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ネットショップで問い合わせの担当を決める|誰が持っているかを見える形にする

2026年9月10日 ・ Halict編集部

ネットショップの問い合わせを二人以上で受けるようになると、必ず二つの事故が起きます。同じ相談に二人が別々の返信を書いてしまうことと、二人とも相手が返すと思って誰も返さないことです。どちらも原因は同じで、いまその案件を誰が持っているのかが見えていないことにあります。件数が少ないうちは気合いで乗り切れますが、セールや年末で注文が跳ねた週に必ず表面化します。この記事では、問い合わせの担当をどう決めて、どう見える形にするかを、ネットショップの窓口で実際に起きることに沿って整理します。読み終えたときに、明日から自分の店でどの軸で振り分けるかを決められる状態を目指します。

担当が見えないと二重返信と取りこぼしが同時に起きる

窓口をひとりで回しているうちは、担当という考え方は要りません。届いたものは全部自分のもので、返したかどうかも自分の記憶にあります。二人目が入った瞬間に、この前提が崩れます。

崩れ方は二通りあります。一つは、二人が同じ問い合わせを開いて、それぞれ返信を書く場合です。相手には内容の違う二通が届きます。配送状況の回答なら大きな問題になりませんが、返品の可否や送料の負担について異なる回答が届くと、相手はどちらが正しいのか確かめる連絡をしてきます。窓口の手間が増えるだけでなく、店としての信用も下がります。

もう一つは、二人とも「もう片方が返しているだろう」と考えて、誰も返さない場合です。こちらのほうが厄介で、発覚するのは相手からの催促が来たときです。催促が来る頃には数日が経っていて、返品の相談であれば受付期間が進んでいます。相手の心証も、最初の問い合わせのときより確実に悪くなっています。

この二つは、別々の原因で起きているように見えて、同じ原因から出ています。案件に持ち主が定まっていないことです。持ち主が定まっていれば、他の人は手を出さず、持ち主は自分の担当分として点検します。

共有の受信箱は「誰も持っていない」状態を作る

多くのネットショップは、店舗用のメールアドレスを一つ作って、そこに問い合わせを集めています。運用としては自然ですが、この形は担当という考え方と相性が悪い作りです。

受信箱には、届いた時刻と、開かれたかどうかの情報しか残りません。誰が対応するつもりでいるのかは、どこにも書かれていません。書けるとしたら、フォルダに移すか、ラベルを付けるか、下書きを作りかけて置いておくかですが、いずれも他の人からは見えにくい形です。

さらに、送信済みの記録が各自の環境に散ります。一人が自分の個人アドレスから返信していると、店舗用の受信箱には返信の記録が残りません。あとから「この相談にはどう答えたのか」を調べようとしても、返した本人に聞くしかなくなります。休んでいる日なら、その日は調べられません。

既読は担当の印にならない

受信箱の運用でよく取られるのが、対応したメールを既読にして、未対応を未読のままにしておくやり方です。ひとりなら回りますが、二人以上では成り立ちません。

理由は単純で、既読は「読んだ」という意味しか持たないからです。中身を確かめるために開いた人も既読を付けますし、対応しようとして途中でやめた人も既読になります。逆に、対応するつもりで未読に戻す運用にすると、今度は本当に未対応のものと区別が付かなくなります。

読んだかどうかと、誰が持っているかと、返したかどうかは、それぞれ別の情報です。一つの印で三つを表そうとすると、必ずどこかで意味が衝突します。三つを別々に持てる形にすることが、担当を決める前提になります。

振り分けの基準を三つの中から選ぶ

担当を決めると言っても、届くたびに誰かが手で割り振っていては、その作業自体が窓口の仕事になります。基準を先に決めて、機械的に振り分けられる形にします。

ネットショップの窓口で実際に使われている軸は、大きく三つです。用件の種類で分ける、注文の売り場で分ける、時間帯とシフトで分ける。どれか一つを主軸にして、残りを補助に使うのが現実的です。三つを同時に主軸にすると、条件が交差して誰の担当か決まらない案件が出ます。

用件の種類で分ける

問い合わせの中身によって分ける軸です。配送状況の確認は出荷の担当が持ち、返品と交換の相談は窓口の責任者が持ち、購入前の質問は商品の担当が持つ、といった分け方になります。

この軸の利点は、調べる先に近い人が持つことです。配送状況を確かめるには出荷の記録と追跡情報を見る必要があり、それを日常的に触っている人が持てば、調べる時間が短くなります。返品の判定は基準に当てはめる判断が入るので、基準を決めた人が持つのが早くなります。

