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不動産会社で写真や書類を受け取る|相手に登録をさせずに受け取る

2026年9月5日 ・ Halict編集部

不動産会社の窓口には、文章だけでは決まらない問い合わせが毎日届きます。空室の問い合わせに「今の壁紙の状態が見たい」と写真を求められ、内見の希望者からは身分証の写しが送られ、入居中の部屋からは水漏れの跡を撮った画像が届きます。ここで「不動産会社 問い合わせ 写真 添付」と調べる人が引っかかっているのは、写真の中身ではなく受け取り方です。相手にアカウント登録を求める共有サービスを案内した瞬間、内見の申し込みは目に見えて減ります。この記事では、相手に登録をさせずに写真と書類を受け取るための決め方と、届いたあとに窓口で回すための手順を並べます。

内見と空室の受付に届くファイルは、思っているより種類が多い

賃貸の仲介にせよ売買の仲介にせよ、受付の入口に届くのは問い合わせの文章だけではありません。実際に窓口を回している担当者が扱うファイルを並べると、種類の多さが見えてきます。

空室の問い合わせでは、募集図面に載っていない部分の写真が求められます。角部屋の窓からの眺め、ゴミ置き場の位置、駐輪場の空き、エアコンの型番、洗濯機置き場の防水パンの寸法。募集図面は間取りと設備の一覧しか載せないので、決める手前の質問はほぼ全部が画像で返すことになります。逆に、問い合わせる側からも画像が飛んできます。「この物件と似た雰囲気の部屋を探している」と他社サイトの画面を撮った写真を送ってくる人、「今住んでいる部屋の家具が入るか知りたい」と現在の部屋の写真を送ってくる人がいます。

内見の予約が入ると、届くファイルの性格が変わります。本人確認のための運転免許証やマイナンバーカードの写し、法人契約なら登記事項証明書や会社案内、留学生や外国籍の希望者なら在留カードの写しが加わります。ここから先は、単なる問い合わせではなく個人情報の受け取りになります。

入居後の管理まで受けている会社であれば、設備の不具合の報告が写真つきで届きます。給湯器のエラーコードの表示、洗面台の下の漏水跡、玄関ドアの傷、共用部のいたずら書き。修理の手配をする側からすると、文章だけの報告と写真つきの報告では、業者に渡すまでの手数がまるで違います。退去の立ち会いに至っては、原状回復の範囲をめぐって双方が撮った写真が証拠になります。

このように、不動産会社の受付で扱うファイルには、決める手前の参考情報から、本人確認の書類、責任の所在を左右する証拠写真までが混ざります。混ざっているのに、受け取り口はメール1本だけ、という会社が少なくありません。この状態で件数が増えると、どこで詰まるかは決まっています。

受け取ったファイルは、問い合わせ本体と離れて迷子になる

窓口の担当者からしばしば出るのは、「どの問い合わせに紐づく写真か分からなくなる」という困りごとです。メールで受け取ると、画像はメールの添付として届きます。それを社内の共有フォルダに保存し、問い合わせの台帳は別のスプレッドシートで管理していると、写真と台帳の行がつながるのは担当者の記憶の中だけになります。担当者が休んだ日に別の人が引き継ぐと、写真の在りかが分からず、相手に「もう一度送ってください」と頼むことになります。一度送ったものを再送させられた相手は、その会社の受付を雑だと感じます。

送信されたあとの道具がそろっている受け取り方であれば、写真は問い合わせのレコードに貼りついたまま動きません。ファイル置き場を別に持たないという設計そのものが、迷子を防ぎます。

相手にアカウント登録を求めた時点で、内見の申し込みは減る

写真を受け取る方法として、まず思いつくのはクラウドストレージの共有です。無料の容量が大きく、社内ではすでに使っている。だからそのURLを相手に案内する。ここに落とし穴があります。

多くのクラウドストレージは、アップロードする側にアカウントを求めます。閲覧だけならリンクで足りても、ファイルを置く操作は権限が要ります。つまり、写真を送るためだけに相手にアカウントを作らせることになります。空室の問い合わせをしている人は、その時点でまだ客ではありません。3件も4件も同時に問い合わせている途中で、1社だけが会員登録を求めてきたら、そこは後回しになります。

登録を求めない転送サービスを案内する会社もあります。この場合はアカウントの壁は消えますが、別の問題が残ります。ダウンロードの期限が来ると消えること、広告が多く出るページを不動産会社が案内した形になること、そしてURLを知っている人なら誰でも開けることです。本人確認書類のやり取りに使う経路としては心もとない設計です。

