セミナーの受付をスマホで扱う場面は、二つあります。申し込む側がスマホで入力する場面と、主催する側がスマホで問い合わせを見て返す場面です。前者はよく語られますが、後者はあまり整理されていません。
しかし実務で困るのは、後者のほうです。開催が近づくと、主催側は机にいません。会場の下見、資料の受け取り、登壇者との打ち合わせ、当日の設営。この移動の合間に、最も緊急度の高い問い合わせが届きます。会場が分からない、接続用のURLが見つからない、行けなくなった。手元にあるのはスマホだけです。
この記事では、参加の申し込みと当日の連絡を同じ窓口で受けている前提で、両側のスマホ対応を整理します。申し込む側がどこで手を止めるのか、受ける側がスマホで何をどこまで返すのか、そして個人の端末で扱うときにどこに線を引くのか。順番に見ていきます。
セミナーの受付は、両側がスマホになっている
申し込む側は、ほぼスマホで見ている
セミナーの告知は、いま多くの場合スマホの画面で読まれます。SNSで流れてきた告知、メールで届いた案内、知人から転送されたリンク。どれもタップした先はスマホの画面です。
告知を読んだ人が、そのまま申し込むかどうかは、申し込み画面がスマホでどう見えるかで決まります。ここでパソコン向けに作られた画面が出ると、離脱が起きます。文字が小さい、横にスクロールしないと全体が見えない、入力欄をタップすると画面がずれる。
法人向けのセミナーであっても事情は同じです。むしろ、外出先で告知を見て、その場で申し込む人が一定数います。「あとでパソコンから申し込もう」と思った人の多くは、申し込みません。思い出さないからです。
受ける側も、開催が近づくと机にいない
主催する側の事情も、開催日が近づくにつれて変わります。
募集の初期は、事務所で受信箱を開く時間があります。届いた質問を読み、調べ、返す。ここに問題はありません。ところが開催の三日前から、状況が変わります。会場の最終確認、印刷した資料の受け取り、登壇者への連絡、機材の手配。移動が増え、机の前にいる時間が減ります。
そして、この時期こそ問い合わせが集中します。日程の変更、参加形式の変更、代理出席、会場の場所、接続の方法。返信が半日遅れると参加できなくなる種類のものです。
窓口の担当者からしばしば出るのは、移動中に届いた質問を見たものの、返すには調べる必要があって、そのまま忘れたという話です。見たが返せない、返せないから後回しにする、後回しにした件は既読の山に紛れる。スマホで見ることと、スマホで返せることは別の話です。
申し込む側が、スマホで手を止める場所
入力に時間のかかる項目が前にあると、そこでやめる
スマホでの入力は、パソコンに比べて時間がかかります。特に長い文字列を打つのが苦手です。
セミナーの申し込みで長くなりがちなのは、会社の正式名称、部署名、請求書の宛名、住所です。どれも「たしかこうだったはず」では書けないので、確認しに行くことになります。スマホで別のアプリを開いて確認し、戻ってくる。この動きの途中で戻ってこない人が出ます。
対策は二つあります。一つは、こうした項目を後半に置くこと。参加の意思が固まってから入力してもらうほうが、離脱が減ります。もう一つは、そもそも必須にしないことです。所属や住所が本当に申し込みの時点で必要なのかを見直すと、外せるものが見つかります。
住所は特に見直す価値があります。会場開催で資料を郵送するなら要りますが、当日配布なら要りません。オンライン開催でダウンロード形式にするなら、なおさら要りません。入力に時間がかかり、書かせた以上は保管の責任も発生する項目です。
入力欄の形が、キーボードを変える
スマホでは、入力欄の種類によって出るキーボードが変わります。メールアドレスの欄なら記号が打ちやすい配列、電話番号の欄なら数字だけの配列が出ます。
この指定がされていない画面では、電話番号を打つのに文字のキーボードが出ます。数字を打つために切り替える操作が挟まり、そこで打ち間違いが増えます。11桁の番号を文字のキーボードで打つのは、思っている以上に面倒です。
同じ理由で、日付や人数のような項目は、選ばせる形にしておくと入力が速くなります。参加する回を選ぶ、参加人数を選ぶ、参加形式を選ぶ。タップだけで進む部分が多いほど、最後まで到達する人が増えます。
選択肢が縦に長いと、選べない
パソコンの画面では一覧できる選択肢が、スマホでは画面に収まりません。開催する回が六つ、参加形式が三つ、支払い方法が四つと並ぶと、選ぶだけで何度もスクロールすることになります。
