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自治体の窓口の問い合わせを数える|何を数えると次に効くのか

2026年9月8日 ・ Halict編集部

自治体の窓口では、問い合わせの件数を数える場面が定期的にやってきます。議会での質問、予算の要求、事務の見直し、上位の計画への実績の記載。そのたびに、担当が受信箱をさかのぼり、手元のメモを並べ、表計算のファイルに転記して数を出します。

この作業がつらいのは、時間がかかるからだけではありません。出した数が、次の判断につながらないからです。「昨年度は〇件でした」と答えても、増えた理由も減った理由も説明できません。増えたから人を増やすべきなのか、案内が分かりにくいから同じ質問が繰り返されているのか、数からは読み取れません。

この記事では、自治体の窓口で申請と相談を受けている立場から、何を数えると次の打ち手が決まるのかを整理します。個々の制度の中身や統計としての厳密さの議論には踏み込みません。書くのは、受け付けて返す側が自分たちの回し方を変えるために、何を数えておくべきかという話です。

自治体の窓口で、件数を数える場面は決まっている

議会と予算の説明で聞かれる

自治体で件数を求められる代表的な場面が、議会と予算です。ある制度について、年間で何件の申請があったのか。相談窓口に何件の相談が寄せられたのか。前年度と比べてどうか。

このとき求められているのは、数そのものではなく、その数が何を意味するのかです。増えていれば「周知が進んだ」なのか「制度が使いにくくて問い合わせが増えた」なのかで、次の対応は正反対になります。総数しか手元に無いと、どちらとも説明できません。

だから、数える設計の段階で「後から何を聞かれるか」を想定しておく必要があります。聞かれてから数え直すのは、記録が残っていない部分については不可能です。

人の配置を決めるとき

もう一つが、人の配置です。窓口が回らないという実感があっても、それを説明する材料が無ければ、配置は変わりません。「忙しい」は主観として扱われます。

説明の材料になるのは、時期による偏りと、一件あたりにかかっている時間です。年間の総数が同じでも、特定の二か月に半分が集中しているなら、その時期の体制の話になります。総数だけを見ていると、この構造は見えません。

会計年度任用職員の人数や任用の期間を決めるときも同じです。どの時期に何人必要なのかを示せるかどうかで、話の通り方が変わります。

制度と案内を見直すとき

三つ目が、制度そのものや案内の見直しです。同じ質問が繰り返し来ているなら、案内が足りていません。同じ書類で不備が繰り返されるなら、様式か説明に問題があります。

ここで必要なのは、件数ではなく中身の分類です。何についての問い合わせが多いのか。どの書類で不備が多いのか。これが分かれば、直す対象が特定できます。分からなければ、案内のページ全体を漠然と書き直すことになり、労力の割に効きません。

件数だけを数えても、次の判断につながらない

総数は、増減の理由を説明できない

総数は、最も数えやすく、最も情報量の少ない指標です。増えたことも減ったことも分かりますが、なぜそうなったのかは分かりません。

たとえば、ある年度に相談の件数が前年度より増えたとします。考えられる理由は複数あります。制度の周知が進んだ、制度が分かりにくくて確認の連絡が増えた、災害や社会の状況で相談そのものが増えた、受付の経路を増やしたので同じ人が複数回数えられた。どれも総数の増加として現れます。

区別するには、中身の分類と、経路と、同一人物からの複数の連絡かどうかが要ります。この三つを後から付けることはできません。受け付ける時点で残っていなければ、永久に分かりません。

電話と来庁の分が、集計から抜ける

自治体の窓口で数え漏れが起きる最大の原因が、電話と来庁です。メールや送信フォームで届いた分は記録が残りますが、電話で受けた分は担当のメモにしか残りません。来庁の分は、様式を受け取っただけで問い合わせとして数えられていないこともあります。

この状態で集計すると、実態より少ない数が出ます。少ない数を根拠に「問い合わせは多くない」と判断されると、体制はそのままです。窓口の実感と、出てくる数が食い違う原因の多くはここにあります。

対処は、電話と来庁で受けた分も、同じ場所に一行残す運用にすることです。全部を詳しく記録する必要はありません。何についての問い合わせだったかの分類と、対応したかどうかだけでも、数としては成立します。記録の手間を最小にしておくことが、続けるための条件です。

