の内容と採否 | なし |
| クラス担任、フリーの保育士 | 見学を案内する応募者の名前と来園の時刻 | 経歴、書類、評価 |
| 調理員、看護師などほかの職種 | 同じ職種の応募者の面接に同席する場合のみ、その内容 | それ以外 |
表の中でとくに見落とされやすいのが、見学の案内をする保育士に何を伝えるかです。保育士の応募では、見学の日にクラスの担任が保育室を案内することがよくあります。その担任には、名前と来園の時刻と、どの保育室を見てもらうかだけを伝えれば足ります。前の職場の名前や、応募の理由を事前に伝えると、担任が保育室で応募者に「○○園にいたんですよね」と話しかけ、それを子どもの近くにいた別の職員や、たまたま来ていた保護者が聞くことになります。
データで応募を受けている園では、この表をそのまま、仕組みの中の権限に置き換えてください。園の職員全員が同じアカウントで応募の一覧を開ける状態は、表のどの行とも合いません。
保護者と地域に、応募の事実が伝わる経路をふさぐ
保育園の応募者の情報で、書類の管理とは別に気をつけたいのが、保護者と地域への伝わり方です。応募の事実が伝わる経路は、保育園ではおおむね次の4つに絞れます。
1つ目は、見学や面接の時間です。登園や降園の時間に応募者が園を訪れると、保護者と玄関で顔を合わせます。見学や面接は、登降園の時間から離して入れてください。
2つ目は、職員の会話です。休憩室や更衣室での会話は、保育室の近くで聞こえることがあり、送迎の時間の立ち話で職員が保護者に「今度新しい先生が来るかもしれません」と話してしまうこともあります。採用が決まるまでは、応募者について園の外でも内でも話題にしないことを、職員に伝えておきます。
3つ目は、園だよりや掲示です。保育園では、新しく入る先生を園だよりや玄関の掲示で保護者に紹介することがよくあります。紹介するのは採用が決まって、本人がそのことを了承してからにしてください。入職の前に氏名や前の職場を載せると、本人がまだいまの職場に退職を伝えていない段階で、地域に知られてしまうことがあります。
4つ目は、職員の個人のSNSです。見学に来た応募者と職員が知り合いで、「今日○○さんが見学に来た」と個人の投稿で触れてしまう。本人に悪気が無くても、応募者にとっては大きな不利益になり得ます。職員の個人の発信について園として決まりを設けているなら、応募者の話題も対象に含めてください。
玄関の来園者名簿に、応募者の名前を書かせない
保育園の多くは、防犯のために玄関に来園者の名簿を置き、業者や来客に名前と用件と時刻を書いてもらっています。見学や面接に来た応募者にも、同じ名簿に書いてもらっている園は少なくありません。
この名簿は、あとから来た業者や来客、ときには保護者の目にも触れます。名前の横に「職員採用の見学」と書かれていれば、その人が応募したことが名簿を見た人に伝わります。応募者がいまの職場に転職を伝えていない保育士であれば、同じ地域の業者や保護者の目に触れることは大きな不安になります。
応募者の来園は、玄関の名簿ではなく、事務の担当が別の用紙か応募の一覧に記録する形にしてください。防犯のために来園の記録そのものが必要な場合は、用件の欄を「来客」とだけ書いてもらい、詳しい用件は事務室の中の記録に残します。来園の記録にも、いつ消すかを決めておきます。
面接の記録に書いてよいことと、書かないこと
面接の記録は、応募者の情報の中でも扱いに気をつけたいものです。面接では、応募の書類に書かれていない話がたくさん出ます。保育園の面接で出やすく、記録に残すと困る話には、次のようなものがあります。
・応募者自身の子どもの年齢や、預け先の事情 ・腰痛や持病など健康にかかわる話 ・前の園での人間関係や、辞める理由としての園長との衝突 ・前の園で起きた事故やけが、保護者とのトラブル
どれも応募者が自分から話すことがあり、面接をする側は聞き流すしかない場面もあります。ただ、話に出たことをそのまま記録に書くと、選考の判断に使うべきでない情報が、園の書類として残ることになります。
面接の記録に書くのは、保育の経験、担当できるクラス、入れる時間帯、保育で大切にしていること、園への質問と答えた内容のように、選考と入職後の配置にかかわる事柄に絞ってください。とくに、前の園で起きた事故やトラブルの話に子どもや保護者の名前が出た場合は、それは応募者の情報ではなく、前の園の子どもや家庭の情報です。聞いたとしても記録には書かず、面接をした人の口からほかの職員に伝えることもしないでください。
