保育園の問い合わせ窓口を職員全員が見られるようにしている園は多い。手厚い体制に見えますが、実際に起きるのは逆です。全員が見られる状態は、全員が「誰かが対応しているだろう」と思う状態と同じになります。
そして、実際に動くのはいつも同じ一人です。たいていは事務を兼ねている主任か園長で、その人が休んだ日に窓口が止まります。逆に、二人が同時に気づいて、それぞれ違う日程を提案してしまうこともあります。届いた側から見れば、園の中で話が通っていないように見えます。
この記事では、保育園の問い合わせの担当をどう振り分けるかを決めるために、早い者勝ちが生む事故を先に並べ、振り分けの方式を三つに整理し、シフトが日ごとに動く保育園という職場でどれが回るのかを見ていきます。保育の内容や入園の可否についての判断そのものには触れません。届いたものを受けて返す側の、受付の回し方の話です。
保育園の窓口が、いつも同じ人に寄る理由
見られる人が全員だと、動く人は一人になる
窓口のアドレスを共有し、届いたら全員に通知が飛ぶ形にしている園では、通知を見た全員が同じ判断をします。いま自分は保育室にいる、この件は事務の人が返すだろう、と考えて画面を閉じます。全員が同じ判断をするので、誰も開きません。
夕方になって園長が確認し、まだ返していないことに気づいて自分で返す。これが繰り返されると、職員の側にも「窓口は園長が見るもの」という前提ができます。前提ができたあとは、通知が来ても本当に誰も見なくなります。
現場では、窓口を全員に開いている園ほど、実際に返信を書いている人の数が少ないと言われています。開いていることと、回っていることは別です。
事務を兼ねている人に、全部が集まる
保育園では、問い合わせに返せる情報を持っている人が限られます。何歳児の枠がいくつ空いているのか、見学の予定がどう埋まっているのか、来月からの受け入れが可能なのか。こうした情報は、事務を担当している人か、園長のところにしかありません。
だから、担当を決めていなくても、実質的には一人に決まっています。決めていないのは形だけで、中身は最初から偏っています。問題は、その偏りが誰の目にも見えないことです。見えないので、負荷が高いことも、その人が休んだら止まることも、問題として扱われません。
寄った状態は、その人が休んだ日に崩れる
保育園は職員が交代で休む職場です。有給、研修、体調不良。窓口を実質的に一人で回していると、その人が不在の日に届いた問い合わせは、翌日まで動きません。二日続けて不在なら、二日分が溜まります。
溜まった状態から復帰した日は、通常の業務に加えて溜まったぶんを処理することになります。急ぎの見学の申し込みが混ざっていれば、その時点でもう他の園に取られています。
崩れることが分かっているのに手を打てないのは、代わりに誰が見るのかを決めていないからです。決めるには、まず誰の件なのかが見える必要があります。
早い者勝ちで回すと、三つの事故が起きる
二重返信が、園の信用を削る
二人が同時に気づいて、それぞれ返してしまう事故です。保育園の場合、これは見学の日程で起きます。片方が火曜日を提案し、もう片方が木曜日を提案する。届いた保護者は、どちらが正しいのか分かりません。
日程が二つ来た程度なら笑い話で済みますが、入園の相談で内容が食い違うと重くなります。片方が「来月から空きがあります」と返し、もう片方が「現在は満員です」と返す。この二通が同じ日に届いたとき、園の中で情報が共有されていないことが相手に伝わります。
二重返信は、返した側からは見えません。自分が返したことしか分からないので、事故が起きたことにも気づかないまま次の件に進みます。指摘されて初めて分かる種類の失敗です。
誰も返さないまま、日が過ぎる
もっと多いのがこちらです。開いて読んで、あとで返そうと思って閉じる。閉じた時点で、外から見ると未対応の件と区別がつきません。次に見た人は「これは主任が見たはずだ」と判断して飛ばします。
こうして飛ばされた件は、催促が来るまで動きません。催促が来ない場合、その保護者は別の園に決めています。園としては、問い合わせが来たことすら記憶に残りません。取りこぼしたことに気づけないので、改善のきっかけも生まれません。
途中で持ち主が変わって、経緯が消える
