クリニックの応募を数えようとして、途中でやめてしまった診療所は少なくありません。院長に「この求人サイトに毎月お金を払っているけど、応募は来ているのか」と聞かれ、事務長が集計用の表を作ります。最初の1か月は応募が来るたびに表に書き込みますが、翌月にはレセプトと予防接種の時期が重なり、表の更新が止まります。3か月後に院長から同じことを聞かれて、また一から数え直すことになります。原因は、数えるための作業を、普段の応募の対応とは別に足してしまったことにあります。この記事では、診療所で応募を数えるときに、事務の入力を増やさずに、普段の対応の記録から件数が出る形を作る手順を整理します。
診療所の応募は、件数が少ないからこそ数える意味がある
診療所の採用は、病院や大きな事業所の採用とは規模がまったく違います。厚生労働省の医療施設調査を見ると、一般診療所のほとんどが入院の病床を持たない形です。
一般診療所は「有床」が 5,415 施設(一般診療所総数の 5.1%)で、前年に比べ 226 施設減少し、このうち「療養病床を有する一般診療所」は 431 施設で、前年に比べ 75 施設減少している。「無床」は 99,792 施設(同 94.9%)で、前年に比べ 539 施設増加している。 出典: mhlw.go.jp
入院の病床を持たない診療所は夜勤がなく、院長と看護師、医療事務を合わせても少人数で回しているところが多く見られます。1回の募集で採用するのは1人か2人で、看護師の応募は月に数件しか届かない、という診療所も珍しくありません。
件数が少ないと、数えても意味がないように感じられます。しかし実際には逆です。件数が少ないからこそ、1件の取りこぼしや1つの入口の空振りが、採用の結果に直接響きます。月に3件しか来ない看護師の応募のうち、1件に返信が遅れて辞退されれば、その月の面接の候補は3分の2になります。掲載料を払っている求人サイトから半年間1件も応募が来ていなければ、その費用はそのまま無駄になっています。
一方で、件数が少ないことは、数え方にも影響します。数十件、数百件の応募を扱う採用なら、入口ごとの割合や段階ごとの割合を計算して比べられます。診療所では、分母が小さすぎて割合がほとんど意味を持ちません。応募3件のうち面接に進んだのが2件なら67%、1件なら33%で、たった1件の違いで数字が大きく動きます。診療所で応募を数えるときは、割合よりも、1件ずつの行方を追えることを優先します。
数えるための表を別に作ると、止まる
診療所で応募を数える作業が続かない理由は、ほとんどの場合、数えるための表を普段の対応と別に作ってしまうことにあります。
よくある形はこうです。応募が届くと、担当者は求人サイトの管理画面で応募者の経歴を確かめ、メールで面接の案内を送り、面接の日程を院長の予定表に書き込みます。ここまでが普段の対応です。そのうえで、集計用の表を開いて、「○月○日、看護師、求人サイトA、1件」と書き込みます。面接が決まったら、また集計用の表を開いて、面接の列に印を付けます。
この「集計用の表を開いて書き込む」作業は、応募者への対応には何の役にも立ちません。忙しい日には真っ先に後回しになり、後回しにしたことを忘れます。1件書き忘れると、表の数字は実際より少なくなり、表を信用できなくなります。信用できない表は更新されなくなり、やがて放置されます。
院長の家族が事務を担っている診療所では、院長夫人が手書きの台帳で応募を管理し、事務長が別に表計算ソフトで集計する、というように、2人が別々の記録を持っていることもあります。2つの記録の件数が合わず、どちらが正しいか分からなくなります。
数える作業を続けるには、数えるための入力をゼロにするのが理想です。普段の対応のために必ず残す記録があり、その記録を並べ替えたり絞り込んだりすれば件数が出る、という形です。数えるために新しく書き込むものは作らず、対応のために書き込んでいるものを、数えられる形にそろえるだけにします。
普段の対応の記録を、1応募1行にそろえる
