response-ops

ネットショップの返信のひな形|そのまま送れる文面と、手を入れる文面を分ける

2026年9月10日 ・ Halict編集部

ネットショップの問い合わせに返信を書いていると、同じ文章を何度も打っていることに気づきます。配送状況の確認、領収書の宛名変更、返品の条件の案内。ここをひな形にすれば速くなる、というところまでは誰でもたどり着きます。

つまずくのはその先です。ひな形を作ったのに使われない、あるいは使った結果として相手を怒らせる。原因はたいてい同じで、そのまま送ってよい文面と、必ず手を入れるべき文面を分けていないことにあります。返品の相談に定型文をそのまま返すと、読んだ相手は「見ていない」と受け取ります。

この記事では、注文後の問い合わせと返品の相談を受けている店を前提に、返信のひな形をどう分けるか、それぞれをどう書くかを並べます。返品に応じるかどうかという判断そのものには踏み込みません。判断が済んだあと、どう伝えるかの話です。

そのまま送れる文面と、手を入れる文面を分ける

分ける基準は、相手が困っているかどうか

分け方の基準はひとつです。相手が困っている状態で送ってきたかどうか。

配送状況を知りたい、領収書がほしい、次の入荷はいつか。これらは、答えが決まっていて、相手も感情を乗せていません。ここに個別の文章を書く価値はほとんどありません。定型のままで、むしろ速いほうが喜ばれます。

壊れていた、違うものが届いた、返品したい、返金がまだ来ない。これらは、相手がすでに損をしているか、損をしそうな状態です。ここに定型文をそのまま返すと、内容が合っていても「機械に処理された」と受け取られます。一行でも、その人の状況に触れる文が入っているかどうかで、その後の展開が変わります。

分けないと、二つの失敗が起きる

分けずに全部を定型にすると、返品の相談で必ず摩擦が起きます。相手は写真まで撮って状況を説明したのに、返ってきたのが誰にでも送れる文面だった。この落差が、レビュー欄や決済会社への相談につながります。

逆に、分けずに全部を手書きにすると、返信が遅れます。配送状況の確認は一日に何件も来るので、そこに一件ずつ文章を考えていると、本当に時間を割くべき返品の相談に手が回りません。結果として、いちばん急ぐべき相談の返信が最後になります。

分けることの本質は、時間の配分です。手を入れるべき相談に時間を使うために、そうでないものを定型で終える。速さを求めているのではなく、時間の使い先を変えているだけです。

いまのやり方のままで足りる場合

先に、作らなくてよい場合を置いておきます。ひな形を整えるのは手間なので、必要が無ければ、その手間だけが残ります。

一日の問い合わせが数件で、受付が経営者ひとりなら、頭の中に文面ができています。書き出す作業のほうが時間を食います。この段階で作るなら、いちばん多い一種類だけにしておきます。

商品が一種類しかなく、返品の相談がほとんど来ない店も、急ぐ必要はありません。ひな形が効くのは、同じ種類の相談が繰り返し来るときです。繰り返しが無ければ、効き目も出ません。

反対に、人が二人以上で返している場合は、件数が少なくても作る価値があります。人によって言うことが違う状態は、件数と関係なく起きるからです。同じ問い合わせに、片方は返品を受けると答え、もう片方は受けられないと答える。この食い違いは、ひな形が無い店で必ず起きます。

ひな形を作る前に決める三つのこと

誰が返すのか

文面より先に、誰が返すのかを決めます。注文後の問い合わせと返品の相談は、種類によって答えられる人が変わります。配送状況は誰でも答えられますが、返金の可否は決める権限のある人しか答えられません。

決め方は単純で、種類ごとに一次返信を書く人を決めておきます。そのうえで、決める権限が要るものは、誰に回すのかを書いておきます。回す先が決まっていないと、一次返信の中で「確認いたします」とだけ書いて止まり、そのまま数日が過ぎます。

いつまでに返すのか

次に、返す期限を決めます。返品の相談は、遅れるほど不満が積み上がります。相手はすでに損をした状態で待っているからです。

現実的な決め方は、種類ごとに変えることです。配送状況や書類の依頼は当日中、返品や不良の相談は1営業日以内に一次返信、判断が要るものは一次返信で「いつまでに回答するか」を伝える。この三段でたいてい回ります。

