クリニックの不採用の連絡は、採用の連絡よりも後回しになりやすい作業です。採用する人には院長がその日のうちに電話をかけますが、見送る人への連絡は「落ち着いたら送っておいて」と事務に回され、そのまま午後診と月末のレセプトに押し流されます。応募者から「結果はどうなりましたか」と電話が来て、ようやく連絡していなかったことに気づく、という話は診療所の受付からよく聞きます。この記事では、診療所で見送りの連絡が止まる場所を特定し、面接の日に期限を決めて、その期限までに必ず返す形に変える手順を整理します。
診療所の見送りの連絡が止まるのは、決める人と書く人が別だから
一般的な診療所では、採否を決めるのは院長です。事務長がいれば事務長も意見を出しますが、最終的に「この人に来てもらう」と決めるのは、診察室で患者を診ている院長本人です。一方で、応募者に連絡の文面を書いて送るのは、事務長、受付のリーダー、あるいは院長の家族が務める事務担当であることがほとんどです。
この分業のせいで、見送りの連絡には2つの待ち時間が生まれます。1つ目は、院長が「決める」までの待ち時間です。院長は面接のあと、すぐには結論を出さないことがよくあります。看護師の応募がもう1件入りそうだから待ちたい、医療事務の候補を2人並べて考えたい、奥さんに意見を聞きたい。そうした事情で「少し考える」と言ったまま、診療の日々が続きます。
2つ目は、院長が決めたことが、事務に「伝わる」までの待ち時間です。院長が昼休みに「あの人は今回はなしで」と口頭で伝え、事務はそれを聞いたものの、午後の受付が始まってメモを取り損ねます。院長は伝えたつもり、事務は正式に言われていないつもりで、どちらも連絡を送りません。
見送りの連絡を確実に返すには、この2つの待ち時間の両方に終わりを作る必要があります。院長が決める期限と、事務が送る期限を、それぞれ別に決めておくということです。「採否が決まったら連絡する」という決め方では、決まらない限り連絡も出ません。
もう1つ、診療所ならではの事情があります。採用の枠が小さいことです。看護師を1人、医療事務を1人といった単位で募集するので、1人を採ると決めた瞬間に、残りの全員が見送りになります。逆に言えば、1人目の人が入職を承諾するまで、2人目以降の人には結果を出せません。この「承諾待ち」が、診療所の見送りの連絡をさらに遅らせています。
見送りの前に「保留」が挟まることを、最初から前提にする
看護師1人の枠に2人が面接に来て、院長がAさんに内定を出したとします。Aさんは現職の病院に退職を伝える前に、家族と相談したいので1週間待ってほしいと言います。このとき、Bさんには「不採用」とも「採用」とも言えません。Aさんが断れば、Bさんに声をかけたいからです。
多くの診療所は、この間Bさんに何も連絡をしません。何を言えばよいか分からないからです。しかしBさんから見れば、面接を受けてから1週間、何の音沙汰もないことになります。そのうちに別の診療所から内定が出れば、Bさんはそちらに決めます。Aさんが断ってきたときには、Bさんはもういません。
保留が起きることを前提にするなら、面接の段階で結果の出し方を2段に分けて伝えておくのが現実的です。
・面接から一定の日数以内に、「内定」「見送り」「もう少しお待ちいただきたい」のいずれかを必ず連絡する ・「もう少しお待ちいただきたい」を伝える場合は、いつまでに最終の結果を出すかも一緒に伝える
この形にしておくと、Bさんには「現在、ほかの方との調整が残っているため、最終のご連絡は○月○日までにいたします」と送れます。嘘をつく必要も、何も言わずに放置する必要もありません。Bさんはその日付を見て、ほかの応募先の返事と並べて判断できます。
内定を出した人に承諾の期限を切ることも、保留を短くするうえで欠かせません。看護師の場合、現職への退職の申し出や引き継ぎを考えると、入職日そのものは先になっても構わないはずです。ただ、「来るか来ないか」の返事は、長くても数日から1週間程度の期限を伝えておきます。承諾の期限が決まっていないと、2番手の人に伝える最終の期限も決められません。
