飲食店の問い合わせフォームで何を聞くかは、フォームを作る側の問題ではなく、届いたものを読んで返す側の問題です。宴会や貸切の相談は、日程と人数と予算がそろって初めて見積が書けます。設問が足りなければ返信のたびに聞き返しが起き、多すぎれば送信される前に幹事が入力をやめます。この記事では、宴会と貸切の問い合わせを受ける店を前提に、必要な設問と並び順、必須と任意の切り分けを整理します。読み終えたときに、いまのフォームのどの項目を削り、どの項目を足すかが決められる状態を目指します。
飲食店のフォームに届くのは「席の予約」ではない
飲食店のウェブサイトには、入力欄が二種類あります。日時と人数を選んで席を押さえる予約システムと、文章で用件を書いてもらう問い合わせフォームです。前者はグルメサイトや自社の予約システムが担当し、後者だけが手作業の窓口として残ります。ここを取り違えたまま設問を並べると、フォームが中途半端な席予約になり、どちらの役目も果たさなくなります。
問い合わせフォームに届くのは、予約システムの枠に収まらなかったものです。宴会と貸切の相談がその代表で、内容は「その日にその人数が入るか」「貸切にできるか」「その予算でコースが組めるか」に集約されます。どれも席を一つ押さえれば済む話ではなく、店側が台帳と厨房と決裁を確認して初めて答えが出ます。
この前提を置くと、設問の役目もはっきりします。フォームの項目は、席を押さえるためのものではなく、返信を書く人が「そのまま答えられるか、確認してから答えるか」を判断し、確認するとしたら何を確認すればよいかを確定させるためのものです。返信を書く人の手が最初に止まるのは、書き始めてから「これが分からないと答えられない」と気づいた瞬間です。設問設計の目的は、この止まる瞬間をゼロに近づけることに尽きます。
宴会の相談と貸切の相談は聞くことが違う
宴会の相談は、通常営業のなかに大人数の席をつくる話です。半個室や奥のテーブルをつなげて対応できるかどうかが焦点で、判断に要るのは日程、時間帯、人数、コースの価格帯です。他の予約が入っている前提で組むため、開始と終了の時刻がとくに重くなります。
貸切の相談は、その日その時間帯の営業を丸ごと渡す話です。判断に要るのは、宴会と同じ項目に加えて、最低人数や最低保証の金額に届くか、通常営業を止めた分を埋められるか、設営と撤収の時間を取れるかです。同じフォームで受けても構いませんが、貸切を選んだときだけ追加で出す設問を用意しておかないと、必ず一往復増えます。
現場では、幹事の側もこの二つを区別せずに送ってきます。「30人で個室を貸切にしたい」という文面が届いたとき、それが本当の貸切なのか、個室を確保したいだけなのかは、フォームの設問で切り分けるしかありません。用件の種類を選ばせる設問がここで効きます。
幹事は複数の店に同じ文面を送っている
宴会の会場探しは、候補を三つか四つ並べて同時に問い合わせるのが普通です。幹事は同じ文面を貼り付けて送り、返ってきた順に検討します。つまり返信の速さは、そのまま比較の土俵に乗れるかどうかを決めます。
このとき問題になるのが、聞き返しの一往復です。「人数を教えてください」と返した店は、その時点で他店より半日から一日遅れます。幹事は社内の調整の合間に返信するため、こちらが送った質問に答えが返るまで、早くて数時間、遅ければ翌営業日になります。設問を足して聞き返しを一つ減らすことは、返信を早める施策のなかでもっとも効きます。
最初の設問は用件の種類にする
フォームの一番上に置くべきは、氏名でも連絡先でもなく、用件の種類です。ラジオボタンかセレクトで、四つまでの選択肢を出します。
選択肢の文言は、店の内部用語ではなく、送る側が自分の状況を当てはめられる言葉にします。「宴会の相談(10名以上)」「貸切の相談」「席の予約について」「その他のお問い合わせ」といった並びです。「ご宴会承ります」のような案内文めいた表現は選択肢になりません。人数の目安を括弧で添えると、送る側が迷わずに済みます。
この設問を先頭に置く理由は二つあります。一つは、回答者に対して「ここは何を書く場所か」を先に示せること。もう一つは、この選択によって以降の設問を出し分けられることです。条件分岐に対応したフォームなら設定できますし、対応していなくても、設問文に「貸切をご希望の方のみ」と補足を書くだけでかなり効きます。
