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飲食店で写真や書類を受け取る|メール添付をやめる理由

2026年9月7日 ・ Halict編集部

宴会と貸切の問い合わせを受けている飲食店では、届くのは文章だけではありません。参加者の名簿、会社の稟議に使う申込書、前に別の店でやったときの席次表、飾り付けをしたい壁の写真。幹事は自分の手元にある材料を、そのまま送ってきます。

そしてその材料は、たいていメールの添付で飛んできます。受付を店長ひとりで回している店ほど、添付は静かに詰まりを増やします。開けない、送れない、どの宴会のものか分からない、返したかどうかが残らない。気づくと、店の共用メールの受信箱が参加者名簿の置き場になっています。

この記事では、飲食店の宴会と貸切の受付で写真や書類をどう受け取るかを決めるために、いま何が詰まっているのかを分解し、受け取り方を変えるときに先に決めておくことを順番に並べます。料理や酒類の提供そのものの判断には触れません。届いたものを受けて返す側の回し方だけの話です。

宴会と貸切の問い合わせには、必ずファイルが付いてくる

幹事は、自分の会社の書式を持ってくる

会社の忘年会や歓送迎会の幹事は、店を探す前に社内の手続きを踏んでいます。会場費の稟議、参加者の取りまとめ、経費の精算。そのどれもが社内の書式で動いているので、店に問い合わせる段階では、すでに何かのファイルが手元にできあがっています。

だから最初のメールに、その書式がそのまま添付されます。「この様式で見積もりをいただけますか」という一文と、社名の入った表計算のファイル。「この日程で押さえたいので、稟議に貼る資料をください」という依頼と、去年別の店で使った案内文書。店側が求めていない形式のものが、先に届きます。

これは面倒な相手の行動ではありません。社内の手続きを止めないための、合理的な動きです。受付側がここで手間取ると、幹事の社内の締切に間に合わなくなり、そのまま別の店に流れます。宴会の問い合わせは、返信の速さがそのまま成否につながる種類の問い合わせです。

名簿は一度で終わらない

宴会の受付でいちばん扱いが重いのが、参加者名簿です。人数の確定に必要で、席次にも使い、アレルギーや食事制限の申告も同じ表に載ってきます。

問題は、名簿が一度で確定しないことです。仮の人数で一度送られ、締切前にもう一度、当日の朝に「二名減りました」と三度目が届きます。同じファイル名で上書きして送ってくる幹事もいれば、日付を付けて別ファイルで送ってくる幹事もいます。受付側の受信箱には、似た名前の表計算ファイルが三つ並びます。

どれが最新なのかは、メールの受信時刻を見ないと分かりません。そして厨房に渡す紙を印刷するときに、古いほうを開いてしまう事故が起きます。アレルギーの申告が新しい名簿にしか載っていなかった場合、これは提供そのものに関わる事故になります。

写真も一緒に届く

宴会と貸切の相談では、写真も無視できない量が届きます。誕生日の飾り付けに使いたい装飾の見本、持ち込みたいケーキの完成予想、前に使った店の座敷の様子、社旗やのぼりを置きたい位置を示した店内の写真。二次会の告知に使う画像を先に送ってきて、これを店の入口に貼れるかと聞かれることもあります。

これらは名簿ほど重い情報ではありませんが、枚数が多くなりがちです。スマートフォンで撮った写真を五枚まとめて送られると、それだけで添付の上限に触れます。

メール添付で受け取ると、宴会の受付はどこで止まるのか

開けない、送れない

まず単純に、開けないファイルが届きます。表計算のファイルは、作った側のソフトと店側のソフトが違うと、レイアウトが崩れて読めなくなることがあります。近年のスマートフォンで撮った画像は、標準の設定のままだと従来と違う形式で保存されることがあり、店のパソコンの環境によっては開けません。送った本人は普通に見えているので、開けないことに気づきません。

逆方向でも止まります。多くのメールサービスで、添付の上限はおおむね25MB前後に設定されています。最近のスマートフォンは一枚の写真が数MBあるので、四枚も五枚も付ければ簡単に超えます。送信エラーは送った側にだけ返るので、受付側は「問い合わせが来ていない」としか分かりません。返事が来ないと感じた幹事は、次の店に問い合わせます。