保留の人に送る2回目の連絡の期限を、承諾の期限の翌診療日に置いておくと、スケジュールが自然につながります。承諾の返事が来たらその日に2番手へ見送りを伝え、断りの返事が来たらその日に2番手へ声をかける。どちらになっても、翌診療日には2番手への連絡が済んでいる状態です。
連絡の期限は、面接の終わりに応募者へ口で伝えて、文字でも残す
期限を決めても、院内の約束にとどめているうちは破られます。応募者本人に伝えてしまうのが、いちばん確実な方法です。面接の最後に「結果は、採用・不採用にかかわらず、○月○日までにメールでお送りします」と伝え、面接の日程を案内したときのメールや、面接当日の終わりに渡す案内の紙にも同じ日付を書いておきます。
応募者に日付を伝えると、その日付が院内の締め切りになります。院長も事務も、「言ってしまった以上は出さなければならない」と考えるようになるからです。期限を守れなかった場合も、応募者の側から問い合わせが来るので、放置のまま終わることがありません。
期限の日数は、診療日で数えるのが診療所には合っています。暦の日数で「面接から1週間以内」と決めると、木曜と日曜と祝日が休診の診療所では、実際に動ける日が4日しかない週が出てきます。「面接から5診療日以内」のように診療日で数えれば、休診日が多い週でも無理がありません。
ただし応募者には、診療日で数えた結果の具体的な日付を伝えてください。「5診療日以内」と言われても、応募者には診療所の休診日が分かりません。院内では診療日で数え、応募者には「○月○日(金)まで」と日付で伝える。この使い分けが大事です。
期限の日付は、面接の日程を決めた時点で、事務の側で先に計算しておきます。面接の当日に院長がその場で日付を考えると、診療の予定や学会の予定を思い出せず、守れない日付を口にしてしまいます。事務が「この面接の結果連絡は○日まで」と面接の案内の控えに書いておき、院長はそれを読み上げるだけにしておくと、日付がぶれません。
院長が決める期限は、応募者に伝えた期限の2診療日前に置いておくと、事務が文面を整えて送る時間が残ります。院長が期限の当日の夜に決めても、翌朝の診療前に送る、という動きでは期限に間に合いません。
期限を守れない時期を、年間の予定で先に押さえる
診療所には、採用の連絡に手が回らなくなる時期が毎年決まって訪れます。その時期に面接を入れると、期限を伝えても守れません。
内科や小児科では、秋から冬にかけてインフルエンザの予防接種と発熱外来が重なり、受付も看護師も昼休みがなくなる日が続きます。耳鼻科や眼科では、花粉の飛ぶ時期に患者が一気に増えます。皮膚科は夏場に患者が増える傾向があり、整形外科は年間を通じてリハビリの患者が多い一方、年度替わりに部活動のけがが増える地域もあります。どの診療科にも、受付の電話が鳴りやまない時期があるはずです。
月の中では、月初のレセプト請求の時期に医療事務の手がふさがります。事務が見送りの連絡を書く担当になっている診療所では、月初の数日に期限が重なると、連絡が数日ずれ込みます。
院長の予定もあります。学会や研修会、医師会の会合、地域の健診や学校医の仕事で、院長が院内にいない日があります。院長が決める期限の日に院長が不在なら、その前に決めてもらわなければなりません。
こうした時期は、面接の日程を組む前に、事務の手元の年間予定表に書き込んでおきます。そのうえで、忙しい時期に面接を入れる場合は、結果連絡の期限を普段より長めに設定して、その日付を応募者に伝えます。期限を長くすること自体は問題ではありません。伝えた期限を守らないことが、応募者の信頼を損ねます。
年末年始、夏季休診、大型連休の前に面接をした場合は、休診期間を期限の計算から外し、応募者にも「休診期間を挟むため、ご連絡は○月○日までとなります」と一言添えます。休診のお知らせは患者向けには出していても、応募者は見ていないことが多いからです。
見送りの理由を、診療所で起きる4つの型に分けておく
