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行政書士事務所の問い合わせフォームで聞くこと|答える人の手を止めない設問の並び

2026年9月6日 ・ Halict編集部

行政書士事務所の問い合わせフォームの項目は、集める側の都合ではなく、返信を書く人の都合で決まります。許認可の相談は、聞かれたことに答えるまでに確かめることが多く、設問が一つ足りないだけで一往復が増えます。この記事では、事務所に実際に届く相談を型に分けたうえで、どの設問を必須にし、どの設問を削り、どういう順番で並べるかを整理します。読み終えたときに、いま使っているフォームのどこを直せばよいかが決められる状態を目指します。

行政書士事務所に届くのは「頼む前の可否の相談」

事務所のウェブサイトに置かれた問い合わせフォームに届くものは、依頼ではありません。その大半は、依頼していいかどうかを決めるための前段の相談です。自分の状況で許可が取れるのか、いくらかかるのか、どのくらいの期間で終わるのか、そもそもこの事務所が扱っている手続きなのか。この四つのいずれかを確かめるために送られてきます。

この前提を取り違えて、フォームを依頼の申込書として設計すると、住所や生年月日まで並んだ長い入力欄ができあがり、送信される前に離脱されます。逆に、氏名とメールアドレスと自由記述の三つだけにすると、届いた文面を読んでも費用の見当がつかず、返信の一往復目が確認だけで終わります。どちらも、返信を書く人の手が止まる形です。

許認可の相談で厄介なのは、この確認の一往復が長引きやすいことです。相手は事業者で、日中は現場に出ています。メールを開くのが夜になり、返事が翌日になります。確認が二回入れば、最初の問い合わせから見積もりを出すまでに3日から4日が過ぎます。その間に他の事務所から先に返事が届けば、そちらに決まります。設問設計の目的は、この往復をゼロか一回に抑えることに尽きます。

届く相談は四つの型に分かれる

事務所の窓口に届くものを並べていくと、聞かれていることはおおむね四つに整理できます。

一つ目は、可否の相談です。いまの事業の状況を説明したうえで、この許可が取れるかどうかを聞いてきます。この型は、要件に当てはまるかどうかの判断が要るため、フォームの中身だけでは完結しません。判断そのものは事務所の仕事なので、フォームの役目は、判断に必要な材料が最初の一通に載っている状態を作ることです。

二つ目は、費用と期間の相談です。報酬額と法定手数料の合計がいくらになるか、申請してから許可が下りるまでどれくらいかを聞いてきます。この型は、手続きの種類と申請先が確定していれば、その場で概算が出せます。確定していなければ何も答えられません。

三つ目は、扱っている範囲の相談です。登記のことを聞かれたり、税務のことを聞かれたり、労働保険のことを聞かれたりします。よく聞くのは、相談者が士業の区分を知らないまま、いちばん最初に見つけた事務所に全部を送ってくるという話です。この型は、受付の段階で振り分け先を判断して案内する必要があります。

四つ目は、進行中の案件についての連絡です。追加で頼まれた書類を送ってきたり、役所から届いた通知を転送してきたりします。新規の相談と同じフォームに混ざると、新規だけを追いかけている担当者が見落とします。

設問を設計するときは、この四つを一枚のフォームで受けることを前提にします。四つを別々のフォームに分けても、送る側はどれを選べばよいか分からず、結局いちばん目立つものに全部が集まります。分けるのではなく、一枚の中で最初に用件の種類を選ばせるのが現実的です。

設問を増やすほど返信が早くなるわけではない

聞き返しを減らしたい一心で設問を積み上げると、送信率が落ちます。回答者にとっての入力は、思い出す作業と打ち込む作業の連続で、項目が一つ増えるたびに離脱の機会が増えます。許認可の相談を送ってくるのは事業者ですから、事業所の住所も法人番号も手元にはあります。手元にあることと、その場で入力する気になることは別です。

一方で、設問が少なすぎると、返信の一往復目が確認で埋まります。確認の一往復が入ると、返信までの実質的な所要時間は倍以上に伸びます。相手が返してくるまで待ち時間が発生し、その間、そのやり取りは未完了のまま窓口に居座り続けるからです。

だから設問の数に正解はありません。判断の基準は数ではなく、その設問が無いときに聞き返しが発生するかどうかです。聞き返しが発生する設問は残し、発生しない設問は削ります。この基準で既存のフォームを見直すと、たいてい二つか三つの項目が削れて、代わりに一つか二つの項目が足りていないことが分かります。

