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自治体の窓口の問い合わせフォームで聞くこと|答える人の手を止めない設問の並び

2026年9月8日 ・ Halict編集部

自治体の窓口に置く問い合わせフォームの項目をどう決めるかは、住民に何を書かせるかという話ではなく、受け取った職員がその場で担当課を決められるかどうかという話です。項目が足りなければ返信の一往復目が「詳しい状況をお聞かせください」で埋まり、多すぎれば送信される前に離脱されます。この記事では、自治体の窓口に実際に届くものを型で分けたうえで、それぞれに必要な設問と、その並び順の決め方を整理します。読み終えたときに、いま公開しているフォームのどの項目を削り、どの項目を足すかを決められる状態を目指します。

自治体の窓口に届く問い合わせは「どこが担当か」から始まる

民間の受付と自治体の受付で決定的に違うのは、答える人が最初から決まっているかどうかです。一つの店や一つの事業所であれば、届いた問い合わせは基本的に同じ人が読んで同じ人が返します。自治体はそうなりません。市役所や町役場の組織は数十の課に分かれ、証明書の発行と道路の補修と保育所の入所と補助金の公募は、それぞれ別の課が別の根拠に基づいて所管しています。届いたものを読む職員と、答えを持っている職員が別人であるのが普通です。

全国の市区町村は、市と町と村を合わせて1,718、これに東京の特別区23を加えた数だけ存在します。規模も、職員が数千人いる政令指定都市から、総務課が広報も情報政策も兼ねている小さな村までさまざまです。しかし規模にかかわらず、代表の問い合わせフォームに届くものの性質は似ています。そこに届くのは、住民が自分で担当課を特定できなかったものです。担当課が分かっている人は、その課のページを開いて直接電話をかけるか、その課のフォームに送ります。代表窓口は、分からない人の受け皿として機能しています。

この構造を踏まえると、フォームの項目に与えるべき役目もはっきりします。自治体の問い合わせフォームの設問は、返信の文面を書くために必要な情報を集めるものである以前に、誰が書くかを決めるために必要な情報を集めるものです。ここが弱いと、代表窓口を担当する職員が、届いた自由記述を全文読んで所管を推測する作業に入ります。一件あたり数分でも、それが日に何十件と積み上がれば窓口の一日が消えます。しかも推測が外れれば課の間で回され、住民の側からは「回されただけで誰も答えていない」という体験になります。

一つの窓口に用件の種類が混ざって届く

代表窓口に一日で届くものを並べると、その幅の広さが分かります。ごみの分別と収集日、粗大ごみの申し込み方法、不法投棄の通報、道路の陥没やひび割れ、街路灯の球切れ、公園の遊具の破損、放置自転車。住民票や戸籍の請求方法、転入と転出のときに持っていくもの、印鑑登録。保育所の入所、児童手当、就学援助、予防接種。介護保険、高齢者の見守り、障害福祉のサービス。公民館や体育館や会議室の予約、講座やイベントの申し込み。補助金と助成金の公募、後援名義の使用、審議会の委員募集、意見公募。事業者からの道路占用や屋外広告物や開発の事前相談。移住や空き家の相談。加えて、苦情と要望と提案、議員や報道機関からの照会が混ざります。

これらは、答えるまでにかかる時間も、根拠になる資料も、答えられる職員の人数もばらばらです。ごみの収集日は誰でも即答できますが、開発の事前相談は担当職員が図面を見ないと何も言えません。同じ一つの入力欄から届くのに、処理の重さが桁で違います。だから、届いた瞬間に軽いものと重いものが分かれる形にしておかないと、軽いものの返信まで重いものに引きずられて遅くなります。

設問の役目は担当課を決めることにある

以上から、自治体のフォームは二段構えで設計します。一段目は、用件がどの型かを決める分類の設問。二段目は、その型に固有の、返信を書くために欠かせない設問です。二段目を全部の型に共通で出すと、質問の数だけが増えて誰にとっても関係のない項目が並びます。逆に一段目を置かずに自由記述だけにすると、仕分けの手がかりがゼロになります。

分類の設問を先頭に置く効果は、受ける側で最も大きく出ます。分類が付いていれば、開く前に軽重が分かります。返信を朝と夕方にまとめて処理している窓口では、この一項目があるかないかで処理の順番の組み立てが変わります。さらに、分類ごとに件数を数えられるようになるため、どの型が窓口を圧迫しているのかが見えます。よくあるのは、届いたものの相当な割合が、ホームページに答えが載っているのに見つけられなかった類のものだったと後から分かる展開です。その場合の対策はフォームの改修ではなく、案内ページの作り直しになります。

