宴会と貸切の問い合わせに返す文面を、そのつど一から書いている店は少なくありません。書き慣れているようで、実際には毎回同じことを考え直しています。空いているかを確認して、条件を伝えて、いつまでに返事がほしいかを書いて、丁寧な結びを付ける。一件あたり十分かかるとすれば、繁忙期には返信だけで一日が終わります。
返信のひな形は、その時間を減らすために作るものだと思われがちです。しかし宴会の受付で本当に効くのは、時間の短縮ではありません。初回の返信で、相手が次に何をすればよいかを一つに決めてしまうことです。ここが決まっていない返信は、どれだけ丁寧でも往復が増えます。
この記事では、飲食店の宴会と貸切の受付で使う返信のひな形を、型の数え方から順に組み立てます。料理や酒類の提供そのものの判断には触れません。届いた問い合わせを受けて返す側の回し方だけの話です。
初回の返信は、営業ではなく交通整理
幹事は同時に三軒に問い合わせている
宴会の幹事は、一軒だけに問い合わせることをしません。日程と人数と予算が決まった時点で、候補の店に同時に連絡します。社内で決裁を取る必要があるので、比較できる材料を並べたいからです。
つまり初回の返信は、他の店の返信と並べて読まれます。ここで効くのは、文面の丁寧さではありません。読んだ幹事が、そのまま社内に持っていける状態になっているかどうかです。日程が押さえられるのか、いくらになるのか、いつまでに返事をすればよいのか。この三つが一通で分かる返信は、それだけで候補の上位に残ります。
逆に、「お問い合わせありがとうございます。詳細はお電話にてご相談させてください」とだけ書かれた返信は、丁寧であっても比較の土俵に乗りません。幹事は電話をかける時間を確保しなければならず、その手間を掛ける前に、材料が揃っている店で話を進めます。
初回の返信で決めるのは、次の動きを一つだけ
初回の返信に入れる情報は多いほうがよい、というわけではありません。多すぎると、相手が何をすればよいのか分からなくなります。
決めるのは一つです。日程が空いているなら「仮押さえをしておくので、いつまでに確定の連絡をください」。埋まっているなら「別日ならこの日が空いています。どちらでご検討されますか」。条件に届かないなら「この人数でしたらこの形になります。それでよろしければ進めます」。
一つに絞ると、返信が短くなります。短い返信のほうが返事が早く返ってきます。宴会の受付では、往復の回数がそのまま失注率に効きます。
ひな形を作る前に、返信の型を数える
宴会の返信は、五つの型に収まる
ひな形を作ろうとすると、いきなり文面を書き始めてしまいがちです。先にやるのは、返信の型がいくつあるかを数えることです。
宴会と貸切の問い合わせに対する返信は、五つに収まります。第一に、希望の日程が空いていて、そのまま進められる場合。第二に、その日は埋まっていて別の日を提案する場合。第三に、貸切の条件に届かず、条件付きで受ける場合。第四に、繁忙期で日程や時間帯を動かしてもらう必要がある場合。第五に、情報が足りず、そのままでは返事ができない場合。
この五つを先に決めておくと、ひな形の数も五つで済みます。十も二十も作ると、どれを使うか選ぶ時間が発生して、結局は一から書くほうが早くなります。
型ごとに違うのは、末尾の一行だけ
五つの型を並べてみると、冒頭の挨拶と、店の基本的な案内は共通です。違うのは、末尾で相手に何を求めるかの一行だけです。
この構造を意識してひな形を作ると、保守が楽になります。コースの内容が変わったときに直すのは共通部分の一か所で済み、五つ全部を直す必要がありません。ひな形が更新されなくなる最大の原因は、直す箇所が多すぎることです。
五つの型で、それぞれ何を書くか
空いていて、そのまま進められる場合
いちばん多い型です。ここで書くのは、空いていることの確認、押さえられる時間帯、想定される金額の幅、そして仮押さえの期限です。
金額は、確定していなくても幅で出します。「一名あたり5,000円から8,000円の三つのコースからお選びいただけます」という形なら、幹事は社内に持っていけます。金額を書かずに「詳細はご相談ください」とすると、比較の材料になりません。