「メールに添付してください」で起きること

いちばん多いのは、素直にメール添付をお願いする方法です。手軽ですが、写真という中身との相性がよくありません。

第一に容量です。スマートフォンで撮った写真は1枚で3MBから5MBになります。設備の不具合を8枚撮って送れば、それだけで30MBを超えます。Googleのヘルプでは、Gmailから送れる添付ファイルは25MBまでとされています。会社側のメールサーバーが受け取れる上限を10MBに絞っている環境もあり、相手は送信に失敗したことに気づかないまま返事を待ちます。

第二に形式です。iPhoneの標準設定で撮った写真はHEICという形式で保存されます。パソコン側の環境によっては開けず、担当者が変換の手間を負います。動画で送られてくればなおさらで、玄関の建て付けの不具合を10秒の動画で送られると、そのままではメールに乗りません。

第三に、送る側の手数です。スマートフォンのメールアプリで写真を8枚選んで添付するのは、思ったより面倒な操作です。途中でやめる人が出ます。

第四に、パスワード付きの圧縮ファイルを分けて送る手順です。社内の規定でそう決まっている会社もありますが、受け取る側が個人であれば、解凍の方法が分からず問い合わせが増えるだけになります。

現場では、写真つきの問い合わせが増えるほどメール添付が回らなくなると言われています。受け取り方を決め直す価値があるのは、この段階です。

フォームで受け取ると決めたときに、先に決めるべきこと

問い合わせフォームにファイルの欄を足す方法は、相手に登録をさせずに受け取れます。ただし、欄をひとつ足しただけでは回りません。先に決めておくことが5つあります。

上限の枚数と容量を、業務の中身から決める

「何枚でもどうぞ」にすると、内見の希望者が部屋の隅々まで撮った写真を40枚送ってきます。受ける側が全部を見ない前提の枚数を受け取っても、意味がありません。空室の問い合わせなら参考写真は3枚で足り、設備の不具合の報告なら「全景1枚と近景2枚」の3枚を指定したほうが、業者に渡す情報として揃います。上限を決めるときは、あとで数を増やせる作りかどうかも見ておきます。

容量は、スマートフォンの写真1枚を5MBと見て逆算します。3枚なら15MB、余裕を見て1件あたり20MBを上限に置く形が扱いやすい水準です。動画も受けるなら、桁がひとつ変わることを前提に上限を決め直します。

受け取る拡張子を絞るか、広げるか

本人確認の書類はPDFで送ってくる人と、写真で撮って送ってくる人が半々です。どちらも受けられるようにしておかないと、送り直しの往復が増えます。一方で、実行形式のファイルまで受けられる状態にしておく理由はありません。画像とPDFに絞り、HEICを受けられるかどうかは必ず確かめます。ここを確かめずに公開すると、iPhoneから送ろうとした人だけが弾かれる状態になります。

スマートフォンから送れるかを、実機で確かめる

不動産の問い合わせは、通勤中や物件の前に立った状態から届きます。パソコンの画面で作ったフォームが、スマートフォンで開いたときにファイル選択のボタンを押せるかどうかは、実機で確かめないと分かりません。カメラをその場で起動して撮った写真をそのまま添付できるかまで見ておくと、現地からの問い合わせを取りこぼしません。

送った本人に、控えを残す

写真を送った側は、届いたかどうかが分からないと不安になります。送信後に受付番号の入った控えが自動で返る作りにしておくと、「送りましたが届いていますか」という電話が減ります。この控えは、後から問い合わせを特定する手がかりにもなります。

誰が見られるかを、受け取る前に決める

免許証の写しが入るのであれば、社内の誰でも開ける共有フォルダに置く運用は避けます。物件担当だけが開ける、管理部門だけが開ける、といった線引きを、受け取り口を作る前に決めます。あとから絞るのは、すでに配ってしまったURLがある分だけ難しくなります。

このあたりの機能がどこまでそろっているかは道具によって違います。回答を受け取ったあと、担当を割り当てて状況を持たせ、そのまま返信まで進める考え方はできることに整理されています。受け取り口を選ぶときは、作る側の使い勝手だけでなく、受け取ったあとに何ができるかを並べて見ておくと選び直しが減ります。