最初の設問は「用件の分類」にする

フォームの一番上に置くのは、氏名でも住所でもなく、用件の分類です。ラジオボタンかセレクトで、選択肢を並べます。数は多くても八つまでに収めます。それ以上になると、住民が読み比べて迷い、迷った結果として一番上か「その他」に流れます。細かくしたつもりが、かえって粗くなります。

選択肢の粒度は、組織の課の数に合わせるのではなく、住民が自分の用件を当てはめられる単位に合わせます。組織図をそのまま選択肢にすると、住民には意味が伝わりません。たとえば「環境政策課の所管について」という選択肢を見ても、粗大ごみを出したい人は自分のことだと思いません。「ごみ・リサイクル・環境について」と書けば当てはめられます。

分類の設問には、もう一つ実務的な利点があります。組織改編があっても選択肢を書き換えずに済むことです。自治体の課の名前は、数年に一度の機構改革でよく変わります。選択肢を課の名前で書いていると、そのたびにフォームを直す作業が発生し、直し漏れると住民が存在しない課を選ぶことになります。用件の内容で書いておけば、内部の割り当て先だけを変えれば済みます。

分類の選択肢は住民の言葉で書く

選択肢の文言を決めるときは、実際に届いた自由記述の書き出しを読み返すのが早道です。住民は「道路の件で」ではなく「家の前の道路に穴が空いていて危ない」と書きます。「施設予約について」ではなく「公民館の会議室を借りたい」と書きます。選択肢は、その言い方に近づけます。

役所の中でだけ通じる言葉は避けます。「償還払い」「現年課税」「所管替え」といった語は、住民には通じません。同じ理由で、法令の条文に出てくる言い方をそのまま選択肢にするのも避けます。制度の正式名称は、選択肢を選んだあとの説明文で補えば足ります。

選択肢の並び順は、件数の多い順が基本です。多くの人が最初の二つか三つで自分の用件を見つけられるようにすると、迷う時間が減ります。ただし、緊急性の高い通報だけは順番を上げます。道路の陥没や倒木のように、放置すると事故につながるものは、住民に探させてはいけません。

「その他」に流れたものをどう拾うか

選択肢を丁寧に作っても、「その他」は必ず一定量になります。ここを放置すると、分類設問を置いた効果が薄れます。対策は二つあります。

一つは、「その他」を選んだときにだけ、短い自由記述を追加で出すことです。「どのようなことについてのお問い合わせですか。ひとことでお書きください」と聞きます。全文を読まなくても、この一行で所管の見当が付きます。もう一つは、「その他」に集まった内容を定期的に読み返し、まとまった数が出ている用件を選択肢に昇格させることです。三か月ためれば、足りていない選択肢が二つか三つ見つかります。

逆に、ほとんど選ばれていない選択肢は削ります。選択肢が多いこと自体が住民の負担になっているので、使われていないものを残す理由はありません。

場所と現物を伴う通報で必ず要る項目

自治体の窓口に特有で、民間の受付にはほとんど無いのが、場所と現物を伴う通報です。道路の陥没、側溝の詰まり、街路灯の球切れ、公園の遊具の破損、倒木、不法投棄、放置自転車、害虫の巣。これらは、答えを書いて返す仕事ではなく、現場に人を出す仕事です。したがって必要な項目も、他の型とはまったく違います。

この型で欠かせないのは、場所です。しかも、担当職員が現場にたどり着ける精度の場所です。「駅の近くの公園」では動けません。住所が分かるなら住所、分からないなら目印になる建物や交差点の名前、それも難しいなら写真の背景で分かるものを書いてもらいます。街路灯や電柱には管理番号が貼られていることが多いので、その番号を書いてもらう欄を用意すると、現場の特定にかかる時間が大きく減ります。番号があれば、どの灯具のどの部品かまで事務所側で調べが付きます。

次に、状況と危険度です。穴が空いているのか、水が溜まっているのか、通行に支障があるのか、誰かがけがをしそうな状態なのか。ここが分かれば、当日中に見に行くのか、次の定期巡回で確認するのかを、返信を書く前に判断できます。いつから起きているかも一緒に聞きます。今朝からなのか、一か月前からなのかで、対応の急ぎ方が変わります。

