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保育園が集めた個人情報の扱い|同意をどこまで取っておくか

2026年9月7日 ・ Halict編集部

見学の予約フォームの自由記入欄に、家庭の事情が長文で書かれて届く。電話で空き状況を尋ねられただけのはずが、話しているうちに転職の予定と離婚調停の話まで出てくる。保育園の受付では、園が聞こうとしていない情報が向こうから届きます。集めるつもりがなくても、届いた時点で園が持っている情報になります。この記事では、保育園の見学と入園の問い合わせで実際に手元に残る個人情報を種類ごとに並べ、同意をどこで取るか、誰が見てよい形にするか、いつまで置くかを、決める順番に沿って整理します。法律の解釈を断定する記事ではありません。園として先に決められることを、書ける形にするための整理です。

見学と入園の問い合わせで、園は何を受け取っているのか

扱いを決める前に、いま何を持っているかを棚卸しする必要があります。園が受け取っている情報は、想像しているより幅があります。

見学の予約で受け取るもの

見学の予約に必要な項目は、それほど多くありません。保護者の氏名、電話番号かメールアドレス、子どもの生年月日か月齢、希望する日の候補、きょうだいが在園しているかどうか。この五つで日程は決まります。

ところが実際のフォームには、住所、勤務先、希望する入園時期、現在の保育の利用状況といった欄が並んでいることがよくあります。あとで使うかもしれないという理由で欄が増え、そのまま何年も残っている状態です。使っていない欄は、園が持たなくてよい情報を毎回集め続けている状態でもあります。

入園の相談で受け取るもの

見学のあと、入園の相談に進むと情報の性質が変わります。保護者の就労の状況、勤務先の名称と就労時間、きょうだいの学年と在籍先、転居の予定、現在利用している施設、家庭の状況。認可の保育園であれば、これらは自治体が利用調整のために確認する事柄です。ただ、保護者は目の前で相談に乗ってくれた園にも同じ話をします。

さらに、子どもの体調やアレルギー、発達についての相談が加わります。ここは特に慎重に扱う必要がある領域です。園が判断するのは受け入れの体制を組めるかどうかであって、医学的な評価ではありません。中身の判断には踏み込まず、受け入れの検討に必要な範囲で預かるという線引きを、あらかじめ言葉にしておきます。

受け取るつもりがなかったのに届くもの

もっとも扱いに困るのが、自由記入欄に書かれた事情です。「上の子のときに前の園で嫌な思いをした」「祖父母の介護があって送迎が難しい日がある」「配偶者と別居していて連絡先を分けたい」。園に配慮してほしいという気持ちから、保護者は詳しく書きます。

これらは園が求めた情報ではありません。それでも届いた以上は、他の情報と同じ場所に残ります。自由記入欄がある限り、この種の記述はゼロにはなりません。だからこそ、自由記入欄を含めた置き場と保管期間を決める必要があります。

一時保育や病児の利用で受け取るもの

見学と入園以外にも、園が個人情報を受け取る入口があります。一時保育の利用申込がその代表です。ここでは利用する日と時間、子どもの月齢に加えて、その日の家庭の事情が書かれることがあります。冠婚葬祭、通院、上の子の学校行事、保護者の休養。理由の欄を設けている園では、この欄に踏み込んだ事情が書かれます。

病児や体調不良のときの受け入れを行っている園では、当日の体温や症状の記録が届きます。これは在園児の記録に近い性質を持ちますが、受付の段階で届いたものは受付の記録に残ります。在園の記録と受付の記録のどちらで管理するのかを決めておかないと、同じ情報が二か所に残ります。

一時保育の利用者は、在園児ではありません。在園児向けに決めた保管のルールがそのまま当てはまるとは限らないため、別に決める必要があります。ここを分けずに運用している園は多く、あとから整理するときに手間が集中します。

園の形態によって、扱う情報の量が変わる

同じ保育園でも、形態によって受付に集まる情報の量は大きく違います。他園の運用をそのまま真似ると、必要のない項目まで集めることになります。

認可の保育園では、入園の申し込みそのものを自治体が受け付けます。園に届くのは見学の依頼と空き状況の確認が中心で、家庭の詳しい状況を園が集める必要は本来ありません。それでも保護者は先回りして書いてくるため、園の側で「その情報は園では扱いません」と返す場面が出てきます。返す文面を用意しておくかどうかで、園に残る情報の量が変わります。