特に困るのが、日程の選択です。複数の回を同時に募集していると、選択肢の文字列が長くなります。日付と曜日と時間帯と会場名が入るからです。この長い文字列が縦に六つ並ぶと、比べながら選ぶのが難しくなります。
減らせる選択肢は減らします。会場名が同じなら日程の選択肢から外す、時間帯が同じなら日付だけにする。表示を短くするだけで、選びやすさが変わります。どうしても長くなる場合は、先に「参加を希望する月」を聞いて、その月の回だけを出す形にすると、一度に見る数が減ります。
添付とファイルの選択で止まる
セミナーの申し込みで、ファイルを添付してもらう場面があります。事前課題の提出、資格の証明、名刺の画像。
スマホからのファイル選択は、パソコンほど分かりやすくありません。写真を選ぶのか、書類を選ぶのか、クラウドから選ぶのか。選択肢が複数出て、そこで迷う人がいます。
受け取る形式を絞っておくと、迷いが減ります。「写真でも構いません」と書いてあれば、その場で撮って送れます。逆に「PDFで提出してください」と指定すると、スマホしか持っていない人が詰まります。本当にその形式が必要なのかを、先に確かめておきます。
確認画面と、戻る操作
スマホでは、戻る操作の扱いに注意が要ります。ブラウザの戻るボタンや、画面の端からのスワイプで前の画面に戻ったときに、入力した内容が消える作りだと、そこで諦められます。
長いフォームほど影響が大きい。十項目を入力した後で、確認画面から一項目を直そうとして戻り、全部が消える。この体験をした人は、二度目を入力しません。
確認画面を挟むかどうかは、募集の性質で決めます。有料で請求書を出し、当日の座席を用意する形なら、打ち間違いの影響が大きいので挟む価値があります。無料で誰でも参加できる形なら、画面を減らすほうが最後まで到達しやすくなります。
自動返信が、どの端末に届くか
スマホで申し込んだ人が、その後の案内をどこで受け取るかも考えておきます。
会社のメールアドレスで申し込んだのに、当日は自宅から個人の端末で参加する人がいます。この人の手元に、接続用のURLは届きません。会社のメールを個人の端末で見られない設定になっていれば、当日の朝に「URLが見つかりません」という連絡が来ます。
これを完全に防ぐ方法はありませんが、案内の中に「この案内は転送していただいて構いません」と一行入れておくだけで、自分で手当てできる人が増えます。当日の連絡先を書いておくことも、同じ効果があります。
受ける側がスマホで返すときに困ること
一覧が全部見える必要はない
スマホの画面は狭いので、パソコンと同じ一覧をそのまま表示しても使えません。列が多すぎて、横にスクロールしても目的の情報にたどり着けません。
移動中に必要なのは、全部の情報ではありません。誰から、何について、いつ届いて、返したかどうか。この四つが見えれば、返すべき件を選べます。所属、支払いの状況、申し込みの詳細は、その件を開いてから見れば足ります。
言い換えると、スマホでの一覧は「選ぶための画面」であって「調べるための画面」ではありません。この割り切りができていない画面は、狭い場所に全部を詰め込んで、結果として何も読めなくなります。
申込データを探す作業が、スマホでは特に重い
返信の前に、この人が申し込み済みか、どの回か、支払いは済んでいるかを確認する作業があります。パソコンなら画面を並べて見比べられますが、スマホではできません。
問い合わせのメールを開き、名前を覚え、別のアプリで表を開き、検索し、該当行を見つけ、内容を読み、戻る。この往復は、スマホでは倍以上の時間がかかります。しかも移動中は片手しか使えないことがあります。
問い合わせと申込データが同じ画面にあれば、この往復そのものが消えます。送信されたあとの状態が一件ごとに残る形になっていれば、件を開いた時点で必要な情報がそろっています。スマホで返せるかどうかは、この一点でほぼ決まります。
定型文が呼び出せないと、書けない
移動中に長文を打つのは現実的ではありません。定型の文面を呼び出せるかどうかが、返せるかどうかを分けます。
呼び出す形は、端末側の単語登録でも、返信画面から選ぶ形でも構いません。重要なのは、少ないタップで本文が入ることです。別のアプリからコピーして貼り付ける形だと、アプリの切り替えが挟まって面倒になり、結局あとで返すことにします。