見送りの連絡の文面を毎回ゼロから考えていると、書く人の手が止まります。診療所で見送りになる理由は、おおむね次の4つの型に収まります。型ごとに文面の骨組みを用意しておけば、院長が「この人は○の型で」と伝えるだけで、事務は迷わず送れます。
勤務できる時間帯が、診療時間と合わない
診療所の求人でいちばん多い見送りの理由がこれです。午後診が18時半や19時まである内科で、応募者は子どもの迎えがあるため17時までしか働けない。土曜の午前診に出られる人を探しているのに、応募者は土曜に出られない。こうした場合は、応募者の能力や人柄とは関係がありません。文面でも、条件が合わなかったことを率直に伝えて構いません。将来、午前だけの枠が空いたときに声をかけてよいかを尋ねておくと、次の募集で最初に連絡できる相手になります。
求めている業務の経験と、応募者の経験の範囲が違う
内科の外来で採血や点滴を日常的に行う診療所に、病棟経験はあるが外来の処置の経験が少ない看護師が応募してきた、というような場合です。医療事務なら、受付と会計の経験はあるがレセプトの点検は未経験、という形で起きます。この型では、足りなかった経験を細かく書き連ねる必要はありません。「今回は○○の経験のある方を中心に検討した」という程度にとどめます。
枠が埋まった
先に内定を出した人が承諾し、2番手以降の人を見送る場合です。応募者に落ち度はないので、そのことが伝わる書き方にします。同じ診療所で近いうちに別の枠が出る見込みがあるなら、そのことに触れても構いませんが、確実でない約束はしないでください。
面接でのやりとりに、院長が懸念を持った
面接の受け答え、面接時間への遅刻、事前の連絡のやりとりなどから、院長が一緒に働くのは難しいと判断した場合です。この型では、理由を文面に書かないのが基本です。「総合的に検討した結果」という表現で結果だけを伝えます。
型ごとの文面の骨組み
実際に送る文面は、4つの型で共通の部分と、型ごとに差し替える1文に分けて用意しておくと、書く人が変わっても中身がそろいます。以下は骨組みの例です。
共通の書き出しは、次のような形です。
〇〇様 先日は、当院の看護師の面接にお越しいただき、ありがとうございました。院長と検討いたしましたので、結果をお知らせいたします。
時間帯の型では、続けて次のように書きます。
誠に申し訳ございませんが、今回募集している勤務は午後診の終わる19時までの勤務が中心となるため、ご希望の時間帯とは合わず、採用を見送らせていただくことになりました。今後、午前中心の勤務で募集を行う際に、改めてご連絡を差し上げてもよろしければ、このメールにその旨をご返信ください。
経験の型では、次の1文に差し替えます。
誠に申し訳ございませんが、今回は外来での採血や点滴の経験がある方を中心に検討し、採用を見送らせていただくことになりました。
枠の型では、次のように書きます。
誠に申し訳ございませんが、今回の募集は1名の枠で、すでに勤務いただく方が決まったため、採用を見送らせていただくことになりました。
懸念の型では、理由を書かずに結果だけを伝えます。
慎重に検討いたしましたが、誠に申し訳ございませんが、今回は採用を見送らせていただくことになりました。
共通の結びは、次の形です。
お預かりした履歴書は、当院で責任を持って破棄いたします。〇〇様のご活躍をお祈りしております。 〇〇クリニック 事務 △△
結びに書いた書類の扱いは、面接の案内のときに伝えた内容と必ずそろえてください。案内では「返却する」と伝えていたのに、見送りの連絡で「破棄する」と書くと、応募者は驚きます。
患者や近所の人を見送るときは、次の来院の場面まで考える
診療所の応募者には、自院の患者や、同じ町内に住む人が混ざります。受付の貼り紙を見て応募してきた人、子どもの通院で顔なじみの人、院長の知人の紹介で来た人。こうした人を見送ると、数日後に待合室で顔を合わせることになります。
まず、見送りの連絡は、診療所の受付の窓口で口頭で伝えないでください。本人が受診に来たときに、ついでに伝えようとすると、待合室のほかの患者に聞こえます。応募したこと自体を周りに知られたくない人もいます。連絡は必ずメールか郵送で、本人にだけ届く形で送ります。