普段の対応の記録から件数を出すには、記録を1応募1行の一覧にそろえることが前提になります。応募者ごとに、次の列を持たせます。
・届いた日 ・職種 ・入口 ・担当 ・いまの段階 ・次にやることと、その期限 ・終わった理由(終わった応募だけ)
このうち、届いた日、職種、入口、担当、次にやることは、件数を数えるためではなく、応募者に返信し、面接を決め、結果を伝えるために必要な列です。担当者は、どの応募に何をすべきかを知るために、この一覧を毎日見ます。見るために書き込むので、書き忘れが起きにくくなります。
いまの段階と、終わった理由の2つの列が、件数を出すための列を兼ねます。いまの段階は「面接の日程を待っている」「院長の判断を待っている」といった、次の対応を決めるための情報なので、これも普段の対応で必ず更新されます。終わった理由は、応募が終わったときに1回だけ書き込めば済みます。
この形にしておけば、「先月届いた看護師の応募」は届いた日と職種で絞り込めば出ますし、「求人サイトAからの応募のうち面接まで進んだもの」は入口と段階で絞り込めば出ます。数えるための列を別に足す必要はありません。
段階は、診療所の採用の流れに合わせて5つ前後に絞る
段階の列に入れる言葉は、自由に書かせず、決まった選択肢から選ぶ形にします。人によって「面接待ち」「日程調整中」「面接予定」とばらばらに書くと、あとで絞り込めなくなるからです。
診療所の採用の流れに合わせると、段階は次の5つ前後に絞れます。
・届いた:応募が届き、まだ最初の連絡をしていない ・連絡中:最初の連絡をして、面接の日程を相談している ・面接済み:面接を終え、院長の判断を待っている ・内定:内定を伝え、応募者の返事を待っている ・終わった:入職が決まった、見送った、辞退されたなど、対応が終わった
看護師の採用では、面接の前に職場の見学や、半日程度の体験の勤務を挟む診療所もあります。自院でそれを行っているなら、「見学済み」を1つ足します。ただし、段階を細かくしすぎると、担当者がどれを選べばよいか迷い、更新が遅れます。自院の採用の流れで、担当者が次にやることが変わる区切りだけを段階にしてください。
「終わった」の段階には、終わった理由を必ず添えます。理由の選択肢は次のように決めておきます。
・入職 ・見送り ・応募者が辞退(面接の前) ・応募者が辞退(面接のあと) ・連絡がつかなくなった ・募集を締めたあとに届いた
この理由の列があれば、件数を出したときに「応募は来ているのに、面接の前の辞退が多い」「連絡がつかなくなる応募が多い」といった、どこで応募が止まっているかが見えてきます。
入口は、応募者に選んでもらうか、決まった言葉から選ぶ
入口の列も、段階と同じく決まった言葉から選ぶ形にします。「求人サイトA」「求人サイトA」「Aサイト」と書き方がぶれると、同じ入口の応募が別々に数えられます。
自院のホームページのフォームから応募を受けている場合は、応募者に「この求人をどこで知りましたか」と選択肢で聞く方法もあります。応募者が選んでくれれば、担当者が入口を書き込む必要がなくなり、入力が1つ減ります。選択肢には、自院で実際に使っている入口の名前を並べ、「その他」を最後に置きます。
ただし、応募者が選ぶ入口と、実際の入口が食い違うことはあります。求人サイトで見つけて、自院のホームページを調べてからフォームで応募した人は、「求人サイト」を選ぶかもしれませんし、「ホームページ」を選ぶかもしれません。診療所で知りたいのは、お金をかけている入口が応募のきっかけになっているかどうかなので、「知った場所」を聞く形のほうが目的に合っています。
紹介会社やハローワークからの応募は、フォームを通らないので、担当者が入口の列を選びます。職員や患者からの紹介は、「紹介」という入口を1つ用意し、紹介者の名前は別の場所に書いておきます。紹介者の名前を入口の列に書くと、紹介ごとに入口が増えて、件数を並べにくくなります。
数え方の決まりを、迷いやすいものから先に決める
