個人情報の同意文言を探している人は、たいてい文章そのもので困っていません。困っているのは、どこまで書けば足りるのか、どこに載せればよいのか、チェックを外した人の申し込みをどう扱うのか、という運用の判断です。この記事では、同意が本当に必要になる場面の切り分けから、文言に入れる要素、載せる場所、チェックボックスの作り方、同意した記録の残し方までを順番に並べます。読み終えたときに、自分の受付フォームのどこを直せばよいかが決まっている状態を目指します。
同意文言を書く前に、同意が必要な場面かどうかを分ける
先に結論を置きます。受付フォームで個人情報を集めるとき、法律が常に本人の同意を求めているわけではありません。個人情報保護法の作りは、取得のときに利用目的を本人に通知するか、あらかじめ公表しておくことを求める形になっています。同意という言葉が前面に出てくるのは、そこから外れる取り扱いをするときです。
本人の同意が必要になる場面は、おおむね次の3つに集まります。1つ目は、集めた個人データを第三者に提供するとき。2つ目は、病歴や障害の有無、犯罪の経歴といった要配慮個人情報を取得するとき。3つ目は、最初に示した利用目的の範囲を超えて使うときです。外国にある第三者へ提供する場合は、これに加えて提供先の国の制度などを本人に伝えたうえでの同意が求められます。逆に言えば、自社の中だけで採用選考や問い合わせの返信に使う情報であれば、同意を取ることよりも、利用目的を具体的に書いて示すことのほうが本筋になります。
それでも実務で同意の形が定着しているのは、理由が2つあります。1つは、同意という手続きにすると、本人が読んだという記録が残ること。もう1つは、受付の担当者が社内や取引先に説明しやすいことです。この2つは運用上の利点であって、法律が求めているものと同じではありません。ここを混ぜたまま文言を書くと、同意を求める必要のない項目まで同意の対象にしてしまい、チェックを外した人の申し込みを受け取れない、という詰まりが起きます。
そして、利用目的の書き方には具体性が求められます。個人情報保護委員会は、どの程度まで特定するのかという問いに対して次のように答えています。
利用目的を「できる限り」特定するとは、個人情報取扱事業者において、個人情報をどのような目的で利用するかについて明確な認識を持つことができ、また、本人において、自らの個人情報がどのような事業の用に供され、どのような目的で利用されるのかについて一般的かつ合理的に予測・想定できる程度に、利用目的を特定することをいいます。このため、特定される利用目的は、具体的で本人にとって分かりやすいものであることが望ましく、例えば、単に「お客様のサービスの向上」等のような抽象的、一般的な内容を利用目的とすることは、できる限り具体的に特定したことにはならないと解されます。 出典: ppc.go.jp
つまり「事業活動に利用します」「サービス向上のため」では足りません。受付の目的はたいてい1行で書けます。応募の受付であれば「採用選考および選考結果の連絡のために利用します」、講座の申し込みであれば「受講の手続き、当日の連絡、受講後の修了証の発行のために利用します」。この具体性が、同意文言の骨になります。なお、以下は一般的な整理であり、個別の判断は所管の窓口や専門家に確かめてください。
同意文言に入れる6つの要素
同意文言は長さで決まりません。決まるのは、要素が欠けていないかどうかです。受付フォームに載せる文言なら、次の6つがそろっていれば、たいていの窓口で通ります。
1つ目は、取得する主体の名前です。正式名称で書きます。ここを「当社」だけで済ませると、グループ会社や委託先が受け取っているのかが分かりません。2つ目は、利用目的です。前の節で書いたとおり、具体的に、そして書いた範囲の外では使わない前提で書きます。3つ目は、取得する項目です。氏名、メールアドレス、電話番号、職務経歴、添付する書類。何を集めるのかを列挙すると、読む側は身構えずに済みます。
4つ目は、第三者提供と委託の扱いです。ここは混同されやすいので分けて考えます。第三者提供は、別の事業者が自分たちの目的で使うために渡すことで、原則として本人の同意が必要です。委託は、自分たちの利用目的の範囲内で作業を任せることで、同意は必要ない代わりに、委託先を監督する義務が残ります。2つの違いを押さえると、文言の書き方が変わります。共催の相手や審査を担う外部の委員に応募書類を見せるなら第三者提供として同意を取り、フォームやメール配信の仕組みを外部のサービスで動かしているだけなら委託として整理します。