記録の書き方を面接をする人どうしでそろえておくと、法人本部や後任の園長が記録を読んだときにも、何が判断の材料だったかが分かります。
在園児の保護者が応募してきたとき
地域に根ざした保育園では、在園児の保護者が保育士や保育補助、調理員として応募してくることがあります。この場合、同じ人の情報が「保護者としての情報」と「応募者としての情報」の2つとして園に存在することになります。
2つの情報は混ぜないでください。児童票や家庭の状況の記録は、子どもの保育のために預かっている情報で、採用の選考に使うものではありません。面接をする園長が、児童票に書かれた家庭の事情を知っていたとしても、それを選考の判断材料にすることは、集めたときの目的から外れます。
応募の件を知る職員も、園長と主任に絞ります。その保護者の子どもの担任には、採用が決まって本人が了承するまで伝えないほうが、担任が送迎の場で余計な気をつかわずに済みます。採用しなかった場合は、保護者としての関係がその後も続くため、結果の伝え方や、応募の書類をどう処分するかを、とくに丁寧に決めてください。
実習生だった人の記録を、採用に流用しない
保育園には、保育士養成校の学生が保育実習に来ます。実習のあいだ、園は学生の実習日誌を読み、学校に実習の評価を送ります。その学生が、翌年の採用に応募してくることがあります。
このとき、実習のときに作った評価票や、実習の様子を書いた園内の記録を、そのまま採用の選考に使ってよいかは慎重に考える必要があります。実習の評価は、学校の教育のために学校とやり取りするための情報で、学生は採用の選考に使われることを前提に評価を受けていたわけではありません。
実習での印象を選考で参考にしたい場合は、面接の場で本人に「実習のときの様子も踏まえてお話を伺います」と伝え、改めて本人から話を聞く形にしてください。評価票そのものを採用の書類の束に綴じることは避けます。実習の記録の保管の期間や方法は、学校との取り決めに沿って、採用の書類とは別に管理します。
反対の向きにも注意が要ります。採用の選考で聞いた話を、実習の評価に持ち込まないことです。実習中の学生から「この園に就職したい」と相談を受け、採用の話が実習の期間中に進むことがあります。その場合も、実習の評価は実習の内容だけで行い、採用の面接で聞いた家庭の事情や他の園への応募状況を、学校に送る評価票に書かないでください。学生にとって、実習の評価と就職の選考が混ざることは、どちらにも本音を話しにくくなる原因になります。
登録取消者の確認と犯罪事実確認の記録は、別の扱いにする
保育園の採用には、ほかの業種にない2種類の確認がかかわります。1つは、2024年4月から保育士を雇用しようとするときに活用が義務づけられた、保育士の登録を取り消された人の情報を記録した仕組みでの確認です。もう1つは、2026年12月25日に施行が予定されているこども性暴力防止法による犯罪事実確認です。
この2つの確認で得た情報は、応募の書類や面接の記録とは切り離して扱ってください。こども家庭庁の資料では、登録取消者の情報は採用責任者が検索して利用するものとされています。こども性暴力防止法の犯罪事実確認は、内定前には行えず、得た記録には保存の期限と廃棄の義務があります。こども家庭庁のQ&Aには、次のように書かれています。
対象事業者等は、次に掲げる日から起算して 30 日を経過する日までに、犯罪事実確認記録等を廃棄し及び消去しなければなりません。 出典: cfa.go.jp
同じ回答では、起算する日として、確認書に記載された確認日から5年を経過した日の属する年度の末日、確認の対象になった人が離職した日、事業者がその人を雇用しなかった場合の従事予定日などが挙げられ、廃棄や消去の義務に違反した場合の罰則にも触れています。つまり、内定を出して確認を行ったのに入職に至らなかった場合も、決まった期限までに記録を消さなければなりません。
応募の一覧や面接の記録に、この確認の結果を書き込むと、応募の一覧を消すときに一緒に消えるか、逆に確認の記録だけが一覧に残り続けるかのどちらかになります。確認の結果は応募の一覧とは別の場所に、園長など決められた人だけが扱える形で置き、応募の記録には「確認の手続きを行った」とだけ残す運用にしてください。施行後の具体的な手続きや情報管理の規程は、こども家庭庁のガイドラインと所管の案内に沿って整えてください。
いつ消すかを、年度の暦に書き込む
応募者の情報をいつ消すかは、決まりを作っても実際に消す日が来ないと守られません。保育園であれば、年度の暦に消す日を書き込んでしまうのが確実です。