認可外の保育施設や、園に直接申し込む形の施設では、申し込みの受付そのものが園の仕事です。就労の状況や家庭の状況を園が集めることになるため、利用目的の説明と保管期間の設定が、認可の園より重い意味を持ちます。ここを決めずに運用していると、集めた情報の使い道を説明できない状態が続きます。

小規模の施設では、事務の専任がいないことが珍しくありません。園長が保育に入りながら受付も見ている状態では、届いた情報を整理し直す時間が確保できません。この場合、届いた時点で分類が済んでいる形にしておかないと、片付ける工程が丸ごと欠けます。人手の少なさは、決めごとの少なさで補うのではなく、入口の設計で補うほうが現実的です。

要配慮個人情報という区切りを知っておく

個人情報のなかには、扱いに特に注意が求められる区分があります。法律では要配慮個人情報という言い方をします。病歴などが含まれる区分で、取得にあたっては原則として本人の同意が必要とされています。

個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、要配慮個人情報を取得してはならない。 出典: 個人情報の保護に関する法律 e-Gov

保育園の受付で言えば、食物アレルギーの有無、既往症、通院や服薬の状況、発達に関する診断の話がこの区分に触れる可能性があります。ここで大事なのは、どこまでがこの区分にあたるかを園が独自に判断しないことです。園の形態や自治体の指導によって求められる運用は変わります。判断に迷う部分は、所管の窓口や専門家に確かめてください。制度についての一般的な情報は個人情報保護委員会が公開しています。

園として先に決められるのは、次の二つです。第一に、見学の段階でこれらを聞く必要があるかどうか。第二に、届いてしまった場合に誰がどこに置くか。この二つは法律の解釈を待たずに決められます。

同意をどこで取るか

同意という言葉は抽象的ですが、実務では「どの画面で、何を読んでもらって、何にチェックしてもらうか」という具体的な話になります。

利用目的を先に書く

同意を取る前に、何のために使うのかを書いておく必要があります。法律でも、取得したときは利用目的を本人に知らせるか、あらかじめ公表しておくことが求められています。

保育園の受付であれば、利用目的は難しくありません。見学の日程を調整するため、入園に関する連絡をするため、園からの案内を送るため。この三つ程度で足ります。逆に、書いていない使い方はしないという線がここで引かれます。見学に来た家庭の連絡先を、園のイベントの案内に使ってよいかは、この文面に書いてあるかどうかで決まります。

利用目的は、フォームの送信ボタンの手前と、園のホームページの決まった場所の両方に置きます。片方だけだと、電話で受けた人に伝える手段が無くなります。ホームページに置く場合は、見学の案内のページからたどり着ける位置にしてください。トップページの最下部にだけ置いても、見学を検討している保護者の動線には入りません。

書いた利用目的は、あとから園の運営が変わったときに見直す必要があります。園だよりを紙からメールに切り替えた、法人内の別の園と情報を共有するようになった、といった変更があったときに、文面が追いついているかを確かめてください。書いてある内容と実際の使い方がずれた状態が、いちばん説明しにくくなります。

チェックボックスの作り方

同意のチェックボックスは、作り方で使い勝手が大きく変わります。押さえておきたい点は三つあります。

一つ目は、最初からチェックが入った状態にしないことです。既定でオンになっていると、読まずに送信した人が同意したことになります。これは形としては同意が取れていても、あとで説明できません。

二つ目は、一行で読める文にすることです。長い規約の全文を読ませようとすると、誰も読まずに押します。「見学の日程調整と入園に関する連絡のために利用します」という一行と、詳しい説明へのリンクを分けるほうが実際に読まれます。

三つ目は、同意した日時を記録に残すことです。チェックを入れてもらっただけで記録が残らないと、あとから確認できません。受付の記録の中に、同意の有無と日時が並んでいる状態が理想です。

電話で受けたぶんの扱い

保育園の問い合わせは、電話の割合が高い窓口です。フォームで同意を取る仕組みを作っても、電話から入ってきたぶんは対象外になります。

電話で受けたときは、「園からの連絡のためにお名前と連絡先をお預かりします」と一言添え、受付の記録に「電話で受領、口頭で説明」と残します。文面を決めておけば、誰が電話を取っても同じ説明になります。園長だけが説明できる状態にしないことが大事です。