5つ目は、保管期間と削除の扱いです。「選考終了後1年で削除します」のように期間を書ければ、それがいちばん分かりやすい形になります。期間を決めきれない場合でも、「利用目的を達成したのち、社内の規定に従って削除します」のように、いつまでも持ち続ける前提ではないことを示します。6つ目は、問い合わせ窓口です。開示、訂正、利用停止、削除の求めを受け付ける先を、部署名とメールアドレスで書きます。
この6つに加えて、もう1つ決めておくと運用が楽になる点があります。それぞれの項目が必須なのか任意なのか、そして答えなかったときに何が起きるのかです。「電話番号は任意です。面接の日程調整で連絡が取れない場合に使います」と書いてあれば、書かない人が不安になりません。
形を変えて使える同意文言の3つの型
実際に載せる文言を、長さの違う3つの型で並べます。自分の受付に近いものを選び、名前と目的と項目を差し替えて使う形を想定しています。
短い型は、問い合わせの受付に向いています。「ご記入いただいた氏名、メールアドレス、お問い合わせ内容は、お問い合わせへの回答および回答に必要な社内の確認のために利用します。回答を終えたのちは、株式会社〇〇のプライバシーポリシーに従って管理します。第三者に提供することはありません。取り扱いについてのご連絡は、〇〇部(メールアドレス)で承ります。」これで、主体、目的、項目、第三者提供の有無、窓口が入ります。
標準型は、応募や申し込みの受付に向いています。「株式会社〇〇は、ご記入いただいた氏名、生年月日、連絡先、職務経歴、添付いただいた書類を、採用選考および選考結果のご連絡のために利用します。選考の過程で、フォームの運用と応募書類の保管を外部の事業者に委託する場合があります。委託先には、必要な範囲でのみ取り扱うことを求め、当社が監督します。選考の終了後1年を経過したのち、当社の規定に従って削除します。開示、訂正、利用停止のご請求は、人事部(メールアドレス)で承ります。」
第三者提供を含む型は、共催の事業や外部の審査がある受付に向いています。ここでは提供先と目的を必ず書きます。「ご記入いただいた内容のうち、団体名、代表者名、連絡先、企画の概要は、審査のために外部審査委員(〇〇大学〇〇研究室、株式会社〇〇)へ提供します。提供の目的は本公募の審査に限られ、審査の終了後は返却または削除されます。この提供に同意いただけない場合、本公募への申し込みをお受けできません。」最後の一文が抜けると、チェックを外した人の扱いを担当者がその場で判断することになり、対応が人によってぶれます。
3つの型に共通する注意を1つ挙げます。プライバシーポリシーへのリンクを置くときに、リンクだけで済ませないことです。リンク先には全社の方針が書かれていますが、いま目の前のフォームが何のために何を集めるのかは書かれていません。フォームの側に短い文言を置き、詳細をリンク先に渡す、という二段構えが読み手にとっていちばん負担が軽くなります。
フォームのどこに載せるかで読まれ方が変わる
同じ文言でも、置く場所で読まれ方が変わります。実際に使われている形は3つです。
1つ目は、送信ボタンの直前に全文を置く形です。読まれる確率はもっとも高くなりますが、文言が長いと画面が文字で埋まり、送信をためらう人が出ます。2つ目は、フォームの冒頭に要約を置き、詳細をプライバシーポリシーへのリンクに渡す形です。読み始める前に見えるので、書きたくない項目がある人が早い段階で判断できます。3つ目は、チェックボックスのラベルに一文とリンクを置く形です。場所を取らず、同意の記録も残るため、受付フォームではこの形が多く使われています。
どの形にしても、リンク先は新しいタブで開き、戻ってきたときに入力した内容が消えない作りにします。ここが崩れているフォームは、長い応募書類を書いた人が最後にリンクを押して入力を失う、という事故を起こします。リンクを押した人がそのまま離脱したかどうかは、フォームの側では分かりません。だからこそ、押しても壊れない作りにしておく必要があります。
公表の場所についても、考え方が示されています。
「公表」とは、広く一般に自己の意思を知らせることであり、公表に当たっては、事業の性質及び個人情報の取扱状況に応じ、合理的かつ適切な方法による必要があります。ホームページで公表することも可能と解されますが、当該店舗に来訪した者にとってそのホームページが合理的に把握可能であることを含め、分かりやすい場所への掲載が求められるものと解されます。 出典: ppc.go.jp
ウェブサイトに載せること自体は認められる一方で、分かりやすい場所であることが求められる、という整理です。フッターの奥に1つだけリンクがある状態を「公表した」と考えるより、受付フォームからも直接たどれる形にしておくほうが確実です。