診療所の応募を数えていると、「これは1件に数えるのか」と迷う場面が出てきます。迷ったまま担当者ごとに違う数え方をすると、件数が合わなくなります。迷いやすいものから、先に決まりを作っておきます。
電話で条件を聞いてきただけの人
受付に「看護助手の募集はまだしていますか」「週3日でも働けますか」と電話がかかってくることがあります。条件を聞いただけで、応募するとは言っていない人を、応募に数えるかどうかは迷うところです。数える場合と数えない場合で、件数は大きく変わります。
診療所では、名前と連絡先を聞き、面接や履歴書の送付に進む意思を示した時点で1件と数え、条件を聞いただけの電話は数えない、と決めておくのが分かりやすいでしょう。条件を聞いてきた電話の数そのものを知りたい場合は、受付の電話の横にメモの用紙を置き、正の字で数えるだけにとどめ、応募の一覧には載せません。
紹介会社からの推薦
紹介会社から「この看護師さんを推薦したい」と経歴書が届いた時点で1件と数えるのか、書類を見て面接に進めると返事をした時点で1件と数えるのかも、決めておきます。推薦が届いた時点で数えておくと、紹介会社からどれだけの推薦が来て、そのうち何件を面接に進めたかが分かり、紹介会社との付き合い方を考える材料になります。
同じ人が2つの入口から応募してきた場合
同じ看護師が、求人サイトと紹介会社の両方から応募してくることがあります。この場合は1人を1件と数え、入口の列には先に届いたほうの入口を書き、もう1つの入口は備考に残します。2件と数えると、応募者の数が実際より多く見えます。
以前にも応募してきた人
前回の募集で見送った人や、辞退した人が、次の募集で再び応募してくることがあります。募集ごとに数えるなら、新しい募集への応募として1件と数えます。前回の行を書き換えるのではなく、新しい行を足し、備考に前回の応募があったことを書いておきます。
募集を締めたあとに届いた応募
看護師の枠が埋まって求人サイトの掲載を止めたあとも、しばらくは応募が届くことがあります。掲載の終了が反映されるまでの間に応募した人や、紹介会社の担当者が終了を知らずに推薦してきた人です。こうした応募も一覧に1行を足し、終わった理由を「募集を締めたあとに届いた」にして数えます。数えずに捨ててしまうと、締めたあとも応募が届き続けている入口に気づけません。締めてから届いた件数が多い入口は、次の募集を締めるときに、真っ先に終了の連絡をする相手になります。
月に1回、午後休診の時間に10分だけ見る
普段の対応の記録から件数が出る形にしたら、月に1回、決まった時間に一覧を絞り込んで見ます。木曜や土曜の午後が休診の診療所なら、月初めの休診の午後に10分だけ時間を取ります。レセプトの提出が終わったあとの時期にすると、事務長の手が空きやすくなります。
見るのは、次の3つだけで十分です。
・先月届いた応募を、職種と入口で分けた件数 ・先月終わった応募を、終わった理由で分けた件数 ・いま「届いた」「連絡中」のまま、次にやることの期限を過ぎているもの
3つ目は件数というより、取りこぼしの点検です。月に1回の確認で、期限を過ぎたまま止まっている応募が見つかれば、その場で担当者に対応してもらいます。数える作業と取りこぼしの点検を同じ時間に行うと、数えることが応募者への対応にもつながります。
件数は、表計算ソフトの絞り込みや集計の機能を使えば、一覧から数分で出せます。数えた結果を別の表に書き写す必要はありません。院長に報告するときは、絞り込んだ画面をそのまま見せるか、3つの数字を1枚の紙に書いて渡します。
職種ごとに、見るところを変える
診療所の応募を数えるときは、看護師と医療事務を分けて見ます。2つの職種では、応募の集まり方も、止まりやすい場所も違うからです。