数え方が年度で変わり、比較できなくなる

三つ目の問題が、数え方の変化です。担当が替わると、数え方も変わります。前任者は一往復を一件と数え、後任は一人を一件と数える。分類の名前が変わる。集計の対象期間が変わる。

こうなると、前年度との比較ができません。比較できない数を並べても、判断の材料にはなりません。しかも、数え方が変わったこと自体が記録に残っていないので、数字の変化を制度の変化と読み違えます。

これを防ぐには、数え方を人ではなく仕組みの側に持たせるのが確実です。受け付けた時点で分類が選ばれ、状態が記録され、集計が同じ定義で出る形になっていれば、担当が替わっても定義は変わりません。

何を数えると、次に効くのか

中身の分類

いちばん効くのが、何についての問い合わせかという分類です。制度別、手続き別、相談の種類別。どの粒度にするかは窓口によりますが、後から案内を直す単位に合わせておくと使えます。

たとえば、申請の受付なら「制度の対象になるかの確認」「必要な書類の確認」「提出後の進み具合の確認」「結果への問い合わせ」といった分け方ができます。この四つの割合が分かれば、どこの案内が足りていないかが見えます。提出後の進み具合の確認が多いなら、受付の返信に見通しを書いていないということです。

分類は、数えるためではなく直すために作ります。だから、直せる単位で分けるのが原則です。分けたあとに「これが多いと分かったが、では何をすればよいのか」となる分類は、粒度が合っていません。

初回の返信までの時間

次に効くのが、届いてから最初の返信までにかかった時間です。これは窓口の体感と最もずれる指標で、実際に測ると想像より長いことが多い。

行政手続法は、申請者への情報の提供について次のように定めています。

行政庁は、申請者の求めに応じ、当該申請に係る審査の進行状況及び当該申請に対する処分の時期の見通しを示すよう努めなければならない。 出典: e-Gov

条文の適用や解釈は所管の窓口や専門家に確かめるものとして、実務上は、求められてから示すよりも、最初の返信で見通しを示しておくほうが問い合わせは減ります。そして、その最初の返信までの時間が長いほど、途中の確認の連絡が増えます。初回の返信までの時間を測ることは、その後の問い合わせの量を予測することでもあります。

返していない件が残った日数

三つ目が、まだ返していない件が何日残っているかです。総数よりも、この指標のほうが窓口の状態をよく表します。

件数が多くても、当日か翌日に返せていれば、窓口は回っています。件数が少なくても、返していない件が二週間残っているなら、どこかで詰まっています。詰まりの原因は、判断が要る件が滞留しているのか、担当が決まっていないのか、他の課からの回答待ちなのか。残っている件を一覧で見れば、原因は絞れます。

この指標は、日々の運用でも使えます。朝に一覧を開いて、古い順に並べて上から片づける。これだけで、返し忘れはかなり減ります。集計のためだけの指標ではありません。

書類の差し戻しの割合

申請の受付では、差し戻した件の割合が効きます。受け付けた件のうち、何割で書類の不足があったか。そして、二度目も不備だった件が何割か。

一度目の不備が多いなら、案内か様式に問題があります。二度目も不備が多いなら、補正を依頼する文面が具体的でないということです。どちらを直すべきかが、この二つの数字で決まります。

差し戻しは、窓口と住民の双方にとって最も重い往復です。ここを減らせれば、処理の全体の時間も、問い合わせの件数も、同時に下がります。

経路別の内訳

四つ目が、どの経路で届いたかの内訳です。電話、来庁、郵送、メール、送信フォーム。

内訳が分かると、案内の効果が見えます。送信フォームを用意したのに電話が減っていないなら、フォームの入り口が見つかっていないか、使いにくいかのどちらかです。逆に、フォームに寄ってきているなら、電話の体制を少し軽くできる可能性があります。

経路の内訳は、後から復元できない典型です。数え始めた時点からしか分かりません。だから、まだ数えていないなら、いま始めておく価値があります。

一件あたりにかかっているやり取りの回数

もう一つ、体制の話に直結するのが、一件を終えるまでに何往復したかです。件数が同じでも、一往復で終わる件と、五往復かかる件では、窓口の負担がまったく違います。

やり取りの回数が多い件には、必ず理由があります。最初の返信で必要なことが伝わっていない、書類の不足が段階的に見つかっている、他の課への確認を挟んでいる、住民の側で何を求められているかが分からない。回数の多い件を十件ほど並べて読むと、どの理由が多いかはすぐ分かります。

