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飲食店に届いた問い合わせを返すまで|返すまでの時間を縮める順番

2026年9月7日 ・ Halict編集部

飲食店に届いた問い合わせの返信が遅れるとき、原因は文章を書く時間ではありません。台帳を見に行く、厨房に聞く、店長の判断を待つ、といった待ち時間が積み重なって半日から一日になります。宴会や貸切の相談は、幹事が複数の店に同時に送っているため、返信の順番がそのまま選ばれるかどうかを決めます。この記事では、届いてから返すまでを五つの工程に分け、それぞれで時間が失われている場所と、縮めるための決めごとを整理します。

返信が遅れるのは書く時間ではない

宴会の問い合わせ一件に返信を書く作業そのものは、テンプレートがあれば数分で終わります。にもかかわらず返信までに半日以上かかるのは、書き始める前と書き終えたあとに待ち時間があるからです。

待ち時間は三つに分かれます。届いたことに気づくまでの時間、答えを出すために誰かの確認を待つ時間、そして返信を書ける状態の人が手を空けるまでの時間です。営業中の飲食店は、この三つが同時に発生します。ランチのピークに届いた問い合わせは、気づかれず、確認も取れず、書ける人もフロアに出ています。

この構造を理解しないまま「返信を早くしよう」と決めても、現場は変わりません。速くできるのは待ち時間の側であって、書く時間ではないからです。工程を分けて、どの待ち時間が長いのかを特定するところから始めます。

幹事は返信が来るまで比較を止めている

宴会の会場探しでは、幹事が三つか四つの候補に同じ文面を送ります。返ってきた店から順に社内で共有し、条件が合うものを残していきます。返信が遅い店は、比較の土俵に乗る前に候補から外れます。

外れる基準は、幹事の社内の締切です。会場を決める会議が金曜にあるなら、木曜までに返っていない店は検討されません。返信が届いた時点で候補が埋まっていたという結果になり、店側からは「返信したが返事が来なかった」としか見えません。返信の速さが機会そのものを決めているという認識が要ります。

一往復の聞き返しは半日から一日を足す

返信の一往復目が「人数を教えてください」で終わると、そこから幹事の返事を待つ時間が発生します。幹事は自分の仕事の合間に返すため、早くて数時間、遅ければ翌営業日です。店側の作業時間は一分でも、実際の所要時間は一日増えます。

だから流れを設計するときは、往復の回数を減らすことを最優先にします。一往復目で見積まで出せる形にできれば、それだけで返信までの時間は半分になります。何を聞いておけば一往復で返せるかは、フォームの設問設計の話につながります。

届いてから返すまでを五つの工程に分ける

宴会と貸切の問い合わせは、次の五つの工程を通ります。受け取る、仕分ける、確認する、返す、記録する。この順番は入れ替わりません。

工程を分けて考える利点は、詰まっている場所を名指しできることです。「返信が遅い」という言い方では手の打ちようがありませんが、「確認の工程で店長を待っている」と分かれば、決裁の範囲を広げるという打ち手が出ます。以下、工程ごとに何を決めればよいかを見ていきます。

なお、五つのうち店の努力で短くできるのは、受け取る、仕分ける、確認する、記録するの四つです。返す工程、つまり文章を書く時間は、もともと短いので削りしろがありません。ここを削ろうとしてテンプレートを短くすると、聞き返しが増えて全体が遅くなります。

工程1:どこに届くかを一本にする

宴会の相談は、いくつもの経路で届きます。自社サイトのフォーム、グルメサイトのメッセージ機能、電話、店のSNSアカウントへのメッセージ、そして常連客から店長への直接の連絡です。経路が多いほど、気づくまでの時間が延びます。

まず、経路ごとに誰が見るのかを決めます。フォームとグルメサイトは事務所のパソコンで見る、電話はフロアが受けて紙に書く、SNSは店長が見る、というように分かれているのが実情です。この状態では、全体で何件届いているのかを誰も把握していません。

次に、届いたものを一か所に集める形を決めます。集める先はフォームの管理画面でも共有の表でも構いませんが、大事なのは「ここを見れば全部ある」と言える場所を一つ作ることです。経路を減らせない以上、集める先を一本にするしかありません。電話で受けた分を後からその場所に書き写す手間はかかりますが、書き写しを省くと、電話の分だけが記録に残らず、返し忘れの温床になります。