定型文に会場情報や日程を固定で書き込んでおくのは危険です。複数の回を並行して募集していると、前の回の情報が入ったまま送ってしまいます。変わる部分は空欄にして、毎回埋める形にします。
誰が返したかが残らないと、重なる
移動中の返信では、状態の記録が特に抜けやすくなります。急いでいるからです。
返した後に状態を更新する操作が別に必要な形だと、その操作が省略されます。省略された件は未返信のまま残り、事務所にいる別の人がもう一度返します。二重返信です。
返信の操作と状態の更新が一体になっている形なら、この抜けは起きません。返せば返信済みになる、それだけです。移動中に使う道具ほど、操作の数が少ないことが重要になります。
通知の設定を、時期で変える
スマホで受ける前提を作るなら、届いたことに気づく仕組みが要ります。気づかなければ、手元にあっても意味がありません。
ただし、通知を常に出す形にすると、募集期間の全体で鳴り続けます。夜間の申し込みで起こされるようになると、通知そのものを切ることになり、結局は気づけなくなります。
現実的なのは、時期で設定を変えることです。募集の初期は通知を出さず、決めた時刻に一覧を開く。開催の三日前から通知を出す。当日は必ず出す。この切り替えを手順として決めておくと、必要な時期にだけ鳴る状態になります。
通知の中身も考えます。件名だけが出る形なら問題ありませんが、本文の冒頭が通知に出る設定だと、画面をロックしたままでも人の名前や相談の中身が見えます。共有の端末や、人前で使う場面では、この設定を切っておくほうが安全です。
移動の合間に返すときの決めごと
スマホで返す件と、机に戻ってから返す件を分ける
全部をスマホで返そうとすると、事故が起きます。最初に決めるのは、線をどこに引くかです。
スマホで返してよいのは、調べなくても答えられる件です。会場の場所、開始時刻、当日の持ち物、途中参加の可否。これらは定型文で返せます。加えて、受け取ったことを伝える一次返信も、スマホで問題ありません。
机に戻ってから返すのは、金額と日程に触れる件です。参加費の扱い、返金、日程の変更、請求書の再発行。これらは記録を確認しないと返せませんし、返した内容が後から効いてきます。移動中に記憶で返すと、後で食い違います。
判断が要る件も、机に戻ってからです。特別な事情による参加の相談、取材の申し出、共催の打診。急いで返す理由がない件を、急いで返す必要はありません。
一次返信だけを、その場で返す
線引きに迷ったときは、一次返信だけをその場で返す形にします。
「お問い合わせを受け付けました。本日中にあらためてご連絡します」の一行です。これだけで、相手は待てる状態になります。同じ内容の二通目も、電話での催促も発生しません。
ただし、一次返信を返した件は返信済みに見えてしまいます。本返信が必要な件として、別に残しておく必要があります。この仕組みが無いと、移動中の一次返信がそのまま返し忘れの入り口になります。
返信の質を、その場では求めない
移動中の返信は、文面が短くなります。それでよい、と先に決めておきます。
長文を打とうとすると、打ちきれずに下書きのまま残ります。下書きは送られません。三行で返して伝わるなら、三行で返す。丁寧さは、返す速さで示すほうが、この場面では実際的です。
現場では、文面を整えようとして返信が翌日になるより、短くてもその場で返したほうが評価されると言われています。特に当日の朝の問い合わせでは、速さ以外に価値がありません。
会場でスマホから受ける日の段取り
前日までに準備しておくもの
開催当日、会場でスマホから受ける前提なら、前日までに準備が要ります。
必要なのは三つです。一つ目は、当日の一覧をスマホで開けるようにしておくこと。当日になって初めてログインしようとして、パスワードが分からず詰まる例があります。二つ目は、定型文が呼び出せる状態にしておくこと。三つ目は、参加者の名簿をスマホから見られるようにしておくことです。
三つ目は特に重要です。当日の受付で「名簿に載っていない」と言われた人が出たときに、その場で確認できるかどうかが分かれ目になります。紙の名簿だけだと、直前に申し込んだ人が載っていません。
当日の連絡先を、誰が持つか
当日の連絡先を案内するなら、その番号を誰が持つかを決めておきます。
会場設営の責任者が持つと、設営中は出られません。受付の担当者が持つのが自然です。ただし受付が始まると、目の前の人の対応で手が塞がります。受付開始の前と後で、持つ人を変える形も検討する価値があります。
