PTAの問い合わせフォームにどの項目を並べるかは、フォームを作る人の好みの問題ではなく、届いたものを読んで返す役員の作業量を決める問題です。項目が足りなければ返信のたびに聞き返しが起き、多すぎれば保護者が送信をやめて結局は紙と電話に戻ります。この記事では、PTAの窓口に実際に届くものを行事の出欠と保護者からの連絡という二つに分けたうえで、それぞれに必要な項目と、置いてはいけない項目を整理します。読み終えたときに、いまのフォームからどれを削り、どれを足すかを決められる状態を目指します。
PTAのフォームは学校の窓口とは別のものとして作る
PTAの問い合わせ窓口は、学校の事務室とも、担任への連絡帳とも役目が違います。学校が受けるのは児童本人に関することで、欠席や早退、健康、学習、進路といった内容です。PTAが受けるのは、保護者が会員として関わる部分、つまり行事の出欠と、役員や委員の活動に関する連絡です。ここが混ざったまま項目を設計すると、フォームが中途半端な学校窓口になり、どちらの用件も滞ります。
この線引きは、フォームの設計だけでは守れません。保護者から見れば、学校から配られた紙に載っている入力先はすべて「学校関係の連絡先」に見えます。だからフォームの冒頭に、ここで受けるものと受けないものを一行ずつ書く必要があります。書いていないフォームには、必ず児童の欠席連絡が届きます。届いた側は転送するしかなく、転送のあいだに時間が過ぎ、担任に伝わったのが翌日という事故が起きます。
届くものは出欠と連絡の二本立てになる
PTAの窓口に届くものを並べていくと、性質は大きく二つに分かれます。
一つ目は行事の出欠です。総会の出欠、親子行事や講演会の参加可否、資源回収やバザーの手伝いのシフト希望、登校見守りの当番の可否といったものです。この型には締切があり、集計して人数を確定させることが目的になります。個々に返信する必要はなく、受け付けたことが相手に伝わり、集計表に反映されればそれで完結します。
二つ目は保護者からの連絡です。委員を引き受けられない事情の相談、退会や免除の申し出、行事の内容についての意見、備品や会計に関する質問、当日の欠席の連絡といったものです。この型には締切がなく、代わりに返信が要ります。誰かが読んで、誰かが答えを決めて、文章にして返すまで終わりません。
同じフォームで両方を受けるとしても、この二つは処理の仕方がまったく違います。だから設問設計の最初の仕事は、届いた時点でどちらかに振り分けられるようにすることです。
学校あての連絡が混ざることを前提に置く
線引きを書いても、混ざるものはゼロにはなりません。特に多いのは、行事の当日に子どもが熱を出したという連絡です。保護者にとっては行事の欠席連絡なので、行事を主催しているPTAに送るのは自然な行動です。しかし当日の朝に送られたものは、集計表を直すだけでは足りず、現場にいる人に伝わらないと意味がありません。
このため、当日連絡だけは別の経路を用意しておくのが実務的です。フォームの自動返信に「当日のご連絡は電話でお願いします」と書き、当日つながる番号を載せます。番号を載せられない場合は、当日の受付時間帯を明記して、そこに直接来てもらう形にします。フォームですべてを受けようとせず、フォームで受けないものを決めるほうが、結果として取りこぼしが減ります。
最初の設問は用件の種類にする
フォームの一番上に置くべきは、保護者の氏名でも連絡先でもなく、用件の種類です。ラジオボタンで三つから四つの選択肢を出します。
選択肢の文言は、PTAの内部で使っている言葉ではなく、送る側が自分の状況を当てはめられる言葉にします。たとえば「行事の出欠を出す」「委員や当番について相談したい」「行事や活動について意見を伝えたい」「その他」といった並びです。「専門委員会関連」「厚生部あて」のような組織名を出した選択肢は、送る側が自分のことだと認識できません。組織の名前は、届いた側が仕分けるときに内部で当てはめればよいものです。
この設問を先頭に置く理由は二つあります。一つは、保護者に対して「ここは何を書く場所か」を先に示せること。もう一つは、この選択によって以降の設問を出し分けられることです。条件分岐に対応したフォームであれば設定できますし、対応していなくても、設問文に「出欠を出す方のみご記入ください」と補足を書くだけでかなり効きます。