写真を受け取る前提で、聞く項目を組み直す

ファイルの欄を足すと、文章で聞いていたことの一部が要らなくなります。逆に、写真だけでは分からないことが浮き上がります。用件ごとに、聞く項目を組み直します。

空室の問い合わせで聞くこと

空室の問い合わせで最初に確かめたいのは、その人が今どの段階にいるかです。入居希望の時期、現在の住まいを出る予定日、内見を希望する曜日と時間帯、同居する人数、駐車場の要否。ここが埋まっていれば、空室の状況と合わせて一次返信の中身が決まります。

写真の欄は「気になっている部分があれば」の任意にしておきます。必須にすると、写真を持っていない人が送信をやめます。他社サイトの画面を撮って「こういう雰囲気の部屋」と送ってくる使い方もあるので、参考画像として受けられる形にしておくと、条件のすり合わせが一往復減ります。

内見の予約で聞くこと

内見の段階では、日時の候補を複数もらうことが最優先です。第1希望だけを聞くと、埋まっていたときに必ず往復が発生します。候補を3つもらう形にすると、初回の返信で確定まで進みます。当日の連絡先、車で来るかどうか、鍵の受け取り場所の希望も、ここで聞いておけば当日の電話が減ります。

本人確認書類の欄をこの段階で必須にするかは、会社の方針で分かれます。内見だけなら不要とする会社もあれば、鍵を渡す前提で先に確認する会社もあります。必須にする場合は、何のために受け取るのかを欄のすぐ横に書いておきます。理由が書いていない本人確認は、送る手前で止まります。

設備の不具合で聞くこと

入居者からの不具合の報告は、写真の撮り方を指定するだけで業者への伝わり方が変わります。全景1枚と近景2枚、型番の表示があれば型番の写真、水回りなら止水栓の位置が分かる1枚。撮る場所を欄の説明文で指定しておくと、追加で撮り直しを頼む往復が消えます。

あわせて、立ち会いの可否と在宅できる時間帯、部屋番号、緊急かどうかの区別を必須にします。緊急かどうかを本人の申告で受けておくと、一覧を見た時点で並べ替えができます。

受け取り口の文面が、届く写真の中身を決める

同じフォームでも、欄の横に書く説明の文面によって、届く写真の中身は大きく変わります。ここは道具の機能ではなく、書き方の問題です。

説明が「写真を添付してください」だけだと、部屋の全体像を1枚だけ撮った、判断に使えない写真が届きます。「不具合の箇所が中心に写るように、離れた位置から1枚、近づいて2枚」と書けば、そのとおりに届きます。枚数と撮る位置を数で示すことが効きます。

送信のボタンの手前には、受け取ったあとにどうなるかを1行で書いておきます。いつまでに返信するか、どの範囲の担当者が見るか、いつ消すか。この3つが書かれていると、本人確認書類のような重い情報でも送信率は落ちにくくなります。逆に、何も書かずに免許証の欄だけを置くと、そこで止まります。

送信後に表示する画面と、自動で返る控えの文面も先に決めます。「送信ありがとうございました」だけで終わらせず、受付番号、届いた添付の枚数、次にこちらから何をするか、いつまでに返すかを入れます。添付の枚数が控えに出ていると、送ったつもりで添付が付いていなかった事故に、相手自身が気づけます。

受付でよく起きる4つの詰まりと、直す順番

不動産会社の窓口で起きる詰まりは、だいたい次の4つに収まります。順番を間違えると、直したのに楽にならないということが起きます。

1つ目は、届いたことに気づかない詰まりです。共有のメールアドレスに届き、誰も自分あてだと思わないまま数時間が過ぎます。これは受け取り口の問題ではなく、通知の宛先の問題です。まずここを直します。

2つ目は、誰が返すか決まらない詰まりです。気づいてはいるが、物件の担当が外出中で、他の人が触ってよいのか分かりません。担当の欄と、担当が空のまま一定時間が過ぎたものを目立たせる作りで解けます。

3つ目は、返したかどうかが分からない詰まりです。返信は個人のメールソフトから出るので、他の人からは見えません。状態を持たせ、返信の履歴を問い合わせのレコード側に残すことで解けます。

4つ目が、写真が見つからない詰まりです。ここまでの3つが解けていれば、写真は問い合わせのレコードに付いたままなので、探す作業そのものが消えます。逆に言えば、1つ目から3つ目を放置したまま受け取り口だけを作り替えても、探す手間は残ります。直す順番は、通知、担当、状態、そのあとに受け取り方です。