難点は、問い合わせの中身が一つに定まらない場合があることです。「まだ届かないので、届いたら返品したい」といった連絡は、二つの型にまたがります。この場合は、後の工程を持つ人が持つと決めておきます。返品まで進む可能性があるなら、最初から返品の担当が持ちます。途中で持ち主が変わる運用にすると、交代の瞬間に落ちます。

注文の売り場で分ける

自社サイトのほかにモールにも出店している店では、この軸が効きます。売り場ごとに規約も返品の条件も返金の道筋も違い、管理画面も別だからです。

売り場で分けると、担当者が覚えることが減ります。モールの管理画面の操作、そのモール特有の返品ルール、メッセージ機能の使い方といった知識は、売り場ごとに違います。全員が全部を覚える運用にすると、習熟に時間がかかり、間違った案内をする機会も増えます。

難点は、件数の偏りです。売り場ごとの注文数が大きく違う店では、担当の負荷も同じだけ偏ります。偏ったまま固定すると、片方の担当が常に手一杯で、もう片方が空いているという状態になります。売り場で分けるなら、件数を月に一度は数えて、割り当てを見直します。

時間帯とシフトで分ける

出勤している人が、その時間に届いたものを持つという軸です。パートやアルバイトを含めて複数人で回している店に向いています。

この軸の利点は、割り振りの判断がまったく要らないことです。自分が出ている時間に届いたものは自分のもの、と決めるだけで済みます。誰が持っているかも、届いた時刻を見れば分かります。

難点は、待ち状態の案件が交代をまたぐことです。返品の案内を出した案件は、返送品が届くまで数日から十日ほど待ちます。その間に何度もシフトが回るので、届いた時刻を基準にすると、もう出勤していない人の担当のままになります。この軸を使うなら、待ち状態に入った案件だけは別の持ち主に移す決めごとを併せて作ります。

振り分けは自動と手動を混ぜる

三つの軸のどれを選んでも、全部を自動で振り分けきることはできません。用件の種類で分けるなら、送信した人が用件を選び間違えることがあります。売り場で分けるなら、どこで買ったかを書かずに送ってくる人がいます。

現実的な形は、自動で振り分けられるものは自動で振り分け、振り分けきれなかったものを一か所に集めることです。集めた場所を毎朝一度だけ見て、そこにあるものを手で割り振ります。この受け皿があるかどうかで、運用が続くかどうかが決まります。

受け皿を作らないと、振り分けの条件に当てはまらなかった案件は、どこにも表示されないまま溜まります。誰の担当でもないので、誰の点検にも引っかかりません。これが、いちばん見つけにくい取りこぼしの形です。

担当が空欄であることが見える必要がある

受け皿が機能するためには、担当が決まっていない案件を一覧で抜き出せる必要があります。抜き出せない形だと、受け皿の存在自体を忘れます。

一覧の画面で担当の列を空欄で絞り込めれば、それだけで受け皿になります。表計算ソフトでも同じことはできますが、行が増えるほど絞り込みの操作が重くなり、そのうち誰も開かなくなります。件数が少ないうちに習慣にしておくと、増えてからも続きます。

朝の点検でここを見る担当も決めておきます。「誰かが見るだろう」にすると、受け皿そのものが取りこぼしの置き場になります。曜日ごとに見る人を決めるだけで足ります。

担当を持つとはどういうことか

担当を決めると言ったとき、その担当が何をする人なのかを言葉にしておかないと、運用がずれます。ネットショップの窓口では、担当は次の四つを負う人だと決めるのが分かりやすくなります。

一つ目は、その案件に返信する人です。他の人は返信を書きません。書くとしても、担当の下書きとして渡します。

二つ目は、調べものを進める人です。配送業者への照会も、倉庫への在庫確認も、担当が出します。複数の人が同じ照会を出すと、相手の手間を増やしますし、回答が二つ返ってきて食い違うこともあります。

三つ目は、待ち状態を見張る人です。返送品が届くのを待っている案件、返金の処理が終わるのを待っている案件が、期限を過ぎていないかを確かめます。

四つ目は、完了として閉じる人です。閉じたことで、その案件は一覧から消えます。閉じる判断を担当が持つことで、まだ終わっていないのに閉じられる事故を減らせます。

担当は一人にする

案件の担当を二人にすると、担当を決めていないのと同じ状態に戻ります。二人いれば、どちらかがやるだろうという判断が生まれるからです。

現実には、返品の判定は責任者に確認したい、在庫の引き当ては倉庫に頼みたい、といった場面が出ます。この場合も、担当は一人のままにして、他の人には「確認を依頼された人」という位置づけで関わってもらいます。依頼を出したことと、回答が返ってきたことを記録に残せば、二人で持つ必要はありません。