次に、見送った人が受診に来たとき、受付の職員が応募の話題に触れないように、受付に立つ職員全員に申し合わせておきます。応募者の名前を知っている職員は限られているはずですが、事務が「あの人、応募してきた人だよ」と別の職員に話してしまうと、次の受診で気まずい空気が生まれます。応募者の情報を知ってよい職員の範囲を決め、それ以外の職員には伝えない、という線を最初に引いてください。
電子カルテや予約の仕組みに、応募の経緯をメモとして残すのも避けます。カルテは診療のための記録で、応募の結果を書く場所ではありません。受付の画面に表示されるメモ欄に「応募あり、不採用」などと書くと、ほかの職員の目にも、場合によっては患者の目にも触れます。
見送りの文面そのものは、ほかの応募者と変える必要はありません。ただ、知人の紹介で来た人の場合は、紹介してくれた人にも結果が伝わることを想定しておきます。院長が紹介者に個別に伝えるのか、応募者本人に任せるのかを決めておかないと、紹介者から院長に「どうなった」と聞かれて、院長が詳しく話してしまうことがあります。
紹介会社とハローワークからの応募は、返す相手が増える
看護師の採用では、紹介会社を通じた応募が珍しくありません。紹介会社から来た応募者を見送るときは、応募者本人ではなく紹介会社の担当者に結果を返すのが一般的な流れです。応募者に直接連絡してよいかは、紹介会社との取り決めによるので、契約書や最初に届いた案内を確かめてください。
紹介会社の担当者には、応募者本人に送るより具体的な理由を伝えると、次の紹介の精度が上がります。「外来の処置の経験がもう少しある方を探している」「17時以降も勤務できる方が必要」と伝えれば、担当者は次から条件に合う人を選んで紹介してきます。担当者から応募者にどう伝えるかは担当者の判断に任せ、院長の率直な感想をそのまま応募者に届けてほしい、という伝え方はしないでください。
紹介会社への結果の返事にも、期限を決めておきます。紹介会社の担当者は、診療所から返事が来ないと、応募者に「まだ連絡がない」と説明し続けることになります。返事が遅い診療所には、担当者が優先して応募者を紹介しなくなることもあります。
ハローワークの紹介で来た応募者の場合は、応募者本人への連絡とは別に、ハローワークへ選考の結果を伝える手続きがあります。紹介状と一緒に届く書類や、管轄のハローワークの案内に沿って返してください。本人には連絡したのにハローワークへの返事を忘れていると、同じ求人でハローワークから紹介が続き、すでに埋まった枠に応募者が来てしまいます。
入口が違う応募者を同じ日に見送ることもあります。そのときは、応募者本人、紹介会社、ハローワークのどこに何を返したかを、応募ごとに分けて残しておきます。「全員に連絡した」と思っていても、紹介会社経由の1人だけ担当者への返事が抜けている、ということが起きやすいからです。
電話で伝えるか、文字で送るか
見送りの連絡を電話でするべきか迷う院長もいます。面接に来てもらったのに、メール1通で済ませるのは失礼ではないか、という考えです。
診療所の応募者、とくに現職の看護師は、日中は勤務中で電話に出られません。昼休みの時間も病棟や外来の都合で決まっていないことがあります。電話をかけても留守番電話になり、折り返しの電話は診療所の診療時間中にかかってきて、受付が取ることになります。受付の職員は応募者の結果を知らされていないかもしれませんし、知っていても待合室の前で結果を話すことになります。
見送りの連絡は、メールか書面の文字で送るのが、診療所の状況には合っています。文字であれば、応募者は自分の都合のよい時間に読めますし、診療所の側にも「いつ、何を伝えたか」の記録が残ります。
電話で伝えるのがふさわしいのは、院長の知人の紹介で来た人や、以前に勤めていた職員が再び応募してきた場合など、関係が深い相手に限られます。その場合も、電話のあとに短いメールで同じ内容を送っておくと、言った言わないにならずに済みます。