届いたあとに、写真を業務として回す

受け取り方を直しても、届いたあとが手作業のままなら詰まりは移動するだけです。不動産会社の受付では、ファイルが届いてから次の4つが必ず発生します。

誰が返すかを、その場で決める

空室の問い合わせは、物件ごとに担当が決まっている会社が多い一方、内見の日程調整は店舗の当番が受けるという分け方もあります。届いた問い合わせに担当の欄がないと、誰も返さない問い合わせと、2人が別々に返した問い合わせが同時に生まれます。返信したかどうかが表に残らないと、二重返信と返し忘れは必ず起きます。

不動産の場合、二重返信の被害は普通より大きくなります。空室の状況は日ごとに動くので、2人が別のタイミングで返すと「まだ空いています」と「先ほど申し込みが入りました」が同じ相手に届きます。信用の落ち方が急です。

状況を、言葉ではなく状態で持つ

問い合わせの状態は、受付、内見の日程調整中、内見済み、申し込み受領、審査中、見送り、と進みます。この状態がスプレッドシートの色分けでしか表現されていないと、色の意味を知らない人が触った時点で崩れます。状態を選ぶ列として持ち、誰が見ても同じ意味になる形にしておくと、引き継ぎが会話なしで済みます。

期限を、待たせない側で決める

内見の希望は、返信が遅いほど他社で決まります。受付から返信までの時間を測っていない会社は、遅れていることに気づけません。当日中に一次返信を返す、翌営業日の午前中までに日程の候補を出す、といった線を自分たちで決めて、超えたものが目に見える状態にします。

共有を、ファイルの複製ではなく参照で行う

管理会社や施工業者に不具合の写真を渡すとき、メールに添付し直すと同じ画像が社外に散らばります。渡した相手と渡した日が記録に残らないので、あとから誰に何を出したかが分かりません。問い合わせのレコードから直接見せる形にしておくと、散らばりません。

受付そのものの回し方は場面によって違いがあります。物件についての質問を受けて返すまでの流れ、設備の不具合の報告を受けて業者へつなぐ流れ、内見会の日時を押さえる流れは、それぞれ必要な項目も期限の置き方も違います。届いたものを受けて返す形の全体像は問い合わせの受付にまとまっているので、自社の受付がどの形に近いかを見ながら項目を決めると迷いません。

保管の期間と消し方を、受け取る前に決めておく

写真と書類を受け取るということは、個人情報を預かるということです。不動産の受付では、本人確認書類、勤務先、年収の申告、緊急連絡先といった、性質の重い情報が短期間にまとまって集まります。

個人情報の取り扱いについては、法律の条文と、所管の窓口が出している解説の両方を見る必要があります。まず、利用の目的をはっきりさせることが出発点になります。

個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的をできる限り特定しなければならない。 出典: e-Gov

内見の受付で受け取った免許証の写しを、内見の本人確認以外に使うのであれば、その目的を先に示しておく必要があります。受け取り口の画面に、何のために受け取り、どこまでの範囲で使い、いつ消すのかを書いておくのが素直な形です。ここの解釈は事案によって変わるので、実際の運用を決めるときは所管の窓口や専門家に確かめてください。制度そのものの解説は個人情報保護委員会が出しています。

保存の期間は、書類の性格で分けます。契約に至らなかった内見の希望者から受け取った本人確認書類を、何年も持っておく理由は普通ありません。契約に至った入居者の書類は、契約期間と原状回復の精算が終わるまでは必要です。設備の不具合の写真は、同じ箇所が再発したときの参照に使うので、部屋の履歴として残す価値があります。

決め方の目安として、次の3つを紙に書いてから受け取り口を作ります。

・見送りになった問い合わせの添付は、いつ消すか ・契約に至った書類は、どこへ移して、いつまで持つか ・消したことを、誰がどうやって確かめるか

3つ目が抜けている会社が多くあります。消す決まりだけを作って、実際に消したかどうかを誰も見ていないと、共有フォルダの奥に数年分の免許証の画像が残ります。

受け取った写真を社外へ渡すときに、決めておくこと

不動産会社の受付が他の業種と違うのは、届いたものをそのまま社内で処理して終わりにならない点です。設備の不具合の写真はオーナーと施工業者へ、入居申し込みの書類は保証会社へ、鍵の交換の見積もりは管理会社へと、受け取った情報が必ず外へ動きます。

ここで多いのが、メールに添付し直して渡す方法です。手軽ですが、渡した相手と渡した日が記録に残りません。半年後に「あの写真を誰に出したか」を確かめようとしても、担当者の送信済みフォルダを掘るしかなくなります。担当者が辞めていれば、その手段も消えます。