そして末尾に一行、次の動きを置きます。「この日程で7日間お席をお取りしておきます。ご確定のご連絡をいただけましたら、コースの詳細をお送りします」。期限があると、幹事は社内の締切を逆算できます。期限が無い仮押さえは、店の側でいつまで空けておくかが決まらず、他の予約を断る原因になります。
埋まっていて、別の日を提案する場合
断りの返信は、書くのが遅くなりがちです。しかし宴会の受付では、断りの返信こそ速さが効きます。幹事は日程調整をやり直す必要があり、早く教えてもらうほど助かるからです。
書くのは、埋まっていることと、代わりに空いている日です。代替は2つまで。三つ以上並べると、幹事が社内で選択肢を諮ることになり、そこで止まります。
もう一つ書いておくとよいのが、時間帯をずらす提案です。同じ日でも、早い時間の枠なら受けられる場合があります。「同日でしたら開始を早めていただければお受けできます」の一行があるかどうかで、拾える件数が変わります。
貸切の条件に届かず、条件付きで受ける場合
貸切の相談では、最低の人数や最低の売上金額を設けている店が多くあります。問い合わせてきた人数がそこに届かないとき、そのまま断るか、条件付きで受けるかを決めることになります。
ここでのひな形は、条件を先に、選択肢を後に書きます。「貸切は20名様からお受けしております」と先に置き、そのうえで「15名様でしたら、半個室を三つおつなぎする形でご案内できます」と代案を出します。条件と代案を分けて書くと、幹事が社内で説明しやすくなります。
条件を書かずにいきなり代案を出すと、なぜその形になるのかが伝わらず、値引き交渉の入口になります。
繁忙期で、日程や時間帯を動かしてもらう場合
十二月と三月は、宴会の相談が集中します。この時期は、すべてを希望どおりに受けることができません。動かしてもらう交渉が、返信の主題になります。
書き方の要点は、動かしてほしい理由を店の都合として正直に書くことです。「この時間帯はご予約が重なっており、お料理の提供が遅くなる可能性がございます」と書けば、幹事の側にも動かす理由ができます。理由を書かずに「この時間は難しいです」とだけ返すと、断られたと受け取られます。
繁忙期のひな形には、受付の締切も入れておきます。「十二月のご予約は11月20日で締め切らせていただきます」。締切があると、迷っている幹事が動きます。
情報が足りず、そのままでは返せない場合
問い合わせの内容が「忘年会をやりたいのですが空いていますか」だけ、という場合があります。日程も人数も書かれていません。
この型のひな形でやってはいけないのが、必要な情報を箇条書きで五つも六つも並べて返すことです。返信を読んだ幹事は、その全部を調べてから返事を書くことになり、面倒になって他の店に流れます。
聞くのは3つまでに絞ります。日程の候補、おおよその人数、開始したい時間。この三つが分かれば、次の返信で具体的な案内が出せます。予算もコースの好みも、次の往復で聞けば済みます。
そして、聞くだけで終わらせないことです。「ご参考までに、忘年会のご予約は例年十月から埋まり始めます」といった一行を添えると、返事をする理由ができます。質問だけの返信は、後回しにされます。
ひな形に必ず入れる要素
仮押さえの期限と、人数の確定期限
宴会の受付でいちばん揉めるのが、期限の認識のずれです。店は「仮押さえは一週間」と思っていて、幹事は「返事をするまで空いている」と思っている。この状態で他の予約が入ると、双方に不満が残ります。
ひな形には、二つの期限を必ず書きます。仮押さえの期限と、人数を確定させる期限です。人数の確定期限は、仕入れの都合から逆算します。「ご予約日の3日前までに最終の人数をお知らせください」という形です。
期限を書くのは、店を守るためだけではありません。幹事にとっても、社内の参加者に催促する根拠になります。書かれていないと、幹事は当日まで人数を確定できません。
キャンセル料の起算日
キャンセル料は、初回の返信で伝えるべきかどうかが分かれるところです。伝えると印象が悪くなると考えて、確定の連絡のときまで書かない店もあります。
しかし後から伝えると、必ずもめます。宴会は人数が動く前提の予約なので、キャンセル料の起算日は幹事にとっても重要な情報です。初回の返信で書いておけば、幹事は社内の締切をそれに合わせられます。
なお、キャンセル料の定め方については法律上の制約があります。