保管の期間を出来事で決める

保管期間を年数で決めると、たいてい守られません。年度末にまとめて整理する運用は、繁忙期と重なって毎年先送りされるためです。

出来事で決めると運用に乗ります。見学だけで終わった家庭の記録は、見学が終わって次の年度の募集が締まった時点。入園に至らなかった家庭は、その結果が確定してから一定の期間。入園した家庭の問い合わせ時の記録は、在園の記録に引き継いだ時点で受付側からは消す。このように、受付の記録から機械的に判定できる形にします。

法律でも、必要がなくなった個人データは遅滞なく消去するよう努めることが求められています。ただし、園には別の法令や自治体の指導で保存が求められる書類もあります。受付の記録と、在園に関する記録は別の扱いになるという整理をしておくと、混乱が減ります。どちらに属するのか判断がつかないものは、所管の窓口に確かめてください。

3か月のように短い期間を設定する場合は、その期間内に再度連絡が来る可能性を考えます。見学から入園の申し込みまで数か月空くのが普通の業種なので、短すぎると再度一から聞き直すことになります。園の年間の流れに合わせて決めてください。

誰が見てよいかを決める

置き場の議論は、見てよい人の範囲を決めてからでないと進みません。範囲が決まらないまま共有フォルダを作ると、結局は園の全員が開ける状態になります。

保育園の場合、関係する立場は分かれています。園長と主任は入園の検討に関わるため、家庭の状況を含めて見る必要があります。事務の担当は日程調整と連絡のために連絡先を見ます。担任は受け入れの準備のために子どもの状況を知る必要がありますが、家庭の事情の詳細まで見る必要があるかは別の話です。保育補助やパートで入っている職員、実習生については、受付の情報に触れる理由が基本的にありません。

法人が複数の園を運営している場合は、本部がどこまで見るかも決めます。本部が全園の問い合わせを見られる状態は、集計には便利ですが、必要な範囲を超えていないかを確認する価値があります。件数や傾向を見るだけなら、氏名や連絡先まで見える必要はありません。集計のために見るのか、個別の対応のために見るのかを分けて考えると、範囲が決めやすくなります。

範囲を決めるときに見落とされがちなのが、退職した職員と、異動した職員の扱いです。共有フォルダの権限は、人が抜けたあとに更新されないまま残ります。園を離れた人が、いまも受付の情報を開ける状態になっていないかを、年に一度は確認してください。確認する日を年間の予定に入れておかないと、思い出したときにしか行われません。

派遣やパートで入っている職員、実習生、ボランティア、業者についても、線を引いておきます。事務室のパソコンが開いたままになっていれば、権限の設定に関係なく画面は見えます。物理的な配置も、範囲を決める話の一部です。画面の向き、離席時の扱い、印刷した紙の置き場まで含めて決めておくと、設定だけでは防げない部分が埋まります。

決めた範囲は、道具の設定に反映できなければ意味がありません。表計算のファイルを共有フォルダに置くだけでは、範囲を分ける手段がありません。誰がどの情報にたどり着けるかを設定できるかどうかは、道具を選ぶときの判断材料になります。無料で広く使われている道具との違いはGoogleフォームとの比較に整理されていて、集めたあとの権限をどう扱えるかという観点で比べられます。

置き場ごとの向き不向き

保育園の受付で実際に使われている置き方を、起きやすいことと一緒に並べます。

置き方 向いている場面 起きやすいこと
紙の受付簿 電話が中心で件数が少ない 探せない。持ち出せてしまう。集計できない
表計算のファイル 一覧にして見たい 同時に開けない。誰でも全部見える
メールの受信箱 件数が少ない 対応済みが分からない。二重返信が起きる
回答が残るフォーム 件数が増えてきた 権限と保管期間を最初に決める必要がある

この表で見落とされやすいのが、複数の置き方を同時に使っている状態です。電話は紙、フォームは表計算、メールは受信箱という形で三つに分かれている園は珍しくありません。それぞれの置き方に問題があるのではなく、三つに分かれていること自体が問題を作ります。ある家庭について何を預かっているかを確かめるのに、三か所を見る必要があるからです。消すときも三か所を回ることになり、必ずどこかが残ります。