社外へ渡す前に決めておくことは3つです。第一に、渡してよい情報の範囲です。設備の写真は渡してよいが、その部屋の入居者の氏名と連絡先は渡さない、といった線引きを、業者の種類ごとに決めます。第二に、渡した記録の残し方です。問い合わせのレコードに「いつ、誰に、何を渡したか」を1行残す運用にしておくと、あとから追えます。第三に、渡した先での保管です。業者側で写真がどう扱われるかまでは制御できないので、渡す量を最小にすることが唯一の対策になります。全景を含む10枚を渡す必要はなく、不具合の箇所が写った2枚で足りることがほとんどです。

入居申し込みの書類を保証会社へ回す場面は、扱いがさらに重くなります。本人確認書類や収入に関する情報を第三者へ渡す行為にあたるためです。何をどこへ渡すかを、受け取り口の画面と申込書の両方に書いておき、本人がそれを読んだうえで送信する形にしておきます。判断に迷う場合は、所管の窓口や専門家に確かめてください。

会社の状況ごとに、受け取り口の作り方は変わる

いま使っている道具を捨てる必要があるとは限りません。まず、いまのままで足りる場合を並べます。

いまの道具で足りる場合

店舗が1つで、空室の問い合わせが週に数件、担当者も1人であれば、メール添付で困ることはほとんどありません。写真の枚数も限られ、誰が返すかで迷うこともありません。この規模で受け取り口を作り替えても、得られるものは多くありません。

自社サイトをWordPressで運用していて、問い合わせフォームをすでに設置しているのであれば、ファイル添付の欄を追加する拡張で足りることもあります。設置済みの環境に手を入れる形と、受け取ったあとを別に持つ形の違いはContact Form 7との比較で整理されています。

社内でMicrosoft 365を全社的に使っていて、社内向けの申請を回すのが主な用途であれば、既存の環境の中で完結させる考え方もあります。社内利用と社外からの受付でどう変わるかはMicrosoft Formsとの比較に書かれています。

無料で始められる手軽さを重視して、回答を表計算ソフトで追う形も広く使われています。表計算で追える範囲と、追えなくなる境目についてはGoogleフォームとの比較にまとまっています。

作り替えを考える境目

受け取り口を作り替えたほうがよい状況は、次のどれかが当てはまるときです。

1つ目は、店舗や担当が複数に分かれたときです。誰が返すかを決める仕組みがないと、返し漏れと二重返信が同時に起きます。

2つ目は、ファイルの中身が本人確認書類にまで及んだときです。参考写真だけを受けていた頃と、免許証の写しを受ける今では、必要な管理の水準が違います。

3つ目は、問い合わせの件数が増えて、月末に数えられなくなったときです。何件届いて何件返したかが分からない状態は、取りこぼしを見つける手段がない状態と同じです。

4つ目は、退職や異動で引き継ぎが発生したときです。前任者のメールボックスの中にしか記録がないと、引き継ぎは会話でしか行えません。

費用の見当をつけるときは、使う人数と月に受け取る件数の2つを先に数えます。店舗ごとに担当が分かれているのか、1人が全店舗分を見ているのかで必要な人数は変わります。受け取り件数は、空室の問い合わせ、内見の予約、設備の不具合の3つを合算した数で見ておくと、あとで足りなくなりません。この2つを決めたうえで料金を見ると、比べる軸が定まります。

受け取り口の作りが、問い合わせの数そのものを変える

受付の形を決めるとき、見落とされがちなのは「送る側の手数」です。届いた件数だけを見ていると、送る手前で諦めた人は数字に出てきません。

ファイルの受け取り方を、送る側の手数で並べると差がはっきりします。

受け取り方 送る側の操作 アカウント登録 問い合わせ本体との紐づき
クラウドストレージの共有 リンクを開いて権限の申請、承認待ち 必要な場合が多い 別管理になりやすい
転送サービス リンクを開いてアップロード、URLをメールで送る 不要 メール本文で手作業
メール添付 メールアプリで写真を選んで添付 不要 メールスレッドの中
フォームのファイル欄 フォームの中で選ぶだけ 不要 回答レコードに付随

送る側の操作が増えるほど、途中でやめる人が出ます。不動産の問い合わせは比較検討が前提で、同じ相手が複数社に同時に当たっています。操作の多い1社は落ちます。

もうひとつ、受付の入口を分けすぎない設計も効きます。空室の問い合わせ用のフォーム、内見予約用のフォーム、設備の不具合用のフォームを別々に作ると、送る側はどれを使えばよいか迷い、受ける側は3つの受信箱を見ることになります。入口をひとつにして、中で「用件」を選ばせる形にすると、送る側は迷わず、受ける側は1つの一覧で見られます。用件によって出す項目を切り替える作りにすれば、聞くことを減らしたまま必要な情報は取れます。