この指標が使えるのは、直せる対象が具体的だからです。最初の返信の文面を直す、様式の説明を足す、他の課への確認の手順を変える。どれも窓口の中で着手できます。件数を減らすことはできませんが、一件あたりの往復は減らせます。窓口の負担を軽くするという意味では、総数より効く指標です。

なお、往復の回数を数えるには、やり取りが件に紐づいて並んでいる必要があります。個人の受信箱に散らばっていると、同じ件のやり取りを集めるところから始まり、数える気になりません。数えられる形になっているかどうかが、指標の選択肢そのものを決めています。

時間帯と曜日と月の偏り

最後が、いつ届くかの偏りです。時間帯、曜日、月。

自治体の窓口では、月の偏りが特に大きく出ます。締切のある補助金は最後の数日に集中し、転入と転出は年度替わりに寄り、施設の利用申請は行事の季節に寄ります。この偏りが数字で示せると、人の配置の話ができます。

時間帯の偏りも使えます。電話が特定の時間に集中しているなら、その時間に電話を受ける人を厚くする。逆に、送信フォームは夜間と休日に届くので、翌営業日の朝に片づける前提で組めます。

分類は、あとから作ると必ず失敗する

受け付ける時点で選ばせる

分類を後から付けようとすると、届いた文面を全部読み直すことになります。数百件あれば、それだけで数日かかります。しかも読む人によって判断が変わるので、分類の一貫性も保てません。

確実なのは、受け付ける時点で分類が決まる形にすることです。送信フォームの中に、何についての問い合わせかを選ぶ欄を置きます。選んだ結果がそのまま分類になるので、集計の作業がほとんど要りません。

住民に選ばせることには、もう一つ利点があります。選択肢を読むことで、自分の用件がどの制度に当たるのかを住民自身が確かめられます。所管の違う課に送ってしまう件が減り、回される往復も減ります。

分類の数は、最初は少なくする

分類を作るとき、細かくしたくなります。制度ごとに全部分けたい、相談の種類を網羅したい。しかし選択肢が多いと、住民は上から順に見て、それらしいものを選びます。結果として、正確さは上がりません。

最初は6個から8個程度に抑えます。多くても十を超えないほうがよい。運用してみて、特定の分類に偏るようなら、その中を割ります。使われない分類が出たら、統合します。

分類の設計は、一度で正解に至りません。半年ほど運用してから見直す前提で、最初は粗く作るのが早い。

「その他」が増えたら、見直しの合図

分類には必ず「その他」を置きます。当てはまらないものを無理に選ばせると、分類そのものが信用できなくなるからです。

そして、この「その他」の割合を見ます。全体の一割を大きく超えるようなら、分類が実態に合っていません。「その他」に入った件の中身を読めば、足りない分類が分かります。

逆に、「その他」がほとんど無い状態も、選択肢が多すぎるか、当てはめすぎている可能性があります。適度に「その他」があるほうが、他の分類の精度は高い。

集計の作業そのものを軽くする

転記をやめる

多くの窓口で、集計は転記から始まります。受信箱を見ながら、表計算のファイルに氏名と日付と内容を書き写す。この作業は時間がかかるうえに、別の問題も生みます。転記した先に、個人情報の複製が増えることです。

集計のために作った表計算のファイルは、文書としての保存年限の対象から外れていることが多く、消す作業の対象にもなりません。共有フォルダに何年も残ります。数えるために作ったものが、扱いの上で最も追跡しにくい置き場になっている、という状態はよくあります。

受け付けた時点で件として記録が残っていれば、転記は要りません。集計は記録から出せます。転記をやめることは、作業を軽くすると同時に、複製を増やさないことでもあります。

年度をまたいでも、同じ形で出せるか

自治体の集計は、年度の単位で求められます。年度をまたいだ比較ができるかどうかが、集計の使い勝手を決めます。

表計算のファイルで管理していると、年度ごとに別のファイルになり、途中で列の構成が変わり、比較のたびに手で揃えることになります。担当が替わっていれば、前年度のファイルの作りを解読するところから始まります。