不採用の人の応募の情報は、応募者からの問い合わせに答えるために必要な期間を園として決めます。法令で保管の年数が決まっているわけではないので、「選考の結果を伝えてから3か月」のように区切りを決め、区切りが来た応募から消します。
年度の途中の欠員や次の年度の募集で連絡してよいと同意を得た人の情報は、同意を得たときに伝えた期限で消します。多くの園では、次の年度の募集が終わる時期を期限にするのが分かりやすいはずです。
保育園にとって区切りがつけやすいのは、年度末の3月です。卒園と進級の書類を整理する時期にあわせて、「3月の最終週に、その年度に受けた応募のうち、期限の過ぎたものを消す」と暦に書いておけば、毎年同じ時期に見直せます。
消すときに見落としやすいのが、情報の置き場所が複数あることです。紙の書類、園の応募受付のメールの受信箱、表計算ソフトの一覧、求人媒体の管理画面、法人本部に送ったデータ、園長や主任が面接の日程調整に使ったメッセージ。消す日には、この一覧を上から順に確かめてください。どこか1か所に残っていれば、消したことにはなりません。
採用した人の情報は、応募の記録から職員の記録に移したうえで、応募の一覧からは消します。応募のときの面接の評価を、職員になったあとも誰でも見られる形で残しておく必要はありません。
年度替わりの人事異動で、情報を置いていってもらう
複数の園を運営する法人では、4月の人事異動で園長や主任が別の園に移ることがよくあります。応募者の情報の扱いで、この異動は大きな節目になります。
異動する園長の手元には、選考の途中の応募者の情報、面接の日程の連絡をしたメッセージ、手帳に書いた面接のメモが残っています。これらを新しい園に持っていくと、元の園の応募者の情報が、関係のない園に移ることになります。持っていかずに放っておくと、後任の園長は選考の途中の応募者に誰も連絡していないことに気づけません。
異動の前には、選考の途中の応募について、応募者ごとに段階と次の連絡の予定を後任に引き継ぎ、手帳のメモや個人の端末に残ったやり取りは、引き継いだあとに消してもらってください。園の応募受付を園長個人のメールアドレスで受けていた園は、この機会に、園の役割に紐づいた受付の場所に切り替えると、次の異動から引き継ぎが楽になります。
応募者から、見せてほしい、消してほしいと言われたとき
応募者から、園が持っている自分の情報を見せてほしい、あるいは消してほしいと求められることがあります。不採用の理由を知りたくて、面接の記録を見せてほしいと言われる場合もあります。
私立の保育園であれば、個人情報保護法の個人情報取扱事業者として、本人からの開示や訂正、利用の停止などの求めに対応する規定があります。公立の保育園であれば、自治体の開示請求の手続きに沿うことになります。どちらの場合も、園長が口頭でその場で答えるのではなく、求めを受け付けたことを記録し、法人本部や自治体の担当部署と相談して対応を決めてください。
求めがあったときに慌てないためには、応募者の情報がどこにあるかを日ごろから把握しておくことが一番の備えになります。前の節で書いた置き場所の一覧が、そのまま開示や削除の求めに答えるときの手がかりになります。細部の判断は、個人情報保護委員会の案内や、所管の窓口、専門家に確かめてください。
保護者への一斉連絡と、応募者への連絡を同じ道具で送らない
保育園で応募者の情報が外に出てしまう場面として、現場でたびたび聞かれるのが、送り先の取り違えです。園のメールや連絡の仕組みで、保護者への一斉のお知らせと、応募者への個別の連絡を同じ画面から送っていると、応募者に送るはずだった面接の案内を保護者全員に送ってしまう、あるいは保護者向けのお便りの宛先に応募者のアドレスが混ざる、ということが起きます。
これを防ぐいちばん確かな方法は、送る道具そのものを分けることです。保護者への連絡は保護者向けの仕組みから、応募者への連絡は応募の受付の場所から送る、と決めておけば、宛先の一覧が混ざることがありません。どうしても同じメールソフトから送る場合は、応募者への連絡を宛先に1人ずつ入れて送り、複数の応募者に同じ案内を送るときも宛先を並べないでください。
万が一、応募者の情報を誤って送ってしまったときは、まず何が誰に届いたかを確かめ、応募者本人に事情を伝え、法人本部や自治体の担当に報告します。受け取った相手に削除をお願いするかどうかも、その場で判断します。個人情報保護委員会への報告が必要になる場合の条件は、個人情報保護委員会の案内で確かめてください。慌てて自分たちだけで済ませようとせず、記録を残しながら順に動くことが大切です。