不動産会社の受付は、他の業種と比べて次の3点で特殊です。第一に、同じ物件に複数の問い合わせが同時に入り、先着で状況が変わること。第二に、決まる手前で本人確認書類という重い情報が動くこと。第三に、契約後も同じ相手と管理業務でやり取りが続くこと。この3つを踏まえると、受け取り口に求められるのは「速く受けて、誰が返すかを迷わず決めて、書類を安全に置いたまま参照できること」に絞られます。ファイルを送らせる手段を増やすことではありません。

写真を受け取るという小さな話に見えて、決めるべきことは受付の設計そのものに届きます。上限と形式、担当と状態、保存と削除。この3組を紙に書いて決めてから道具を選ぶと、選び直しが起きません。

決め方の順番をもう一度並べると、次のようになります。まず、いま届いている問い合わせを1か月分だけ数えて、用件ごとの内訳を出します。空室の質問が何件、内見の予約が何件、設備の不具合が何件か。次に、そのうち写真や書類が付いていたものが何件かを数えます。ここまでを数えると、受け取り口に何を足すべきかが自動的に決まります。写真つきが月に数件しかないのに受け取り口を作り替えても、変わるものはほとんどありません。逆に、半分以上に写真が付いているのであれば、メール添付のまま回すのは無理があります。

最後に、決めたことを画面に書きます。受け取る枚数、受け取る形式、いつまでに返すか、誰が見るか、いつ消すか。この5行が受け取り口の画面に書いてあるだけで、送る側の迷いは消え、受ける側は同じ基準で回せます。道具を選ぶのは、その5行が決まったあとで十分です。

Q1. 写真を受け取るために、相手にアカウント登録をしてもらう案内は避けたほうがよいですか?

避けたほうが確実です。空室の問い合わせをしている人は同時に複数社へ当たっている途中で、まだ客ではありません。写真を送るためだけに会員登録を求められると、その1社は後回しになります。クラウドストレージの共有は、閲覧はリンクで足りてもアップロードには権限が要る作りが多いため、案内する前に登録が要るかどうかを実際の手順で確かめてください。フォームの中で選ぶだけで送れる形なら、登録の壁は生まれません。

Q2. 受け取るファイルの上限は、何MBに決めればよいですか?

スマートフォンで撮った写真は1枚あたり3MBから5MBになります。参考写真を3枚受けるなら、余裕を見て1件20MB程度が扱いやすい水準です。動画も受けるなら桁がひとつ変わるので、上限を決め直します。メールで受ける場合は相手側の送信上限にも影響され、Gmailからの添付は25MBまでとされています。会社のメールサーバーが10MBで絞っていると、相手は失敗に気づかないまま返事を待つことになります。

Q3. iPhoneから送られてくる写真が開けないことがあるのはなぜですか?

iPhoneの標準設定で撮影した写真はHEICという形式で保存されるためです。パソコン側の環境によっては、そのままでは開けず、担当者が変換する手間が発生します。受け取り口を作るときは、受け付ける拡張子にHEICを含めるかどうかを必ず確かめてください。ここを確かめずに公開すると、iPhoneから送ろうとした人だけが弾かれ、問い合わせを取りこぼした事実にも気づけません。

Q4. 内見の本人確認で受け取った免許証の写しは、いつまで持っておくべきですか?

契約に至らなかった問い合わせの本人確認書類を、長く持ち続ける理由は普通ありません。見送りになった分をいつ消すか、契約に至った分はどこへ移していつまで持つか、消したことを誰が確かめるかの3つを、受け取り口を作る前に決めてください。特に3つ目が抜けると、共有フォルダの奥に数年分の画像が残ります。個人情報の扱いは事案によって判断が変わるので、所管の窓口や専門家に確かめることをおすすめします。

Q5. 空室の問い合わせと設備の不具合で、受け取り口は分けたほうがよいですか?

入口は1つにまとめ、中で用件を選ばせる形をおすすめします。入口を3つに割ると、送る側はどれを使えばよいか迷い、受ける側は3つの受信箱を見ることになります。用件の選択に応じて表示する項目を切り替える作りにすれば、聞くことを減らしたまま必要な情報は取れます。受け取ったあとの一覧が1つにまとまるので、月末に件数を数えるときにも合算の手間がかかりません。

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