担当を交代することはあります。休みに入る、退職する、別の型の案件だと分かった、といった場面です。交代するときは、交代したことを記録に残します。残さないと、あとから経緯を追うときに、なぜ持ち主が変わったのかが分からなくなります。

返金の判定だけは権限を分ける

担当を決めることと、判断の権限を渡すことは別の話です。ネットショップでは、金銭が動く判断だけを切り分けて、権限を持つ人を限定するのが一般的です。

権限を分けるべき判断は、おおむね三つです。返品を受けるかどうか、送料をどちらが負担するか、返金の金額をいくらにするか。この三つは、店の利益に直接効きますし、判断が人によって揺れると、あとから説明が付かなくなります。

分け方は、金額で線を引くのが実務的です。一定の金額までは担当の判断で処理してよく、それを超えるものは責任者に上げる、という形です。線を引くことで、大半の案件は担当だけで完結し、責任者の手元には判断が必要なものだけが来ます。線を引かないと、責任者に全部が集まって、そこが詰まります。

上げた案件がどこにあるかも、記録に残します。責任者に口頭で相談して、そのまま返事を待っている案件は、記録の上では担当のものです。実際には責任者が持っています。この食い違いが、担当を決めた意味を薄めます。「判断待ち」という状態を一つ作っておくと、この食い違いが消えます。

名乗り方と署名を先にそろえる

担当を分けると、相手から見た店の姿がばらつきます。返信のたびに違う名前が出てきて、書き方も文末の挨拶も違うと、同じ店から返ってきているのか判断しづらくなります。

そろえるのは三つです。一つ目は名乗り方です。個人名を出すか、店の名前だけにするかを決めます。個人名を出すと相手は同じ人に返そうとするので、担当が固定できる型では有効です。担当が交代しうる型では、店の名前と窓口の名称までにとどめたほうが、引き継いだときに違和感が出ません。

二つ目は署名です。店名、連絡先、営業日、返信できる時間帯を並べます。営業日と時間帯が書いてあると、返信が翌営業日になる理由が相手に伝わり、催促が減ります。担当ごとに署名が違うと、書いてある営業日まで違って見えることがあります。

三つ目は件名の付け方です。返信の件名に注文番号を入れておくと、相手が過去のやり取りを探しやすくなり、こちらも検索で引けます。担当ごとに件名の形が違うと、この利点が消えます。

交代したときに前の担当の名前を出すか

担当が交代したあとの返信で、前の担当の名前に触れるかどうかも決めておきます。触れないほうが自然な場面と、触れたほうが親切な場面があります。

同じ案件の続きとして返すなら、触れます。「前回ご案内した内容につきまして、担当を引き継ぎご連絡します」と一文あるだけで、相手は経緯が引き継がれていることを理解します。触れずに別の名前で返すと、話が最初からやり直しになるのではないかと不安にさせます。

一方、案件が別で、たまたま前回と担当が違うだけなら、触れる必要はありません。触れると、かえって内部の体制の話になり、相手には関係のない情報が増えます。

記録を扱う人の範囲を決める

担当を分けるということは、問い合わせの中身を見られる人を増やすということでもあります。問い合わせには、氏名、連絡先、届け先、購入した商品といった情報が含まれます。

個人情報取扱事業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失又は毀損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない。 出典: 個人情報保護委員会

窓口を手伝う人が増えるときは、誰がどこまで見られるかを決めます。全員が全案件を見られる形でも運用はできますが、その場合は誰が見たのかが分かる形になっているかを確かめます。人ごとに入口を分けず、共有のアカウントを使い回していると、この確認ができません。具体的にどこまでの措置が求められるかは、所管の窓口や専門家に確かめてください。

セールと年末で件数が跳ねるとき

ネットショップの問い合わせは、平常時の件数で運用を組むと、繁忙期に破綻します。大型のセール、年末年始、モールのイベントに合わせて注文が増えると、その数日後から問い合わせが増えます。

増え方には遅れがあります。注文が増えた当日に増えるのは購入前の質問だけで、配送状況の確認は出荷から数日後、返品の相談は到着から一週間ほど後に山が来ます。この遅れを見込まずに、注文の山が過ぎた時点で応援を引き上げると、いちばん重い返品の相談を通常の人数で受けることになります。