同じ定義で、期間を指定して出せる形になっているかどうか。ここは集計の道具を選ぶときの実質的な基準です。送信されたあとの道具がそろっているかどうかは、集計の場面ではっきり差が出ます。

無料で広く使われているフォームの道具は、送信された内容を表に集めるところまでを担います。そこから先で何が起きるかは、Googleフォームとの比較に整理されています。庁内で広く使われている事務用の道具の系列にもフォームの機能があり、集計の扱いの違いはMicrosoft Formsとの比較で確かめられます。どこまでを標準で持っているのかはできることに一覧があり、実際の画面は動くところを見るで触れられます。

数えるときに、住民の情報をどこまで持つか

集計に氏名は要らない

集計の話をすると、記録を厚くする方向に進みがちです。しかし、数えるために必要な項目と、返信のために必要な項目は別です。

数えるのに要るのは、いつ届いたか、何についてか、どの経路か、いつ返したか、いま何の状態か。この五つで、この記事で挙げた指標はほぼ全部出せます。氏名も住所も連絡先も、集計そのものには使いません。

これが分かっていると、集計用の資料を作るときに個人情報を含めずに済みます。課の中で共有する一覧、上司への報告、議会向けの資料。どれも数だけで足ります。氏名の入った表を庁内に配ると、そこからまた複製が増えます。数える設計と、扱いを軽くする設計は、同じ方向を向いています。

同じ人からの複数の連絡を、どう扱うか

集計で判断が分かれるのが、同じ人から複数回連絡があった場合です。一件と数えるか、連絡の回数だけ数えるか。

どちらが正しいという話ではなく、何を知りたいかで決めます。窓口の作業量を知りたいなら、やり取りの回数を数えるほうが実態に近い。制度を使おうとした人の数を知りたいなら、一人を一件として数えます。両方を知りたいなら、件と、その件に紐づくやり取りの数を、別々に持ちます。

大事なのは、どちらで数えているかを記録に残しておくことです。定義を書いていないと、翌年度の担当が別の数え方をして、比較できない数字が並びます。集計の定義は、数字と同じ場所に書いておきます。

相談の中身は、集計の対象にしない

相談の受付では、中身そのものを集計しようとしないほうがよい。何に困っているかを細かく分類しようとすると、記録が重くなり、扱いも重くなります。

集計するのは、あくまで分類の枠と、対応の状態です。中身は件の記録に残っていて、必要なときに読めればよい。集計表に相談の要旨を並べる形にすると、その表が個人情報を含む文書になり、共有の範囲を絞る必要が出ます。数えるための資料が扱いの重い文書になると、集計そのものが続かなくなります。

数え始める前に、記録の形を確かめる

後から復元できる項目と、できない項目を分ける

数える設計をするとき、いちばん重要な区別が、後から復元できるかどうかです。

復元できるのは、届いた文面から読み取れるものです。何についての問い合わせだったかは、文面が残っていれば後から分類できます。手間はかかりますが、不可能ではありません。

復元できないのは、時間と状態です。いつ返したか、そのとき誰が担当だったか、途中で何回やり取りしたか。これらは、その瞬間に記録されていなければ、二度と分かりません。送信済みのメールをさかのぼれば部分的には追えますが、電話で返した分は残りません。

だから、記録の設計では、復元できない項目を優先します。分類は後からでも付けられますが、返信の時刻は後からでは付けられません。

記録の手間を、一件あたり何秒にするか

集計のための記録は、日々の作業の上に乗ります。乗せた手間が大きいと、忙しい日に飛びます。飛んだ日があると、その月の数字が使えなくなります。

現実的な目安は、一件あたり10秒以内です。選択肢から一つ選ぶ、状態を切り替える、この程度で終わる形なら続きます。自由記述で分類の理由を書かせるような設計は、最初の一週間しか守られません。

手間を減らす最も確実な方法は、住民に選ばせることと、操作から自動で記録が付くことです。返信を送った時刻は、送った操作から自動で残ります。担当は、担当を決める操作から残ります。人が別途入力する項目を増やさないことが、続く集計の条件です。