次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分 出典: 消費者庁
何が平均的な損害に当たるかは、店の形態や提供の内容によって変わります。断定はできません。金額や起算日を決めるときは、所管の窓口や専門家に確かめてください。受付の側でできるのは、決まっている内容を初回の返信に漏れなく書くことです。
支払いの方法と、請求の宛名
会社の宴会では、支払い方法が社内の手続きに直結します。当日現金なのか、法人カードが使えるのか、後日の請求書払いができるのか。請求書払いができる場合は、宛名と締め日の扱いも書きます。
ここが初回の返信に入っていると、幹事は経理に確認する作業を並行して進められます。書かれていないと、当日近くになって「請求書でお願いできますか」と聞かれ、そこから対応の可否を調べることになります。
当日の連絡先と、次にやってほしいこと
最後に、当日に何かあったときの連絡先を書きます。店の電話番号だけでなく、遅れる場合はどこに連絡すればよいかまで書いておくと、当日の電話対応が減ります。
そして末尾に、次にやってほしいことを一つだけ置きます。ここまで書いてきた要素は全部、この一行を成り立たせるための材料です。
二通目以降の文面も、あわせて作る
確定の連絡に返す一通
初回の返信ばかりに目が行きますが、実務で回数が多いのは二通目です。幹事から「その日程でお願いします」と返ってきたときに送る、確定の連絡。
ここで書くのは、確定した内容の復唱と、次の締切です。日付、開始と終了の時刻、人数、コース、飲み放題の有無、席の形。そして、人数の最終確定はいつまでか、名簿はいつまでに送ってほしいか。
復唱を省くと、当日に食い違いが出ます。人数を口頭で伝えて聞き間違えた、コースの名前が似ていて別のものを取っていた。文字で返して幹事に確認してもらえば、その場で直せます。復唱の一通は、店を守る記録にもなります。幹事の側も、社内に共有する材料としてこの一通を使います。
直前の変更に返す一通
宴会の受付で数が多いのが、直前の人数変更です。三日前に二名減った、当日の朝に一名増えた。この対応は毎回同じなので、文面も同じで足ります。
書くのは、変更後の人数の確認と、料金がどう変わるかです。人数の確定期限を過ぎた変更については、減った分の料金がどう扱われるのかを初回の返信で伝えてあるはずなので、ここではそれを繰り返します。伝えてあれば、この一通は事務的に終わります。
当日の増員は、厨房に確認してから返します。ここだけは定型で即答しません。受けられると返してから断ると、幹事の顔が立ちません。確認に時間がかかる場合は、いつまでに返事をするかだけを先に伝えます。
終わったあとに送る一通
宴会が終わったあとに一通送るかどうかは、店の方針によります。送る場合の文面も、ひな形にしておきます。
書くのは、来店への礼と、忘れ物の有無、そして次の機会の案内です。会社の宴会は年に何度か発生するので、次の相談につながることがあります。ただし、売り込みの色が強い文面にすると逆効果です。事実の連絡を主にして、案内は最後に一行だけ置きます。
宴会に不備があった場合の連絡も、この一通の中で受けます。後日になってから苦情が来るより、こちらから声を掛けたほうが収まります。この一通は、送らないと決めても構いません。決めておくことが要点で、担当によって送ったり送らなかったりする状態が、いちばん座りが悪い。
送ると決めたなら、いつ送るかも決めます。翌日の営業前が扱いやすい。数日空くと、送るきっかけを失って結局送らなくなります。
ひな形を、使われる形で置く
文書ファイルに貼っておくと使われない
ひな形を作ったのに使われない店には、共通の原因があります。ひな形が、返信を書く場所と別のところに置かれていることです。
パソコンの文書ファイルにまとめて保存し、返信のときに開いて、必要な型を探して、コピーして、メールに貼る。この手順は、忙しい時間帯には実行されません。結局その場で書いたほうが早いからです。
使われる形にするには、返信を書く画面のすぐそばに置きます。メールソフトの定型文の機能でも、受付の管理画面に登録できるならそこでも構いません。開く場所を移動しないで済むことが条件です。
差し込む項目を、先に決めておく
ひな形をそのまま送れることは、まずありません。日程、人数、金額、期限。この四つは毎回変わります。