受ける側にとっての効果はさらに大きくなります。用件の種類が最初に決まっていれば、届いた時点で仕分けが終わっています。集計に足すだけのものと、誰かが答えを決めて返すものが、中身を開く前に分かれます。役員の多くが平日の日中に別の仕事を持っている以上、まとまった時間に一気に処理できるかどうかは運用の生死を分けます。
選択肢は四つまでに収める
選択肢を五つ以上にすると、送る側が読み比べて迷い始め、迷った結果として「その他」に流れます。「その他」に流れたものは仕分けの手がかりを失うので、選択肢を細かくしたはずが逆に粗くなります。
行事ごとにフォームを分けるという方法もありますが、PTAの場合は分けすぎに注意が必要です。年間で動く行事の数だけURLが増えると、保護者はどれが今回のものか分からなくなり、去年のフォームに送信するという事故が起きます。過去のフォームを閉じる作業まで含めて誰が担当するかを決められないなら、一枚のフォームの中で行事名を選ばせるほうが安全です。
「その他」に流れたものを放置しない
「その他」を選んで送られたものは、どの担当にも自動では割り当たりません。ここを誰が最初に読むかを決めていないと、全員が「誰かが見ているはず」と考えて誰も開かない状態になります。用件の種類を置くときは、同時に「その他」の一次受けを一人決めてください。決められないなら、選択肢から「その他」を外し、代わりに自由記述欄の設問文で幅広く受ける形にします。
誰の保護者かを特定する項目
PTAのフォームが他の業種の問い合わせフォームと決定的に違うのは、送信者本人の情報だけでは相手を特定できない点です。会員としての位置づけは、児童がどの学年のどのクラスにいるかで決まります。ここを取り違えると、集計表の行がどこにも紐づかず、返信先も分からなくなります。
児童の学年とクラスは必須にする
学年とクラスは必ず選択式にします。自由記述にすると「3の2」「三年二組」「3年2組」といった表記のゆれが生まれ、集計のたびに手で直す作業が発生します。学年は選択、クラスも選択にして、入力の余地をなくすのがいちばん確実です。
クラス編成が年度で変わることも見落とされがちです。年度をまたいで同じフォームを使い回すと、前の年度のクラスのまま送信されます。年度が変わったらクラスの選択肢を作り直す作業を、誰の仕事として引き継ぐかまで決めておきます。
児童の氏名と保護者の氏名は両方要る
児童の氏名だけでは、誰から届いたのかが分かりません。保護者の氏名だけでは、どの学級の集計に足せばよいのかが分かりません。両方を別々の欄で受けます。
続柄を聞くかどうかは運用次第です。保護者の氏名と児童の氏名で名字が違うことは珍しくなく、その場合に本人確認で手が止まることがあります。とはいえ続柄を必須にすると、家庭の事情によっては答えにくい設問になります。任意にして、設問文に「返信の宛名に使わせていただきます」と目的を書いておくのが穏当です。
きょうだいが在籍している場合の扱い
同じ学校に複数の子どもが在籍している家庭では、一つの用件でどちらの学年として出せばよいか分からなくなります。ここを決めずに放置すると、同じ保護者から二通届いたり、逆に一通も届かなかったりします。
対処は二つあります。一つは、学年とクラスの欄を複数選べる形にしておき、設問文に「在籍しているお子さんをすべて選んでください」と書く方法です。もう一つは、行事ごとに「参加するお子さんの学年で出してください」と一文で決める方法です。どちらでも構いませんが、決めた内容をフォームの中に書いておくことが要点です。書いていないと、保護者は毎回考えることになり、判断が家庭ごとにばらつきます。
行事の出欠で聞くこと
出欠を受ける設問は、集計表の列と一対一で対応させます。集計表に無い列を聞いても、答えは自由記述の海に沈むだけで使われません。
出席と欠席の間に委任を置く
総会のように議決が絡む場では、出欠の二択では足りません。出席、欠席、委任の三択にして、委任を選んだ場合に誰に委ねるのかを書く欄を用意します。委任先を特定の役職にまとめる運用であれば、その旨を設問文に書いて、記入欄そのものを省けます。
紙の委任状を回収する運用が残っている場合は、フォームと紙のどちらが正なのかを先に決めます。両方を受け付けたまま集計すると、同じ家庭が二重に数えられます。二重を見つける作業は、児童の氏名で突き合わせるしかなく、人数が増えるほど時間を食います。
手伝いの時間帯は選択肢にする