写真と位置情報の受け取り方を決める

通報の型では、写真が言葉の何倍も情報を運びます。ただし、ただ「写真を添付してください」と書くだけでは、寄りの一枚しか届きません。設問文で、遠景と近景の二枚をお願いしたい旨を書きます。遠景は場所を特定するため、近景は状態を確かめるためです。枚数の上限も書きます。上限を書かないと、通信環境の悪い場所から大量の画像を送ろうとして送信に失敗する人が出ます。

位置情報の扱いも先に決めます。スマートフォンで撮った写真には撮影地点の情報が埋め込まれていることがあり、それは場所の特定に役立ちます。一方で、住民が意図せず自宅の位置を送っている場合もあります。どちらの扱いにするかは、自治体の個人情報の取扱いの方針に沿って決め、フォームの説明文に書いておきます。判断に迷う場合は、個人情報保護の所管部署に確かめてください。

受け取った画像がどこに残るかも、選ぶときの分かれ目になります。メールの添付として受け取ると、返信のやり取りの中に画像が埋もれ、現場に出る職員が見返せません。受付の記録と画像が同じ場所にまとまっているかどうかで、現場に出る前の確認にかかる時間が変わります。この点はできることの一覧で、受け取ったファイルが回答と一緒に残るかどうかを確かめられます。

申請の事前相談で要る項目

補助金の公募、後援名義の使用、道路の占用、施設の利用、開発の事前協議。これらは、正式な申請の前に「そもそも対象になるか」「何を用意すればよいか」を確かめる相談として届きます。この型で聞くべきは、申請書の中身ではなく、対象かどうかを判定するために必要な最小限の事実です。

具体的には、申請しようとしている人の立場、対象になる活動や事業の中身、予定している時期、場所です。立場は、個人なのか、法人なのか、任意の団体なのかで要件が変わることが多いため、選択式にします。時期は、締切がある制度では最重要です。締切を過ぎていれば、それ以上の質問をせずに次回の案内を返せます。

正式な申請の受付には、法令や条例で決められた形式があります。行政手続法は、申請の審査と応答について次のように定めています。

行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、かつ、申請書の記載事項に不備がないこと、申請書に必要な書類が添付されていること、申請をすることができる期間内にされたものであることその他の法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請をした者(以下「申請者」という。)に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない。 出典: e-Gov

ここで注意が必要なのは、同法には適用除外の定めがあり、地方公共団体の機関がする処分のうち根拠となる規定が条例または規則に置かれているものなどについては、章によって適用されないことです。自分の自治体の、その制度がどう扱われるかは、所管の部署や法制の担当に確かめてください。この記事で扱うのは、あくまで受付と返信をどう回すかであって、制度そのものの判断ではありません。

申請そのものをフォームで受けないという線引き

事前相談を受けるフォームと、申請そのものを受ける経路は分けます。様式が決まっているもの、本人確認が必要なもの、手数料が必要なもの、原本の提出が必要なものは、問い合わせフォームで受け付けてはいけません。受けてしまうと、住民は申請したつもりになり、期限の管理も受付日の扱いも曖昧になります。

線引きをした以上は、フォームの冒頭で明示します。「このフォームは相談をお受けするものです。申請はこちらの手続きからお願いします」と書き、電子申請の入口や窓口の案内につなげます。書かないと、住民は入力欄を見つけた時点でそこに申請を書き込みます。これは住民の落ち度ではなく、案内の設計の問題です。施設の利用のように相談と申請が連続する種類の受付をどう組むかは、施設利用の申請の場面の整理が参考になります。相談で条件を確かめてから正式な手続きに進む流れをどう作るかが要点になります。

制度の相談で要る項目

三つ目の型は、制度の内容についての相談です。手当の対象になるか、減免を受けられるか、どの窓口に行けばよいか。この型の特徴は、答えが「制度の説明」になるため、担当課の職員でないと書けないことと、住民が自分の事情を長文で書いてくることです。

この型で必要な項目は多くありません。用件の分類、いつまでに知りたいか、返信の方法、そして自由記述です。事情の詳細を細かく項目化しても、住民は結局まとめて自由記述に書きます。項目を増やすより、自由記述の欄の上に何を書けばよいかの手引きを一文置くほうが効きます。「いつ、どこで、何について困っているかを書いてください」と示すだけで、届く文章の構造がそろいます。