繁忙期に決めておくのは三つです。応援に入る人が誰か、その人がどの型の案件を持つか、判断を上げる先が誰か。この三つが決まっていないと、応援に入った人は届いたものを片端から開いて、判断に迷ったところで手が止まります。

応援に入る人には定型の型だけを渡す

繁忙期の応援に、返品の判定まで任せるのは無理があります。基準を覚える時間がありませんし、間違った判断をすると、あとから覆すことになって相手の心証をさらに損ねます。

応援に渡すのは、調べれば答えが出る型だけにします。配送状況の確認、注文内容の確認、営業日や送料の質問。これらは基準ではなく事実を答えるだけなので、管理画面の見方さえ教えれば処理できます。

返品の相談は、応援の人が一次返信だけを出して、判定は常勤の担当が持ちます。一次返信には「ご返品の可否を確認しています。商品はまだ送り返さずにお待ちください」と書きます。この一文があるだけで、判定が翌日になっても事故になりません。

引き継ぎで落ちるのは待ち状態の案件

担当者が休むとき、退職するときの引き継ぎで落ちるのは、目の前に届いているものではありません。返信を待っている案件でもありません。落ちるのは、こちらが何かを待っている案件です。

待っている案件は、担当者の目の前にありません。返送品が届くのを待っている、決済会社の処理を待っている、配送業者の回答を待っている。どれも、こちらが動く番ではないので、引き継ぎのときに思い出されません。

対策は、引き継ぎを口頭でやらないことです。担当の列で絞り込んで、その人が持っている案件を全部並べ、状態ごとに読み上げます。返信待ちが何件、返送待ちが何件、判断待ちが何件、と数えてから渡します。この形にすると、待ち状態の案件も必ず数に入ります。

休みの日に届くものをどうするか

休む人の担当分をどうするかも、事前に決めます。よくあるのは、休みの間だけ別の人に付け替える形です。付け替えるなら、記録の上でも付け替えます。口頭で「見ておいて」と頼むだけだと、記録上は休んでいる人の担当のままで、点検に引っかかりません。

もう一つの形は、休みの間に届いたものは受け皿に入れて、出勤している人が朝の点検で割り振る形です。件数が少ない店ならこちらのほうが単純です。どちらでもよいので、決めておくことが重要になります。決めていないと、休み明けに数日分の未対応が積み上がります。

外部の人に窓口を手伝ってもらうとき

窓口の一部を外部に任せる店もあります。夜間と休日だけ受けてもらう、購入前の質問だけを受けてもらう、といった形です。

外部に任せるときに決めるのは、範囲と、上げる先と、記録の置き場所です。範囲は、判断が要らない型に限るのが安全です。上げる先は、常勤の誰かを名前で決めます。「店舗の担当まで」といった曖昧な指定にすると、上げた案件が宙に浮きます。

記録の置き場所は、外部の人が使う道具と、店が使う道具を分けないことです。分けると、朝の点検で二つの画面を見ることになり、そのうち片方だけを見る日が出ます。同じ一覧に、外部の人が入力した行も並ぶ形にすると、点検が一度で済みます。

外部の人に権限を渡すときは、渡した範囲を記録します。誰にいつからどこまでの権限を渡したかが分かる状態にしておくと、契約が終わったときに戻す作業が確実になります。共有のアカウントを渡す形だと、この作業ができません。

担当を決めても速くならない工程がある

担当を決めると、二重返信と取りこぼしは減ります。ただし、返信までの時間そのものが短くなるとは限りません。短くならない工程が残るからです。

残るのは、店の外に確認を投げている工程です。配送業者への照会、仕入先への在庫の確認、決済代行会社への問い合わせ。これらは相手の営業時間に縛られるので、担当を決めても回答は早くなりません。

この工程が全体の待ち時間の大半を占めているなら、手を打つ場所は担当の仕組みではありません。照会を出すまでの時間を短くすること、照会の内容を一度で足りる形にすること、回答が来たことに早く気づくことの三つになります。とくに二つ目は効きます。必要な情報を書き漏らして照会を出すと、相手から聞き返されてもう一往復が発生します。

担当の仕組みが効くのは、店の中で完結する工程です。届いたものを拾い上げる、内容を読んで判断する、返信を書く、待ちを見張る。この四つは、持ち主が決まっているだけで速くなります。どちらの工程で時間を失っているかを先に測ると、打つ手を間違えません。