数え始める前に、去年の数字を残しておく

改善の効果を測るには、比較の起点が要ります。数え始めた月からしか記録が無いと、改善の前の状態が分かりません。

完全でなくてよいので、いまの状態を粗く記録しておきます。直近の一か月について、受信箱を見て件数を数え、返信までにかかった日数を十件ほど拾う。この程度でも、後から比較する材料になります。数え始めてから半年後に「前より良くなったのか」と聞かれたときに、答えられるかどうかが変わります。

数えた結果を、住民にも見せられるか

集計を庁内だけで使うと決める必要はありません。受付の件数や、処理にかかった期間を公表している団体もあります。公表すると、住民は自分の申請がどのくらいで進むのかを事前に知ることができます。

公表するかどうかは団体の判断ですが、公表できる形で数えておくことには意味があります。公表に耐える数字は、定義がはっきりしていて、恣意的な除外が無く、期間の取り方が一定です。この条件を満たすように設計しておけば、庁内で使うときにも信頼されます。

逆に、公表できない数字は、庁内でも根拠として弱い。数え方を説明できるかどうかが、その数字の価値を決めます。

数字を庁内で共有するときの見せ方

月ごとの一覧を、毎月同じ形で出す

数えた結果を年に一度しか見ないなら、集計は改善に効きません。年度末に出した数字で分かるのは、終わったことだけです。

効くのは、月ごとに同じ形の一覧を出すことです。分類ごとの件数、初回の返信までの平均、返していない件の数。この三つが毎月同じ形で並べば、変化が読めます。先月より返信が遅くなっているなら、その月に何があったのかを思い出せるうちに確かめられます。

一覧を作る手間が毎月かかる形だと、忙しい月に飛びます。飛んだ月があると比較が崩れます。手を動かさずに出る形にしておくことが、続ける条件です。

比較する相手を間違えない

数字を示すとき、比較の相手を間違えると誤った結論になります。よくあるのが、前年同月と比べる場面です。制度が改正されていれば、比較には意味がありません。受付の経路が増えていれば、そのぶん数が増えます。

比べる前に、その期間の間に何が変わったのかを並べます。制度の改正、様式の変更、案内の書き換え、経路の追加、担当の人数。変わったものがあるなら、それを添えて数字を出します。添えずに数字だけ出すと、読んだ人が別の理由で解釈します。

良くない数字を隠さない

集計を続けていると、都合の悪い数字が出ます。返していない件が積み上がった月、差し戻しの割合が上がった月。ここで数字を丸めたり、集計の定義を変えたりすると、集計そのものが信用されなくなります。

数字が悪い月には、必ず理由があります。人が抜けた、制度が変わって問い合わせが増えた、他の業務が重なった。理由を添えて出せば、体制の話として扱われます。隠して出すと、次に同じ状況になったときに何も言えません。集計は評価のためではなく、次の判断のためにあります。この位置づけを課の中で共有しておくかどうかで、数字の使われ方は変わります。

数えた結果を、次にどう使うか

多い問い合わせは、案内の書き換えで減らせる

分類の集計で上位に来た問い合わせは、案内が足りていない部分です。ここを書き換えると、件数は下がります。

効くのは、案内のページ全体を作り直すことではなく、上位の三つか四つに対する答えを、目立つ場所に短く置くことです。ページの下のほうに詳しく書いても読まれません。手続きの案内の冒頭に、よく聞かれることへの答えを置くほうが効きます。

書き換えたあと、その分類の件数が下がったかどうかを見ます。下がっていれば効いています。下がっていなければ、書いた場所が読まれていないか、書き方が伝わっていません。数えていれば、この確認ができます。

様式の欄を増やすか減らすか

差し戻しの集計は、様式の見直しに直結します。特定の書類で不備が集中しているなら、その書類の説明を具体的にするか、そもそも求めるのをやめるかの判断ができます。

逆に、返信のときに毎回同じことを聞き返しているなら、その項目は最初から欄にしておいたほうがよい。何を聞き返しているかは、返信の文面を数十件読めば分かります。欄を増やすときは、送信の途中でやめる人が増える可能性も併せて見ます。

人の配置と繁忙期

月別の集計は、体制の話に使えます。特定の時期に集中しているなら、その時期に人を厚くするか、締切を分散させるかの選択肢が出ます。

締切の分散は、制度の設計に関わるので窓口だけでは決められません。しかし「最後の三日に半分が集中している」という数字があれば、話を持ち出せます。数字が無ければ、感覚の話として流れます。