最初の設問は「どの手続きの話か」にする

フォームの一番上に置くべきは、氏名でも連絡先でもなく、手続きの種類です。セレクトかラジオボタンで、事務所が実際に扱っている手続きを並べます。

ここで並べる言葉は、法令上の正式名称ではなく、相談者が自分の状況を当てはめられる言葉にします。正式名称だけを並べると、その名前を知っている人しか選べません。「建設業の許可」「産業廃棄物の収集運搬」「飲食店の営業許可」「古物商の許可」「運送業の許可」「会社の設立」「在留資格の手続き」といった具合に、日常で呼ばれている名前を主にして、必要なら括弧で正式名称を添えます。

この設問を先頭に置く理由は二つあります。一つは、回答者に対して「ここは何を書く場所か」を先に示せること。もう一つは、この選択によって以降の設問を出し分けられることです。条件分岐に対応したフォームであれば設定できますし、対応していなくても、設問文の中に「建設業の許可を選んだ方のみ」と補足を書くだけでかなり効きます。

受ける側にとっての効果はさらに大きくなります。手続きの種類が最初に決まっていれば、届いた時点で仕分けが終わっています。その場で概算を返せるものと、要件を確かめてから返すものが、開く前に分かれます。返信作業を朝と夕方にまとめて処理している事務所では、この一項目があるかないかで処理の速度が変わります。

選択肢の最後に「わからない」を置く

手続きの種類を選ばせる設問には、必ず「どれに当てはまるか分からない」という選択肢を最後に置きます。これを置かないと、分からない人は近そうなものを勝手に選びます。勝手に選ばれた種類は、受ける側にとって誤った仕分けの手がかりになり、間違った前提で書いた返信を送ってしまいます。

「分からない」を選んだ人には、自由記述で「いま何をしようとしているか」を書いてもらいます。設問文は「許可の名前ではなく、これから始めたい事業の中身を書いてください」と具体的に指示します。指示がないと、相談者は自分が分からないという事実だけを書いて送ってきます。

他士業の案件は受付の段階で見分ける

行政書士事務所の窓口には、登記、税務、労働社会保険、紛争といった、他の士業が扱う相談も届きます。これを開いてから読んで振り分けるのと、届いた時点で振り分かっているのとでは、窓口の負担が変わります。

見分けるために追加の設問を作る必要はありません。手続きの種類の選択肢に、扱っていない領域そのものを載せないことと、自由記述の設問文に「これから始めたい事業の中身」を書かせることの二つで、かなりの部分が仕分けできます。加えて、フォームの冒頭に、当事務所で扱っている手続きの一覧へのリンクを置いておくと、送る前に相談者が自分で気づきます。

振り分け先の案内は定型文で用意しておきます。定型文がないと、そのつど文面を考えることになり、扱わない案件にいちばん時間を使うという逆転が起きます。

新規か更新かを必ず分ける

許認可の相談で、聞き忘れると必ず一往復増えるのが、新規なのか更新なのかという区別です。この二つは、必要な書類も、費用も、間に合うかどうかの判断も変わります。それにもかかわらず、相談者は「建設業の許可の件で」とだけ書いて送ってきます。

設問はラジオボタンで、「はじめて申請する」「更新する」「内容を変更する」「引き継ぐ」の四つ程度に分けます。ここでも法令用語ではなく、相談者の頭の中にある言葉を使います。

そして更新を選んだ人には、期限を聞く設問を続けます。これが最も重要な一項目です。

期限は日付で受け取る

期限を自由記述で聞くと、「来月末くらいだったと思います」という答えが返ってきます。これでは間に合うかどうかを判断できず、結局は許可証を見てもらうことになります。設問は日付の入力欄にして、「お手元の許可証に書かれている有効期限を、そのまま入力してください」と指示します。

日付が入っていれば、開いた瞬間に優先順位が決まります。期限まで30日を切っているものは、他の相談より先に返します。3か月以上先のものは、その日のうちに返せば充分です。この判断が一覧の上でできるかどうかが、窓口を一人で回している事務所では効いてきます。

在留資格の手続きを扱っている事務所では、同じ設問がさらに重い意味を持ちます。期限の管理を相談者側に任せると、間に合わないものが持ち込まれます。受付の設問で日付を必ず取っておくと、間に合わない相談を早い段階で見つけられます。