資源回収やバザーの手伝いは、参加できるかどうかよりも、いつなら出られるかのほうが重要です。ここを自由記述にすると「午前中なら」「子どもの習い事の前まで」といった文章が並び、シフト表に落とす作業が全部手作業になります。
時間帯を区切ったチェックボックスにして、複数選択できるようにします。区切り方は、実際にシフトを組む単位に合わせます。2時間刻みでシフトを組んでいるなら、選択肢も2時間刻みにします。集計表の列と選択肢が一致していれば、届いたものをそのまま数えるだけで人数が出ます。
締切と変更の受け方を書く
締切は設問の近くに書きます。自動返信にだけ書いても、送信した時点では読まれません。あわせて、締切後に予定が変わった場合にどうすればよいかも書きます。ここが空白だと、締切後の変更が電話や口頭で届き、集計表に反映されないまま当日を迎えます。
変更をフォームで受ける場合は、同じフォームを再送してもらう形にして、「変更の場合は用件の種類で変更を選んでください」と案内します。新しい行が増えるだけで前の行が消えないため、集計する側は最新のものを採用する決まりを持っておく必要があります。
保護者からの連絡で聞くこと
返信が要る型では、設問の役目が変わります。集計のための項目ではなく、返信を書く人が調べずに書けるか、調べてから書くかを判断するための項目になります。
返信が要るかどうかを本人に選んでもらう
意見や要望の中には、伝われば十分で返信を求めていないものが相当あります。ここを聞かずに全件へ返信すると、役員の手が足りなくなります。逆に、返信が欲しかった人に返さなければ苦情になります。
「返信をご希望ですか」という設問を一つ置き、希望する場合のみ連絡先を必須にします。この一項目があるだけで、抱える件数の見え方が変わります。返信不要のものは読んで記録して閉じられるので、残るのは本当に答えが要るものだけになります。
委員の相談と退会の申し出は線を分ける
委員を引き受けられない事情の相談や、退会や免除の申し出は、他の連絡と扱いが違います。個別の事情に踏み込む内容が含まれることが多く、読む人を限定する必要があります。誰が読むかを限定できないフォームで受けると、書いた側にとっては望まない範囲まで話が広がることになります。
この型は、用件の種類で分けたうえで、届き先を役職に限定するのが安全です。フォームの仕組みとして届き先を分けられない場合は、その用件だけ別の経路を案内します。設問文に「この内容は会長と副会長のみが確認します」と書けるなら書き、書けないなら書かないでください。守れない約束を書くほうが問題になります。
自由記述は一つに絞る
自由記述の欄を複数置くと、送る側はどこに何を書けばよいか分からず、結局は最初の欄に全部書きます。欄は一つにして、設問文の中で書いてほしいことを箇条で示します。「いつのことか」「どの行事か」「どうしてほしいか」の三点を書いてもらえれば、返信を書く人が調べる範囲が決まります。
聞かなくてよい項目
項目を足す判断より、削る判断のほうが難しくなります。基準は単純で、その項目が無いときに聞き返しが発生するかどうかです。発生しないなら削ります。
住所と勤務先は要らない
紙の名簿を作っていた時代の様式をそのままフォームに移すと、住所欄が残ります。しかし行事の出欠と保護者からの連絡を受けるだけなら、住所を使う場面はありません。使わない情報を集めると、保管と廃棄の責任だけが増えます。
勤務先も同じです。平日に動けるかどうかを知りたいのであれば、勤務先ではなく「平日の日中に活動できるか」を直接聞きます。知りたいことを聞かずに、そこから推測できそうな属性を聞くのは、集める側にとっても答える側にとっても無駄です。
電話番号は必須にしない
電話番号は、当日の急な連絡が必要な行事に限って任意で聞きます。全件で必須にすると、番号を出したくない人が送信をやめます。必須にするなら、何に使うのかを設問文に書きます。「当日の緊急連絡にのみ使用します」と書いてあるかどうかで、入力率は変わります。
生年月日と性別は使い道がない
児童の生年月日や性別を聞いているフォームがありますが、行事の出欠と連絡の受付でこれらを使う場面はほとんどありません。名簿を作る目的で集めているのであれば、名簿を作る根拠と保管の方法を先に決める必要があります。決まっていないなら、まず項目を外してください。
設問の並び順で入力率が変わる