スマートフォンからの申し込みが多い受付では、もう1点あります。同意文言を小さな枠の中に押し込んで縦に長くスクロールさせる作りにすると、読まれないまま下までスクロールされます。枠を作らず、本文としてそのまま並べたほうが読まれます。文字の大きさも、本文と同じか、それに近い大きさを保ちます。
チェックボックスの作り方で失敗するところ
同意のチェックボックスは、置けば済むものではありません。失敗が集まるところが4つあります。
1つ目は、あらかじめチェックを入れた状態で表示することです。同意したという意思表示を本人から受け取る形にならないため、記録としての価値が下がります。個人情報保護委員会は、明示の同意以外が認められるかどうかについて、次のように整理しています。
同意は、本人による承諾の意思表示をいいますので、「明示の同意」以外に「黙示の同意」が認められるか否かについては、個別の事案ごとに、具体的に判断することとなります。 出典: ppc.go.jp
個別に判断されるということは、初期状態でチェックが入っていた場合に同意と言えるかどうかは、後から争いになりうるということです。受付の担当者の立場では、争いが起きない形を選ぶのが早いです。
2つ目は、期限を切って「回答がなければ同意とみなす」形にすることです。既に登録されている人に目的の追加を知らせるときに使われがちな手ですが、これも通りません。
本人が同意に係る判断を行うために必要と考えられる合理的かつ適切な方法によらなければなりません。したがって、一定期間回答がなかったことのみをもって、一律に本人の同意を得たものとすることはできません。 出典: ppc.go.jp
3つ目は、性質の違う同意を1つのチェックにまとめることです。「個人情報の取り扱いに同意し、あわせて当社からのご案内メールの受信に同意します」という形にすると、案内メールを受け取りたくない人が申し込めなくなります。受付に必要な同意と、任意の案内は必ず分けます。分けたうえで、任意の側は初期状態でチェックを入れません。
4つ目は、未成年からの申し込みです。同意の結果を判断する力があるかどうかが問題になります。個人情報保護委員会の整理では、一般的には12歳から15歳までの年齢以下の子どもについて、法定代理人などから同意を得る必要があると考えられるとされています。講座や施設利用の受付で小中学生を対象にするなら、保護者の氏名と同意を取る欄を設けるのが実務的な形になります。
同意した記録を残す形を決める
同意を取るところまでは、フォームの設定で終わります。問題はそのあとです。開示や削除の求めが来たとき、あるいは取り扱いについて問い合わせが来たときに、その人がいつ、どの文言に同意したのかを取り出せなければ、同意を取った意味が薄くなります。
残すべき項目は4つです。同意した日時、同意した文言の版、同意したチェックの内容、そして本人を特定できる情報です。このうち抜けやすいのが文言の版です。同意文言は必ず直されます。目的が増え、委託先が変わり、窓口の部署名が変わります。直した記録が残っていないと、半年前に申し込んだ人がどの文言を読んだのかを誰も言えなくなります。文言に日付付きの版番号を振り、フォーム側の設定にもその番号を残しておけば、この問題は消えます。
記録の置き場所も決めておきます。表計算ソフトの1行として残す形は始めやすい反面、回答が増えると探せなくなります。受付が100件を超えたあたりから、検索とフィルタの手作業が増え、誰がどこまで確認したかが表に残らなくなる、という話は窓口の担当者からよく出ます。回答を受け取る道具の側に、状況と担当を持たせる列が用意されているかどうかは、この時点で差が出ます。作るところから受け取ったあとまでの役割分担はGoogleフォームとの比較に、自社のサイトに埋め込んで使う形との違いはContact Form 7との比較に整理しています。
削除の求めが来たときの手順も、同意の記録とひとつにしておきます。応募者の情報を削除したのに同意の記録だけが残っている、あるいは逆に同意の記録を消したために何に同意したのか分からなくなる、という食い違いが起きがちです。削除の対象に何を含めるかを、あらかじめ書き出しておきます。
同意文言を直したあとに起きること
同意は、同意した時点の文言に対するものです。あとから利用目的を足したとき、過去に同意した人の分まで自動的に広がることはありません。ここを取り違えると、既存の応募者の情報を新しい目的で使ってしまいます。