もう一つ決めておくのは、電話で折り返すのか、文書で返すのかです。制度の相談は、書いて返すと長くなり、しかも個別の事情によって結論が変わるため、書面に残すと誤解を生むことがあります。電話で話したほうが早いと判断した場合に折り返せるよう、電話番号の欄と、つながりやすい時間帯の欄を用意しておきます。時間帯は、選択式にすると入力が軽くなります。

個人情報を書かせない設問文の書き方

制度の相談では、住民が求められてもいない情報を自由記述に書き込むことがあります。個人番号、口座番号、家族の病名、収入の詳細、他人の氏名。これらがフォーム経由で庁内に入ってくると、その時点から保有個人情報として管理の対象になり、削除も含めて手間が増えます。

対策は、自由記述の欄のすぐ上に一文を置くことです。「個人番号や口座番号は書かないでください」と、具体的な名前を挙げて書きます。抽象的に「個人情報の入力はお控えください」と書いても、住民は自分が書こうとしているものがそれに当たると気づきません。それでも書かれてしまったものの取り扱いは、自治体の文書管理と個人情報の取扱いの規程に従います。運用として、誰がどの段階で気づき、どう処理するかを先に決めておくと、実際に起きたときに慌てずに済みます。

連絡先と匿名の扱い

連絡先の欄をどう置くかは、型によって答えが変わります。返信が必要な相談では、メールアドレスは必須にします。通報では、必須にすると通報そのものが減ります。ここを一律に決めると、どちらかが確実に損をします。

現実的なのは、分類の設問で通報を選んだときだけ連絡先を任意にする形です。連絡先が無ければ結果は返せませんが、通報は結果を返さなくても対応そのものは進みます。設問文には「対応の結果をお知らせする場合は、連絡先をご記入ください」と書き、書かない選択があることを示します。

氏名についても同じ考え方です。制度の相談で個別の判断を返すなら氏名が要りますが、一般的な案内を返すだけなら不要です。全部を必須にすると、匿名でしか言えないことを抱えている人が窓口に届かなくなります。

匿名を許すかどうかを先に決める

匿名の通報や意見を受け付けるかどうかは、フォームの設問より前の、運用方針の問題です。受け付けると決めたなら、匿名で届いたものにどう対応するかも同時に決めます。現場の確認だけはするのか、記録に残すだけにするのか。決めずに受け付けると、届いたものの扱いが担当者ごとにばらつきます。

受け付けないと決めたなら、その旨をフォームに書きます。書かずに必須の欄だけを並べると、住民は入力の途中で送信をやめ、なぜ受け付けてもらえないのかも分からないまま離れます。方針は、書いてある限り理解されます。

設問の並び順と画面の作り

並び順の原則は、答えやすいものから並べることです。分類の選択、用件の内容、場所や時期、最後に連絡先。連絡先を最初に置く形をよく見かけますが、これは送信率を落とします。用件を書く前に個人情報を求められると、身構える人がいるからです。

必須の印は、本当に無いと処理できないものだけに付けます。付いている数が多いほど、住民は入力量を見積もって離脱します。任意の項目には「分かる範囲で結構です」と添えると、書ける人だけが書いてくれます。

画面は、スマートフォンで縦にスクロールして入力される前提で作ります。二列に並べた項目は、狭い画面で折り返されて意図しない並びになります。一列で縦に並べ、選択肢の間隔を指で押せる程度に空けます。入力の途中で電話がかかってきて中断されることも珍しくないので、入力内容が一時的に保持される作りになっていると、送信されないまま消える件数が減ります。

必須と任意の切り分け

切り分けの基準は、その項目が無いときに聞き返しが発生するかどうかです。聞き返しが発生する項目は必須にし、発生しない項目は任意にするか削ります。この基準で既存のフォームを洗い直すと、たいてい二つか三つの項目が削れて、代わりに一つか二つの項目が足りていないことが分かります。

判断が付かない項目は、任意にして三か月置きます。実際に書かれたかどうかで判断できます。書かれない項目は削り、聞き返しが続く項目は必須に上げます。設問の設計は一度で正解にたどり着くものではなく、届いたものを見ながら形を整えていく作業です。