同じ項目をそろえても、並べる順番によって送信されるかどうかが変わります。保護者の多くは、学校から配られた紙を見て、その場でスマートフォンから入力します。入力の途中で手が止まると、あとで送ろうと考えて、そのまま忘れます。
並び順の基本は、迷わずに答えられるものを先に置き、考える必要があるものを後ろに回すことです。用件の種類、児童の学年とクラス、児童の氏名、保護者の氏名までは、考えなくても指が動きます。ここまでを先に通過させると、途中でやめる人がぐっと減ります。
その次に用件別の設問を置きます。出欠なら出席と欠席と委任、手伝いの時間帯、行事名。連絡なら自由記述と、返信を希望するかどうか。ここが考える必要のある部分なので、前半で勢いをつけてから入る形にします。
連絡先は最後に置きます。先頭に置くフォームが多いのですが、これは受ける側の都合であって送る側の都合ではありません。連絡先を最初に求められると、送る前に「この団体に自分の連絡先を渡してよいか」を判断させることになり、そこで止まる人が出ます。用件を書き終えたあとであれば、送りたい気持ちのほうが勝ちます。
必須の印は少ないほどよい
必須の項目が並んでいると、フォーム全体が重く見えます。実際に無いと困るものだけを必須にして、それ以外は任意にします。任意にしても、設問文で理由を書けば書いてもらえます。「差し支えなければ」と添えるだけで、記入率は下がりません。
必須にする基準は、無いと処理が止まるかどうかです。児童の学年とクラスが無ければ集計に足せないので必須です。返信を希望する人の連絡先が無ければ返せないので、その場合だけ必須にします。逆に、あれば便利という程度の項目を必須にすると、その一つのために送信をやめる人が出ます。
確認画面と送信後の表示を決める
送信ボタンを押したあと、何も変わらない画面が残ると、保護者は送信できたのか分からずもう一度押します。二重に届いた行を突き合わせて消す作業は、集計の中でもっとも神経を使う部分です。送信後に「受け付けました」と表示されるかどうかを、必ず実機で確かめてください。
確認画面を挟むかどうかは、項目の数で決めます。項目が少なければ、確認画面を挟まずに送信後の表示と自動返信で誤りに気づいてもらう形で足ります。項目が多い場合は、確認画面を挟んだほうが訂正の手間が減ります。どちらにしても、送信された内容を自動返信に全文載せておくと、保護者が自分で誤りに気づいて訂正してきます。
紙とフォームを併走させる期間を設計する
PTAの受付では、紙の回収袋とフォームが同時に動くことが珍しくありません。家庭によっては、スマートフォンからの入力に慣れていない場合や、そもそも紙のほうが確実だと考えている場合があります。どちらかに一本化しようとすると、必ず取りこぼしが出ます。
現実的な設計は、両方を受け付けたうえで、集計する場所を一つに決めることです。紙で届いたものを誰がフォームの集計表に転記するのかを決めておきます。決めていないと、紙の束が回収袋のまま残り、締切の直前に慌てて数えることになります。
転記する担当は、行事ごとに一人決めます。学級ごとに分担すると、転記の様式がばらつき、あとで合わせる作業が増えます。転記する人が一人であれば、その人の様式で統一されるので、集計の手間が最小になります。
紙にQRコードを載せるときに書くこと
配布する紙にQRコードを載せる場合、コードだけを置いても読み取ってもらえません。何のためのコードかを一行で書き、締切と、紙で出す場合の提出先を併記します。この三つが同じ紙の上にあると、保護者はその場でどちらにするかを決められます。
QRコードのリンク先は、年度が変わるたびに作り直します。前年度のフォームが生きたままだと、古い紙を持っている家庭が古いフォームに送信します。年度末にフォームを閉じる作業を、紙の様式を作り直す作業とセットで引き継いでください。
二重に届いたものを見つける方法
同じ家庭から紙とフォームの両方で届くことは必ず起きます。突き合わせの鍵になるのは児童の氏名です。保護者の氏名では、名字が同じ家庭が複数あると区別できません。児童の氏名と学年とクラスの組み合わせであれば、ほぼ一意に決まります。
だから、紙の様式にも児童の学年とクラスと氏名の欄を、フォームと同じ並びで置いてください。並びがそろっていれば、転記する人が上から順に写すだけで済みます。並びが違うと、転記のたびに目が行ったり来たりして、写し間違いが増えます。