グルメサイト経由の問い合わせには、返信の期限が設定されていることがあります。その期限は店の営業時間とは無関係に進むため、自社フォームの分と同じ扱いにすると遅れます。経路ごとの期限が違うなら、集める先でも経路が分かるようにしておきます。

工程2:即答・確認・断りの三つに仕分ける

届いたものを開く前に、返し方で三つに分けます。この仕分けが工程全体でもっとも効きます。

即答できるのは、店として答えが決まっている質問です。駐車場の有無、支払い方法、飲み放題の時間、個室の人数の上限、持ち込みの可否。これらは台帳も厨房も見ずに返せます。テンプレートを用意しておけば、フロアの合間に片手でも返せます。

確認が要るのは、日程と人数が絡むものです。その日にその人数が入るか、貸切にできるか、コースを変更できるか。台帳と厨房と、場合によっては店長の判断が要ります。仕分けの段階で「何を確認すればよいか」まで書き出しておくと、確認の工程がまとめて回せます。

断りになるのは、受けられない条件のものです。人数が上限を超えている、その日はすでに貸切が入っている、希望の予算では組めない。断りは早いほど幹事の役に立ちます。他店を探す時間が残るからです。断りのテンプレートを用意していない店が多いのですが、これがあると返信までの時間がもっとも縮みます。

仕分けは開いた瞬間に印を付ける

仕分けの結果は、頭の中ではなく記録に残します。届いたものの横に、即答、確認、断りのどれかを付ける欄を一つ作るだけで十分です。印が付いていれば、次にその画面を開いた人が最初から仕分けをやり直さずに済みます。

ありがちなのは、開いて読んで「あとで返そう」と閉じる操作です。この操作を三回繰り返すと、同じ文面を三回読むことになります。読んだ回数だけ時間が消えているのに、進捗はゼロです。開いたら必ず印を付けて閉じる、という決めごとを一つ置くだけで、この空回りが止まります。

工程3:確認をまとめて回す

確認の工程は、待ち時間がもっとも長くなる場所です。ここを一件ずつ回すか、まとめて回すかで、一日あたりに返せる件数が変わります。

一件ずつ回すと、問い合わせが届くたびに台帳を開き、厨房に声をかけ、店長を捕まえることになります。厨房は仕込みの時間帯であれば手が止められませんし、店長はフロアに出ています。結果として、確認の依頼だけが宙に浮きます。

まとめて回すというのは、確認が要るものを溜めておき、決まった時間に一度で片付ける形です。台帳の確認は溜めた分を続けて見れば数分で終わります。厨房への確認も、三件をまとめて聞けば一回の会話で済みます。店長の判断が要るものは、判断に必要な情報を書き出して一覧で渡します。

まとめる単位は、営業の区切りに合わせます。ランチの片付けが終わったあと、仕込みが一段落したあと、閉店後の三つが現実的な区切りです。このうちどこで確認を回すかを店で決めておけば、確認を依頼する側も受ける側も身構えずに済みます。

決裁の範囲を先に決めておく

確認の待ち時間を短くする最短の手は、店長でなくても決められる範囲を広げることです。貸切の最低保証をいくらまで下げてよいか、コースの変更をどこまで受けてよいか、人数の上限を何名まで受けてよいか。この三つを数字で決めておけば、範囲内の相談は担当者が即答できます。

範囲を決めるときは、幅を持たせすぎないことが大事です。「常識の範囲で」と書くと、判断できずに結局店長を待つことになります。20名以上なら受ける、予算が一人4,000円を下回るなら店長に回す、というように数字で線を引いてください。実際の数字は店ごとに違うので、自店の採算に合わせて決めます。

工程4:一次返信と本返信を分ける

確認に時間がかかると分かった時点で、待たせる連絡を先に出します。これが一次返信です。

一次返信に書くことは三つです。受け取ったこと、いつまでに正式な返事をするか、その間に相手がすべきことがあるか。「明日の15時までに、空き状況とお見積をお送りします」と書けば、幹事はそれまで待てます。書かずに黙って確認していると、幹事は返信が来ないものとして他店を検討します。

一次返信は数十秒で書けます。フォームの自動返信で代用できる部分もありますが、自動返信は全員に同じ文面が出るため、確認に時間がかかる場合の個別の連絡としては弱いところがあります。人が書いた一次返信が一通入るだけで、幹事の受け取り方は変わります。