置き方を一つに寄せられないかを、最初に検討してください。寄せられない事情があるなら、少なくとも受付の記録は一か所にまとめ、そこに「電話で受領」「紙の受付簿に記入あり」と印を残す形にします。実体が分かれていても、目録が一つあれば消し漏れは防げます。

紙の受付簿は、意外に根強く使われています。電話が中心の園では、その場で書けるという利点があります。一方で、持ち出しに弱く、あとから集計ができません。園の外に持ち出す可能性があるなら、置き場としては選びにくくなります。

表計算のファイルは、共有フォルダに置いた瞬間に権限の話が消えます。ファイルを開ける人は全行を見られます。列を分けても、行を分けても、ファイル単位でしか権限を設定できないためです。

見学当日に紙で書いてもらうときの落とし穴

受付の話はデジタルだけの問題ではありません。保育園では、見学の当日に紙の受付簿へ記入してもらう園が多くあります。ここにも決めておくべき点があります。

いちばん多いのが、一冊のノートを順番に回す形です。次に書く人の目に、前の人が書いた氏名と電話番号が入ります。悪意がなくても見えてしまう状態で、指摘されてから気づく園がほとんどです。一枚ずつ切り離せる用紙にする、記入した紙をその場で回収する、といった対応で防げます。

もう一つが、受付簿の置き場です。玄関に置きっぱなしにしていると、送迎の保護者や来訪した業者の目に触れます。見学の時間だけ出して、終わったら事務室に戻すという運用を決めておきます。

紙に書いてもらった内容を、あとで表計算に打ち直している園も多くあります。この打ち直しの過程で、原本の紙をどうするかが決まっていないと、机の上に積まれたまま残ります。打ち直したら破棄するのか、一定期間保管するのかを、先に決めてください。

園内の写真と、問い合わせの情報は別の話

保育園では写真の扱いについて、在園児の写真をホームページや園だよりに載せてよいかという同意を取っている園がほとんどです。この同意は、問い合わせで受け取った情報の扱いとは別のものです。

見学に来た保護者が、園内をスマートフォンで撮影することがあります。他の子どもが写り込む可能性があるため、撮影の可否は見学の案内の中で先に伝えておきます。「園内の撮影はご遠慮ください」の一行があるかないかで、その場で止める負担が変わります。

逆に、園の側が見学の様子を記録として撮る場合も、何のために撮るのかを説明する必要があります。記録のためなのか、園の広報に使うためなのかで、必要な説明が変わります。広報に使う可能性があるなら、その場で伝えてください。あとから使う段になって連絡すると、断りにくい状況を作ることになります。

消し方を決める

保管期間を決めても、消し方が決まっていないと残ります。特に注意が要るのは、消したつもりで残る場所です。

表計算のファイルで行を削除しても、そのファイルの過去の版がクラウドの履歴に残っていることがあります。園のパソコンをバックアップしている場合、バックアップ先にも残ります。印刷した紙は、事務室のファイルと、園長の机の引き出しと、破棄予定の箱に分かれて存在します。

メールについては、受信箱から削除してもゴミ箱に残り、一定期間後に消える設定になっていることが多くあります。設定を確認しておかないと、消したつもりの期間が実際とずれます。

個人の端末に残ったものは、園から消せません。だからこそ、個人の端末で開かない運用にできるかどうかが先に来ます。開いてしまった場合の手順を決めておくことも含めて、園の中で共有しておきます。

消す作業を誰がやるかも決めてください。全員の仕事にすると誰もやりません。月に一度、事務の担当が受付の記録を見て条件に合うものを消す、という形にすると続きます。

漏れたときに何をするか

起きないようにするのが第一ですが、起きたときの手順も決めておく必要があります。手順が無いと、その場の判断で対応が遅れます。

まず、園の中で誰に報告するかを決めます。次に、何が、いつ、どの範囲で外に出た可能性があるかを整理します。そのうえで、法人の責任者と、自治体の担当課に相談します。事案の性質によっては、国の機関への報告や本人への連絡が必要になる場合があります。どの場合に何が必要かは法律で定められており、園の判断だけで決めるものではありません。所管の窓口や専門家に確かめてください。

起きたことを園の中で共有するかどうかも、あらかじめ決めておきます。隠すと同じことが繰り返されます。誰が悪かったかではなく、どの手順が抜けていたかを共有する形にすると、報告が上がるようになります。報告した職員が責められる園では、次の事案が隠れます。