閉庁日と受付時刻を項目と説明文に織り込む

自治体の窓口には、民間の受付には無い時間の制約があります。土日と祝日、年末年始は閉庁し、その間に届いたものは翌開庁日まで誰も見ません。ところがフォームは二十四時間受け付けます。金曜の夜に送った住民は、月曜まで何の反応も無い状態に置かれます。

この差を埋めるのは、項目そのものではなく、フォームの説明文と自動返信の文面です。送信の直前に「受付は開庁日に順次行います。土日祝日と年末年始にいただいたものは、翌開庁日以降の対応となります」と書いておけば、待たされているという感覚はかなり和らぎます。書かないと、二日目には電話が鳴ります。

急ぎのものについては、フォーム以外の連絡先を必ず併記します。倒木や道路の陥没や水道管の破損のように、閉庁中でも動かなければならない事柄には、宿直や当直の電話番号、あるいは委託先の緊急連絡先があるはずです。フォームの冒頭に「緊急の場合はこちらへお電話ください」と番号を置きます。ここを書かずに通報の選択肢だけを用意すると、危険な事象がフォームの中で週末を越えます。

いつまでに知りたいかを聞く項目を置くのも有効です。選択式で「急がない」「今週中」「日付が決まっている」の三つを並べ、日付が決まっている場合だけ日付の欄を出します。住民の側は、急いでいないことを伝えられると余計な催促をしなくなります。受ける側は、順番を組む材料が一つ増えます。

やさしい日本語と多言語の扱いを項目に反映する

設問の文言は、短い文で、一文に一つのことだけを書きます。役所の文章は、条件と例外を一文に詰め込む癖が付いていて、そのままフォームに移すと読めないものになります。「ただし」「なお」「この場合において」で続く長い一文は、二つか三つに割ります。

外国語での問い合わせをどう受けるかも、項目に関わります。言語を選ばせる設問を置くのか、日本語のフォームだけを用意して届いた内容を翻訳して回すのか。翻訳して回すと決めたなら、返信の言語をどうするかまで決めておきます。翻訳の担当が別の部署や委託先であれば、その受け渡しにかかる日数を見込んだ目安を自動返信に書く必要があります。ここを決めずに受け付けると、翻訳待ちのまま止まる件が出ます。

ふりがなを求めるかどうかも判断が要ります。氏名のふりがなは、電話で折り返すときの読み違いを防ぎます。一方で入力の負担は増えます。電話で返す運用が中心の窓口では置く価値があり、文書だけで返す窓口では省けます。

送信されたあとに何が残るか

項目をどれだけ丁寧に設計しても、送信されたあとが受信箱だけだと、窓口は詰まります。自治体の窓口では、受け取ってから返すまでに、所管の判断、担当課への引き渡し、担当課での確認、決裁、返信という段階が挟まります。この間、そのやり取りが今どの段階にあるのかが、一覧で見える必要があります。

受信箱で管理していると、この段階が見えません。誰かが読んで担当課に転送したのか、転送先で止まっているのか、もう返したのかが、メールの本文を開いて確かめるまで分かりません。開いて確かめる作業が、件数の分だけ繰り返されます。実際の画面でどう見えるかは動くところを見るで確かめられます。

表計算ソフトで受けている窓口が最初に詰まるところ

フォームの回答を表計算ソフトに流し込んで管理している窓口は少なくありません。集めるところまでは、この形で問題なく動きます。詰まるのは、返したかどうかを手で色分けし始めたときです。色は、付け忘れても誰も気づきません。付けた人以外には意味も伝わりません。人事異動で担当が替われば、色の意味は引き継がれずに失われます。

集めたあとをどう扱うかを軸に道具を見比べると、それぞれの違いがはっきりします。Googleフォームとの比較では、集める部分と集めたあとの部分を分けて整理されています。集める部分に不満が無いのに窓口が回らないのであれば、替えるべきなのは集める道具ではなく、集めたあとを支える部分です。

設問を変えたあとに何を見るか

項目を直したら、直した効果を確かめます。見るのは三つです。一つ目は、聞き返しの回数。返信の一往復目が確認で埋まる件数が減っていれば、足りない項目が埋まったということです。二つ目は、「その他」の割合。減っていれば分類の選択肢が住民の言葉に近づいたということです。三つ目は、送信された件数と、途中でやめられた件数の関係です。