受ける側にとっての効果はさらに大きくなります。用件の種類が決まっていれば、届いた時点で仕分けが終わっています。定型で返せるもの、台帳を見れば返せるもの、店長の判断が要るものが、開く前に分かれます。返信をアイドルタイムにまとめて処理する運用の店では、この一項目があるかないかで一件あたりの処理時間が変わります。
「席の予約について」を選択肢に入れるかは運用で決める
予約システムを別に持っている店では、この選択肢を入れると予約が二重に流れ込みます。台帳に入っていない予約が問い合わせ箱に埋もれ、当日に席が無いという事故につながります。入れないと決めたなら、フォームの冒頭に「4名様までのご予約は予約ページからお願いします」と書いて、予約ページへ誘導してください。書かないと、送る側は入力欄を見つけた時点で予約を送ってきます。
逆に、予約システムを持たず電話で受けている店なら、この選択肢は残します。ただし残す場合は、フォームからの予約が確定するのはいつなのかを明記します。「送信の時点では席は確保されていません」と書いておかないと、返信前に来店されます。
日程と人数の聞き方で見積が一往復で出せるか決まる
宴会と貸切の相談で、答えを出すために必ず要るのが日程と人数です。ここの聞き方だけで、返信の往復回数が変わります。
日程は第一希望だけでなく、第二希望まで受けてください。繁忙期に第一希望が埋まっていた場合、「その日は満席です」で終わる返信は、幹事にとって何の役にも立ちません。候補が二つあれば、片方が埋まっていてももう片方で答えが出せます。忘年会や歓送迎会の時期は、金曜と土曜から埋まっていくため、この一項目の効き方が大きくなります。
人数は「確定か概算か」を必ず添えて聞きます。宴会の人数は当日まで動くものなので、数字だけを受け取っても店は判断できません。「20名から25名」のような幅で書ける自由入力にするか、確定と概算を選ぶチェックを横に置きます。あわせて、人数が変わる可能性がどのくらいあるかを一言で書ける欄があると、席の押さえ方が決めやすくなります。
時間帯は開始だけでなく終了も聞く
宴会で見落とされやすいのが終了時刻です。開始時刻だけを受け取ると、二部制で回している店では次の枠と重なるかどうかが判断できません。「18時から」とだけ書かれた問い合わせに対して、店は「何時までですか」と聞き返すことになります。
設問としては、開始の希望時刻と、利用したい時間の長さを分けて聞くのが実務的です。時間の長さは「2時間」「2時間30分」「3時間」「未定」の選択式にすると、飲み放題の設定時間と突き合わせやすくなります。延長の可否と延長料金は返信のテンプレートに書けばよいので、フォームで聞く必要はありません。
予算は総額ではなく一人あたりで聞く
予算の設問は、総額で聞くと使えません。人数が動くと総額も動くため、コースを当てはめられないからです。一人あたりの金額で、価格帯の選択式にします。自店のコース設定に合わせて「4,000円前後」「5,000円前後」「6,000円前後」「7,000円以上」「相談したい」のように並べます。
このとき、飲み放題を含むかどうかを同じ設問のなかで明示してください。「飲み放題込みで5,000円」と「料理5,000円に飲み放題を足す」では倍近く違います。ここを曖昧にしたまま見積を出すと、金額の認識がずれたまま話が進み、当日の会計で揉めます。価格帯の選択肢に「(飲み放題込み)」と括弧で添えるだけで防げます。
料理と飲み物で聞くこと
コースの相談は、店が答えを出しやすい形に落とし込んで聞きます。自由記述で「ご要望をお書きください」とだけ置くと、返信のたびに厨房へ確認が要る内容が書き込まれます。
まず、コースの希望を選択式にします。既存のコース名を並べ、最後に「おまかせで提案してほしい」を置きます。幹事の多くは料理の中身を細かく決めたいわけではなく、予算内で恥ずかしくない内容が出ることを確かめたいだけです。提案を求める選択肢があると、そこに流れて話が早くなります。
次に、食べられないものの有無を聞きます。ここは「有無」を聞くところまでにとどめ、具体的な中身は返信のやり取りで詰めるのが現実的です。フォームの段階で細かく書かせても、人数が動けば内容も変わるためです。設問文には「アレルギーや苦手な食材のあるお客様がいらっしゃるか」とだけ書き、詳細は後日で構わないと添えます。これは集めたあとを同じ画面で追える状態にしておけば、後から追記された内容も同じ相談のなかに残ります。