現場でよくあるのは、メールの宛先を誤って複数の保護者に見える形で送ってしまう例です。宛先の欄の使い分けを職員全員が理解しているかどうかが、この事故の頻度を決めます。一斉に案内を送る場面がある園では、送信の前に誰かがもう一度確認する手順を入れておくと安全です。

職員のあいだで情報が動くときの決めごと

情報が外に漏れる経路ばかりに目が行きますが、園の中で動くときにも決めごとが要ります。

見学の申し込みを受けた事務が、当日に案内する担任へ内容を伝える。この受け渡しをどうやるかです。口頭で伝えると、伝わらないことと、伝えすぎることの両方が起きます。「アレルギーの相談があった家庭です」だけ伝えれば足りる場面で、自由記入欄の全文を見せてしまう。逆に、必要な配慮が伝わらないまま当日を迎える。

受け渡しの粒度を決めておくと、この揺れが消えます。担任に渡すのは、当日の対応に必要な要点だけ。詳しい記述は園長と主任のところで止める。この線を決めておけば、誰が受け渡しをしても同じになります。

もう一つが、職員の個人の連絡先を使ったやり取りです。急ぎの連絡を、園長が自分のメッセージアプリで担任に送る。内容に家庭の情報が含まれていると、その情報が職員の個人の端末に残ります。退職のときに回収できません。園の中の連絡にどの手段を使うかも、扱いのルールに含めてください。

法人が複数の園を持っている場合は、園をまたぐ相談も出てきます。「うちは空きがないので隣の園を案内したい」という場面で、家庭の情報をどこまで渡してよいかです。第三者への提供にあたるかどうかは法人の形によって判断が変わるため、法人の担当や専門家に確かめてください。

見直しをどう進めるか

いまの運用を見直すとき、いきなり全部を変えようとすると止まります。順番があります。

最初にやるのは棚卸しです。園がいま集めている項目を、フォーム、紙の受付簿、電話のメモ、メールの文面から全部書き出します。この時点で、使っていない項目がかなり見つかります。

次に、それぞれの項目について「何に使っているか」を一行で書きます。書けない項目は、集める理由がない項目です。ここで欄を減らすのが、いちばん効果の大きい作業になります。持っていない情報は、漏れることも、消し忘れることもありません。

三つ目に、残した項目について、見てよい人と保管の条件を決めます。ここまでが紙の上でできる作業です。

四つ目に、決めた内容を実現できる置き場を選びます。順番を逆にして道具から選ぶと、決めごとが道具の制約に引きずられます。表計算のファイルを共有フォルダに置く形を先に選んでしまうと、権限を分けるという選択肢が最初から消えます。

最後に、職員に説明します。説明する内容は三行で足ります。集める項目、見てよい人、消す条件。細かい手順書を配っても読まれません。

同意の文面を作るときの言い回し

実際に書くとなると、どういう表現にすればよいのか迷う部分です。園の受付で使える形を示します。

利用目的の説明であれば、次のような書き方になります。「お預かりした情報は、見学の日程調整、入園に関するご連絡、園からのお知らせの送付に利用します。ご本人の同意なく第三者に提供することはありません。」

同意のチェックボックスであれば、「上記の利用目的に同意します」の一行で足ります。詳しい説明を読みたい人のために、別のページへのリンクを添えます。

問い合わせの返信で改めて伝える場合は、「お預かりしたご連絡先は、見学のご案内と入園に関するご連絡にのみ使わせていただきます」と一行入れます。〇〇保育園、△△といったひな形の形で用意しておき、園名だけ差し替える形にすると、誰が返しても同じ内容になります。

断りの返信でも、同じ一行を入れておきます。空きがないことを伝えるだけの返信でも、預かった連絡先をどう扱うかは伝わっていたほうが親切です。「今回いただいたご連絡先は、次年度のご案内をご希望の場合を除き、こちらで削除いたします」と書けば、保護者は預けた情報の行き先を把握できます。

文面は園長が一人で書き続けるのではなく、ひな形にして共有してください。誰が返しても同じ説明になり、説明の抜けが起きません。

第三者への提供については、法律で原則として本人の同意が必要とされています。保育園の場合、自治体に情報を渡す場面が出てきますが、その根拠と範囲は制度で決まっている部分があります。園が独自に判断するのではなく、自治体の担当課に確認してください。