三つ目は道具によって取れないこともあります。取れないなら、届いた内容の質で代用します。分類だけ選ばれて自由記述が空のものが増えていれば、その分類を選んだあとに出る設問が重すぎる可能性があります。

数字を見る周期は、月に一度で十分です。週ごとに見ると、季節の要因に振り回されます。自治体の窓口は季節の変動が大きく、転入と転出が集中する時期、確定申告の時期、就学と入所の申し込みの時期で、届く中身も件数も変わります。前の月ではなく前の年の同じ月と比べるほうが、変化を正しく読めます。

項目設計のあとに残る仕事

設問を整えると、届いたものの質はそろいます。そこから先に残るのは、そろったものを誰がいつ返すかという仕事です。ここは項目設計では解けません。

助成金・公募の受付の場面で共通して起きているのは、締切の直前に問い合わせが集中し、そのすべてが「対象になるか」という同じ質問だという展開です。同じ質問が繰り返されているなら、答えは公募のページに書けます。フォームの改修より、案内の書き直しのほうが効くことは珍しくありません。何を案内ページに載せ、何をフォームで受けるかの線引きは、届いた内容を分類してみないと決められません。分類の設問は、その材料を毎日ためてくれる仕組みでもあります。

案内ページを整えるときの形は、質問と答えを短く並べるだけで十分です。よくある質問のように、質問文をそのまま見出しにして、答えを二文か三文で書く形が、探している人にとっていちばん読みやすくなります。長い説明文の中に答えを埋め込むと、読み飛ばされてまた同じ質問が届きます。

最後に、自治体の窓口で項目を決めるときに判断が要る場面を並べておきます。分類の選択肢を何個にするか、その文言を住民の言葉に寄せられているか、通報の型で場所をどう聞くか、写真を何枚まで受けるか、位置情報をどう扱うか、事前相談と正式な申請の線をどこに引くか、連絡先を型ごとに必須と任意で切り替えるか、匿名を受けるか、自由記述の上に何を書かないよう促すか、必須の印をどこまで付けるか。この十を決めれば、代表窓口に届くものは仕分けできる形になります。決め切れないものは任意にして三か月ためれば、届いたものが答えを出してくれます。

Q1. 自治体の問い合わせフォームの項目は何個までに収めるべきですか?

個数に決まった正解はなく、判断の基準は「その項目が無いと聞き返しが発生するか」です。自治体の場合は、まず用件の分類を一つ置き、そのあとに型ごとの項目を出す二段構えにしてください。全部の型に共通の項目を並べると、誰にとっても関係のない欄が増えます。既存のフォームを聞き返しの原因で洗い直すと、二つか三つ削れて、一つか二つ足りていないことが多いです。

Q2. 分類の選択肢は課の名前で書いてもよいですか?

避けてください。住民は担当課が分からないから代表窓口に送ってきます。課の名前を選択肢にすると当てはめられず、結局「その他」に流れます。「ごみ・リサイクル・環境について」のように、用件の内容で書きます。加えて、課の名前で書くと機構改革のたびにフォームを直す必要が出ます。用件で書いておけば、内部の割り当て先だけを変えれば済みます。

Q3. 道路の陥没などの通報では何を聞けばよいですか?

現場にたどり着ける精度の場所、状況、いつからか、危険の程度、そして写真です。街路灯や電柱には管理番号が貼られていることが多いので、その番号の欄を用意すると特定が早くなります。写真は遠景と近景の二枚をお願いする旨を設問文に書いてください。書かないと寄りの一枚しか届かず、場所が分かりません。枚数の上限も添えます。

Q4. 連絡先は必須にすべきですか?

用件の型によって変えてください。制度の相談で個別の判断を返すなら必須ですが、通報で必須にすると通報そのものが減ります。分類で通報が選ばれたときだけ任意に切り替え、「対応の結果をお知らせする場合はご記入ください」と添える形が現実的です。すべてを必須にすると、匿名でしか言えないことを抱えている人が窓口に届かなくなります。

Q5. 申請そのものをフォームで受け付けてもよいですか?

様式が決まっているもの、本人確認が必要なもの、手数料が必要なもの、原本の提出が必要なものは、問い合わせフォームで受けないでください。受けると住民は申請したつもりになり、受付日の扱いも期限の管理も曖昧になります。フォームは事前相談までとし、冒頭に「申請はこちらの手続きから」と書いて電子申請や窓口の案内につなげてください。線引きは所管の部署と確かめてください。

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