三つ目は、一件を複数の人が触ることで起きます。最初に主任が電話で対応し、翌日に園長がメールで返し、その週の後半に別の職員が来園時に説明する。それぞれが自分の対応しか知らないので、話が少しずつずれます。
保護者から「前に伺ったときは違うご説明でした」と言われて、園の側は何を説明したのか分かりません。誰が何を返したのかが件に残っていないと、経緯を再現できません。保育園の問い合わせは、見学から入園まで数か月にわたって続くことがあるので、この積み重ねが効いてきます。
振り分けの決め方は、三つしかない
用件で分ける
見学の申し込みは誰、入園の相談は誰、求人への応募は誰、と用件ごとに担当を固定する方式です。いちばん分かりやすく、いちばん導入しやすい。
利点は、その人がその用件に慣れることです。見学の日程調整を毎回同じ人がやれば、園の空き枠も頭に入り、往復が減ります。欠点は、その人が休んだ日にその用件だけが止まることと、用件が偏ったときに負荷が偏ることです。保育園では見学の申し込みが圧倒的に多いので、実質的にはその担当だけが忙しくなります。
この方式を使うなら、副担当を必ず決めます。副担当が形骸化しないように、月に何日かは副担当が処理する日を作る園もあります。名前だけの副担当は、実際に必要になった日に動けません。一度も処理したことのない人が、急に見学の日程を出すことはできないからです。
順番に回す
届いた順に、職員へ機械的に割り振る方式です。負荷は平均的にならされます。
職員の人数が多く、事務の時間が全員に均等に取れる園なら成立します。実際には、そういう園はあまり多くありません。
保育園でこの方式が難しいのは、シフトです。今日出勤していない人に割り振られると、その件は明日まで動きません。順番で回すなら、その日の出勤者だけを対象にする必要があります。手作業で回すと、誰の番だったかを覚えておく手間が発生し、結局は続きません。
手が空いた人が取る
一覧に未対応の件が並んでいて、手が空いた人が上から取っていく方式です。取った時点で自分の名前が付き、他の人からは取られたことが見えます。
保育園の働き方には、この方式がいちばん合います。事務の時間が取れるタイミングは人によって違い、日によっても変わるからです。午睡の時間に手が空いた人が三件処理し、夕方に別の人が二件処理する。誰が何件やったかは結果として残りますが、事前に割り振る必要はありません。
早い者勝ちとこの方式の違いは、取ったことが見えるかどうかだけです。取ったことが見えれば二重返信は起きず、取られていない件が残っていれば放置も見えます。
保育園の勤務の形に、どの方式が合うか
シフトが日ごとに変わる
保育園の勤務は、日によって顔ぶれが変わります。早番、遅番、通常、休み。固定の担当を決めても、その人が遅番の日は日中の対応ができません。
この前提があるので、担当を「人」に固定するより、「その日窓口を見る役」を決めるほうが実務的です。今日は誰が窓口を見るのかが朝の時点で決まっていれば、届いたものはその人に集まります。役は日替わりでも構いません。
現場に入っている時間は、返信を書けない
保育士が保育室に入っている時間は、子どもから目を離せません。この時間帯に届いた問い合わせは、物理的に処理できません。つまり、届いた瞬間に誰かが対応する形は最初から成立しません。
成立するのは、事務の時間が取れた人が処理する形だけです。だから振り分けは、届いた時点で確定させるのではなく、処理できる人が現れた時点で確定させます。手が空いた人が取る方式は、この現実にそのまま合っています。
早番と遅番で、返せる時間帯が違う
見学の申し込みへの返信は日中でよいのですが、電話での折り返しは相手の都合に合わせる必要があります。保護者が電話に出られるのは夕方以降が多く、その時間に園にいるのは遅番の職員です。
つまり、メールで返す件と電話で返す件で、向いている担当が違います。用件だけでなく、返す手段でも分ける発想があると、空振りが減ります。連絡が付く時間帯を問い合わせの時点で聞いておけば、この振り分けは機械的にできます。
園の側から電話をかけられる時間帯も限られます。子どもが動いている時間に長い電話はできないので、実際にかけられるのは午睡の時間帯か、夕方の迎えが始まる前の短い時間です。保護者が出られる時間と重なるのは、そのうち後者だけです。ここが合わないまま何度もかけると、留守番電話に残す作業と、折り返しを受けられない時間帯の着信だけが増えます。
一人しかいない日をどう埋めるか