連絡先を案内していないと、参加者は募集ページに書いてある代表の窓口に掛けます。そこは当日、誰もいません。
通信が使えない会場がある
見落とされがちなのが、会場の通信環境です。地下の会議室、電波の入りにくい建物、大人数が集まって回線が混む会場。
スマホで受けて返す前提を組んでいると、通信が使えない時点で全部が止まります。会場の下見のときに、実際に電波が入るかを確認しておきます。入らない場合は、受付の前に必要な情報を端末に落としておくか、電波の入る場所を決めておくことになります。
オンライン開催でも同じ問題があります。配信する場所の回線が細いと、配信の操作と問い合わせの対応が競合します。配信を優先するなら、問い合わせは別の回線で見る形にしておきます。
オンライン開催の当日は、事情が違う
会場開催とオンライン開催では、当日のスマホの使い方が変わります。
オンライン開催では、主催側はパソコンの前にいます。移動がないぶん、返信の環境としては恵まれています。しかし別の問題が起きます。配信の操作と、問い合わせの対応が同じ端末で競合することです。
画面を共有しながら、届いた質問に答えることはできません。共有中の画面に問い合わせの一覧が映ります。参加者の氏名や相談の中身が、全員に見えます。この事故は実際に起きています。
だから、オンライン開催では配信に使う端末と、問い合わせを見る端末を分けます。分けるときに手元にあるのがスマホです。配信はパソコン、問い合わせはスマホ。この形にしておけば、共有事故は起きません。
加えて、オンライン開催の当日に来る問い合わせは、内容が限られています。入れない、音が聞こえない、URLが違う。この三つで大半が説明できます。三つに対する定型の返信を用意しておけば、スマホからでも回ります。
個人の端末で扱うときの線引き
個人の連絡先を教えない
当日の対応をスマホでやる流れになると、担当者の個人の電話番号やメッセージのIDを参加者に教えてしまう場面が出ます。その場は解決しますが、後が続きます。
一度教えると、次回以降もそこに連絡が来ます。担当者が変わっても、退職しても、連絡は個人に届きます。しかもその連絡は、主催の記録に残りません。誰と何を約束したのかが、組織として分からない状態になります。
窓口の番号を用意して、それをスマホで受ける形にするのが筋です。番号が組織のものであれば、持つ人が変わっても続きます。
端末を紛失したときに何が起きるか
個人の端末で申込情報を見られる状態にしているなら、その端末を落としたときのことを考えておく必要があります。
個人情報取扱事業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失又は毀損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない。 出典: 個人情報保護委員会
必要かつ適切な措置が具体的に何を指すかは、扱う情報の中身や規模によって変わります。判断に迷う部分は、所管の窓口や専門家に確かめてください。運用として言えるのは、端末そのものにデータを保存せず、必要なときに見に行く形にしておくほうが、落としたときの影響が小さいということです。名簿を画像で保存する、表をダウンロードして持ち歩く、といった形は、端末とデータが一体になるので影響が大きくなります。
当日スタッフと、離任するときの手当て
当日だけ手伝うスタッフに一覧を見せる場合、見せる範囲と、いつ戻すかを一緒に決めます。
当日の受付に必要なのは、氏名と参加する回、そして参加形式くらいです。支払いの状況や、事前質問の中身まで見せる必要はありません。範囲を絞っておけば、誤って触れる範囲も狭くなります。
そして、開催が終わったら戻す。当日限りのスタッフが三か月後も申込情報を見られる状態になっているのは、戻す手順が決まっていないからです。渡すときに、いつ戻すかまでを決めておきます。担当者が退職する場合も同じで、個人の端末に進行中の件が残っていると、引き継ぎができません。
スマホで完結させないほうがよい作業
一斉の連絡は、机で作る
天候や交通機関の乱れで開催をどうするかを決めたとき、申し込んだ全員に一度に連絡する必要が出ます。この作業は、スマホでやるべきではありません。