補助金や公募のように、期間を区切って多数を受ける場面の回し方は助成金・公募の受付に整理されています。日常的な相談と問い合わせを受け続ける場面は問い合わせの受付のほうが近い。どちらも、件として記録が残っていることが集計の前提になっています。

数字を出す担当を、一人に固定しない

集計を特定の一人が担っていると、その人が異動した時点で止まります。数式の作り、対象期間の取り方、除外している件の条件。頭の中にしかない判断が多いほど、引き継げません。

防ぐには、集計の手順を短い文書にしておくことです。どこから、どの期間を、どう絞って出すか。この三行が書いてあれば、別の人でも同じ数字が出せます。書けないほど手順が複雑なら、その集計自体を簡単にしたほうがよい。

理想は、手順の文書すら要らない形です。期間を指定すれば同じ定義で出る状態になっていれば、引き継ぎの対象になりません。集計を人から仕組みへ移すことは、数字の信頼性を保つ方法でもあります。

数え始める順番

最後に、何から始めるかの話をします。全部を一度に数え始めると、記録の手間が増えて続きません。

最初に始めるのは、分類と、初回の返信までの時間の二つです。この二つがあれば、何が多いのかと、いま回っているのかが分かります。次に、返していない件が残った日数を足します。ここまでが日々の運用に効く指標です。

差し戻しの割合と経路の内訳は、その後で足します。これらは改善の効果を確かめるための指標なので、改善に着手してからで間に合います。

そして、数える対象を増やすたびに、記録の手間が増えていないかを確かめます。手で数える項目が増えると、必ずどこかで途切れます。受け付けた時点で自動的に残る項目だけで組めるなら、担当が替わっても続きます。続かない集計は、無いのと同じです。

そして、数えることそのものを目的にしないことです。数字は、案内を直すか、様式を変えるか、体制を動かすかの判断に使われて初めて意味を持ちます。半年間の集計を並べて、そこから何も変えなかったのなら、その集計は要らなかったということです。逆に、一つでも打ち手が決まったなら、その打ち手を決めた指標だけを残して、他は減らしてよい。集計は増やし続けるものではなく、使われている項目に絞っていくものです。

Q1. 総数を数えるだけでは、なぜ足りないのですか?

総数は増減しか分からず、その理由を説明できないからです。相談が増えたとき、周知が進んだのか、制度が分かりにくくて確認が増えたのか、経路を増やしたので同じ人が複数回数えられたのか、すべて総数の増加として現れます。区別するには中身の分類と経路の内訳が必要で、これらは受け付ける時点で残っていなければ後から復元できません。

Q2. 電話や来庁で受けた分は、どう数えればよいですか?

メールや送信フォームの分だけを数えると、実態より少ない数が出ます。電話と来庁で受けた分も、同じ場所に一行だけ残す運用にします。全部を詳しく書く必要はなく、何についての問い合わせかの分類と、対応したかどうかだけで数としては成立します。記録の手間を最小にしておくことが、続けるための条件です。

Q3. 問い合わせの分類は、いくつくらい用意すればよいですか?

最初は6個から8個程度に抑え、多くても10を超えないほうが実用的です。選択肢が多いと、住民は上から順に見てそれらしいものを選ぶため、かえって正確さが下がります。運用して特定の分類に偏るようならその中を割り、使われない分類は統合します。半年ほど運用してから見直す前提で、最初は粗く作るのが早いです。

Q4. 集計のために表計算に転記していますが、問題がありますか?

作業に時間がかかることに加えて、転記した先に個人情報の複製が増えます。集計用のファイルは文書としての保存年限の対象から外れていることが多く、消す作業の対象にもならないため共有フォルダに何年も残ります。受け付けた時点で件として記録が残っていれば転記は要らず、集計はその記録から出せます。

Q5. まず何から数え始めればよいですか?

分類と、初回の返信までの時間の二つからです。この二つで、何が多いのかと、いま回っているのかが分かります。次に、返していない件が残った日数を足します。差し戻しの割合と経路の内訳は改善の効果を見るための指標なので、改善に着手してからで間に合います。手で数える項目を増やすと必ずどこかで途切れます。

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