小規模な園では、事務の時間を取れる職員がその日一人しかいない、という日が普通にあります。この日は、振り分けの方式が何であっても、その人に全部が集まります。
そこで決めておくのは、その日に処理する件の順番です。急ぎの見学の申し込みを先に返し、入園の相談と求人は翌日に回す。順番を決めておけば、時間が足りなかった日でも、いちばん失いたくない件だけは返せます。全部を同じ扱いにすると、上から順に処理して、下に沈んだ急ぎの件が残ります。
振り分ける前に、届くものを仕分ける
保育園の窓口には、四種類が混ざって届く
担当を決める作業の前に、何を振り分けるのかをはっきりさせる必要があります。保育園の窓口に届くものは、大きく四つに分かれます。見学の申し込み、入園についての相談、求人への応募、業者からの売り込みです。園によっては、在園の保護者からの連絡もここに混ざります。
この四つは、返す人も、急ぎ具合も、必要な情報もまったく違います。仕分けをせずに担当だけを決めると、担当者は毎回中身を読んで判断することになります。一件あたり1分でも、見学の受付が始まる時期に30件届けば、仕分けだけで30分が消えます。
フォームの先頭で用件を選ばせておけば、この仕分けはほぼ自動で終わります。担当を用件で分ける方式を取るなら、この欄が前提になります。
在園の保護者からの連絡を、同じ窓口で受けない
四種類のうち、いちばん危ないのが在園の保護者からの連絡です。欠席や体調の連絡は当日の朝に届き、その日のうちに現場へ伝わらないと意味がありません。問い合わせの一覧に並んでしまうと、担当者が事務の時間に開くころには昼を過ぎています。
在園の保護者には別の連絡先を案内し、窓口そのものを分けます。分けたうえで、間違ってこちらに届いたものをどう扱うかも決めておきます。届いた時点ですぐ現場に伝える、という一行があるかどうかで、当日の対応が変わります。
営業の売り込みを、仕分けの負担から外す
保育園の代表アドレスには、備品、教材、写真、システム、人材の紹介と、あらゆる売り込みが届きます。数としては見学の申し込みより多いこともあります。
これが同じ一覧に並んでいると、担当者は毎回それをまたいで本来の件を探すことになります。用件を選ばせる欄に営業の選択肢を置いても、選ばれることはまずありません。現実的には、フォーム以外の入り口から来る売り込みを一覧に入れない形にするか、一覧の中で後回しにできる印を付ける形になります。
仕分けの負担は、担当を何人置いても減りません。減らせるのは入り口の形だけです。
担当を決めても回らないときの原因
担当が判断してよい範囲が決まっていない
担当を決めただけでは、返信は早くなりません。担当者は、自分が返してよいのかどうかを迷います。間違えたときの責任が自分に来ると思えば、確認を取ってから返そうとします。確認先は園長なので、結局は園長待ちに戻ります。
必要なのは、返してよい内容の線を先に引くことです。見学の候補日はこの範囲から出してよい、この四つの質問にはこの内容で返してよい、それ以外は回す。この一枚があると、担当者は自分の判断で返せます。
線は細かく作りすぎないほうが使われます。返してよい四つと、必ず回す三つ。この程度に絞り、足りなければ運用しながら足していきます。
引き継ぐ手順が無い
担当が決まっていても、その人が処理し切れないときに次へ渡す手順が無いと、そこで止まります。渡すというのは、口頭で「お願いします」と言うことではありません。誰の件になったのかが、件そのものに反映される必要があります。
口頭で渡すと、渡したつもりと受けたつもりがずれます。渡した側は終わったと思い、受けた側は聞いていないと思う。この行き違いは、忙しい日ほど起きます。渡すときに一言だけ添えるとしても、その一言が件そのものに残っていなければ、翌日には両方の記憶から消えます。
回す先を一人に固定しないことも大事です。判断が要る件を全部園長に回す形にしていると、園長が不在の日にそこで詰まります。回す先を二人にしておき、どちらでも受けられる状態にしておくと、この詰まりが消えます。
誰も見ていない時間帯がある
土曜日、年末年始、職員が研修で不在の日。窓口を見る人が決まっていない時間帯があると、そこに届いたものが埋もれます。保育園の見学の申し込みは、保護者が休みの土日に送られることが多いので、この穴は無視できません。