大事なのは、判断が出るまで黙らないことです。判断に三日かかるなら、その三日のあいだに一度も連絡が無い状態が、いちばん不満を生みます。

その返信で、何を決めて終えるか

三つ目が、いちばん抜けます。一通の返信で何を決めるのかを、書く前に決めます。

破損の相談への一次返信なら、決めるのは「返品を受けるかどうか」ではなく「判断に必要な材料がそろったかどうか」です。材料が足りていれば次の案内へ、足りていなければ何が要るかを伝える。ここを混ぜて、判断も材料の依頼も一通に詰め込むと、読む側が何をすればよいか分からなくなります。

一通に一つ。これを守るだけで、往復の回数はむしろ減ります。

件名と差出人の名前で、開かれるかどうかが決まる

本文をどれだけ整えても、開かれなければ意味がありません。ネットショップからのメールは、広告のメールに埋もれます。

件名には、店名と、何についての返信かを入れます。「〇〇ショップ ご注文番号△△の件について」のような形です。注文番号が入っていると、相手は自分の件だとすぐ分かります。逆に「お問い合わせありがとうございます」だけの件名は、自動配信と区別が付きません。

差出人の名前も同じです。返信を受け取れないアドレスから返すと、相手はそのまま返信できません。注文後の問い合わせは往復が続くので、返信を受けられるアドレスから出します。担当者の名前を出すかどうかは店の考え方によりますが、返品の相談では名前があるほうが落ち着きます。

返信が届かないという相談も一定数あります。迷惑メールに振り分けられている場合が多いので、一次返信の末尾に「届かない場合は迷惑メールのフォルダをご確認ください」と一行入れておくと、問い合わせが減ります。

自動返信を、どこまで使うか

フォームで受けている店なら、送信直後に自動返信が出せます。これは使ったほうがいい。届いたかどうかが分からない時間は、相手にとっていちばん不安な時間だからです。

自動返信に書くのは三つです。受け付けたこと、いつまでに返すこと、急ぐ場合の連絡先。入力内容の控えを付けるかどうかは、判断が分かれます。控えがあると相手は確認できますが、その控えのメールに氏名や住所が載ります。載せる範囲は絞ったほうが安全です。

法律は、事業者に次のように求めています。

個人情報取扱事業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失又は毀損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない。 出典: 個人情報保護委員会

何が必要かつ適切かは、事業の規模や中身で変わります。判断に迷う場面では所管の窓口や専門家に確かめてください。ここで言えるのは、自動返信の本文に入力内容を全部載せる作りが、あとから見直しにくい形だということです。

やってはいけないのは、自動返信を返信の代わりにすることです。自動返信が届いたあと、人からの返信が来ないまま数日が過ぎると、相手は「自動で処理されて終わった」と受け取ります。

そのまま送れる文面

ここからは、種類ごとの型を並べます。まず、手を入れずに送れるものから。

配送状況の確認

発送済みかどうかと、追跡の番号を伝えるだけの返信です。

〇〇様 ご注文番号△△について、□月□日に発送いたしました。 追跡番号は◇◇◇です。配送状況は運送会社のサイトでご確認いただけます。 お届けまで今しばらくお待ちください。

余計な謝罪を入れないのが要点です。予定どおり発送しているなら、謝る理由がありません。謝罪から入ると、相手は「何か問題があったのか」と受け取ります。

領収書と納品書の依頼

宛名と但し書きを確認して発行する流れです。

〇〇様 領収書の発行を承ります。 宛名と但し書きをご指定ください。ご指定が無い場合は、ご注文時のお名前と「品代として」で発行いたします。 ご連絡をいただいてから□営業日以内にお送りします。

聞き返しを一往復にまとめるのが要点です。宛名だけ聞いて、次に但し書きを聞くと、往復が二回になります。

在庫と再入荷の問い合わせ

答えが決まっていない場合こそ、定型で正直に返します。

〇〇様 お問い合わせの商品は、現在お取り寄せの手配中です。 入荷の時期が確定しましたら、あらためてご連絡いたします。 入荷次第のご案内をご希望の場合は、その旨をご返信ください。

「未定です」で終えないのが要点です。次に何が起きるかを一行付けると、待てる時間が延びます。

返品の条件を案内する

条件そのものは、サイトに表示している内容をそのまま案内します。

〇〇様 ご返品の条件についてご案内いたします。 詳しい条件は、当店のページに記載しております。ご確認のうえ、ご希望の場合はご注文番号を添えてご連絡ください。 商品に不具合があった場合は、条件にかかわらず個別に対応いたしますので、状況をお知らせください。