この二つは、どちらも受付の努力では減らせません。相手の端末の設定と、メールの仕様の問題だからです。案内文に「重いファイルは分けて送ってください」と書いても、送る前にその一行を読む人はほとんどいません。だからこそ、受け取る形そのものを変える価値があります。

どの宴会の名簿なのか、分からなくなる

添付で届いたファイルの名前は、送り主の都合で付いています。「参加者リスト.xlsx」「名簿最新.xlsx」「IMG_1234.jpeg」。誰のどの宴会のものかは、メールの本文と並べて初めて分かります。

ところが受付の作業は、メールを開いたままでは進みません。ファイルを保存し、フォルダに置き、締切が近づいたら見返します。その瞬間に、ファイルと予約のつながりが切れます。同じ月に十件の宴会が入っていれば、「参加者リスト.xlsx」という名前のファイルが十個フォルダに並びます。保存するときに手で名前を付け直す運用にしている店もありますが、忙しい日に一件抜けると、そこから元に戻せません。

探し当てられなかったときに起きるのは、単なる遅延ではありません。別の団体の名簿を見ながら席次を組んでしまう事故です。宴会の名簿には社名と役職が並んでいることが多く、取り違えたまま席札を印刷すれば、当日その場で分かります。

受信箱が、名簿の置き場になる

いちばん重いのはここです。宴会の名簿には、氏名、所属、役職、ときには連絡先が並びます。アレルギーや食事制限の申告が同じ表に載っていることもあります。学校や地域の団体の宴会なら、未成年が含まれるかどうかの情報も入ります。

メールの添付で受け取るということは、それらが受信箱の中に溜まり続けるということです。検索すれば出てきます。転送すれば複製が増えます。店の共用アドレスを社員とアルバイトが同じ端末で見ている店なら、その全員が過去の名簿を開けます。誰がいつ見たかは、どこにも残りません。

個人情報の保護に関する法律は、事業者に対して次のように定めています。

個人情報取扱事業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失又は毀損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない。 出典: 個人情報保護委員会

必要かつ適切な措置が具体的に何を指すかは、事業の規模や取り扱う中身によって変わります。断定はできませんし、判断に迷う場面では所管の窓口や専門家に確かめてください。ただ、取引先の社員名簿が店の受信箱に無期限で溜まっている状態が、後から説明しやすい状態でないことは分かります。

添付をやめると決めたとき、最初に置き換えるもの

入り口にファイルの欄を作る

添付をやめるというのは、名簿や写真を受け取らないという意味ではありません。名簿は受け取らないと宴会は組めません。変えるのは受け取る場所です。

具体的には、宴会と貸切の問い合わせの入り口を送信フォームにして、その中にファイルを選ぶ欄を置きます。すると三つが同時に片づきます。第一に、ファイルと本文が同じ一件として届くので、ファイル名が何であってもどの宴会のものか分かります。第二に、届く先が受信箱ではなくなるので、メールを見られる人と名簿を見られる人を別々に決められます。第三に、送る前に何を送ればよいかを画面上で伝えられます。

置く欄は多くする必要がありません。宴会と貸切の受付なら、幹事の名前、連絡先、会社名や団体名、希望日と時間、人数の見込み、予算の目安、貸切かどうか、相談したい中身、ファイル。この9項目で、初回の返信に必要な材料はほぼ揃います。欄が増えるほど途中でやめる人が増えるので、増やしたくなったら「その欄が無いと返信できないか」を基準に削ります。

受け取る形式と枚数を、先に決める

欄を作るときに一緒に決めておくのが、受け取る形式と枚数です。何でも受け取れる状態にしておくと、動画が届きます。前の店でやった余興の様子を撮った動画を送られても、受付でできる判断は増えません。容量が大きく、開くのに時間がかかり、どこを見ればよいのかも分かりません。

宴会の受付で必要なのは、名簿の表計算ファイルか PDF が一つと、相談の中身が分かる画像が数枚です。合計5点もあれば、初回の返信を組み立てる材料としては足ります。上限を決めておけば、送る側も迷いません。

形式は、一般的な画像の形式と、表計算と PDF に絞ります。絞ったうえで、うまく送れなかった人のための逃げ道を一つだけ用意しておきます。逃げ道が無いと、送れなかった人は結局メールに添付して送ってきます。

