オンライン勉強会が終わったあとのアンケートは、会場で紙を配る会に比べて、驚くほど答えが返ってきません。講義が終わって「ありがとうございました」と言った数秒後には、参加者の多くが退出のボタンを押しています。チャットに貼った回答用のリンクは、その時点で見ていない人には届いていません。この記事では、画面越しの会で答えを集めるために、回答の入り口をいつ、どこに置くか、何を聞き、集まった答えをどう読み、登壇者と次の回にどう返すかを整理します。
終わったあとのアンケートが集まらないのは、退出が一瞬で終わるから
会場の勉強会では、終わったあとも参加者はしばらく部屋にいます。荷物をまとめ、隣の人と話し、出口に向かう間に、机の上の用紙に書く時間があります。運営が出口で回収すれば、書いてから帰る流れが自然にできます。
オンライン勉強会には、この「帰るまでの時間」がありません。退出はボタン1つで、画面が切り替わった瞬間に、参加者は自分の家や職場の生活に戻ります。平日の夜に開く会なら、夕食の支度や子どもの寝かしつけ、翌日の仕事の準備が待っています。アンケートに答える時間は、本人の中で後回しにされ、そのまま忘れられます。
チャットの扱いも、答えが集まらない原因になります。会議ツールのチャットは、途中から入った人には、入る前の書き込みが見えないことがあります。講義の途中で回答のリンクを貼っても、そのあとに入った人には届きません。画面を資料の共有に占められていて、チャットの欄を閉じたまま聞いている人も多くいます。
さらに、オンラインの会は、申し込んだ人のうち、最後まで画面の前にいる人が少なくなりがちです。途中で抜ける人、音声だけ流して別の作業をしている人もいます。終わりの挨拶の時点で画面の前にいる人だけに頼ると、答えの数が少ないだけでなく、最後まで熱心に聞いた人の声に偏ります。回収率を上げるには、終わりの瞬間の一押しに頼らず、入り口を複数の時点に分けて置く必要があります。
何に使う答えなのかを、運営と登壇者で分けて書き出す
設問を作る前に、集めた答えを誰が何に使うのかを書き出しておきます。オンライン勉強会の場合、答えを使う人は大きく2つに分かれます。
1つは運営です。開く時間帯や長さ、会議ツールの使い勝手、告知の届き方、次に取り上げるテーマを決めるために答えを使います。運営が知りたいのは、会の形そのものを変えるかどうかの判断材料です。
もう1つは登壇者です。有志の勉強会では、登壇者は同じコミュニティの仲間で、謝礼なしか少額で話していることが多く、話した内容がどう受け取られたかを知ることが、次にまた話そうと思える理由になります。登壇者が知りたいのは、分かりやすかった点と分かりにくかった点、もっと聞きたかった点です。
この2つを1枚のアンケートに混ぜると、どちらの目的にも中途半端な設問が並びます。書き出してみると、運営の設問は回をまたいで同じもので足り、登壇者の設問は回ごとに内容が変わることが分かります。運営の設問は固定の数問にし、登壇者の設問は登壇者本人に1問か2問を決めてもらう、という分け方にすると、設問の数を抑えながら両方の目的を満たせます。
使い道のない設問は、この段階で削ります。「参加のきっかけ」を聞いても告知の見直しに使う予定がないなら、答えてもらう手間だけが残ります。
回答の入り口は、終わる少し前に3か所へ置く
回収率を最も左右するのは、入り口を置く時点です。終わりの挨拶のあとではなく、質疑の前、講義が終わる5分ほど前に案内を始めます。
置く場所は3か所です。1つ目は、共有している画面です。最後のスライドの1枚前に、回答用のURLと、スマートフォンで読み取れる二次元コードを載せます。チャットの欄を閉じている人にも、画面に映っていれば目に入ります。資料を共有しない会でも、案内のためだけに1枚の画面を映す価値があります。