担当の印を付ける手間を最小にする

担当を決める仕組みは、印を付ける手間が大きいと続きません。窓口の担当者は返信を書くのが仕事で、記録を整えるのは仕事のついでです。ついでの作業が三十秒を超えると、忙しい日から順に飛ばされます。

手間を減らす方法は三つあります。一つ目は、自分が開いた案件を自分の担当にする操作を、一回の動作で終わらせることです。名前を選ぶ、日付を入れる、状態を選ぶ、と三回操作させると、それだけで飛ばされます。

二つ目は、返信を送ったら状態が自動で切り替わる形にすることです。返信の操作と状態の更新を別々にすると、返信だけして状態を更新しない案件が必ず出ます。出た案件は、返したのに未対応として残り、翌朝の点検で二度目の返信を誘発します。

三つ目は、既定値を決めておくことです。担当が空欄なら受け皿に入り、返信を送れば返信済みになり、返品と選ばれていれば案内待ちになる。既定値で八割が埋まる形にしておけば、手で触るのは例外だけになります。

印が付いていない案件が増えたら仕組みを疑う

点検のたびに印の付いていない案件が出るなら、担当者の意識ではなく仕組みを疑います。人を集めて注意を促すやり方は、その週だけ効いて元に戻ります。

見るのは、どの操作で止まっているかです。担当だけ空欄なのか、状態だけ古いのか、両方なのか。担当だけが空欄なら、割り振りの動作が重いか、受け皿を見る人が決まっていません。状態だけが古いなら、返信と状態の更新が分かれています。両方なら、そもそも記録を開かずに受信箱だけで返している人がいます。

止まっている場所が分かれば、直すのはその一か所です。全部を作り直す必要はありません。仕組みを直したあと、二週間だけ印の欠けた件数を数えると、効いたかどうかがはっきりします。

二重返信が起きたあとの立て直し

仕組みを整える前に、すでに二重返信が起きてしまうことがあります。起きたあとの扱いを決めておくと、被害が一往復で止まります。

相手に届いてしまった二通の内容が食い違っている場合、放置してはいけません。相手はどちらが正しいかを確かめる連絡をしてくるか、自分に有利なほうを前提に動きます。返品を受けると書いた一通と、受けられないと書いた一通が届いていたら、相手は返送を始めます。

立て直しの連絡は、担当を一人に決めてから出します。決めずに二人がそれぞれ訂正を送ると、三通目と四通目が届いて事態が悪化します。連絡の中身は、二通届いたことと、どちらが店としての回答かと、行き違いになった理由の三つです。理由は内部の事情を細かく書く必要はなく、社内で確認の行き違いがあったと書けば足ります。

そのうえで、店として不利になる側の回答を撤回するかどうかは、金額で判断します。差が小さいなら、相手に届いた有利なほうの内容で通すほうが、説明のやり取りより安く済みます。差が大きいなら、正しい回答に戻したうえで、行き違いのお詫びを添えます。この判断も、返金の判定と同じ人が持ちます。

起きた件数を記録しておく

二重返信は、起きたこと自体を記録に残します。残さないと、月に何件起きているのかが分からず、仕組みを直す優先順位も決まりません。

記録するのは、いつ、どの案件で、なぜ二人が同時に開いたのかの三つです。理由を書いていくと、原因は数種類に集約されます。受け皿の点検が二人で重なった、担当が空欄のまま急ぎで処理した、モールのメッセージと自社サイトの両方に同じ相談が来ていた。最後の型は担当の仕組みでは防げないので、同じ相手からの連絡を突き合わせる別の手当てが要ります。

担当の決め方を数字で点検する

振り分けの軸を決めたあと、それが効いているかどうかを月に一度確かめます。感覚で判断すると、偏りに気づくのが遅れます。

見るのは四つです。一つ目は、担当ごとの件数です。ここが二倍以上ずれているなら、軸そのものか割り当てを見直します。二つ目は、担当が空欄のまま一日以上放置された件数です。受け皿の点検が機能しているかどうかが出ます。三つ目は、担当を途中で交代した件数です。交代が多いなら、最初の振り分けの条件が実態と合っていません。四つ目は、二重返信が起きた件数です。ここが増えているなら、担当の印が他の人から見えていません。

この四つを数えるには、担当と状態が案件ごとに記録に残っている必要があります。受信箱とフォルダの運用では数えられません。数えられない状態で振り分けを改善しようとすると、勘で軸を入れ替えることになり、そのたびに現場が混乱します。