直すときの手順は3つです。1つ目、何が変わったのかを整理します。目的が増えたのか、項目が増えたのか、提供先が増えたのか、窓口の名前が変わっただけなのか。窓口の表記だけであれば、改めての同意は通常必要ありません。2つ目、増えた内容が同意の必要な範囲かどうかを見ます。第三者提供の追加や、当初の目的から外れる利用の追加であれば、改めて示す手続きが必要になります。3つ目、適用の開始日を書きます。「2026年10月1日から適用します」と1行あるだけで、どちらの文言が適用される申し込みなのかが後から分かります。
直した文言をいつから使うかは、フォームの公開と合わせて決めます。フォームを差し替えた瞬間から新しい文言が適用されるのに、適用の開始日を翌月の1日と書いてしまうと、その間に届いた申し込みがどちらの文言に対する同意なのか説明できなくなります。差し替えの日と適用の開始日をそろえるのが、いちばん事故が少ない形です。
変更の履歴を残すページを1つ作っておくと、この作業が軽くなります。日付、変更点、適用の開始日の3列だけの表で足ります。問い合わせが来たときに、その表を見せれば説明が終わります。
もう1つ、直したあとに忘れられやすいのが、同じ文言を複数の場所に貼っている場合です。応募フォーム、問い合わせフォーム、イベントの申し込み、紙の申込書。同じ文言を4か所に貼っていれば、直す作業も4回になります。1か所に置いて、各フォームからはリンクで参照する形にしておけば、直す場所は1か所で済みます。受付の場面ごとにどんな項目が必要になるかは、採用の応募受付と助成金・公募の受付でそれぞれの形を整理しています。
届いたあとに同意の記録が迷子になる理由
同意文言の話が運用の話に変わるのは、受け取ったあとです。フォームの設定は1回で終わりますが、届いた回答は毎日増えます。
見える範囲の管理が、いちばん先に崩れます。フォームを共同で編集できるようにすると、その人は回答の中身も見られるのが普通です。担当が代わったときに編集の権限だけを外して、回答が入っている表の権限を外し忘れると、見える範囲が広がったままになります。個人情報を含む受付では、権限の棚卸しを担当の交代のたびに行うのが確実です。
もし漏れてしまった場合の報告の義務も、規模によらず関わってきます。個人情報保護委員会は、報告が義務付けられる場合を4つの類型で示しています。要配慮個人情報が含まれる場合、不正に利用されると財産的な被害が生じるおそれがある場合、不正の目的をもって行われたおそれがある行為による場合、そして本人の数が1,000人を超える場合です。不正の目的で行われたおそれがある場合の報告期限は、発覚日から60日以内と案内されています。設定の誤りでインターネット上から回答が見える状態になった事例も、類型の例として挙げられています。同意文言を整えることと、見える範囲を締めることは、別の作業として両方必要になります。
返信の管理も、同意の記録と同じ場所にあるほうが早く終わります。誰が返信したか、どこまで進んでいるかが表に残らないと、二重の返信と返し忘れは必ず起きます。取り扱いについての問い合わせは、たいてい急ぎの連絡として届きます。そのときに、同意の記録と返信の履歴が別の場所にあると、探すところから始めることになります。送信されたあとの道具がそろっている受付の形にしておくと、この探す時間が消えます。受け取ったあとに何ができるかはできることにまとめています。
無料のテンプレートを使うときに直す3つのポイント
同意文言のテンプレートは、無料で公開されているものが数多くあります。法律事務所や行政書士の事務所が出しているもの、フォームを提供している会社が自社のブログに載せているもの、業界団体が会員向けに配っているもの。使ってよいのか迷う人が多いのですが、出発点として使うぶんには問題がありません。実際、テンプレートの提供者も、そのまま使うのではなく自分の事業に合わせて直す前提で書いています。
個人情報の第三者提供に関する同意書は抜け・漏れがないよう、さまざまなケースを想定して作成する必要があります。特にはじめて同意書を作成される方は大変に感じられるかもしれません。そこで、当サイトではすぐに使えるテンプレートをご用意しました。こちらも参考にして同意書を作成してみましょう。 出典: biz.moneyforward.com
さまざまな場合を想定して作る必要がある、という指摘のとおりです。テンプレートは平均的な場合に合わせて書かれているため、自分の受付に当てはめると必ず余りと不足が出ます。直す場所は3つに絞れます。
1つ目のポイントは、集めない項目を消すことです。テンプレートには、住所、生年月日、勤務先、家族構成といった項目が並んでいることがあります。集めていない項目が文言に残っていると、読んだ人は「これから聞かれるのだろう」と構えます。フォームの入力欄と文言の項目は、一字一句そろえます。2つ目のポイントは、第三者提供の記述を実態に合わせることです。テンプレートは提供がある前提で書かれているものと、無い前提で書かれているものが混在しています。提供が無いのに「提供する場合があります」と残していると、あとから提供していないことの説明を求められます。逆に、外部の審査委員に見せているのに「提供しません」と書いてあれば、文言と運用が食い違います。