本返信には、幹事が社内で共有できる形の情報を入れます。日程と時間、人数、コースの内容と一人あたりの金額、飲み放題の有無と時間、席の形、そして返事の期限です。この六つが揃っていれば、幹事はそのまま社内に転送できます。転送できる返信は、比較の場に残ります。

返信の書き出しは結論から置く

宴会の返信で最初に書くべきは、空いているかどうかです。「お問い合わせありがとうございます」から始めて、四段落目に空き状況が出てくる返信は、読む側の時間を奪います。

結論を先に置くと、断りの返信も書きやすくなります。「あいにくその日は貸切のご予約が入っております」を先に書き、そのあとで別の日程や別の時間帯を提案する形です。断ったあとに代案を出す順番であれば、幹事は次の行動に移れます。

工程5:返したことをどこに残すか

返信を送ったあと、その事実を記録に残さないと、二重返信と返し忘れが必ず起きます。飲食店の窓口は複数人が交代で見るため、記録が無いと誰が何をしたか分かりません。

残す内容は最小で三つです。誰が返したか、いつ返したか、次に何が起きる予定か。三つ目がとくに重要で、「見積を送った、返事待ち」「仮押さえ中、期限は来週の火曜」と書いてあれば、次に見た人が何をすべきかを判断できます。

集めた情報は個人情報にあたるため、何のために使うのかを先に決めておく必要があります。個人情報の保護に関する法律には、次のように定められています。

個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的(以下「利用目的」という。)をできる限り特定しなければならない。 出典: 個人情報保護委員会

宴会の相談で受け取る氏名や電話番号も同じ扱いになります。記録として残す範囲と、残しておく期間をあらかじめ決めておいてください。判断に迷うときは、所管の窓口や専門家に確かめてください。

返信を書く時間帯を決める

飲食店の窓口が他の業種と違うのは、返信を書ける時間帯が限られていることです。営業中は書けません。

現実的な時間帯は二つあります。ランチとディナーの間のアイドルタイムと、閉店後の締め作業のあとです。前者は14時から17時のどこかで、確認の工程も同じ時間に回せます。後者は静かに書ける代わりに、送信が深夜になり、翌朝まで幹事に読まれません。

どちらを主にするかを決めておくと、店全体の段取りが組めます。アイドルタイムを主にするなら、その時間は返信担当をフロアの配置から外します。外さないと、結局その時間も接客に取られます。閉店後を主にするなら、送信予約の機能を使って翌朝に届くようにする方法もあります。深夜に届いたメールは、朝の受信箱で他のメールに埋もれます。

時間帯を決めたら、フォームの自動返信にも同じことを書きます。「お返事は営業日の午後にまとめてお送りしております」と書いてあれば、午前中に催促の電話が入る回数が減ります。店の都合を先に見せることは、幹事にとっても待ち方が決まるという利点があります。

テンプレートの作り方と使い分け

返信の速さは、テンプレートの数と質でほぼ決まります。ただし数を増やしすぎると、どれを使うか選ぶ時間が発生します。

宴会と貸切の受付で必要なテンプレートは、多くても六つです。一次返信、空きがある場合の見積つき返信、空きが無い場合の代案つき返信、貸切の条件を伝える返信、仮押さえの期限を伝える返信、そして確定の連絡。この六つで大半の場面が埋まります。

テンプレートには、必ず書き換える場所を分かるようにしておきます。角括弧で囲むか、色を変えるかは道具によりますが、書き換え漏れが一番起きやすいのは日付と人数です。前の相談の日付が残ったまま送ってしまうと、信用を大きく損ないます。送信前に日付と人数と金額の三つだけを見直す習慣を付けてください。

テンプレートは作って終わりではなく、聞き返しが起きるたびに直します。同じ質問が三回続けて返ってきたら、その答えをテンプレートに足します。これを繰り返すと、半年ほどで往復の回数が目に見えて減ります。

テンプレートの置き場所も決めておきます。事務所のパソコンの中にしか無いと、閉店後に自宅から返そうとしたときに使えません。誰でも同じ文面を取り出せる場所に置き、直したときは全員が同じものを使えるようにします。人によって違う文面を使っていると、条件の伝え方がばらつき、当日に食い違いが出ます。