看護師の応募は件数が少なく、1件ずつの重みが大きくなります。見るべきは、応募が来たかどうかと、来た応募が面接まで進んだかどうかです。看護師の応募が月に2件、3件という規模なら、件数を数えるより、2件それぞれがどこで終わったかを1行ずつ読んだほうが、次に何を変えるべきかが分かります。応募から最初の連絡までに何日かかったか、届いた日と段階の更新の日を見比べるだけでも、返信の速さに問題があるかどうかが分かります。
医療事務の応募は、看護師より件数が集まりやすい職種です。見るべきは、入口ごとの件数と、面接の前に止まっている件数です。応募は多いのに、面接に進むのが少ないなら、書類の段階で見送る基準が厳しすぎるか、最初の連絡が遅れて辞退されているかのどちらかであることが多くなります。終わった理由の列を見れば、どちらが多いかが分かります。
看護助手や、診療科によって募集する検査技師などの職種は、募集する頻度が低いので、募集を行った月だけ見れば足ります。
時期と並べて見る
診療所の応募の件数は、時期によって大きく変わります。求人を出した直後の週に応募が集中し、そのあとは減っていくのが一般的な形です。月ごとの件数だけを見ていると、求人を出した月だけ件数が多く、翌月は少ない、という当たり前の動きを、入口の良し悪しと取り違えてしまいます。
件数を見るときは、その月に求人を新しく出したか、掲載を続けていただけか、募集を締めていたかを、横に書いておきます。一覧とは別に、募集ごとに「掲載を始めた日」「締めた日」を1行ずつ残しておくと、件数と並べて見られます。
看護師の転職は、年度の切り替わりや、賞与の支給のあとに動きが出やすいと言われます。自院の記録を1年分並べてみると、自院の地域で看護師の応募がいつ集まりやすいかが、少しずつ見えてきます。次の欠員が出たときに、求人を出す時期を決める材料になります。
診療所の側の忙しい時期も、件数の見方に関わります。予防接種や花粉の時期に受付が忙しく、応募への最初の連絡が遅れた月は、辞退の件数が増えているかもしれません。忙しい時期と、終わった理由の「辞退」の件数を並べてみると、返信の遅れが辞退につながっているかどうかを確かめられます。
費用と並べるときは、入職1人あたりで考える
院長が応募の件数を知りたがる理由の多くは、求人にかけている費用が見合っているかを判断したいからです。件数を費用と並べるときは、応募1件あたりではなく、入職した1人あたりで考えると、判断を誤りにくくなります。
求人サイトの掲載料は、掲載の期間や枠によって決まっていることが多く、応募が多くても少なくても同じ費用がかかります。紹介会社の手数料は、入職が決まったときにだけ発生する形が一般的です。この2つを応募1件あたりで比べると、応募を多く集める求人サイトが割安に見えますが、面接に進む応募が少なければ、入職1人あたりでは高くつくことがあります。費用の計算の仕方は、それぞれの契約書や料金の案内で確かめてください。
診療所では、1回の募集で入職するのが1人か2人なので、入職1人あたりの費用は、募集を1回終えるごとに計算します。数回の募集を並べると、自院にとってどの入口の組み合わせが見合っているかが見えてきます。普段の対応の記録で、入口と終わった理由がそろっていれば、この計算に必要な数字は一覧から出せます。
件数から、次の募集で変えるものを選ぶ
数えた結果は、次の募集で何を変えるかを決めるために使います。診療所の募集でよく見られる形と、そこから考えられる変え方を並べておきます。
看護師の求人サイトから、掲載している期間に応募がほとんど届いていない場合は、入口そのものより掲載の中身を先に疑います。業務の範囲、帰れる時刻の目安、看護師の人数が書かれていない掲載は、ほかの医療機関の掲載と並んだときに選ばれにくくなります。掲載をやめる判断は、中身を変えても届かなかったときにします。
医療事務の応募が院内の貼り紙から多く届くのに、連絡がつかなくなる応募が多い場合は、患者やその家族が気軽に問い合わせていることが考えられます。貼り紙に勤務時間と応募の方法を具体的に書き、受付で聞き取る項目をそろえると、連絡がつかない応募は減っていきます。