見積もりを一往復で出すために聞く項目

費用の相談に一往復で答えるには、報酬額を決める要素が最初の一通に載っている必要があります。要素は手続きによって違いますが、共通して効くものが三つあります。

一つ目は、申請する主体が法人か個人事業かという区別です。用意する書類が変わるため、これが分からないと概算が振れます。ラジオボタンで二択にします。

二つ目は、申請先の役所です。同じ許可でも、都道府県知事に出すのか大臣に出すのかで手続きが変わりますし、都道府県ごとに求められる添付書類の運用が違います。設問は「主たる営業所がある都道府県」を選ばせる形にすると、相談者が迷いません。役所の名前を選ばせると、正しく答えられる人が減ります。

三つ目は、営業所や事業所の数です。数が増えれば作る書類も増えます。数値の入力欄にして、「本店を含めた数を入力してください」と数え方を指定します。指定しないと、本店を含めるかどうかで答えがずれます。

この三つに、手続きの種類と新規か更新かの区別を合わせた五つがそろえば、多くの手続きで概算は出せます。出せない手続きは、そもそもフォームでは確定できないものなので、返信で「確認したいことが二点あります」と明示して聞きます。

希望の時期を聞いておく

費用と並んで必ず聞かれるのが期間です。逆に、事務所側から聞いておくべきなのが、相談者の希望する時期です。「いつまでに許可が必要ですか」という設問を一つ置くだけで、返信の書き方が変わります。

急いでいる人には、間に合うかどうかを先に書きます。急いでいない人には、必要な書類の集め方を丁寧に書きます。この出し分けは、希望時期が分からないとできません。設問は日付の入力欄と、「特に決まっていない」の選択肢を並べる形にします。

書類を受け取る設問の作り方

行政書士事務所のフォームは、相談を受けるだけでなく、書類を受け取る入口にもなります。ここは慎重に設計する必要があります。届くものの中に、住民票、登記事項証明書、決算書、身分証明書といった、取り扱いに注意が要るものが混ざるからです。

まず決めるのは、フォームで受け取ってよい書類と、受け取らない書類の線引きです。原本の提出が求められる書類は、フォームで受け取っても手続きには使えません。画像だけ受け取ると、相談者は「送った」と思い、事務所は原本を待ち続けます。設問文に「写しで足りる書類のみ添付してください。原本が必要なものは後日ご案内します」と書いておきます。

次に決めるのは、初回の問い合わせの時点で書類を受け取るかどうかです。受け取れば往復は減りますが、依頼が成立する前に他人の個人情報を預かることになります。個人情報の取り扱いについて、法律の解釈をこの記事で断定することはしません。所管の窓口や専門家に確かめたうえで、事務所として方針を決めてください。判断の出発点として、法律の条文そのものを一度読んでおくと話が早くなります。

個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的をできる限り特定しなければならない。 出典: 個人情報保護委員会

方針が決まったら、フォームの入力欄の近くに、集めた情報を何に使うのかを一文で書きます。長い規約へのリンクだけを置くのではなく、その場で読める短い文を置くほうが、送る側にとっても受ける側にとっても分かりやすくなります。

添付は枚数と中身を指定する

添付を受け取ると決めたら、設問文で枚数の上限と、何を写すかを指定します。指定しないと、関係のない書類まで一式が届きます。「許可証の表面と裏面の2枚」「決算書の表紙と貸借対照表」のように、対象を名指しします。

あわせて、受け取った添付がどこに残るのかを確かめておきます。メールの添付として届く形だと、相談の記録と書類が別々の場所に散らばり、案件が進んだときに探し直すことになります。回答と添付が同じ画面に並んで残る形かどうかは、道具を選ぶときの分かれ目になります。フォームで集めたあとに何ができるのかは、できることのページで機能ごとに整理されています。

設問の並び順を決める

項目がそろったら、並び順を決めます。原則は、選ぶだけで答えられるものを先に置き、打ち込む必要があるものを後に置くことです。

先頭は手続きの種類、次が新規か更新かの区別、次が期限の日付、次が法人か個人か、次が都道府県、次が営業所の数。ここまでが選択と数値の入力で、指が止まりません。そのあとに自由記述の相談内容、最後に氏名と連絡先を置きます。