何のために使い、いつまで置くかを送信画面に書く

ファイルを送ってもらう画面には、そのファイルを何のために使い、どれくらい置いておくのかを書きます。法律は、取得の場面について次のように定めています。

個人情報取扱事業者は、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を、本人に通知し、又は公表しなければならない。 出典: 個人情報保護委員会

送信画面に一行あるかどうかで、後の運用がまるで変わります。「ご予約の準備と当日のご案内にのみ使用します。店の宣伝や事例の掲載には使いません」と書いてあれば、名簿を見る側の迷いも消えます。逆に何も書いていないと、宴会の様子を撮った写真を店の告知に使ってよいかという判断が、そのつど発生します。

受け取った名簿を、どこに置くか

台帳とファイルを別々に置かない

ファイルの受け取りをフォームに変えても、受け取ったあとで別のフォルダに移してしまうと、元の詰まりが戻ります。ファイルが並んだフォルダと、宴会の一覧が書かれた台帳を、人間の記憶でつなぐことになるからです。

置き場所の理想は単純で、その一件を開けば名簿も本文も返信の状況も同じ画面に出ることです。受付を店長ひとりで回している店なら、開く場所が一つであることの効き目は大きい。探す時間がゼロになるだけでなく、古い名簿を開いて席次を組む事故も消えます。

同じ画面に置く効き目は、人が増えたときにさらに出ます。宴会の担当を社員で分けている店なら、件ごとに担当が分かる状態になっていれば、口頭で引き継ぐひと手間が消えます。

厨房とホールに渡すのは、名簿そのものではない

宴会の名簿は、店の中で必ず共有されます。厨房はアレルギーと食事制限を知る必要があり、ホールは人数と席の配置を知る必要があります。ここで多くの店がやっているのが、届いた名簿をそのまま印刷して貼る運用です。

しかし厨房が必要としているのは、氏名ではありません。「三番テーブルの二名が甲殻類を除く」という情報です。ホールが必要としているのは、席の数と幹事が誰かであって、参加者全員の役職ではありません。

だから、渡すときに要る部分だけを切り出します。手間が増えるように見えますが、切り出した紙は当日限りで捨てられるので、かえって後始末が楽になります。名簿の原本を厨房の壁に貼ったまま翌週まで残っている状態を、無くせます。

いつ消すかを、受け取る前に決める

保管の話でいちばん抜けるのが、消す側です。法律は、使う必要がなくなったデータについて次のように定めています。

個人情報取扱事業者は、利用目的の達成に必要な範囲内において、個人データを正確かつ最新の内容に保つとともに、利用する必要がなくなったときは、当該個人データを遅滞なく消去するよう努めなければならない。 出典: 個人情報保護委員会

宴会の名簿がいつまで必要かは、店によって変わります。当日が終われば不要という考え方もあれば、翌年の同じ時期に同じ団体から相談が来るので残しておきたいという考え方もあります。どちらでも構いませんが、決めていない状態だけは避けます。決めていないと、事実上は永久保存になります。

決め方は、期間を一つ置くだけで足ります。開催から3か月経った件の名簿は消す、というような形です。翌年の相談に備えたいなら、名簿そのものは消し、団体名と幹事の連絡先と人数だけを台帳に残す形にすれば、必要な情報は保ちながら中身は減らせます。期間を決めておけば、消す作業を月に一度の作業として組み込めます。思い出したときにやる作業は、いずれやらなくなります。

個人の端末とグループトークで受け取らない

幹事と店長が私物の番号でつながる

飲食店で起きやすいのが、店長が自分のスマートフォンで宴会の相談を受けてしまう形です。常連の幹事とは番号を交換している、下見に来たときにその場で連絡先を渡した。そこに名簿が届きます。

これは店側から見ると、把握できない場所に名簿が置かれた状態です。誰が持っているのか、いつまで残るのか、店では分かりません。名簿だけでなく、当日の緊急連絡先や支払いの相談も同じ場所に溜まります。

止め方は、禁止を言い渡すことではなく、店の入り口を使ったほうが楽だと分かる状態にすることです。宴会の相談が店の窓口に届いて、そのまま担当の手元に回るなら、私物の番号を教える理由がありません。禁止だけを先に置くと、隠れて続くだけになります。

人が入れ替わるときに、引き継げない

私物の端末に残る問題は、退職のときに一気に表面化します。相談の途中だった件、仮押さえで止まっていた件、まだ返していない件が、まとめて見えなくなります。引き継ぎの紙に書き写す作業が発生し、書き写す時間が無ければ、そのまま消えます。