終わった理由で「辞退(面接の前)」が続いている場合は、面接の前に勤務の条件を文字で渡しているかを確かめます。「連絡がつかなくなった」が多い場合は、最初の連絡を電話だけで行っていないかを見直します。現職の看護師は日中に電話に出られないので、メールなど文字で残る手段を併せて使うと、連絡がつく応募が増えます。
変えるものは、1回の募集で1つに絞ります。掲載の中身と連絡の手段を同時に変えると、次の募集で件数が変わったときに、どちらが効いたのか分からなくなるからです。
院長に見せる1枚の例
月に1回の確認のあとに院長へ渡す紙は、次のような表1つで足ります。数字は一覧を絞り込んで出したものを書き写すだけで、計算や見出しを飾る必要はありません。
| 職種 | 入口 | 先月届いた | 面接まで進んだ | 終わった理由 | いま止まっている |
|---|---|---|---|---|---|
| 看護師 | 求人サイトA | 2 | 1 | 辞退(面接の前)1 | 0 |
| 看護師 | 紹介会社B | 1 | 1 | 面接済みで判断待ち | 1 |
| 医療事務 | ハローワーク | 4 | 2 | 見送り1、辞退(面接のあと)1 | 0 |
| 医療事務 | 院内の貼り紙 | 1 | 0 | 連絡がつかなくなった1 | 0 |
表の下に、その月に求人を新しく出したか、掲載を止めた入口があったかを1行だけ書き添えます。院長が知りたいのは、お金をかけている入口から応募が来ているかと、来た応募がどこで止まっているかの2つなので、それ以上の分析を足すと、かえって読まれなくなります。
表を見た院長から「この辞退はなぜか」と聞かれたら、一覧のその行を開いて見せます。表で数を示し、理由は1行ずつの記録で答える、という分担にしておくと、数える作業と普段の対応の記録が同じものであることが、院長にも伝わります。
分院や、診療科ごとに募集を分けているとき
複数の診療所を持つ医療法人や、1つの診療所で複数の診療科の看護師を別々に募集している場合は、「どの拠点の、どの募集か」を分けて数える必要が出てきます。このとき、拠点の列や診療科の列を新しく足したくなりますが、列が増えるほど、応募を寄せるたびに選ぶ項目が増えます。
入力を増やさない方法は、職種の選択肢に拠点や募集の名前を含めてしまうことです。「看護師(本院)」「看護師(分院)」「医療事務(分院)」のように、職種の列で選ぶだけで拠点も決まる形にしておけば、選ぶ項目は1つのままです。募集が終われば、その選択肢を外します。
法人の本部が応募を受け取り、各拠点に振り分けている場合は、振り分けた時点で職種の選択肢を拠点付きのものに変えます。本部と拠点が別々の表で数えていると、本部が数えた件数と拠点が数えた件数が合わなくなるので、本部と拠点が同じ一覧を見る形にそろえてください。
事務の職員が辞めても、数える記録を失わない
診療所の医療事務は入れ替わりが起きやすく、数える仕組みを作った事務長や担当者が退職すると、記録そのものが失われることがあります。担当者の個人のパソコンに表が保存されていた、担当者しか知らない場所にファイルがあった、という形です。
記録は、特定の職員の個人の端末ではなく、診療所として管理する場所に置きます。退職する職員がいるときは、一覧の場所、段階と入口と終わった理由の選択肢の決まり、月に1回の確認の手順を、次の担当者に引き継ぎます。数え方の決まりを一覧の近くに短い文章で残しておくと、担当者が替わっても、同じ数え方が続きます。
数え始めの1か月でやること
数えることを始めるときは、次の順番で進めると、入力を増やさずに済みます。
最初に、いま使っている記録をすべて集めます。求人サイトの管理画面、紹介会社とのメール、自院のフォームの回答の表、手書きの台帳、受付の電話のメモ。記録がいくつの場所に分かれているかを確かめます。
次に、それらを1応募1行の一覧にまとめ、段階と入口と終わった理由の選択肢を決めます。過去の応募まですべて書き写す必要はありません。いま進行中の応募と、直近1か月に終わった応募だけで十分です。