3つ目のポイントは、窓口の実在を確かめることです。テンプレートの窓口欄には「お客様相談室」のような一般的な部署名が入っていることがあります。社内にその部署が無いまま公開すると、開示の求めが届いたときに受け取る先がありません。実際に読んでいる受信箱のアドレスを書きます。返信が来るアドレスに、返信できないアドレスを使わないことも同じ理由で重要です。
注意したいのは、テンプレートを組み合わせて長くすることです。抜けを恐れて2つ3つのテンプレートを足すと、同じことを違う言い方で書いた重複が生まれ、読んだ人が矛盾を見つけたときに答えられなくなります。1つを選んで削る方向で直すほうが、精度が上がります。おすすめの進め方は、まず自分のフォームの入力欄をすべて書き出し、その一覧に対して文言を当てていく順番です。文言から入力欄を考えるのではなく、入力欄から文言を作ります。判断に迷う項目が残ったときだけ、所管の窓口や専門家に確かめます。
受付の道具を見直すときに見る3つの点
同意文言を整えた次に、道具の側を見直す順番が来ます。判断の軸は3つに絞れます。
1つ目は、回答者に何を求めるかです。回答するためにアカウントの登録や社内のアカウントでのログインを求める形になっていると、そこで申し込みをやめる人が出ます。採用の応募や一般からの問い合わせでは、ログインを求めない形が前提になります。反対に、社内からの申請であれば、ログインを求めることが本人確認の役に立つ場面もあります。受付の相手が社内か社外かで、この軸の答えは逆になります。
2つ目は、届いた回答に担当と状況を持たせられるかです。同意の記録も、返信の履歴も、結局は1件ごとの状態として持つしかありません。表計算ソフトの列に手で書き込む形は、件数が少ないうちは回ります。回らなくなる境目は、件数そのものよりも、関わる人の数で決まります。担当が2人以上になった時点で、誰がどこまで見たかを表に書く手間が発生します。
3つ目は、権限を項目の単位で絞れるかです。応募の受付では、選考に関わる人には職務経歴まで見せ、日程調整だけを担う人には連絡先だけを見せる、という分け方が必要になります。フォームの共有設定が全部か無しかの2択しかないと、この分け方はできません。3つの道具を横に並べたときの差はMicrosoft Formsとの比較で項目ごとに整理しています。
道具を入れ替える判断そのものは、料金だけでは決まりません。受付の件数が増えても費用が跳ねないかどうか、使う人を増やしたときにどう変わるかは、料金で確かめられます。ここまでの整理で残った疑問はよくある質問に集めてあります。同意文言は、書いた時点で終わる作業ではなく、受け取ったあとの手順と一緒に回すものだと考えておくと、次に直す場所を見失いません。
Q1. 個人情報の同意文言は、どのくらいの長さにすればよいですか?
長さより要素です。取得する主体の正式名称、具体的な利用目的、集める項目、第三者提供と委託の有無、保管期間と削除の扱い、問い合わせ窓口の6つが入っていれば、問い合わせの受付なら4行ほどで足ります。詳細は自社のプライバシーポリシーへのリンクに渡し、フォームの側は短く保つ形が読まれやすくなります。
Q2. 同意のチェックボックスに、あらかじめチェックを入れておいてもよいですか?
避けるのが確実です。個人情報保護委員会は、明示の同意以外が認められるかどうかは個別の事案ごとに判断されると整理しています。初期状態でチェックが入っていた場合に同意と言えるかどうかは後から争いになりうるため、本人が自分で入れる形にしておくほうが記録として強くなります。
Q3. 利用目的に「サービス向上のため」と書くだけでは足りませんか?
足りません。個人情報保護委員会は、単に「お客様のサービスの向上」のような抽象的、一般的な内容では、できる限り具体的に特定したことにはならないと解されるとしています。「採用選考および選考結果の連絡のために利用します」のように、何をするために使うのかを1行で書きます。
Q4. 同意文言を書き直したら、過去に申し込んだ人から改めて同意を取り直す必要がありますか?
変わった内容によります。窓口の部署名の表記が変わった程度であれば通常は不要です。一方で、第三者提供の追加や、当初示した目的から外れる利用の追加であれば、改めて示す手続きが必要になります。適用の開始日を文言に書き、変更の履歴を残しておくと、どちらが適用される申し込みかが後から分かります。