2つ目は、チャットです。画面に映すのと同時にリンクを貼り、質疑の終わりにもう一度貼ります。1回目のあとに入ってきた人や、チャットを遡らない人のためです。
3つ目は、口頭です。「いまから2分ほど取りますので、この場で答えてください」と、答える時間を会の中に組み込んでしまいます。終わったあとで答えてほしい、と頼むより、会の一部として時間を取るほうが、その場で答える人が明らかに増えます。
時間を取るのが難しい会でも、画面とチャットの2か所には置いておきます。口頭で「質疑のあとにリンクをもう一度貼ります」と予告しておくと、退出する前にリンクを開いておこうと考える人が出てきます。
会議を閉じる時刻を、数分遅らせる
終わりの挨拶と同時に主催者が会議を終了すると、全員が強制的に退出させられます。チャットに貼ったリンクを開こうとしていた人も、その瞬間に画面から切り離されます。
挨拶のあと、会議はすぐに閉じず、5分から10分ほど開けたままにしておきます。「アンケートに答え終わった方から退出してください。会議はしばらく開けておきます」と一言添えれば、急いで退出する必要がないことが伝わります。この時間は、登壇者に個別に質問したい人が残る時間にもなり、参加者の満足にもつながります。
会議ツールによっては、参加者が退出したあとに、指定したページを開く設定を持つものがあります。使っているツールにそうした設定があるかどうかは、ツールの設定画面や公式の案内で確かめてください。設定できるなら、退出後に回答の画面が開くようにしておくと、ボタンを押した直後に入り口が現れます。ただし、ブラウザではなくアプリから参加している人には表示のされ方が違うこともあるので、これだけに頼らず、ほかの入り口と重ねて使います。
退出したあとに届く入り口を、翌朝までに用意する
どれだけ会の中で案内しても、途中で抜けた人や、終わりの時点で画面を見ていなかった人には届きません。こうした人のために、会が終わったあとにメールで入り口を送ります。
送る時期は、終わってから時間を空けすぎないことが大切です。平日の夜に開いた会なら、当日の夜のうちか、翌朝の出勤前後に届くようにします。数日空くと、会の内容を思い出せず、答える気持ちが薄れます。
メールには、回答にかかる時間の目安、締め切り、答えを何に使うかを書きます。「3分ほどで終わります」と書くだけで、開いてもらえる割合が変わります。締め切りは、記憶の残っているうちに答えてもらえるよう、数日から1週間程度にします。
催促のメールを重ねるのは、1回までにとどめます。有志の勉強会は、参加者と運営の距離が近く、何度も催促されると次の回に申し込みづらくなります。締め切りの前日に1通だけ送り、それで答えがなければ追わない、と決めておきます。
メールで送る場合は、会の中で答えた人にも同じメールが届きます。「すでにお答えいただいた方は、このメールは読み飛ばしてください」と冒頭に書いておくと、二重に答える人や、答えたのに催促されたと感じる人を減らせます。
昼休みに開く会は、午後の仕事に戻る前が勝負になる
移動のないオンライン勉強会は、昼休みの45分ほどを使って開かれることもあります。この形の会では、終わった瞬間に参加者は午後の仕事に戻り、その日のうちにアンケートを思い出すことはまずありません。夜に送るメールも、仕事の連絡に埋もれます。
昼の会では、講義そのものを予定より数分早く切り上げ、会の時間内で答えてもらう形にします。質疑を少し短くしてでも、答える時間を確保するほうが、あとで回収できない答えを追うより確実です。設問も、昼の会では選択式の3問と自由記述1問程度まで減らし、スマートフォンから片手で答え終わる長さにします。
録画で見た人の答えを、当日の答えと混ぜない
録画を配るオンライン勉強会では、当日参加した人と、あとから録画で見た人の両方から答えが届きます。この2つを同じ集計に入れると、読み方を誤ります。