文面の長さも決めておく価値があります。宴会の返信は、画面を二回か三回めくると読まれなくなります。条件を漏れなく書こうとして長くなった返信より、要点を先に置いて詳細を後ろにまとめた返信のほうが、社内で共有されやすくなります。

電話で受けた分を流れに乗せる

宴会の相談は、フォームだけでなく電話でも入ります。電話で受けた分をどう扱うかを決めていない店は、そこだけが流れから外れます。

電話は、その場で答えが出るなら最速の経路です。空いている日を聞かれて台帳を見て答え、そのまま仮押さえまで進めば、往復はゼロで終わります。問題になるのは、その場で答えられなかった場合です。「折り返します」と言って切ったあと、その約束がどこにも残らないことがあります。

対策は単純で、電話で受けた内容をフォームと同じ場所に書き写すことです。書き写す項目は、店名ではなく相手の情報に絞ります。相手の名前、当日つながる電話番号、日程、人数、聞かれた内容、折り返しの約束をした時刻。この六つを電話機の横のメモ用紙に書き、アイドルタイムに転記します。

転記の手間を惜しんで紙のまま運用すると、紙が無くなった時点で問い合わせも消えます。フロアの動線上に置いた紙は、掃除のときに片付けられます。転記が面倒であれば、店の担当者自身がフォームから送信して自分で受け取る形にする方法もあります。回りくどく見えますが、経路が一本になるという点では効果があります。

電話を受けたときに、フォームへ誘導する手もあります。「詳しいお見積をお送りしますので、こちらのページからご希望をお送りいただけますか」と伝えれば、必要な情報が漏れなく届きます。ただし、電話をかけてきた相手は文章を書くのが面倒だからかけている場合もあるため、無理に誘導すると印象が悪くなります。人数が多い相談や、条件が複雑な相談に限って使うのが現実的です。

グルメサイト経由と自社フォームは扱いを分ける

宴会の問い合わせは、グルメサイトのメッセージ機能からも入ります。この経路には、自社フォームと違う制約があります。

まず、返信の期限が設定されていることがあります。一定時間内に返信しないと掲載順位に影響する仕組みを持つサイトもあり、店の営業時間とは無関係に時間が進みます。閉店後にまとめて返す運用にしていると、この経路だけ遅れます。

次に、やり取りがそのサイトの中で完結するため、店側の記録に残りません。サイトの管理画面を開かないと過去のやり取りが見られず、担当者が変わったときに引き継げません。宴会のように話が長く続く相談では、途中経過が追えないことが実務上の障害になります。

三つ目に、送られてくる情報の項目が固定されています。自社フォームなら聞ける項目でも、そのサイトの仕様で聞けないことがあります。結果として、グルメサイト経由の問い合わせは聞き返しが一往復多くなりがちです。

扱いを分けるというのは、この三つを前提に運用を変えることです。返信の期限がある経路は先に処理する、やり取りの要点だけを自店の記録に書き写す、聞けない項目は最初の返信でまとめて聞く。この三つを決めておけば、経路の違いが遅れの原因にはなりません。

見積を出すところで流れが止まる

宴会の返信でもっとも時間がかかるのが、見積の作成です。ここが一件あたり30分かかる店と、五分で済む店があります。

差が出るのは、計算のもとになる情報がそろっているかどうかです。人数、コースの単価、飲み放題の有無、サービス料の扱い、個室料の有無。この五つが決まれば計算は一行で終わります。逆に、どれか一つでも決まっていないと、条件を仮置きして複数のパターンを出すことになり、時間が倍になります。

現実には、幹事の側も予算を決めきれていないことが多くあります。この場合は、複数パターンを出すのではなく、標準のコースで一つだけ出して「ご予算に合わせて組み替えられます」と添える形が早く進みます。三つのパターンを並べると、幹事は社内で三つとも検討することになり、決定が遅れます。

見積の書式を先に用意しておくと、作成時間はさらに短くなります。一人あたりの金額、人数、小計、サービス料、合計、そして取り消しの条件。この並びを固定しておけば、数字を入れ替えるだけで済みます。書式が毎回違うと、作るたびに項目を思い出すところから始まります。

見積に有効期限を書く

見積を出したあと、返事が来ないまま日が過ぎることがあります。このとき、席を押さえたままにしておくと、他の相談を断ることになります。

見積に「このお見積は7日間有効です」と書いておくと、期限を理由に押さえを外せます。書いていないと、幹事の側は押さえられ続けていると思い込み、店の側は断ることも押さえ続けることもできなくなります。期限は返信のたびに考えるのではなく、あらかじめ日数を決めておいてテンプレートに入れておきます。