条件の書き方や表示の仕方については、法律で求められる事項があります。表示の中身が適切かどうかは、所管の窓口や専門家に確かめてください。返信で行うのは、表示している内容の案内までです。

手を入れる文面

ここからは、必ず一行以上を書き足すものです。ひな形は骨だけを用意して、状況に触れる部分を毎回書きます。

破損や不良の相談を受けたときの一次返信

〇〇様 このたびは、お届けした商品に□□の不具合があったとのこと、ご不便をおかけして申し訳ございません。 状況を確認いたしますので、お手数ですが次の写真をお送りいただけますでしょうか。 外装の箱全体、伝票の貼られた面、不具合のある箇所の寄り。 写真を確認のうえ、□営業日以内に対応をご連絡いたします。

書き足すのは、二行目の「□□の不具合」です。相手が書いてきた言葉をそのまま使います。「不具合」とだけ書くと、読んでいないことが伝わります。「天板の角が欠けていた」と相手が書いたなら、そう書きます。

写真の依頼を一次返信に入れておくと、往復が一回減ります。何を撮ればよいかを具体的に並べるのが要点です。

返品を受けると決めたときの案内

〇〇様 お写真を確認いたしました。□□の状態を確認できましたので、ご返品を承ります。 返送先は次のとおりです。 送料は当店で負担いたします。着払いでお送りください。 商品の到着を確認したのち、□営業日以内にご返金の手続きをいたします。手続きの完了はあらためてご連絡いたします。

決まったことを先に書くのが要点です。手順の説明から入ると、受けてもらえるのかどうかが分からないまま読み進めることになります。

送料をどちらが持つかは、必ず書きます。書いていないと、返送後にもう一往復発生します。

返品を受けられないと伝える返信

いちばん難しい文面です。断る返信でも、書くべきことは決まっています。

〇〇様 お写真を確認いたしました。 恐れ入りますが、今回のご相談については、□□という理由でご返品を承ることができません。 代わりに、△△をご案内できます。ご希望の場合はお知らせください。 ご期待に沿えず申し訳ございません。

理由を書くこと、代わりの案を出すこと。この二つが入っているかどうかで、断ったあとの展開が変わります。理由の無い断りは、納得できないので次の場所へ持ち込まれます。

代わりの案が本当に無い場合もあります。そのときは無理に作らず、相談できる窓口があることを添えます。

誤配送と欠品を伝える返信

店の側の間違いなので、謝罪から入ります。

〇〇様 ご注文番号△△について、当店の手違いで□□をお届けしておりました。誠に申し訳ございません。 正しい商品を本日発送いたします。到着は□月□日ごろの見込みです。 誤ってお届けした商品は、同梱の送り状で着払いにてご返送ください。ご返送の手間をおかけして申し訳ございません。

謝罪と、いつ直るのかと、相手にお願いすることの三つを、この順で書きます。順番を変えて、お願いから入ると印象が悪くなります。

返金の完了を伝える返信

最後の一通です。ここを送らない店が多い。

〇〇様 ご返品いただいた商品の到着を確認し、□月□日に返金の手続きを行いました。 ご利用の決済方法により、口座への反映まで日数がかかる場合があります。 このたびはご迷惑をおかけいたしました。

手続きをした日付と、反映まで時間がかかることの二つを書きます。これが無いと「返金がまだ来ない」という問い合わせが後日届きます。一通の連絡で、次の問い合わせを一つ減らせます。

止まっている件を、こちらから追いかける文面

返信を出したまま返事が来ない件は、必ず出ます。写真を依頼したのに送られてこない、返送をお願いしたのに届かない、返金先の口座を聞いたのに回答が無い。放っておくと、数か月後に「あの件はどうなったのか」と再燃します。

追いかける文面は、催促に聞こえないように書きます。相手は忘れているだけか、送れずに困っているかのどちらかです。

〇〇様 先日ご連絡いたしました件について、その後いかがでしょうか。 お写真の送信がうまくいかない場合は、こちらのページからもお送りいただけます。 ご返信をお待ちしております。