当日参加した人は、質疑に参加でき、チャットで反応を返せた人です。録画で見た人は、質疑を聞くことはできても、自分の疑問をその場で聞けなかった人です。「質問しやすかったか」「時間の長さはちょうどよかったか」といった設問は、2つの立場で答えの意味が違います。録画の人は倍速で見ていることもあり、長さの感じ方が当日の人とはまったく異なります。
分け方は2つあります。1つは、アンケートの冒頭で「当日参加した」「録画で見た」を選んでもらい、集計のときに分ける方法です。もう1つは、録画を見る人に別のアンケートを渡す方法です。録画の視聴用URLを案内するメールに、録画の人向けのアンケートを添えると、設問を録画の視聴に合わせて絞れます。
録画の人向けの締め切りは、視聴の期間に合わせて長めに取ります。当日の締め切りに合わせると、まだ見ていない人が答えられません。
オンライン勉強会だからこそ聞いておきたい設問
設問の中身は、会場の勉強会と同じものを流用しがちですが、オンラインの会には、オンラインだから聞いておきたい設問があります。
1つ目は、開く時間帯です。オンラインの会は移動がないぶん、平日の夜や昼休みにも開けます。参加者の生活の時間帯によって、参加しやすい時間は大きく違います。いまの時間帯が合っているかどうかと、ほかに参加しやすい時間帯があるかを、選択肢で聞いておくと、次の回の日程を決める材料になります。
2つ目は、長さです。画面を見続ける会は、会場の会より集中が続きにくいと言われます。いまの長さについて、「短い」「ちょうどよい」「長い」の3つから選んでもらうだけでも、判断に使えます。
3つ目は、聞き取りやすさと見やすさです。登壇者の音声が小さかった、画面の文字が読めなかった、といった不満は、運営が配信の側にいると気づけません。「音声は聞き取りやすかったか」「共有された画面の文字は読めたか」を、それぞれ短く聞きます。
4つ目は、質問のしやすさです。チャットで質問するのと、声を出して質問するのとでは、参加者の心理的な負担が違います。どちらの形が質問しやすいかを聞いておくと、質疑の進め方を変える根拠になります。
設問の数は、運営の固定の設問と登壇者の設問を合わせて、選択式を中心に5問から7問程度に収めます。自由記述は1問か2問にとどめます。
次の登壇者と運営の手伝いを、アンケートで募る
有志のオンライン勉強会が長く続くかどうかは、登壇者と運営の手伝いが途切れないかにかかっています。終わったあとのアンケートは、この2つを募る機会としても使えます。
設問として「次回以降、話してみたいテーマはありますか」「運営を手伝ってもよいという方は、連絡先を書いてください」といった任意の欄を置きます。講義を聞き終えた直後は、自分も話してみたい、この会を支えたいという気持ちが最も強い時点です。後日あらためて募集の告知を出すより、手を挙げる人が出やすくなります。
この欄を置く場合は、答えてくれた人に誰がいつまでに連絡するかを、運営の中で先に決めておきます。手を挙げたのに何週間も連絡がないと、その人の気持ちは離れ、会への印象も悪くなります。回答の締め切りから1週間以内に、担当の運営から連絡する、と決めておきます。
また、この欄だけは記名が前提になります。ほかの設問を匿名にしている場合は、「この欄に書いた場合は、連絡のために名前とメールアドレスを運営が確認します」と、欄の近くに書いておきます。
自由記述の答えを、登壇者にどう渡すか
登壇者のために集めた自由記述の答えは、そのまま全文を渡すかどうかを慎重に決めます。
有志の勉強会の登壇者は、仕事として話しているわけではありません。好意で時間を割いて準備した登壇に対して、率直すぎる批判がそのまま届くと、次に登壇しようという気持ちがしぼみます。一方で、肯定的な感想ばかりを選んで渡すと、登壇者が改善の手がかりを得られません。
渡し方の1つは、運営が答えを読み、分かりやすかった点、もっと聞きたかった点、改善できそうな点に分けて要約してから、元の答えの一部を添える方法です。攻撃的な書き方の答えは、内容だけを言い換えて伝えます。