飲食店は人の入れ替わりが起きる業種です。入れ替わっても宴会の受付が止まらない形にしておくことが、そのまま店の守りになります。店の窓口に届いて店の中に残っていれば、担当を付け替えるだけで済みます。

宴会の書類が店の外に出る場面

請求と領収の宛名を扱う

会社の宴会では、支払いのあとに書類のやり取りが続きます。請求書の宛名、部署名、担当者名、社内の経理に出す領収書の但し書き。これらは店の売上の記録と紐づくので、名簿とは別の場所に残ります。

ここで起きやすいのが、経理の担当者と受付の担当者が別々にファイルを持つ状態です。受付は名簿を持ち、経理は請求先の情報を持ち、どちらも同じ宴会の情報なのに、突き合わせるときに人の記憶が要る。宴会の一件が同じ画面にまとまっていれば、請求の宛名も同じ件の中に書いておけます。

予約サイトや制作会社に触らせるとき

もう一つ、書類が外に出る場面があります。サイトの制作や予約まわりを外の会社に頼んでいると、その会社が店のフォームや管理画面に触れることがあります。作業のために一時的にアクセスさせている状態も含まれます。

法律は、扱いを外部に任せる場合について次のように定めています。

個人情報取扱事業者は、個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合は、その取扱いを委託された個人データの安全管理が図られるよう、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。 出典: 個人情報保護委員会

必要かつ適切な監督が具体的に何を指すかは、任せる範囲によって変わります。判断に迷うときは所管の窓口や専門家に確かめてください。受付の側でできるのは、外の人に渡す権限を作業に必要な範囲にとどめ、作業が終わったら戻すことです。見られる人を絞る話は、店の中の人だけの話ではありません。

入り口が複数あるとき、どこへ寄せるか

飲食店の窓口は、たいてい五つ以上ある

飲食店への問い合わせは、一か所には来ません。グルメサイトの問い合わせ欄、店の公式アカウントのトーク、写真投稿サービスのダイレクトメッセージ、店のサイトのフォームかメールアドレス、そして電話。少なく見ても5つの入り口があり、それぞれに別の幹事から相談が届きます。

厄介なのは、同じ幹事が複数の入り口を使うことです。グルメサイトで日程を相談したあとに、名簿だけをメールで送ってくる。電話で「メールしました」と言われて探すと、届いているのは公式アカウントのトークだった。ひとつの宴会が三か所に分かれると、返した気になって返していない状態が生まれます。

寄せ方を決めるとき、全部を一本にするのは現実的ではありません。グルメサイト経由の問い合わせをサイトの外に出させることはできませんし、公式アカウントを閉じれば常連の相談経路が消えます。決めるべきなのは、どこをファイルの入り口にするかという一点です。

重い中身だけ、置き場を一つにする

現実的な寄せ方は、日程の相談は今までどおり各窓口で受けたうえで、名簿やアレルギーの申告のような重い中身だけを一か所に寄せる形です。「参加者のご名簿はこちらのページからお願いします」という一行と、その先のフォーム。これを各窓口の定型文に入れておきます。

この形の利点は、切り替えを段階的にできることです。全部を一度に移すと、常連からの連絡が届かなくなる時期が生まれます。重い中身から順に移せば、届かなくなって困るものが先に安全な場所へ移ります。

もう一つの利点は、寄せた先で数えられるようになることです。どの窓口から何件が流れてきたのかが分かれば、次に力を入れる窓口も見えます。

電話で受けたものを、その場で入り口に流す

電話は無くなりません。特に直前の人数変更は電話が早い。ただ、電話で受けた内容を紙のメモに書いて予約台帳に挟む運用が残っていると、そこだけが管理の外に出ます。

電話で受けたときに、受付側からフォームの案内を送る形にすると、そこが埋まります。「いまお伺いした内容の確認と、ご参加のみなさまのお名前をこちらから送っていただけますか」と伝えて、案内の短い文面を送る。相手にひと手間を掛けることになりますが、名簿を送ってもらう必要がある宴会なら、どのみち何かの手間は発生します。

紙のメモは、その日のうちに誰かが見なければ消えます。書いた本人が休みの日に、挟まれたメモの意味を他の人が読み解くのは難しい。電話で受けた内容も件として残る形にしておくと、休みの人の分を代わりに返せます。