だから、ひな形には差し込む場所を決めておきます。「〇月〇日(〇)〇時から」「〇名様」「一名様あたり〇〇円」「〇月〇日までに」のように、埋める箇所を分かる形にしておく。埋め忘れが起きにくくなり、埋め忘れたまま送る事故も減ります。
差し込む項目が五つを超えたら、ひな形が複雑すぎます。共通部分に寄せられないかを見直します。
個人の端末に散らさない
ひな形が店長のスマートフォンのメモアプリにだけある状態は、避けます。店長が休みの日に返信ができなくなり、他の人が一から書くことになります。書いた文面は当然ばらつくので、同じ店から二種類の案内が出ていくことになります。
置き場所は、返信を担当する人が全員見られるところにします。同時に、更新したときに全員のものが更新される形にします。それぞれが自分の端末にコピーを持っていると、古い金額のひな形が使われ続けます。
断る返信こそ、ひな形にしておく
断りを毎回書き直すから、遅くなる
宴会の受付では、受けられない相談が一定の割合で届きます。持ち込みの可否、外部の業者を入れたいという相談、音響の設備を持ち込んでの余興、深夜までの延長。店として受けられないものは決まっているのに、断りの文面だけは毎回一から書かれます。
理由は単純で、断るのが気まずいからです。気まずいと書き出しに時間がかかり、後回しになり、返信が遅れます。宴会の受付で最も避けたいのは、断りの返信が三日後に届くことです。幹事はその三日間、他の店を探せません。
断りの型を先に作っておくと、この遅れが消えます。文面が用意されていれば、気まずさが手を止める理由になりません。
断るときは、代わりに何ができるかを一つ書く
断りのひな形に必ず入れるのが、代わりの案です。「ケーキのお持ち込みはお受けしておりません」で終わると、そこで話が終わります。「お持ち込みはお受けしておりませんが、当店でご用意できるデザートプレートにメッセージをお入れできます」と続けば、話は続きます。
代案は一つで足ります。二つ三つ並べると、断られたうえに選ばされる形になり、幹事の負担が増えます。
代案が本当に無い相談もあります。設備の都合で物理的にできないことは、素直に書きます。そのときは、いつなら可能になるのかや、近い形で対応している別の枠があるかを添えます。何も無ければ、無いと書いて終えます。あいまいに濁した返信は、幹事に再度の問い合わせをさせることになり、双方の手間が増えます。
無断キャンセルへの備えも、文面で決める
宴会の受付では、連絡なく来店されない件が発生します。この対応をその場で考えると、感情の入った文面になります。
事前に決めておくのは二つです。当日どのタイミングで連絡を入れるか、その後どういう文面を送るか。連絡は開始時刻から30分後、といった形で決めておきます。文面は事実の確認から始め、責める書き方をしません。相手の側に事情があった可能性が残っているうちに、断定的な文面を送ると取り返しがつきません。
キャンセル料を請求する場合の文面も、あわせて用意します。金額の根拠と、いつまでに支払ってもらうかを書きます。この文面を営業中に一から考えるのは、現実的ではありません。
電話で受けた相談に、ひな形をどう当てるか
電話は無くならない
宴会の相談は、いまも電話で来ます。特に直前の人数変更と、当日の遅れの連絡は電話が早い。ひな形を整えても、電話で受けた分はその外に出ます。
問題は、電話で受けた内容が紙のメモに書かれて予約台帳に挟まれることです。書いた本人が休みの日に、挟まれたメモの意味を他の人が読み解くのは難しい。しかも、電話で伝えた条件は記録に残りません。仮押さえの期限を口頭で伝えたつもりでも、幹事の側に残っていなければ、伝えていないのと同じです。
電話のあとに、ひな形を一通送る
対処は単純です。電話で受けた相談にも、初回の返信のひな形を一通送ります。「先ほどお電話でお伺いした内容の確認です」という書き出しで、日程、人数、時間帯、金額の幅、仮押さえの期限を並べます。
この一通があると、三つのことが同時に片づきます。認識のずれがその場で見つかること、幹事が社内に転送できる形になること、そして店の側に記録が残ることです。
電話のあとに送る文面も、五つの型の中の一つを流用できます。書き出しの一行を変えるだけで済むので、六つ目の型を作る必要はありません。