もう1つは、登壇を頼む時点で、アンケートの答えをどう渡すかを登壇者と決めておく方法です。「全文を見たい」という登壇者もいれば、「要約だけでよい」という登壇者もいます。渡す前に本人の希望を聞いておけば、運営が判断に悩む場面が減ります。
自由記述には、答えた人が特定できる情報が含まれることがあります。「前回質問した件ですが」「うちの会社では」といった書き方から、コミュニティの中では誰の答えか分かってしまうことがあります。登壇者に渡す前に、答えた人が特定できる部分がないかを確かめます。
チャットに残った質問と反応も、答えの一部として読む
オンライン勉強会には、会場の会にはない記録がもう1つあります。講義の最中にチャットへ書き込まれた質問、感想、絵文字での反応です。アンケートに答えなかった人の声も、ここには残っています。
チャットの記録は、会議ツールの設定によって保存できる場合と、会議を閉じると消えてしまう場合があります。会議を閉じる前に、主催者の端末で保存しておく手順を運営の中で決めておきます。保存を任せる人を1人に決め、終わりの挨拶の前に保存を済ませる、と段取りに入れておかないと、忘れたまま会議を閉じてしまいます。
読むときは、どの時点で書き込みが増えたかに注目します。資料のある箇所で「いまの部分をもう一度」「音声が途切れました」といった書き込みが続いていれば、そこが分かりにくかったか、配信に問題があった箇所です。アンケートの「分かりにくかった点」の自由記述と照らし合わせると、答えの意味がはっきりします。
ただし、チャットの記録には書き込んだ人の表示名が残ります。登壇者に渡すときや、運営の外に共有するときは、表示名を外してから渡します。記録をいつまで残すかも、アンケートの答えと合わせて決めておきます。
資料の共有と引き換えにする形の落とし穴
回収率を上げる方法として、「アンケートに答えた人に、登壇資料のダウンロード先をお知らせします」という形をとる会があります。確かに答えは増えますが、オンライン勉強会では、この形に固有の問題があります。
1つは、答えの質が下がることです。資料がほしいだけの人は、設問を読まずに選択肢の同じ位置を押し続けます。自由記述には「特になし」が並びます。回収率は上がっても、会の改善に使える答えは増えません。
もう1つは、登壇者との約束との食い違いです。有志の登壇者の中には、資料を公開の場に置くことを前提に作っている人もいれば、参加者限りにしてほしい人もいます。アンケートの完了画面に資料のリンクを載せると、回答のURLが広まった場合に、参加していない人にも資料が届きます。
資料の共有は、アンケートとは切り離して、参加者全員へのお礼のメールで送るほうが、登壇者との約束も守りやすく、答えの質も保てます。どうしてもお礼の形で回収率を上げたいなら、資料ではなく、次の回の告知を先に知らせる、といった、答えの中身に影響しにくいものを選びます。
連続講座では、毎回聞く設問と最後に聞く設問を分ける
全4回や全6回といった連続講座のオンライン勉強会で、毎回同じ長さのアンケートを渡すと、回を追うごとに答える人が減ります。同じ設問に何度も答えることに、参加者が意味を感じなくなるからです。
毎回聞くのは、その回の登壇者のための設問と、配信の聞き取りやすさの設問だけに絞ります。その回で分かりにくかった点は、次の回までに補足できるので、毎回聞く価値があります。音声や画面の問題も、次の回までに直せます。
時間帯、長さ、全体の構成、次の講座で取り上げてほしいテーマといった設問は、最終回だけで聞きます。講座を通して受けた人でなければ答えにくい設問でもあります。
最終回のアンケートでは、途中の回だけ参加した人も答えられるよう、「参加した回」を複数選べる設問を最初に置きます。すべての回に参加した人と、1回だけの人とで、講座全体への答えの重みが違うからです。