理由は二つあります。一つは、宛先を間違えたときの影響が大きいこと。200人に誤った内容を送ると、その訂正でさらに200通が必要になります。もう一つは、文面が長くなるからです。中止か延期か、参加費はどうなるか、次にいつ連絡するか。三つを短く正確に書く必要があり、狭い画面では推敲できません。
判断は移動中に下しても構いませんが、連絡の作成と送信は机に戻ってから、あるいは事務所にいる人に頼んで行います。誰が作って誰が送るのかを、あらかじめ決めておきます。
名簿の書き換えも、机でやる
当日の代理出席や、参加形式の変更で、名簿を書き換える場面があります。この作業もスマホには向きません。
狭い画面で行を探し、該当の欄を書き換える操作は、隣の行を触ってしまう事故が起きやすい。しかも書き換えた結果が正しいかを、その場で確かめにくい。当日の名簿は、間違えると受付で直接的な混乱になります。
移動中にできるのは、変更の連絡を受けて、受け付けたことを返すところまでです。名簿への反映は、受付の担当者が机で行う。この分担を決めておくと、片手での操作による事故が減ります。
スマホで見えることを前提に、案内の文面を作る
長い案内は、スマホでは読まれない
前日のリマインドや当日の案内も、受け取る側はスマホで読みます。パソコンで書いた長い案内は、スマホの画面では何度もスクロールする長さになります。
読まれるのは最初の数行だけです。だから、いちばん重要なことを先頭に置きます。開始時刻、場所または接続の方法、当日の連絡先。この三つを最初の五行に入れて、それ以外は下に置く。
よくある形は、挨拶から始まって、セミナーの趣旨を説明し、登壇者を紹介し、最後に会場の情報が来るものです。この順番だと、会場の情報にたどり着く前に読むのをやめられます。そして当日の朝に「場所はどこですか」という連絡が来ます。
接続用のURLは、押しやすい形で置く
オンライン開催の案内では、接続用のURLの置き方が効きます。文章の途中に埋め込まれていると、スマホでは押しにくい位置になります。
独立した行に置き、前後に空行を入れる。これだけで押しやすくなります。加えて、URLの前の行に「ここから入室してください」と書いておけば、探す必要もなくなります。
やってはいけないのは、URLを画像にすることや、別の書類の中に入れることです。書類を開く操作が挟まると、そこで詰まる人が出ます。当日の朝に慌てて開く前提なら、操作は少ないほど良い。
案内は、開催が近づくほど短くする
三日前の案内、前日の案内、当日の案内は、順に短くします。三日前は準備のための情報を含めてよい。前日は要点だけ。当日は三行で足ります。
当日の朝に長い案内が届いても、移動中の人は読みません。読まれない案内は、送っていないのと同じです。三行なら、通知の画面だけで読み終えられます。
短くするぶん、書かないことを決めます。当日に伝える必要がないことは、前日までに伝えておく。当日の案内に含めるのは、時刻と場所と連絡先だけです。
受け取る側の端末を、決めつけない
案内を作るときに、受け取る側がどの端末で読むかを決めつけないほうが安全です。会社のパソコンで読む人、スマホで読む人、両方で読む人がいます。
具体的には、パソコンでしか開けない形式の書類を前提にしないこと、画面の幅を固定した作りにしないこと、文字を小さくしないこと。どれも当たり前に聞こえますが、パソコンで作って確認まで済ませると気づきません。
案内を作ったら、送る前に自分のスマホで一度見ます。会場の情報が何行目に出るか、URLが押しやすい位置にあるか。この確認は一分で終わります。
一人で回しているなら、スマホだけで完結する範囲を決める
受付をひとりで担っている主催者にとって、移動中に返せる範囲は死活的です。事務所に戻れる時間が少ないからです。
決めておくのは、スマホだけで完結させる件の一覧です。会場と時刻の案内、持ち物、途中参加の可否、受け取りの一次返信。この四つに絞れば、定型文を四つ用意するだけで済みます。四つなら、どれを使うか迷いません。
それ以外の件は、返さずに置いておきます。置いておくと決めておけば、移動中に無理をしません。無理をして記憶で返した金額や日程が、後で食い違うほうが損失は大きくなります。
そのうえで、机に戻る時間を一日のどこかに確保します。三十分で足ります。この三十分が無いと、スマホで返せない件が積み上がり続けます。
何を見て、判断するか
スマホでの受付を整えたら、効いたかどうかを数字で見ます。感覚で判断すると、変えたことを正当化する方向に記憶が寄ります。