問い合わせの受付の場面としてまとめられている詰まり方の中心も、集めるところではなく、集めたあとに誰が持つかが決まらないことです。ネットショップの窓口はそこに加えて、返品という長い工程を持ちます。工程が長いほど、途中で持ち主が消える機会が増えます。

道具の選び方も、この点から見ると判断しやすくなります。回答が表に貯まる形の道具は、集める部分は問題なく動きます。担当の列を足すこともできます。問題は、その列を誰がいつ書き換えたのかが残らないことと、行が増えたときに絞り込みが重くなることです。組織で使う道具として選ぶ場合の違いは、Microsoft Formsとの比較で、権限と共有の扱いを軸に整理されています。

実際にどう見えるのかは、動くところを見るで確かめるのが早くなります。担当の列と状態の列が同じ画面にあり、担当が空欄のものだけを抜き出せる形かどうかを見てください。送信されたあとの道具がそろっているかどうかは、人数が増えたときにいちばん差が出ます。

費用の判断も人数で決まります。ひとりで回している間は担当の仕組みが要らないので、費用をかける理由もありません。二人目が入った月から、二重返信と取りこぼしの費用が発生し始めます。料金を比べるときは、扱える担当者の人数と、案件ごとに担当と状態を持てるかどうかを先に確かめてください。返品の相談を扱う窓口では、修理・サポートの受付で語られている段階の管理と同じ形が要るので、そこも併せて見ると判断が早くなります。

最後に、担当の決め方で判断が要る点を並べておきます。主軸を用件の種類にするか売り場にするかシフトにするか、振り分けきれないものの受け皿を誰が見るか、担当を一人に限るか、返金の判定を金額のどこで区切るか、繁忙期の応援にどの型を渡すか、引き継ぎで待ち状態をどう数えるか、外部に任せる範囲をどこまでにするか。この七つを決めれば、二人以上の窓口は回り始めます。全部を一度に決める必要はありません。まず主軸と受け皿の二つを決めて、一か月動かしてから残りを詰めるのが、現場が付いてくる進め方です。

Q1. 店舗用のメールアドレスを共有して受けるやり方では駄目ですか?

ひとりで回している間は問題ありません。二人以上になると、受信箱には届いた時刻と既読かどうかしか残らないため、誰が持っているかを表せなくなります。既読は「読んだ」という意味しか持たず、確認のために開いた人も既読を付けるので担当の印になりません。さらに各自が個人のアドレスから返信すると、返信の記録が店舗の受信箱に残らず、あとから何と答えたのかを追えなくなります。

Q2. 振り分けの軸は何を選べばよいですか?

用件の種類、注文の売り場、時間帯とシフトの三つのうち一つを主軸にします。調べる先に近い人が持つなら用件の種類、モールに出店していて管理画面が別なら売り場、パートを含む複数人で回しているならシフトが合います。三つを同時に主軸にすると条件が交差して担当が決まらない案件が出ます。シフトを軸にする場合は、待ち状態の案件だけ別の持ち主に移す決めごとを併せて作ってください。

Q3. 自動で振り分けきれない問い合わせはどう扱いますか?

担当が決まらなかったものを一か所に集める受け皿を作り、朝の点検で手で割り振ります。用件を選び間違える人も、どこで買ったかを書かない人もいるため、全部を自動で振り分けることはできません。受け皿が無いと、条件に当てはまらなかった案件はどこにも表示されないまま溜まり、誰の点検にも引っかかりません。担当が空欄の案件だけを抜き出せる形にしておくことが条件になります。

Q4. 返品を受けるかどうかの判断も担当者に任せてよいですか?

金額で線を引いて、一定額までは担当の判断で処理し、超えるものは責任者に上げる形が実務的です。返品の可否、送料の負担、返金額の三つは利益に直接効くうえ、人によって判断が揺れると後から説明が付かなくなります。上げた案件は「判断待ち」という状態を作って記録に残してください。口頭で相談したまま返事を待つと、記録上は担当のものなのに実際は責任者が持つという食い違いが生まれます。

Q5. 引き継ぎで落ちやすいのはどんな案件ですか?

こちらが何かを待っている案件です。返送品の到着待ち、決済会社の処理待ち、配送業者の回答待ちは、担当者の目の前にないため引き継ぎのときに思い出されません。対策は口頭で引き継がないことです。担当の列で絞り込んでその人の案件を全部並べ、返信待ちが何件、返送待ちが何件と状態ごとに数えてから渡してください。休む日の担当を付け替えるなら、記録の上でも付け替えます。

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