記名か匿名かは、コミュニティの小ささで決める
記名にするか匿名にするかは、会の規模と参加者どうしの距離で決めます。
参加者が毎回数十人で、顔ぶれがほぼ固定しているオンライン勉強会では、記名にすると、運営や登壇者と顔見知りの参加者ほど本音を書きにくくなります。とくに登壇者への感想は、次に会ったときの気まずさを考えて、当たり障りのない答えになりがちです。こうした会では、感想の設問は匿名にしておくほうが、改善に使える答えが集まります。
一方、匿名にすると、答えについて聞き返すことができません。「資料の途中の説明が分かりにくかった」と書かれても、どの部分かを確かめられません。聞き返したい設問と、本音を聞きたい設問を分け、前者だけ任意で連絡先を書ける欄を置く、という組み合わせにすると、両方の良さを取れます。
匿名と書いたのに、回答の画面で申し込みのメールアドレスを自動で記録する設定になっていると、参加者の信頼を損ねます。回答のツールの設定で、メールアドレスやアカウントの情報を集めていないかを、公開の前に必ず確かめます。
申し込みのメールアドレスで依頼を送る前に書いておくこと
終わったあとのアンケートの依頼を、申し込みで受け取ったメールアドレスに送る会は多くあります。このとき気をつけたいのが、申し込みの時点で、そのアドレスを何に使うと伝えていたかです。個人情報保護委員会のQ&Aは、申込書やホームページの入力画面で取得した連絡先の利用目的について、次のように説明しています。
○申込書の記載により取得したメールアドレス情報等を申込内容の確認、履行の結果通知等の目的で利用する場合(ただし、新たなサービスの案内、提携先への提供等に利用することは自明の利用目的に該当しない場合があるので注意を要します。) 出典: www.ppc.go.jp
これは、取得の状況からみて利用目的が明らかで、明示が不要になり得る場合の事例として挙げられているものです。同じ回答では、申込書や入力画面で本人から直接取得する場合は、原則として利用目的の明示が必要だとしています。
アンケートの依頼や、アンケートの答えをもとにした次回の案内が、申し込みの確認と同じ扱いになるかどうかは、ここでは断定しません。ただ、申し込みの画面に「開催後のアンケートのお願いと、次回以降のご案内をお送りすることがあります」と書いておけば、参加者にとって予想外の連絡にはなりません。自分たちの扱いに迷う場合は、委員会の資料を確かめ、必要に応じて専門家に相談してください。
少ない答えを、割合で読みすぎない
オンライン勉強会のアンケートは、答えの数がもともと少なくなります。参加者が30人の会で半数が答えても、15件です。この数で割合を出すと、1人の答えが7%近くを動かします。
「長い」と答えた人が前回の20%から今回33%に増えた、と見えても、実際には3人が5人になっただけかもしれません。この程度の差で会の長さを変えると、次の回で逆の不満が出ることがあります。
少ない答えは、割合ではなく件数で読み、1回ごとではなく数回分を並べて傾向を見ます。同じ設問を回をまたいで聞き続けているなら、3回分を足して読むと、偶然の揺れに振り回されにくくなります。
自由記述は、件数が少ないぶん、1件ずつを丁寧に読めます。同じ趣旨の指摘が別々の人から2件以上出ていたら、それは優先して手を打つ候補です。1件だけの強い意見は、記録しておき、次の回以降にも同じ声が出るかを見てから判断します。
答えを、次の告知で参加者に返す
答えてくれた参加者に、答えがどう使われたかを返すと、次の回のアンケートで答えてくれる人が増えます。自分の答えが会に反映されたと分かれば、また答えようと思えるからです。
オンライン勉強会なら、次の回の告知や、冒頭の挨拶で返すのが自然です。「前回のアンケートで、時間が長いという声をいただいたので、今回は質疑を含めて90分に収めます」「チャットでの質問のほうがしやすいという答えが多かったので、今回は質問をチャットで受け付けます」といった一言です。