見る人を決められない時間帯があるなら、その事実を相手に伝えます。自動で返る一通に、返信は平日に行うことと、目安の日数を書いておけば、待つ側の見通しが立ちます。3日以内に連絡します、と書いてあれば、その3日は確認の電話が来ません。
振り分けを、記憶ではなく記録で回す
誰の件かが、件そのものに付いている
振り分けを口頭と記憶で回している限り、上に並べた事故は減りません。必要なのは、届いた件ごとに担当が付き、それが誰からも見える状態です。
担当が付いていれば、取られていない件は一目で分かります。自分が取った件だけを絞って見ることもできます。他の人が取った件に手を出さなくなるので、二重返信も消えます。担当を決める作業そのものは、この仕組みがあって初めて意味を持ちます。振り分けを含めた受付全体の回し方は、問い合わせの受付に、届いてから返すまでの流れとして整理されています。
回したことが、履歴に残る
担当を別の人に変えたとき、変えたこと自体が記録に残ると、行き違いが消えます。渡した側も受けた側も、同じ画面で確認できるからです。
履歴が残ると、あとから経緯を追えるようにもなります。誰が何を返したのかが件に並んでいれば、保護者から前の説明について聞かれても、その場で答えられます。数か月にわたって続く相談ほど、この価値が大きくなります。
休みの人の件を、その日のうちに引き取る
担当が付いている状態なら、その人が休んだ日に「この人の件」を一覧で抜き出せます。抜き出せれば、その日出勤している人がそのまま引き取れます。
担当が付いていない状態では、これができません。誰の件かが分からないので、全部を見るか、何も見ないかの二択になります。全部を見る時間は無いので、実際には何も見ないほうが選ばれます。
職員が入れ替わるときに、引き継げる
保育園は人の入れ替わりがある職場です。担当していた職員が異動する、退職する。そのとき、進行中の問い合わせがどれだけ残っているのかが分からないと、引き継ぎができません。
口頭で「見学の件がいくつか残っています」と言われても、受ける側はどれのことか分かりません。担当が件に付いていれば、その人の件を一覧で抜き出し、そのまま次の人に付け替えられます。付け替えた履歴も残るので、あとから経緯を追うこともできます。
引き継ぎで抜けた件は、たいてい保護者からの催促で発覚します。前任者と話が進んでいたのに、後任者が何も知らない。この状態は、園としての信用に直接効きます。人が変わることを前提に、担当を記録で持っておく価値はここにあります。
園を複数運営しているとき、振り分けはどう変わるか
どの園への問い合わせかを、先に確定させる
同じ法人でいくつかの園を運営している場合、問い合わせの窓口を法人で一つにしている形と、園ごとに分けている形があります。どちらでも構いませんが、一つにするなら、どの園への問い合わせなのかをフォームの先頭で選ばせる必要があります。
これが無いと、本文を読んで判断することになります。園の名前を正確に書いてくる人ばかりではなく、最寄り駅の名前や、通っている友人の名前で書いてくる人もいます。判断を誤ると、空きのない園の担当が対応することになり、そこからさらに回すことになります。
園を選ばせる欄があれば、その値でそのまま担当を決められます。用件で分ける方式と組み合わせると、園と用件の二段で自動的に振り分けられます。
本部で受けるか、園で受けるかを決める
法人の本部がまとめて受けて各園に回す形は、窓口が一本化されて見やすくなります。ただし、見学の日程のように園でしか答えられない件は、必ず回すことになります。回す一手が毎回入るぶん、返信は遅くなります。
園ごとに受ける形は、返信が早い代わりに、園によって対応の質がばらつきます。本部からは何件届いていて何件返したのかが見えません。
どちらを選ぶかは、法人として何を揃えたいかで決まります。返信の速さを優先するなら園で受け、対応の水準を揃えたいなら本部で受ける。中間として、見学は園、入園と求人は本部、という分け方を取る法人もあります。分けるなら、その線を問い合わせの入り口の選択肢に反映させておきます。
振り分けを変えるときの順番
全部を一度に変えない
振り分けの方式を変えると、職員の動き方が変わります。一度に全部を変えると、変えた直後に混乱が起きて、元の形に戻ります。戻ったあとは「試したがうまくいかなかった」という記憶だけが残り、次に変えるのが難しくなります。