見るのは三つです。一つ目は、スマホから申し込んだ人の割合と、その人たちが最後まで到達した割合です。到達率が低いなら、入力のどこかで止まっています。二つ目は、届いてから最初の返信までにかかった時間が、開催の直前だけ伸びていないかです。伸びているなら、移動中に返せていません。三つ目は、返していない件が残った日数です。
この三つは、件ごとの記録が残っていれば数えられます。逆に言えば、受信箱で受けている限りは数えられません。数えられるようにすること自体が、形を変える理由の一つになります。
いまの道具のままで足りるかを判断する材料も、そろえておくと決めるのが早くなります。無料の集計型のフォームで受けている場合、回答が表に落ちたあとにどこまで扱えるかはGoogleフォームとの比較に整理されています。サイトに埋め込む形で自前運用しているなら、Contact Form 7との比較のほうが近い形になります。どちらも、いまの道具で足りる使い方を先に置いた形でまとめられています。
セミナーの申し込みと当日の連絡を同じ窓口で受ける流れそのものは、イベントの申し込みに、定員とキャンセル待ちを含めて整理されています。連続講座のように複数回に分けて募集する形なら、講座の受講申し込みのほうが実際の運用に近い。開催前後の質問を継続的に受けるなら、問い合わせの受付も合わせて見ておくと、どこまでを申し込みの処理として扱い、どこからを問い合わせとして扱うかの参考になります。
最後に、順番について書いておきます。スマホ対応というと、多くの主催者は申し込み画面の見た目から手を付けます。文字を大きくする、ボタンを押しやすくする。これは必要な作業ですが、それだけでは開催直前の詰まりは解消しません。
先に決めるべきなのは、受ける側が移動中に何をどこまで返すかの線引きです。線が引けていないと、返せない件を抱えたまま移動し、既読のまま忘れます。見た目の調整は、その後で構いません。順番を逆にすると、申し込みは増えたのに直前の返信が回らない、という状態になります。
Q1. セミナーの申し込みフォームで、スマホから離脱されやすいのはどこですか?
長い文字列を打つ項目です。会社の正式名称、部署名、請求書の宛名、住所。どれも確認しに行く必要があり、別のアプリを開いて戻ってくる途中で離脱が起きます。対策は、こうした項目を後半に置くことと、そもそも必須にしないこと。特に住所は、資料を郵送しないなら外せる場合が多い項目です。入力に時間のかかる項目は、後半に置くだけでも到達率が変わります。
Q2. 移動中にスマホで返してよい問い合わせと、そうでないものの線引きは?
調べなくても答えられる件はスマホで返します。会場の場所、開始時刻、持ち物、途中参加の可否などです。机に戻ってから返すのは、金額と日程に触れる件と、判断が要る件です。参加費の扱い、返金、日程の変更は記録を確認しないと返せず、返した内容が後から効いてきます。記憶で返すと食い違います。線が引けていないと、返せない件を抱えたまま移動することになります。
Q3. 移動中に一次返信だけ返すやり方に問題はありますか?
返し忘れの入り口になる点だけ注意が要ります。一次返信を返すと返信済みに見えますが、本題には答えていません。本返信が必要な件として別に残す仕組みが無いと、確認が終わっても誰も戻ってきません。一次返信では、いつまでに返すのかも書いておきます。日を切っておけば、その日までは催促が来ません。一次返信では、いつまでに返すのかも一緒に書いておきます。
Q4. 開催当日、会場でスマホから受ける場合に何を準備しておけばよいですか?
前日までに三つです。当日の一覧をスマホで開ける状態にしておくこと、定型文を呼び出せるようにしておくこと、参加者の名簿をスマホから見られるようにしておくこと。三つ目は、受付で名簿に載っていない人が出たときにその場で確認するために要ります。あわせて、会場で電波が入るかを下見のときに確かめておきます。会場で電波が入るかも、下見のときに確かめておきます。
Q5. 担当者の個人のスマホで問い合わせを受けても構いませんか?
受けること自体は避けられませんが、個人の連絡先を参加者に教えるのは避けます。一度教えると次回以降も個人に連絡が来て、担当が変わっても続き、しかも主催の記録に残りません。窓口の番号を用意してスマホで受ける形にします。端末にデータを保存せず、必要なときに見に行く形にしておくと、紛失時の影響も小さくなります。