仮押さえから確定までを一本の線にする

見積を送ったあとの工程も、流れとして設計しておく必要があります。ここが曖昧な店では、確定したと思っていた予約が当日に無かったという事故が起きます。

決めることは三つです。何をもって仮押さえとするか、何をもって確定とするか、そのあいだに店から連絡を入れるかどうか。

仮押さえは、見積を送った時点で自動的に発生するものとして扱うのが分かりやすい形です。ただし、その旨を幹事に伝えていないと、押さえられていることが伝わりません。見積の文面に「ご返答をいただくまで、席をお取りしております」と書いてください。

確定は、幹事からの返答をもって成立とします。口頭でも文面でも構いませんが、どちらであっても店の記録に残す必要があります。確定の返信を送り、その事実を記録に書く。この二つがそろって初めて確定です。

あいだの連絡は、期限の前日に一度入れる形が親和的です。「明日が仮押さえの期限となります」という一通で、返事が来るか、もう少し待ってほしいという連絡が来ます。どちらでも構いません。宙に浮いた状態が続くことだけが問題です。

休み明けと連休の流れ

定休日の翌日と、連休明けは、平時と同じ流れでは回りません。溜まった件数が一日で処理できないためです。

対策は二つあります。一つは、休みの前に自動返信の文面を差し替えることです。「3日から5日は定休日のため、ご返信は6日以降となります」と書いておけば、幹事は待ち方が分かります。書いていないと、休みのあいだに他店で決まります。

もう一つは、休み明けの処理の順番を決めておくことです。届いた順に返すのではなく、日程が近いものから返します。翌週の宴会の相談と、三か月先の相談では、待たせられる時間が違います。日程が近いものを先に処理する、という一行の決めごとが、休み明けの混乱を抑えます。

繁忙期に流れが壊れる場所

忘年会と歓送迎会の時期には、平時の流れがそのままでは回りません。壊れる場所は毎年同じです。

一つ目は、確認の工程です。件数が増えると、台帳の確認だけで時間を使い果たします。この時期は、空いている日と埋まっている日を先に一覧にしておき、問い合わせのたびに台帳を開かなくても答えられる形にします。

二つ目は、仮押さえの管理です。繁忙期は同じ日に複数の相談が重なるため、仮押さえの期限が切れているのに押さえたままになっている枠が出ます。期限を過ぎた仮押さえを毎日一度見直す時間を決めておかないと、実際には空いている日を満席として断ることになります。

三つ目は、返信の担当です。平時は一人で回せていても、繁忙期は追いつきません。誰が何件を担当するのかを先に決めておかないと、全員が同じ問い合わせを見て、誰も返さないという状態が起きます。担当の決め方は、件数が増える前に決めておく必要があります。

四つ目は、テンプレートの中身です。繁忙期は空いている日が限られるため、平時のテンプレートに書かれた「ご希望の日程でお取りできます」という前提が成り立ちません。この時期だけは、空いている日を先に並べて「この中からお選びいただけますか」と返す形に切り替えたほうが往復が減ります。テンプレートを時期で二種類持っておき、切り替える日を決めておいてください。

繁忙期に入ってから流れを直すことはできません。件数が増えている最中に運用を変えると、その混乱がそのまま取りこぼしになります。切り替えの準備は、件数が増え始める一か月前に済ませておく必要があります。

断る返信こそ早く出す

受けられない相談は、受けられる相談より早く返します。幹事にとって、断りの返信は次の店を探すための情報だからです。

断りの理由は、はっきり書きます。「その日はすでに貸切のご予約が入っております」「ご希望の人数は当店の上限を超えております」と書けば、幹事は納得して次に進めます。理由を伏せて「ご希望に添えません」とだけ返すと、条件を変えれば受けられるのかどうかが分からず、再度の問い合わせが来ます。

断りに代案を添えるかどうかは、店の状況によります。別の日程が空いているなら二つほど示し、時間帯をずらせば受けられるならその条件を書きます。人数が上限を超えている場合は、二部に分ける提案が成立することもあります。代案が無いときは、無理に探さずに断り切ってください。中途半端な代案は、双方の時間を使うだけです。