そのうえで、手書きの台帳や別の集計用の表への書き込みをやめます。記録を1つにしないと、入力は減りません。院長夫人の台帳や事務長の集計表をやめてもらうときは、一覧から同じ数字が出せることを、実際に絞り込んで見せてから切り替えます。
最後に、1か月たったら、月に1回の10分の確認を初めて行います。最初の確認で、選択肢に当てはまらない応募が出てきたら、そのときに選択肢を足すか、数え方の決まりを見直します。
いまの受け方で、入力を増やさずに数えられるかを見極める
ここまでの流れを、いまの道具で回せるかは、次の問いで見極められます。
・応募が自院のフォームからだけ届き、月に数件なら、フォームの回答の表に段階と終わった理由の列を足すだけで、件数は出せます ・求人サイト、紹介会社、ハローワーク、電話など入口が複数あるなら、どの入口の応募も同じ一覧に並び、入口と段階を選択肢で持たせられるかが分かれ目です ・段階の更新が、応募者への返信や面接の案内といった普段の対応と同じ操作で済むか、別に書き込む手間が残るかを確かめてください ・月に1回、職種、入口、終わった理由で絞り込んだ件数を、数分で出せるかも見ておきます
Googleフォームで応募を受けて、スプレッドシートに段階の列を足して数えている診療所は多くあります。その形で足りる使い方と、段階の更新を手で書き足す作業が増えていく境目は、Googleフォームとの比較で整理しています。ホームページのフォームからメールで応募を受け、件数をメールの受信箱から数えている場合はContact Form 7との比較に、院内でMicrosoftの環境を使っている場合はMicrosoft Formsとの比較にまとめています。
応募ごとに段階を持たせ、返信や面接の案内の操作と段階の更新を同じ画面で済ませる流れは、採用の応募受付で紹介しています。段階や入口で応募を絞り込めるか、件数をどう確かめられるかはできることで、画面の動きは動くところを見るで確かめられます。費用は料金で、データの書き出しなどの疑問はよくある質問で確認できます。
まずは、先月届いた応募を思い出せる範囲で書き出し、それぞれがいまどの段階にあるかを、記録を見ずに答えられるか試してみてください。送信されたあとの道具がそろっているかどうかは、記録を探しに行かなければ答えられなかった応募がいくつあったかを見ると判断できます。
Q1. クリニックの応募は、どの時点で1件と数えればよいですか?
名前と連絡先が分かり、面接や履歴書の送付に進む意思を示した時点で1件と数えるのが分かりやすい決め方です。電話で条件を聞いてきただけの人は応募の一覧に載せず、必要なら電話の件数だけを別に数えます。紹介会社の推薦は、経歴書が届いた時点で数えておくと、紹介会社ごとの状況が見えます。
Q2. 看護師の応募が月に数件しかありません。数える意味はありますか?
あります。件数が少ないほど、1件の取りこぼしや、費用をかけている入口の空振りが採用の結果に直接響くためです。ただし割合で比べると1件の違いで数字が大きく動くので、件数よりも、それぞれの応募がどの入口から来て、どの段階で、どんな理由で終わったかを1行ずつ追うことを優先してください。
Q3. 集計用の表を別に作らずに、件数を出すことはできますか?
できます。応募への返信や面接の案内のために使う一覧を1応募1行にそろえ、段階、入口、終わった理由を決まった選択肢から選ぶ形にしておけば、絞り込むだけで件数が出ます。数えるための書き込みを別に作らないことが、忙しい時期にも数える作業を止めないための要点です。
Q4. 求人サイトと紹介会社の費用は、どう比べればよいですか?
応募1件あたりではなく、入職した1人あたりで比べると判断を誤りにくくなります。掲載料は応募の多さに関係なくかかり、紹介会社の手数料は入職が決まったときに発生する形が一般的なためです。診療所は1回の募集での入職が1人か2人なので、募集を終えるごとに計算し、数回分を並べて見てください。