飲み物についても、聞くのは飲み放題の希望の有無までにとどめます。銘柄や内容の相談まで自由記述で受けると、返信で在庫を確認する手間が発生します。飲み放題の設定時間は店で決まっているはずなので、設問ではなく返信のテンプレートに書けば足ります。乾杯だけシャンパンにしたいといった要望は自由記述に書かれるので、そこで拾えば十分です。
コースの決定期限も、返信で伝える内容として用意しておきます。仕入れの都合で何日前までに確定が必要かは店ごとに違い、これを最初の返信に書いておくと、幹事が社内の締切を逆算できます。フォームで聞く必要はありませんが、設問を設計する段階で「これは返信で伝える」と決めておくと、テンプレートの中身が固まります。
なお、食物アレルギーへの対応をどこまで請けるかは店ごとの判断で、フォームの設問設計の話とは別です。対応の可否を店として決めていない段階で「対応できます」と読める文言をフォームに置くと、当日に無理が出ます。設問は事実を集めるところまでにして、対応の可否は返信で個別に答える形が安全です。
会場の使い方と持ち込みで聞くこと
貸切や大人数の宴会では、料理以外の要望が返信を止めます。当日になって「プロジェクターは使えますか」と聞かれると、配線と電源の確認が必要になり、そこで一往復増えます。
フォームで拾っておきたいのは次の四つです。マイクやプロジェクターなど設備の利用希望、ケーキや花などの持ち込みの有無、席のレイアウトの希望、そして受付や看板の設置の要否です。いずれもチェックボックスで並べれば入力の負担はほとんど増えません。チェックが入ったものだけ、返信で詳しく聞けば済みます。
持ち込みは店ごとに扱いが分かれるところで、持ち込み料の有無や、預かれる時間帯の制限があります。フォームの設問に「持ち込みをご希望の場合は内容をお書きください」と一行添えると、当日の持参物が事前に分かります。ケーキの保管場所が無い店では、事前に分かるかどうかが当日の段取りを決めます。
子ども連れの有無も、宴会では効きます。家族での集まりや、社員旅行のあとの慰労会では未就学児が入ることがあり、椅子や取り分けの用意が要ります。人数の設問の下に「うちお子様の人数」を任意で置いておくと、席の組み方が先に決められます。
下見の希望も、貸切では拾っておく価値があります。結婚式の二次会や周年の集まりでは、幹事が事前に会場を見てから決めることが多く、下見の日程調整だけで数往復かかります。フォームに「下見をご希望ですか」というチェックを一つ置き、希望があった場合は初回の返信で候補日を二つ添えると、往復が一回で済みます。下見を受けていない店なら、チェックを置かずに「店内の写真は写真ページをご覧ください」と案内する形でも構いません。
席のレイアウトは、選択式にできる範囲が限られます。「テーブルを囲む形」「立食」「コの字」のように、自店で組める形だけを並べてください。組めない形を選択肢に入れると、返信で断ることになり、印象が悪くなります。並べられる形が一つしかない店では、この設問自体を置かず、返信のテンプレートに写真を添える方が早く伝わります。
支払いと取り消しで聞くこと
宴会の問い合わせで最後に揉めるのが、支払い方法と取り消しの条件です。ここはフォームで先に聞いておくほど、あとが楽になります。
支払い方法は選択式で、「当日に現金またはカードで一括」「請求書での後払い」「事前の振込」を並べます。法人の宴会では請求書払いの希望が多く、その場合は宛名と送付先が要ります。会社名と部署名の欄を任意で置いておくと、見積書の宛名をそのまま書けます。個人の集まりであれば空欄で送られてくるだけなので、必須にする必要はありません。
領収書の要否も、任意で聞いておく価値があります。当日の会計で「宛名はどうしますか」と確認する時間が省け、レジ前の列が短くなります。ただし但し書きの指定まで聞くと設問が細かくなりすぎるので、要否だけで十分です。
取り消しの条件はフォームに書いて読ませる
取り消しの規定は、設問ではなく表示で解決します。人数変更の締切と、取り消し料が発生する日をフォームの送信ボタンの手前に書き、確認のチェックを一つ置きます。ここで同意を取っておくと、直前の人数減で揉めたときに、双方が同じ条件を見て話せます。
書き方は具体的にします。「ご利用日の3日前までは人数の変更を承ります」「前日以降のお取り消しはコース代金の50%を申し受けます」のように、日数と割合を数字で示します。数字が入っていない規定は読み飛ばされます。実際の日数と割合は店ごとに違うので、自店の規定に合わせて書き換えてください。