連絡先を最後に置くのは、途中で離脱した人の情報を残さないためではなく、逆です。先頭に個人情報を置くと、相談の中身を書く前に「名前を出す」という心理的な段差ができます。許認可の相談は、事業の内情を書くことになる場合があり、匿名で聞きたい人が一定数います。中身を書き終えたあとであれば、連絡先を入れる手は止まりにくくなります。

一画面に収める工夫

事業者からの問い合わせは、パソコンからだけでなく、現場からスマートフォンで送られてきます。設問が縦に長く続くと、いま何番目なのかが分からなくなり、途中でやめる人が出ます。

対策は三つあります。手続きの種類の選択で以降の設問を出し分けること、必須の項目を絞って任意の項目には「任意」と明示すること、そして自由記述の入力欄をあらかじめ大きく見せることです。三つ目は見落とされがちですが、入力欄が小さいと「一行で書け」と言われている気がして、必要な情報が書かれなくなります。

送信されたあとをどう設計するか

設問がそろっても、送信されたあとが決まっていなければ、窓口は詰まります。決めることは三つです。

一つ目は、自動返信に何を書くかです。受け付けたこと、いつまでに返信するか、その間に相談者がすべきことがあるか、の三つを書きます。「2営業日以内にご返信します」と書いてあれば、催促の電話は減ります。あわせて送信された内容を全文載せると、相手が自分で誤りに気づいて訂正してきます。

二つ目は、誰が返すかです。補助者がいる事務所では、一次返信を補助者が書き、判断が要る部分だけを有資格者が書くという分担が成り立ちます。この分担は、届いたものが一覧で共有されていないと機能しません。

三つ目は、返したかどうかをどこに残すかです。返信済みの印が残らない限り、二重返信と返し忘れは必ず起きます。メールの受信箱を既読か未読かで管理している間は、開いただけのものと返したものが区別できません。

いま使っている道具との付き合い方

設問の設計だけであれば、いま使っているフォームのままで直せます。無料の道具でも、選択肢の設問を足し、必須と任意を切り分けることはできます。まずは設問だけを直してください。

道具を替える判断が要るのは、届いたものを追いかける側が回らなくなったときです。表計算に書き出した回答を手で色分けし始めたら、それが目安です。集める部分の使い勝手と、集めたあとを回す部分の使い勝手は別の話なので、分けて考えます。表計算に流れる形との違いはGoogleフォームとの比較で整理されていますし、サイトに埋め込んだフォームからメールで飛んでくる形の課題はContact Form 7との比較にまとまっています。問い合わせを受けて返す場面そのものについては問い合わせの受付が近い内容です。

削れる設問を見つける

足す設問の話をしてきましたが、既存のフォームには、たいてい削れる設問が混ざっています。削る候補を見つける方法は二つあります。

一つ目は、返信を書くときに一度も見ていない項目を探すことです。過去の問い合わせを何件か開いて、返信の文面と見比べます。返信のどこにも使われていない項目は、そこにある理由がありません。よくあるのは、住所、生年月日、会社の資本金、従業員数といった項目です。これらは依頼が成立してから聞けば足りるもので、相談の段階では判断に使いません。

二つ目は、ほとんどの人が同じ答えを入れている項目を探すことです。選択肢のうち一つに9割以上が集中している設問は、聞く意味が薄れています。設問を消して、その答えを前提として扱えば済みます。

削るときに気をつけるのは、必須を外すだけで済ませないことです。必須を外しても、入力欄が画面に残っている限り、回答者は読んで考えます。読んで考える時間そのものが離脱の原因なので、使わない項目は表示ごと消します。

「その他ご要望」は残す

削る話をしましたが、自由記述の枠は一つ残しておきます。選択肢で受けきれなかった事情は、必ず存在します。設問文は「その他ご要望」ではなく、「上の項目に当てはまらない事情があればお書きください」のように、何を書けばよいかを示す形にします。

この枠に何が書かれたかを定期的に見返すと、次に足すべき選択肢が見つかります。同じ趣旨のことが三回書かれていたら、それは選択肢にすべき内容です。フォームの改善は、この枠を読むことから始まります。

電話とフォームで受ける中身を分ける

行政書士事務所の窓口は、フォームだけでは完結しません。急ぎの相談は電話で来ますし、役所からの連絡も電話で入ります。フォームの設問を整えるときに、電話で受ける中身との線引きを同時に決めておかないと、同じ相談が二つの経路から入って二重に処理されます。