先に変えるのは一つだけにします。おすすめは、担当が付いていることを見えるようにすることです。方式そのものは早い者勝ちのままでよく、取ったら名前を付ける、という一手だけを足します。これだけで二重返信は消えます。
その状態を数週間続けると、誰が何件取っているかが見えてきます。偏りが数字で見えてから、次の手を決めます。順番を逆にすると、直す必要のないところまで触ることになります。
決めごとを、口頭で伝えない
新しい振り分けを職員に伝えるとき、朝の打ち合わせで口頭だけ、という形にすると必ず崩れます。その日いなかった人には伝わらず、伝わった人も一週間で細部を忘れます。
書いて貼るところまでやります。誰が何を担当するのか、どこまで自分の判断で返してよいのか、迷ったら誰に回すのか。この三つが一枚に収まっていれば足ります。長い手順書を作ると読まれません。
変えたあと、一か月は様子を見る
新しい形が定着するまでには時間がかかります。変えた直後は、以前の形と新しい形が混ざり、かえって手間が増えたように感じます。ここで戻すと、何も変わりません。
一か月続けてから、数字を見て判断します。返信を書いた人の数、担当が付くまでの時間、園長に回ってきた件数。この三つが動いていなければ、方式ではなく別のところに原因があります。
担当を分けると、見られる情報の範囲も決まる
担当を分けるということは、誰がどの問い合わせを見るかを決めるということでもあります。保育園の問い合わせには、子どもの生年月日、保護者の連絡先、家庭の状況にかかわる記述が含まれます。
個人情報の保護に関する法律は、事業者に対して次のように定めています。
個人情報取扱事業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失又は毀損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない。 出典: 個人情報保護委員会
窓口のアドレスを全員が見られる形にしていると、家庭の事情が書かれた相談まで、その日出勤している人全員の目に入ります。誰が見たのかも残りません。担当を決めて見る人を絞ることは、回すための仕組みであると同時に、預かった情報の扱いを整えることでもあります。
何が適切かは園の規模や運営の形によって変わります。判断に迷う場面では、所管の窓口や専門家に確かめてください。
振り分けの仕組みを選ぶとき、道具のどこを見るか
第一の軸は、届いた件に担当と状態を持たせられるかどうかです。ここが無いと、担当を決めても記憶で回すことになります。すでにサイトにフォームを置いている園であれば、Contact Form 7との比較に、送信の通知がメールで飛ぶだけの状態と、届いたものを一覧で持つ状態の違いがまとめられています。
第二の軸は、集めた回答をそのあと誰が触れるかです。無料で使える定番の道具との違いは、Googleフォームとの比較で、回答が表に溜まったあとに何が起きるかという観点から整理されています。表を共有する形だと、見る人を絞ることと、皆で処理することが両立しません。
第三の軸は、担当を変えた履歴が残るかどうかです。何ができるのかはできることに一覧があります。実際にどう動くのかは動くところを見るで触れます。作る画面より、届いたあとの画面を長く見たほうが判断しやすい。送信されたあとの道具がそろっているかどうかは、作る画面を見ても分からないからです。
同じ振り分けの構造は、求人への応募を受けるときにも出てきます。園で採用の受付も兼ねているなら、採用の応募受付のほうも合わせて見ておくと、混ぜてはいけない線がどこにあるのかが分かります。
担当を決めたことを、外にどう伝えるか
返信の差出人を、園として揃える
担当を分けると、返信を書く人が複数になります。このとき、返信の差出人が職員ごとにばらばらだと、受け取る側は誰と話しているのか分からなくなります。前の返信と別の人から届くと、話が引き継がれていないように見えます。
差出人は園の名前で揃え、本文の中で担当者の名前を出すのが分かりやすい形です。相手からの返信も園の窓口に戻ってくるので、担当が変わっても一覧の中で繋がります。
誰が答えたのかを、本文に書く
担当者の名前を本文に書いておくと、相手が電話をかけてきたときに指名できます。指名されれば、受けた側もすぐに件を特定できます。名前が無いと、保護者は「先日メールをくださった方」としか言えず、そこから探す手間が発生します。