項目を見直す手順を決めておく
一度作ったフォームは、そのまま何年も使われます。役員が入れ替わるたびに一から作り直す余裕はないので、それ自体は正しい運用です。ただし、見直す手がかりを残しておかないと、要らない項目が残り続け、足りない項目が足りないままになります。
もっとも簡単な手がかりは、聞き返しの記録です。返信を書くときに「これが分からないと答えられない」と感じた項目を、その場でひとことメモに残します。年度末にそのメモを並べれば、足すべき項目が分かります。
削るべき項目は、逆から探します。集計表の列を上から見て、その年度に一度も使わなかった列を洗い出します。使わなかった列に対応する設問は、次の年度から外します。この作業は30分もあれば終わりますが、やらないと十年前の様式がそのまま残ります。
引き継ぎ資料に項目の意図を書く
項目の一覧だけを引き継いでも、次の役員はなぜその項目があるのか分かりません。分からない項目は、怖くて消せないので残ります。こうして項目は増える一方になります。
引き継ぎ資料には、項目ごとに一行で「何に使うか」を書いてください。使い道が書けない項目は、その時点で外す候補です。書けない項目を残したまま引き継ぐと、次の年度も同じ判断ができません。
集めた情報をどこまで持つかを先に決める
項目を決める作業と、集めたものをどう保管するかを決める作業は、本来ひと続きです。個人情報の取り扱いについて、法律には次のような定めがあります。
個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的(以下「利用目的」という。)をできる限り特定しなければならない。 出典: 個人情報の保護に関する法律 個人情報保護委員会
PTAがこの規定にいう事業者に当たるかどうかは、団体の実態によって判断が分かれます。ここで法律の解釈を断定することはできませんので、実際の対応は所管の窓口や専門家に確かめてください。ただし当てはまるかどうかにかかわらず、何のために集めるのかを先に決めておくという考え方は、項目を決める作業そのものに直結します。使い道を書けない項目は、そもそも聞く必要がない項目です。
年度が変わるときに消すものを決める
PTAの役員は多くの場合1年で入れ替わります。前の年度に集めた出欠のデータを、新しい役員がそのまま見られる状態で引き継ぐべきかどうかは、集める時点で決めておく必要があります。
現実的な線引きは、集計の結果は残し、個人が特定できる回答は年度末に消すという形です。総会の出欠が何人だったかは翌年の準備に使いますが、どの家庭が欠席したかを翌年の役員が知る必要はありません。この方針をフォームの案内文に一行書いておくと、送る側の心理的な抵抗が下がります。
何に使うかをフォームの冒頭に書く
利用目的を書いた案内文は、長くする必要がありません。「いただいた内容は、行事の出欠の集計と、ご連絡への返信にのみ使用します」の一文で足ります。書いてあるかどうかで、送る側の受け取り方が変わります。特に、児童の氏名や学年といった情報を求める場面では、目的が書かれていないだけで警戒されます。
案内文の置き場所は、フォームの一番上です。送信ボタンの近くに小さく置いても読まれません。用件の種類を選ぶ設問の直前に、二行以内で置くのが読まれる位置です。長い規約のような文章を貼ると、逆に誰も読まなくなります。
保管場所を個人の持ち物にしない
集めたものが特定の役員の私物の端末や個人のアカウントの中にしか無い状態は、年度が変わった瞬間に全部が消えるのと同じです。引き継ぎの日に本人が忘れていれば取り出せませんし、卒業と同時に連絡が取れなくなることもあります。
保管する場所は、役職に紐づいたアカウントか、複数人が入れる場所にします。個人のアカウントで受けざるを得ないなら、せめて集計の結果だけは別の場所に写しておきます。項目の設計と同じくらい、どこに置くかの設計が効きます。
役職に紐づいたアカウントを新しく作るのが難しい学校もあります。その場合は、フォームの管理者を二人にして、片方が抜けてももう片方が入れる状態を保ちます。管理者が一人だけの状態は、その人が体調を崩した日に窓口が止まるということでもあります。項目を決める会議の最後に、管理者を誰と誰にするかまで決めておいてください。
集めたあとに何が要るかから項目を決める