受け取り方を変えた直後に起きるつまずき

案内を出しても、しばらくは添付が届く

入り口を変えた直後、添付のメールはゼロにはなりません。以前に控えた店のメールアドレスを使う幹事がいますし、検索で古いページに着く人もいます。ここで「案内したのに読まない」と考えると運用が続きません。

続く形にするには、添付で届いた分の受け方を先に決めておきます。届いたら、フォームの案内を返して送り直してもらうのか、それとも受付側でその一件をフォーム側に写して続けるのか。どちらでもよいのですが、決めておかないと、届いた人によって扱いが変わります。

多くの店に合うのは、後者です。宴会の相談で送り直しをお願いすると、そこで幹事は他の店に移ります。受付側が写すほうが早い。写す作業が発生するのは移行の期間だけで、案内が行き渡れば自然に減ります。

通知だけが飛んできて、開くのを忘れる

もう一つよく起きるのが、フォームに変えたことで、かえって見落としが増える時期です。受信箱で受けていたころは、他のメールと並んで目に入っていました。専用の場所に届くようになると、見に行かないと見えません。

対処は単純で、届いたことを知らせる先を、いま一日に何度も開いているものに合わせることです。メールを一日中見ている店ならメール、公式アカウントの管理画面を開きっぱなしにしている店ならそちら。習慣を変えずに済む場所に通知を出します。

そのうえで、開かないと閉じられない状態にしておきます。返していない件が一覧の上に残り続ける形なら、見落としは翌日に持ち越されません。通知だけを飛ばして、残っているかどうかがどこにも出ない形が、いちばん抜けます。

全部の欄を必須にしてしまう

三つ目のつまずきが、欄の作り方です。せっかく作るのだからと全部の欄を必須にすると、送信の直前でやめる人が出ます。特に効くのが予算の欄です。相談の段階では予算を先に言いたくない幹事が一定数いて、必須にすると、その人たちはそのまま離れます。

必須にするのは、返信ができなくなる欄だけです。幹事の名前と、返信先の連絡先が一つ、希望の日程。あとは任意にしておきます。任意にしても、必要な人はちゃんと書きます。書かれなかった項目は、返信のときに聞けば済む話です。

名簿の欄も、必須にしないほうが結果は良くなります。初回の問い合わせの段階では名簿がまだ無いのが普通で、必須にすると問い合わせそのものが止まります。名簿は人数が確定してから送ってもらえばよいので、送信画面には「ご名簿は後日で構いません」と一行だけ添えておきます。

受け取り方を変えるときに見る比較の軸

いま使っている入り口を変えるとき、どこを比べればよいのかを整理します。作りやすさではなく、届いたあとに自分で回せるかを軸にします。

第一の軸は、送る側にアカウント登録を求めるかどうかです。求める形だと、相談の途中でやめる人が出ます。宴会の幹事は複数の店に同時に問い合わせているので、手前に壁を置くと届く数がそのまま減ります。無料で使える定番の道具と、送信されたあとの扱いがどう違うのかは、Googleフォームとの比較で、回答が表に溜まったあとに何が起きるかという観点から整理されています。

第二の軸は、届いたあとに担当と状況を持たせられるかどうかです。返したかどうかが件ごとに残らないと、二重返信と返し忘れは必ず起きます。宴会の問い合わせは仮押さえの期限が絡むので、返信の遅れがそのまま失注につながります。すでにサイトにフォームを置いている店であれば、Contact Form 7との比較に、送信の通知だけが飛ぶ状態と、送信後の管理まで持つ状態の違いがまとめられています。

第三の軸は、ファイルの受け取りが標準で付いているかどうかです。名簿の欄を後から足せるか、上限や形式を指定できるか、届いたファイルが本文と同じ画面に並ぶか。この三点が揃っていないと、結局はフォルダとの往復が残ります。仕様は変わるので、比べるときは各サービスの公開資料でその時点の内容を確かめてください。

実際にどう動くのかを先に見たい場合は、動くところを見るで、送信されたあとの画面がどうなっているかを触れます。フォームを作る画面よりも、届いたあとの画面のほうを長く見たほうが判断がしやすい。送信されたあとの道具がそろっているかどうかは、作る画面を見ても分からないからです。