返すのは、会の形を変えた点に絞ります。すべての答えを紹介する必要はなく、個別の感想をそのまま読み上げるのは、答えた人が特定される恐れがあるので避けます。
変えなかった点についても、理由を添えて返すと誠実です。「平日の昼に開いてほしいという声もありましたが、登壇者の都合で今回も夜に開きます」と伝えれば、答えた人は無視されたとは感じません。
回収の道具を見直すときに比べるところ
オンライン勉強会のアンケートで、道具に任せやすいのは、回答の画面を作ること、答えを表にまとめること、締め切りで受け付けを止めることです。任せにくいのは、当日参加と録画視聴の答えを分けて扱うこと、登壇や手伝いに手を挙げた人への連絡を誰がしたか記録すること、登壇者に渡した内容を残すことです。
いまの形で足りるのは、答えが毎回数十件以内で、運営の1人が答えを読み、登壇者への連絡も手伝いの募集も同じ人が担っている場合です。答えが増えた、運営が交代制になった、手を挙げた人への連絡が抜けるようになった、といった状況になると、回答の表とメールの受信箱の間で抜けが出ます。
無料のフォームで回答を集めているなら、Googleフォームとの比較で、答えを表に集める範囲と、1件ずつに担当や対応の状態を持たせる範囲の違いを確かめられます。職場のMicrosoftの環境で回答を集めている会はMicrosoft Formsとの比較、自分たちのWordPressのサイトに回答の画面を置いている会はContact Form 7との比較が、届いたあとの扱いを考える材料になります。
催しの申し込みから開催後までの流れはイベントの申し込みに、同じ人が続けて受講する形は講座の受講申し込みに、それぞれの使われ方がまとまっています。届いた回答の1件ごとに担当と状態を持たせ、送った連絡を同じ画面で追える機能はできることで、実際の画面の動きは動くところを見るで見られます。
アンケートを会の改善につなげるのは、設問の工夫だけでなく、手を挙げた人への連絡や登壇者への返しまでが答えの1件ごとに残るかどうか、つまり送信されたあとの道具がそろっているかどうかです。費用は料金で、よく寄せられる疑問はよくある質問で確かめられます。
Q1. オンライン勉強会のアンケートは、終わったあとにメールで送れば十分ですか?
メールだけでは、終わってから時間が経つほど答える人が減ります。講義が終わる少し前に、共有画面とチャットに回答のリンクを置き、その場で答える時間を2分ほど取るのが効果的です。メールは、途中で抜けた人や、その場で答えられなかった人のための入り口として、当日の夜か翌朝に送ります。
Q2. 録画で見た人にも、同じアンケートに答えてもらってよいですか?
同じアンケートを使う場合は、冒頭で当日参加か録画視聴かを選んでもらい、集計のときに分けます。質問のしやすさや長さの感じ方は立場によって意味が違うため、混ぜて集計すると判断を誤ります。録画の案内に別のアンケートを添え、締め切りを視聴の期間に合わせる方法もあります。
Q3. 登壇者への感想は、アンケートの答えをそのまま渡してよいですか?
登壇を頼む時点で、全文を見たいか要約がよいかを本人に聞いておくと判断に迷いません。有志の登壇者に率直すぎる批判がそのまま届くと、次の登壇をためらう原因になります。攻撃的な書き方の答えは内容だけを言い換え、答えた人が特定できる部分がないかを確かめてから渡します。
Q4. アンケートの答えが10件ほどしか集まりません。どう読めばよいですか?
件数が少ないときは、割合ではなく件数で読み、数回分を並べて傾向を見ます。1人の答えで割合が10%動くため、1回の差で会の形を変えると次に逆の不満が出ることがあります。自由記述で同じ趣旨の指摘が別々の人から2件以上出ていれば、優先して手を打つ候補にします。