線引きの考え方は単純です。答えるまでに調べる必要があるものはフォームに寄せ、その場で答えられるものは電話で受けます。営業時間、所在地、駐車場の有無、担当者の在席といった内容は、フォームで受けても定型で返すだけなので、電話のほうが速く終わります。逆に、可否の判断や見積もりは、電話で聞かれてもその場では答えられません。

そこで、電話の一次応対の台本に「概算のお見積もりは、ウェブサイトのフォームからお送りいただくと、確認したうえでご返信できます」という一文を入れます。この一文があるかないかで、電話口で長く拘束される時間が変わります。相談者の側も、口頭で説明したことが正しく伝わったか不安なまま待つより、自分で書いて送るほうが安心できる場合があります。

電話で受けた相談をフォームの記録に合流させる

電話で受けた相談を紙のメモや個人の手帳に残すと、その案件だけが窓口の一覧から抜け落ちます。抜け落ちた案件は、返し忘れの温床になります。

対策は、受けた側が電話の内容を同じフォームから代理入力することです。設問の先頭に「受付経路」という項目を置き、「ご本人からの入力」「電話でお伺いした内容を職員が入力」の二択にします。こうすると、経路にかかわらず、届いた相談がすべて同じ一覧に並びます。一覧が一つになれば、返したかどうかの管理も一か所で済みます。

代理入力の手間を惜しむと、あとで探す手間に変わります。電話を切ってから入力するまでの時間が長いほど、内容が曖昧になり、書けることが減ります。切った直後に入力する習慣を作るのが確実です。

設問を変えたあとに何を見るか

設問を直したら、効果を確かめます。見る数字は三つです。

一つ目は、返信の一往復目で確認を書いた件数です。これが減っていれば、足した設問が効いています。減っていなければ、足した設問が聞き返しの原因ではなかったということです。

二つ目は、送信までに離脱した割合です。設問を足したぶん、途中でやめる人が増えていないかを見ます。増えていれば、削れる設問を探します。

三つ目は、受け付けてから最初の返信までの時間です。設問が増えても、仕分けが速くなればこの時間は縮みます。縮んでいなければ、設問ではなく、返す側の段取りに原因があります。

この三つを見るには、届いた件数と返信の状況が同じ場所に残っている必要があります。フォームの送信数だけを見ても、返信までの時間は出てきません。何がどこまで見えるようになるかは動くところを見るで実際の画面を確かめるのが早く、そこで自分の事務所の窓口と照らし合わせると、足りていない記録が具体的に分かります。

三か月ためてから直す

設問を変えた直後の一週間で判断してはいけません。問い合わせの中身は季節で振れます。年度末に集中する手続きもあれば、決算期に合わせて動く手続きもあります。少なくとも3か月分をためてから、直す場所を決めます。

ためている間にやることは、聞き返した内容をその都度メモに残すことです。聞き返しの記録が、次に足すべき設問の一覧そのものになります。記録を取らずに三か月が過ぎると、何を足せばよかったのかが思い出せなくなります。

設問を直す順番を決める

直す場所がいくつも見つかると、どこから手を付けるか迷います。順番は、効果の大きさではなく、直すのにかかる手間の少なさで決めます。手間の少ないものから片付けると、途中で止まっても何かは良くなっています。

最初にやるのは、使っていない項目を消すことです。過去の問い合わせを開いて、返信の文面と見比べ、一度も使っていない項目を消します。作業は10分で終わり、送信率にすぐ効きます。

次にやるのが、手続きの種類の設問を先頭に足すことです。選択肢を並べるだけなので、こちらも短時間で終わります。振り分けの手間が減るので、受ける側の負担がその日から変わります。

三番目が、新規か更新かの区別と期限の日付です。ここは、更新の相談を扱っている事務所でのみ効きます。扱っていなければ飛ばして構いません。

四番目に、申請先の都道府県と営業所の数を足します。見積もりの往復が減りますが、設問が増えるので、送信率への影響を見ながら判断します。

最後に、並び順を入れ替えます。項目がそろってからでないと、並び替えても意味がありません。

直した内容を事務所の中で共有する

設問を変えたら、返信を書く側にも伝えます。伝えていないと、新しく増えた項目が使われず、以前と同じ聞き返しが続きます。

伝えるのは二つです。どの項目が増えたか、その項目を見れば何が分かるか。「有効期限の欄が入ったので、更新の相談はここを見れば優先順位が決まります」という一文で足ります。