料金の考え方も、比べる前に見ておくと迷いが減ります。料金には、どの範囲までが基本に含まれるのかが書かれています。

受け取り方を変えたあと、何を見て良し悪しを判断するか

入り口を変えたら、変えた効果を見る材料が必要です。感覚で判断すると、変えたことを正当化する方向に記憶が寄ります。

見るべきものは三つあります。一つ目は、名簿やファイルが付いた問い合わせの件数です。添付が届かないようになった代わりに、そもそもファイルが届かなくなっていたら、入り口の作りに問題があります。二つ目は、最初の返信までにかかった時間です。宴会の相談は返信の速さがそのまま成約につながるので、ここが縮んでいなければ変えた意味が薄い。三つ目は、返していない件が残った日数です。

この三つは、どれも件ごとの記録が残っていれば数えられます。逆に言えば、受信箱で受けている限りは数えられません。数えられる状態にすること自体が、入り口を変える理由の一つです。

飲食店以外の受付でも同じ構造が繰り返し出てきます。届いたものに写真や書類が付いてきて、その置き場と担当が決まっていないと詰まる。どの場面でどう詰まるのかは、問い合わせの受付に、受け取ってから返すまでの流れとして整理されています。宴会のように日付と人数を押さえる受付は、イベントの申し込みの形に近く、締切と定員をどう扱うかという観点でまとめられているので、貸切の受付を組むときの参考になります。

最後に、順番の話をします。名簿や写真の受け取り方を変えるとき、多くの店は「安全な保管方法」から考え始めます。しかしそこから始めると、決めることが多すぎて止まります。先に決めるのは、どこで受け取るかです。受け取る場所が一つに決まれば、見られる人を絞る話も、いつ消すかの話も、その一か所についてだけ決めればよくなります。受信箱と私物の端末とパソコンのフォルダに散らばったまま安全を確保しようとするから、終わらないだけです。

Q1. 宴会の参加者名簿をメールの添付で受け取ることは、そもそも禁止されているのですか?

禁止されているわけではありません。問題は、取引先の社員名簿やアレルギーの申告が受信箱に無期限で溜まり、誰がいつ見たかも残らない状態になりやすい点です。個人情報の保護に関する法律は、安全管理のために必要かつ適切な措置を求めています。何が適切かは店の規模や取り扱う中身によって変わるため、判断に迷う場面では所管の窓口や専門家に確かめてください。

Q2. 幹事から写真や資料が送れないと言われます。どこを直せばよいですか?

まず容量です。多くのメールサービスで添付の上限は25MB前後で、最近のスマートフォンの写真を数枚付けると簡単に超えます。送信エラーは送った側にしか返らないので、店側は届いていないことにすら気づけません。送信フォームにファイルの欄を置き、受け取る点数と形式を先に決めておくと、この往復がなくなります。名簿は後日でよいと一行添えておくと、初回の問い合わせも止まりません。

Q3. 名簿が何度も送り直されて、どれが最新か分からなくなります。どうすればよいですか?

ファイルが宴会の一件と同じ画面に並ぶ形にすると、届いた順番がそのまま残るので迷いません。受信箱で受けていると、似たファイル名が並んで受信時刻を見比べる作業が発生し、古いほうを開いて席次を組む事故につながります。アレルギーの申告が新しい名簿にしか載っていない場合、これは提供そのものに関わる事故になります。送信画面に、送り直しのときは前の分を上書きする旨を一行書いておくのも有効です。

Q4. 受け取った名簿は、いつまで置いておけばよいですか?

法律には具体的な期間の定めがなく、店の考え方で決めることになります。大事なのは期間を決めること自体です。決めていないと事実上の永久保存になります。開催から3か月経った件の名簿は消す、といった形で一つ期間を置き、翌年の相談に備えたいなら団体名と幹事の連絡先と人数だけを台帳に残せば、必要な情報は保ったまま中身を減らせます。

Q5. 厨房やホールに名簿を渡すとき、何に気をつければよいですか?

名簿の原本をそのまま印刷して貼らないことです。厨房が必要としているのは氏名ではなく、どの席の誰が何を除くかという情報で、ホールが必要としているのは人数と席の配置と幹事が誰かです。必要な部分だけを切り出して渡せば、その紙は当日限りで捨てられます。切り出す手間が増えるように見えますが、原本が壁に貼られたまま翌週まで残る状態を無くせるので、後始末はかえって楽になります。

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