補助金や報告の書類に、応募者の情報を混ぜない
保育園では、保育士の確保にかかわる自治体の補助や、職員の処遇にかかわる書類を、自治体に出す機会が多くあります。保育士の宿舎の借り上げの支援や、就職の支援にかかわる制度を使っている自治体もあります。
こうした書類で扱うのは、採用して職員になった人の情報です。まだ選考の途中の応募者や、採用しなかった人の情報を、補助の申請の見込みとして自治体の担当者に伝えたり、申請の書類の下書きに名前を並べたりしないでください。応募の段階で示した目的に、自治体への報告は含まれていないはずです。
採用が決まった人の情報を補助や報告に使う場合も、入職の手続きの段階で、どの書類に何を使うかを本人に説明しておくと、あとで本人から尋ねられたときに困りません。制度ごとの細かな扱いは、所管の自治体の案内で確かめてください。
情報を1か所に寄せられるかを見極める
見られる人を役割で決め、置き場所を減らし、消す日を暦に書く。ここまでの運用は、紙と表計算ソフトでも組めます。いまの道具で足りるかは、次の問いで見極めてください。
・応募が年に数件で、園長が紙の書類だけで扱っているなら、鍵のかかる引き出しと暦の書き込みで十分に回ります ・法人本部と複数の園で応募を扱っているなら、応募ごとに見られる人を役割で分けられるかが分かれ目です ・消す日に、紙、メール、一覧、媒体の管理画面を1つずつ確かめる手間が重いなら、置き場所を寄せられるかを確かめてください ・同意を得た人とそうでない人を、一覧の中で区別して残せるかも見ておきます
Googleフォームで応募を受け、スプレッドシートで管理している園では、共有の設定を誰に向けているかがそのまま見られる人の範囲になります。行ごとに見られる人を分ける使い方はしにくいため、どこまでならそのままでよいかはGoogleフォームとの比較を参考にしてください。法人でMicrosoft 365を使っている場合の違いはMicrosoft Formsとの比較にまとめています。
応募に担当と段階を持たせ、見られる人を分けて扱う流れは採用の応募受付で紹介しています。権限の分け方やファイルの扱いの範囲はできることで、画面の動きは動くところを見るで確かめられます。費用は料金に、個人情報の扱いに関するよくある疑問はよくある質問にまとめています。
まずは、この1年に受けた応募の情報が、園の中のどこに残っているかを書き出してみてください。書き出した場所ごとに、見られる人と消す日を1行ずつ書き添えられれば、決まりの半分はできています。送信されたあとの道具がそろっているかどうかは、その場所の数を減らせるかで判断できます。
Q1. 不採用にした応募者の情報を、次の年度の募集の案内に使ってもよいですか?
応募の時点で示した目的が当園の選考だけであれば、そのままでは使えません。職業安定法に基づく指針では、個人情報の保管や使用は収集の目的の範囲に限られ、別の目的を示して本人の同意を得た場合などが例外とされています。応募のフォームで次の募集の案内を希望するかを選べるようにし、同意した人だけに、決めた期限まで案内を送ってください。
Q2. 在園児の保護者が応募してきた場合、児童票の情報を選考の参考にしてもよいですか?
参考にしないでください。児童票や家庭の状況の記録は、子どもの保育のために預かっている情報で、採用の選考のために集めたものではありません。選考は、応募の書類と面接で本人から聞いた内容だけで判断します。応募の件を知る職員も園長と主任に絞り、子どもの担任には採用が決まって本人が了承するまで伝えないほうが安心です。
Q3. こども性暴力防止法の犯罪事実確認の記録は、応募の書類と一緒に保管してよいですか?
一緒にしないでください。こども家庭庁のQ&Aでは、犯罪事実確認記録等は決められた日から30日を経過する日までに廃棄と消去をしなければならないとされ、雇用しなかった場合の従事予定日も起算日に含まれています。応募の一覧とは別の場所で、決められた人だけが扱える形にし、応募の記録には手続きを行ったことだけを残す運用が扱いやすくなります。
Q4. 公立保育園で会計年度任用職員の応募を受け付けました。情報の扱いは私立と同じでよいですか?
同じではありません。公立保育園は地方公共団体の機関として、個人情報保護法の行政機関等に向けた規定と、自治体の決まりに沿って扱うことになります。応募の情報の保管や処分、開示の求めへの対応は、自治体の人事や個人情報の担当部署の運用に合わせてください。私立園の事例を参考にするときも、この違いを踏まえて確かめることをおすすめします。