補助者がいる事務所では、この共有が特に効きます。振り分ける役を補助者が担っている場合、新しい項目の意味を知らなければ、これまでどおり本文を全部読むことになります。設問を増やした効果が、そこで消えます。

直したら一度自分で送ってみる

設問を変えたら、公開する前に自分で一度送ります。パソコンからと、スマートフォンからの両方です。

自分で送ってみると、机上では気づかないことが出てきます。選択肢の文言が長すぎて画面からはみ出す、必須の印が分かりにくい、送信ボタンが押しにくい、自動返信が届かない。どれも、送ってみるまで分かりません。

届いた側の画面も同時に確かめます。一覧に並んだときに、手続きの種類と期限が読めるか。読めなければ、設問は正しくても振り分けには使えません。集めることと、集めたあとに使えることは別なので、両方を自分の目で確かめてください。

設問の設計で決まること、決まらないこと

ここまでで、フォームの項目は決まります。決まらないのは、届いたものを誰がいつまでに処理するかという運用の部分です。

設問設計で解けるのは、返信を書くときに材料が足りない問題までです。材料がそろっていても、届いたものが受信箱に埋もれれば返信は遅れます。逆に、運用が整っていても、材料が足りなければ一往復は増えます。この二つは別々の問題なので、片方だけを直しても窓口は軽くなりません。

順番としては、設問の設計を先にやります。設問を直すのは費用がかからず、効果が一週間で出るからです。そのうえで、返信の担当と期限の管理をどう残すかを決めます。運用の形を決めるときの判断材料はよくある質問に一問一答でまとまっています。

行政書士事務所の窓口が抱えている問題は、件数の多さそのものではありません。一件あたりの確認が多く、期限があり、扱う情報が重いという三つが同時に来ることです。設問の並びを整えるのは、この三つのうち最初の一つを、送信された時点で片付けてしまう作業だと考えてください。

Q1. 行政書士事務所の問い合わせフォームは何項目くらいが適切ですか?

項目数そのものに正解はなく、判断の基準は「その設問が無いと聞き返しが発生するか」です。手続きの種類、新規か更新かの区別、更新なら有効期限の日付、法人か個人事業か、主たる営業所の都道府県、この五つがそろえば多くの手続きで概算を一往復で返せます。逆に生年月日や住所は相談の段階では使わないことが多く、必須にすると送信をやめる人が出ます。聞き返した内容をメモに残すと、足すべき設問がそのまま見えてきます。

Q2. 設問の一番上には何を置けばよいですか?

氏名や連絡先ではなく、手続きの種類を置きます。事務所が扱っている手続きを、法令上の正式名称ではなく日常で呼ばれている名前で並べ、最後に「どれに当てはまるか分からない」を必ず加えます。これを先頭に置くと届いた時点で仕分けが終わり、その場で概算を返せるものと要件を確かめてから返すものが、開く前に分かれます。「分からない」を置かないと、近そうなものを勝手に選ばれて誤った前提で返信することになります。

Q3. 更新の相談で必ず聞いておくべき項目は何ですか?

許可証に書かれている有効期限を、自由記述ではなく日付の入力欄で受け取ってください。自由記述にすると「来月末くらい」という答えが返り、間に合うかどうかを判断できません。日付が入っていれば、開いた瞬間に優先順位が決まります。期限まで30日を切っているものを先に返し、3か月以上先のものはその日のうちに返せば充分という運用が、一覧の上で判断できるようになります。

Q4. 最初の問い合わせで書類を添付してもらってよいですか?

往復は減りますが、依頼が成立する前に他人の個人情報を預かることになるため、事務所として方針を決めてから開放してください。開放する場合は、写しで足りる書類だけに限ることを設問文に明記し、「許可証の表面と裏面の2枚」のように対象と枚数を名指しします。指定しないと関係のない書類まで一式が届きます。個人情報の取り扱いの解釈は所管の窓口や専門家に確かめてください。

Q5. 他士業が扱う相談が届いてしまうのはフォームで防げますか?

完全には防げませんが、届く前にかなり減らせます。扱っていない領域を手続きの種類の選択肢に載せないこと、自由記述の設問文で「これから始めたい事業の中身」を書かせること、フォームの冒頭に扱っている手続きの一覧を置くこと、この三つが効きます。あわせて振り分け先を案内する定型文を用意しておくと、扱わない案件にいちばん時間を使うという逆転が起きなくなります。

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