応募者から電話で結果を問い合わせてきたときに、受付の職員がどう答えるかも決めておきます。結果がすでに出ていても、受付の電話口では伝えず、「担当から本日中にメールでお送りします」と答えて、その日のうちに送る、という対応が無難です。
理由を聞かれたときに、どこまで答えるか
見送りの連絡を送ると、ときどき応募者から理由を尋ねる返信が届きます。看護師の場合は、次の応募に生かしたいという前向きな理由で聞いてくることが多く、答えないと不誠実に感じられることもあります。
答える範囲は、先ほどの4つの型で分けるとぶれません。時間帯の型なら、勤務時間の条件が合わなかったことをそのまま伝えられます。経験の型なら、今回重視した業務を伝えられます。枠の型なら、先に決まった方がいたことを伝えられます。懸念の型だけは、具体的な理由を書かず、総合的な判断であることを伝えるにとどめます。
どの型でも、選考の理由として適性や能力に関係のない事柄を持ち出してはいけません。家族の状況、住まいの状況、出身地などは、面接で聞くこと自体が就職差別につながるおそれがある事項として、厚生労働省が示しています。子どもの迎えがあるから時間帯が合わないという理由も、応募者が自分から示した勤務時間の希望として扱い、家族構成を理由にした判断として書かないでください。
理由を答える返信は、院長が書いた内容を事務がそのまま送るのではなく、事務が型に沿って整えた文面を院長が確認してから送ります。院長の率直な言葉は、応募者には強く響きすぎることがあるからです。
見送った人の書類は、扱い方を先に決めて伝えておく
見送りの連絡を送ったあとに残るのが、応募書類です。郵送で届いた紙の履歴書、メールに添付されたPDF、紹介会社から送られてきた経歴書、フォームに入力された内容。診療所の中には、これらが受付の棚、院長の机、事務のパソコン、ファクスの受信トレイと、あちこちに散らばっています。
見送った人の書類をいつまで持っているべきかについて、一律の保管期間を定めた決まりがあるわけではありません。一方で、募集を行う側が応募者の個人情報をどう扱うべきかについては、職業安定法に基づく指針が示されています。
職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、特定募集情報等提供事業者、労働者供給事業者及び労働者供給を受けようとする者は、その保管又は使用に係る個人情報に関し、次の事項に係る措置を講ずるとともに、求職者等からの求めに応じ、当該措置の内容を説明しなければならないこと。 ニ 収集目的に照らして保管する必要がなくなった個人情報を破棄又は削除するための措置 出典: mhlw.go.jp
診療所で決めておきたいのは、次の3点です。
・見送った人の書類を、見送りの連絡のあと、どの時点で破棄または削除するか ・紙の書類はシュレッダーにかけるのか、返却するのか ・メール、パソコン、紹介会社からのファクスなど、書類が残っている場所をすべて洗い出したか
保留の人の書類は、最終の結果を出すまで残しておく必要があります。次の募集で声をかけたいと応募者が同意した場合は、その人の書類をどこまで残すかも個別に決めます。こうした例外があるからこそ、原則の扱いを1つ決めて、面接の案内の段階で応募者に伝えておくのがよい方法です。具体的な扱いに迷う場合は、個人情報保護委員会の相談窓口や、社会保険労務士などの専門家に確かめてください。
紙の履歴書は、診療所の中で患者の目に触れる場所に置かないことも大切です。受付の奥の棚に置いたつもりでも、患者の保険証を受け取るカウンターから見える位置にあることがあります。見送りの連絡を送ったらその日のうちに処理する、という流れにしておくと、書類が院内に残る期間そのものが短くなります。
送ったことを、応募ごとに残しておく
期限を決め、文面の型を用意しても、「送ったかどうか」が記録に残らなければ、複数人で回している診療所では連絡が抜けます。応募ごとに、少なくとも次の項目を残しておいてください。
・面接の日と、応募者に伝えた結果連絡の期限 ・院長が採否を決めた日と、選んだ型 ・結果を送った日と、送った手段 ・紹介会社やハローワークへ返した日 ・書類を破棄または返却した日