仮押さえの期限も同じ場所に書きます。「お返事から7日間、席をお取りしております」と書いておけば、返信のたびに期限を打ち直す必要がなくなります。期限を書かずに押さえ続けると、確定しない予約が台帳を埋めます。
連絡先と幹事の情報
連絡先の設問は、宴会では二段構えにします。ひとつはやり取りに使うメールアドレス、もうひとつは当日に連絡がつく電話番号です。幹事は当日、会場に向かう途中で電話に出る立場になります。会社の代表番号だけを書かれると、当日の遅れや人数の変更を伝える先が無くなります。
電話番号の設問文には「当日つながる番号」と添えてください。この一言があるかないかで、携帯番号が書かれる率が変わります。あわせて、連絡がつきやすい時間帯を任意で聞いておくと、営業中に電話をかけて出てもらえないという行き違いが減ります。
会社名と担当者名は、法人の宴会では見積書と請求書に必要になります。ただし個人の集まりでは書きようがないので、必須にはしません。設問文を「法人でのご利用の場合は会社名をご記入ください」とすれば、必要な人だけが埋めます。
集めた情報は個人情報にあたるため、何に使うかを先に示す必要があります。個人情報の保護に関する法律には、次のように定められています。
個人情報取扱事業者は、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を、本人に通知し、又は公表しなければならない。 出典: 個人情報保護委員会
実務としては、フォームの下に利用目的を一行で書き、店のプライバシーポリシーへ結びます。書式や書くべき範囲の判断に迷うときは、所管の窓口や専門家に確かめてください。
必須と任意を切り分け、並び順を決める
設問がそろったら、最後に必須の印を付ける範囲と並び順を決めます。ここを間違えると、良い設問をそろえても送信されません。
必須にするのは、それが無いと返信が一行も書けない項目だけです。宴会と貸切であれば、用件の種類、日程の第一希望、人数、氏名、メールアドレスの五つで足ります。予算やコースの希望は、無くても「ご予算をお聞かせください」と返せるため、任意で構いません。必須を増やすほど、迷った幹事は他店のフォームへ移ります。
並び順は、答えやすいものから並べます。用件の種類、日程、人数、時間帯までは幹事の頭のなかにある情報なので、迷わず埋まります。予算とコースは社内で決まっていないことがあり、ここで手が止まります。氏名と連絡先は最後に置きます。先に置くと、まだ内容を決めていない段階で個人情報を求められた印象になり、離脱の理由になります。
自由記述は最後に一つだけ置きます。「その他ご要望」で十分です。二つ以上置くと、どちらに何を書けばよいか分からず、片方が空欄になります。ここに書かれた内容は分類できないので、返信の担当者が読む前提で受けます。
設問の総数は、必須と任意を合わせて12問前後に収まるのが一つの目安です。それ以上に増えるなら、返信で聞けば済む項目が混ざっていないかを見直してください。判断の基準は数ではなく、その設問が無いときに聞き返しが起きるかどうかです。この基準で既存のフォームを洗い直すと、たいてい二つか三つ削れて、代わりに一つか二つ足りていないことが分かります。
設問文の書き方で入力の質が変わる
同じことを聞いていても、設問文の書き方で返ってくる中身が変わります。項目名だけを並べたフォームは、送る側が何を書けばよいか分からず、空欄か一言で埋められます。
もっとも効くのは、その設問が何のためにあるのかを一行で添えることです。「ご希望の時間帯」とだけ書くより、「ご希望の時間帯(二部制のため、開始と終了の目安をお書きください)」と書いたほうが、終了時刻まで書かれます。店の都合を先に見せることは失礼ではなく、むしろ幹事にとっては判断材料になります。何のために聞かれているか分かる設問は、まじめに埋められます。
選択肢の粒度も同じです。コースの希望を「和食」「洋食」「中華」で聞いても、店のコース構成と対応しないため使えません。自店に実在するコース名をそのまま並べ、価格を括弧で添えます。「季節のコース(5,000円・全7品)」のように書けば、幹事は社内の予算と突き合わせて選べます。存在しない選択肢を並べたフォームは、返信で全部を組み直すことになります。