断りのテンプレートを用意していない店は多いのですが、これがあると返信までの時間がもっとも縮みます。断る判断は台帳を見た瞬間に付くため、確認の工程を待たずに返せるからです。用意しておくテンプレートは、満席の場合と、条件が合わない場合の二つで足ります。

流れを整えたあとに残ること

五つの工程を分けて見直すと、返信までの時間は縮みます。ただし、道具の側で解決する部分も残ります。

無料のフォームでも、集めるところまでは十分にできます。集めたあとを表計算ソフトで追う形と、返信の状態まで同じ画面で持つ形の違いは、Googleフォームとの比較で整理されています。いまの詰まりが集める側にあるのか、集めたあとにあるのかを見分ける材料になります。

自社サイトにフォームを置いて、送信内容がメールで届くだけの形になっている店も多くあります。届いたあとの記録がどこに残るかという観点での違いは、Contact Form 7との比較にまとまっています。

届いたものを仕分けて、確認して、返して、記録するという流れは、飲食店に限りません。同じ構造は問い合わせの受付の場面で繰り返し現れます。日程と人数を受けて会場を押さえるという点ではイベントの申し込みとも重なり、決めごとはそのまま流用できます。

工程ごとに何を足せるのかはできることに一覧があり、実際の画面の動きは動くところを見るで確かめられます。運用の規模に応じた費用は料金で確認できます。

最後に、返信までの時間を縮めるために決めることを並べておきます。届いたものを集める先を一つにするか、開いた瞬間に仕分けの印を付けるか、確認をまとめて回す時間を一日のどこに置くか、担当者が決めてよい範囲を数字で決めるか、一次返信を出す基準を何時間にするか、返したことをどこに残すか、テンプレートを六つに絞るか、繁忙期に仮押さえを見直す時間を作るか。この八つを決めれば、宴会と貸切の問い合わせは、書く時間ではなく待ち時間の側から短くなります。どれも一度決めれば毎日効き続ける種類の決めごとで、費用もかかりません。

Q1. 宴会の問い合わせにはどのくらいで返すべきですか?

幹事は複数の店に同時に送っているため、返信の順番がそのまま比較の土俵に乗れるかどうかを決めます。時間の目安を置くなら、確認が要らないものは当日中、台帳や厨房の確認が要るものでも翌営業日までに一次返信を出す形が現実的です。正式な回答に時間がかかるなら、いつまでに返すかだけを先に伝えてください。黙って確認していると、返信が来ないものとして他店で決まります。

Q2. 一次返信には何を書けばよいですか?

受け取ったこと、いつまでに正式な返事をするか、その間に相手がすべきことがあるか、の三つです。「明日の15時までに、空き状況とお見積をお送りします」と書けば、幹事はそれまで待てます。数十秒で書ける内容ですが、これがあるかないかで催促の電話の本数が変わります。自動返信でも受け取ったことは伝わりますが、確認に時間がかかる場合は人が書いた一通を足してください。

Q3. 返信を書く時間帯はいつに決めるとよいですか?

営業中は書けないため、ランチとディナーの間のアイドルタイムか、閉店後のどちらかになります。アイドルタイムを選ぶなら、その時間の返信担当をフロアの配置から外してください。外さないと接客に取られます。閉店後を選ぶ場合、深夜に送ると翌朝の受信箱で埋もれるため、送信予約で朝に届くようにする方法があります。決めた時間帯は自動返信にも書いておくと催促が減ります。

Q4. 確認に時間がかかるのを短くする方法はありますか?

確認をまとめて回すことと、決裁の範囲を先に決めることの二つです。問い合わせが届くたびに台帳を開き厨房に声をかけていると、そのたびに待ちが発生します。営業の区切りに合わせて一日一回か二回にまとめてください。あわせて、貸切の最低保証をいくらまで下げてよいか、人数を何名まで受けてよいかを数字で決めておくと、範囲内の相談は担当者が即答できます。

Q5. 返信したことはどこに残せばよいですか?

誰が返したか、いつ返したか、次に何が起きる予定か、の三つが残れば足ります。三つ目がとくに重要で、「見積を送った、返事待ち」「仮押さえ中、期限は来週の火曜」と書いてあれば、次に画面を開いた人が何をすべきか判断できます。飲食店の窓口は複数人が交代で見るため、記録が無いと二重返信と返し忘れが必ず起きます。受信箱の既読だけでは記録になりません。

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