表計算ソフトで管理しているなら、この列を並べておけば足ります。大事なのは、期限の列を見て、今日までに送るべき連絡が残っていないかを毎日同じ時刻に確認することです。午前診が終わって昼休みに入る前の5分を、その確認の時間に決めておくと、習慣になりやすくなります。
期限が近い応募が一覧の上に来るように並べ替えておくと、確認はさらに短く済みます。院長が決めていないために止まっているものは、その場で院長に声をかけて決めてもらいます。昼休みの前なら、院長も数分は時間を取れるはずです。
いまの受け方で、期限までに必ず返せるかを見極める
ここまでの流れを、いまの道具で回せるかは、次の問いで見極められます。
・応募が月に数件で、院長と事務の2人で決めて送っているなら、フォームの通知メールと表計算ソフトに期限と送った日の列を足すだけで回ります ・保留の人が同時に複数いる時期があるなら、応募ごとに「いまの段階」と「次の期限」が一目で分かる並べ方ができるかが分かれ目です ・紹介会社、ハローワーク、自院のフォームから応募が来るなら、応募者本人と入口の相手の両方に返したかを、同じ一覧で追えるかを確かめてください ・事務の職員が入れ替わっても、文面の型と送った記録を引き継げるかも見ておきます
Googleフォームで応募を受けて、スプレッドシートに結果の列を足して回している診療所は多くあります。その形で足りる使い方と、手で足す列が増えていく境目は、Googleフォームとの比較で整理しています。応募をメールで受け取るContact Form 7を使っている場合に、誰にいつ返したかが追いにくくなる点は、Contact Form 7との比較にまとめています。院内でMicrosoftの環境を使っている場合は、Microsoft Formsとの比較も参考になります。
届いた応募に担当者と段階を持たせ、結果の連絡まで同じ画面から送る流れは、採用の応募受付で紹介しています。段階ごとの一覧や返信の履歴がどう残るかはできることで、実際の画面の動きは動くところを見るで確かめられます。費用は料金で、書類の扱いや通知についての疑問はよくある質問で確認できます。
まずは直近の募集で面接をした人を並べ、面接の日と見送りの連絡を送った日の間が何日空いていたかを数えてみてください。送信されたあとの道具がそろっているかどうかは、その空白の日数がどこで生まれていたかを見ると判断できます。
Q1. クリニックの不採用の連絡は、面接から何日以内に送るのがよいですか?
一律の決まりはありませんが、診療所では休診日を除いた診療日で数え、面接から5診療日前後を目安にするところが多くあります。大事なのは日数そのものより、面接の最後に具体的な日付を応募者に伝え、その日付を守ることです。忙しい時期は期限を長めにして、伝えた日付を確実に守ってください。
Q2. 2番手の候補者には、1番手の返事を待つ間どう連絡すればよいですか?
「ほかの方との調整が残っているため、最終のご連絡は○月○日までにいたします」と、最終の期限を添えて途中経過を送ります。何も連絡しないまま待たせると、その間に別の診療所へ決まってしまいます。1番手の人には承諾の期限を伝え、その翌診療日を2番手への連絡日に置くと、予定がつながります。
Q3. 不採用の理由を聞かれたら、答えなければいけませんか?
答える義務が一律にあるわけではありませんが、勤務時間や経験の範囲など条件面の理由であれば、率直に伝えて問題ありません。面接での受け答えなどに懸念があった場合は、総合的な判断であることを伝えるにとどめます。家族の状況など、適性や能力に関係のない事柄を理由として持ち出さないでください。
Q4. 自院の患者が応募してきて不採用にする場合、気をつけることはありますか?
連絡は受付で口頭で伝えず、メールや郵送で本人にだけ届く形にします。受付に立つ職員には、本人が受診に来ても応募の話題に触れないよう申し合わせておきます。電子カルテや予約の仕組みのメモ欄に、応募の経緯や結果を書き込むことも避けてください。