メールアドレスを聞く一言を、通話の中に入れる
電話のあとに一通送るには、宛先が要ります。通話の終わりに聞く一言を、電話の受け答えの型として決めておきます。「確認のご連絡をお送りしたいので、ご連絡先をお伺いできますか」。
聞くタイミングを決めておかないと、忙しい日には抜けます。抜けた件だけが記録に残らず、そこで事故が起きます。
ひな形が壊れる場面
常連の幹事に、定型文をそのまま送ってしまう
いちばん起きやすい事故です。毎年宴会を入れてくれている幹事に、初めての相手向けの案内をそのまま送ってしまう。「貸切は二十名様からお受けしております」と書かれた文面が、去年三十名で貸切をした幹事に届きます。
防ぎ方は、常連向けの型を六つ目として作ることではありません。届いた問い合わせに、過去の履歴が見える状態にしておくことです。この幹事が去年何をしたかが同じ画面に出ていれば、ひな形を選ぶ前に気づけます。
二人で返して、二重返信になる
ひな形を全員が使える場所に置くと、今度は二人が同じ件に返す事故が起きます。ひな形があるぶん返信が速く書けるので、かえって重なりやすくなります。
返したかどうかが件ごとに残らないと、二重返信と返し忘れは必ず起きます。ひな形を整える作業と、担当と状況を件ごとに持たせる作業は、セットで進めたほうが結果が出ます。片方だけを整えると、もう片方の問題が目立つようになるだけです。
追記を重ねて、長くなる
三つ目が、ひな形が年々長くなる問題です。何かトラブルがあるたびに一行足していくと、初回の返信が画面二枚分になります。
長い返信は読まれません。特にスマートフォンで読む幹事は、途中で止めます。定期的に、削れる行が無いかを見ます。判断の基準は、その一行が無いと初回の返信として成立しないかどうかです。「持ち込みはお断りしております」のような注意事項は、確定の連絡のときに送る案内へ移せます。
返信のあとを、どう決めるか
初回の返信を送って終わり、にはなりません。仮押さえの期限まで返事が来ない件が必ず出ます。
追いかけの一通目は、期限の2日前に出します。「ご検討中かと存じますが、お席のお取り置きが〇月〇日までとなっております」という短い一通で足ります。二通目は期限の当日に出し、そこで返事が無ければ枠を開放します。
この追いかけも、ひな形にしておきます。書く内容は毎回同じで、しかも忙しいと忘れる作業だからです。追いかけの文面を用意していない店では、期限が過ぎた仮押さえがそのまま残り、他の予約を断ることになります。
名簿を送ってもらう場面の文面も、あわせて用意します。名簿を求めるときには、何のために使い、いつまで置くのかを書きます。法律は、取得の場面について次のように定めています。
個人情報取扱事業者は、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を、本人に通知し、又は公表しなければならない。 出典: 個人情報保護委員会
具体的に何をどう伝えるべきかは、集める中身によって変わります。判断に迷う場面では所管の窓口や専門家に確かめてください。ひな形の中に一行入れておけば、そのつど考えずに済みます。
ひな形の効き目を、何で測るか
ひな形を整えたあと、効いているかどうかを見る材料が必要です。感覚で判断すると、作った労力を正当化する方向に記憶が寄ります。
見るのは三つです。一つ目は、最初の返信までにかかった時間です。ひな形の直接の効果はここに出ます。二つ目は、確定までの往復の回数です。初回の返信で次の動きが一つに決まっていれば、往復は減ります。三つ目は、仮押さえのまま流れた件の数です。期限と追いかけを入れた効果は、ここに出ます。
三つとも、件ごとの記録が残っていれば数えられます。逆に受信箱で受けている限りは数えられません。
もう一つ、数えなくても分かる目安があります。返信を書くときに、手が止まる時間があるかどうかです。ひな形が型として揃っていれば、どれを使うかは読んだ瞬間に決まります。毎回どう書き出すかで迷っているなら、型が足りていないか、型が多すぎるかのどちらかです。
ひな形は作って終わりではありません。コースの内容が変わり、営業時間が変わり、貸切の条件が変わります。見直す時期を決めておくのが現実的で、繁忙期に入る前の月に一度だけ全部を読み返す形にしている店もあります。読み返す時期を決めていないと、古い金額のまま送り続けることになります。