追いかける回数と間隔も決めておきます。3日後に一度、10日後にもう一度、それでも反応が無ければ一旦閉じる。閉じるときにも一通送ります。

〇〇様 ご連絡がないため、いったん本件のご対応を終了とさせていただきます。 お手続きをご希望の場合は、ご注文番号を添えてあらためてご連絡ください。

閉じたことを伝えずに黙って終えると、あとで話が戻ったときに揉めます。閉じる連絡を一通出しておけば、再開の入り口も同時に示せます。

一次返信で何を聞くかを、先にまとめておく

往復の回数は、一次返信で何を聞いたかでほぼ決まります。聞き漏らすと、二往復目、三往復目が発生します。

相談の種類ごとに、聞くことを並べておきます。破損なら、注文番号、開封したときの状態、外装に傷があったか、写真三枚。誤配送なら、注文番号、届いた商品の名称、伝票に書かれた品名。返金なら、注文番号、決済の方法、返金先の指定が必要かどうか。

並べるときの基準は、次の一手を決めるために必要かどうかです。あると便利な情報を足すと、聞く項目が増えて、相手が答えるのを面倒がります。答えが返ってこなければ、聞かなかったのと同じです。

聞き方も工夫します。文章で全部を聞くと読み飛ばされるので、番号を振って並べます。番号があると、相手も番号ごとに答えてくれます。

返信の本文に、書きすぎない

ひな形を作るとき、親切のつもりで情報を盛り込みたくなります。しかしメールは転送されます。相手が家族に転送する、決済会社に転送する、相談窓口に見せる。

だから、本文に書く情報は必要な範囲にとどめます。特に注意したいのが、他の注文の情報や、店の内部のやり取りです。過去の注文履歴を全部貼り付けた返信を送ると、その全部が外に出ます。

差し込みの設定を間違えると、別の人の情報が入った返信を送ってしまう事故も起きます。差し込む項目を最小にすることは、速さのためだけでなく、事故を減らすためでもあります。送信の前に、宛名と注文番号が合っているかだけは目で見る、という手順を残しておいてください。

セールと繁忙期の前に、用意しておく文面

問い合わせが集中する時期は、あらかじめ分かります。大きなセール、年末年始、長い連休。この時期に増えるのは、届かない、いつ届く、キャンセルしたい、の三つです。

前もって用意しておきたい文面は三種類です。第一に、配送の遅れをまとめて案内する文面。第二に、返信が通常より遅れることを伝える文面。第三に、キャンセルの受付をどこまで認めるかを伝える文面。

配送の遅れは、問い合わせが来てから返すより、先に出すほうが問い合わせを減らせます。注文の控えメールや店のページに、いつ時点の見込みかを添えて出しておきます。見込みが変わったら書き換えます。書きっぱなしにして古い見込みが残っていると、それ自体が問い合わせを増やします。

返信が遅れることを伝える文面は、書き方が難しい。遅れることだけを伝えると不安になるので、いつまでに返すかを必ず入れます。「順次ご返信しております」だけの案内は、待つ側にとっては何も言っていないのと同じです。

強い言葉で届いた相談に、どう返すか

注文後の問い合わせでは、強い言葉が届くことがあります。すでに損をしている人が書くので、当然のことです。

ここで守るのは二つです。第一に、返す速さを落とさないこと。強い言葉を受けると、書きにくくなって後回しになります。後回しにすると、さらに強い言葉が返ってきます。第二に、感情の応酬に入らないこと。事実と、次にすることだけを書きます。

〇〇様 このたびはご迷惑をおかけし、申し訳ございません。 いただいたご指摘のうち、□□については当店の手違いです。□月□日までに△△の対応をいたします。 ◇◇については、事実関係を確認のうえ、□月□日までにあらためてご連絡いたします。

謝る部分と、確認が必要な部分を分けて書くのが要点です。全部をまとめて謝ると、確認前のことまで認めたことになります。逆に一切謝らないと、話が進みません。

一人で抱えないことも決めておきます。強い言葉が届いた件は、担当を決めたうえで、もう一人が内容を見る。この形にしておくと、書き手が消耗しません。

経路によって、文面を変える

同じ内容でも、届いた経路によって書き方を変えます。

モールのメッセージ欄に届いた相談には、モールの規約で書けないことがあります。自社サイトへの誘導や、外部の連絡先の案内が制限されている場合があるので、いま使っているモールの規約で確かめてください。ひな形を経路ごとに分けておかないと、うっかり規約に触れる文面を送ります。