同時に、園の中でも記録として残ります。誰が何を返したのかが件に並んでいれば、あとから経緯を追えます。見学から入園まで数か月にわたって続く相談ほど、この価値が大きくなります。
振り分けを変えたあと、何を見て良し悪しを判断するか
変えた結果は、三つの数字で見えます。
一つ目は、返信を書いた人の人数です。数字としては単純ですが、振り分けが効いているかどうかはここに真っ先に出ます。窓口を開いていても実際に返しているのが一人なら、振り分けは効いていません。月に一度、誰が何件返したかを数えます。偏りが残っているなら、判断してよい範囲が伝わっていない可能性が高い。
二つ目は、担当が付いていない件が一覧に残っている時間です。届いた時刻と、担当が付いた時刻の差を見ます。届いてから誰かが取るまでの時間が長いなら、一覧を見る習慣が定着していません。時間を決めて一覧を上から見る形にすると、この数字が縮みます。
三つ目は、園長の手元に回ってきた件数です。ここは負荷の偏りが最も分かりやすく出る数字なので、月ごとに数えておく価値があります。線を引いた前後で減っていれば成功です。減らないなら、担当者が線を信用していないか、線そのものが実際の問い合わせに合っていません。回ってきた件の中身を見れば、どちらなのかが分かります。
この三つは、どれも担当の決め方そのものを見ていません。見ているのは、決めたことで人の動きが変わったかどうかです。振り分けを直す作業は、当番表を作る作業ではなく、一人に寄っていた負荷をほどく作業です。ほどけたかどうかは、その人が休んだ日に窓口が止まらなかったかどうかで分かります。
数字を見るときは、良い月と悪い月を比べないようにします。保育園の問い合わせは季節で数が大きく変わるので、件数そのものを前年と比べても意味がありません。見るのは割合と時間です。何件届いたかではなく、届いたもののうち何件が当日中に取られたか。この形にすると、忙しい時期でも比べられます。
Q1. 保育園の問い合わせは、誰が担当するのが良いですか?
人を固定するより、その日窓口を見る役を朝の時点で決めるほうが実務的です。保育園はシフトが日ごとに変わり、固定の担当が遅番の日は日中の対応ができません。役は日替わりで構いません。あわせて、担当が自分の判断で返してよい内容の線を引いておくと、結局は園長待ちに戻ってしまう事態を防げます。線が無いと、役だけを決めても動きません。
Q2. 早い者勝ちで対応するのは、なぜ良くないのですか?
取ったことが他の人に見えないからです。二人が同時に気づいて別々の日程を提案する二重返信と、全員が誰かが見たはずだと思って誰も返さない放置が、同じ理由で起きます。手が空いた人が取る形自体は保育園に合っています。違いは、取ったことが件に記録されて他の人から見えるかどうかだけです。見えていれば、二重返信も放置も同時に減ります。
Q3. 担当を決めたのに返信が早くなりません。何が足りないのですか?
担当が返してよい内容の線が引かれていない可能性が高いです。線が無いと、担当者は間違えたときの責任を避けて確認を取ろうとし、結局は園長待ちに戻ります。返してよい四つと、必ず回す三つ程度に絞った一枚を作ると変わります。細かく作りすぎると読むのに手が止まるので、運用しながら足していきます。園長の手元に来る件数が減ったかどうかで、効いているかを確かめられます。
Q4. 担当者が休んだ日の問い合わせは、どう扱えばよいですか?
担当が件ごとに付いていれば、その人の件だけを一覧で抜き出して、出勤している人がまとめて引き取れます。担当が付いていない状態では全部を見るか何も見ないかの二択になり、忙しい日は後者が選ばれます。休みが分かっている日は、朝の時点で引き取る人を決めておくと確実です。決めていないと、全員が休みの人の件だと判断して触らなくなります。
Q5. 土日に届いた見学の申し込みは、どうすればよいですか?
保護者が休みの土日に送られるものは多いので、この時間帯の穴は無視できません。見る人を置けないなら、その事実を相手に伝えます。自動で返る一通に、返信は平日に行うことと、3日以内に連絡するといった目安を書いておけば、待つ側の見通しが立ち、確認の電話も減ります。土日に届いた分は、月曜の朝に一覧の上から処理する形にしておきます。