フォームの項目は、送信ボタンを押されるまでの設計に見えますが、実際に効いてくるのは押されたあとです。届いたものを誰が持つのか、返したかどうかがどこに残るのか、締切までにあと何件足りないのか。ここが見えていないと、項目をいくら磨いても作業は減りません。
道具を選ぶときの見方も同じところに置きます。作りやすさや見た目ではなく、送信されたあとの道具がそろっているかどうかで比べます。届いたものに担当と状態を持たせられるか、返信の履歴が同じ画面に残るか、年度が変わったときに引き継げるか。この三つが見られれば、選択の大半は決まります。
いま使っているものを続けるべき場合も当然あります。集計するだけで返信がほとんど発生しない行事の出欠だけであれば、表計算に流し込む形で十分に回ります。判断の材料として、代表的な道具それぞれの向き不向きが整理された資料が参考になります。回答を表計算で受けて集計する使い方の限界と、担当を持たせたい場合の違いをまとめたGoogleフォームとの比較は、いまの運用を続けるかどうかを決めるときの基準になります。学校のサイトをWordPressで運用しているPTAであれば、既存のプラグインで受けている場合の保存と通知の考え方を整理したContact Form 7との比較も見ておく価値があります。
用件ごとに何を聞くかで迷ったときは、似た形の受付がどう組み立てられているかを見るのが早道です。締切があって人数を確定させる形の設計をまとめたイベントの申し込みと、返信が要る形の設計をまとめた問い合わせの受付は、PTAの窓口が抱える二つの型にそれぞれ対応しています。この二つを並べて読むと、一枚のフォームで両方を受けるときにどこで分岐させればよいかが見えてきます。
項目を決めたあとに、実際の画面でどう見えるかを確かめる段階が来ます。設問の数と並びは、文字で書いているときの印象と、スマートフォンで縦に並べたときの印象がまったく違います。受付から返信までの流れが一続きで動く様子は動くところを見るで確認できます。役員が入れ替わっても同じ手順で回せるかどうかは、実際の画面を触って判断するのが確実です。
Q1. PTAの問い合わせフォームで必ず必要な項目は何ですか?
児童の学年、クラス、児童の氏名、保護者の氏名、用件の種類の五つです。PTAでは送信者本人の情報だけでは相手を特定できず、児童がどの学級にいるかで集計先が決まります。学年とクラスは必ず選択式にしてください。自由記述にすると表記のゆれが生まれ、集計のたびに手で直す作業が発生します。連絡先は、返信を希望する人にだけ必須にする形が現実的です。
Q2. 住所や電話番号は聞いておいたほうがよいですか?
行事の出欠と保護者からの連絡を受けるだけなら、住所を使う場面はありません。使わない情報を集めると保管と廃棄の責任だけが増えるので外してください。電話番号は、当日に急な連絡が必要な行事に限って任意で聞きます。必須にする場合は「当日の緊急連絡にのみ使用します」と設問文に書いてください。目的が書いてあるかどうかで入力率が変わります。
Q3. 総会の出欠はどう聞けばよいですか?
出席と欠席の二択ではなく、出席、欠席、委任の三択にします。委任を選んだ場合の委任先を書く欄を置くか、特定の役職にまとめる運用ならその旨を設問文に明記して記入欄を省きます。紙の委任状も並行して回収している場合は、フォームと紙のどちらを正とするかを先に決めてください。両方を集計すると同じ家庭が二重に数えられ、突き合わせに時間がかかります。
Q4. きょうだいが在籍している家庭はどう扱えばよいですか?
学年とクラスを複数選べる形にして「在籍しているお子さんをすべて選んでください」と書くか、行事ごとに「参加するお子さんの学年で出してください」と一文で決めるかのどちらかです。どちらを選んでも構いませんが、決めた内容をフォームの中に書いておくことが要点です。書いていないと保護者が毎回考えることになり、判断が家庭ごとにばらついて集計が合わなくなります。
Q5. 集めた回答はいつまで持っておくべきですか?
集計の結果は残し、個人が特定できる回答は年度末に消すという線引きが現実的です。総会の出欠が何人だったかは翌年の準備に使いますが、どの家庭が欠席したかを翌年の役員が知る必要はありません。この方針をフォームの案内文に一行書いておくと、送る側の抵抗が下がります。なお個人情報の取り扱いの具体的な判断は、所管の窓口や専門家に確かめてください。