入力例を薄い文字で置く方法も有効ですが、入れる場所を選びます。人数や日程のように書き方が決まっている欄には入れる価値があり、自由記述には要りません。自由記述に長い入力例を置くと、その例文をそのまま消さずに送信されることがあります。
設問の数を減らせないときは、画面を分ける方法もあります。用件の種類を選んだ次の画面で、その用件に必要な設問だけを出す形です。全部を一枚に並べると長く見えますが、二画面に割れば一画面あたりの設問は半分になります。ただし画面を三つ以上に割ると、途中で離脱したときに何も残らないため、二画面までにとどめてください。
複数の店舗を持つ場合の設問
同じ会社で複数の店を運営している場合、フォームを店ごとに分けるか、一つにまとめるかで運用が変わります。
店ごとに分けると、届いた問い合わせが最初から正しい店に入ります。返信の担当も自動的に決まり、迷いが出ません。一方で、フォームの数だけ設問の保守が必要になり、規定を変えたときに直し忘れが出ます。取り消し料の条件を一店だけ古いまま残してしまうと、その店だけが違う条件で受けることになります。
一つにまとめる場合は、先頭に店舗を選ぶ設問を置きます。この設問は用件の種類より前でも後でも構いませんが、店舗によって受けられる人数の上限が違うなら、店舗を先に選ばせたほうが親切です。選択肢には店名だけでなく最寄駅を添えます。会社名で店を覚えている幹事は多くありません。
まとめる形で運用するときに必要になるのが、届いたものを店ごとに分けて見られる仕組みです。全店の問い合わせが一つの受信箱に流れ込むと、自店宛のものを探す作業が毎回発生します。担当と店舗で絞り込める形になっているかどうかは、フォームを選ぶときの判断材料になります。
自動返信メールに何を書くか
設問と同じくらい効くのが、送信直後に返る自動返信の中身です。ここに何を書くかで、催促の電話の本数が変わります。
書くことは三つです。受け付けたこと、いつまでに返信するか、その間に相手がすべきことがあるか。「2営業日以内にご返信します」と書いてあれば、翌日の催促は減ります。飲食店は定休日があるため、営業日で数えるのか実日数で数えるのかも決めて書いてください。書き分けていないと、月曜が定休の店では週末の問い合わせで必ず行き違いが起きます。
あわせて、送信された内容を全文載せます。幹事は自分が何を書いたかを覚えていないことが多く、載っていれば自分で誤りに気づいて訂正してきます。人数や日程の書き間違いはここで直ります。送信前の確認画面を省いても事故が起きにくくなるという副次的な効果もあります。
自動返信に書いてはいけないのは、席を確保したと読める文言です。「ご予約を承りました」と書くと、返信前に来店されます。「お問い合わせを受け付けました。ご予約の確定はこちらからのご返信をもって」と明記してください。この一行の有無が、当日の混乱を防ぎます。
繁忙期は自動返信の文面を差し替える運用も検討に値します。忘年会の時期に平時と同じ「2営業日以内」を出し続けると、守れない約束になります。返信までの日数を延ばした文面を用意しておき、時期で切り替えます。
設問を直したあとに何を見るか
フォームを直したら、効いたかどうかを確かめます。見る数字は二つで十分です。
一つ目は、聞き返しの回数です。返信の一往復目が「確認させてください」で始まった件数を数えます。全部を数える必要はなく、直近の30件を見れば傾向は分かります。直す前と直したあとで、この件数が減っていれば設問は効いています。減っていないなら、聞き返しの中身を見て、足りない設問を特定します。
二つ目は、送信されずに途中でやめられた割合です。フォームの画面を開いた数と送信された数の比を見ます。この数字が取れない道具を使っている場合は、問い合わせの件数そのものが減っていないかだけを見ます。設問を足した直後に件数が落ちたなら、増やした項目のどれかが負担になっています。
どちらの数字も、一週間では判断できません。宴会の問い合わせは曜日と時期で大きく揺れるため、最低でも一か月、できれば同じ時期の前年と比べます。繁忙期に入る前に直しておくと、比較しやすい形になります。
設問を決めたあとに残る仕事
設問を整えると、返信の一往復目で聞き返す回数は減ります。ただし、それで片付くのは工程の一部です。
宴会と貸切の受付で残る仕事は三つあります。台帳を見て空きと貸切の可否を判断すること、厨房と店長に確認を取ること、そして返したかどうかを記録することです。前の二つは設問設計では解決しません。三つ目だけが、道具の選び方で解決します。