返信の道具を選ぶときの比較の軸
ひな形を整えたうえで道具を見直すなら、比べる軸は三つです。
第一の軸は、届いた問い合わせの画面で、そのまま返信が書けるかどうかです。フォームからの通知メールを受け取って、メールソフトに移って返信を書く形だと、ひな形の置き場所と返信を書く場所が離れます。すでにサイトにフォームを置いている店であれば、Contact Form 7との比較に、送信の通知だけが飛ぶ状態と、送信後の管理まで持つ状態の違いがまとめられています。
第二の軸は、担当と状況が件ごとに持てるかどうかです。二重返信を止めるには、誰が返したかが件に残る必要があります。どこまでが標準で備わっているかは、できることで確かめられます。送信されたあとの道具がそろっているかどうかは、フォームを作る画面を見ても分かりません。
第三の軸は、過去の履歴が同じ相手として見えるかどうかです。常連の幹事に初回向けの文面を送る事故は、ここで防げます。実際にどう動くのかを先に見たい場合は、動くところを見るで、送信されたあとの画面を触れます。
飲食店以外の受付でも、同じ構造が繰り返し出てきます。初回の返信で相手の次の動きが決まらないと、往復が増えて離脱する。どの場面でどう詰まるのかは、問い合わせの受付に、受け取ってから返すまでの流れとして整理されています。宴会のように日付と定員と締切を扱う受付は、イベントの申し込みの形に近く、期限の設け方という観点でまとめられています。
最後に、順番の話をします。返信のひな形を作ろうとすると、多くの店は文面を書くところから始めます。しかし先に決めるのは、型がいくつあるかと、それぞれの型で相手に何をしてほしいかです。この二つが決まっていれば、文面は自然に短くなります。文面から書き始めると、丁寧だが何をすればよいのか分からない返信ができあがります。宴会の受付で失注を生むのは、素っ気ない返信ではなく、次の動きが書かれていない返信です。
Q1. 宴会の問い合わせに返す初回の返信には、何を書けばよいですか?
日程が押さえられるか、いくらになるか、いつまでに返事をすればよいか。この三つが一通で分かる形にします。幹事は同時に複数の店へ問い合わせているので、初回の返信は他店の返信と並べて読まれます。詳細は電話でと書くだけの返信は、丁寧であっても比較の土俵に乗りません。そのうえで末尾に、次にやってほしいことを一つだけ置きます。
Q2. 返信のテンプレートは、いくつ作ればよいですか?
五つで足ります。日程が空いていて進められる場合、埋まっていて別日を提案する場合、貸切の条件に届かず条件付きで受ける場合、繁忙期で日程や時間帯を動かしてもらう場合、情報が足りず返せない場合。十も二十も作ると選ぶ時間が発生し、結局その場で書くほうが早くなります。型ごとに違うのは末尾の一行だけなので、共通部分は一か所で保守できます。
Q3. キャンセル料は初回の返信で伝えるべきですか?
伝えたほうが後の揉めごとが減ります。宴会は人数が動く前提の予約なので、キャンセル料の起算日は幹事が社内の締切を決める材料になります。確定の連絡のときまで伏せておくと、変更が出た段階で必ずもめます。ただし金額の定め方には法律上の制約があり、何が平均的な損害に当たるかは店の形態によって変わります。金額や起算日を決めるときは、所管の窓口や専門家に確かめてください。
Q4. ひな形を作ったのに使われません。どこを直せばよいですか?
置き場所を疑います。パソコンの文書ファイルを開いてコピーして貼る手順は、忙しい時間帯には実行されません。返信を書く画面のすぐそばに置き、開く場所を移動しないで済む形にします。あわせて、日程や人数など毎回変わる箇所を埋める形にしておくと、埋め忘れたまま送る事故も減ります。差し込む項目が五つを超えたら複雑すぎます。
Q5. 仮押さえの返事が来ないまま日が過ぎてしまいます。どうすればよいですか?
追いかけの文面をひな形にしておきます。期限の2日前に一通目、期限の当日に二通目を出し、返事が無ければ枠を開放します。書く内容は毎回同じで、しかも忙しいと忘れる作業なので、用意していない店では期限切れの仮押さえが残り、他の予約を断る原因になります。初回の返信に仮押さえの期限を書いておくことが前提で、期限が無いと相手にも返事をする理由が生まれません。