チャットの窓口に届いた相談には、短く返します。メールと同じ長さの文面をチャットに貼ると、読まれません。要点を一行、次にすることを一行。詳しい説明が要るなら、メールに切り替える旨を伝えます。

電話で受けたものは、口頭で答えたあと、同じ内容を文字で送ります。返品の条件や返送先を口頭だけで伝えると、必ず食い違いが出ます。「お電話でお伝えした内容をあらためてお送りします」の一行を付けて、該当のひな形を送ります。

文体と長さの目安

文体は、店の雰囲気に合わせて構いません。守るのは三つです。

第一に、一文を短くします。長い一文は、読み飛ばされたときに要点ごと落ちます。第二に、行を詰め込みません。画面が文字で埋まっていると、読む前に閉じられます。第三に、専門用語を使いません。「初期不良」「瑕疵」「受領」といった言葉は、店の側では普通でも、読む側には冷たく響きます。

長さは、画面をスクロールしないで読める範囲を目安にします。返品を断る返信だけは、少し長くなっても構いません。理由の説明を削ると、納得されないからです。

謝罪の言葉の使い方も決めておきます。店に非があるときは、はっきり謝ります。非があるかどうかがまだ分からないときは、不便をかけていることに対して謝ります。この二つを言葉で分けておくと、確認前に責任を認める形を避けられます。

敬語の細かさは、そろえるほうが優先です。同じ店から届く返信で、片方が非常に丁寧で、片方がくだけていると、それだけで不安を与えます。ひな形をそろえる目的の一つは、この揺れを消すことにあります。

人が変わっても、同じ答えが返る形にする

ひな形のいちばん大きな効き目は、速さではなく、答えの揃い方です。同じ問い合わせに対して、人によって違う答えが返る状態は、店として説明が立ちません。

揃えるために必要なのは、文面だけではありません。判断の基準を短く書いたものを、ひな形と同じ場所に置きます。どこまでを店の負担で対応するのか、どの場合に上に確認するのか。この二つが書かれていれば、新しく入った人でも同じ答えにたどり着けます。

書き方は箇条で十分です。長い規程を作ると読まれません。よくある五つか六つの場面について、こう来たらこう返す、という形で並べます。並べたものは、実際に判断が割れたときに追記します。最初から完全なものを作ろうとせず、割れた場面を足していくほうが、現場で使える形になります。

短期の人が入る時期には、これがそのまま教育の材料になります。口頭で伝えると、伝えた人によって内容が変わります。書いたものを渡して、それを見ながら返してもらう形にすると、確認の手間も減ります。

返信の抜けと重複を止める

ひな形をそろえても、返し忘れと二重返信は別の問題として残ります。文面の準備とは仕組みが違うからです。

返したかどうかが件ごとに残らないと、二人で見ている窓口では必ず重複が起きます。同じ相談に、二人が別々の内容で返す。返品の可否について食い違った回答が届けば、そこから話が大きくなります。

止め方は、件ごとに担当と状態を持たせることです。誰が持っているか、いま何待ちか。この二つが一覧で見えれば、重複も抜けも減ります。ひな形は返信を速くしますが、返信したことを記録するのはひな形の仕事ではありません。

ひな形を運用に乗せる

差し込む項目を最小にする

ひな形に差し込む項目が多いと、使うより手で書いたほうが速くなります。差し込むのは、宛名、注文番号、日付、そして状況を書く一文。これくらいに絞ります。

返信を書く画面から呼び出せるか

いちばん多い失敗が、ひな形を別のファイルに置くことです。表計算のファイルや文書ファイルに文面を並べておくと、返信のたびにそのファイルを開き、探し、コピーすることになります。この三手間があると、使われなくなります。

返信を書く画面から一手で呼び出せる形にしてください。呼び出せない道具を使っているなら、それはひな形の問題ではなく、道具の問題です。

どこに置くかで、使われるかどうかが決まる

置き場所を決めるとき、迷ったら「返信を書く人の目線から何手で届くか」だけを見ます。一手なら使われます。三手かかるなら使われません。この基準だけで、置き場所の議論はほぼ終わります。

複数人で使う場合は、誰かが勝手に書き換えられる状態にしておくと、いつの間にか内容が変わります。書き換えてよい人を決めて、変えたときは一言共有する。この程度の決まりがあれば十分です。