無料のフォームでも、設問を並べて集めるところまでは十分にできます。表計算ソフトへ回答が並ぶ形と、それを受けて返信を回す形の違いは、Googleフォームとの比較で整理されています。集める部分は足りていて、集めたあとを付箋と受信箱で継ぎ足している状態なのかどうかを、そこで確かめられます。
自社サイトにフォームを置いている店では、送信されたメールが担当者の受信箱に届くだけ、という形になりがちです。送信後の記録がどこに残るかという観点での違いは、Contact Form 7との比較にまとまっています。
飲食店の宴会受付は、届いたものを読んで返し、返したかどうかを残す、という点で他の業種の窓口と同じ構造をしています。同じ構造は問い合わせの受付の場面で繰り返し現れます。人数と日程を受けて会場を押さえるという流れはイベントの申し込みとも重なり、設問の作り方はそのまま流用できます。
設問設計のあとに何を足せるのかはできることに一覧があり、実際の画面の動きは動くところを見るで確かめられます。
最後にもう一度、飲食店のフォームで判断が要る場面を並べておきます。用件の種類を先頭に置くか、日程の第二希望まで受けるか、人数を確定と概算に分けるか、終了時刻を聞くか、予算を一人あたりの選択式にするか、食べられないものを有無だけで聞くか、設備と持ち込みをチェックで拾うか、支払い方法を選択式にするか、取り消しの条件を送信の手前に出すか、当日つながる電話番号を必須にするか。この十を決めれば、宴会と貸切の問い合わせは一往復で見積まで返せる形になります。決め切れない項目は任意にして三か月置き、実際に書かれたかどうかで判断すれば済みます。書かれない項目は削り、聞き返しが続く項目は必須に上げます。設問の設計は一度で正解にたどり着くものではなく、届いたものを見ながら形を整えていく作業です。
Q1. 宴会の問い合わせフォームで必須にすべき項目はどれですか?
それが無いと返信が一行も書けない項目だけに絞ります。宴会と貸切であれば、用件の種類、日程の第一希望、人数、氏名、メールアドレスの五つで足ります。予算やコースの希望は、無くても「ご予算をお聞かせください」と返せるため任意で構いません。必須が増えるほど、まだ社内で決まっていない項目で手が止まり、他店のフォームへ移る幹事が出ます。任意のまま三か月置き、実際に書かれるかどうかで昇格を判断してください。
Q2. 人数はどう聞けば返信が早くなりますか?
確定か概算かを添えて聞きます。宴会の人数は当日まで動くため、数字だけを受け取っても店は席の押さえ方を決められません。「20名から25名」のように幅で書ける自由入力にするか、確定と概算を選ぶチェックを横に置きます。あわせて「うちお子様の人数」を任意で置くと、椅子や取り分けの用意まで先に決められます。人数が動く見込みを一言書ける欄があると、仮押さえの範囲も判断できます。
Q3. 予算は総額と一人あたりのどちらで聞くべきですか?
一人あたりで聞きます。総額で聞くと人数が動いたときに金額も動き、コースを当てはめられないからです。自店のコース設定に合わせて「4,000円前後」「5,000円前後」のような価格帯の選択式にしてください。このとき飲み放題を含むかどうかを選択肢のなかに明示します。含む前提と別料金の前提では倍近く違い、曖昧なまま話を進めると当日の会計で認識のずれが出ます。
Q4. 取り消しの規定はフォームのどこに書けばよいですか?
設問ではなく表示で解決します。人数変更の締切と取り消し料が発生する日を、送信ボタンの手前に置いて確認のチェックを一つ添えてください。書き方は「3日前までは人数の変更を承ります」のように日数と割合を数字で示します。数字の入っていない規定は読み飛ばされます。あわせて仮押さえの期限も同じ場所に書いておくと、返信のたびに期限を打ち直す手間がなくなります。
Q5. 予約システムがある店でも問い合わせフォームは要りますか?
用途が違うので両方要ります。予約システムは日時と人数で席を押さえる道具で、宴会や貸切のように台帳と厨房と決裁の確認が要る相談は扱えません。ただし問い合わせフォームの選択肢に「席の予約について」を残すと予約が二重に流れ込むため、少人数の予約は予約ページへ誘導する一文をフォームの冒頭に置いてください。書かないと、入力欄を見つけた時点で予約が送られてきます。