集めた情報を、受付の記録と同じ場所で扱うと何が変わるか

ここまで書いてきた困りごとには、共通の形があります。情報が複数の場所に分かれて存在し、それをつなぐのが人の記憶になっているという形です。

同意を取ったかどうかはフォームの側にあり、対応の記録は表計算にあり、やり取りの中身はメールの受信箱にある。三つを突き合わせないと、ある家庭について何を預かっていて、どこまで説明していて、いつ消すべきかが分かりません。突き合わせが必要な限り、消し漏れと二重返信はなくなりません。

受付の入口と、対応の記録と、返信が同じ場所にあると、この突き合わせが消えます。誰から、いつ、何を預かって、どの職員が返して、いつ消すのかが同じ行の上に並びます。送信されたあとを回す道具がそろっていることが、そのまま情報の管理のしやすさにつながります。実際の画面でどう見えるかは動くところを見るから確認できます。

もう一つ変わるのが、必要な情報だけを集める形に戻せることです。欄が増える理由の多くは「あとで使うかもしれない」であり、実際に使われているかを誰も確認していません。受付の記録が一覧で見えると、どの欄が実際に参照されているかが分かります。参照されていない欄を消せば、園が抱える情報は減ります。入口の設計をどう組めるかはできることに整理があり、欄の作り方と、集めたあとの扱いを一緒に見ることができます。園の形態や規模によって条件が変わる部分は料金に上限が示されています。

最後に、決めたことを一枚にまとめて職員が見られる場所に置いてください。細かい手順書は読まれません。集める項目、見てよい人、消す条件の三つが書かれた紙が事務室に貼ってあるだけで、現場の判断は揃います。判断が揃えば、園長が一人で抱える必要もなくなります。

Q1. 見学の予約フォームに、勤務先や住所の欄は必要ですか?

見学の日程を決めるだけなら不要です。必要なのは保護者の氏名、連絡先、子どもの生年月日か月齢、希望日の候補、きょうだいの在園の有無くらいです。勤務先や住所は、認可の保育園であれば自治体が利用調整のために確認する事柄で、園が見学の段階で持つ理由がありません。あとで使うかもしれないという理由で残っている欄は、園が持たなくてよい情報を毎回集め続けている状態です。実際に参照している欄だけを残してください。

Q2. 同意のチェックボックスは、最初からチェックを入れておいてよいですか?

入れないでください。既定でオンになっていると、読まずに送信した人まで同意したことになり、あとから説明できません。文面は一行で読める長さにして、詳しい説明は別のページへのリンクに分けます。長い規約の全文を読ませようとすると、誰も読まずに押します。あわせて、同意の有無と日時が受付の記録に残る形にしておくと、あとから確認できます。

Q3. 電話で受けた問い合わせは、同意をどう扱えばよいですか?

電話で受けたときは、「園からのご連絡のためにお名前と連絡先をお預かりします」と一言添え、受付の記録に電話で受領した旨と説明した事実を残してください。文面を決めておけば、誰が電話を取っても同じ説明になります。フォームだけで同意の仕組みを作っても、電話から入ってきたぶんは対象外になります。保育園は電話の割合が高い窓口なので、ここを空けたままにしないでください。

Q4. アレルギーや通院の話が届いたとき、園はどう扱えばよいですか?

中身の医学的な評価には踏み込まず、受け入れの体制を検討するために預かるという線引きをしてください。こうした情報は法律上、扱いに特に注意が求められる区分に触れる可能性があります。どこまでがその区分にあたるか、どのような手続きが必要かは園の形態や自治体の指導で変わるため、所管の窓口や専門家に確かめてください。園として先に決められるのは、見学の段階で聞く必要があるかと、届いた場合に誰がどこに置くかの二つです。

Q5. 保管期間は何年と決めればよいですか?

年数で決めると、年度末の整理が繁忙期と重なって毎年先送りされます。出来事で決めてください。見学だけで終わった家庭は募集が締まった時点、入園に至らなかった家庭は結果が確定してから一定の期間、入園した家庭は在園の記録に引き継いだ時点で受付側から消す、という形です。ただし、別の法令や自治体の指導で保存が求められる書類は扱いが分かれます。判断がつかないものは所管の窓口に確かめてください。

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