使われないひな形は、直す

作ったひな形が使われていないなら、文面が現場に合っていません。長すぎる、堅すぎる、状況に当てはまらない。使われない理由を聞いて直します。

見直しは、季節の変わり目に一度で足ります。取り扱う商品が変われば、来る相談も変わります。半年前のひな形が、いまの商品に合っていないことはよくあります。

速さと中身、どちらが効くのか

返信の質を上げようとすると、文面の中身に目が行きます。しかし注文後の問い合わせでは、速さのほうが先に効きます。返品の相談は、待たされている時間そのものが不満になるからです。

とはいえ、速いだけで中身が薄い返信は、往復を増やします。結果として、最初の返信が速くても解決までは遅くなります。目指すのは、決まっていることを速く返し、決まっていないことは「いつ決まるか」を速く返す形です。

この形を作るには、文面の準備だけでは足りません。届いたものが一件としてまとまっていて、担当と状態が見えている必要があります。無料で使える定番の道具と、送信されたあとの扱いがどう違うのかは、Googleフォームとの比較に、回答が表に溜まったあとで何が起きるかという観点から整理されています。

すでに自社サイトにフォームを置いている店であれば、Contact Form 7との比較に、送信の通知だけが飛ぶ状態と、送信後の管理まで持つ状態の違いがまとめられています。ひな形を返信の画面から呼び出せるかどうかは、ここで分かれます。

実際にどう動くのかを先に見たい場合は、動くところを見るで、届いたあとの画面を触れます。作る画面よりも、返す画面を長く見てください。送信されたあとの道具がそろっているかどうかは、作る画面からは分かりません。

同じ構造は、ネットショップ以外の受付でも出てきます。届いたものに返して、決まるまで追いかける。どの場面でどう詰まるのかは、問い合わせの受付に、受け取ってから返すまでの流れとして整理されています。修理や不具合の相談を別に受けている店なら、修理・サポートの受付も合わせて見ておくと、返品と修理で文面を分ける線が見えます。

最後に、作る順番を書いておきます。全部のひな形を一度に作ろうとすると、途中で止まります。直近1か月の問い合わせを種類ごとに数えて、多い順に三つだけ作ります。三つで、たいていの店は問い合わせの半分以上を覆えます。残りは、必要になったときに一つずつ足せば足ります。

Q1. 返信のひな形は、どこから作り始めればよいですか?

直近1か月の問い合わせを種類ごとに数えて、多い順に三つだけ作ります。多くの店では、配送状況の確認、書類の依頼、返品の相談で問い合わせの半分以上を覆えます。全部を一度に作ろうとすると途中で止まります。残りは必要になったときに一つずつ足せば足ります。

Q2. 返品の相談にも、定型文をそのまま送ってよいですか?

骨は定型で構いませんが、相手が書いてきた状況に触れる一文は必ず書き足してください。写真まで撮って説明した相手に、誰にでも送れる文面が返ると「見ていない」と受け取られます。相手の言葉をそのまま使って状況を一行書くだけで、印象が変わります。

Q3. 返品を断る返信では、何を書けばよいですか?

理由と、代わりの案の二つです。理由の無い断りは納得されず、別の窓口へ持ち込まれます。代わりの案が本当に無い場合は、無理に作らず、相談できる窓口があることを添えます。断る内容であっても、決まったことを先に書き、説明を後に置く順番を守ってください。

Q4. 自動返信だけで済ませてはいけないのですか?

自動返信は、届いたことを知らせるために有効です。ただし、そのあと人からの返信が来ないまま数日が過ぎると、相手は自動で処理されて終わったと受け取ります。自動返信には、受け付けたこと、いつまでに返すこと、急ぐ場合の連絡先の三つを書き、返信そのものは別に送ってください。

Q5. ひな形を作ったのに使われません。どうすればよいですか?

文面より置き場所を疑ってください。別のファイルに並べていると、開いて探してコピーする三手間が発生し、手で書いたほうが速くなります。返信を書く画面から一手で呼び出せる形にしてください。それでも使われない場合は、長すぎるか堅すぎるので、現場に合わせて短く直します。

ガイド一覧へ

ネットショップの返信のひな形|そのまま送れる文面と、手を入れる文面を分ける|Halict